海上自衛隊呉音楽隊「ふれあいコンサート」 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で26日、海上自衛隊呉音楽隊(指揮者=真道友樹・音楽隊長1等海尉)による「ふれあいコンサート」があった。約600人の来場者を迫力ある演奏で魅了した。
市と市教育委員会が主催した同施設オープニングイヤー事業(後期)の一環。新宮防衛協会共催、同音楽隊と自衛隊和歌山地方協力本部が協力した。開催に向けて鑑賞希望者を募ったところ、1048通(2972人)の応募が寄せられ倍率は約5倍に。和歌山地方協力本部新宮地域事務所が抽選を行い、応募者の中から601人が鑑賞の機会に恵まれた。
同音楽隊は1956年に発足。76年5月に呉地方総監直轄部隊として正式に編制が認められた。▽士気高揚のため▽儀式▽広報のため―の音楽演奏を主な任務としており、自衛隊と国民の架け橋となり、愛される音楽隊を目指して日々演奏活動を行っている。
広島県内をはじめ、近畿や中国、四国地方などの広い範囲を担当するほか、海上自衛隊が初任幹部の教育ならびに国際親善を図るため実施している遠洋練習航海にも毎年隊員を派出。世界各国の寄港地で言語を超えた交流を展開している。
開演に先立ち、田岡実千年市長が「多くの市民、周辺市町村の方々から応募があった。呉音楽隊は世界各国の寄港地を訪問されている、自衛隊でも最高峰の音楽隊。私も皆さんと一緒に、普段聞くことのできない素晴らしい演奏を楽しみたい」とあいさつ。開催に当たって関係者らの尽力に感謝を伝えた。
コンサートは、旭日旗(自衛艦旗)を掲げて航行する護衛艦の勇姿と、艦上で迎える朝の美しさを表現した「艦上の旭日」で華々しく幕開け。「熊蜂の飛行」や「吹奏楽のための第1組曲」、「カントリーロード」「鉄腕アトム」など、クラシックの名曲や吹奏楽曲、ドラマ主題歌、アニメ挿入歌、アンコール合わせて13曲を披露。観客が手拍子で音楽隊と共演する一幕もあり、大盛況のうちに幕を下ろした。
「丹鶴ホール」入り口付近では、和歌山地方協力本部による串本分屯基地の紹介などがパネルで紹介されたほか、軽装甲機動車などの展示もあった。
(2022年6月28日付紙面より)
NPO法人「七彩会」 (太地町 )
NPO法人「七彩(なないろ)会」は26日、那智勝浦町市屋の太地町地域福祉センター梛(なぎ)で初となるフリーマーケットを開催した。三重県や新宮・東牟婁地域から集まった出店者の各ブース20店舗には多くの来場客が訪れ、終始にぎわいをみせた。
フリーマーケットはコロナ禍で催しが少ない中、多くの人々が楽しく、気軽に集まれる機会の創出を目的に開催。1年前から計画されていたが、新型コロナウイルスの影響で開催が延期となっていたという。
この日、職員らはしっかりと感染症対策に取り組み、来場客にも協力を呼びかけた。オープン前から約50人の来場客が待つほど盛況で、雑貨やアクセサリー、花食器、子ども服、服、菓子などの出店に加え、メダカすくいや己書などの体験ブースも人気だった。
フリーマーケットの責任者である同法人の漁野祐子さんは「募集時は出店者さまが集まるのか、開催はできるのかと不安だった。しかし、多くの出店やたくさんのお客さまでにぎわい、本当にありがたい。今回の課題を見つけ、参考にしながら次回の開催につなげていきたい」と語った。
新宮市から訪れ、買い物を楽しんでいた50代女性は「活気があってうれしい。ほしい物が手に入った。そろそろ、こういった催しが、次々と各地域で実施されても良いのではと思います」と話していた。
(2022年6月28日付紙面より)
中央公民館で児童館七夕会 (古座川町 )
古座川町高池にある中央公民館で25日に児童館七夕会があり、子ども42人や送迎の保護者が参加して一足早く雰囲気を楽しんだ。
町内の小学生以下を対象にした風物詩行事で平年は当日受け付けの集会として開いているが、前年度に続いて本年度も感染症予防を考慮し事前申し込み制で各企画を順番に巡ってもらう形を計画。前年度にはなかった宝釣りゲームやフォトスポットといった新規企画を加えて内容を充実しつつ、参加を呼びかけた。
子どもらはあらかじめ家庭で作った飾りや願い事を書いた短冊を持って午前10時~11時に時間差で参加し、高さ約4㍍で切り出したササに結び付け新規要素を楽しみつつひこ星役や織り姫役から七夕セットや菓子が詰まったプレゼントをもらった。
短冊には勉強や今頑張っていることの上達、憧れている人との出会い、家族の幸せなどさまざまな願いが書かれていて、飾り付けた後のササは7月7日の笹流しまで館内展示するという。
会場飾りの手作りなど準備に尽力した子育て支援センターの加藤雅美保育士(児童館事業兼務)は「今もコロナ禍で外出する機会が以前より少ないと思う。家族や友達との楽しい思い出になれば」と願い、会場での短冊作りやササへの飾り付けを後押しした。
(2022年6月28日付紙面より)
セレモニーホールなちで人形供養 (那智勝浦町 )
みくまの農業協同組合(JAみくまの、漆畑繁生代表理事組合長)は26日、3年ぶりとなる「人形・ぬいぐるみ供養祭」を那智勝浦町川関のセレモニーホールなちで営んだ。新型コロナウイルスの影響で2年間中止となっており、今年で11回目。ひな人形や市松人形、こけしやぬいぐるみなどが持ち寄られ、参列者たちは心を込めて人形を供養した。
同組合は「農」と「食」と「地域」を守るという理念の下、さまざまな活動に取り組んでおり、供養祭もその一環。思い出の詰まった人形を捨てるのが忍びないという人に向け、ホールを開設後、コロナ禍までは毎年開催してきた。
この日は300人以上が約5000体の人形を持ち寄った。供養式では新宮市佐野の南珠寺の伊藤秀幸(しゅうこう)住職が「人形に対して、これまでの感謝の気持ちを持って、ご焼香お願いします」とあいさつ。読経が行われる中、参列した約70人が順に焼香して手を合わせた。
