防犯功労者・団体表彰 (和歌山県 )
和歌山県庁で12日、「令和3年度全国防犯功労者及び団体表彰伝達式」があった。本紙エリア内では、新宮警察署推薦の柳本利文さん(72)が防犯栄誉金章を受章したほか、中山仁さん(74)が防犯栄誉銅章の栄誉に輝いた。
11日から20日(水)までの10日間は「全国地域安全運動」期間。地域安全に資する関係機関・団体、警察が地域安全活動を強化するとともに、相互の連携を一層緊密にすることにより活動の効果を最大限に上げ、安心して暮らせる地域社会の実現を図るために定められている。
例年なら期間中開催の「安全・安心まちづくり県民大会」の場において同伝達式および「きしゅう君の自転車鍵掛けコンテスト」を実施しているが、本年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から大会は中止に。伝達式と表彰式のみが行われた。
同表彰は、多年にわたり各地域における防犯活動に尽力し、犯罪の防止に多大な功労があった個人・団体に対して授与されるもので、金・銀章、防犯功労団体は警察庁長官および全国防犯協会連合会長の連名表彰、銅章と功労ボランティア団体は全国防犯協会連合会長名の表彰となっている。
新宮警察署では13日、受章者2人に花束が贈られた。約20年前に少年補導員として委嘱を受けて以降、会長を務めながらも新宮警察署地域安全推進員として尽力してきた柳本さんは「青色パトロールや補導員のベストを身に着けるなど、『見える』形を主目的として活動してきた。活動中に住民の方から声を掛けてもらえるなど、興味を持っていただいたことで効果が出ていると感じている。これを機に、少しでもまちを良くするために頑張りたい」。
58歳で早期退職後、知人に誘われ推進員に。「少しでも地元の役に立ちたい」と力を注いで約15年。現在、推進員会総代を務める中山さんは「昨今はコロナの影響で活動が停滞しているが、警察と連携し、各種啓発運動に取り組んできた。(受章に対し)驚いているが光栄です」とそれぞれ喜びを語った。
山田守孝署長は「2人からは地元愛が感じられる。警察が啓発するより、地元で生活している人が近所の人たちに声掛けしてくれるほうが効果的で重みもある。他の仕事をしながらのボランティア活動に頭が下がる思い」と感謝を伝えた。
(2021年10月14日付紙面より)
スタディケーションの学生ら (古座川町 )
首都圏の大学に通う観光学部の学生らが8日から11日まで、古座川町内でスタディケーションに取り組んだ。学生7人と引率教員3人が町内を巡り、学んだことや感じたことを踏まえて観光や町づくりに関する提案をした。
古座川町観光協会(須川陽介会長)が観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の採択を受け実施する複数の事業の第1弾。地域の観光資源の磨き上げを地域で行い観光の再生基盤をつくるための実証実験で、地域と多様に関わる人々である関係人口の増加などを目指した取り組みとしている。
スタディケーションとは「スタディー(勉強)」と「バケーション」を組み合わせた造語。学生らは北海道大学和歌山研究林とやまさき屋旅館に宿泊し▽古座川ジビエ山の光工房▽南紀月の瀬温泉ぼたん荘▽滝の拝▽Kii Garden▽一枚岩▽古座川ゆず平井の里―などを訪れ、サイクリングやアユの友釣り、木工、Eボートなども体験した。
同町小川の「Kii Garden」ではガーデナーの松下礼(あや)さんから説明を受けローズマリーやタイム、ミントなど6種のハーブティーの試飲、ハーブの収穫、手作りバーム(軟膏)といったワークショップに取り組んだ。
10日夜にはオンラインプレゼンテーションがあり、体験を通じて感じた同町の観光や町づくりの課題とその解決策などを3班に分かれて提案した。
アクセスの悪さや空き家などの問題点を逆手に取った町づくりや、学生対象のホームステイ・短期移住、住民との交流を目的とした観光、農業や林業を生かす取り組みなど、他地域に住む若者ならではのアイデアが多数挙がり、参加した関係者らは感想や質問を熱心に伝えていた。
