紀伊風土記の丘で特別展 (三輪崎小 )
和歌山市の県立紀伊風土記の丘で開館50周年を記念した令和3年度秋期特別展「海に挑み、海をひらく―きのくに七千年の文化交流史―」が10月2日(土)から12月5日(日)まで開催される。新宮市立三輪崎小学校でこのほど、展示品として同校所蔵のモリを貸し出し提供すべく、梱包(こんぽう)作業が行われた。
同展は紀伊半島の沿岸に暮らした先人たちや海の歴史を考古学と民俗学の観点から紹介することがテーマ。和歌山県発祥の漁業にもスポットを当て、改良を重ねた技術が全国各地に伝わったことや、新宮・東牟婁含む県内各地の漁具や資料などが展示される。
同校のモリ2本は寄贈されたもので、捕鯨を行っていた三輪崎組の紋「三つの輪」が刻まれている。このモリに加え、クジラのひげや疑似餌などが貸し出しされる。
三輪崎区や三輪崎郷土芸能保存会、三輪崎漁業協同組合も協力。「鯨踊りの衣装」や「捕鯨に関する写真」「一本釣りに使用した竹の釣り竿」なども展示されるという。
紀伊風土記の丘の主査学芸員・蘇理(そり)剛志さんは「県内では江戸時代から明治半ばまで捕鯨をやってきたのが、太地や古座、三輪崎。紆余(うよ)曲折を経て、約300年にわたり、行ってきた文化が残っている。三輪崎の捕鯨はなくなったが、鯨踊りなど、さまざまな形で伝統が引き継がれ、地域の誇りになっている」。
モリについては「古式捕鯨時代のもの。形も古く、数も残っていない。古くからある三輪崎鍛冶にもつながる。鉄を加工する技術あってこその捕鯨。このモリは重要なものだと思う」と話した。
嶋田雅昭校長は「当校は三輪崎郷土芸能保存会の皆さまから鯨踊りや捕鯨について教えていただいているため、児童も三輪崎の捕鯨文化に触れることができている。価値のあるモリなどを多くの方々に見ていただけるのはうれしい」。
児童に対しては「博物館に展示されるほどの貴重な物が学校にあるということを児童にも伝えたい。県内での修学旅行になるため、行き先の一つとして展示を見に行くことも検討している」と語った。
なお、太地町の鯨舟の模型や鯨絵巻、串本町の河内祭の道具なども展示される予定。
(2021年9月19日付紙面より)
相須地区でいきいきサロン (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町の相須集会所で16日、「ふれあいいきいきサロン」があった。地域住民5人が参加し、防災クイズを交えてコロナ禍の避難について考えた。
サロンは地域のコミュニティーづくりや介護・寝たきり防止、1人暮らしの人への見守りなどを目的に、区と市社会福祉協議会が協力して開いている。新宮市の施設利用再開を受け、手指消毒や参加者全員の検温、マスク着用などの感染対策を取りながら実施した。
この日は市社協熊野川ステーションの大江真季さんが、コロナ禍中に災害が発生して避難所生活を送ることになったときの備えについて講話。「災害時は危険な場所から避難するのが原則だが、食料や水に加えてマスク、アルコール消毒液、体温計などの感染対策用品を持ち出し袋へ入れておくことが大事。9月の防災月間に合わせて市内のスーパーマーケットに防災用品コーナーができているので、一度見に行ってみて」と呼び掛けた。
「高齢の方や足の悪い人は警戒レベル3の『避難準備・高齢者等避難開始』のときにはもう避難しておいてほしい」と言い、改めて早期避難の重要性を伝えた。
住民からは「紀伊半島大水害の時、なかなか救援物資が届かず難儀した」「自分の身は自分で守らなければ」との声があった。
(2021年9月19日付紙面より)
宇久井神社例大祭・宵宮祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井神社(男成洋三宮司)例大祭の宵宮祭が17日夜、本殿であった。例年多くの人でにぎわうが、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため宵宮と本宮の規模を縮小。神職や祭典役員、党家講など関係者ら約20人が参列して厳かに式典が斎行された。
例年の宵宮では、式典後に宇久井青年会と秋葉会による神楽の奉納や宇久井婦人会による踊りが場を盛り上げ、盛大に餅まきが行われているが、昨年、今年は取りやめとなった。
台風接近の影響で雨が降る中、式典が進められた。熊野那智大社から出仕した伊藤士騎禰宜が神事を執り行い、祝詞を奏上。出席者が玉串をささげた。
式典後の神酒拝載では伊藤禰宜が「コロナが終息に向かいまして、活気あふれる宇久井のお祭りが復活することを心よりお祈りしております」と述べ、一同、手にした杯で乾杯した。
