環境問題研究会が発行 (新宮市 )
環境や人権、熊野地方の歴史などさまざまな分野の講師を招き学んでいる新宮市の市民団体「環境問題研究会」がこのほど、30周年記念誌『箱舟』を発行した。講師を務めた人など46人が論文やエッセーを寄せているほか、これまでの活動年表などを掲載している。
カトリック新宮教会の故ベダ・クレアリ神父が1985年に創設。後を継ぎ事務局を務めている植松晴孝・喜美子夫妻=同市磐盾=(ともに82歳)は「人が人として生きる時、失ってはならないものをしっかり見据えて、奪われようとする時には『これはおかしい』と声を上げていく生き方をしたいと願う人々の善意と熱意に支えられ、発行することができました」と感謝している。
各分野の講師を招き、同市の井の沢隣保館などで毎月例会を開いている。会に規約や会則はない。会員は50人で年会費1000円。有名大学の教授なども講師を務めているが、肩書や交通手段にかかわらず、謝礼は1000円分の図書カードと決めている。
「最初の頃は講師を務めてくれる人を探すのに苦労しました」と喜美子さん。「宗教色を出さずに続けてきたのが良かったと思います。この30年間で人の輪が広がったことが大きな財産です」
晴孝さんは「地球環境を守るために一人一人何ができるか、から始まった会ですが、今では人間に関わるあらゆることを学んでいます。会員は40~80代。今後の希望は新しい世代の人たちに会を引き継いでいってもらいたい」と話していた。
30周年記念誌はA4サイズ、92㌻。新宮市井の沢のくまの茶房(電話0735・21・1761)で有料で配布している。
(2017年9月30日付紙面より)
結核週間で啓発活動 (和歌山県 )
結核予防週間(24~30日)に伴い和歌山県と結核予防会和歌山県支部は28日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で街頭啓発を実施した。県職員3人が買い物客に啓発用パンフレットなどを配布した。
結核は全国で年間約2万人が発症する重大な感染症。1日に50人の新しい患者が発生し、5人が命を落としている。厚生労働省は毎年9月24日~30日を「結核予防週間」と定め、重点的に結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。
結核はたんの中に結核菌が出る重症患者がせきやくしゃみをすることで感染が広がる。症状はせき、たん、発熱、血たん、胸痛など。昨年の県の結核の現状では、新登録結核患者数が131人(前年比19人減)で、うち70歳以上が74%、80歳以上が58%となっている。30代未満の若年者でも4人が発病している。
県は受診や発見の遅れが依然として見られるとし、「2週間以上、せき、たん、微熱などが続いたら、早めに医療機関を受診しましょう。結核は確実に薬を服用すれば、ほとんどが治る病気です。早期発見、早期治療が大切です」と呼び掛けている。
東牟婁振興局健康福祉部の花光宏樹さんは「高齢の方が発病される事が多く、風邪かと思ってもすぐに受診することが大切です」と話していた。
結核に関する相談は国立病院機構和歌山病院内の結核相談支援センター(電話0738・32・7033)まで。祝日を除く月~金曜日。時間は午後1時~4時。
(2017年9月30日付紙面より)
紀陽銀行やノオトと協定結ぶ (串本町 )
串本町(田嶋勝正町長)は28日、株式会社紀陽銀行(松岡靖之頭取)や一般社団法人ノオト(金野幸雄代表理事)=京都府篠山市=と地域活性化に向けた包括連携協定を結んだ。稲村亭(とうそんてい)など町域にある古民家の再生と活用を進める上での協力関係で、今後は年内に事業体や仮称『串本町古民家活用協議会』を立ち上げて再生や活用の具体化を進めるという。
稲村亭は1872年に建築された民家で、無量寺そばに位置。前所有者の神田家が飢饉(ききん)救済のお礼として旧有田村の住民から譲り受けた杉の巨木を建材の一部に使っているといった由緒を持つ。同町は昨年3月に同家から譲渡を受け、今年4月以降は同町地域おこし協力隊員が隣接する家屋に実際に住み込んで活用方法を模索している。
他方、紀陽銀行とノオトは両輪で政府施策「古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり」の趣旨に合致する地域経済活性化を目指している。県域全体を面でとらえた周遊観光を構築する上で本州最南端は外せないという観点で同町に取り組みを紹介し、三者の思いは積極的に合致。連携協議へと発展し、実現の第一歩として今回の協定締結に至った。
調印式は串本町役場であり、田嶋町長、紀陽銀行の日野和彦取締役上席執行役員、ノオトの藤原岳史理事の代表署名により『和歌山県串本町の歴史的資源を活用した地域活性化に向けた包括連携協定』を締結した。県内の自治体では有田市、湯浅町に次いで三例目。紀陽銀行とノオトはJR西日本とも連携協定をすでに締結していて、同日現在で3自治体1企業とともに目的達成を目指す状況になっている。
田嶋町長は「この機に持ち得た地域資源をもう一度掘り起こしてPRし、人に来ていただくことによる地方創生を進めたい」とあいさつ。日野執行役員は自治体と住民や事業所が一丸になることが大切だとし、藤原理事は今後の振興は地域が宿す生活そのものを資源として捉えて進めると方向性を示唆して協働の意思を掲げた。
ノオトは同市丸山地区における振興の一環で2009(平成21)年に設立。以来8年間で約60軒の古民家再生を手がけた実績を持つ。活用の手法は宿泊施設、カフェ、レストラン、ミュージアムと多彩。その積み重ねで同市の城下町を対象にしたエリアマネジメントのノウハウも有する。
