市田川大規模内水対策部会合 (新宮市 )
2017年10月の台風21号豪雨を受けて発足した熊野川減災協議会「市田川大規模内水対策部会」の4回目の会合が25日、新宮市役所であった。今般の会合を経て「市田川流域大規模浸水対策計画」を策定。同部会は今月をもって閉会し、今後は熊野川減災協議会において年に1度、各機関による対策の進捗(しんちょく)管理や達成状況およびその効果などを確認し、早期に目標が達成できるよう努めていく。
同部会は、市内を流れる市田川沿いの水害の原因を究明するとともに軽減対策を考えようと、昨年1月22日に発足。4回にわたり、より効果的な浸水対策を総合的、一体的に推進するために、ハード・ソフト対策を短期的、長期的事項に取りまとめる計画案を協議していた。委員は国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所の堤英彰所長、気象庁和歌山地方気象台の山田尚幸台長、和歌山県県土整備部の髙松諭部長、田岡実千年市長の4人。
計画は、短期計画としては5年程度で浸水被害の軽減効果が高い対策を集中的に実施し、長期計画は概ね20~30年程度で浸水被害解消に向けた対策を実施することを目標に掲げている。
計画にはハード対策として▽市田川、浮島川排水機場ポンプ増強▽都市下水路の整備▽流域対策。ソフト対策として▽水位情報共有システムの構築▽複合ハザードマップの作成▽防災教育・啓発活動の推進▽水防資機材の充実▽タイムラインの確実な運用―などが取りまとめられた。
策定を受け、髙松部長は「2017年の台風以上を想定しておかなければならない。県としても協力していきたい」。堤所長は「西日本豪雨を含め、国民の関心の高い状況。各機関で引き続き想定外を見据えながらハード面、ソフト面での連携をしていきたい」。山田台長は「気象庁としては、活動に役立つために、そして住民が避難できるための情報をしっかり提供していきたい」と述べた。
田岡市長は計画策定に対して関係者らに感謝を述べ「昨年9月の集中豪雨では750㍉の雨が降り、5時間で200㍉を超えたが、取り組みの中で被害を最小限に抑えられたと効果を実感している。策定後もこれまで以上に連携いただき、防災・減災に努めていきたい」と協力を呼び掛けた。
(2019年3月27日付紙面より)
那智勝浦町は25日、町役場大会議室で町内の有志14人と観光企画課の職員らによる「観光振興ワークショップ」の成果報告会を開いた。町議会議員や住民ら約30人が参加した。
町が(株)リクルートライフスタイルに委託した「平成30年度観光振興アドバイザリー業務」の一環。ワークショップは昨年8月から11月末にかけて、顔合わせ1回のほか計6回、役場や町体育文化会館で実施した。問題解決型ワークショップの主催や企画プランニングをする(株)マサカノ(福岡県・門田隆代表取締役社長)が協力し、門田さんが進行役を務めた。
堀順一郎町長は「次年度の町の施策であるDMO(※)に生かされると期待している。観光振興に尽力を」とあいさつ。観光企画課の吉田明弘課長は▽官民協働で観光振興の機運を高めること▽10年、20年先を見越した地域の若手、中核人材の育成▽地域コンセプトの作成―などの趣旨を述べ、「考えたコンセプトを対外的プロモーションの軸にできれば」と話した。
この日はワークショップに参加した町内の団体、個人の中から熊野那智大社神職の井戸大輔さんほか4人が出席し、第1回目からのワークショップの内容を報告した。地域が大切にしているものを挙げる話し合いでは、那智の滝と熊野那智大社だと全員が一致したことから、井戸さんが同大社の由緒や神話について詳しく語った。八咫烏(やたがらす)の絵文字が描かれた「那智瀧宝印」を解釈し「御利益のキーワードは『結ぶ』ではないか」と述べた。
話し合いの中から合意的に導き出されたコンセプトを「那智勝浦町は、那智の滝が源となって育んだ命、暮らし、文化の町。御利益は“結ぶ”」と示し、▽いつでも誰でも楽しめる「結ぶ&つなぐ33パスポート」▽滝水を使用した結(むす)ビールや結(むすび)ソーダ、地域の食材を取り入れた「お結び」―などの商品開発を提案した。
