神倉小運営協議会が文科大臣表彰 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校の運営協議会(下岡輝子会長)がこのほど、令和2年度「地域学校協働活動」推進に係る文部科学大臣表彰を受賞した。25日に文部科学省旧文部省庁舎講堂(東京都千代田区)で開催された表彰式にオンラインで出席。下岡会長は表彰状を手に「関わっていただいた皆さんのおかげ」と喜びを語った。
文科省では、公民館および地域学校協働活動のうち、特に事業内容・方法などが他の模範と認められるものに対し、「優良公民館表彰」と「『地域学校協働活動』推進に係る文部科学大臣表彰」を行っている。
本年度の文部科学大臣表彰被表彰活動は、同協議会を含めて全国で111活動。同協議会は学年の発達段階に応じ地域の文化を推進する取り組みを実施していることなどが評価された。
子どもたちに市の歴史や文化を学び愛着を持ってもらおうと、2019(平成31)年2月の「御燈祭(おとうまつ)りの授業」を皮切りに「ヤタガラス子ども未来プロジェクト~ふるさとの未来を託せる子どもの育成~」をスタートさせた同協議会。
以降も「ふるさとへの思いの醸成」と「コミュニケーション能力の向上」の二つを目標に定め、保護者OBやボランティア有志、教職員らの協力のもと、郷土の文化や歴史について子どもたちが学びを深めるための活動を実施。これまで▽仲之町商店街を知ろう▽たいまつ・わらじ作り▽地元の伝説を学ぶフィールドワーク―などのサポートを展開してきた。
下岡会長、大田講平・石原貞代両副会長は26日、市役所を訪れ田岡実千年市長に受賞を報告。「あくまでも通過点。これからも継続して取り組みを進めていきたい」と口をそろえた。
田岡市長は「地域の歴史や文化を肌で感じることができる素晴らしい取り組み」と活動をたたえ、「GIGAスクール構想などITが進む中でも、基本的に大事なのは生きていく力。困難な中にあっても元気に頑張れる力の醸成にも寄与しているのでは」。
同校の藪中秀樹校長は「学校だけでは手が回らない。協議会をはじめとした皆さんの協力を得て、同じ方向に向かって活動ができている」と感謝を示した。
(2021年2月28日付紙面より)
警察署協議会定例会議 (新宮警察署 )
本年度1回目となる令和2年度新宮警察署協議会定例会議が25日、同署で開かれた。𦚰口光太郎会長ら委員が出席。令和2年度の総括と3年度の取り組み方針を聞き意見交換をした。
警察署協議会は管轄区域内の地域安全や警察署の業務運営について住民の声を代表する委員から意見を聞き、より良い運営を検討する機関。県内14署に設置されている。
𦚰口会長は署員への敬意を示し、昨年10月に開催された「和歌山県・警察署協議会・代表者会議」に出席したことを報告。
コロナ禍で開催が困難な状況において、当会議も本年度最初で最後となったことに触れ「有意義な会議にしたいと思っている。委員の意見を参考に、引き続き管内住民の安心安全のために活動を」と呼び掛けた。
小畑博昭署長は、昨年の県内の治安情勢について、刑法犯認知件数は3899件で前年比マイナス464件と大幅に減少し、人身交通事故は1585件で前年比マイナス274件と、ともに2002(平成14)年から19年連続で減少していると説明。
死亡事故に関しては18件(前年比マイナス15件)で、全国的に見ても鳥取県(17件)に次ぐ2番目に低い数字であることを紹介し「当署でも管内に応じた取り組みを推進し、交通死亡事故や特殊詐欺事件の発生をゼロに抑えることができた。県警の大きな目標に貢献できたと感じている」。
現在の状況については「昨年はコロナの影響で警察活動も制限され、行事や啓発活動などが延期・中止となった。現在も終息が見えず、社会情勢も急変している。適切に警察業務を推進していく上で新たな課題も生じている」と述べ、さらなる協力を求めた。
(2021年2月28日付紙面より)
広域市町村集まり会議 (新宮・東牟婁 )
新宮広域圏公設地方卸売市場の管理運営を行う新宮周辺広域市町村圏事務組合議会(議長・堀順一郎那智勝浦町長)はこのほど、新宮市広域圏地方卸売市場で令和3年第1回定例会を開いた。そのほか、東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合と紀南学園事務組合の議会が開かれ一般会計補正予算や一般会計予算、特別会計予算などが議論された。
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事務局は2020(令和2)年度の青果物の取扱量について、1527㌧(昨年対比3・4%減、54㌧減)で、取扱高が5億7134万9000円(5・7%増、3088万1000円増)と報告した。青果物の8月以降の状況については、昨年取引が縮小傾向となり課題であった量販店や大手スーパーについては営業努力や充実した内容によって取引増につながったと説明。売り上げが上がった要因として「巣ごもり消費」「猛暑や大雨などの天候の影響から作物が品薄になり、相場高で推移したこと」と述べた。
那智勝浦町産の「くろしおイチゴ」が昨年より1カ月早く出荷されたことや順調な入荷により、果実の取扱高は昨年を大きく上回った。
水産物については、海水温の関係から旬の魚の入荷が少なく、鮮魚は昨年対比で毎月売り上げを落とす状況と報告。新型コロナウイルスによって飲食店や宿泊施設の利用客が減り、小売店との取引が減少しているとした。
コロナによる生鮮食料品への影響から取扱高の低迷も予想されるが、じゃばらいずや関係機関と協力し、インターネットを活用した場外取引の推進に取り組んでいると話した。
事務局は▽人口減少に伴う個人消費の減少▽市場外流通の拡大による取扱高の減少▽開設35年を迎えた同市場の老朽化対策―などを挙げ、市場の機能を担う卸売業者の経営も厳しくなっていると主張。
同市場が安定的な経営のための戦略の策定が必要とし、経営状況の把握・分析を行い、財政計画を中心とした国が求める経営戦略を作成したとし、計画期間は令和3年度から12年度の10カ年であると述べた。
令和3年度の一般会計予算は前年度より26万2000円減の632万円を計上、全ての議案が可決された。
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公文書の開示に関する条例の制定の議案では、議員から制定理由が問われた。事務局はこれまで制定していなかったことや、関係市町村の住民から職員数などについて3件の請求があったためと答弁した。
経営状況について事務局は、独立採算が難しい状況にあると説明。2018(平成30)年度と比較し、収入増となったが、これまで以上に収入増に努力しながら、コスト削減に取り組んでいくと報告した。
経営の基本方針として、今後は人件費を含めた抜本的な経営改善に取り組み、社会福祉事業に求められる安定的な継続性の担保とサービスの質の向上を目指し、利用者により一層の安心・安全なサービス提供を行っていくとした。
今後の目標としては▽職員の給与費削減▽委託費の見直しを図る▽運営費用削減を行う―ことで収支ギャップの改善を図り、黒字化を目指していくと説明。