同町産業課の松原邦明主査によると、当面は稲村亭と現在交渉中の古民家1軒を集中的に再生、活用する予定。藤原理事は、古民家を当時の生活様式に沿って再生し希望すれば購入もできる形で活用を図るとし、まずは上記2軒を古民家の再生、活用モデルとして仕上げ、これらを交渉の材料にしてエリアマネジメントへの発展を目指す。実働を担う事業体は、地元雇用を視野に入れ民間主導で立ち上げるとしている。
(2017年9月30日付紙面より)
秋晴れの下、新翔高校
新宮市佐野の県立新翔高校(永石和校長)で29日、第11回体育祭が開かれた。テーマは「記念すべき、100回目の熱盛!」。
生徒入場、校歌斉唱の後、小松莉那さん(3年)が聖火を聖火台に点火、永石校長が創立100周年に触れ「皆さんが引き継ぐ体育祭の伝統とは何だろうと考えたとき、真剣かつ元気はつらつにプレーすることだと思います」と述べ、「3年生にとっては、締めくくりの体育祭。しっかりとリーダーシップを取って、成功に導いてください」とあいさつ。
実行委員長の南礼君(3年)が「とてもいい天気で神様が、頑張れと言っている気がする。3年生にとっては最後の体育祭。1、2年生も3年生に負けない元気で頑張りましょう」と呼び掛け、生徒代表の前田優さん(3年)、貝塚咲頼さん(3年)が「私たちを支えてくれる先生方、家族、新翔高校で出会ったかけがえのない友人に感謝の気持ちを込め、正々堂々と戦い抜くことを誓います」と宣誓し、競技に移った。
競技は午前に各学年による団体種目や、クラス、クラブ対抗リレーなど、午後は応援コンクールやフォークダンスなどが行われた。
(2017年9月30日付紙面より)
県の産業・文化を学ぶ (太地町 )
太地町立くじらの博物館に25日、「ABEイニシアティブ」でアフリカからきた留学生6人が訪れた。館内の展示やショーを見学し、捕鯨文化について学んだ。
「ABEイニシアティブ」とは2013年6月に開かれた第5回アフリカ開発会議(TICADV)で安倍晋三首相が打ち出した「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」の略称。アフリカの若者に日本の大学教育や産業でのインターンシップの機会を提供し、日本の技術や産業の認知を深化させ、アフリカ大陸の開発に資する人脈形成などを目的としている。
和歌山県では、株式会社紀陽銀行が主導し、県と協力して受け入れた。留学生6人はウガンダ、エリトリア、ナイジェリア、ニジェール、南アフリカ出身。
博物館では、町歴史資料室の櫻井敬人学芸員が案内した。
国立京都工芸繊維大学の工芸科学研究科で学ぶ南アフリカ出身のマリレット・ファン・ヤルスフェルドゥさんは「捕鯨がいかに地域に貢献してきたか、クジラ肉をとることがいかに必要で世界的なことかを学べた。鯨類のショーを見て、触れたのも楽しかった。南アフリカでも陸上生物の保護が進められている。海の動物の保護を陸にも応用できそう」と語った。
(2017年9月27日付紙面より)
熊野那智大社で献湯祭 (南紀勝浦温泉旅館組合 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で24日、南紀勝浦温泉旅館組合(中定俊会長、組合員10社)が献湯祭を営んだ。各旅館の16源泉から一番湯が納められ、町の発展を願った。
同例祭は、秋の行楽シーズンを迎えるにあたって朝一番で源泉からくみ上げた温泉水を奉納し、気持ちの一新を図るとともに自然の恵みに感謝をささげ、業界の発展を祈る。40回目を迎える。
例年11月に催されているが、熊野那智大社創建1700年、那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年のイベントで予定が埋まっており、9月に前倒しとなった。
神事では、裃(かみしも)姿の組合員と各旅館の代表者らが参列し、神前に一番湯を納めた。中組合長が祭文を読み上げて自然の恵みへの感謝と業界繁栄を祈願し、神事後には温泉水でつきあげた「温泉もち」とお菓子を居合わせた参拝者らにまいた。
中組合長は「旅館、民宿ともに頑張っている」とコメント。男成宮司は「長い年月が南紀の自然を作っている。祖先が大切にしてきた自然の恵みと神々への畏敬の念を大切にしていかなければならない」と熊野の歴史と自然の重みを改めてかみしめた。
(2017年9月27日付紙面より)
田並天満神社の御祭礼 (串本町 )
串本町田並にある天満神社(坂成正人宮司)の御祭礼が23日に宵宮、24日に本祭を迎えた。本祭日は主祭神・菅原道真公の神輿渡御(みこしとぎょ)があり、行く手を阻む5本の大幟(のぼり)との駆け引きなどが多くの拝観を集めた。
田並の坂成家鎮守として祭祀(さいし)されたのが始まりとされる同神社。江戸期に田並二カ村の氏神社、明治期に旧田並村の村社となり、周辺諸神社を合祀(ごうし)した形で現在に伝わる。
例大祭にあたる御祭礼は今日、上地、下地、前地、灰地、向地の5区と宮総代が結成する祭礼委員会(松原彰祭礼委員長)により9月25日に近い日曜日を本祭日として営んでいる。主祭神・菅原道真の大宰府流刑を阻む民の心意気を再現して当代の信仰とする神輿渡御や獅子舞奉納が受け継がれていて、今年は23日を宵宮、24日を本祭として諸奉仕を重ねた。
本祭日は式典後、5区の大幟と幟衆、神輿と旅装束の神輿衆、坂成宮司、獅子屋台と獅子連中が御旅所のある田並海岸を目指して順次出御。先頭を行く大幟は道中ところどころで立ちはだかり、神輿の進行を阻止した。同町公民館田並支館そばでは2時間にわたって阻止が続き、その間に獅子舞の余興や子ども向けの菓子まき、大幟を揺さぶり突いたりよじ登って勇を示す祭員も注目を集めた。
田並海岸へ到着した神輿は旅装束の神輿衆と共に海に入って潮垢離(しおごり)し、幟衆は最後の抵抗として神輿を荒々しく海へと押し返し、神輿が振り切って御旅所に入ったところで神事や獅子舞奉納を営み、餅まきやパンまきで民の活気もささげられた。
