三輪崎小を推進校に指定 (新宮警察署 )
新宮警察署(田原正士署長)はこのほど、新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長)を「サイン+(プラス)サンクス運動推進校」に指定した。「令和4年わかやま夏の交通安全運動」(11~20日)初日の11日、田原署長が同校を訪れ指定書を交付した。
同運動は、横断歩道を渡るときに歩行者が手を上げる(サイン)などして、運転者への横断する意思を明確に伝えることに加え、停止した運転者に対し「ありがとう」(サンクス)の気持ちを会釈などで伝えることで、運転者に横断歩行者保護の意識を向上させ、横断歩行者事故を抑止することを目的としている。
運転者とアイコンタクトをする習慣が身に付くことにより、安全確認の徹底を図ることができ、運転者にとっても感謝を伝えられることによって「止まって良かった」という気持ちから、横断歩行者保護の意識の継続性につながる効果が見込まれる。
また、横断歩道の手前で車が止まってくれたという経験を重ねることで、子ども自身が運転者となった際に、横断歩道における歩行者優先の意識の定着を図る狙いもある。
和歌山県警ではこのたび、運動を強力かつ広く展開するため、通学などにおいて横断歩道を渡る機会が多い小学生に積極的に取り組んでもらおうと、県内12署管内13校を推進校に指定した。新宮署管内では同校のほか、串本町立古座小にも指定書が交付された。
なお、県警によると、信号機のない横断歩道で手を上げない場合、40台中2台の車しか停止しなかったが、手を上げた場合には40台中34台の車が停止したという。しかしながら、「信号機のない横断歩道における車の一時停止率」(2021年JAF調べ)によると、和歌山県は18・4%で全国ワースト5。停車率は年々上がっているが、全国平均(30・6%)には遠い状況となっている。
田原署長は「子どもたちが笑顔で横断歩道を渡ることができる社会になってほしい」。指定書を受け取った嶋田校長は「子どもたちの安全が第一。児童の安全につながるように学校としても取り組んでいきたい。推進校指定を機に、さらに啓発に努めていきたい」と意気込みを語った。
(2022年7月13日付紙面より)
熊野川改修促進期成同盟会が総会 (新宮市 )
熊野川改修促進期成同盟会(会長・田岡実千年新宮市長)の令和4年度通常総会が8日、新宮市役所別館であった。本年度事業計画など4議案を承認。本年度は、国土交通省や関係機関に予算確保や直轄河川事業促進などを要望していくことを確認した。
同会は熊野川流域の水害防除と円滑な土地利用で地域発展に寄与することを目的に1981(昭和56)年11月に設立。国直轄区間河川の整備工事推進を目的に要望活動などを展開している。会員は新宮市、紀宝町の両首長、議会議員らが務める。
田岡市長は11年前に甚大な被害を発生させた紀伊半島大水害に触れ、同盟会として総合的な治水対策のため、関係機関に改めて要望活動を行っていくとし、「新宮川水系河川整備基本方針」の見直しから河川整備計画が今年3月に策定されたことについて、各関係者らの尽力に感謝を述べた。
大規模災害以降は、国が行う熊野川本川や支川での治水事業や市田川の排水機場のポンプ増強工事が実施されているとし、浸水被害の軽減につながるものと期待しているとした。
気候変動などの影響で、地域住民は不安を抱えながら出水期を過ごしているとし、「今後とも新宮川水系河川整備計画に基づき、さらなる治水事業や南海トラフ巨大地震などの対策を推進していただきたい。流域住民の安全・安心を確保するため引き続き、皆さま方にはご協力をお願いします」と話した。
続いて、来賓を代表して東牟婁振興局新宮建設部の久保浩也部長が祝辞を述べた。
議案の承認後、副会長の西田健紀宝町長は「今後も河川整備計画にのっとり、力を合わせて住民の安心安全や美しい自然景観を守っていきたい」と述べ、閉会のあいさつとした。
□ □
紀南河川国道事務所の岡崎慎一副所長が、紀伊半島大水害を含む新宮水系における過去の洪水の詳細や水害後から取り組んできた災害復旧作業、河川激甚災害特別緊急事業、治水事業による河道掘削の効果、河口砂州の閉塞(へいそく)によって水位が上昇した事案、掘削土砂の有効事例、河口砂州が増水時に早く開口するために掘削工事を進めてきたなどを紹介した。