引率の教員は学生をねぎらい、関係者に対し感謝を述べた。「観光を広く捉えるためにも地域とつながりながら実体験として学ぶ仕組みをつくりたいので、学生と共に手伝えれば」と述べて感謝した。
須川会長は「期間が短い中でこんなに素晴らしい独創的な発想をしてもらった。三者三様で良かった」と話し、学生の提案を講評。実現可能なものは実行していくとして締めくくった。
(2021年10月14日付紙面より)
薬物の乱用防止街頭啓発 (串本町 )
県立串本古座高校正門一帯で13日、薬物の乱用防止を呼び掛ける街頭啓発があり生徒の関心を促すなどした。
この啓発は、10、11月に全県規模で展開される麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の一環。若年層への薬物乱用の広まりを防ぐ取り組みとして、対象とする生徒の代表にも参加を求めて定例的に実施している。
新型コロナウイルス感染症の情勢により前年度は中止したため、今回は2年ぶりの実施。県薬物乱用防止指導員串本地区協議会(堀正会長)を軸にして同町教育委員会、串本青少年センター、新宮保健所串本支所〈同協議会事務局〉、同校生徒会(岡村文音会長)の各代表者14人が啓発員として早朝に集まり、手分けして啓発物資を配った。
この運動は麻薬、覚醒剤、大麻、シンナー、危険ドラッグなどの薬物乱用は個人にとどまらず犯罪の誘発など地域社会へも危害をもたらすことを伝え、その根絶を図ることが目的。大麻については近年30歳未満が事犯全体の6割以上を占めていて、堀会長も地域の若者への広まりを危惧し「コロナで啓発だけでなく教室も開きづらい状況が続く中、若者に呼び掛ける機会が持ててよかった。この啓発をきっかけにして日頃の話題にし、意識を高めてくれれば」と生徒の今後を期待した。
岡村会長(2年)は着任から間がなく、この啓発が初の大仕事。今後のチームワークを高める弾みにすべく啓発に取り組んだそうで、「薬物の乱用がいけないことは小学生の時から教わってきた。高校生はみんなわかっていると思うので、決して手を出さないよう校内でも呼び掛けていきたい」と話した。
(2021年10月14日付紙面より)
小中学校で学習到達度調査 (和歌山県 )
和歌山県教育委員会は13日、県内の公立小中学校と特別支援学校の児童生徒を対象に、令和3年度学習到達度調査を実施した。新宮市・東牟婁郡の小中学校でもテストが行われた。
児童生徒の学力の定着状況をきめ細かく把握し、指導方法の工夫・改善に役立てるとともに、個に応じた指導を充実させ、学習内容の定着を図ることを目的に毎年実施している。
調査教科は小学校第4学年と中学校第1学年は国語・算数(数学)。小学校第5学年と中学校第2学年は、国語・算数(数学)・理科。
昨年度の調査では、小学校算数で問題の解き方を言葉で説明する問題や複数の思考過程を必要とする問題に課題があった。また、国語では人物像や物語の全体像を具体的に想像することに課題が示されていた。
本年度の調査の正答率や教科ごとの課題点などは、12月ごろに県教委のホームページなどで公表する予定だ。
(2021年10月14日付紙面より)
新宮市庁舎別館で消防訓練
新宮市庁舎別館で11日、同館勤務の職員を対象にした消防訓練があった。新宮消防署職員3人が協力。高齢者相談センター職員ら10人が訓練を通して初期消火の重要性を再確認した。
地域職業訓練センターとして1982年に建設され2011年3月に市に移管。19年1月に「別館」として開所し「高齢者相談センター」としての業務を開始した同館においては、消防計画により年1回以上の訓練が必要とされている。
この日の訓練は、1階の給湯室から出火したと想定。消防への通報や初期消火、来館者の避難誘導など一連の流れを確認した。
訓練開始に当たり、赤木博伯総務課長が「別館では、平時勤務する職員数も限られているため、火災発生時は一人一人の消火活動がより重要なものになってくる。いざというときに備えて有意義な訓練にできれば」とあいさつした。
訓練終了後には同署職員が同所駐車場で消火器の種類や能力、注意点、取り扱い方法を指導。同館職員らは「屋外の場合は風上から、屋内の場合は周囲が見えなくなるため、背面に退路の確保を」などと説明を受け、訓練用消火器を用い、実践をもって使い方を再確認した。