大幟の大きさは約10㍍。松下家の虎幟を加えた6本が伝わっているが、幟差し衆の人員不足で今年も虎幟は境内に残された。他方では若い奉仕者が中心になり、初めて御旅所周辺にちょうちんを飾り付け祭りを盛り上げた。今年就任した松原祭礼委員長(47)は「地元はもちろん、よその人も集まる祭りにしたい。そのような思いで今年は、若い者が特に頑張ってくれた。新たに飾り付けたちょうちんは、その挑戦の第一歩でもある。すでに引退された先輩方にももう一頑張りの参加をお願いし、地域を挙げて支える御祭礼にしていきたい」と意気込みを交えて今年の御祭礼を語った。
(2017年9月27日付紙面より)
落ちアユ狙い赤木川で
新宮市熊野川町の赤木川など熊野地方各地で落ちアユを狙ったセギ漁が始まっている。ササなどでせき止めた川で、地域住民たちが朝から夕方まで、アユの群れを目掛けて網を投げている。
水温が下がりアユが河口近くまで下り産卵する習性を利用した漁。漁期は9月1日から12月25日(月)まで。川の浅瀬に等間隔に木や竹でくいを打ち、そこにササなどを置いてアユの下降を一時的に止め、小鷹(こだか)と呼ばれる網を投げて捕まえる。網の投げ方はもちろん、網にかかったアユを取り外すのも技術がいる。
熊野川町能城山本の赤木川下流では25日午前8時から午後5時ごろまで、男性二人が出漁していた。一人は「今年はけっこう数はあるけど、まだ小さいのが多いね」と話していた。
(2017年9月27日付紙面より)
記録会兼県小学生秋季陸上競技選手権
近畿地区都市軟式野球大会(一部)県予選
マクドナルド杯サッカー2017
見学会に地域住民ら300人 (新宮市 )
新宮市が津波一次避難所として整備した宮井戸津波避難場所(同市蓬莱)が24日から供用開始された。完成を祝うテープカットなどの式典と見学会には地域住民ら約300人が出席。田岡実千年市長は「私ども行政は一人の犠牲者も出さないという覚悟のもと、災害から市民の生命財産を守る最大限の努力をより一層していかなければなりません」と来場者たちに協力を呼び掛けた。
旧王子製紙跡地に造成した避難場所は、高さ6㍍、縦80㍍、横60㍍の楕円(だえん)形。上部の面積は630平方㍍あり、1260人が避難できる。同地は南海トラフ巨大地震の浸水深が0・5~1㍍と予想されている。地盤は海抜7㍍で、築山上は海抜13㍍。
紀伊半島大水害後に国が熊野川河口部で実施した掘削工事で採取した砂利1万2000立方㍍を使用。表面に土をかぶせ芝を張っている。幅3㍍の階段とスロープを各2カ所、ソーラー式避難誘導灯を14基設置。事業費は市7500万円、国4500万円の計1億2000万円。
式典では名称の公募で86人の中から選ばれた津越宏之さん、彦前広男さん、矢野和子さんの3人に田岡市長が記念品を贈呈。来賓の濱口太史県議は「避難場所の完成は大変心強く、安心につながる。地域の皆さんは普段からここへ来る習慣を身に付け、助け合いながら一人一人の命を大切にしてもらいたい」と祝辞。彦前さん(68)=同市熊野地=は「思った以上に立派な避難場所ができて良かった。安心です」と話していた。
(2017年9月26日付紙面より)
那智山地区火災防ぎょ訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部(阪本幸男消防長)と同町消防団(貝岐昌志団長)は24日、「消防本部および消防団合同那智山地区火災防ぎょ訓練」を実施した。那智山青岸渡寺にある竹林での火災を想定し、防火水槽の有効利用と無線による連携強化を図った。
昨年に続き、2回目の訓練で、無線を使った指揮命令系統と情報共有による連携強化を目的に行っている。
青岸渡寺の近くに備えられた自然水貯水型の防火水槽は200㌧の貯水が可能で、那智山各所の消火栓などとつながっている。水は無くなり次第、那智の滝の滝つぼ付近にある水源から可搬式ポンプやポンプ車などを用いてくみ上げる仕組みになっており、これらの活用方法を身に付ける狙いもある。
今回は青岸渡寺に向かう防災道路沿いの竹林からの出火、延焼を午後3時ごろに覚知し、風によって激しく燃えている状況を想定した。
訓練には消防本部(署)と消防団第1~第4分団計38人が参加した。団員は所定の位置に散開して那智山にホースを張り巡らせ、無線で火災や部隊配置の状況などを確認しながら消火活動に従事した。
訓練後、阪本消防長は「無線の統制による部隊の強化も達成できた」と講評した。
貝岐団長は「無線による統制がとても難しく、指揮本部にいると三つの音声が流れてきて、統制が取りづらい。訓練を重ねて、しっかり指揮できるようにしたい」と改善点を述べた。
(2017年9月26日付紙面より)
JR新宮駅に魚のアートが登場 (紀の国トレイナート )
JRきのくに線の駅舎を舞台に展開するアートプロジェクト「紀の国トレイナート」(同実行委員会主催・10月1~29日)の作家制作、作品展示が進んでいる。9月22~24日にはJR新宮駅で大阪府岸和田市在住のデザイナー、河合進さん(34)の作品「水平線から尾をふって」の設置があった。河合さんは「見る人に楽しんでもらえれば」と話している。
紀の国トレイナートはきのくに線の駅舎にさまざまなジャンルのアーティストが作品を展開し楽しむイベント。地域の人々とアーティストが共に生み出した作品を鉄道がつなぎ、交流を深め、全国世界から人々を引きつけ多種多様なネットワークがつながる場となることを目指している。
JR新宮駅はきのくに線の終着駅。河合さんは旅をする人にとっての玄関となる場所で、温かな歓送迎ができる作品を目指した。和歌山県にちなむクジラやマグロ、タチウオなどのさまざまな魚をモチーフに、魚が尾ひれを振る姿と手を振るイメージを重ねている。