同町在住の50代男性は「妻のひな人形を持ってきました。こちらで供養祭をやっていただけるのは本当に助かります」。
新宮市在住の80代女性は「コロナで久しぶりだからか、多くのお人形さんが持ち寄られたのだと思う。大切にしていたので情や気持ちも入るので、自分では処分できない。ありがたいです」と語った。
ホールの塚文和センター長は「3年ぶりのため、お待ちいただいた方や問い合わせされる方も多かった。供養祭にご参加いただきありがたい。コロナ禍や何か事情がない限りは今後も継続していきたいと思います」と語った。
(2022年6月28日付紙面より)
全国高校野球選手権和歌山大会
第73回紀南中学校大会 (県バレーボール協会東牟婁支部 )
「七夕願いよ 届け」 (那智勝浦町 )
昨年6月末から7月7日に那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)で初開催し、多くの人でにぎわった「七夕願いよ 届け」。第2回に向け、勝浦八幡神社七夕実行委員会では現在、準備を進めている。12日夜には地元の高校生らも協力し、今年初めて点灯させる竹灯籠や牛乳パック灯籠の並べ方などを考えた。
催しはコロナ禍の中、同委員会の上松資弘さんが「悩みや願いを集め、心のよりどころとなる場をつくりたい」との思いから髙橋宮司に相談し、開催に至った。
手作りの木製短冊に髙橋宮司が、「七夕祈願」と筆を入れ神社の印を押したものを準備。参加者は短冊台2基に願いを書いた短冊をつるした。
今年も30日(木)から7月7日(木)の七夕当日まで短冊に願いを書き、つるすことができる。午前8時から午後8時まで。無料。雨天時は社務所に短冊を準備している。今回は七夕の笹の受け取りも神社で行う。
新たな取り組みとして、竹灯籠や牛乳パック灯籠、竹あかりを合わせて320個ほど境内に置き、「よみがえれ脇仲倶楽部」から借りたビン玉を七夕台に設置し、どちらも点灯させる。上松さんらは竹の調達や加工、ろうそくやLEDキャンドルなどの準備も進めてきた。
昨年も催しに協力した川畑悠里子さんの娘の花愛(はな)さん(新宮高2年)は「交流サイト(SNS)に投稿する写真が見栄えするように並べ方を工夫した。喜んでもらえたらうれしいです」。
瀧本梨乃さん(同)は「町を元気づけたいと思い参加した。夏の思い出を増やしていただけたら」とコメント。
髙橋宮司は「若い方が参加してくれてありがたい。輪が広がることを期待したい。都会に出られても、この催しを思い出し、戻ってきてくれたら」と話した。
上松さんは「皆さんの協力がありがたい。さださんからは『良い企画なので続けたほうがいい』とお声をもらった」。
当日について「悩みや願いのある方はもちろんですが、多くの方に神社に集まってほしい。短冊をつるし、灯籠を見て、楽しい時間を過ごしていただけたら」と語った。
なお、今年も、上松さんと親交のある歌手で小説家のさだまさしさんから直筆の短冊が届いた。
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■ワークショップや当日
同委員会は7月3日(日)午後1時から神社社務所で、牛乳パック灯籠を作成するためのワークショップを開催する。
無料。申し込み不要で定員なし。子どもから大人まで、参加可能。同日午後7時ごろから、試験点灯も行う。
7日当日は午後6時30分から、七夕祭の神事が髙橋宮司によって営まれる。灯籠などの点灯は午後7時ごろを予定。無料。
(2022年6月22日付紙面より)
今年もプール授業始まる (紀宝町 )
紀宝町立成川小学校(大藤伸之校長、児童53人)で20日、プールの授業が始まり、児童たちが初泳ぎを楽しんだ。おととしは新型コロナウイルス対策のため水泳授業が行われなかったが、昨年から町内各小学校で再開した。
成川小では4~6年生の体育授業で水泳があり、水着に着替えた19人が頭、胸、顔の順に水をかけプールの中へ。頭までつかり、うつ伏せ、あお向けで浮く練習やバタ足などで水に慣れていった。
気温、水温ともに25度を超え、プール内は一足早い夏本番のような歓声に包まれた。児童たちは水しぶきを上げながら「楽しい」「気持ち良い」と笑顔を見せていた。
大藤校長は「昨年、プール授業を再開して児童たちも喜んでいた。短い期間だが今年も自分の命を守るための水泳指導を行っていく」と話していた。
(2022年6月22日付紙面より)
U―15アジアレスリング日本代表 (新宮市 )
7月2日(土)~4日(月)にバーレーンのマナマで開催される「2022年U―15アジアレスリング選手権大会」に日本代表として男子フリースタイル48㌔級に出場する新宮ジュニアレスリングクラブ(中川真一代表)所属の山本情輔君(緑丘中3年)が20日、新宮市役所を訪れ田岡実千年市長を表敬訪問した。
山本君は昨年11月に駒沢オリンピック公園総合運動場屋内競技場(東京都)で行われた「令和3年度東京都知事杯第12回全国中学選抜レスリング選手権大会」の同階級に出場。初戦を快勝すると、その後も順調に勝ち進み準決勝で敗れたものの、見事4位に入賞し選考基準を満たして日本代表に選ばれた。
レスリングを始めたのは3歳の時。以降、同クラブなどで練習を重ね、数々の大会で活躍している。この日は速水盛康教育長も同席した。
訪問を受け、田岡市長は「中学生での世界大会出場は私たちにとっても楽しみ。支えてくれた多くの人たちへの感謝を忘れず、試合に臨んでください」。速水教育長は「身近な選手が日本代表に選ばれることは、非常に影響があり素晴らしい。挑戦する気持ちがないと目標には届かないため、全力を出し切ってもらいたい」とエールを送った。