全行程終了後、同署職員らは「人の命を救うため、そして初期消火を早めるためにも火災発生時にはまず周囲に知らせることが大事」「これからも訓練を重ね、非常放送の適切な活用を」「日頃からイメージし、連携して落ち着いた行動を」などと講評。同館職員らは消火器の位置を再確認するなどして防火に対する意識を新たにした。
(2021年10月13日付紙面より)
各神社の秋祭り最盛期に (串本町 )
串本町内にある各神社の秋祭りシーズンが最盛期を迎えた。昨年に続き今年も新型コロナウイルス感染症の情勢により神事のみとする神社が大半。厳かに式典を営んで祭神への礼をつなぎ、来年以降の再興を期す状況となっている。
同町内は秋に例大祭を営む神社が多く、その大半が獅子舞の奉仕を受け継ぐ特色もある。その最盛を迎えるのがスポーツの日(10月第2月曜日、今年に限りオリンピック実施に伴い7月に変更)を伴う連休で、各地区で獅子のお囃子(はやし)が響き渡るなど神事前後も秋祭りの余韻を引くところとなっている。しかしながら今年は実施の在り方を決める時季に感染拡大第5波と直面し、稽古や準備が積み難く神事のみとする判断が相次いだ。
大字串本・サンゴ台を氏子区域とする潮﨑本之宮神社は10日を本祭日とし、総代会と獅子舞を受け継ぐ東西南北の4氏子会代表者のみ参列して神事を営む形を取った。兼務する下里神社の山本貞夫宮司を斎主に迎え、吉村健三総代長ら19人が参集。午前10時に本殿前で式典を営み、玉串と二礼二拍手一礼の所作をささげて祈願した。
神酒や直会(なおらい)は感染予防のため中止。獅子舞は例年4氏子会で年当番を持ち回っているが、昨年以降例大祭の当番奉納が成るまで巡りに当たる南氏子会で保留しているという。吉村総代長は「今後は大人同様に子どもの対策も進み、獅子舞も練習できると思う。2年続きの中止で大変だろうが、来年こそはいつも通りにしたい」と思うところを語った。
同神社に先だって出雲地区の朝貴神社は午前9時に神事のみ執行。地区や総代会や出雲獅子舞保存会の代表13人が兼務する田並八幡神社の坂成正人神主を迎えて式典に臨み、普段は閉ざしている本殿を開扉して神饌や祝詞、一同で玉串をささげて礼をつないだ。
境内前を飾る地区内6区(東・西・南・北・中・権現)の大のぼりは掲げず、獅子舞の奉納や道行きも中止。平澤正代表区長は「今は区民安全が一番の願い。出雲の祭りはよそに出ている出身者が戻るだけに、神事のみとする判断をせざるを得なかった」と語り、コロナ禍の一日も早い終息を今後に見据えた。
(2021年10月13日付紙面より)
太鼓演奏で「飛鳥Ⅱ」見送る (新宮市 )
クルーズ船「飛鳥Ⅱ」(総トン数5万444㌧、全長241㍍、郵船クルーズ株式会社)が11日、約10カ月ぶりに新宮市の新宮港に入港。201人の乗客たちが一日かけて熊野地方の観光を楽しんだ。
クルーズ名は「横浜 結航路 秋の新宮・四日市クルーズ」で、行程は横浜~新宮~四日市~横浜。新型コロナウイルスワクチン接種を乗船客全員の乗船条件とし(未接種の場合は乗船の3、4日前にもPCR検査を実施)、乗船の1週間前と前港(横浜港)の出港当日にもPCR検査で陰性を確認している。
入港時には平安衣装や雅楽演奏によるお出迎え、新宮市と近隣の観光協会による地元特産品販売があった。
午後5時の出港時には本年度初のお見送りイベントもあり、熊野水軍太鼓の勇ましい演奏が響く中、梛(なぎ)の木見送り隊のメンバーらが「さようなら、ありがとう、また来てね」と手を振った。乗船客からも「ありがとう」の垂れ幕や「またくるで」との返事があった。
(2021年10月13日付紙面より)
児童が福祉学習 (太地町社会福祉協議会 )
太地町社会福祉協議会(岡本研会長)が福祉教育推進校に指定している太地町立太地小学校(海野文宏校長)で8日、本年度2回目の福祉学習があった。聴覚に障害のある尾田京子さんを講師に迎え、社会福祉法人美熊野福祉会の大代聖子さんが手話通訳を務めた。4年生児童13人は耳が不自由なろう者の生活の工夫や困り事などを知るとともに、コミュニケーションの方法などを学んだ。
福祉学習は児童がさまざまな人の立場や人生を体験することで、課題を自身で考えて福祉への学びを深めることを目的に実施されている。