魚は木製、尾ひれはプラスチック製でアルミのポールに取り付けられている。コンクリートでできた土台を地面に埋めて設置した。作品の高さは約60㌢から160㌢で、計18種類。魚の部分は取り外しでき、尾ひれの部分を使ってしゃぼん玉を作ることで、水中を進む姿を感じさせる。しゃぼん玉ワークショップの実施は期間中、アート列車に合わせて2回程度を予定している。
トレイナートへの参加は初めての河合さんは、大阪府の建材メーカーに勤めプロダクトデザインを行いながら作品を制作している。新宮市を訪れるのはこの機会が初めてで「古い雰囲気のある建物も残っており、文化的な町の印象」と語り、作品について「しゃぼん玉を作れる形状にしつつ魚らしく見られるようにするのが苦労しました」と話していた。
(2017年9月26日付紙面より)
三輪崎で潮風まつり
三輪崎漁業協同組合主催の「第28回潮風まつり」が24日、新宮市三輪崎の三輪崎漁港周辺であった。毎年恒例の人気コーナー、ヒオウギガイ(檜扇貝)拾いは、磯にまかれた1万4000個が約10分でなくなった=写真。
親しみやすく住みよい漁港、漁村づくりを目指す活動の一環として毎年開催されているイベント。今年は昨年と同じ約1500人(主催者発表)が来場した。
貝拾いの参加者たちは、バケツやビニール袋を手に会場となった孔島周辺の磯に集合。スタートの合図とともに貝のある場所に殺到した。小学生3年生以下の貝拾い場所は別に設けられた。
漁協市場では海産物の朝市もあり盛況だった。海野義尊組合長は「心配していたケガもなく大勢の人に楽しんでもらえて良かった」。初めて参加した東心音君(7)=那智勝浦町立宇久井小学校1年=は「面白かった。また来たい」と話していた。
(2017年9月26日付紙面より)
秋季近畿地区高校野球県一次予選
全国高校サッカー選手権和歌山大会
佐渡裕さん指揮、復興祈念演奏 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と同町教委は18日、兵庫県立芸術文化センター芸術監督で世界的指揮者の佐渡裕さんと同センターのスーパーキッズ・オーケストラを招いて「佐渡裕&スーパーキッズ・オーケストラ2017 紀伊半島大水害復興祈念演奏活動 こころのビタミンプロジェクト in なちかつうら」を開催した。
佐渡さんは午後の演奏会に先だち、同町市野々の県土砂災害啓発センター敷地内で鎮魂演奏会を催した。佐渡さんは新宮高校の生徒から「音楽で地元を元気づけたい」と手紙を受け取ったことを来町のきっかけと話し「手紙に感動しました。大水害から6年が経過してしまい、いつか来なければと思っていました」とあいさつ。コンサートマスターの前田妃奈さん(中3)がバッハの「バイオリンソナタ」よりソロを演奏後、会場の全員で黙とうをささげた。高い演奏技術と美しい響きに、約150人の鑑賞者は大きな拍手を送った。
佐渡さんは同町井関の紀伊半島大水害記念公園で慰霊碑に献花し、手を合わせ、「たくさんの命が自然災害で奪われるというのは本当に心が痛みます。自然豊かな所で生まれ育った私たちは、これからますますそうした災害に工夫しながら向き合っていかなければならない。手を合わせるということは、未来のことを決意するということだと思います。励まし合い手を取り合い生きていけるのは日本の素晴らしいところ。われわれには音楽を通してこころのビタミンを届けることしかできませんが、この美しい町がますます魅力的な町になっていくことを願っています」と話した。
(2017年9月20日付紙面より)
知的障害者の雇用など例に学ぶ (新宮市 )
新宮市婦人団体連絡協議会(仲富美子会長)は16日、新宮市福祉センターで、講師に新宮市人権尊重委員会の和田勝さんを迎え人権学習会を開催した。
和田さんは認知症の祖母と孫が題材の絵本「ばあばは、だいじょうぶ」を紹介し、神奈川県相模原市の知的障害者施設津久井やまゆり園で起こった「相模原障害者施設殺傷事件」も取り上げた。社員の7割が知的障害者のチョーク工場が日本で一番大切にしたい会社と呼ばれる理由が描かれた「虹色のチョーク」という本を題材にし、知的障害者との関係などについて講話した。
日本国憲法第14条第一項を読み上げ、「人権というのは、人間が人間らしく幸せに生きていくための権利。人間は生まれた場所、住んでいる場所によって値打ちが決まるものではない。差別はされる側ではなく、する側に問題がある。する人がいるから差別が起こる。いじめも同じ。差別などは人間がつくり出したものですから、人間の力でなくしていかなければならない」と話した。
和田さんの講話の前には、赤十字奉仕団和歌山県支部の講習に参加してきた川嶋みどりさんが、講習時に教わってきた、緊急時に役立つ牛乳パックを使った一人用非常食セットを紹介した。
(2017年9月20日付紙面より)
三輪崎八幡神社例大祭の奉納行事 (新宮市 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭の神輿渡御(みこしとぎょ)と奉納行事が18日、同神社と三輪崎漁港周辺で営まれた。奉納行事では晴天の下、三輪崎郷土芸能保存会が獅子神楽と日本遺産に登録された鯨踊りを披露。踊りや演奏があり大勢の来場者らでにぎわった。
三輪崎漁協前の御旅所では三輪崎郷土芸能保存会が七つの獅子神楽を奉納。『鯨踊り』では扇子を持って鯨を追い込む様子を表した『殿中踊り』と竹製で銛(もり)を模した「綾棒」で鯨を突く様子を表した『綾踊り』を勇壮に披露し「ヨイハ」の掛け声を響かせた。
三輪崎婦人会、台楽保存会、若吉会の女性たちが2曲ずつ踊り、熊野曼荼羅太鼓の演奏に合わせて『黒潮囃子』と『新宮節』も踊った。
三輪崎郷土芸能保存会の濱口仁史会長は「台風の影響で予定を変更しましたが、晴天に恵まれてよかった。懸命に練習した踊りをめいっぱい披露できうれしいです。満足のいく御旅所での披露になりました」。三輪崎八幡神社氏子総代会の中村武会長は「天気も良く無事にでき、ほっとしています。祝日で子どももたくさん出てきてくれた」。
