田岡実千年さん3選果たす (新宮市長選 )
任期満了に伴う新宮市長選の投開票が22日にあり、無所属で現職の田岡実千年さん(56)=自民・公明推薦=が前市議会議員との一騎打ちを制し、新宮市では約46年ぶりの3選を果たした。田岡さんは、勝利を祝うため選挙事務所に集まった大勢の支持者たちを前に「市民の声を裏切ることなく、渾身の力で新宮市政を頑張っていきます」と固く誓った。
超大型の台風21号の影響で、熊野川町内の国道168号で冠水や土砂崩れが発生。同町からの投票箱が開票作業場の市立総合体育館に届かず、午後8時20分から予定していた開票作業は約3時間遅れの午後11時30分から始まった。
投票日当日は台風の影響を受けることが予想されたことから田岡さんの陣営は、JR新宮駅前に設置していた選挙事務所をアーケード内にある仲之町サンタウンホールに移し、勝利の一報を待った。当確の情報が翌23日午前1時30分に事務所に入ると集まっていた支持者たちから「よかった」との喜ぶ声と拍手がわき起こった。
市役所に設置された災害対策本部から選挙事務所に車で駆け付けた田岡さんは、集まった支持者たちと抱き合い、がっちりと握手。勝利の万歳は市内で被害があったため自粛し、しらばく仲間たちと当選の喜びを分かち合った後、すぐに災害対策本部へ戻った。
田岡さんは集まった大勢の支持者を前に「深夜にもかかわらず、このように多くの支援者の方々にお集まりいただき、ありがとうございます。今回の7日間の選挙戦は雨ばかりで運動員の皆さんに苦労をおかけしました。そんな中、皆さん一人一人が自分のこと以上に『田岡を頼む』『田岡をよろしく』と真剣に訴えていただいたおかげで、この勝利があると思います。本当にありがとうございます」
「皆さんからいただいた『田岡頑張れ』という本当の真心をどうやって返していくかと考えましたが、新宮市をしっかりと魅力的なまち、誰もが『新宮市に住んで良かった』と新宮市を自慢できるようなまちづくりをしていくことが皆さんに対する恩返しだと思います。4年間一生懸命頑張りたいと思います。『市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまち』が私のまちづくりの青写真ですが、これを本物にしていくため、しっかりと渾身の力で仕事をしてまいります。引き続き、皆さまには田岡にご支援をいただくこと、あらためてお願いしたいと思います。田岡実千年、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」と深く頭を下げた。
後援会の前田徳男会長(73)は「皆さんの支えがあってはじめて田岡が、3期目というものに風穴をあけました。この期待に応えるよう田岡もしっかり頑張るつもりでございますので、今後ともよろしくお願いします」
後援会の泉巌幹事長(58)は「この勝利は市長を応援してくれた人たちの新宮人としての誇りとプライドの結果だと思います。投票日までの残り2日間は一段と雨が厳しい中、一段と多くの人に集まっていただき、約50年ぶりの3選を果たすことができました。本当にありがとうございました。自分たちの後援会の『当選させれば市役所に預けるだけ』という基本に基づいて、後は田岡市長に、市職員の皆さんと一緒に、みんなが喜ぶ新宮市をつくってもらいたい」
娘の里野さん(27)と美季さん(24)は「お父さん、おめでとう」と花束を贈呈。妻・さゆりさん(55)は「3選の壁は怖かったです。ハラハラドキドキでした。本当に心から応援してくれた方々のおかげです」と涙を流した。
今月16日から21日までの6日間実施された期日前投票の投票者数は1万490人(男4393人、女6097人)だった。前回の市長選(2013年10月)より3727人多かった。
投票日当日は台風が接近するとの情報があり、期日前投票は大幅に増えたものの投票日の投票者は6404人と伸びず、投票率は過去最低の68・62%だった。
(2017年10月24日付紙面より)
台風21号、熊野川で土砂崩れ (開票作業3時間遅れる )
台風21号は22日午後11時ごろ、紀伊半島に最接近し、熊野地方では暴風が吹き荒れ、激しい雨が降った。21日の降り始めからの雨量が新宮市で900㍉を超えるなど記録的な大雨となった。