1回目は全盲の体験や点字学習を学んだ。岡本会長は「手話を学ぶ人が増えれば、耳が不自由な方が快適に生活できるようになる。勉強頑張ってください」とあいさつ。
尾田さんは耳が不自由になったのは2~3歳の時だったことや、母親が懸命に自身を育ててくれたことを紹介。親元を離れ、和歌山市のろう学校での学びや寮生活、洋裁を習得して仕事に従事してきたことを説明した。
大代さんはろう者とのコミュニケーション方法として、手話や筆談、口話、身ぶり、空書があること、「海」や「指」など、口の形が似ている言葉については身ぶりを付け足すことで伝えやすくなること、筆談の際は長く丁寧に書くと伝わりにくいため、簡潔に書くことなどを教えた。
続いて、紙に書かれた物を身ぶりや口話で尾田さんに伝えるゲームなどに取り組み、あいさつなどの手話も覚えた。
大代さんは「耳が聞こえない方は工夫しながら生活しています。伝えたいと思う気持ちが大事。困っている方がいれば、いろいろな方法で助けてあげてください」。
尾田さんは「皆さん、身ぶりや手話がすごく上手だった。今日の気持ちを忘れずにお会いしたときはよろしくお願いします」と伝えた。
学習後、山門咲紀さんは「私は耳が聞こえない人にお会いしたことがなかった。今日習ったことをしっかりと覚えて、困っている人がいれば助けたいです」と話した。
海野校長は「体験や実際に接する機会がないと大きな壁ができてしまう。耳が不自由な方々が身近で生活されていることを学び、今後は実践につなげてもらいたい」と語った。
(2021年10月13日付紙面より)
夢と希望詰まった冊子完成 (勝浦LC )
勝浦ライオンズクラブ(勝浦LC、戸間宏治会長)「心に太陽を委員会」が制作したカラー冊子「10年後 ふるさとの希望と夢」がこのほど完成した。A4判142㌻で、発行冊数は3000部。総事業費は約400万円。完成した冊子は那智勝浦町、太地町を中心とした近隣市町村の小・中学校、行政・教育関係機関、LC関係者、投稿者(掲載者)らに配布される。
「心に太陽を委員会」は、2012年、前年の紀伊半島大水害時に災害復旧に従事・協力した関係者を対象に、町民らのメッセージを掲載した「私たちを助けて下さった皆様へ~ありがとう~『心に太陽』を輝かして頂いたお礼の感謝集」を発行した。
大水害から10年。同委員会は2回目のテーマを「夢・未来 提案プロジェクト」とし、ふるさとの未来を考えるきっかけにと那智勝浦、太地の両町民や近隣市町村住民らから、それぞれが思い描く夢と希望を反映した提案やイラストなどを募集。約100人から寄せられた「ふるさとの希望と夢」を1冊の本にまとめ上げた。
新型コロナウイルスの影響で思うような活動ができない中「地域のために何かできることはないか」と模索し企画した。紀伊半島一周高速道路の全線事業化に伴い増加が見込まれる人流や資本の流入に備える狙いもある。
なお、同プロジェクトチームは冊子内で、妙法山麗を▽自然いっぱいの林間都市へ▽住みやすいシルバータウンに▽日本のシリコンバレーに―などと提案している。
5日、那智勝浦町築地の清水設計事務所内ミーティングルーム・勝浦ライオンズクラブ例会場では会員らが集まり、冊子の配布手段などについて話し合った。
冊子完成に当たり、鵜殿忠德・前会長は「すでに配布が済んでいる学校の子どもたちは喜んでくれていた。寄せられた投稿を見て、自分自身新たに気付かされたことも多い。ふるさとの未来について、一人でも関心を持ってもらえたら成功だと思う」と話している。
冊子は希望者には無料で配布する。また、名前や住所が未記入だった投稿者に対し、冊子と記念品を贈呈するため「心当たりのある人は連絡を」と呼び掛けている。問い合わせは同LC事務局(電話0735・52・0974)まで。
(2021年10月7日付紙面より)
下里小・太田小の児童が (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)で4日、ダンスチーム「カルティベイト」によるヒップホップダンスのワークショップがあった。同小と町立太田小学校の4~6年生計55人が参加し、プロのダンサーから楽曲「Uptown Funk」の振り付けを教わった。