夫が保存会のメンバーの吉村まき子さんは「体力勝負で大変だと思いますが、頑張っていると感じます」。葛平愛子さんは「今年は神輿を担ぐ人が少なく、にぎやかさが例年と違っているように思います。いろんな世代の人が参加しておりいい祭りですね」と話していた。
(2017年9月20日付紙面より)
勝浦八幡例大祭
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭式典が18日、営まれた。17日の予定だったが、台風による荒天が予想されたため延期。内容を縮小して、境内で神事と奉納行事を執り行った。
式典は正午に始まり、祭典委員や氏子らが参列した。櫂(かい)伝馬のこぎ手が「餅つきうた」を歌い、山伏勝浦会(山路昇会長)は歌舞伎の演目「勧進帳」を演じ、勝浦獅子神楽保存会(沖和也会長)が獅子舞を奉納した。
神輿(みこし)の渡御は中止となったが、午後3時からは櫂伝馬行事が営まれた。櫂伝馬愛友会(濱口泰至会長)、那智中学校の男子生徒が乗り込んだ3隻、南紀くろしお商工会の1隻の計5隻が勝浦湾内をこぎ回った。櫂伝馬を応援するギタリストの濱口祐自さんの演奏もあった。大阪府吹田市の浜田純さん(60)は、「毎年お祭りを楽しみにしています。台風で海中神事が見られず残念でしたが、櫂伝馬は見ごたえがありますね」と話していた。
(2017年9月20日付紙面より)
「ツール・ド・北海道」キナンチームレポート②
寺本千紗さん、潮﨑梨緒さん選出
秋晴れの中、神輿渡御や奉納行事 (三輪崎八幡神社例大祭 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭の神輿渡御(みこしとぎょ)と奉納行事が18日、同神社と三輪崎漁協周辺で営まれた。台風一過のさわやかな秋晴れの中、みこしや山車(だし)が区内を練り歩き、奉納行事は多くの人々でにぎわった。
漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭り。本殿大前ノ儀では祭り関係者が参列し地域の平穏無事を願った。
神輿渡御では、同神社を出発したみこしに続いて、大勢の子どもや大人に引かれた恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が、三輪崎漁港前の御旅所まで豪快にぶつかり合いながらまちを練り歩いた。
三輪崎漁港前の御旅所では、三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)が獅子神楽を奉納した。獅子舞の天狗(てんぐ)役は、屋敷朋希君(5)が務めた。三輪崎婦人会、台楽保存会、若吉会が華やかな手踊りを披露。同保存会の青年たちが掛け声とともに、日本遺産にも登録された勇壮な鯨踊りを奉納した。
(2017年9月19日付紙面より)
イスタンブール高校来校 (串本古座高校 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)は15日、トルコ共和国のイスタンブール高校(ヒキメット・コナル校長)と姉妹校提携を結んだ。アメリカのヘメット高校、カナダのバニア高校に続き3校目で、愛須校長(57)は「生徒が世界へといっそう視野を広げ、地域の歴史を見つめ直すいい機会にしたい」と今後の交流に意気込んでいる。
イスタンブール高校は国内でトップクラスの優秀校として有名で、生徒890人が学んでいる。コナル校長(38)によると、生徒が授業でトルコ軍艦エルトゥールル号の史実を学ぶ中で串本町に興味を持ち、どうやれば行けるのかなどを調べて筋道をつけた延長で今回の訪問を計画した。その勢いの背景には日本に関心を持つ学生の増加があり、次年度には日本語クラブも創設される予定。将士を救った地域に感謝を届けるとともに、できることは限られているが生徒間交流で両国の友好に協力できればと考えて今年7月、串本古座高校に姉妹校提携を申し入れたという。
串本古座高校は次年度から地域に貢献できる即戦力人材を育てるグローカルコースを実働させる計画。教材とする地域はトルコ共和国との友好が深く、この姉妹校提携は今後の新たな挑戦において有益だと考えて受け入れることにしたという。
調印式は串本古座高校で行うことになり、この日はコナル校長ら教員3人と訪問を希望した3年生(日本の高校2年生に相当)12人が来校。愛須校長ら教員と生徒会執行部やCGS部トルコ班の生徒が出迎えて歓迎した。両校長、生徒を代表して生徒会執行部の高田紅恋会長(2年)とイイットジャン・カヤ君があいさつを交わし合い、互いの高校を紹介しあった後に両校長名で調印書を交わした。
イスタンブール高校一行は式後、校舎やクラブ活動を見学。各部も体験を準備して生徒間交流に臨み「トルコ語は無理だけど英語で何となくコミュニケーションできた」と興奮していた。
提携はしたが両校とも半ば勢いで縁組をした状況で、今後の具体的な交流事業は白紙の状態。学校紹介時に両校ともパソコンを用いてプレゼンテーションをしたこともあり、インターネット経由での情報交流であればすぐにでも始められそうだと愛須校長は思い描いた。
イスタンブール高校の一行は翌16日、串本古座高校と共に同町樫野にあるエ号殉難将士慰霊碑へ献花し、トルコ記念館を見学。一帯の清掃に取り組んでいる大島小学校を訪問し、当事者である児童らに会って感謝した。
その後に田嶋勝正町長と将士を救助した当時の村民の一人・高埜友吉のひ孫にあたる堀口徳弘さん(65)を表敬訪問。自分たちにできることの一端で、沖日記をトルコ語に訳し日本とトルコが今後共同設置する大学に託す目的で電子データの提供を要請し、堀口さんから伝え聞いている当時の状況を聴取しトルコ共和国における尊敬の所作を堀口さんに注いでこの上ない感謝の証しとするなどした。