令和3年度の一般会計予算は1723万9000円減の4億8136万9000円を計上し、可決された。
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管理者の田岡実千年新宮市長はコロナの影響で児童・生徒が学園屋内で過ごす時間が多くなっていることや、多額の寄付金、食材、家電製品などの寄付があったと説明。
令和2年度から設計を進めている園舎の改築については、令和5年度の完成を目指していることが報告された。
一般会計予算は3004万4000円減の1億1962万1000円を計上。全議案が可決された。
(2021年2月28日付紙面より)
男性限定交流会に23人 (紀宝町 )
紀宝町ボランティア・市民活動センター(神園敏昭運営委員長)による男性限定交流会が25日、町福祉センターであった。「mottoひょうご」事務局長の栗木剛さんがオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って兵庫県から生中継で講演し、男性ボランティアのきっかけづくりを伝えた。
ボランティア活動の地域デビューを応援する企画。町内外のボランティアグループなどに所属する23人が参加し、町内二つのボランティア団体が活動紹介した。
約20年前から児童生徒の見守り活動を続けている「神内こども見守りサポーター」の登立節雄さんは「10人ほどで登校時の児童生徒の見守りをしている。児童と一緒に歩いて見守りしている人もいて、ボランティアとして無理せず続けている」。
料理教室とおもちゃ病院の活動をする男流ボランティア「ダンボ」の石井基視さんは「料理は毎回おいしい。おもちゃ病院は電気のプロが3人いて、子どもたちの喜ぶ姿を励みに頑張っている」と話した。
「ボランティアを通じたセカンドライフの過ごし方」をテーマに栗木さんは「定年後の悠々自適生活は30年前の話で、今は人生100年時代。セカンドライフを充実させることは、自身や地域のためになる。男性をボランティアに巻き込んでいくことが重要になる」と話した。
男性をボランティアに誘う際は「家を出る・出会う・話す」から始め、選択肢の一つとしてボランティアがあることを伝えてほしいとし、「好きなことから取り組もう」とハードルを下げて誘うことが必要とした。
「趣味からボランティアに発展することで『生きがい』になる。セカンドライフは第二の人生ではなく、第二の路線。皆さんが仲間を増やす種まきをしましょう」と呼び掛けた。
参加者は四つのグループで活動を紹介し、「誘われて楽しかったら続けてくれると思う」「男性はシャイなので、新しい世界に飛び込むことは難しい。趣味を生かしたボランティアならいいのでは」「男性の特技を生かせる仕組みづくりが必要」などと発表した。
(2021年2月28日付紙面より)
4月17日(土)に那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で開催する「さわかみオペラin南紀勝浦生まぐろ市場コンサート」に向けての記者会見が24日、同町役場で開かれた。公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団代表理事の澤上篤人さんと統括責任者の山田純さんがオンラインで出席し、国内外でも珍しいとされる市場で行うオペラに至った経緯や本番に向けての抱負を語った。なお、共催する民間で組織された南紀勝浦生まぐろ市場コンサート実行委員会の会長には後誠介さんが選任された。
同財団はさわかみ投信㈱で取締役会長を務める澤上さんが、生活者に身近で芸術性の高いオペラ文化を日本で広め、多くの人々が心のぜいたくを味わい豊かな人生を送ってもらいたいという思いから設立した。
世界トップレベルであるイタリアの有力歌劇場と協力し、日本の世界遺産と文化遺産を舞台にジャパン・オペラ・フェスティヴァルなどを開催。これまでに姫路城や京都国立博物館、平城京、熊本城などで実施してきた。一方で100~500人規模のオペラやクラシック音楽を身近に楽しめる催しを各地で開くなど幅広い活動を展開している。
また、別財団では2009(平成21)年度から企業や労働組合などがCSR(企業の社会的責任)などの一環として、和歌山県内の森林環境保全に取り組む「企業の森」や道普請などにも参加し社会貢献に尽くしている。
堀順一郎町長によると、和歌山県職員時代の堀町長が職務で澤上さんと知り合い、両者間の交流は続いていたという。その後、澤上さんらが来町した際に堀町長が町を案内し、今回のオペラ開催が決定した。オペラは今秋実施の「紀の国わかやま文化祭2021」の応援事業の一つとして開催される。
同オペラには梨谷桃子さん(ソプラノ)、前川健生さん(テノール)、斉木健詞さん(バス)、ピアニストの篠宮久徳さんの4人が出演する。
演目は▽カルメンより「闘牛士の歌」▽ナポリ民謡「オ・ソレ・ミオ」▽早春賦▽花―など。歌詞の意味が分かるように来場客には日本語訳の歌詞が配布され、司会者が詳細を説明する予定だという。
山田さんは「代名詞のマグロに関係する市場はこの町を代表する場所。ここでコンサートができればお客さまも感動してくれるはず」と話した。
澤上さんは「日本でトップレベルの本物のオペラを地域の方々に楽しんでいただきたい。いずれは世界レベルの方々もお呼びしたい」。
活性化については「地元の人々が自分たちで活性化していかなくてはならない。町と日本中のつながりの手助けをしたい」と話した。
堀町長は「本物の芸術を地元の方々に喜んでいただきたい。しっかりと盛り上げ、来年も継続できるようにしたい」と意気込みを語った。
会見後、実行委員会が開かれ、意見交換などが行われた。後会長は「コロナで人々の気持ちが縮こまってしまっている。対策を万全にし、地域に潤いを与えるこういった機会は良いチャレンジだと思う。今後の継続のためにも第1回をしっかりと成功させられるように尽力したい」と思いを述べた。
なお、座席数は300席で先行予約順になる。価格は一般2000円、学生(小学生~高校生)1000円。地元の小中学生など30人の招待も予定しているという。
チケット予約は3月5日(金)から受け付け開始。同財団でも申し込める。引き換えは4月1日(木)から那智勝浦町二河75の町教育委員会で行う。
予約や問い合わせは那智勝浦町教育委員会(電話0735・52・4686)、(公財)さわかみオペラ芸術振興財団(電話0570・023・223)。
(2021年2月26日付紙面より)
えぼし寮で研修会 (美熊野福祉会 )
社会福祉法人美熊野福祉会(森常夫理事長)の指定障害者支援施設杉の郷えぼし寮(上路拓司施設長、新宮市高田)で24日、ハラスメント研修会があった。社労士の南靖司さん(みなみ社会保険労務士事務所)が講師を務め、同福祉会管理職員ら約30人がハラスメントについて意識を新たにした。
開催に当たり、森理事長が「自分たちがハラスメントをよく知らなければならない立場だと理解し、今後の姿勢に生かしてほしい」とあいさつした。