文化庁が実施する「文化芸術による子供育成総合事業」の一環。14日(木)に文化庁選定文化芸術団体のNPO法人国際文化交流促進協会カルティベイトが巡回公演「これがヒップホップダンス!」を開催する予定で、そこで一緒に踊る児童の事前練習として実施した。
この日はEGAさんら4人のダンサーが来校し、ヒップホップのステップや動き、かっこよく見せるためのポイントを伝授。児童は「カウントを取ってくれているときはできたけれど、音楽に合わせるのがまだちょっと難しい」と素早い動きに苦戦しながらも、笑顔で練習に取り組んだ。
EGAさんが「楽しかったですか?」と問いかけると一斉に児童の手が上がっていた。
(2021年10月7日付紙面より)
OBらが動画制作に協力 (新宮高校 )
今年創立120周年を迎える新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)の3年プログラミング選択生34人が現在、同校の歴史を振り返る動画制作に取り組んでいる。11月6日(土)の記念式典での上映を目指して作業を進めており、9月30日には同校OBら5人が作業に協力した。
生徒たちはグループごとに、同校の前身となる旧制新宮中学校が設立された1901(明治34)~2021(令和3)年を10年刻みで担当。創立100周年の時に編さんされた「新高百年百話」などを参考にしている。
30日には、小野俊二さん、矢熊敏男さん、隅地洋さん、辻本雄一さん、中瀬古友夫さんの5人が来校。中瀬古さんが新宮中学校創立10周年記念絵はがきや旧制新宮高等女学校の古写真について解説し、動画制作用に写真を提供した。
旧制新宮中学校第39回卒業生で、創立100周年記念事業実行委員長を務めた小野さん(95)は、学生時代の学校の様子を尋ねに来た生徒たちに「当時の義務教育は6年。中学校は男子校で、兄が通っていた時の制服は学生服だったが、自分の時は戦時中で国民服になっていた。集合写真ではみんな足にゲートルを巻いている」とアルバムをめくりながら語った。
1941(昭和16)年~50(昭和25)年を担当するグループの生徒たちは、「本だけでは分からなかったところがイメージできるようになった」「木造校舎で桜並木があるなど、今と全然雰囲気が違った」と話していた。
(2021年10月7日付紙面より)
相野谷小で「読み聞かせ」再開 (紀宝町 )
紀宝町立相野谷小学校(岩本直樹校長)で6日、ボランティアによる読み聞かせが再開し、1、2年生計16人が絵本の世界を堪能した。
町内の各小学校にはボランティアの「読み聞かせグループ」があり、町学校支援本部「元気キッズ」の支援を受けて活動を続けている。
相野谷小学校では10年以上前から活動しており、現在は山本出味さん、平典子さん、藤根和子さん、道中真智子さんが当番制で毎週水曜日の午前8時25分から10分程度、読み聞かせを通して本の楽しさを伝えている。
この日は、2学期最初の活動で、道中さんが「つみつみでんしゃ」を紹介した。絵本を開くと、黄色や赤色などに染まった秋の山を走る電車が登場。お客を乗せて秋の風景を楽しむ物語で、道中さんは優しい口調で読み進めた。
同小のグループは、山本さんを中心に2011年からベルマークを集めて学校図書室に本を寄贈しており、これまで11万809円分が集まり、79冊を贈った。山本さんは「子どもたちもベルマークを集めてくれる。保護者さんの協力を得て、2年に1回、仕分け作業を行っている。今後も活動を継続したい」と話していた。
(2021年10月7日付紙面より)
「人輝き、文化奏でる都市」目指して―。東に新宮城跡、北に熊野川を望む旧丹鶴小学校跡(新宮市下本町)に、市文化複合施設「丹鶴ホール」が完成。3日、同施設内文化ホールで新型コロナウイルス感染予防対策が講じられる中、開館記念式典が華々しく開催された。来賓や近隣町村長など、関係者ら約170人が出席し、テープカットなどで施設の完成および開館を祝った。
2008年、新宮市第一次総合計画後期分の特進プロジェクトとして事業が開始。11年の紀伊半島大水害や建設予定地からの遺跡の出土、そして新型コロナウイルスの拡大など、幾多の困難を乗り越えながら施設完成・開館に至った。