選挙にも影響が出た。新宮市では熊野川地域の道路冠水のため、市長選、衆院選などの投票箱が届かず、開票が約3時間10分と大幅に遅れた。熊野川地域で山間部からの増水により道路が冠水。8カ所の投票所の投票箱が開票予定の午後8時20分までに市内の市立総合体育館まで届かなかった。午後9時ごろ同市熊野川町田長地区の国道168号で土砂崩れが発生したため、三重県内の国道311号を経由して、投票箱を運んだ。同11時30分に開票作業が始まり、終了は23日午前2時50分になった。
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■新宮市
新宮市の高田地区では23日午前6時時点の累積雨量が960㍉、三輪崎地区で919㍉を観測した。22日午後7時49分に市田川の氾濫が憂慮されたため、旧市内に避難指示が出された。市防災対策課で現在被害状況を調査中。市田川沿線の王子、熊野地地区で多数の浸水が確認され、他の地区など市内の広い範囲で被害が出ている。三佐木蜂伏地区では断水があった。23日午前11時現在、人的被害は体調不良による救急搬送が1件。
熊野川町日足、熊城、志古、宮井、相須地区では22日午後11時2分に熊野川の水位が上昇し、氾濫の恐れが出たため、避難指示が出された。熊野川町田長、行政局周辺で崩土、相賀で路面決壊が確認されている。
市が設けた29カ所の避難所には午後11時時点で440人が避難し、不安な夜を過ごした。
市総務課の防災担当職員は「被害数が多く、時間がかかると思う。今回は降り始めから短時間でかなりの雨量が続いた。あけぼのの市田川の排水ポンプをフル稼働し、氾濫には至らなかったが、ギリギリまで水が上がってきた。50年に1度の大雨と言われたように、これまでに無かったような雨。今後も訓練を充実しながら対応できるよう研さんを積みたい」と話していた。
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■那智勝浦町
那智勝浦町では22日午後6時に那智山、市野々、井関、川関、天満中村の那智川流域5地区と天満地区薬師谷、太田地区全域に避難勧告を発令。対象は2027世帯4037人に上った。
午後8時35分には下里、八尺鏡野、高芝の673世帯、1424人、太田地区の564世帯、1059人に避難指示が出された。
午後8時ごろに朝日の町道が陥没した。原因は不明で現在復旧作業に取りかかっている。23日午前1時ごろに川関で土砂崩れが確認された。いざかた通り一帯やゆかし潟前、甫子(ほこ)浦など町内の多くで冠水の被害が出た。
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■太地町
太地町では落石により片側通行の箇所がある。水ノ浦地区、新屋敷地区で冠水。町内で床上浸水1軒、床下浸水1軒の被害が出ている。町役場では調査を続けている。
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■串本町、古座川町
古座川町では高瀬地区で住宅浸水が4軒、月の瀬地区で1軒となっており、その他の地域は現在調査中。串本町では有田上で床上浸水が確認された。22日午後11時10分に潮岬で最大瞬間風速33・7㍍を記録した。
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■通行規制
国道168号線、新宮市磐盾~同市熊野川町宮井大橋間は22日午後8時30分から冠水、崩土のため全面通行止めとなっている。迂回(うかい)路はない。
北山村大沼地内の国道169号では23日午前1時10分から路側決壊により通行止め。迂回路はなし。
那智勝浦町川関地内の県道那智山勝浦線では23日午前1時30分から、崩土、落石により通行止めとなっていた。同日午前7時40分から片側通行を開始している。
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■きのくに線で運転取りやめ
JRきのくに線では23日、始発列車から夕方まで運転を取りやめている。新宮駅~串本駅間は線路設備不具合のため、終日運転を見合わせる。被害状況により運転取りやめが継続する場合がある。
