三軒町長、フェロー諸島から帰国 (太地町 )
小型鯨類の追い込み漁を行っているデンマークの自治領・フェロー諸島との姉妹都市提携を目指して現地を21日から訪問していた太地町の三軒一高町長が27日帰国した。三軒町長は「心のこもった歓迎を受けた。提携へ好感触を得た。来年には結べればうれしい」と話した。
フェロー諸島はイギリスの北方、ノルウェーとアイスランドの間にある。人口約5万人の漁業が主体の自治領で古くから捕鯨の歴史を持ち、23の入り江でマゴンドウなどの追い込み漁を行っている。国際捕鯨委員会(IWC)で太地町との懇談で姉妹都市提携のアイデアが出た。太地町では同じ漁をする町として捕鯨文化の発信や鯨類の持続的な利用のために協力関係が築けるとして姉妹都市提携を目指している。
三軒町長と町職員らは人口約5000人のクラクスヴィーク町を訪れた。フェロー諸島政府の外務貿易省、漁業省、漁業関係機関を訪ね、島の生活や文化について意見交換した。三軒町長は「辺境の地で木々が全くなく、生きんがために漁業で暮らしてきた町ということがよく分かった。ルールをきちんと決めて追い込み漁をしている。捕鯨の原型が生きていると感じた。住民が力を合わせて暮らしている。太地水産共同組合が思い浮かんだ」と印象を語った。反捕鯨団体の活動に対しては思想的な面は自由だが、法を犯す行為には厳しく取り締まるという姿勢で対処している。
太地町総務課によるとヨグバン・スコアハイム町長(34)は「太地町の町のことやビジョンはよく分かった。姉妹都市提携協定書案については確認している。9月開催の議会で各議員に諮った上で返事したい」と回答したという。三軒町長は「フェロー島の漁業会社は、収益を地元の住民などに還元しているなど共同の精神も感じることができた。同様のクジラ文化を持つ自治体として多数の共通点を確認できた。返事を待ちたい」と話した。
(2017年8月29日付紙面より)
公立小中学校で始業式など (新宮市 )
新宮市内の公立小中学校は28日、授業を再開した。約1カ月の夏休みが明けて児童生徒たちが登校し、静かだった校舎に活気が戻った。
通学路では「さわやか朝の声かけ運動」があり、学校職員、市職員や民生委員児童委員協議会メンバーらが児童生徒らに「おはようございます」「気を付けてね」と声を掛け、登校中の安全を見守った。
市立熊野川小学校(上地健校長)では、2学期始業式が開かれた。体育館で全校児童の校歌斉唱後、上地校長はジャマイカの、元陸上短距離のウサイン・ボルト選手を紹介し「自分のハンディやケガの中、諦めずに頑張ってきた。みんなもボルト選手を知ることで、踏ん張る力、頑張る気持ちを持ってほしい」と呼び掛けた。
前期児童会を代表し上野光優さん(6年)は「すてきな夏休みを過ごせましたか。私は6年生の女子で行った川遊びが楽しかったです。今日から気持ちを切り替えて頑張ってください」とあいさつした。生活指導からは新しくできた道と公園に関して、登下校時に通らないことや道路、階段で遊ばないこと、公園の遊具やトイレを正しく使うなどの話があった。
谷口遼真君(5年)は「夏休みは川で遊んだのが楽しかった。2学期は勉強をよくしたり、みんなと遊びたい」と話していた。
(2017年8月29日付紙面より)
第13回おもしろ夏祭り (串本町 )
串本町潮岬の県立潮岬青少年の家で26日、イベント「第13回おもしろらんど夏祭り」があり夏休み最後の週末をさまざまな体験を楽しんで過ごす子どもや家族連れでにぎわった。
潮岬おもしろらんど体験学習推進協議会(地主春美会長)主催。地域ができることを持ち寄って形作る交流企画で、会場にはさまざまな体験や工作の各コーナー、フリーマーケットや模擬店、ステージが並んだ。