敷地面積は約9248平方㍍、建築面積2959平方㍍、延床面積6428平方㍍。地上4階建てで建物高さ24・5㍍。車両180台、大型バス5台の駐車場を有する。
1~3階は鉄筋コンクリート造、4階は鉄骨造で耐震構造。工期は19年4月9日~今年7月31日。総事業費は62・5億円。国費24・7億円、県交付金5億円、交付税21億円の補助金を受けており、市の実質負担額は11・8億円。
式典は、自民党の二階俊博前幹事長、世耕弘成参院幹事長(代理)、鶴保庸介参院議員らを来賓に迎え、向井雅男副市長の「開式のことば」で幕開け。田岡実千年市長は「紀伊半島大水害による2年間の事業凍結、遺跡の出土による大幅な設計の見直し、建設の是非をめぐる議会審議、建設期間中の新型コロナ感染拡大などさまざまな困難があったが、記念式典ができて感無量。文化交流発信拠点、中心市街地の活性化となるよう、しっかりと運営していきたい」と式辞。
「開館を迎えられたのは、二階先生、鶴保先生をはじめとする地元選出の国会議員、国土交通省都市局、和歌山県、市議会、そして何より完成に向け一生懸命応援いただいた市民の皆さまのおかげ。この施設が、多くの皆さまが笑顔で元気で楽しく心豊かに暮らせるきっかけとなるよう願っています」と力を込めた。
榎本鉄也市議会議長は「私たち一人一人が知恵を出し合い、市の文化振興、教育、市街地再生、市民生活の向上へとつなげていくことが最も重要。市議会としても施設が地域住民の教養の向上や情操の純化を図り、豊かな市民生活へとつながるような有効利用の奨励に努めたい」とあいさつした。
二階氏は「新宮は文化、観光あらゆる面で秀でたまち。ここから新しい文化、新しい新宮市の未来を創造していく起点として大いに活用願いたい。施設建設を機に、新宮市がますます発展できるよう、私どもも懸命のバックアップをさせていただく」。
鶴保氏は「建物に魂が入ってくるのは数年先。どうすればまちおこしにつながるのか、全国に新宮市の名をとどろかせられるのか。そういう努力がこれから始まると思う。施設が起爆剤となり新宮市がますます発展することを祈念したい」と祝辞。国交省の宇野善昌都市局長、下宏県副知事(仁坂吉伸知事の代理)、森礼子県議会議長がそれぞれ祝いの言葉を述べた。
市民を代表し、市文化協会名誉会長で旧丹鶴小学校24代校長を務めた小野俊二さんが「完成を目の当たりにし喜びで胸がいっぱい。生きていてよかったと痛感している」。
「愛称に『丹鶴』を残していただいたことは地域住民や同小卒業生にとって何よりうれしいこと。文化活動の拠点、市民の憩いの場として末永く活用いただけることを期待したい」とあいさつした。
式典では感謝状の贈呈もあり、施工関係者や寄贈者に対して田岡市長が感謝状を贈った。
休憩を挟み、第二部では㈱キナンの角口賀敏会長が寄贈したスタインウェイピアノのお披露目もあり、同市出身のピアニスト・森岡薫さんが演奏を披露。新ホールの幕開けを飾った。
なお、4日は休館日のため図書館ともに閉館。8日(金)、9日(土)には舞台が一般開放される予定。
(2021年10月5日付紙面より)
市立図書館が開館 (新宮市 )
新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」の開館に伴い3日、同施設4階の市立図書館が開館した。同日午後には一般開放が行われ、市内外から568人が来館。内覧をもって新図書館の使い心地などを体感した。
一般の本、新聞・雑誌視聴コーナー、インターネット閲覧席、郷土の本、こどもの本、「おはなしのへや」、熊野川や新宮城跡、市街地が一望できるデッキなどから成る新図書館。市名誉市民の芥川賞作家、中上健次の業績を紹介する「中上健次コーナー」も設置された。
1194平方㍍の開架フロアには約9万冊、別階閉架書庫(192平方㍍)に約11万冊が収蔵可能で、座席数は約100席。全面ガラス張りとなっており、開放的な空間で本の閲覧や自習が可能となっている。
この日、施設前には、新図書館を一目見ようと開館前から多くの人が列を作った。新型コロナウイルス感染症拡大予防対策としてマスク着用、検温、手指消毒、入場・時間制限に対する協力が呼び掛けられる中、来館者らは満を持して図書館に入場。配架位置や席の座り心地などを確認したほか、本の閲覧や自習に充てる時間を設けるなどした。なお、貸し出しや予約など実質的な運営は5日からとなる。