門田さんは「那智勝浦町は良い観光資源がたくさんあって一本化が難しい。ようやくかけらが見えてきた。来期に磨き込み、発信できれば」と話していた。
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※DMO=デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションの略。DMOとは、地域の観光資源に精通し、地元と連携しながら観光名所を作り出す法人のこと。海外では、地場に根付いた法人が活発に機能することで成果が出始めている。
(2019年3月27日付紙面より)
おむすびマルシェ2019 (古座川町 )
古座川町相瀬にある一枚岩前で24日、イベント「おむすびマルシェ2019」があった。風は冷たいが始終日差しが注ぐ好天に恵まれ、今回も手作り品の市などが多くの来場者を集めてにぎわった。
このイベントは、町内の若手有志が結成するおむすび部が主催。初秋の「おむすびまつり」と双翼の交流行事で、「マルシェを通して人と人を結び地域のみんなをつなげたい」という有志の一人・岩倉美記さん(27)の思いを他の有志みんなで支える形で回を重ねている。
今回は同町観光協会(須川陽介会長)が初展開するキャンペーン「古座川桜フェア」に包括される一イベントとして計画。フランス語で市場を意味するマルシェには24店舗が参加し、一枚岩鹿鳴館下のスペースに軒を連ねて来場者の注目や購買を集めた。
幼い子どもは勝浦ライオンズクラブが作成した広さ6畳程度のエア遊具に興味津々。会場中央にはステージが設けられ、グループ「笑音風」の音楽ライブやパフォーマー「タクト」の演技、地かるた「くまのじかるた」を使った景品付きの競技会やビンゴゲーム大会が活気を誘い、最後はお菓子まきで盛り上がった。
今回は同フェアとの連動で川をさかのぼるように会場を求める必要があり、旧来の南紀月野瀬温泉ぼたん荘から一枚岩前へと舞台を移したそう。この企画を主導した岩倉さんは「マルシェということで店と客のやりとりが主な内容になりますが、それだけではもったいない。いろいろな人と親しくなれるのが田舎のいいところで、今日のやりとりをきっかけに大勢の皆さんがつながってくれたら」と期待しながら運営の指揮に当たっていた。
(2019年3月27日付紙面より)
専修学校各種学校優秀卒業生 (新宮市 )
平成30年度専修学校・各種学校優秀卒業生市長表彰式が26日、新宮市役所であった。王子珠算学校、萩原きもの総合学院、新宮料理学院の生徒ら10人に田岡実千年市長が表彰状と記念品を贈呈した。
表彰は市内にある各種学校の模範となる卒業生に毎年行われている。表彰式には向井雅男副市長ら関係者も出席した。田岡市長は受賞者たちの努力に敬意を表し、「習得した知識、技能はこれからの長い人生で役立つ」と述べ、「各学校の皆さんの活躍を祈念しています」とあいさつした。
受賞者を代表し、萩原きもの総合学院の平尾優芽さん(17)は「このような晴れがましい栄誉を頂いたのは、ひとえに各学校の先生方をはじめ、皆さんのご指導などのおかげ。今後も受賞に恥じないよう頑張っていきます」と謝辞を述べた。
(2019年3月27日付紙面より)
第11回和歌山陸上競技協会記録会
第7回新宮市長杯女子サッカー大会
那智勝浦町長旗・町老連会長盾争奪グラウンドゴルフ大会
熊野川きらきら清流まつり (新宮YEG )
新宮商工会議所青年部(新宮YEG、瀬古伸一郎会長)は17日、新宮市の熊野速玉大社下河川敷で「熊野川きらきら清流まつり」を開催した。アマゴの稚魚放流や餅まきなどがあり、約2000人(主催者発表)でにぎわった。