体験の目玉となっているお化け屋敷は実施3回目で、今回も本館研修室2室を暗室にし前回よりお化けが増えて怖さがアップ。他の体験や工作はスタンプラリーの対象とされ、六つ以上挑戦すると金魚すくいができる特典をつけて子どもの挑戦を促した。中でも木工工作は夏休みの自由工作にも役立つ人気企画で、今年も多くの家族連れが、奈良県五條市から参加した出店者・工房ひらおかの製材支援を受けながら作品作りに取り組んだ。
普段は有料の施設プールもこの日は無料開放。併せてカヌー試乗会もあり、川や海より安全とあって代わる代わる絶え間ない利用を集めた。
ステージでは和歌山市在住の日本デコ寿司(ずし)協会会員のかおり巻子さんが当日参加の子ども10人と協力し全長約2㍍のデコ巻き寿司作りに挑戦した。この寿司は千葉県の食文化で、金太郎あめのように切り口に絵柄が現れるのが特徴。今回はバラの切り花をイメージした絵に挑戦し、切り分けた寿司は来場者に振る舞われた。その後も子どもビンゴゲームや子ども億万長者ゲーム、ダンス教室「PHAT DANCE STUDIO」メンバーのパフォーマンスがあり、最後はお菓子まきでにぎやかに締めくくられた。
残暑厳しい好天下で本番を迎え、地主会長は「夏休みの最後にいろいろな体験をしていただくのが私たちの希望するところ。積極的なチャレンジ精神を発揮して楽しんでいただければ十分です」と期待しながら来場者の応対に努めていた。
(2017年8月29日付紙面より)
那智勝浦町、地元有志で記念公園を清掃 (紀伊半島大水害から6年 )
那智勝浦町井関の紀伊半島大水害記念公園で26日、那智谷遺族会の岩渕三千生代表と地元建設業有志ら8人が、周辺の清掃を行った。猛暑の中9月4日の慰霊祭に向け、慰霊碑裏の側溝や川沿いの空き地に生い茂った草刈りで汗を流した。
同遺族会は2011年9月の紀伊半島大水害における那智勝浦町の犠牲者遺族らで発足した団体。翌12年12月には災害記録写真集「紀伊半島大水害」を発行。写真集の収益金の一部を全国の被災地への義援金に充てる活動を続けている。
岩渕さんは「清掃活動は今年で5年目。毎年有志の協力で行っている。7回忌とは言っても、何年たっても悲しみは変わらない。忘れてはならない。これからも続けていく」と話していた。
同会は7月に発生した集中豪雨による九州北部の被災地へ義援金を送る予定にしている。
(2017年8月29日付紙面より)
もみじ会が8月月例杯
県下高校野球新人戦
大商大卓球部が技術指導
八幡神社例大祭に向け修祓式 (三輪崎郷土芸能保存会 )
新宮市の三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)は25日、同市三輪崎の八幡神社例大祭で奉納する県無形民俗文化財の鯨踊り、獅子神楽の練習を始めた。初日は同市の三輪崎青年会館で練習の無事を祈り「修祓(しゅばつ)式」が営まれ、熊野速玉大社神職のもと古式にのっとった神事で無事を祈った。例大祭は9月15日(金)に本殿大前ノ儀、16日(土)に宵宮、17日(日)に神輿渡御(みこしとぎょ)に伴う奉納行事が営まれる。
保存会は20代から80代までの幅広い年齢層で構成されている。天狗(てんぐ)=稚児=を務めるのは屋敷朋希君(5)。「天狗は難しそう。大きく上手に踊りたい」と話していた。会員らは例大祭に向け、日曜日を除く毎晩同会館で練習を重ねる。
濱口会長は「暑い中、大変だと思うが練習、例大祭本番、関連行事と続くので、暑さを乗り切り頑張ってもらいたい」とあいさつ。11月25日(土)に日本青年館(東京都)で開催される「全国民俗芸能大会」に出場する全国4団体の一つに選ばれ、61年ぶりに参加することに触れ「そこに向けても頑張りたいが、われわれの本番は例大祭。まずは地元の皆さんに喜んでもらえる鯨踊りと獅子舞を披露したい」と力を込めた。89歳となる最長老の尾﨑匡司さんの現役参加を「うれしく誇りに思う」と述べた。
漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願う例大祭は、三輪崎漁港付近にあった本宮に神様が年に1度里帰りする祭り。神輿渡御に伴い恵比寿(えびす)、大黒天、二十四孝(にじゅうしこう)の山車渡行、郷土芸能、舞踏などの奉納行事が繰り広げられる。
(2017年8月27日付紙面より)
フランスのコンクールで
新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗代表取締役社長)は同社の「純米酒太平洋」を、6月26日にフランス・パリで開かれたフランスで初の日本酒コンクール(品評会)「蔵マスター」純米部門に出品、プラチナ賞に輝いた。
このコンクールは、フランス人によるフランス人のための日本酒のコンクール。フランスの歴史的食文化であるマリアージュと呼ばれる食と飲み物の食べ合わせを日本酒と食という観点からみて、体験をする場としての重要性を持たせ、フランス市場における日本酒をアピールする場を提供していくもの。
審査員はフランス各地のソムリエ、レストラン関係者、ホテル・料理学校関係者など32人を中心に構成された。全員が事前に日本酒の概要と利き酒・評価方法のレクチャーを受けた上で、ワイン専門家として総出品酒数550点(純米大吟醸部門266点、純米部門284点)を審査し、点数の高い上位33%が賞を受賞。両部門からプラチナ賞58点、金賞123点が選ばれた。
尾﨑社長は「熊野地方産のコシヒカリと熊野川の伏流水で造られ、地元の皆さんに親しんでもらっている地酒『太平洋』が、和食と同じく食の無形文化遺産に登録されているフランス料理とも合うということをワインのプロたちによって金賞より上のプラチナ賞というかたちで評価され、本当にありがたく思う」と受賞を喜んだ。森本紘造製造部長は「造る側にとって今回の受賞は、太平洋は外国の人にも合うことが証明されたということでもあり、うれしく思うと同時に今後の自信になる」と話した。
プラチナ賞を受賞した「純米酒太平洋」は、7月に行われた「全国燗酒コンテスト2017」でも金賞を受けている。
(2017年8月27日付紙面より)
10月22日、体育文化会館 (那智勝浦吹奏楽団 )
那智勝浦吹奏楽団(大江一恵団長)は10月22日(日)午後6時30分から、那智勝浦町体育文化会館で第22回定期演奏会を開く。演奏会を2カ月後に控え、練習に熱が入ってきた。大江団長は「文化の秋、『勝吹』は高尚かつ芸のあるところが魅力。皆さんに演奏会を楽しんでもらうため、練習に取り組んでいます。定期演奏会へぜひご来場を」と意気込んでいる。
同吹奏楽団は那智中学校吹奏楽部OBらをメンバーに1994年に発足。熊野地方各地のイベントでの出演や、小学校や各地域を訪問して演奏会などを開催し、地域文化の向上に貢献している。定期演奏会は22回目。和歌山県文化振興事業補助事業として開催。
第一部は格調高く「梁塵秘抄~熊野古道の幻想~」で開幕。熊野那智大社創建1700年・那智山青岸渡寺西国三十三札所草創1300年を記念しての演奏。指揮の大江伸二さんは「記念の年。お祝いの雰囲気を盛り上げたい」と話す。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のテーマ曲の後、今回のテーマ「昭和は遠くなりにけり」のヒットパレードと続く。昭和と平成のヒット曲を対比しながら紹介していくというユニークな企画。老いも若きも楽しめる演奏を展開する。「芸」のステージのテーマは「那智勝浦吹奏劇団『今昔~南紀勝浦旅ものがたり』」。那智勝浦町の観光振興を願いながら町の今昔を紹介する。