そのほか、基準地点である相賀において、2万2000立方㍍毎秒の流量を安全に流下させることなどを目標とした新宮川水系(熊野川)河川整備計画を今年3月には策定したと報告。
同水系の治水事業としては▽市田川特殊堤や相野谷川排水機場、市田川水門について耐震対策が完了▽鮒田水門などは引き続き耐震対策を行う▽国が令和元年度より、市田川排水機場で10・9立方㍍毎秒のポンプ増強に着手しており、本年度も実施する―などを説明した。
(2022年7月13日付紙面より)
担当の平林勲さんが観察 (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館(森美枝館長)が11日、串本の海を代表するテーブル状のイシサンゴの一種・クシハダミドリイシの一斉産卵を観察したことを発表した。
世界最北限とされるサンゴ群落を有する串本の海の豊かな生態系を展示のコンセプトとする同館。イシサンゴ類担当として産卵シーズンに夜半~深夜の潜水観察を重ねている平林勲さんによると、海中観光船乗り場先約50㍍の海域に定着するクシハダミドリイシの群体が9、10日の2日間にわたり一斉産卵。タイミングとしてはおおむね例年並みで、やや小規模だが産卵中は暗い海中に吹雪が舞うようにバンドル(=精子と卵が入ったカプセル上の放出物)が幻想的に漂ったと印象を語る。
今年はじかに観察できなかったがクシハダミドリイシに先んじて産卵が始まる傾向にあるスギノキミドリイシも先月下旬に一斉産卵したと見られ、バンドルを放出した後の状態を確認済み。今後もエンタクミドリイシなど他のサンゴの産卵が予想されるそうで、平林さんは「7月いっぱいは観察を続ける。串本の海に関わる一人として少しでも長く、豊かなサンゴの海を見続けられれば」と話している。
(2022年7月13日付紙面より)
亡き師の作、門弟継ぐ (新宮市 )
五代目桂文枝門弟落語会が9日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。桂小文枝さんの「熊野詣」など、5人の落語家が落語を披露した。約250人が来場、軽快な語りを楽しんだ。
新宮市、新宮市教育委員会の主催。新宮市丹鶴ホールオープニングイヤー事業として実施した。「熊野詣」は故・五代目桂文枝さんの名作となる。
演目は、桂小文枝さんの「熊野詣」のほか▽テレビ和歌山に出演している桂枝曾丸(しそまる)さんの「欲盛通販」(和歌山弁落語)▽桂坊枝さんの「がまの油」▽桂かい枝さんの「堪忍袋」▽桂小きんさんの「米揚げ笊(いかき)」―があった。
熊野詣では、桂小文枝さんが、よどみない語りを披露。もともとは25分から30分ぐらいの話を、オリジナルの部分も加え、50分程度に延ばした。父子が京都を旅立ち、熊野詣をする話で、熊野三山はもちろん、熊野比丘尼(びくに)や八咫烏(やたがらす)、梛(なぎ)の小枝、那智の滝なども登場する。
観客は、身近な場所で展開する物語に引き込まれた様子で、熱心に見入っていた。他の出演者の落語もそれぞれが愉快なもので、観客は大いに笑い、盛んな拍手で称賛していた。
桂小文枝さんは公演後に「熊野詣をやるのは3回目。順番もあるので、話の流れを2、3回やって覚えた。田辺の宿の話を入れたり、最後の落ちも変えた」などと説明。落語「熊野詣」について「残すためにも、広めていった方がいいと思う。20分ぐらいに縮め、笑いが増えるように手を加えて、(落語家)みんなが熊野詣をやって、残してもらえるよう願う」と話した。
落語「熊野詣」は、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録された2004年ごろに、熊野三山協議会が五代目桂文枝さんに創作を依頼して誕生した。創作に際し、何度も熊野を訪れ、ヘリコプターで上空から眺めるなどして、2年をかけて練り上げたという。
(2022年7月13日付紙面より)
東牟婁地方中学校総体陸上競技
バドミントン講習会 (串本町体育協会 )
剣道級位審査会
報知旗争奪関西さわやか大会
熊野三山で茅の輪くぐり
熊野三山で6月30日、「夏越大祓式(なごしおおはらえしき)」が営まれた。参拝者たちは「茅(ち)の輪くぐり」で半年間の災厄をはらい清め、夏の疫病退散と新型コロナウイルス感染症の終息などを願った。