母・希余子さんは一緒に切磋琢磨(せっさたくま)している仲間やその保護者の皆さんがいたおかげで、ここまでやって来られたと感謝し「個人競技ではありますが、みんなで応援し合ってわが事のように喜び合うなど支え合っています。本人にとっても今後の人生の糧になると思う。いろんな経験をし、視野を広げてもらえれば」。
山本君は、初めてのことで、まだ実感がないとしながらも「急な選考の話を聞いて驚いているが、出場するからには『1位』という大きな目標を持って挑みたい。自分の力を全て出し切れるように頑張ります」と意気込みを語っていた。
(2022年6月22日付紙面より)
新入団員ら対象に訓練 (串本町消防団 )
串本町消防団(稲田賢団長)が19、20日の2日間、新入団員らを対象にした普通教育訓練を実施し消防技術の基礎を託すなどした。
この訓練は、団活動に欠かせない技術を一から学ぶ機会として新入団員や同訓練未経験者を対象にし、年1回実施。消防団員が本業と兼ねての献身となる実情を踏まえ、近年は休日と平日の2日間を実施日としいずれか参加しやすい方を選んでもらう形で着実な指導伝達に努めている。
本年度は19日に8人(女性団員1人含む)、20日に1人が参加。開始に当たり稲田団長は「消防団員として最初に取り組む訓練。長時間となるが、気を引き締めて頑張ってほしい」と激励し、以降は同町消防本部(寺島正彦消防長)の職員を講師に迎えて▽消防礼式▽ロープ結索▽消防操法(=ホースや筒先の取り扱い方)―の各技術を教わった。
ロープ結索は消防水利確保時の取水ホースの安定を図るなどで欠かせない技術。消防操法は機材(=消防ポンプ)を除く
資材の取り扱いを身に付けるのが目標。同本部はそれら技術を骨格にし属する分団で円滑に肉付けがしていける状況を見据えて指導に当たり、稲田団長ら団本部や寺島消防長ら消防本部幹部職員も始終立ち会い適時アドバイスをして理解を後押しした。
同団事務局によると、本業との兼ね合いで両日とも参加できなかった団員については、次年度以降も参加を誘いかけ全団員がこの訓練を経験している状況を目指すという。
(2022年6月22日付紙面より)
「第50回和歌山県消防救助技術会」が1日、和歌山市で開催され、「引揚救助」の部で新宮市消防本部から出場した5人が見事上位入賞を果たし、7月に開催される東近畿地区指導会への出場権を手にした。
県内の消防本部と競い合い、学び合うことで救助技術の向上と、他の模範となる消防救助隊員を育成することが目的で、毎年開催されている。同署は「引揚救助」の部で8チーム中、上位2チームに与えられる出場権を手にしたほか、「はしご登はん」の部で2人が35人中、4位と5位に入賞した。
「引揚救助」は1チーム5人で、災害や火災を想定し、7、8㌔の重さのボンベを背負って7㍍下の要救助者を協力して救出する。同署では出場希望者が4月上旬から自主訓練を開始。署内選考会を経て選出された5人が、5月から訓練を開始した。
全体の指揮を務めた東紘助さんは「今まで訓練でやってきたことが成果として出た。結果はこれまでやってきた先輩方の積み重ねがつながっていると思う」。
指導会の出場に向け「新宮・県代表として全国大会への切符を手にしたい。市民の方々の安心・安全につなげられるよう日々精進していきたい」と意気込んだ。
堀切学消防署長は「今回、東近畿地区指導会に出場することになったが、このような機会を通して救助隊には災害現場でしっかりと活動できるよう、さらに技術を高めてもらいたい。そして、消防として市民の皆さまに安心と安全を感じていただけるよう日々取り組んでいきたい」と話していた。
第50回消防救助技術東近畿地区指導会は7月29日(金)、京都市総合活動センターで開催される。
(2022年6月18日付紙面より)
警察署協議会定例会議 (新宮署 )
令和4年度新宮警察署協議会の第1回定例会議が16日、新宮市の同署で開かれた。新宮署と串本署が統合して以来初の会議開催に先立ち役員の改選が行われ、会長に安達実さん(新宮市)を、副会長に仲裕正さん(古座川町)を再任。委員らは昨年中の業務取り組み結果と本年度の取り組み方針を聞き意見を交わした。
同協議会は管轄区域内の地域安全や警察署の業務運営について、住民の声を代表する委員から意見や要望を聴き、より良い運営を検討する機関として2001年の警察法改正、県警察署協議会条例の制定を受け、県内の警察署に設置されている。
安達会長は「新型コロナウイルス収束のめどは立たないが、感染予防対策を十分に取っていただいて串本署と新宮署が統合して初の開催の運びとなった。委員の皆さまには警察の取り組みにご意見を頂き、有意義な会議に。署員の方々には委員の意見などを生かしていただき、引き続き住民の安心と安全のために活動を」と呼びかけた。
田原正士署長は「統合によりいろいろな課題も生じていると考えられる。さまざまなご意見を賜りたい」とあいさつ。
昨年中の県内の治安情勢について「刑法犯認知件数は3310件で前年に比べて589件の大幅減少、人身交通事故の発生件数は1419件で前年から166件減少し、刑法犯認知件数、交通事故発生件数ともに2002年以降、20年連続減少という県警察の大きな目標を達成することができた」と報告。
「同署でも各部門において管内の実情に応じた取り組みを進め、刑法犯認知件数や物件交通事などを減少させるなど、20年連続減少に貢献できたものと考えている」と述べ、引き続き警察活動に対する協力を呼びかけた。
(2022年6月18日付紙面より)
大勝浦いきいきサロン (那智勝浦町 )
大勝浦いきいきサロン(寺岡快枝代表)は15日、那智勝浦町勝浦の大勝浦漁民集会所で毎月恒例のサロンを開催した。この日は「なちかつ古道を守る会」(地庵晋司会長)のメンバー5人が訪れ、熊野古道の解説や紙芝居を披露し、集まった会員らは楽しいひとときを過ごした。
毎月1回、大勝浦地区の会員が20人ほど集まり、ラジオ体操やカラオケを行って交流を深めている大勝浦いきいきサロン。今年で3年目を迎えたという。