入場料は500円。中学生以下は300円。9月1日(金)からチケット発売。販売は文具センターツツ井(新宮市)、湊化粧品店(那智勝浦町)。問い合わせは同吹奏楽団事務局(電話0735・52・3795)。
(2017年8月27日付紙面より)
観光振興計画策定ワークショップ
平成30年度から5年間にわたる新宮市の観光振興の方向性を決める観光振興計画を策定するため、市商工観光課と市観光推進キャンペーン協議会事務局は22日、市福祉センターで第1回ワークショップを催した。観光関係者31人が参加し、「新宮市のブランディング」をテーマにアイデアを出し合った。
市の総合計画内に観光振興計画が定められており、観光を市の発展や人口獲得につなげる狙い。現在、市が抱える観光課題として▽市が交通の通過点になっている▽町中観光の必要性―などがあるという。9月に同計画委員会を立ち上げ、来年2月までに全3回のワークショップを実施する。第2回で「ユーザー」を、第3回で「新宮が持つものとユーザーが求める共通のもの」をテーマに意見交換し、事務局でまとめて、観光振興の方向性を定める。
アドバイザーに楽天トラベル株式会社地域振興事業部の高橋俊介さんら3人を迎えた。今回は、新宮市が他に負けない強みとそれを支えているものを探り、コンセプトという共通認識を持ってもらう狙い。首都圏在住の30代女性をメインに、インバウンド旅行者をサブターゲットに設定した。
参加者は3グループに分かれて、「熊野古道」と「ジオパーク」をテーマに来新者に紹介したい市の歴史やパワースポット、食、文化などを挙げた。新宮を特徴づけるワードには、「すごい」、「とても」といった形容詞を付けてアピールポイントを探った。
(2017年8月24日付紙面より)
大商大卓球部が那智勝浦町で合宿
大阪商業大学卓球部(吉田充監督、月待輝海主将、選手19人)が21日午後、合宿のために那智勝浦町入りした。同町体育文化会館で24日までの4日間、約2週間後に迫っている関西学生秋季リーグ戦などに向けて練習に励む。
同町での合宿は、町体育協会元卓球部長の中西毅さんとの縁で実現し、今年で4回目。同日には歓迎セレモニーが行われ、寺本眞一町長や観光協会の花井啓州会長らが歓迎した。
歓迎セレモニーでは寺本町長が「秋季リーグを控える中で、皆さんに那智勝浦町へ合宿でお越しいただき、本当に心から歓迎を申し上げたいと思います」と歓迎し、「この合宿で飛躍のヒントやきっかけをつかむようなことがあれば、われわれとしてもうれしく思う。今後の皆さんの活躍をご期待申し上げます」と激励。
花井会長は「ここから、リーグ戦などでいい成績を収められますよう、また、その先のオリンピックを目指して頑張っていただきたい。私たちの町は、卓球とレスリングの町を目指しておりますので、今後とも末永くお越しいただけますよう、よろしくお願いします」とあいさつ。
平安衣装を着た観光協会の職員から吉田監督に花束が贈られたあと、月待輝海(つきまち・てるみ)主将が「僕たちにとってはいい環境で練習をさせてもらえるので、ありがたく思います。今リーグ戦では2部にいます。僕が入部したころから1部昇格を目標に戦っていますが、まだ昇格できていません。この合宿では、1部に上がれるように頑張りますので4日間よろしくお願いします」と応えた。
セレモニー終了後、吉田監督は「秋季リーグなどに向けた強化を行うための合宿だが、この最高の環境は部員だけではもったいない。地元の中高生の練習参加を受け入れるほか、23日の午後7時からは地元の愛好家の人たちとの交流会も行う予定にしています」と話した。
(2017年8月24日付紙面より)
伊藤園が夏休みキャンペーン (太地町 )