祭典委員長の亀井二三男さんは「残念ながら省略した形での宵宮祭となった。昨年は当地域でのコロナの影響は少なかった。来年こそはと思っていたが、感染が広がり今年も縮小する形となった。2年はわれわれにとっては大きな年。祭典関係者の高齢化も進む中、2年間休んで来年は体力的に大丈夫だろうかとの懸念もある」。
来年については「地域の祭りは氏子の方々にとって大切なもの、決断は心苦しかった。今回の祝詞にもコロナ終息の思いを込めていただいた。来年こそは皆さまの豊漁や健康を祈り、盛大にやっていきたい」と意気込みを語った。
(2021年9月19日付紙面より)
4年生が「鵜殿ばやし」を練習 (鵜殿小 )
新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの祭り、イベントが規模縮小や中止を余儀なくされ、紀宝町鵜殿地区で毎年11月22、23日に開催される「うどのまつり」も2年連続の中止が決まった。
秋を彩る「うどのまつり」は、鵜殿ばやしの手踊りが練り歩き、熊野水軍太鼓の演奏、諸手船(もろとぶね)をかたどったダンジリの上でハリハリ踊りを披露するなど、毎年、地区内が祭り一色に包まれる。
鵜殿ばやしは1992年に誕生し、96年に保存会が発足。うどのまつりや紀宝みなとフェスティバルなどで披露し、町村合併以前の旧鵜殿村運動会でも住民総出で踊ったという。
その地域の伝統踊りを子どもたちに継承してもらおうと、町立鵜殿小学校では毎年、運動会で4年生のプログラムに組み込んできた。
昨年は新型コロナの影響もあって運動会で披露する機会がなかったが、今年は10月2日(土)の運動会で2年ぶりに復活する。
本番に向け、4年生35人が保存会のメンバーに踊りを教わりながら練習に励んでいる。15日にはメンバー4人が訪れ、細かい動きを丁寧に指導した。
「沖を眺める」「網をたぐり寄せる」など漁師のしぐさを盛り込んだ男踊り。手を上げる角度や指先の力の入れ方など、難しい動作も多く、児童たちはアドバイスを受けながら覚えていった。今後も本番まで練習を重ねるという。
メンバーの松元美国さんは「現在の保存会メンバーは20人ほど。昨年から鵜殿ばやしを披露する場がなくなり、踊りを知っている子どもも少なくなってきた。鵜殿の伝統を引き継いでもらい、来年、祭りが開催されれば参加してもらいたい」と話していた。
女子児童は「踊りは難しいけど、頑張って運動会までに覚えたい」と笑顔を見せていた。
(2021年9月19日付紙面より)
紀の国わかやま文化祭 (新宮市 )
10月30日(土)から和歌山県内全域で開催される「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」を広く周知しようと同文化祭和歌山県実行委員会は12日、新宮市のJR新宮駅で西日本旅客鉄道株式会社和歌山支社協力の下、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」とタイアップしたおもてなし企画を実施した。同文化祭スペシャルインフルエンサーを務めるモデルの本谷紗己さんが一日車掌を務め、催しのPRなどを行った。
この日は地元和歌山を拠点に活動する兄弟お笑いコンビ「すみたに」らキャラバン隊メンバーと、きいちゃんも現場に駆け付け、場を盛り上げた。
本谷さんは駅構内において、乗客や駅利用者らを前に文化祭の詳細などをマイク放送し、記念撮影などにも応じた。乗車後は同駅からJR太地駅までの間、列車内で銀河限定のスタンプ押印や文化祭に関するパンフレットなどの配布にも取り組んだ。
また、同じくスペシャルインフルエンサーで、声優の中島由貴さんが事前収録した声による車内放送も紀南、紀中、紀北の各エリアで流され文化祭をPRした。
本谷さんは「銀河に乗って乗客の皆さまに文化祭をPRできることはめったにない貴重な経験。本当にうれしいです」。
意気込みについては「スペシャルインフルエンサーとしてこの日、撮影した動画や写真はユーチューブ(動画投稿サイト)やインスタグラムを通して発信します。今日は多くの方々に和歌山の魅力と文化祭を知っていただきたいです」と笑顔で語った。
駅構内で銀河や催しを撮影していた40代男性は「国民文化祭が来月、和歌山県で開催されることを初めて知った。知人にも教えてあげたい」と話していた。
(2021年9月14日付紙面より)
智英さんが補陀洛山寺住職に (那智勝浦町 )