はじめに太田耕二さんが同会発足の経緯などを説明し、自身らが取り組んでいる熊野古道の整備やゆかし潟クリーン作戦、新春ウオークなどの活動を紹介した。
続いて、熊野古道を解説。太田さんは「熊野古道は昔の人々が、熊野三山へお参りするために通った道。今も多くの王子社や石仏、石畳、石の道標、茶屋跡がある。2004年に世界遺産登録された。比較的歩きやすい峠もあるため、機会があれば歩いてください」と話した。
続いて、地庵会長や片山仁美さん、稲垣葉子さんが紙芝居を担当。同会が人や動物が安心し共存できる森を目指す方法として、皮むき干ばつに取り組んだと内容を紙芝居にした「理想の森を目指して」や、会員宅で飼われている柴犬のいちをモデルとした「柴犬いち~花といっしょ~」、海上保安庁が作った環境問題の紙芝居を大きなサイズに作り替えた「うみがめマリンの大冒険」を披露した。
どの作品も愛らしいキャラクターがカラフルに描かれており、メンバーたちが登場人物に成りきって、読み上げた。会員からは大きな拍手が送られた。
地庵会長は「プラスチックごみを、餌と間違えて魚が食べて人間もその魚を食べる。人間も病気になってしまう。また、人間も動物の一つ。動物はかわいがってあげてほしい。干ばつの作業を行う人が今はほとんどいないのが現状。この紙芝居は現実に起こっている問題で、環境の整備が大切です。ご清聴ありがとうございました」とあいさつした。
寺岡代表は「紙芝居を楽しみにしていた。皆さんも喜んでくれたので本当に良かった。機会があればぜひ、次回も披露していただきたいです」と語った。
(2022年6月18日付紙面より)
串本町が16日、くしもと町立病院(竹村司・病院事業管理者、阪本繁院長)で医療従事者など対象の新型コロナワクチン接種〈4回目〉を始めた。
この接種は昨年12月~今年1月に3回目を接種した医療従事者などのうち希望者を対象にして実施。同病院と町内各医院合わせて91人が希望しているという。
副反応に伴う支障を抑えるため、接種はこの日と17日、23日(木)、7月中の1日の計4回に分けて進める計画。使用するワクチンは6月分がファイザー、7月分がモデルナかファイザーのいずれかとしている。
初日は同病院の医師や看護師ら24人が対象で、接種後の経過を先んじて見るためまず竹村管理者、以降順次接種を進めた。4回目の接種について竹村管理者は、先進のイスラエルで中和抗体の上昇幅は3回目より小さいが9週間後の重症化予防の効果は3回目より圧倒的に高く保たれるデータがあるとし、後者の目的でこれから接種する60歳以上や基礎疾患を有する人は打つべきと推奨。副反応については3回目と同等、との見方を示した。
(2022年6月18日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部理事長杯
バスケットボール体験会 (SMILE.E.T )
【第50回】梅雨のお弁当作り
梅雨入りして、ジメジメと暑い日が多くなりました。この時季は、食材も痛みやすく、世の親御さんが、特に頭を悩ませるのはお弁当作りではないでしょうか? 私も娘のお弁当を作るときは、傷まないかなと心配になります。今回は痛みにくいお弁当を作るポイントをお伝えしようと思います。
まず、第一に気を付けるのは、手洗いと容器の消毒です。どれだけ中に詰める具材に気を付けても、手やお弁当箱に雑菌があると意味がありません。容器はパッキンまで丁寧に洗い、しっかりと水気を拭き取っておくこと。そして、手を洗うだけでなく、この時季、素手で詰めるのは避けて手袋やラップを活用するのをお勧めします。おにぎりはラップで。おかずを詰めるときはポリ手袋をしましょう。
次に気を付けるのは「汁気を避けること」です。例えば、煮物やおひたしなど汁気の多いおかずは極力避けてください。ゆで野菜を入れるときは、いつも以上に水気を絞ったり、入れる前にキッチンペーパーなどで水気を取り除きましょう。生野菜は水分が多いので入れないのがお勧めです。プチトマトなどは、ヘタに雑菌が多いので、ヘタを取ってよく洗ってから、水分切って入れてください。ご飯も同じです。ご飯には水分が付着すると雑菌が繁殖しやすくなります。そぼろご飯や混ぜご飯など、水分が多くなってしまうものは避けましょう。おかずに付ける調味料などは、別の容器に入れて食べる直前にかけるようにしてください。
最後に気を付けるのは「しっかり加熱して冷ますこと」です。ちくわやさつま揚げ、ハムなどもそのまま入れず、あらかじめ加熱してから入れてください。卵や肉類もしっかり加熱することで、食中毒のリスクはグンと低くなります。
照り焼きなどの味付けをするときは、調味料を入れた後も、しっかり加熱して汁気をできるだけとばしてください。加熱した後は、粗熱を取ってからお弁当箱へ。菌が繁殖するのは、37度近くといわれています。加熱したものは、しっかり冷まして、夏場は保冷剤を付けるのがお勧めです。
私がお弁当のときによく使うのが、「梅混ぜご飯」です。梅干しをたたいてご飯に混ぜ込みます。日の丸弁当よりも、抗菌効果が高く、どこを食べても梅の味がするので子どもも喜んでいます。梅はとても優秀です。この「梅の殺菌効果」についても、ぜひお子さんに伝えてあげてください。また、梅と同じように殺菌に一役買ってくれるのが酢です。すし飯にすると、梅ご飯と同じように、殺菌効果が高まります。お肉を調理するときの味付けにも、梅やお酢を使うと、さっぱりした味になりますし、傷みにくくなります。
日々のお弁当作りは本当に大変ですよね。今は自然解凍できる冷凍食品なども豊富にありますし、小さなゼリーを凍らせて保冷剤代わりに、入れておくというのも手です。この機会にお子さんと食中毒の話もして、よく手を洗うこと、変な臭いがしたら食べないことなども教えてあげてください。
(2022年6月18日付紙面より)