南さんは、セクシュアル・マタニティ・パワーの各ハラスメントについて説明。どういった行為が「セクハラ」に当たるのかなどを解説し▽上司は部下に性的な誘い掛けをしない▽性的話題・ジョークはメンバーと状況を的確に熟慮した上で行う▽セクハラをしたと考えたときは迅速かつ誠実に謝罪する―などをハラスメント加害者にならないためのポイントとして挙げた。
妊娠・出産・子育てに伴う不当な取り扱いや嫌がらせを指す「マタハラ」について、法律や制度の観点から説明。「制度などの利用への嫌がらせ」「状態への嫌がらせ」も多いとし「制度や法律があるということを前提に知っておかなければならない」。
ハラスメントには昔の価値観が横たわっており、時代が変わったことに気付かずに価値観を押し付けることによってハラスメントが生まれると話した。
「パワハラ」と「セクハラ」の違いについて説明し「パワハラは『受けたものの不快感』だけを判断基準にしていない。適切な叱咤(しった)や指導は成長のために必要不可欠」。
職場における「パワハラ」とは「優越的な関係を背景とした言動」であり「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により「労働者の就業環境が害される」もので、これらを全て満たすものとし、「パワハラ」が及ぼす影響についても言及。企業・加害者が負うリスクも過去の裁判を例に紹介した。
「パワハラ」という言葉が強い意味を持ちすぎたために「パワハラとはいえないことでもパワハラと訴える」弊害も発生していると述べ「パワハラは人を陥れたり個人の利益のために利用する言葉ではない。『それはパワハラでない』と理由を説明し指導することが上司の大切な仕事」と呼び掛けた。
(2021年2月26日付紙面より)
渚の会が玉の浦を清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民らで組織する「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員40人)は21日、同町粉白の玉の浦海水浴場で今年初となる清掃活動を行った。子どもを含めた約50人の参加者が海岸の景観美化に努めた。
同会は住民有志が集まり、町内の海などで定期的に清掃活動することで景観や環境を保持し、啓発していくことを目的としている。子どもを含め、家族で環境について意識し、学びを深めるきっかけをつくる狙いもある。和歌山県の清掃活動の促進を目的とした「わかやまごみゼロ活動応援制度」の認定を受けている。
この日の清掃には、同会のほか、植地篤延・粉白区長をはじめとした区民や町職員も参加。海岸のプラスチックごみや流木などを拾い集め、美化活動に汗を流した。
清掃開始に当たり、同会の濵口佳男副会長が「今日は天気も上々で暑いくらいですが、皆さんの協力をお願いします」。会計の藤社和美さんは「海岸の下見に来た時、若い女性が写真を撮っている姿を見た。この美しい景観を保つためにも活動を続けていければ」とそれぞれあいさつした。
参加した堀順一郎町長は同会や町民の美化活動に感謝を示し「町では昨年12月にゼロカーボンシティ宣言もしたが、一人一人が身の回りから自然環境について考え、継続していくという意味でも、同会は献身的に活動してくれている。玉の浦はきれいな浜なので後世に残していきたい」。
猪飼会長は「びっくりするくらい多くの人に集まっていただき感謝。最近、息子が釣りを覚えたが、うれしそうに釣った魚を見せてくれる姿を見て、活動をしていて良かったと感じています」と話していた。
(2021年2月26日付紙面より)
職員対象に手話講座実施 (古座川町 )
古座川町職員を対象にした手話講座が24日に役場本庁であり、西前啓市町長ら14人が受講して聴覚障害者支援の意識を培う機会とした。
同町は県内でも先駆けて2018(平成30)年4月、町独自の手話言語条例を施行。基づく実践を着実に広げる足掛かりとしてまずは町職員から理解を深めていこうと考え、職員研修の位置付けで同講座を計画した。
当日は社会福祉法人美熊野福祉会の大代聖子さんと新宮市聴覚障害者協会の須川陽一さんを講師として迎え、前半は大代さんが世界規模で手話が言語と見なされるようになった根拠や手話言語条例の広まりと主だった合理的配慮事項、新宮・東牟婁6市町村から意思疎通支援事業を受諾する同福祉会ができる支援事項などを説明。後半は須川さんと共に本題の聴覚障害とコミュニケーション方法を紹介するなどした。
大代さんは、聴覚障害には▽音声言語習得前の失聴(ろう者)▽同習得後の失聴(中途失聴者)▽難聴▽盲ろうなど重複聴覚障害―などさまざまな状況があることを伝え、耳の恩恵を振り返って失聴がもたらす状況を職員と一緒に考えた。須川さんはろう者の一人として生い立ちとその時々の感情、具体的にどのような状況で困っているかやその時の心境を伝え、支援の在り方への理解を促した。
聴覚障害者とのコミュニケーション方法には▽口話(相手の唇の動きから会話を読み取る方法)▽筆談▽手話や手話通訳―があり、前述した状況ごとに得意・不得意があることや実践時に留意してほしい事柄も説明。須川さんは感染症予防のための距離を取って構わないのでマスクを外ししっかりと口元を動かして見せてほしいこと、筆談時は簡潔に分かりよく説明し分かったかどうかの確認を必ずしてほしいこと、聴覚障害者と視線を合わせて接してほしいことなどを願い出た。
その他、聴覚障害者向けの公的支援機器や聴覚障害関係の各種マークも情報として紹介。手話の言葉が生活動作から形作られる点に着目し、イメージしやすい範囲で手話による会話を職員に実践してもらい取り組む上での緊張感を解きほぐすなどした。
研修を経て西前町長は、町民に聴覚障害者がいなくても来町することはあり得るとし引き続き対応できる努力を重ねることを期待し、講師2人には今後の登壇を希望。計画した健康福祉課の増山理恵主事は今後も、さらに対象や内容を工夫してこの講座の町独自実施を目指すと意気込んでいる。
(2021年2月26日付紙面より)
県産農産物利用拡大に向け (太地町 )
学校給食へ地場産食材を供給する取り組みが太地町(太地町学校給食推進協議会)でスタートした。17日には町立太地小・中学校で、新宮市産の小松菜などが給食の献立に登場。児童・生徒らは地元産の野菜や魚に舌鼓を打った。
和歌山県では、学校給食献立の早期作成や入札方式導入の働き掛けにより「必ず作ります・売ります・買いますシステム」を確立することで県産野菜などの利用拡大を推進。市町村協議会で学校給食関係者が「購入希望リスト」、生産者が「供給可能リスト」を作成し需要と供給のマッチングを図る。
取り組みは2019(令和元)年に広川町でスタートし、すさみ町、新宮市に続いて県内4地域目。新宮広域圏公設地方卸売市場を核として実施する新宮・東牟婁地域では2地域目となる。
取り組みを進めるに当たり、太地町では1月に町教育委員会、太地小・中学校、新宮周辺地場産青果物対策協議会、県東牟婁振興局農業水産振興課で構成する「太地町学校給食推進協議会」を立ち上げた。太地小・中学校では今後、年に3回ほど地元農水産物を使用した給食が提供される見通しだ。