世界遺産の熊野川への関心と環境保全意識を高めてもらおうと、おととし、同部が設立30周年を記念して開催。3回目となる今回は、強風のため一部プログラムを変更して行われた。多数の飲食店が並ぶ会場で、ダンスや太鼓のステージ、親子木工体験、御船島周遊体験、紀南河川国道事務局による市田川浄化事業15周年パネル展などがあった。
放流したアマゴは近畿大学水産研究所新宮実験場(同市高田)で人工ふ化、飼育された稚魚(体長約6~7㌢)。アマゴの降海型であるサツキマスは生息数が激減しており、環境省は絶滅危惧種に指定している。
同大学はサツキマスの保護と優良個体の安定的生産を目的に2011年から海水で4カ月間、飼育した親魚から採卵していて、サツキマスを新宮の名物にすることを目指している。多くの親子連れが放流に参加し、子どもらは「元気でね」などとアマゴの稚魚を見送っていた。
瀬古会長は「一刻も早く清流の姿を取り戻したい。熊野川を、アマゴが帰ってくるようなきれいな川にすることができれば」とあいさつ。同まつりの向井康博実行委員長は「強風の中、多くの人に来ていただいた。感謝を申し上げます」と話していた。
(2019年3月19日付紙面より)
那智海水浴場クリーン作戦 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は16日、那智海水浴場でクリーン作戦を実施した。町内12団体や町民ら60人が参加。流木やごみなど約910㌔(大きな流木を除く)を拾うなど、清掃活動に取り組んだ。
クリーン作戦は毎年恒例の行事。町が各団体や町民に呼び掛け行われた。今回、連合和歌山紀州熊野地域協議会・新宮東牟婁地区協議会(廣末顕二議長)がこの日に海水浴場でクリーンキャンペーンを実施することから町も同日に開催する運びとなった。しかし、当日の雨の影響から連合のキャンペーンは延期となったため、町だけで実施した。
参加者らは協力してプラスチックなどのごみを拾い、大きい流木はチェーンソーで細かくして軽トラックに積み込んだ。
堀順一郎町長は「毎年、皆さんの協力で行われている。連合さんのほうは中止になったが、メンバーの方も参加してくれているのでありがたい」と述べ、「800㍍のビーチは県下でも珍しい。きれいにして環境を守る。有効に利用して多くの人が集える仕組みづくりが重要となる」と語った。
また、場内には流木を用いたブランコのオブジェや町内の3団体が作った作品も並び、撮影スポットとして人気となっている。4月中に撤去予定だが、見物に訪れる人は現在も多いという。
参加した新宮市立王子ヶ浜小学校4年生の関彰宏君は「みんなでごみ拾いができて楽しい。きれいになってすっきりする。流木で作ったオブジェはごみがリサイクルされていて素晴らしい」と笑顔で語った。
参加した団体は次の通り。
▽那智勝浦町観光協会▽南紀勝浦温泉旅館組合▽那智勝浦町民宿組合▽南紀くろしお商工会▽勝浦ライオンズクラブ▽那智勝浦ロータリークラブ▽那智勝浦町建設業組合▽和歌山東漁業協同組合那智支所▽浜ノ宮区▽熊野交通(株)勝浦営業所▽東牟婁振興局(地域振興部企画産業課、新宮建設部管理保全課)▽行政無線の呼び掛けで集まった町民▽連合和歌山のメンバー
(2019年3月19日付紙面より)
大島中で卒業式と閉校式 (串本町 )
串本町立大島中学校(布引伸幸校長、生徒7人)が16日、卒業式と閉校式を開いた。卒業式では最後の卒業生7人が巣立ち、閉校式では島民ら約350人が大島中に込められた思いを胸にしながら72年にわたる学校史を締めくくった。
同校は1947(昭和22)年4月に旧大島村立大島中学校として創立し、その4年後に現在の敷地に旧校舎を得て移転、96(平成8)年にはトルコ共和国も支援する形で現校舎が完成するなどの学校史を紡いできた。
近年は少子化に加え校区外通学希望者増にも拍車が掛かり、2017(平成29)年度以降は入学者がゼロに。在校生は他校編入ではなく大島中で卒業することを選び、全員が巣立つ本年度末で閉校することになった。