新宮市伊佐田町の新宮税務署(山端克明署長)で9日、感謝状授与式があり、同署職員の日頃の健康管理に貢献したとして医療法人米良医院(同市池田)の米良孝志院長に感謝状と記念品が贈られた。
署長感謝状は、適正な申告納税の推進、納税道義の高揚、職員の健康管理などについて多大な貢献があるなど、功績が顕著であった者に対して感謝の意を表するもの。
米良院長は、2014年から毎月1回血圧測定や健康相談を受けるなど同署の嘱託医として職員の健康管理に協力。新型コロナウイルス対策の助言やワクチンの早期接種に対応するなど、納税者対応を行う職員の心身に寄り添ってきた。
また、今年1月には県内の医師会を代表して県医師会長と県病院協会長が、電子申告・電子納税推進を宣言。県民に対して確定申告会場の密を避ける呼びかけを行ったが、米良院長は新宮市医師会長として旗振り役を担うなど、感染拡大防止に向けた取り組みに力を尽くしている。
感謝状を手渡した山端署長は「職員の健康管理はもとより、安心安全な税務行政が求められる中、ワクチンの早期接種に協力いただいた。管内外と出入りする職員も多い中、おかげさまで1人も罹患(りかん)することなく市民や納税者の方に対応することができた」と感謝を伝えた。
米良院長は「新型コロナが出始めた2年半ほど前、医師として新型コロナを担当していたこともあり、大阪などと行き来することがある職員も多いということから周りの目から見た対応や助言をさせていただいた」。
「最近、ようやく感染状況も収まりかけ、重症化も減っている。新たな変異株も出ていない。今後、収まっていくのか、それとも厳しくなっていくのかを判断していく必要がある。引き続き、気を抜かずにマスク着用や手指消毒など基本的な感染対策を心がけて」と話していた。
(2022年6月11日付紙面より)
熊自連がふれあい観察会 (那智勝浦町 )
熊野自然保護連絡協議会(瀧野秀二会長)は4日、那智勝浦町の環境省宇久井ビジターセンターで「宇久井半島ふれあい観察会」を開いた。参加や同会の専門家ら10人が宇久井半島の遊歩道や海岸部を巡り、さまざまな生物を観察した。
熊自連は、植物や昆虫・野鳥・地質などの専門家が、熊野の自然環境保全を趣旨に一つにまとまり、1985年に結成された団体。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、観察会を開くのは3年ぶり。感染症対策のため、参加人数を絞って開催した。
瀧野会長は開会に当たり「今日はさまざまな分野の専門家が参加しているので、気になることがあれば何でも質問してください」とあいさつ。
参加者たちはササユリや菌従属栄養植物のハルザキヤツシロランの果実、シダのコヒロハハナヤスリなどを観察しながら遊歩道を歩き、紀伊半島東岸を見渡す駒ヶ崎灯台へ。南方系のチョウであるイシガケチョウなどの昆虫や野鳥の解説もあった。地玉(じごく)の浜では海浜植物のハマカンゾウがオレンジ色の花を咲かせており、参加者たちの目を楽しませていた。
(2022年6月11日付紙面より)
新宮市旧チャップマン邸
新宮市丹鶴の旧チャップマン邸で、ワーケーションが利用できるようになった。利用は無料(貸館料金別途必要)で利用可能時間は午前9時~午後9時。
旧チャップマン邸は、アメリカの宣教師・チャップマンの住宅として、「文化学院」創始者で市名誉市民の西村伊作(1884~1963年)が設計し、1926年に建築。伊作が手掛けた住宅は県内に2軒しか残っておらず、大変希少価値の高い建物として2020年8月に国の登録有形文化財に登録された。
ワーケーションは「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語。観光地やリゾート地でテレワーク(リモートワーク)を活用し、働きながら休暇を取る過ごし方で、働き方改革やコロナ禍において「新しい働き方」として全国的に注目されている。
同邸で利用できるのは、2階学習室と主寝室の2部屋。椅子、机の他、ワーケーション専用Wi―Fi(ワイファイ)が完備されている。事務所内にはドリンクの自動販売機も設置されているので、仕事や観光の合間に一息を。
利用には予約が必要。休館日は毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)と年末年始。貸館料は1部屋当たり〈午前9時~午後1時、午後1時~5時〉各1010円、〈午後5時~9時〉1520円。観覧は無料。
貸館予約、問い合わせは同邸事務所(電話0735・23・2311)まで。
(2022年6月11日付紙面より)
新型コロナワクチン (那智勝浦町 )
那智勝浦町はこのほど、4回目の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を7月中旬から開始することを発表した。60歳以上および18~59歳で基礎疾患を有する人が対象で、接種時期は9月末までを予定している。
同町はワクチン接種状況について、5日現在で3回目の接種を終えた町民は9779人(接種率72%)と報告した。5~11歳の子どもの1、2回目接種は3月20日から集団接種を開始して5月末に終了。12歳以上の3回目接種は今月8日に終了した。今後も接種を希望する町民に対しては、接種を継続していく方針だ。
4回目接種では6600人の対象者を見込んでおり、同町の体育文化会館で集団接種を行う。
3回目から5カ月が経過した60歳以上には、6月中旬から接種券が送付される。18~59歳で基礎疾患のある人は申込制となっている。各戸配布された接種を知らせる用紙のQRコードをスマートフォンで読み取るか、町ホームページからも申し込みが可能。また、新型コロナウイルスワクチン接種相談窓口でも申し込める。
同町では「ワクチン接種が終了しても、感染、発症する場合もある。ご自身や大切な方を守るため、改めて人と触れ合う際のマスク着用や3密の回避など、基本的な感染予防対策の徹底をお願いします」と話している。