株式会社伊藤園=本社・東京都渋谷区=が主催する夏休み特別体験プログラム「クジラ・イルカの学芸員に学ぶ!海の大きな生き物たちの世界」が21日、太地町立くじらの博物館で催された。同社が企画する「親子で夏休みの大冒険プレゼント」キャンペーンのA賞当選者とその家族10組が参加し、クジラやイルカとの触れ合いを楽しんだ。
このキャンペーンは、自然と触れ合う機会の少ない都市部の子どもたちに夏休みの思い出を作ってもらうとともに、自然・文化など地域ならではの体験を通して感受性や生きる力を育んでもらおうと企画された。株式会社JTBと協力し、北海道から鹿児島県屋久島までの全国8カ所でキャンペーン当選者80組を対象に冒険プログラムを実施している。これまでは宿泊と観光案内のみだったが、今回から教育プログラムも取り入れた。
太地町は、くじら学習などに積極的に取り組んでおり、捕鯨の歴史など人と生き物の距離が近く、キャンペーンの理念と合致することから会場に選ばれた。海の生き物を思いやる気持ちや鯨類と人が仲良くなれる工夫を見つけてもらいたいとしている。
1泊2日のスケジュールで、初日は鯨類について博物館職員から講座を受けた。2日目は紀の松島めぐりで海上から太地町を見学した後、博物館で鯨類と触れ合った。カヤックに乗ってクジラに餌をやり、浜辺でイルカに触れ、観察などを楽しんだ。
兵庫県宝塚市から参加した宮本駿君(14)と妹の葵さん(8)は「本物のイルカとクジラに触るのは初めて。鳴き声が聞き慣れなかったので、思ってたより怖かったけど、だんだんかわいく思えてきた」と喜んでいた。
(2017年8月24日付紙面より)
有田沖で串本海中観察会 (串本町 )
串本町有田にある串本海中公園センターで21日、串本海中観察会があり県内外の小学4年生以上17人がシュノーケリングでサンゴ群集や共生する生き物を観察した。
この観察会は環境省近畿地方環境事務所と県が主催。日本最初の海中公園(現・海域公園)でありラムサール条約湿地にも登録されている串本の海をじかに観察し、環境保全への関心と理解を深める機会として例年、学校の夏休みに合わせて開いている。
本年度は21日と24日の2組に分け、定員各20人で事前申し込みを受け付け。初回の21日は親子4組15人と個人(中学生)2人が参加した。主催者を代表して環境省熊野自然保護官事務所の刈部博文首席自然保護官が参加を歓迎し、串本町役場産業課の中裕幸さんがラムサール条約や南紀熊野ジオパークの趣旨など、同センターの中村公一さんが串本の海の生態系などを紹介。その後は同センタースタッフらによるシュノーケリングの実技講習を受け、世界最北限とされる有田沖のサンゴ群集を観察した。
この日は近年まれに見るべたなぎに恵まれ、海水の透明度もすこぶる良好で、大阪市から家族で参加した中山綾乃さん(11)は「いろいろな種類のサンゴがあり、青い魚とか(自分にとって)珍しい魚もたくさんいてきれいだったし、深いところほどナマコが多かったことには驚いた。もう楽しすぎて言葉にならないので、友達には『とにかく行って見てきて』と伝えたい」と喜んでいた。
観察後、同公園水族館の吉田徹さんは串本の海には四季折々の光景があり今日はその一端を見たと説明。野村恵一館長は「串本の海はいつもべたなぎではないことも頭に入れ、また見に来てほしい」と呼び掛けて初回の観察会を締めくくった。
(2017年8月24日付紙面より)
U―18ジャンプリーグサッカー1部
JOC杯全日本ジュニアバド選手権へ
県警と海保が共同訓練 (太地町 )
太地町で9月から始まる小型鯨類追い込み漁を前に和歌山県警察本部と第五管区海上保安本部は18日、太地港で反捕鯨団体による違法行為を想定した合同警備訓練を実施した。警察官約50人、海上保安官約80人が参加し、陸上と海上で訓練した。