「父と兄から、西国三十三所の一番寺と世界遺産の重みを引き継いで身の引き締まる思い」。那智山青岸渡寺の副住職として、兄で住職だった故・髙木亮享(りょうきょう)氏を支えてきた亮英(りょうえい)さん(71)は語る。8月5日に正式に同寺の住職を拝命した。また、同日に長男の智英(ちえい)さん(39)が補陀洛山寺の住職を拝命。親子二人三脚で歴史と文化が詰まった世界遺産の両寺を守っていく。
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那智山で生まれ、那智の滝を身近に感じながら成長した亮英さん。1965年に比叡山に入山し72年に龍谷大学を卒業した。
那智勝浦町史の編さん委員も務め、74年に出家得度。同寺の住職だった父の故・亮孝氏と兄・亮享氏の背中を追い、今日に至る。
諸国霊山100余カ所、中国、インド、韓国で仏教聖地巡礼し、スペイン巡礼も行う。84年に同寺の副住職を拝命。89年には熊野大峰奥駈修行を復活させた。
その後は世界宗教サミットへの参加、那智四十八滝回峯復活、葛城二十八宿行も始めた。2017年には権大僧正に昇任している。
「これまで寺を守ってきた父、その跡を継いだ兄。二人の存在のおかげで今がある。尊敬する兄という手本を失ったのは大きな痛手」と父と兄の死を振り返る。
住職拝命について「父と兄の背中を参考にして、歴史や文化、重責を受け継ぎ、火災や災難を防ぎ寺を守っていく。その後は熊野修験も含め、心も信仰も次の世代に伝え引き継いでいきたい」と力を込めた。
趣味は山歩き。座右の銘は、自分自身の置かれた場所で精いっぱい努力し、明るく光り輝くことのできる人こそ、何物にも代え難い貴い国の宝という意味の「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」だと話した。
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智英さんは2000年に県立新宮高校卒業後、龍谷大学に進み04年に比叡山延暦寺にて得度受戒。亮英さんの弟子となった。
05年に比叡山行院にて天台四度加行遂行。その後、叡山学院を経て神峰山寺(かぶさんじ)に入寺し修行。19年に那智山青岸渡寺に入寺した。
大阪府の神峰山寺時代については「檀家(だんか)寺だったため、お通夜やお葬式のお勤めも多かった。いろいろな方々と接し、悩みに添えるようなこともあったため良い修行を積むことができました」と回顧する。
補陀洛山寺の住職拝命を受けて、「天台宗補陀洛山寺の法灯を継承すべく、後世に歴史や信仰を伝えていきたい」と抱負を述べた。
また、智英さんは総本山から辞令が下り次第、年内にも青岸渡寺の副住職を拝命する。寺院運営や熊野修験については「時代の流れに合わせて青岸渡寺、補陀洛山寺のホームページやSNS(会員制交流サイト)の整備などを行う。幅広い世代の方々に参詣していただけるような寺院運営に従事していきたい。また、復興した熊野修験を後世に残すため、祖父と父の意志を受け継いで継承していく」と固い意志を示した。
父・亮英さんに対しては「父と同じようにはできない。父をサポートするとともに、これからも背中を追い続けていきたい。一生、修行です」。
趣味は父と同じで山歩き。好きな言葉は「忘己利他(もうこりた)」。自分のことは後にして、人に喜んでもらえることを行うといった意味があるという。
(2021年9月14日付紙面より)
潮岬中2年の久保凛さん (串本町 )
本州最南端から全国の頂へ―。全日本中学校陸上競技選手権大会共通女子800㍍に出場した串本町立潮岬中学校2年・久保凛さんが10日、田嶋勝正町長を表敬訪問し結果を報告するなどした。
久保さんは7月にあった第67回全日本中学校通信陸上競技大会和歌山県大会共通女子800㍍で優勝。その予選で大会新となる2分14秒04を記録した。この大会は第48回全日本中学校陸上競技選手権大会標準記録突破大会を兼ねていて、標準記録(2分16秒50)を突破し同選手権大会同種目の出場権を獲得した。
来る本番までの間には第70回近畿中学校総合体育大会があり、久保さんは地方、県、近畿の同種目で優勝。ベストタイムの更新はならずも力を増して先月18、19日実施の同選手権大会を迎えた。
予選の記録は41人中9位。8位以上を対象とするA決勝には届かなかったが9~16位を対象とするB決勝に進出し3着となった。結果は総合11位だが、記録だけをみれば全国で7番目、2年生選手の中では全国首位の結果となった。