ワクチン接種に関する問い合わせは新型コロナウイルスワクチン接種相談窓口(電話0735・29・6137)まで。
(2022年6月11日付紙面より)
新宮グラウンドゴルフ同好会「あじさい大会」
有田中央、貴志川と共に (高校野球和歌山大会 )
渚の会が地元区らと連携 (那智勝浦町 )
日本財団「海と日本PROJECT」と環境省などが実施する全国一斉清掃キャンペーン「春の海ごみゼロウイーク」にエントリーした「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員22人)は5日、ウミガメの産卵地としても知られる那智勝浦町下里の太田川河口(通称・大浜海岸)で清掃活動を実施した。会員や地元の高芝区、地域の各団体、一般参加者など約80人が集まり、作業に汗を流した。
清掃キャンペーンは同財団らが海洋ごみ問題の周知啓発と海洋ごみの流出を少しでも防ぐことを目的に、「ごみゼロの日」の5月30日から6月8日の「世界海洋デー」前後を「春の海ごみゼロウイーク」、9月18日の「ワールドクリーンアップデー」から26日までを「秋の海ごみゼロウイーク」と定めている。
この日は開始時刻より1時間以上早くから現地に集まり、作業に取り組む人の姿も多く見られた。キャンペーンの必須アイテムである青色のシャツや帽子、タオルなどを身に着けた参加者はごみ拾いに加え、大きな木々の切断や海藻、流木などを集めて焼却した。
清掃に参加した堀順一郎町長は「渚の会を中心に地元区の方々や県、役場、各団体、サーファーの皆さまにご参加いただけて良かった。この活動を通して、町民の皆さまにも地域の魅力や環境の大切さを再認識していただけたら」。
高芝区としても年に数回、大浜を清掃しているという伊藤善之区長は「この浜では釣り客やパラグライダーをされる方もいる。町内外からご参加いただき、感謝しています。近年では不法投棄も問題になっているため、浜をきれいにしていただくことで抑止にもつながる。また、流木が流れてこないために行う施策の検討も必要かもしれない」と話した。
猪飼会長は「多くの皆さまにお集まりいただき、本当にありがたい。ウミガメが産卵に訪れる場所が少しでもきれいになればうれしいです」と語った。
この日は高芝区民、町赤十字奉仕団、「なちかつ古道を守る会」、南紀パラグライダー、玉の浦リップルズクラブ、東牟婁振興局、町役場職員、などの各有志が参加した。
(2022年6月7日付紙面より)
潮岬小6年対象の租税教室 (串本町 )
串本町立潮岬小学校(水上茂秀校長)の6年生25人を対象にした租税教室が2日にあり、児童は講師の新宮納税協会会員と一緒に税金の大切さを考える機会を得た。
この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会(会長=山端克明(やまばな・よしあき)新宮税務署長)が学校からの依頼に応えて講師を派遣する形で実施。串本町内ではこの日が初実施で午前に串本小、午後に潮岬小でそれぞれ開講した。
潮岬小へは同協会を代表して青年部会の野中亮伸副部会長と税理士を本業とする部会員・中谷公大さんが同協会の泉晶子書記と共に来校。前半は中谷さんと一緒に身近なところでどのような税金があるかを考え、約50種類ある税金がなかったら世の中はどうなるかを映像教材「マリンとヤマトの不思議な日曜日」を鑑賞しワークシートで考える流れでイメージし、税金の大切さを実感した。
後半は野中副部会長が児童に身近な学校の建設や義務教育にどれぐらいの税金が充てられているかを説明。学校は平均15億円、義務教育は小学生1人につき平均で年間89万円(月約7万4千円)と伝え、通い事の月謝のように毎月これを払うのは大変だと児童と共感しあって中谷さんのいう大切さを後押しした。
児童は説明に出てくる額の実感を得るきっかけとして1億円(1万円札×1万枚)の重さも体験。中谷さんは「税金はみんなから集める社会の会費だとおうちの人に話し、みんなの税金でつくった学校を大切にして勉強や運動に頑張ってほしい」と呼びかけて締めくくった。
同協議会事務局によると、串本小へは新宮税務署の職員を講師として派遣。同町内では13日(月)に西向小、15日に(水)に出雲小と橋杭小で開く予定(以降の日程は未発表)という。
(2022年6月7日付紙面より)
歴探スクールで白石博則さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が5日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。和歌山城郭調査研究会代表の白石博則さんが「奥熊野の城跡―その魅力と歴史を語る」をテーマに講話。約80人が聴講した。
開講式を兼ねたこの日は、講演を前に速水盛康教育長があいさつ。熊野学研究委員会の山本殖生さんが講師の白石さんを紹介した。
白石さんは、最近では天守のない城も注目されている傾向にあるとし「城跡から過去の人間や生き様など、『人との出会い』を感じているのでは」と推測した。
近世城郭や中世城郭を写真で紹介し、村やクニなど公共団体が維持管理をしていた古代から、武士の館であった平安~鎌倉時代を経て南北朝時代には山城が出現。戦国時代には山城と館がセットになった根小屋式城郭となり、その後、安土城や大坂城に代表される織豊系城郭が誕生したと説明した。
那智山麓、那智川の両岸の二大勢力(廊ノ坊塩崎氏一族らと実報院米良氏+堀内氏)による那智山内の覇権争いの際に、廊ノ坊が籠城した勝山城跡(那智勝浦町、1581年落城)について「山麓には関所もあったとされる。元々地域の政治的な場だった」。