卒業式には田嶋勝正町長や、生徒の希望に応えて駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使も出席。担任の中澤弘奈教諭に続いて入場した卒業生7人は個々に卒業証書を受けた。
布引校長は7人の中学校での姿を振り返り、「大島中に残りたいという選択は間違っていなかったか。皆さんが大島中で良かったと思えるよう何事にも取り組んでくれたから、教員も負けずに頑張ることができた。今日感謝すべきは私たち教員かもしれない。皆さんはこれから大島中が与えられなかった大人数の競争の中で戦うことになる。心が折れそうになり可能性がないと思うこともあるだろうが、そのときは大島中を思い出してほしい。努力の邪魔をするのは他人ではなく自分。志あるところに道は開ける。夢を持ち、自分と戦い、人生を切り開くことを強く願う」と式辞を述べた。
潮﨑伸彦教育長が告示、来賓を代表して田嶋町長と育友会を代表して伊勢谷千代美さんが祝辞を披露。布引校長から卒業生の伊勢谷詠さん、伊勢谷英克会長から植田航平君に卒業記念品を贈り、卒業生の母親7人が言葉と歌を贈った。
卒業生を代表して西本光羽さんは「2年の1学期に話し合い、みんなで大島中に残る決断をしたことに後悔はない」と思いを掲げて3年間の思い出を語り、7人全員で先生や家族の存在の大きさを振り返って感謝。中谷さくらさんのピアノ伴奏で別れの歌『仰げば尊し』を斉唱し、拍手を受けながら退場した。
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閉校式は卒業式後に行われ、約350人が集まる盛況の中開会した。
72年間で送り出した卒業生数は2596人。式典で布引校長は、大島中は地域のつながりの強さが特色だったことを学校史や校歌を通して振り返り「創立時に生徒がデザインした校章の3枚の葉は大島、須江、樫野を指し、大島中はその要として3地区をつないできた。72年たってもその思いは同じ。大島中は今日で閉じるが、これからも校章の通り3地区がつながり、紀伊大島として発展することを願う」と期待した。
田嶋町長と同式実行委員会の稲田賢会長もあいさつを述べ、72年の学校史を振り返る映像上映後に卒業生7人を代表し福島夕夏さんが「閉校を考える話し合いで意見が分かれ対立したのは嫌だったけれど、大島中に残ることになり、最後の卒業生としてふさわしいかは分からないが3年間走り続けて良かったと思う。最後まで見守り続けてくれた先生、保護者、地域の皆さま、今までありがとうございました」と思いを掲げた。
布引校長とメルジャン大使が卒業生の山下詩織さんと中西真央さんに閉校記念品を贈り、同町教育委員会を代表して潮﨑教育長が謝辞を披露。校歌などを斉唱し、布引校長から潮﨑教育長に校旗を返納した。
式典後は3地区の獅子舞保存会が共演し、老人クラブ会員有志が地踊り、航空自衛隊串本分屯基地隊員有志がファンシードリルを披露。最後は餅ほりで締めくくった。
(2019年3月19日付紙面より)
100㌔超え3本揚がる (勝浦地方卸売市場 )
生鮮マグロの水揚げ量が日本一(農林水産省・産地水産物流通調査)の那智勝浦町築地・勝浦地方卸売市場で18日、脂の乗った旬のクロマグロが3本揚がり、市場が活気づいた。
3本のうち最大の207㌢・183㌔のクロマグロは、徳島県の第28勝丸が14日に釣り上げた。1㌔当たり15400円で競り落とされた。続いて高知県の蛭子丸は139㌔と161㌔のクロマグロを水揚げし、それぞれ1万円前後の値が付いた。
同市場でのクロマグロのシーズンは1月から5月まで。昨年2月は200㌔を超えるクロマグロが揚がり、同3月には市場歴代最大の450㌔の大物が揚がった。県漁連勝浦市場は、昨年に比べるとスタートは遅いが、キハダマグロが多く揚がっているという。太田直久参事役は「ちらほら(クロマグロが)揚がりだした。シーズンこれからに期待したいですね」と話していた。
(2019年3月19日付紙面より)
池上巧馬君が支部選抜に選出 (和歌山南紀ボーイズ )