この日、給食に登場したのは新宮市産小松菜を使った三色ごまあえをはじめ、那智勝浦町太田産の米で炊いたご飯、県産サバのカレー焼き、けんちん煮、牛乳。
太地小学校(宮本礼子校長)では、教諭から「今日の給食には和歌山県の食材がたくさん使われています」と説明を受けた児童たちが、大きな口を開けて地元の味を堪能。長尾彩羽さん(2年)は「野菜も魚もおいしい」と笑顔で話した。
公設市場の出前授業で学びを深めるほか、実際に小松菜や大根を植えて収穫するなどして、普段から野菜に触れる機会を設けている同小学校。取り組みを通して野菜に抵抗がなくなった児童も多いという。
宮本校長は「今日の給食は、いつも以上に食が進んでいるように思います」と話し、児童の給食を見守っていた。
(2021年2月19日付紙面より)
三輪崎小3年生が学習
新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)で16日、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんによる講話があり、3年生60人が昔の市内の風景や人々の暮らしを学んだ。
3年生の社会科では通年で地域学習に取り組んでいるが、教科書の例として紹介されている都市が他府県のため、児童が自身の住む市についてより具体的にイメージできるようにと講話を依頼した。
中瀬古さんは、市の昔と現在の写真を並べ、そこに写った人々の生活を解説。佐野駅近くの踏切を蒸気機関車が走る様子や、三輪崎にある久嶋(孔島)近くに停泊した客船から小舟で運ばれた乗客たちが背負われながら浜に上がる様子を語った。
三輪崎小学校について、「オーストラリアに出稼ぎに行った潜水夫らの寄付によって、和歌山県で初の鉄筋コンクリート校舎として1927(昭和2)年に建設された」と話し、校舎の完成記念として開かれた運動会の写真も見せた。
児童は「全然違う」「山の形は一緒だから同じ場所なのかな」と話しながら写真を見比べ、普段何気なく見ている場所に秘められた歴史に興味を引かれた様子だった。
(2021年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」 ( )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。同大社責任役員の塩﨑巍朗(たかお)さんや献穀講員らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。新型コロナウイルスの早期終息も祈願した。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「那智勝浦町では幸いにも新型コロナは拡大していないが、地域経済は厳しい状況にある」と現状に触れ、同日から医療従事者を対象に始まったワクチン接種に対して「大きな期待をしている」と述べあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2021年2月19日付紙面より)
海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会が18日、稲村(とうそん)亭の民話を原作としたアニメーション作品「お屋敷になったクジラ」の完成を串本町へ報告した。
同実行委員会は、次代を担う子どもへ海を語り継ぐ日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で2018(平成30)年度に発足。以降毎年「海ノ民話のまち」を認定していて、本年度は同町など7自治体を選定し、同町には昨年7月実施の認定証贈呈時に民話アニメの制作と関係フィールドワークへの協力を求めていた。
「お屋敷になったクジラ」は町内にある古民家・稲村亭に伝わる民話の一つ「恩返しの家」を原作とした上映時間5分強の短編作品。同実行委の沼田心之介認定委員長が取締役を務める制作会社「株式会社トマソン」が同町・海ノ民話のまち実行委員会事務局の吉川公一さん(テレビ和歌山東京支社長)の仲介を得ながら制作を進めた。
収束しない新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、東京を拠点とする同プロジェクト実行委員会と同町をウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで完成報告の場を整えた。東京からは同実行委員会の沼田委員長と柴田英知さんや吉川支社長、同町からは田嶋勝正町長や稲村亭を預かる株式会社一樹の蔭の博多敏希代表取締役、制作を支援した南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が出席。作品を鑑賞して、串本儀平が作品に登場するクジラと巨木をモチーフにした和菓子の取り扱いを目指し、同協会が作品視聴QRコード付きPRシールを作成配布するなど、今後の利活用を話し合った。
フィールドワーク(上映会込み)は26日(金)に串本西小学校4~6年生を対象に実施する予定。報告を受けた田嶋町長は「本を読む機会が少ない中、5分間にまとめたアニメを見るのはいいことだと思う。串本は捕鯨で栄えたまちで、地震や飢饉(ききん)もうたわれたこの民話から歴史を知り、次の世代へ受け継いでくれれば」と展望を期待した。
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■「お屋敷になったクジラ」視聴方法
作品「お屋敷になったクジラ」は先行して同協会の公式動画チャンネル「くしもと珍魚ちゃんねる」で同日午後1時から公開を開始。同チャンネルは同協会公式ホームページにあるリンクや前述したコードを使って開くこともできる。
同プロジェクト実行委員会と同町の架け橋となっている株式会社テレビ和歌山は、一連の様子も含めて番組を制作し作品と合わせて3月中の放送を目指すほか、最寄りの道の駅へも上映の相談をする予定という。
(2021年2月19日付紙面より)
宗応寺で「涅槃会」法要 (新宮仏教会 )
釈迦(しゃか)の命日の15日、新宮仏教会(会長=白井清牧・清蔵寺住職、会員13人)は、新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)で「涅槃会(ねはんえ)」を営んだ。各寺の住職や副住職が涅槃図を前に経を上げ、遺徳をしのんだ。
新宮仏教会は、市内にある▽松巌院▽淨泉寺▽瑞泉寺▽清閑院▽清蔵寺▽清凉寺▽専光寺▽宗応寺▽東仙寺▽遍照院▽本廣寺―の11カ寺で構成している。
涅槃会は、仏教の祖である釈迦の生誕を祝う降誕会(こうたんえ、別名・花まつり)、悟りを開いた日を記念する成道会(じょうどうえ)と並ぶ三大法会の一つ。
釈迦は35歳で悟りを開くと、その後45年にわたり人々に教えを説く伝道の旅を続けた。インド北東部のネパールとの国境に近いクシナガラで動けなくなり、頭を北にして西向きに横たわり、弟子たちが嘆き悲しむのを慰めながら夜半に80年の生涯を終えたと伝わっている。