(2017年9月19日付紙面より)
新宮市橋本児童館で
新宮市の橋本隣保館・児童館(速水得史館長)で16日、「第29回ささやかな敬老会」があった。子どもたちが歌を披露し、お年寄りたちを喜ばせた。
開館の翌年から始まり、紀伊半島大水害の年を除いて毎年開催されている。地域住民たちが子どもたちへのプレゼントを作るなど、手作りイベントとして続いている。
会場には地域の高齢者たちが作った生け花、陶芸、手芸、プリザーブドフラワーなどを展示。松嶋亨さんのシルバー川柳、松嶋享さん、中田定弘さん、広野武子さんの歌のほか、マジックショーやビンゴゲームもあり、盛り上がった。
速水館長は「台風が近づいていたので心配しましたが、多くの人が来てくれて良かったです。本当に手作りの敬老会ですが、毎年皆さんが楽しみにしてくれています」と話していた。
(2017年9月19日付紙面より)
台風18号、近畿地方通過
大型の台風18号は17日午前、鹿児島県南九州市付近に上陸、九州南部、四国、近畿地方を通過し、18日には北日本を進んだ。和歌山県には17日夜に最も接近し、和歌山地方気象台によると午後8時35分に和歌山市の友ヶ島で44・7㍍の最大瞬間風速を記録。新宮市では熊野速玉大社の大鳥居手前で倒木があった。
熊野地方でも強風が吹き、大雨が降った。17日午後9時までに太地町太地で43㍉、那智勝浦町勝浦で38㍉、同町浦神西で37㍉の最大時間雨量を記録。累積雨量は同町勝浦で333㍉、太地町太地で328㍉、新宮市高田で318㍉に達した。和歌山県の調べによると県内の主要河川のはん濫は無かった。
各地で避難準備情報が出された。那智勝浦町では17日午後4時20分に市野々から天満中村にわたる地区と天満地区薬師谷付近に「避難準備・高齢者等早期避難」を発令した。新宮市は16日午後5時、21カ所の自主避難所を開設。20世帯24人が避難した。
県内では由良町白崎海洋公園道の駅で28歳の男性が転倒して骨折、田辺市消防団龍神支団中山路分団車庫のシャッターが破損するなどの被害が出た。
交通機関にも乱れが出た。JRきのくに線は新宮―和歌山間が運転を見合わせた。関西電力によると田辺市内で約3560軒が停電した。
(2017年9月19日付紙面より)
「ツール・ド・北海道」キナンチームレポート①
県大会目指し熱戦繰り広げる
犠牲者の友人ら七回忌で (紀伊半島大水害から6年 )
紀伊半島大水害で犠牲となった中平幸喜さん(当時45歳)の冥福を祈り、友人ら5人が10日、新宮市熊野川町上長井の小口自然の家広場に高さ24㍍の慰霊塔を設置した。被災現場の復旧工事で伐採した熊野杉を使用していて、友人だった中川悟さん(58)=同市新宮=は「七回忌ということで建てました。あの水害を忘れないでほしい」と話した。
塔に使った木は、幸喜さんの遺体発見現場で伐採した杉。2本を鉄板でつなぎ合わせていて、「繋(つな)がる絆で笑顔あふれる元気な町」などのメッセージを書き込んでいる。同広場で毎年開催されるクリスマスイベントでは電飾を取り付ける予定で、来年1月中旬まで建てている。
塔の設置作業には中川さんのほか、同じく友人で、那智谷大水害遺族会代表を務める岩渕三千生さん(56)=紀宝町=らが参加。幸喜さんの長男・中平史都さん(29)=同市王子町=と田岡実千年市長も駆け付けた。
クレーンやロープを使って塔を設置した後、菊の花と幸喜さんが好きだったコーヒーとタバコを塔前に供えた中川さんは「子どもの頃から知り合いで、仲が良かったので、今でも悲しみは強いです。天国から『またアホなことして』と言っていると思います」
幸喜さんが熊野川町内で営んでいた中古車販売店で一番に車を買ったという岩渕さんは「悟さんから7回忌の節目に塔を建てたいという話があり即決しました。お酒が飲めず、いつもジュースでしたが、場を明るくしてくれるとてもいいやつでした。天国から塔を見て喜んでいると思います」
『姿形は見えなくても心は共にあります』と塔にメッセージを書き込んだ史都さんは、この水害で父を含め家族5人を亡くした。「慰霊塔を建ててももらい、大変ありがたく感謝の気持ちです。父は友人に恵まれていたんだな、と思います。私にとってもみんなに好かれる自慢の父でした」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
土砂災害シンポジウム (那智勝浦町 )
国土交通省近畿地方整備局の大規模土砂災害対策技術センターは9日、那智勝浦町体育文化会館でシンポジウム「改めて土砂災害を知り、備える~紀伊半島大水害から6年~」を開催した。200人を超える住民らが詰め掛け、近年の研究成果の発表や今後の対策に関する提言に耳を傾けた。
センター長で近畿地方整備局河川部長の中込淳さんは「研究成果がより多くの人の命を守ることにつながってほしい」とあいさつ。副センター長で紀伊山系砂防事務所長の吉村元吾さんは近年の土砂災害を振り返った。吉村さんは土砂災害に関しては危険度の高まりが目視で判断しにくいことから、家屋の中にいて巻き込まれる例が多く、人命被害の多い災害と解説。全国的な土砂災害の増加や、流木による被害の拡大が目立つことを指摘し、日頃の訓練と情報収集の重要性を呼び掛けた。
センター主任研究官の木下篤彦さんは那智川での調査研究を報告した。本流、支流に巨礫(きょれき)が堆積して流れをせき止め、氾濫につながった状況などを話した。雨が降る度に川からペットボトルに水をくんで調べ、「濁りがきつくなると危険」と述べ、流域の地質や木の根の張り方など細かな調査結果なども説明した。センター員の田中健貴さんは被災した人たちから聞き取り調査を実施した。那智川流域では過去にも土砂災害はあったが、災害経験の伝承が難しかった。今後は経験や知識を集めて防災学習を推進し、子どもたちに伝えていく重要性を語った。副センター長の桜井亘さんは全国の研究調査を紹介。土砂災害の予測の難しさを説明した上で「警戒情報が出たらすぐに避難を考えて」と訴えた。