決勝戦は神倉と串本が対戦 (イオン新宮店専門店会少年野球大会 )
20人の生徒が台湾へ (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長)で13日、台湾への海外研修旅行に参加する20人の生徒の結団式があった。旅行は14日~17日(日)の日程で、姉妹校の台湾國立彰化女子高級中學(台湾女子、陳香妘校長)を訪問し、歌や踊りを発表し合う交流会や、アニメ映画『千と千尋の神隠し』のモチーフとなった九份や台北市内などを見学する歴史・文化学習を予定している。
研修旅行は、異文化経験を積むことで日本や郷土を再認識し、同校の教育目標である「知・徳・体バランスの取れた人間形成」「地域社会に積極的に貢献する人材、次代の日本社会・国際社会で活躍できるリーダーの育成」を図る目的。2016(平成28)年3月に初めて台湾女子を訪れて以来、2回目の訪問となる。今回は1年生10人、2年生10人が参加を希望した。生徒らは現地の交流会で『きいちゃんダンス』を披露する予定。
両校は、県が国際交流を目的に台湾の修学旅行誘致を始めたことをきっかけに04(平成16)年から交流。14(平成26)年3月に正式に姉妹校提携を交わした。今年1月には台湾女子の生徒と教職員の計71人が来校し、親交を深め合った。
結団式では前田校長が「交流によって姉妹校の重みを感じるとともに、異文化を理解することも大きな目的の一つ。見るだけではなく文化に触れ考え方を聞き、そして親交を強化なものにしてほしい」とあいさつ。引率の宇戸博一教頭は「言葉は伝わらなくても積極的に交流を」。橘恭子教諭は「ダンスの発表では心を一つにして最高のステージに」と呼び掛けた。
宮井貴浩教諭が出発時間や連絡先などを確認し「行動や振る舞いがそのまま日本の印象となります。いろいろなことを学んで吸収して良い経験をたくさんしてきて」と激励した。
歓迎式典で代表あいさつをする坂本彩海さん(2年)は「大学では国際学部を志望しており、そのためにも海外に行っておきたいと思い希望しました」。カナダやブルネイにホームステイ経験がある坂本さんは「台湾は食べ物がおいしいと聞く。『千と千尋の神隠し』のモチーフとなった街並みも楽しみです」と話していた。
(2019年3月15日付紙面より)
サポーター養成講座に12人 (新宮市 )
新宮市地域包括支援センターは13日、同市の橋本隣保館で「認知症サポーター養成講座」を開いた。12人の参加者を前に、センター職員が「認知症の知識と接し方について」をテーマに講話した。
平成29年4月末現在、市内の高齢者数は65歳以上1万408人、85歳以上1961人で、その中で認知症の症状がある人は490人いる。今後、認知症の症状がある人は増加することが予想されている。
職員は、認知症は誰にも起こりうる脳の病気であると説明。「正しい知識を持ち、認知症の人や家族を支える手立てを知っていれば、尊厳ある暮らしを守ることができる」と話した。認知症の原因や症状、種類などについて解説し、「脳血管性認知症なら、原因となる脳血管の病気の再発を防げば進行を止めることができる。アルツハイマー型認知症なら、治療薬によって進行を遅らせることが可能な場合もある」と早期診断と早期治療の大切さを呼び掛けた。
認知症の人を介護する家族を応援することによって、負担が軽くなれば認知症の人にも良い影響を与えると解説。家族の今の気持ちを知る手掛かりとして▽戸惑い、否定▽混乱、怒り、拒絶▽割り切り▽受容―の四つのステップを覚えておくことが有益と説明した。
職員は終末医療や介護の方針について「軽症のうちから専門家との信頼関係を築くことが大事」とし、日頃から周囲の人に自分の生き方や考え方を理解してもらうよう心掛けることが重要と話した。
参加者らは講話とDVD鑑賞を通して、認知症に対する理解を深めていた。
(2019年3月15日付紙面より)
観光周遊バス実現に向け (串本町 )