涅槃図は釈迦が沙羅双樹の林の下で横たわり、入滅する光景を描いたもので、周囲には嘆き悲しむ弟子や、雲に乗って飛来する釈迦の母などが描かれている。宗応寺の涅槃図(縦156・1㌢、横101・8㌢)は南北朝時代(14世紀)の制作とされている。
毎年、法要は本堂横の室中で執り行うが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける形で本堂大間にて実施。石原住職は「例年なら掛け軸は1週間ほどまつり多くの人に見てもらう機会としているが、翌日にはしまう予定にしている。こんな状況の中でも会員の方々にお経を読んでいただけるのはありがたいこと」。
白井住職は「世情が落ち着かない中において無事に法要を終えることができて良かったと思っている。今後も継続のためお互い元気で尽力していければ」と話していた。
(2021年2月17日付紙面より)
日本クマノザクラの会が記念に (矢渕中 )
日本クマノザクラの会(勝木俊雄会長)は設立翌日の15日、紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長)で記念植樹をした。来春の開花を願い、園芸委員(亀石沙來委員長)がクマノザクラの苗1本を学校花壇に植えた。
会はクマノザクラの保全や活用を目的に発足し、3年目の苗木を学校に提供。副会長の田尾友児さん、会員で樹木医の中村昌幸さんらが訪問した。
苗木はクマノザクラの調査にも参加した中村さんが育てたもので、高さ約2㍍。園芸委員が順番にスコップで根元に土をかぶせた。園芸委員は各学年6人の計18人で、普段から花壇の管理をしており、亀石委員長(2年)は「クマノザクラを見たのは初めて。大切に育てたい」と話していた。
会ではこの日、同町役場玄関前にも鉢植えのクマノザクラを飾った。3月には咲き始める。今後も要望があれば植樹に協力する方針だ。
町内で保全に取り組む田尾副会長によると、クマノザクラは北桧杖、鮒田地区や子(ね)の泊山桐原登山口付近に多く自生しているという。
(2021年2月17日付紙面より)
町産鹿肉のレトルト商品 (古座川ジビエ山の光工房 )
古座川町月野瀬にある古座川ジビエ山の光工房(鈴木貴裕施設長)がこのほど、町産鹿肉を使ったレトルト食品2種類の取り扱いを始めた。地元に知ってほしいという思いで、町内の児童生徒への贈呈も計画。15日に町内各校を訪ね、児童にはボロネーゼ(パスタソース)、生徒にはキーマカレーを届けた。
同工房は、独自のガイドラインと先鋭の機器を駆使して臭みを抑えた新鮮なジビエを生産。「こころうたれるシリーズ」と題してオンライン販売用の加工食品製造にも力を入れるなど販路増強に力を入れている。
レトルト商品の取り扱いは初で、約1年前に県食品流通課の仲介でノウハウを持つ有田食品株式会社=有田市=とつながり開発に着手した。同工房は在庫過剰になりがちなミンチ肉の活用を求め、同社は前述した2種類のメニューを提案。同工房の試食や意見を取り入れながらレシピを仕上げ、今年1月中旬に商品化へこぎ着けた。
土産品を前提とした仕様で、価格はいずれも1袋550円〈税込み〉と設定。同工房は1月下旬から取り扱いを始め、今月15日現在で同工房のオンラインショップと町内の南紀月の瀬温泉ぼたん荘売店、各道の駅物産販売施設、七川ふるさとづくり協議会事務所、もりとよ商店、町外では那智勝浦町下里にあるスーパーマーケットHatiや南紀串本観光協会古座事業所で購入できる。
町立小中学校は地産地消や食育推進の一環ですでに学校給食の食材としてジビエを適時活用していて、その味に慣れ親しむ子どもに新しい商品も知ってもらおうと思って贈ることにしたという。
15日午前は鈴木施設長らが高池小学校へ児童数分のボロネーゼ(1人につき1袋)を届け、学校を代表して大畑眞校長と児童会の山本真琴会長(6年)が受け取り感謝した。午後に他4校へも贈呈。鈴木施設長は「土産品としては安価な設定。子どもたちにはふるさとのジビエを一層誇りに思ってもらえたらと思うし、その気持ちが子どもから大人へと広がっていけば」と今後の反響を期待した。
販路は今後も拡大を目指すという。この商品の問い合わせは同工房(電話0735・72・6006)まで。
(2021年2月17日付紙面より)
熊野三所大神社例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浜ノ宮の熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)(髙橋正樹宮司)で14日、例大祭が営まれた。今年は恒例行事が全て、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となり、神事のみが斎行された。
同神社は貴重な建築様式の「三間社流造 檜皮葺(ひわだぶ)き」の本殿が有名。
例年は一心会の迫力ある獅子舞や、前日に那智の浜で潮垢離(しおごり)を取り、潔斎した射子(ゆいご)奉仕者が古式ゆかしい作法で矢を射る弓行事や復活した子ども神輿(みこし)などが行われている。
この日は髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者らが玉串をささげた。一心会の汐﨑広一会長は「練習も祭り本番も人が集まらないといけないので今回は残念だった。来年はコロナが終息して通常通りできればありがたい」。
同神社総代の藤社潔さんは「残念だが今年は仕方ない。来年も現時点ではどうなるか分からないが、ぜひこれまで通りに祭りができることを祈っている」と話した。
髙橋宮司は「毎年、お祭りができることに感謝をささげた。この地域や世界の平穏無事を祈願いたしました」と語った。
(2021年2月17日付紙面より)
全国勝浦ネットワーク会議 (那智勝浦町 )
全国勝浦ネットワークは9日、オンライン会議を実施した。那智勝浦町の堀順一郎町長、千葉県勝浦市の土屋元(はじめ)市長、徳島県勝浦町の野上武典町長の3人が各市町からインターネット上で会議が行える「Zoom(ズーム)」を使用して意見交換や情報共有を行った。
同ネットワークは「勝浦」と地名が付く3自治体が互いの地域の発展を目指すことを目的に集まり、2003(平成15)年に友好都市盟約を取り交わした。
従来は3人の首長が集まって会議を実施しているが、今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となり今回のオンライン会議に至ったという。
会議の進行は勝浦市が行い、3人の首長はそれぞれの地域のコロナの状況や感染防止対策、経済対策などを発表した。
勝浦市ではマスクや応援券(商品券)の全戸配布、水道料金や小中学生の給食費を半額にしたことを説明。勝浦町では小中学校休校時に給食センターの職員に依頼してマスクを作成し配布したことや老人福祉施設への衛生用品、商品券の配布、水道料金を負担したことなどを紹介した。