(2017年10月24日付紙面より)
出雲地区と合同で防災訓練 (出雲小 )
串本町立出雲小学校(山路和彦校長、児童20人)と出雲地区(濵口智道代表区長)の合同防災訓練「防災ウオークラリー」が20日、出雲集会所を拠点にしてあり、全校児童と区民約20人が、地区内の低地から高台につながる道を確かめた。
津波避難を前提とした訓練に同校はかねて取り組み、大地震後に高台へ避難する意識を高めてきたが、その内容は区民にとっても同じく大切。共育コミュニティー活動の活発化に伴い、半田瑠美子共育コーディネーターを仲介として学校と地区が結びつき、前年度から合同実施するようになった。
前回は起震車による大きな揺れの体験、津波緊急避難路の確認、避難所設営の3項目を体験し、発災から避難所生活までのイメージを考えた。今回は津波から逃げ切る点に重点を置いて「防災ウオークラリー」を計画。児童と区民がチームを組んで、低地と高台を結ぶルートを舞台に競い合う内容で区民に参加を呼び掛けたという。
当日は区民約20人が参加。濵口代表区長に続いてあいさつした山路校長は児童が▽避難場所を知る▽非常食を知る▽区民とのふれあいを広げる―といった目当てを持って臨むことを伝えて協力を求め、森博司地域共育統括コーディネーターのルール説明を経て同ラリーを開始した。
区民のラリー参加は任意。希望者は5チームのいずれかに加わり、「コマ図」を頼りにして設定されたコース(集会所~県営前~旧小学校前~墓所前~渡船前~集会所)を予測して歩いた。途中には五つのチェックポイントがあり、海抜43㍍の旧小学校前のポイントでは「現在の場所に移ったのは何年前?」という課題に挑戦。他にコース沿いの植物5種類の葉の採集など、児童と区民が話題にできる出題をこなしながらゴールを目指した。
5チームが到着後は表彰もあり、上位チームには景品、全員に参加賞が贈られた。ラリー非参加の区民は地区と防災懇談会を実施。表彰後は役場総務課防災防犯グループ提供の災害時用備蓄食(アルファ米)や懇談会参加者らが炊き出したみそ汁を試食。同グループは併せてパーティーションや簡易トイレ、簡易ベッドの設営や映像教材上映といった諸体験も行った。
6年生の浦地葵さんは「今日のコースは今まで歩いたことがなく、先にはいろいろな場所があって自然もいっぱいあるのが分かった。いざという時に逃げ切る自信が増した」とコメント。
濵口区長は「いつもの低地は見て分かるように目の前が海。大きな地震があったらとにかく高い所へ逃げるしかない。そのことだけをとにかく考えてほしい」と期待した。同地区は29日(日)実施の町内一斉津波避難訓練に参加予定。今回の成果発揮を参加した区民に呼び掛けていた。
(2017年10月24日付紙面より)
LC杯東牟婁地方少女バレーボール大会
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭」が15日、午前に行われた「本殿大前ノ儀」で幕を開けた。
大勢の氏子らが参列。雨が降るあいにくの天候の中、日曜日ということもあり大勢の観光客に見守られながら、上野宮司が祝詞を奏上し、4人のみこが世界遺産登録記念御神楽の「神なぎの舞」を奉奏した。弓矢八幡(白浜町)の鎮魂放生会による神楽の奉納も行われた。
午後からは、速玉宮の祭礼で主神の速玉大神(はやたまのおおかみ)の神霊が神馬で渡る特殊神事の神馬(しんめ)渡御式が営まれた。
御霊を上野宮司が懐に抱き、弓、剣などの神宝を手にした神職や神子、稚児らとともに阿須賀神社へと向かった。阿須賀神社での神事後、御霊を神馬に奉安して速玉大社へと還御。本殿に奉安して神事が行われた後、再び神霊を神馬へと遷(うつ)し、御旅所へと渡御した。
熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所では、「杉ノ仮宮」に神霊が遷されると、神子が「鈴剣の舞」を舞って神霊を鎮めた後、掛魚(かけうお)や「オミタマ」という特別な神饌(しんせん)などが供えられ、赤々と燃え盛るたいまつの明かりを受けて、上野宮司が祝詞を奏上。神恩感謝、皇室、国家の安泰と世界平和への祈りがささげられた。