パネルディスカッションでは那智勝浦町の寺本眞一町長、和歌山県砂防課副課長の森川智さんも加わって避難の在り方などを議論した。
寺本眞一町長は「砂防施設の整備が進んでいるが、警戒を怠らず、避難所の開設を早めてすぐに避難できる態勢をつくりたい」と述べた。研究成果の学校教育への活用を提案し、同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センターは観光客が多く訪れる場所であり、修学旅行の生徒らを立ち寄らせ、防災学習に役立ててほしいと求めた。
(2017年9月12日付紙面より)
吹奏楽部第5回定期演奏会 (潮岬中 )
串本町立潮岬中学校吹奏楽部(石川朝香部長、部員13人)の第5回演奏会が10日、同校体育館であった。本年度結成したユニットの集大成となるステージで、一般約80人が鑑賞し喝采を送り、努力をたたえた。
部員は5月の体育祭以降、定演を意識して練習を開始。どの世代にも楽しんでもらえるよう、唱歌や歌謡曲、前年度アンサンブルコンテスト紀南大会で披露した楽曲などさまざまなジャンルから選曲をし、夏休みも週5の活動に励んでこの日を目指してきた。
開演にあたり藤本弘子校長は「一人一人がそれぞれの役割を果たして心を通わせれば、自分たちの音楽で皆さんの心を潤わせることができるという思いで励んできた。みんなの気持ちを一つにして音楽を届ければ、音楽に乗って心も届くと思う」と激励。石川部長は「私たちのいい思い出になり皆さんの記憶に残るよう一生懸命頑張ります」とあいさつし、3部構成で練習の成果を披露した。
第一部では4曲を奏で、唱歌「山の音楽家」ではパートごとに音色の披露も。第二部は2、3年生が同大会で披露した重奏3曲、第三部は3曲を奏で最後は日本の愛唱歌をメドレーで締めくくった。
小道具を交えたパフォーマンスはなかったが、開演に先立ってプレ演奏1曲を披露した同ユニット。演奏を終えて沖早織副部長(3年)は「最高の演奏会ができました。3年生が引退すると部員が少なくなりますが、これからも応援をよろしくお願いします」とあいさつして締めくくった。
同ユニットでの演奏はあと1回、潮岬小でのミニ演奏会があるが大舞台はこの日が最終の機会。石川部長は「私自身はちょっと間違いもあったけど、13人がそろって演奏できて良かった。今日はみんなで全力を出し切れて楽しかった」と振り返った。
(2017年9月12日付紙面より)
ひまわりまつり (熊野川町 )
熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)は10日、新宮市熊野川町能城(のき)山本の日足バイパス下で「ひまわりまつり」を開催した。新米争奪ビンゴ大会、スイカ早食い競争など盛りだくさんの催しがあり、約2000人(主催者発表)でにぎわった。
同協議会は2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所にして元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモスなどの種をまいている。今年は町内約5㌶に約40万本分のヒマワリの種をまいた。「ひまわりまつり」は市制施行10周年記念で一昨年初めて開催し、今年で3回目になる。
今年はステージで6団体がフラダンスなどを披露したほか、地元物産や飲食など約14店が並んだ。来場者たちには無料で風船と綿菓子を配り、最後に約120㌔分の餅をまいた。
会場に駆け付けた田岡実千年市長は、祭り関係者たちの活動に感謝し、「身近な農地を守り活用し、活性化を図ろうとする地域の皆さまの活動には頭の下がる思い」
下阪会長(71)は「前日から雨を心配していましたが、もってくれ、このようににぎわって良かったです。来年も開催したいと思っています」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
高校野球秋季近畿大会県一次予選
第48回全国中学校柔道大会
熊野BBC・武田君が国際大会に出場
県高校卓球選手権大会兼1年生大会
古道歩きや外来植物除去 (新宮市 )
東京大学の学生たちが8月31日から、「聖地熊野の歴史文化と自然を体験しつつ新宮市の文化行政を学ぶ」をテーマに新宮市内の熊野古道などを巡っている。9月3日(日)までに大峰奥駈道、小雲取越などを歩く予定。
東大の濱田純一前総長が提唱した「よりタフによりグローバルに」を元に2012年度から始まったプログラムの一つ。新しい考え方や生活様式を学び、新しいアイデアを生み出す力を身に付けることが狙いで、社会貢献活動、国際交流、自然体験、地域体験など全76種類ある。
参加者は学生9人、大学院生2人のほか、企画責任者の秋山聰・東大人文社会系研究科教授、鐸木道剛・東北学院大学キリスト教文化研究所長、建築家のマヌエル・タルディッツさん、濱田東大前総長ら計27人。
一行は8月31日、新宮市文化財保護審議会の瀧野秀二副委員長(71)の案内で市内の世界遺産熊野古道「高野坂」を歩き、外来植物ノハカタカラクサをゴミ袋9袋分除去した。その後、市役所で「熊野地方の自然」をテーマにした瀧野副委員長の話を聴いた。
秋山教授(54)は13年9月、台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したことがきっかけで熊野に興味を持つようになった。昨年5月に市内で講演し、楠本秀一教育長との話し合いの中で同プログラムを企画した。「初めての取り組みですが、できれば来年からも続けていきたい」と話していた。