紀宝町に住む孫と来館した市内在住の60代男性は「明るくて開放的。利用したい図書館。散歩のコースに入れて気楽に寄りたいと思う」と感想。
「熊野学センターがなくなったのは残念だが、この施設がこれからの新しい新宮市の第一歩になると期待したい」と話していた。
市立図書館は午前9時~午後6時(日・祝日は5時)開館。毎週月曜(祝日の場合は翌平日)と年末年始(12月29日~1月3日)は休館。月1回館内整理日と年1回特別整理期間も休館となる。問い合わせは電話0735・22・2284、FAX0735・22・2312まで。
(2021年10月5日付紙面より)
江戸千家宗家が献茶式 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)別宮、飛瀧(ひろう)神社で3日、新宮生まれの茶人、川上不白(1719~1807年)を流祖とする江戸千家宗家蓮華菴による献茶式があった。今年も新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から各支部の代表などが参列。昨年10月には川上紹雪(じょうせつ)副家元としてお手前をしたが、翌月に家元を襲名。今回は閑雪(かんせつ)家元として初の献茶となった。
献茶は2007年12月、宗家所蔵の不白寿像から「宝珠双龍紋」が見つかったことから、不白の故郷の「那智の滝」への崇拝と龍神信仰があったと考えられている。このことを縁に翌08年年から同大社での献茶を続けており、今年で14回目を迎えた。なお、恒例となっている献茶後のお茶会は中止となった。
緊急事態宣言が解除される中、同神社には多くの観光客が参拝に訪れ、献茶の様子を見物。閑雪家元が茶を2椀たてて神前に献じた。
男成宮司は献茶の奉仕に感謝を述べ、「お茶にある清らかで動じない心や精神を大事にしなくてはならない。献茶を通じて、一日も早いコロナ終息をお祈り申し上げた。閑雪家元を中心に社中の皆さまはご精進を続けられ、お茶の心を広めていただきたい」と話した。
閑雪家元は「父と同じ家元の立場で、心を新たに初の献茶をさせていただきました。厳しいコロナの状況。神聖なこの場所で、早く平常に戻ることを祈り、神様にお茶をお供えしました」と語った。
不白は新宮藩主水野家に仕える藩士の次男として生まれた。32歳で江戸に出て、千家流茶道を広めた。皇族、大名、旗本から町民まで階層にかかわらず指導したことで知られる。
(2021年10月5日付紙面より)
串本文化セで全議員研修会 (県町村議会議長会 )
県町村議会議長会(会長=松谷順功・高野町議会議長)が1日、串本町文化センター大ホールで全議員研修会を開いた。今回は新型コロナウイルス感染症対策を意識し、会場とオンラインの2系統で聴講の機会を提供。会場聴講は約160人が参加し、講師と共に持続可能な開発目標(通称・SDGs)を地方創生に導入する視点を考えるなどした。
この研修会は、町村議会に属する議員の資質向上の一助として年次実施。会場は7郡の町村議会議長会が持ち回りで整えていて、本年度は東牟婁郡町村議会議長会が設定した。会場聴講の入場数は座席総数(600席)の3分の1以下とし当日は席を一つずつ空けて座るなどして同対策を実施。オンライン聴講は希望した議員に視聴先などを伝える形で実施した。
開会にあたり松谷会長は、緊急事態宣言など発令に伴う地域産業への打撃に思いを巡らせつつ「町村は地域の特色を生かし将来を見据え、持続可能な住みよいまちづくりの実現に積極的に取り組まなければならない」と述べ、今回の研修が議員活動の一助になることを期待。
開催地を代表して田嶋勝正町長が来賓として出席し、喫緊の台風16号の影響と今昔の台風接近事情や全県的に地域おこしをもたらす小型ロケットの打ち上げなど時代の変化を示唆しつつ有益な研修となることを祈念しつつ来町を歓迎した。
続く研修講演では法政大学デザイン工学部の川久保俊教授が講師として登壇。「持続可能な開発目標(SDGs)を活かしたまちづくり」を演題に掲げて語ったという。
(2021年10月5日付紙面より)