堀町長は県内の発生状況や観光の町である那智勝浦町がコロナによって受けた打撃や影響を説明。取り組みとして▽紀伊半島大水害の際に寄付されたマスクを消毒し再利用▽運転席と患者室の間仕切りやオゾン発生装置などを完備した高規格救急車などの導入▽災害発生時、避難所での密を防止するため町内宿泊施設との連携▽まちなか商品券の配布▽非接触型決済の導入推進―などを報告した。
土屋市長は「今後も情報共有し、この会議を有効的に活用していきたい」。野上町長は「両市町の目線の変えた取り組みを参考にして、職員一丸となって考えていきたい」とそれぞれ話した。
堀町長は「コロナ終息後はそれぞれの地域に出向いて、より密な情報共有や交流をしたい」と締めくくった。
(2021年2月11日付紙面より)
和深発で駅拠点ウオーク (「大辺路」活性協議会 )
串本町にあるJR和深駅~田並駅間で8日と9日、「世界遺産熊野古道大辺路 駅からウオーク」があり、両日計37人が熊野古道大辺路刈り開き隊(上野一夫隊長)とともに両駅間の大辺路沿いの見どころを巡り歩いた。
那智勝浦町と串本町の観光関係諸機関・団体で結成する世界遺産・熊野古道「大辺路」活性協議会が、観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の適用を受けて展開する取り組みの一環。
同協議会は鉄道駅を拠点にしたウオークに親しむ環境整備を進め、両町内にある各駅を拠点化するツールとして▽駅からアクセス・ルートマップ(駅拠点で歩くためのコース図)▽あがらの○○駅お散歩マップ(各駅周辺の見どころ紹介図)―などを作成。その成果を生かす実証として同ウオークを考え参加を募った。
初日は22人、2日目は15人が参加。その多くが趣旨に沿い、普通列車を利用して参加、解散する手段を取った。
ガイドは串本町域の大辺路を再興し保全する同隊が担当。2日目は上野隊長ら隊員4人で感染症予防のため四つの小グループに分かれた参加者を誘導し、新田平見道や富山平見道はもとよりメタルアートギャラリーやおおな魚(=イシナギ)伝説が宿る大師堂、旧赤瀬小学校など道中の見どころの数々をガイディングレシーバー越しで紹介するなどした。
今回は各自昼食を持参とし、無料で実施。参加者には駅からアクセス・ルートマップを事前送付し、お散歩まっぷはカラー版が完成次第送付するという。同機構の齋藤滋さんは、事業終了後も引き続き実動が伴いJRきのくに線活用の一助にもなる今後を思い描いて同ウオークを主導していた。
翌10日と11日は湯川駅~那智駅間でも同様のウオークを実施。別系統で「JR14駅で大辺路コンシェルジュがお出迎え」と題して12日(金)から14日(日)までの午前7時~午後4時、宇久井を除く対象各駅に管理人が常駐し地図を配るなどして送り出す実証も行う。
問い合わせは南紀串本観光協会(電話0735・62・3171)か那智勝浦町観光案内所(電話0735・52・5311)まで。
(2021年2月11日付紙面より)
図書館・子育て支援セの内覧会 (紀宝町 )
紀宝町神内の旧町保健センターを改修した「紀宝町立図書館・子育て支援センター複合施設」の内覧会が9日にあり、西田健町長、町議会議員らが施設内を見学した。
改修は昨年6月24日から始まり、1月29日に完成。1階に図書館、2階には子育て支援センター室、活性化ホールなどを配置した。今後は複合施設の愛称を今月中に決定し、同センター室などの整理や準備、鵜殿図書館から図書の引っ越しなどを行い、4月に開館する予定だという。
施設は誰もが利用できるようエレベーターと多目的トイレを設置。新たなフリースペースでは飲食が可能なほか、キッチンを活用した簡易な料理教室を開くことができる。
図書館は、旧保健センター事務室や診察室などの壁を撤去し、一つのフロアに改修。木の温かみと落ち着きが感じられるスペースとなった。蔵書は約5万冊となる見込みで、児童コーナーには絵本を中心に配置する。
支援センターでは、図書館と連携した事業を展開し、新たな子育て支援のサービスを提供する。活性化ホールは壁や床を改修し、スクリーンを新設し、出入り口にスロープ、窓に転落防止用の手すりを設置した。
視察した西田町長は「木材をふんだんに配置し、温かみのある施設になった。4月の開館後は多くの方に利用していただきたい」と話していた。
(2021年2月11日付紙面より)
ブック・ブックが県教育委員会功労賞 (新宮市 )
新宮市のボランティアグループ「ブック・ブック」(濱野小夜子代表)が、和歌山県教育委員会の「県教育委員会功労賞」を受賞した。先月14日、和歌山市内の「ホテルアバローム紀の国」で開催された「和歌山県教育表彰式」で表彰を受けた。
県の教育の発展に功績があった個人や団体をたたえる同表彰は4分野で構成されており、「知事感謝状・県教育功労者」「知事感謝状・優秀教職員」「教育委員会功労賞」「きのくに教育賞・きのくに教育の匠」がある。同グループは地域の読書文化の振興と向上に大きく貢献した功績が認められこのたびの受賞に至った。
2000(平成12)年度に発足した「新宮市立図書館百周年記念事業実行委員会」を母体とし、02(平成14)年度に設立。
4カ月検診時に母親と幼児に絵本を読み聞かせ、絵本をプレゼントする「ブックスタート」、市立図書館や小学校での「おはなし会」、書架整理、本の修繕、グリーンカーテンの設置や庭の手入れなど、読書環境の整備や子どもの読書を推進する事業を中心に活動している。14(平成26)年に市政功労者表彰、15(平成27)年に第48回優良読書グループに選ばれている。
「本が好き」「子どもが好き」な人が集まり、現在メンバーは25人。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、本を通じたふれあいの時間や子どもたちの笑顔を活力に日々、ボランティア活動にいそしむ。
このたびの受賞を受け、濱野代表は「みんな自分の好きなことをしているだけ。大それたことはしていない。うれしいというより驚きです」と謙遜しながらも、読書の輪のさらなる広がりに期待を寄せる。
代表して表彰式に参列した江川大二郎副代表は「率直にうれしい。これからも本を通して『知る』ことを楽しんでくれる子どもたちのお手伝いができれば」と話していた。
(2021年2月11日付紙面より)
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭(おとうまつ)り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。新型コロナウイルス感染防止のため上(あ)がり子の入山が中止となる中、神職と介釈(かいしゃく)の一行は古式床(ゆか)しく神事を斎行。御神火をともした大松明(たいまつ)と共に下山した。
新宮節の一節に「山は火の滝、下り竜」とうたわれ、1500年以上の歴史と伝統を誇る勇壮な火祭り。2016(平成28)年3月、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定された。
今年は、全国的に新型コロナ感染症のクラスター発生防止の取り組みが行われている中、2000人以上の上がり子が集結することによって長時間の3密状態が避けられない状況であることを考慮した。