今年の神子は、紀宝町立井田小学校6年の大江歩心(あこ)さん(12)と森倉みのりさん(11)が務めた。
(2017年10月17日付紙面より)
会場や内容変更し開催 (新宮秋まつり )
新宮市の駅前広場と中央通りで15日、「新宮秋まつり」が開催された。参加団体は雨の中、熱気あふれる創作踊りを披露した。同日開催予定だったお祭り新宮節、熊野速玉大社での子どもみこしや手踊り、新町一丁目会場での創作踊りは雨天のため中止。プログラムも一部変更しての実施となった。
新宮秋まつりは、市、新宮商工会議所、市観光協会でつくる実行委員会が主催。熊野速玉大社例大祭を盛り上げる目的で始まった商工祭を前身として、20年以上続く催し。
昼の部は新宮駅前広場、夜には中央通りで華やかな踊りが披露され、通りには雨の中多くの見物人が訪れた。各団体の踊り子が入り混じった総踊りもありにぎわった。
(2017年10月17日付紙面より)
ジュニア駅伝串本町チーム
和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会に向けて14日、串本町チームの合同練習が同町サンゴ台にある総合運動公園で始まった。同日現在、小学5年生~中学3年生26人が選手候補として参加。久保浩子監督ら指導の下、週1回の同練習や週5回の自主練習、町内近隣の長距離走大会出場や大会コース試走などの経験を積んで出場を目指すという。
この大会は、青少年のスポーツ振興と健全育成、青少年の目標達成のための地域活性化を図る目的で年1回(2月の第3日曜日)、紀三井寺公園~県庁間10区21・1㌔コースを設定し、市町村ごとに小学5年生~中学3年生で結成したチームを参加対象にして実施。1市町村あたり1チーム(通称・選抜チーム)を順位認定対象とし、2チーム目以降はオープン扱いで記録計測のみ行う仕組みになっている。
串本町チームは近年、選抜とオープンの2チームを結成して出場。前年度の選抜チームは歴代最高となる記録1時間12分45秒で8位に入賞し、オープンチームも歴代記録をさらに縮める成績を収めて町域に大きな喜びをもたらした。同時に県内町勢の筆頭になり、選手層が厚く上位入賞の常連になっている市勢をいかに上回るかが今後の挑戦における大きな関心事になっている。
本年度の合同練習は、これまでより1カ月早いタイミングで開始。久保監督がかねて希望してきた前倒しで、より高いチームワークの醸成が狙いだという。
旧来は11月下旬に合同練習を始めていたが、間もなく度胸づけのために取り入れている町内近隣の長距離走大会出場のシーズンを迎えてしまう。今回はその前にしっかりと醸成を図るとし、継続参加を目指す選手候補が年間を通して自主的に練習に励んでいることから前倒しは可能、とチームを支える同大会串本町実行委員会も判断したことで実現した。
合同練習の開始にあたり、副団長候補の潮﨑伸彦教育長がチームを激励。久保監督は「前回よりさらに1秒短縮」を全体目標として位置づけ、そのためにどう頑張るかを選手候補個々に発表させて指導を始めた。この日は▽ウオーミングアップ(1200㍍ランニング)▽フォームトレーニング▽1000㍍記録計測▽クールダウン―に取り組み、久保監督の采配で山本人和君(串本中3年)を男子キャプテン、濱中凜さん(潮岬中3年)を女子キャプテンに指名するなどした。
本年度は将来の選手を目指す小学4年生以下の参加も受け入れ。同実行委員会事務局によると選手候補は今後も数の増減が見込まれるなど流動的なため、来年1月末ごろの結団時に選手を確定するとしている。
(2017年10月17日付紙面より)
東牟婁地方中学校新人大会野球大会
新宮市民スポ祭グラウンドゴルフ大会
新宮市民スポーツ祭典弓道競技の部
ティム・デットマーさん講演 (新宮市 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)主催の講演会が8日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であり、市内で英会話教室を営むティム・デットマーさん(57)が「新宮生活30年を振り返って~これからの熊野~」をテーマに熊野で暮らすようになった経緯や魅力について語った。