勝山城の対岸にあった実報院の藤倉城跡の主要部分は、インターチェンジのために削減されたが多くの遺物が出土していることなどを紹介。「勝山城籠城戦は奥熊野戦国史のハイライト。堀内氏は勝山城を落とした後、さらに南に進攻していった」と説明した。
築城の名手・藤堂高虎が85~89年ごろに築城したと伝わる赤木城(熊野市紀和町)について「枡形虎口(ますがたこぐち)や横矢掛(よこやが)りなど織豊系城郭の特徴が見られる。豊臣政権にとって熊野木材の確保は喫緊の課題であり北山支配は極めて必要度が高く築城の契機となったと考えられている」。
堀内氏が築き、堀内氏善が蟄居(ちっきょ)したとされる京城跡(紀宝町大里)について「奥熊野随一の優れた縄張り。奥熊野で使われる築城技法を全て使った城だが織豊系城郭の影響は限定的」とした。
白石さんは、石垣・石積みの多用や、城内に聖地の印として大岩が残されているなど、奥熊野の魅力や特徴、登りやすい城跡を紹介。「戦国・安土桃山・江戸時代の三期の城が狭い範囲で見学できる。奥熊野は隠れた名城の宝庫」と評した。
(2022年6月7日付紙面より)
那智勝浦町の海岸沿いで発見
那智勝浦町の海岸沿いで、国指定天然記念物であるムラサキオカヤドカリを発見した。陸にすむ大型のヤドカリの一種で、日本の固有種。体長は7㌢ほどで、鮮やかな紫色の体色をしており、発見時にはサザエの殻をすみかにしていた。
世界の熱帯・亜熱帯を中心に分布するオカヤドカリ属は15種が知られており、日本にはそのうちの7種が生息。主生息地である沖縄諸島や小笠原諸島以外にも、高知県や宮崎県、東京都の八丈島や伊豆大島などで発見されている。
ムラサキオカヤドカリはその中でも最も北方に分布し、低温に適応した種であると考えられている。普段は海岸近くの林の中に住み、夏の繁殖期には夜間に海岸へ移動して波打ち際で幼生を海へ放つ。北限に近い生息地である紀伊半島へは、黒潮に乗って幼生が運ばれたものとみられる。
小型のムラサキオカヤドカリは赤や白、明褐色などさまざまな体色を持っているが、大型の個体はおおむね鮮やかな紫色になる。
国内で発見されている7種のオカヤドカリは、いずれも国指定天然記念物であり、個人での採取、飼育、販売は法律によって禁じられている。
(2022年6月7日付紙面より)
認知症高齢者の輝く姿 (那智勝浦町 )
「この喫茶店では、とボケた出来事が起こるかもしれません。なぜならホールスタッフは、この町で生まれ年を重ねた認知症のおじいちゃんおばあちゃんだからです」―。5月29日に那智勝浦町朝日の民宿わかたけ1階で開かれた「とボケた喫茶店」を紹介する一文だ。1日限りの喫茶店は予約制で午前と午後の4部で行われた。同町下里にあるグループホームつつじ園の利用者7人がホールスタッフとして従事し、訪れた30人の来店客と交流を深めた。
この催しは医療と福祉、飲食業などの関係者で構成される「とボケた実行委員会」(近松健太委員長)が企画・開催したもの。高齢者の暮らしの在り方や社会参加の可能性を考え、地域においての認知症への理解や周知を行うことが目的。
看護師の近松委員長がデイサービスを利用する自身の祖父の様子を見ていた際に「短時間でも、生き生きできる機会や場があれば」と2年前から考えるようになったという。ある時、同民宿を経営する花井清州さんに相談したところ、人脈が広がっていった。
その後、つつじ園の看護師で認知症介護指導者である川口利恵さんや、大阪でスペイン料理のオーナーシェフを務めるなどの経験を持ち、現在は新宮市で飲食のプロデュース業を行う金子清人さんと妻の摩耶さん、同町朝日のケアプランサービスつなぎの管理者で、主任ケアマネジャーである南香帆里さんが今回の企画に賛同し加わった。
6人は実行委員会を立ち上げて会議を重ねた。当初は3月に予定していたが、コロナ禍で延期が続いて今回に至った。
当日は午前のブランチタイムと、午後のカフェタイムに分けて実施。来店客は、あらかじめ用意された各テーブルを担当するスタッフ(利用者)の情報が記された自己紹介カードに目を通した。
スタッフが料理を運び、注文分の飲み物を届けた時点で席に着く。両者の交流を図るためのトークタイムが設けられており、共に笑顔を浮かべ、和気あいあいと会話に花を咲かせていた。
料理を担当した金子清人さん、摩耶さん夫妻は「必要なことを伝えると、それに応えてくれる。認知症の方々とのコミュニケーションや関係性はイメージとは違い、とてもシンプルで楽しかった。多くの気付きや収穫がありました」。
南さんは「人は外へ出て活動すると輝く。ご自宅に訪問する仕事をしているが、目にする機会がなかった。地域に溶け込み過ごす姿はとてもきらきらしていた。今後も多くの人に、同じように輝いてほしい」。
川口さんは「専門の資格を持ち、専門の仕事をすることは大事だが、それだけではないことに気付いた。他業種の方々が集まり、連携することで広がった。人と人との関係性はもっとシンプル。こういった機会があれば、みんながハッピーになれる」と話した。
花井さんはイベントを振り返り「イベントではスタッフの皆さんがスムーズに会話して、お客さまと共感し合い、盛り上がっていた。高齢者や若者など年齢は関係なく、互いに興味が持ち合える入り口やきっかけになったのでは」。
福祉の学びを深めるために、今後数年間は国内外に赴いて勉強を検討しているという近松さんは「常に良い雰囲気。スタッフの皆さまが生き生きとしていて、感動した。イベントは継続していきたい。その際は多くの皆さまにもご参加していただけたら」と語った。
イベント終了後は4部とも、スタッフが来店客を見送った。新たな福祉の在り方に感銘を受けた来店客がスタッフに感謝を述べ、握手を交わす姿なども見られた。
(2022年6月5日付紙面より)
那智勝浦RCの記念例会 (那智勝浦町 )