上がり子の安全と健康を最重要視し一般の参加を中止に。上野宮司は「当日は各家庭から神倉山に向かってコロナ終息などへの祈りをささげ、歴史上に例のない『千載一遇の御燈祭り』に」と呼び掛けていた。
神倉神社を下山した一行は阿須賀神社へ。御神火を奉安し奉幣神事を執り行った。熊野速玉大社に戻った神職らは同様に神事を行い、厳かに今年の火祭りは幕を下ろした。
祭事を終え、上野宮司は「歴史上始まって以来の御燈祭りだったが、漆黒の闇の中に御神火を頂くという本筋は変わるものではない。おそらく太古の御燈祭りは同様に漆黒の中で執り行われ、麓で待つ人に分け与えられたのでは」。
今回、図らずして千載一遇の機会を得て斎行することができたことで太古の祭りを感じることができたとし「消防関係者や警察の方々、多くの関係者の支えがあり祭りを終えることができた。来年は本来の祭りができることを心から祈っています」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)
第72回書初競書会 (新宮・東牟婁 )
東牟婁地方書写教育研究会(山田貴也会長)は5日、新宮市立緑丘中学校で第72回書初競書会の審査会を実施した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から展示は行わないが、新宮・東牟婁の小中学校の教職員34人が集まり、児童・生徒の作品を審査した。
同研究会によると、今年は金賞作品展だけでなく、中央展の審査ならびに展示も中止となった。審査後は各校で賞状が手渡されるのみだという。
この日は教職員がグループに分かれ、「文字を正しく整えて書けているか」「画の接し方が正しいか」「点画のつながりに気を付けているか」「文字の大きさや配列が適当であるか」「作品を書く上での問題点」などに注意しながら各学年の作品を審査した。
なお、今回は金賞と銀賞に加え、中止となった中央展の出展に相当する作品を金賞から選び、特賞を設けた。特賞には同研究会から記念ボールペンが副賞として贈られる。
作品総数は3053点で審査の結果、硬筆2335点のうち、特賞が128、金賞が806、銀賞が1401点。毛筆718点のうち、特賞が68、金賞が220、銀賞が430点となった。
山田会長は県内のほとんどの児童生徒が同じ手本を用いて、年に1回競い合うことは他府県では珍しいとし、「和歌山県は書写教育に熱心。子どもたちや保護者の皆さん、地域の方々も関心を持っていただいている。今年は展示もなく残念だが、来年こそはコロナが終息してこれまで通りに実施できればうれしい」と語った。
(2021年2月9日付紙面より)
ツアー活用に向け準備中 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)がこのほど、古座事業所付けで足こぎ式のフィッシングカヤック(Fカヤック)2艇を取得した。4月から有償ツアーによる活用を始める予定で、5日は串本町西向出身のアングラーズアイドル・そらなさゆりさん=フライドライス所属=にモニター協力を求めてツアーを試行するなどした。
このカヤックは、県の「水の国、わかやま。」体験観光事業者スタートアップ補助金を受けて導入を目指す新規アクティビティの中核となる資材。同町が連携協定を結ぶアウトドアメーカー・株式会社モンベルの仲介でアメリカ合衆国から取り寄せた製品で、船底を擦るような浅瀬ではパドルを使用し、水深がある場所でスクリューを出しペダルで回転させて進む。パドル式と比較して両手が自由になるため、さおを手にしたまま釣るポイントの微調整ができるという強みがあるという。
取得したのは全長12フィート(約3・7㍍)の一人艇で、到着後はさっそく職員が操作の習熟に励んで特性を理解し、このカヤックでできるツアーの内容を検討中。習熟の延長で分かりよい指導の確立にも努めている。
協力したそらなさんは、同協会が主催するイベント「ラブ太平洋串本エギング大会」で中湊出身のプロエギンガー・湯川マサタカさんと対でゲスト参加し盛り上げている人材。同協会はコロナ禍を避け帰郷中の折を見て、協力を求めたという。
この日は同事業所勤務の三栖雅章さんがインストラクターとなりツアーを試行。足こぎ式のカヤックは初経験のそらなさんに操船方法を伝えて古座大橋一帯を周遊し、利用時の印象などで意見を求めた。そらなさんは「水面が近くて海と一体になる感じが心地良かった。何より両手が空くことにはいろいろな可能性があるなぁと感じました」とコメント。扱いについて「操作がシンプルで、移動時の癖さえ知ってしまえば初心者の方でもどんどん慣れていけると思う。風を読んで潮を読んで、行きたい方向へ行けるのがうれしかった」と語った。
同協会はこのカヤックを用いたインストラクター付き有償ツアーを検討していて、今は2艇しかないため上限数人程度のグループを対象にして4月1日から提供を始める予定と話している。問い合わせは南紀串本観光協会古座事業所(電話0735・72・0645)まで。
(2021年2月9日付紙面より)
神倉神社で翌日祭
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で7日朝、御燈祭(おとうまつ)り翌日祭(奉祝祭)があった。神倉神社奉賛会の猪飼三雄会長や神倉青年団の中山忠吏団長らが玉串を供え、祭りの無事に感謝するとともに、コロナの一日も早い終息を願った。
上がり子の参加が中止となり、神職と介釈(かいしゃく)のみで執り行われた今年の御燈祭り。同神社では古式床(ゆか)しく神事が斎行され、御神火をともした大松明(たいまつ)が無事に麓に下山した。
例年なら、奉賛会らによる盛大な餅まきが開催される翌日祭だが、今年は厳かに神事のみが執り行われた。
神事を終え、上野宮司は「皆さんにとっても心配も苦労も多い祭りになったと思う。千載一遇となった今年では、御神火を頂くことのありがたさを改めて感じることができた」とあいさつ。
「長きにわたり伝わる祭りを、私たちは未来につなぐために全力を尽くしている。そのために影で尽力してくれている警察や消防関係、ボランティアの方々の存在も忘れてはならない」と述べ、さらなる協力を呼び掛けた。
祭りから一夜明け、猪飼会長は「御燈祭りは一年の締めくくり。昨夜は大松明が火を携えて降りてきた時は安心した。奉賛会と青年団は家族みたいなもの。上(あ)がり子がおらずさみしく感じたが、こんな神事は今後はないと思う。来年はコロナが終息し、多くの人でにぎわう祭りになれば」。
中山団長は「今年はさまざまなことが初めての中での斎行となったが、闇の中で大松明1本に火が灯された様子は神秘的で太古の祭りをほうふつとさせられた。神様に頂いた火を氏子さんたちに見ていただけて良かったと思います」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)
久保さんの紙芝居が英語訳に (和歌山県土砂災害啓発センター )
「As I looked around,I saw an unbelievable sight in the dusk.(うす暗がりの周りをよく見ると、何という光景だろうか。)」