以降、28日に紀三井寺公園陸上競技場であったU―16陸上競技大会選考会女子県代表選考種目1000㍍に挑戦し記録2分56秒22で優勝。来月22日(金)から24日(日)まで愛媛県総合運動公園陸上競技場で開かれるジュニアオリンピックカップ(JOC)第52回U―16陸上競技大会の同種目出場権を得た。
これら一連の経過を教育課の鈴木一郎課長が本人同席の下で田嶋町長へ報告。同校も同選手権大会女子800㍍決勝の動画で久保さんの挑戦の様子を伝え、田嶋町長は県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会でもコースレコードを重ねる活躍をしている久保さんのさらなる好成績を喜び「話を聞いて心強く、まだ伸びると感じた。まちもできる限りバックアップ態勢を取るので、次のU―16などいろいろな場面でいい成績を残してほしい」といっそうの活躍を今後に期待した。
田嶋町長に将来の目標を尋ねられ、「オリンピックに出たい」と胸を張って答えた久保さん。「(同選手権大会の)結果には少し悔しいところもあるけれど、自分の全力で走れたし悔いはない。来年も出場して1位が取れるよう、これからも頑張ります」と意気込み、その目標を達成する自信も力強く示した。
(2021年9月14日付紙面より)
高田小・中で土砂災害避難訓練 (新宮市 )
新宮市立高田小学校・中学校(大家淳志校長、児童6人、生徒6人)で10日、土砂災害避難訓練があった。児童生徒たちは避難経路を確認するなど、災害への意識を深めた。
訓練は2019年から実施し、今年で3年目。11年に発生した東日本大震災、紀伊半島大水害から10年が経過したことに伴い、子どもたちに山の多い同地域で起こる可能性がある土砂災害への意識を持ってもらおうと行われた。
この日は同校横にある山が崩れ落ちたと想定。災害を知らせる校内放送が流れると、児童生徒は防災頭巾をかぶり、教職員の指示に従って駐車場へ一次避難した。駐車場に土砂が迫り、校門から逃げられないことも想定し、脚立を使ってフェンスを乗り越える二次避難訓練にも取り組んだ。
避難を終えた子どもたちに同中学校の成見雅貴教頭が「土砂が押し寄せた場合には校門からは出られず、さらに避難しなければいけません。地形上、津波の心配は少ないかもしれないが、豪雨時には川の増水が考えられるので注意しましょう」と伝えた。
大家校長は「災害発生時に先生たちが皆さんの近くにいるとは限らない。そんな状況でも早急に逃げられるように訓練を重ね、精度を上げるのが重要。自然災害はいつ、どこで起こるか分からない。『絶対に生きる、諦めない』という気持ちで、命を守ることを忘れないでください」と呼び掛けた。
水口胡都(こと)さん(6年)は「最初に比べると訓練の大切さを知り、避難時の判断ができるようになりました。実際の災害は想像以上に恐ろしいと思うので、授業の中だけでなく普段から防災への意識を高めたい」と話していた。
(2021年9月14日付紙面より)
秋季高校野球県一次予選
サッカー普及の功績たたえ (那智勝浦町議会 )
那智勝浦町議会(荒尾典男議長、12人)の9月定例会が10日再開し、国内におけるサッカー普及に大きく寄与した同町出身の中村覚之助氏を名誉町民に推挙する議案が全会一致で同意された。この日は日本サッカー協会が設立100周年を迎える記念すべき日だった。
中村氏は1878年に旧那智村浜ノ宮で生まれ、1900年に東京高等師範学校(現筑波大学)に入学。教授の坪井玄道氏が海外視察から持ち帰った「アッソシェーション・フットボール」を翻訳し、日本初のサッカー指導書を編さんした。さらには日本初となるサッカーチームを創設し、国際試合も実施した。1906年に28歳の若さで逝去した。
それらの功績をたたえようと、同町出身でロサンゼルス、ベルリンの両オリンピックの棒高跳びにおいて銀メダルを獲得した西田修平氏に次いで二人目の名誉町民に推挙された。
同町によると、東京五輪や協会設立100周年などもあったことから、今回のタイミングになったという。
堀順一郎町長は中村氏の功績をたたえ「本日は協会設立100周年を迎える記念の日。サッカーの発展に貢献したことから協会からも町へ感謝状を頂くことになった」と報告。
今後については「中村さまを顕彰し、このことを日本全国、世界に発信していく。サッカーの町、ヤタガラスの町としても多くの方に来ていただける取り組みも併せて進めていきたい」と話した。
この日、議場に駆け付けた中村氏の兄・亀一氏の孫に当たる統太郎さんは「覚之助の生前の功績が認められ名誉町民に選ばれた。この上ない喜びであり、親族としても光栄に思う」と喜びを語った。