アメリカ・ワシントン州シアトルで生まれたティムは、1984年に合気道を学ぶため来日し、新宮の熊野塾道場に入門した。初来日した時は地平線まで建物しか見えない東京の風景にとまどったが、熊野に入り、ふるさとへ帰ってきた感覚があった。初めて食べたサンマの丸干しがおいしく、一気に3本を完食。今では新宮を訪れる外国人たちの橋渡し役として活躍している。
2017年に和歌山県の「高野・熊野特区通訳案内士」資格を取得。外国人のためのガイドブック作りに協力するようになってから熊野古道に興味を持つようになり、日本人には当たり前の単語や熊野信仰を分かりやすく紹介している。古道を歩く外国人ライターが自信を持って世界に発信できるよう、外国語看板の充実を訴えた。
熊野信仰を学ぶ中で、合気道の引土道雄先生の言葉「熊野では技ばかりではなく、合気道の心を持って帰ってほしい」の意味が分かり、「合気道は熊野信仰の結晶」と考えるようになった。
来日当初は「日本でもアメリカでも外国人」と居心地が悪かったが、新宮生活7年で、二つの文化に対応できるようになった。文化の違う国での暮らしは人間の成長を促すと、現在は若者たちのホームステイも支援している。
(2017年10月11日付紙面より)
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)の例大祭が7日に宵宮、8日に本宮の日程で営まれた。宵宮では、顔に化粧した若者らが大小の樽を担ぐ「樽神輿(たるみこし)」が町内を威勢良く練り歩いた。
樽神輿は、江戸時代初期に新宮市の阿須賀神社から分霊を受け、樽に入れて運んだ故事に由来する。年ごとに寄水方面、東新方面に渡御する習わしがあり、今年は東新方面へ向かった。
宵宮は午後7時30分から始まり、太地水産協同組合で神事を営んだ後、参列者の行列が出発した。これに小樽神輿、大樽神輿の順で続き、寄水青年同志会と東新青年同志会の会員らが道中の店舗で商売繁盛を願って神輿を担ぎ上げた。海中みそぎでは樽神輿とともに若者が次々と太地湾に飛び込んだ。
本宮では、午前9時から氏子代表の供進使を先頭に、祭員らの列が町内を巡った。行列が神社に到着した後、神事を営み、両青年同志会が獅子舞を奉納した。
正午には道の駅たいじで屋固めが行われ、寄水青年同志会が来町者らに獅子舞の全芸を披露した。
(2017年10月11日付紙面より)
樫野雷公神社例祭宵宮 (串本町 )
串本町樫野にある雷公神社(深美芳治宮司)の例祭が8日に宵宮、9日に本祭を迎えた。宵宮は樫野祭典部(池本寿祭典委員長)による獅子舞奉納や伝統の参拝「走り参り」といった幻想的な奉仕が重ねられた。
この神社は、古く須江に鎮座していた神体が荒天で樫野の集落下にある雷公の浜に流れ着き、やや高台になる現在の場所に祭られたことに由来する。「走り参り」は、神体の漂着に気づいた寺の住職がたいまつを掲げて迎えた故事にちなむ慣習で、現在は樫野祭典部や応援参加している航空自衛隊串本分屯基地の若手らが参拝者となり伝統を守っている。
宵宮は午後7時に宵宮祭があり、同部は獅子舞を奉納。幣の舞、乱獅子、剣の舞、幣の舞の四つを納め、「走り参り」に備えて宿へ戻った。近年は午後9時に迎え火役が宮を出る流れが定着していて、今年は岩谷翔馬君(17)が長さ約4㍍の裂いたタケ十数本を束ねたたいまつの先に神火をいただいて出御した。
その先で同様のたいまつに分け火をいただいた参加者約30人は、小走りで火を振りかざし「参るぞ」と声を上げて宮登りし、深美宮司の祈とうや神酒の授与を受け本殿、八幡神社、蛭子神社を参拝。再びたいまつを持ち「参ったぞ」と声を上げて集落へ戻った。参拝後のたいまつは火災守護の利益があるとされ、後に束をほどいて希望者に小分けするという。
翌9日午前は大前の儀や獅子舞奉納などがあり、同部は正午ごろに集会所で餅まきもして祝うなどした。「とても緊張しているけど、ケガなく務めたい」と意気込んで出御した岩谷君はたいまつを使い切って大役を全う。池本祭典委員長は「秋祭りなのでまずは果物などの豊作を願う」など地場産業の隆盛を願って奉仕を積み重ねた。
(2017年10月11日付紙面より)
那智勝浦町総体バド大会
東牟婁地方中体連サッカー新人大会