上記の一文は那智勝浦町井関の防災士で2011(平成23)年の紀伊半島大水害で夫を失い、自身も九死に一生を得た久保榮子さんが当時の体験を記した紙芝居の一部の抜粋だ。この紙芝居が英訳され、先月末より同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)で展示されている。
同センターによると、新型コロナウイルス感染症流行以前はこの地を訪れる訪日外国人(インバウンド)が多かったことから、コロナ終息後の回復を見込み、世界各地の人々に同水害の詳細や災害の脅威を広く知ってもらうツールとして紙芝居の英訳を検討。県国際交流課の職員らが昨年英訳に取り掛かり、年明けに完成したという。
さらに各所で防災講話を行う久保さんの様子を収めた動画にも英語字幕を付け、現在公開している。
坂口所長は「大門坂は世界遺産なので毎年、海外の方も多くセンターに足を運んでくれている。観光客や日本に滞在する外国人の方々にも紀伊半島大水害があったことや、久保さんがいつも呼び掛けている『早めの避難』を知ってもらえたら」。
久保さんの紙芝居を用いた防災講話については「講話に興味のある方や聴講したい方はセンターまでご連絡ください」と話している。
久保さんは発生から今年9月で10年を迎える同水害に触れ、「近年発生している各地の災害から見れば紀伊半島大水害の規模は小さいかもしれないが人の命の尊さは変わらず大きい。早く避難すれば助かる命だったが当時は知る由もなかった。なくして初めてその大切さに気付く」と当時を回顧。
英訳については「本当にありがたいこと。地球温暖化による災害も大きな問題となっている。この土地でこういった災害があったことを世界に発信していただくことは重要な意味があると思う」。
13(平成25)年から始まった講話は昨年11月で65回を数えた。現在78歳の久保さんは「一人でも多くの犠牲者を出さないためにもあと10年を自分の最終章としてぼけずに、けがや病気なく100回目の講話を目指します」と笑顔で語った。
(2021年2月3日付紙面より)
津波想定して避難場所も確認 (津本自主防 )
今年は紀伊半島大水害と東日本大震災から10年の節目を迎える。「あれから10年」。今後は、当時の記憶や災害から得た教訓を後世に伝え、風化させないための取り組みが重要だ。
紀宝町では紀伊半島大水害で1人が亡くなり、1人が行方不明となった。床上・床下浸水は2845棟に上るなど、甚大な被害があった。
2011(平成23)年に発生した二つの大災害を教訓にしようと、紀宝町大里の津本地区自主防災会(谷口昌宏会長)は1月31日、大水害の記録を改めて確認し、津波に備える防災訓練を行った。
同地区の深田運動場近くには、これまでの水害の最高(痕跡)水位を色分けして記録ポールに記している。ただ、数値が記入されていないことから、訓練の一つとして水没した高さを測った。
保育園児から高齢者まで50人近くが参加。竹ざおで大水害時の水位を計測した結果、道路から7・71㍍まで浸水したことが分かった。台風や豪雨などで浸水被害が発生しそうな際は、その高さ以上に避難することを一つの目標にした。
また、児童生徒の登下校時に地震が発生したと想定し、津波から逃げる避難場所を確認した。参加者は町防災マップ(津波編)を手に地区内を歩き、海抜20㍍以上で避難できそうな場所には目印として赤い旗を掲げた。
防災マップによると、海抜6・8㍍の同運動場付近も津波の浸水が予測されている。
谷口会長は「過去の事例から南海トラフを震源とする巨大地震は、いつか必ず発生する。地震が発生したら、子どもたちもいち早く逃げられるよう、安全な高台を見つけた。自分の命を守るために、自分の目で地区内を確かめてもらった」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)
集会開いて節分に親しむ (くしもとこども園 )
豆まきなどをして邪気を払う慣習が根強く親しまれている立春前の節分。今年は2日がその期日に当たり、串本町や古座川町の多くのこども園や保育所で「鬼は外、福は内」の元気な声が響き渡った。
近年は2月3日で続いてきた節分だが、今年は暦の加減で立春が1日早まったため、連動して節分も2日にずれ込んだ。国立天文台の発表によると、3日でなくなったのは1984(昭和59)年以来37年ぶりで前倒しになったのは1897(明治30)年以来124年ぶりという。
串本町立くしもとこども園(美代取初美園長)は0~2歳児は各教室で、3~5歳児はさくら園舎のホールで節分の集会を実施。手作りした鬼の面をかぶって集まった3~5歳児は先生から節分のお話を聞き、鬼が嫌いな物としてヒイラギ・イワシの頭・豆があることや豆は年齢に1を足した数を食べること、恵方巻きは節分の神様がいる方を向いて食べることなどを教わった。
その後は裃(かみしも)を羽織った美代取園長による豆まきを「鬼は外、福は内」の掛け声で応援。折り紙で作った豆を投げて鬼の人形を倒すミニゲームで気持ちを高めている時に鬼が乱入し、102人一丸で捕まらないよう逃げ回りつつ折り紙の豆を投げつけて追い払った。鬼がいなくなったところへ福娘が登場し、鬼退治を頑張った3~5歳児にお菓子を分けてたたえた。
美代取園長は「今日はみんなの心の中の鬼も払って福ももらった。明日からも元気にこども園に来てね」とすがすがしい気持ちを後押しして締めくくった。
(2021年2月3日付紙面より)
神倉小で福祉体験講座 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)で1日、同市社会福祉協議会による「福祉体験講座」があった。6年生83人が市民ボランティアの宮本実さん(65)から車いすの使用方法などの説明を受けたほか、乗車体験を通して福祉を考える一助とした。
車いす利用者の気持ちを理解し「自分たちにできることは何か」といった思考を醸成するとともに、体験を通して普段の生活における気付きや福祉に対する意識付けを目的に市内の小・中・高等学校を中心に講座を開いている。
宮本さんは児童らに「車いすは足の不自由な人のほか、体全体に障害のある人、体幹障害のある人、そしてお年寄りの方も使用します」と話し、車いすの開き方や閉じ方をはじめとした使い方を紹介。段差の降り方や溝の越え方、方向転換の方法やスロープの降り方などを細かく説明した。
3人組になった児童らは、「押す人」「乗る人」を交代しながら車いす体験。宮本さんの指導を受けながら体育館内に設置されたポールや段差に挑み「怖い」「(車いすが)重たい」などと感想を口にしながらその困難さを実感した。
1組の小笠原煌貴(こうき)君(12)は「最初は不安で怖かったけど、最後は押してくれる人に対して信頼感が出てきた。車いすに乗る人も押す人も大変だと改めて感じました」。
講座を終え、宮本さんは「困難を抱えている人に会ったときは声を掛けてあげてほしい。本当に大変だということを知ってもらえたら」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)