(2021年9月11日付紙面より)
熊野・那智ガイドの会(汐﨑眞次会長)のメンバー11人は9日、世界遺産「紀伊産地の霊場と参詣道」の一部であるかけぬけ道で道普請(みちぶしん)に汗を流した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で予定されていた中高生の修学旅行は延期となっているが、古道を歩く人々の安全を確保するとともに、地元の人々にも歩いてほしいとの思いから実施した。
この日は熊野那智大社・那智山青岸渡寺~妙法山阿弥陀寺を結ぶルートで道普請。2011年の紀伊半島大水害で発生した土石流によって道が流失した部分の迂回(うかい)路とかけぬけ道の合流地点付近で、道を覆い隠すように茂るマツカゼソウを刈り、枯れ葉で埋まった石段を掘り起こした。
作業後は、道中の落石の除去や危険箇所の確認などをしながら、霧にかすむ古道をたどって阿弥陀寺まで歩いた。
汐﨑会長は「コロナが収束したら、観光客の数も増えてくるはず。ガイドの仕事に興味がある方は、ぜひ一緒に活動しましょう」と呼び掛けている。
(2021年9月11日付紙面より)
CGS部調理班、販売急ぐ (串本古座高校 )
県立串本古座高校(左近晴久校長)のCGS部調理班(森陽翔班長、班員8人)が9日、3年越しで地元食材を使った万能だれ「あがらのたれ」を商品化した。来週中に協力事業所で販売を始める予定で、入部以来関わってきた森班長(3年)は「肉にも野菜にも合い、野菜嫌いの自分でもこれをかけると野菜が食べられる。班一丸で作った自慢のたれなので、ぜひ手にとってほしい」とアピールしている。
このたれは、みくまの農業協同組合の働き掛けにより古座川町~旧古座町域で生産が活発化している食材・ニンニクの消費を促すレシピ作りに協力する中で開発。イベントで試験披露したり家族など班員つながりで試食をしてもらったりなどして得た意見も取り入れながら、レシピを練り上げてきた。
2年余り関わってきた3年生の引退間際で「最後までやり切るべき」と班員は一致団結し、商品化のノウハウを持つ古座川ゆず平井の里に協力を依頼。先月25日に班員4人も手伝って調理~瓶詰めをし、今月9日にカイロス缶バッジのデザイン担当・雑賀和さん(1年)のイラストを取り入れたラベルなどを貼って商品化した。
用いた地元食材は同班自家製の黒ニンニク、古座川町産のユズ果汁やニホンミツバチの蜂蜜、県産のミカンジュース、那智勝浦町・藤野醤油醸造元のしょうゆ「菊」。さらにリンゴやみりん、日本酒などを加えたレシピに調味料など所要の添加をして万能だれを仕上げ、200㍉㍑瓶に詰めた。
長引くコロナ禍により自宅で過ごす時間が増える中、「あがらのたれ」が一家だんらんのきっかけになればという願いもあって果汁を効かせ子どもも親しみやすい甘口の味わいとしている。その分消費期限は4カ月〈12月23日(木)まで〉と短いため、急ぎ販売促進媒体を作って販売までこぎつけるという。
価格は1瓶400円(税込み)で、生産数は260本。コロナ禍で文化祭など直販の機会が作りにくい状況があり、販売できる事業所があれば9月中にご連絡いただければと協力を求めている。連絡や問い合わせは同校(電話0735・62・0004)まで。
(2021年9月11日付紙面より)
新宮市立王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長)は9日、防災学習を実施した。4年生62人が教職員の誘導を受け、阿須賀神社までの避難場所などを歩きながら確認した。
防災学習は総合学習の一環で、各学年が毎年、防災について学びを深めている。4年生は実際に歩いて町を探索し、防災マップを作成している。
2011年に起きた東日本大震災や紀伊半島大水害、今後の発生が危惧されている南海トラフ地震などの災害に備えて、子どもたちが自分の命を守り考えて避難できるようになってほしいとの思いから実施している。14日(火)には、4グループに分かれて校区内の地域を調べた後、マップを作る予定となっている。
児童は教職員から説明や移動中の注意事項を受けると、指示に従って学校を出発。市の避難所に指定された場所などでは教職員が用意した「防災」の旗を基に、どのような行動を取るべきかを考えながら阿須賀神社までの経路をたどった。
上野萩晴(しゅうせい)君は「どうやって危険な場所から逃げるかを考えながら歩きました。災害はいつ起きるか分からないので、いろんな避難場所を知って早く逃げられるように勉強したい」と話していた。
(2021年9月11日付紙面より)