塩竃神社で秋の例大祭 (那智勝浦町浦神 )
那智勝浦町浦神の塩竃(しおがま)神社(井谷正守宮司)で7日、秋の例大祭が営まれた。境内では勇義社(畑下昭一社長)が伝統の獅子舞を奉納し、豊漁や家内安全などを祈願した。
祭りは160年以上の歴史を持ち、東地区から西地区へ獅子屋台を船で運ぶ習わしがある。獅子舞は12の舞があり、中でも「とび天狗(てんぐ)」は浦神の大きな特徴とされている。昭和43年から途絶えていたが、畑下圭喜祭典部長らが中心となって平成8年に復活した。
この日は波の影響から、陸路で獅子屋台を運んだ。神社周辺では地元の女性で結成された「祭り盛り上げ隊」によるバザーが設けられ、参拝者にうどんや焼き鳥などを振る舞った。
父が笛、弟が天狗役だという獅子舞役の小川裕斗君(中3)は「獅子舞は3年目。獅子を回すのに憧れて始めました。最初は鈴が重くて大変でしたが、うまくなったと思います。今も難しいと感じるのは獅子の頭をかんで支えることです。舞は緊張もしますが、楽しさのほうが大きいです」と話した。
(2017年10月8日付紙面より)
城南中学校で学年懇談会 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長)は4日~6日、学年ごとに育友会懇談会を開いた。保護者らは担当の教職員から子どもたちの学校生活の説明を受け、情報を交換、共有した。
保護者と教職員が互いに理解を図る目的で、2014年から各学期で実施している。最終日の6日には3学年の懇談会があった。保護者、教職員ら約20人が参加し、職場体験や校内キャンプでの生徒らの様子を収めた映像を視聴した。担当の職員から学年の様子や進路について説明を受け、みんなで生徒らに関して話し合った。
学年部長の巽式子さんは「スライドを見ていると子どもの成長を感じます。今日の映像は子どもたちが作ったということで、だんだん大人になってきたなと思いました。意見交換ができることはありがたいです」と話していた。
(2017年10月8日付紙面より)
N高校生6人が熊野川体感塾で体験 (紀宝町 )
角川ドワンゴ学園=沖縄県つるま市=運営のN高等学校職場体験開校式が2日、紀宝町役場であった。昨年に続き2度目。男女各3人計6人の生徒が6日まで、主に同町北桧杖の熊野川体感塾で谷上嘉一塾長から熊野川と川舟の歴史を学び、川舟の櫂(かい)制作にも取り組んだ。
同町では地域創生事業の一環として、県内外の学生をインターンシップ生として受け入れている。
N高校は昨年4月に開講した通信制高校。東京代々木や大阪心斎橋など6カ所に通学コースを設けている。
役場での開校式で、生徒たちは「歴史のロマンを伝えたい」「船が好き」「体験の英語での情報発信に興味」など志望動機を語り、男子生徒の屋根にタッチするジャンプ力や女子生徒の歌、逆立ちなど特技を披露して和やかな雰囲気に。西田健町長は「本町もみんなで考え、まちづくりを進めている。体験が新しい考え方のきっかけになり、この町で頑張る気持ちになってもらえれば」と期待した。
谷上塾長は「ハードな作業だが、青春の思い出になれば」と歓迎。生徒たちは町内で民泊し、5日に学習成果をインターネットに英語で投稿。6日には同町役場で修了式を行った。
(2017年10月8日付紙面より)
まぐろ祭り実行委員会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の冬の一大イベント「第24回まぐろ祭り」(実行委員長・花井啓州観光協会会長)の実行委員会が5日、同町役場で開かれ、来年の開催は1月27日(土)に決まった。同委員会でイベントのプログラムなどを話し合った後、原画選考会でPR用チラシの原案を選んだ。
応募者の年齢層は9歳から82歳と幅広く、全国から集まった172点を花井実行委員長らが審査。優秀賞には福井県の神門絹代(こうど・きぬよ)さんの作品が選ばれた。福島県会津若松市の市立一箕(いっき)中学校からは130点の応募があった。同市の小中学校からは、毎年作品が送られてくるという。
優秀賞のほかに実行委員長賞1点、佳作3点が選ばれた。優秀作を表紙に、裏面にプログラムを入れて1万2000枚を印刷し全国へPRしていく。
(2017年10月8日付紙面より)