12月31日(大晦日(おおみそか)の大祓)と年2回営まれる、上代から伝わる儀式。「夏越大祓式」では、社会全般の不浄をはらい除き、不慮の事故や災害に巻き込まれることのないよう、また日々重なる災厄を清め、夏に向かい疫病にかかりやすくなる時季を無事に過ごせるように願いを込める。
「水無月(みなづき)の夏越のはらいする人は 千歳(ちとせ)の命のぶというなり」という唱え歌があり、3歳で母を亡くした俳諧師、小林一茶(1763~1828年)は「母のぶん も一つくゞる 茅の輪かな」と詠んでいる。
熊野速玉大社(上野顯宮司)では、約120人の参列者が大祓詞(おおはらえのことば)を唱え、人形(ひとがた)と呼ばれる人の姿をかたどった紙に息を3回吹きかけてけがれを移した。人形は全国から寄せられた人形と一緒に唐櫃に納められ、神職がはらった。
続いて参拝者たちは、上野宮司や唐櫃(からひつ)を担いだ神職らの後に続いて境内に設けられた直径約2㍍の茅の輪を8の字に3回くぐり、夏の無病息災を願った。
上野宮司は、本土復帰50周年の年に当たり、先月23日に沖縄県で営まれた「慰霊の日」を振り返り「沖縄では異国の文化の中で暮らすことで、日本の慶(よろこ)びの歌を歌うこともできなかった」。
日本人は人間だけではなく、生きとし生けるもの全てに神を感じて暮らしてきた民族であると述べ「未来に向かって日本の祈りを伝えていきたい。万物を大事にする心を宿して健康に留意し、元気に過ごしていただきたい」と参拝者らに呼びかけた。
(2022年7月2日付紙面より)
観光拠点の道の駅たいじ (太地町 )
地域の食文化を学び・体験する機会につなげようと文化庁が取り組む「食文化ミュージアム」の認定施設にこのほど、太地町の道の駅たいじ(〆谷(しめたに)和豊駅長)が選定された。町の玄関口であり、観光拠点の一つでもある同施設。認定への喜びの声や取り組み、今後について取材した。
文化庁では地域ごとの特色のある食や受け継がれてきた食の技術や、多様な食文化に関する学び、体験の提供に取り組む博物館、道の駅などの施設に関する情報を集約。ウェブ上の仮想のミュージアム「食文化ミュージアム」において一体的に発信し、実際に各施設に足を運んで地域の食文化を学び・体験する機会につながることを目指している。
道の駅たいじの担当で、今回のミュージアムに応募した山本広樹さんによると、鯨と共に生きる文化や町のPRのために応募したという。
認定について「素直にうれしい。クジラに対する認知度の向上や食べたことがない人、懐かしく思う人にも食べていただく機会になってほしい。調理のハードルも低い、クジラ料理を自身の家庭で実践していただくことも目的です」と話した。
同施設ホームページの直売所紹介部分では、クジラ肉の調理例なども確認できる。誰もが手軽にクジラ料理調理に触れられる工夫も行っている。
□ □
これまで同施設では、那智勝浦町にある天満牧場の牛乳を使用したソフトクリームが人気を博していた。しかし、今年3月末に同牧場が乳業を廃業したため、人気メニューが廃版となった。
代わりとなる商品を模索・検討し、「那智黒あめ」で有名な同町森浦の株式会社那智黒総本舗に打診。同社では2014年に那智黒ソフトクリームを開発し、那智山の直営売店でのみ販売をしていた。
同社専務取締役の坂野雄紀さんは「このソフトは那智黒あめを感じることができるものに仕上げた商品。当初は本社での販売も検討していたが、観光拠点である道の駅のほうが太地町のPRにつながると思い、置いていただくことになった。こだわりの商品なのでぜひ、食べていただけたら」と話している。
山本さんは、那智黒ソフトクリームはソフトクリーム全体で、最も人気があり、売り上げ貢献につながっているとした。コーンタイプだけでも、4月から6月9日現在で1300本を販売するほど評判だという。価格は380円。
□ □
同施設の目玉のイベントである朝市。さまざまな商品が並び、コロナ禍以前は多くの来場者でにぎわっていた。体験型の催しも含め、感染状況を注視しながら、開催していきたいとした。
今後は、感染症対策の継続、家庭で調理可能なレストランのメニュー開発やホームページの充実、課題である地場の野菜・果物の取り扱い強化にも力を入れるとした。