串本町文化センターで13日、(仮称)くしもと観光周遊バス推進協議会の設立に向けた準備会があった。同バスは本州最南端付近で7月開所予定の南紀熊野ジオパークセンターと時期を合わせた運行開始が目指されていて、円滑な実現を目指し関係各者が現在の構想について話し合うなどした。
このバスは、JR串本駅、大型宿泊施設、道の駅と本州最南端や樫野崎を結ぶ新規バス路線として開設、運行する方向で実現が目指されている。同協議会はこれを支援する団体として、県と町が各366万7000円、JR西日本和歌山支社が50万円、ホテル&リゾーツ和歌山串本と大江戸温泉物語南紀串本と南海エフディサービスが各5万円を負担して発足させる予定。その時点で必要になる会則、役員体制、事業計画、予算、運行計画といった諸案を適切に固めて運行開始を同センターの開所に間に合わせるため、準備会と題して関係各者が内容をすり合わせる機会を持った。
前述の各団体(県は自然環境室、町は企画課と産業課の2課)に加え、南紀串本観光協会と串本タクシー株式会社の各関係者14人が出席。代表して県自然環境室の岡田和久室長があいさつし、同室から諸案を説明し意見や質問を寄せる形で総会までに煮詰めるべき事柄を探った。
会則案では、同バスの運行目的を▽観光客の利便性向上▽滞在時間の延長や消費の拡大―と設定。初年度は新規バス路線を開設し宣伝と運行支援を事業とし、4月中の設立を目指す。役員体制は町産業課を会長、県自然環境室と南海エフディサービスを副会長、南紀串本観光協会を監事、の各候補とすることなどを申し合わせた。
同日現在の運行計画案は、乗客定員13人のマイクロバス2台(稼働車と予備車)を運用し1日4便(最終便のみ経路延長)を走らせる内容。経路は「串本駅~ホテル&リゾーツ和歌山串本~大江戸温泉物語~道の駅くしもと橋杭岩~串本駅~潮岬(潮岬観光タワー付近)~樫野(樫野崎駐車場付近)~串本駅」の巡回とし、最終便のみ同駅から各大型宿泊施設まで延長運行する想定となっている。白浜以南の鉄道利用促進を狙って特急くろしおとの乗り継ぎを前提にした時刻表編成を意識しているほか、運賃は1日券1000円とし同券の提示で同町コミュニティバスも無料で利用できる方向で調整が進んでいる。
これら説明に対する意見では、▽1便当たりの利用者が13人以上の時の対応▽ビジネスホテルや民宿などの宿泊者も同駅から利用できることの明示▽コミュニティバスとの併用を分かりやすくする情報媒体の作成▽乗車予約制実現の見通し(当面は行わない)▽運行開始の具体的なめど(県は同センター開所と同発を希望)―などがあった。暫定的に事務を担う県自然環境室はそれら意見を参考にしながら諸案を煮詰め、4月中に同協議会の設立総会を開いて円滑な初動を目指すとしている。
(2019年3月15日付紙面より)
自然探訪スクールに40人
新宮市教育委員会と熊野学研究委員会は10日、那智勝浦町の宇久井ビジターセンターで自然探訪スクール第9回講座「春の野草を味わう」を開催した。この日は雨天で、小学生から大人まで40人が参加し室内で講座を受け、揚げたての野草の天ぷらを味わった。
講師の瀧野秀二さん(熊野学研究委員会委員)が春の野草の種類とそれぞれの特徴、似ている植物との見分け方などを丁寧に説明。クマノザクラについても触れた。例年は周辺を散策しながら野草を摘み、採ってきたものを天ぷらにするが、今年は雨天のため、事前に用意した野草をその場で天ぷらにした。
フキノトウやノビル、アシタバ、ツクシ、ヨモギ、ハマアザミ、ツワブキなどを揚げ、野草の料理やトウモロコシ入りの茶がゆなどと一緒に味わった。
すさみ町から参加した山本慶子さん(64)はいろいろな野草の見分け方などを学べたことが印象に残ったと話し「家にツワブキがありますが、こんなにおいしいとは」。
瀧野さんは「できるだけこのような機会を利用し、自然の恵みを感じてもらいたい」と話していた。
本年度の同スクールはこの日で終了。来年度も年間を通して開催される予定となっている。
(2019年3月15日付紙面より)