初めて熊野を訪れた薬学部3年の伊藤慶さん(20)は「寺社巡りが趣味で熊野へ行きたいと思っていました。高野坂を歩いて海岸がとてもきれいだと思いました」と感動していた。
(2017年9月2日付紙面より)
京都橘大学インターンシップ報告会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と地域活性化に関する連携協定を結ぶ京都橘大学のインターンシップ(企業実習)終了報告会が8月31日、町体育文化会館であった。2年生10人が関係者約20人の前で、11日間の就業体験とフィールドワークのまとめを発表した。
このインターンシップは、連携協定の一環として、積み上げ方式の3カ年計画で今年から始められた。就業体験に地域の課題解決に向けたフィールドワークを組み合わせることで、教育効果が高まるという。
学生一行は21日に来町し、22~26日まで宿泊施設や関係各団体で研修を受け、28日に中間報告を行った。
29、30日のフィールドワークでは、歴史や文化への関心が高い欧米人観光客と町に漁師町文化と歴史ある寺社が多いことから、「欧米人観光客と受け入れ調査」をテーマにし、2班に分かれて商店街の22店舗で聞き込み調査を行った。
調査の結果、「外国人観光客に駅やコンビニ、銀行の場所がすぐ分かるようにしてほしい」、「外国人観光客を案内する指さし表を実際に使用した店舗がほとんど無かった。日本人と欧米人でイラストの認識に相違がある」などの意見があった。アンケートも実施し▽「英語のメニューあり」53%▽「指さし表あり」39%▽「英語でのコミュニケーションが可能」58%▽「外国人が来ることはいいと思う」100%―という結果だった。
学生代表の現代ビジネス学部経営学科2年、海東拓実さんは「那智勝浦町が大好きになりました。研修先の中の島でも、社員や先輩たちにかわいがってもらい、親身に話も聞いてくれました。別れるのがとてもさみしい。次こそはお世話になった人たちに恩返しできるよう、成長したいです」と涙ながらに思い出を語り、感謝を述べた。
浦島観光ホテル株式会社取締役・総合企画担当の西川正修さんは「よそから来た若い人の視点で調査してくれた。町に住む者が今日の報告を生かしていけたら」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
養生期間を経て一面緑に (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)は1日、芝生化した校庭の利用を再開した。来る中体連新人戦に向けてサッカー部などが練習を始めたほか、同町立潮岬幼稚園(南君子園長)の園児も訪れてさっそく駆け初め。晩秋に冬芝のタネをまいて再度養生期間を設けるが、それまでの間は社会教育利用も含めて活用を図るとしている。
同校校庭の芝生化は、旧来の芝が減り近隣に舞い上がるようになった砂の飛散抑止が主目的。日本サッカー協会(JFA)事業「グリーンプロジェクト」の支援が得られることになり6月下旬、地域の協力も得ながら無償提供された苗2万株弱を植え込んだ。
苗は国立競技場でも採用されているティフトン芝で、旺盛な生育力が特徴。JFAから「2カ月ほどで一面を覆う」と紹介を受けた同校は、夏休みの終わりまでを養生期間とし、本来の養生期間(約1カ月)以降は暑さが厳しい中で毎朝の散水に加え、同町教育委員会が配備した乗用芝刈り機による週3回の芝刈りや手押し式による月2回の追肥―と手間をかけて着実な根付きを図ってきた。
当初は50㌢間隔でまばらだった500円玉大のポット苗の成長は驚異的で、8月31日現在で外縁を除く校庭全面をほぼ覆い尽くした状況。厚みが増すのはこれからといった段階だが、ティフトン芝は踏むなどの刺激を与えた方が育ちがいいため予定通り今月1日から利用を再開した。
授業やクラブ活動のほか、社会教育関係で少年サッカーやシニア野球、ソフトボールなどの団体利用、幼稚園のチャレンジランキングに向けた練習や住民の利用もあり、関係各者には利用再開を事前に伝えている。
藤本校長は「皆さまの協力と先生方の尽力のおかげで、無事に芝生化が進んだ。特にサッカー部には10月の新人戦に向け、今まで使えなかった分も含めてこれから練習に頑張ってほしい。地域の皆さまにもこれまで通り活用していただければ」とコメント。
井口英夫教頭によると、この夏は着実な根付きを図るという狙いもあり教員のみで管理にあたったが、教員だけでは大変な労力規模で今後は省力化や労力の分散も考えたいとした。
(2017年9月2日付紙面より)
台風の影響、初日は漁獲なし (太地町 )
太地町で1日、イルカや小型クジラの追い込み漁が解禁された。午前5時すぎ、町漁業協同組合所属の太地いさな組合(小畑充規組合長)の12隻が太地漁港を出港した。反捕鯨団体の目立った活動はなく、静かな出漁となった。この日は台風の影響で波が高く、すぐに引き返し漁獲はなかった。
国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の漁で和歌山県知事の許可を得て来年春まで漁獲制限を設けて行われる。今年からカズハゴンドウとシワイルカ2種が捕獲対象になった。漁をめぐっては反捕鯨団体の活動家とのトラブルが絶えず、漁期中は県警本部が町内に臨時交番を設け、第5管区海上保安本部も職員を派遣して妨害活動を監視している。この日は、外国人2人が東の浜でスマートフォンを使って出港風景を撮影していた。
小畑組合長は「初日なので、できるだけ状況を見てみたかった。9月は最初の月で今年一年を占える。この月がよければ安心感が持てる。いい漁ができればいいなと思っている」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
全日本ジュニアバド和歌山県予選