山本さんは「お客さまも戻りつつある。そのためか、鯨ハムやクジラの大和煮もよく売れており、クジラの町としてはありがたい。また、地域の福祉施設のパンやひじきの取り引きもある。広く、大きく地産地消を捉えていくことが今後、重要になるのでは」と語った。
(2022年7月2日付紙面より)
御舟の旧陣幕の内容を確認 (古座川河内祭保存会 )
古座川河内祭(こうちまつり)保存会(杉本喜秋会長)が6月29日、串本町古座にある古座漁村センターで御舟の旧陣幕の内容確認をした。
御舟の陣幕は鯨船上に組んだ屋形部分に施す装飾具の一つで、両舷それぞれの絵柄で3枚、船尾1枚、へさき1枚から成る。現在用いているのは1995(平成7)年に新調したもので、古座の御舟と櫂伝馬(かいでんま)は地内3分区(上ノ丁、中ノ丁、下ノ丁)がそれぞれに建造して伝えているため陣幕も3組ある(うち上ノ丁の1組は部分焼損した状態で保管中)。
以前のものは引き継ぎの不調で久しく所在不明となっていたが、今年6月初旬に勇進会が祭船倉庫で保管する小伝馬を点検した折に庫内から見つかったという。
この日は県文化遺産課の藤森寛志主査や町教育課の田村浩平主査も状態確認のため立ち会い。杉本会長と南道房男さんが保管箱に収められた旧陣幕を広げ並べた結果、1937(昭和12)年新調の中ノ丁と下ノ丁の旧陣幕一式と新調年の記載がない上ノ丁の旧陣幕3枚(両舷分のみ)があることが分かった。上ノ丁の一世代前の旧陣幕は依然として所在不明という。
藤森主査によると、河内祭の御舟行事自体が国の重要無形民俗文化財指定を受けているので旧陣幕もその枠内で保存対象になるそう。文化財として新たに指定する線は考えにくいが、今後この行事を保存していく上で原初の形を継承するよう求めていく立場から言えば原初に近い形を持つ点で旧陣幕には価値があるという。
杉本会長は所在判明を喜び、以後このようなことが無いよう耐震性ありとされる同センター3階倉庫で保管し引き継ぎの記録を残すそう。今回の確認における最大の発見は上ノ丁の旧陣幕。一式ではないが両舷ともそろっていて一世代前の所在不明により焼損で失われた状態になっている絵柄がより原初に近い形で判明した。杉本会長は江戸末期~明治初期の陣幕ではないかと上ノ丁の旧陣幕を洞察し、「段ボールではなく樟脳(しょうのう)を詰めたプラスチックケースで大事に保管し、将来の新調へつなげていきたい」と気を引き締めて語った。
(2022年7月2日付紙面より)
職員が図上訓練で備え (那智勝浦町 )
那智勝浦町は6月30日、同町役場で、職員を対象にした避難所運営図上訓練を行った。4人が参加、避難所となる学校の絵や想定される事態を記したカードを使い、どう運営すべきかを学んだ。
同町は災害発生時に備え、避難所ごとに担当職員を決めている。避難所運営図上訓練はできるだけ同一避難所の担当者で実施。このため、別日にも別担当者が行う。この日は主に宇久井小中学校や、色川小中学校の担当者が参加した。
和歌山県が作製した、オリジナルの災害対応シミュレーションゲームを用いて避難所運営を図上訓練した。模造紙大の紙に避難所となる学校の俯瞰(ふかん)図が描かれており、避難者の受け入れを行いながら課題やトラブルに対応していくというもの。正しい対応をするほどポイントが上がる。
参加者は各自が▽施設管理/保健衛生▽総務/要配慮者▽食料物資/被災者管理▽情報/ボランティア―の班長となり、各分野を担当した。課題やトラブルはカードに記されており、内容によっては3択問題となっていた。開設からの時間も、1日目、2~3日目、4日~1週間と分かれており、起こる課題やトラブルも時間経過に準じたものとなっていた。
「トイレを使わせてほしい、もう我慢ができない」「駐車場を設置するのに適した場所は」「避難者名簿を作るために記載してもらう事項は」「授乳室の設置はどこに」などの課題やトラブルがあった。参加者は、3択問題の場合は解答を、設置場所問題は学校内のどこに設置するかを話し合い、決定していた。適切な解答ほどポイントが高く、不適切なら0㌽となっていた。
税務課の疋田晋一さんは「災害が起きたときは対応に追われ、目の前のことだけになりそうだが、今日のゲームは俯瞰して建物や人の状況が見られる。どういうところに気を付けるべきかが分かりやすく学べた。いざというときに生かしたい」と話した。
(2022年7月2日付紙面より)
県学童女子選手権大会