那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC、後誠介会長)は2日、那智勝浦町天満のホテルサンライズ勝浦でクラブ創立60周年記念例会を開いた。記念ゲストとして細密鉛筆画家の篠田教夫さんが招かれ、卓話「細密鉛筆画家 篠田教夫展―神仏宿る細密画の世界 那智瀧図にはじまる―」を講演。会員らは篠田さんの作品に懸ける思いや制作過程など説明に耳を傾けていた。
神奈川県出身の篠田さんは鉛筆による細密描写、迫真表現で自然の造形の社寺などをテーマに作品を発表している作家。「高野山・熊野を愛する百人の会」メンバーで、2017年に那智勝浦RCの招きから、熊野那智大社(男成洋三宮司)に「那智瀧図」を奉納した。
昨年11月には那智勝浦RCの創立60周年記念事業で、「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」応援事業の一環として、今回の卓話と同タイトルの展覧会を町内で開催し、多くの来場者でにぎわった。
また、2日朝には後会長と共に同大社を訪れ、「那智瀧図Ⅱ―夜―」「那智瀧図Ⅲ―霧―」2作品を奉納した。
卓話では、友人に串本町の河内祭(こうちまつり)に誘われ熊野地域に足を運んだとし、その際に偶然にも後会長と出会ったエピソードなどを紹介した。
那智瀧図については、「初めて那智の滝を見た時は圧巻で、刺激を受けた。絵描きの習性で、どう表現すれば、描くことができるのかいろいろ考えた」と振り返る。
これまで自然の風景を描くことがなかったという篠田さんは、日本一の落差を誇る滝を描くために観察に徹した。ある時、左側から吹く強い風で滝の形が変わることに気付いたという。
過去に那智の滝を題材としてきた作家たちの作品は全て滝筋が真っすぐのものばかりだったが、篠田さんは自然現象によって起こる曲がった滝を描くことを決意。「あえて曲げて描く。アイデアではなく、自然現象を受け止めて描きたかった」と話した。
夜間の取材時の苦労や、絵画として成立させるための工夫なども説明。これまでに取り組んだ作品についても解説した。
今後の構想として「那智の滝展」を検討しているとし、「著名な作家と共にやりたい。詳細は未定だが、この地で実施できればと思い、かすかな希望として、お伝えさせていただきたい」と語った。
その後、後会長から篠田さんに記念品が贈呈された。
(2022年6月5日付紙面より)
城山田サロンが瀞峡めぐり
新宮市熊野川町の能城(のき)・山本・田長地区合同の城山田ふれあいいきいきサロンが2日に開かれ、地域住民ら12人が今年3月に運航開始した「瀞峡めぐり」へ出かけた。
瀞峡(瀞八丁)は和歌山、三重、奈良の3県にまたがる大渓谷で、国の特別名勝・天然記念物に指定されている。多数の要因が重なって昨年からウオータージェット船の運航が休止となったが、(一財)熊野川町ふれあい公社が川舟を利用して運航をスタートさせた。
熊野川町玉置口から乗船した参加者たちは、往復約6㌔、約40分のルートで、切り立った渓谷や巨岩・奇岩が織り成す風景を巡った。途中、奥まった谷の隙間へ入る趣向もあり、約7000万年前に堆積した地層がマグマの熱変性や水の浸食を受けて形作られた雄大な自然を堪能した。
仲岡久子さん(89)は「以前に瀞峡へ行ったのはもう10年以上前。近くの有名な場所というのは意外と行かないもので、いい機会になりました」と話す。参加者からは「乗るまでは少し不安もあったが、川の上は気持ちが良かった」「また来たい」などの声があった。
船頭によれば、これまでにサロンで団体参加があったのは熊野川町の2件のみで「ぜひご乗船を」と呼びかけている。料金、運航に関する問い合わせは熊野川川舟センター(電話0735・44・0987)で受け付けているという。
(2022年6月5日付紙面より)
地元出身者らで会発足
御浜町下市木で明治時代から織られてきた「市木木綿」の魅力を発信し、次世代につないでいこうと「市木木綿を未来へ紡ぐ会」が発足した。唯一の織元、向井浩高さん(53)=熊野市木本町=の活動を支えるため御浜町出身・在住者ら約15人が力を合わせる。
市木木綿は旧市木村で農業の副業として発展し、最盛期の明治中期には45軒ほどの織元があった。1本だけの単糸で織るため、通気性が良く、柔らかな風合いに仕上がる。レトロでカラフルなしま模様も特徴の一つだ。
向井さんは友人の父親で最後の職人の大畑弘さんから技術を継ぎ、2004年から布団店を営む家業の傍ら、生地を織り続けている。当時から大畑さんの工場を借りていたが、明け渡すことになり、和菓子屋だった木造2階建ての空き家に移転することに。布団店と自宅のある熊野市に移せば便利になるが、発祥の地である市木で織るからこそ意義があると考え、8カ月ほどかけて移転先を探した。
作業場だけでなく、展示やワークショップのためのスペースも設け、市木木綿の魅力を伝えながら次の世代に残していける場所をつくりたいと考えている。将来、後継者候補が現れた際には無償で譲渡したいという。機械の移動などを始めたが、一部改装を行うため、引っ越しの完了時期は決まっていない。
紡ぐ会ではメンバーの提案を受け6月1日から7月20日(水)まで、土地建物の購入費の一部などに充てるためのクラウドファンディング(ネットを通して賛同者から少額ずつ資金の支援を受けること)を始めた。
向井さんは「市木木綿に出会ったとき、大正にタイムスリップしたかのような衝撃があった。文化も含めてこの技術を残していきたい」と語る。会に参加する一般社団法人ツーリズムみはま(御浜町阿田和)の辻本安芸さんは「資金を集めるだけのクラウドファンディングでなく、地元の人に知ってもらいたいという意味もある。たくさんの人に市木木綿の魅力に触れてもらいたい」と熱意を込める。
支援について詳しくは「市木木綿 レディーフォー」でネット検索かサイト(https://readyfor.jp/projects/ichigimomen2022)まで。
(2022年6月5日付紙面より)