町には平成22年以降過激な環境保護団体が多く訪れ、漁の無許可撮影など嫌がらせ行為を続けている。過去にイルカを飼育するいけす網が2度切断され、今年の1月にも地元企業が所有するいけす網が切られる事案が起きている。昨年は約80人の活動家が来町しており、今年はイルカ漁で新たに2種類が捕獲対象に加わったことなどもあり、県警も情勢を注視している。
県警の宮沢忠孝本部長は「この数年で活動家の来町が大幅減少している。9月から始まる漁期に向けて万全の体制で臨めるよう訓練に取り組んでほしい」と一層の連携を求めた。
現地警戒本部長を兼任する田辺海上保安部の川上誠部長は「訓練を通じて連携の一層強化に期待。参加者は違法行為は断じて許さないという毅然(きぜん)とした態度を強く示すことで地域住民の安心安全に大きく寄与できる」と激励した。
訓練は陸上と海上での違法行為を想定して展開した。陸上では、イルカ肉を搬送するトラックの前に活動家が立ちふさがり、県警が活動家の1人を道路交通法違反で逮捕した。海上では小型ゴムボートに乗った活動家3人が漁船に発火物を投げ、海上保安庁のゴムボート2隻がこれを取り囲み、威力業務妨害で逮捕した。
太地町いさな組合の小畑充規組合長(51)は「創意工夫して訓練してくれるのでありがたい。考え方の違いがあるのは分かっており、私たちも仕事である以上覚悟している。捕獲対象が増えたことで商売的にもプラスになると思うので、自分たちも事故やけがのないよう操業したい」と話した。
(2017年8月20日付紙面より)
骨髄バンクを考える集い
白血病など血液の病気を治すのに有効な治療法である骨髄移植への関心を高め、骨髄バンクへの登録を呼び掛ける「骨髄バンクを考える集い」が11日、御浜町阿田和の紀南高校視聴覚教室で開催され、木本高校のJRC(青少年赤十字)部の部員はじめ住民ら約40人が参加した。三重県骨髄バンク推進連絡協議会「勇気の会」主催。
協議会の理事長、南信行医師や移植治療で助かった息子を持つ母親ら会員4人が登壇し、バンクへの登録を呼び掛けた。骨髄移植は患者と提供者(ドナー)の白血球の型が一致することが大前提だが、適合する確率は兄弟姉妹で4人に1人、それ以外だと数百人から数万人に1人の割合といわれている。日本の公的骨髄バンクは平成3年に設立され、今年5月末でドナー登録者数は47万2856人いるが、累計患者登録数は5万1097人、移植例数は2万747人。希望する患者の約6割が移植できていない。
南医師はドナーが見つかっても移植までの準備期間は少なくとも約3カ月はかかるため、スムーズに移植を実現するためにもドナー数を増やすことが必要と話し、高校生には献血の協力も呼び掛けた。白血病の患者はがんに侵された造血幹細胞を放射線などで壊してから移植を受けるため、治療の間は輸血で耐えていかなければならない。
伊勢市の女性は18歳で急性リンパ性白血病を発症した息子の移植の経過を話した。幸いドナーが見つかったが、提供まで進まないケースもあり、同意が得られるまでの間は祈るようにして待ったという。「会ったこともない見ず知らずの人が、入院までして骨髄を提供してくれました。今、息子は普通に近い生活を送っています。前を向いて元気に生きています。骨髄バンクがあったからこそ、ボランティアがいたからこそです」と涙ぐみながら感謝した。
同協議会紀州支部の二村昭医師は熊野保健所を中心に東紀州地方で活動する紀州支部の設立経過を話した。紀州支部は、健康診断で白血病が分かった男性が一生を骨髄バンクの運動にささげたいという思いから25年前に設立。二村医師は亡くなった男性の無念さを涙ながらに語り、骨髄バンクの必要性と課題を話した。バンクの登録は55歳が上限と決められている。二村医師は登録者の約55%が40歳以上の高齢世代で、数年たつと人が減少していくと話し、若い人たちの理解が必要と訴えた。会場の参加者からは、入院時のドナーへの助成制度を自治体が設ける必要があるなどの意見が出た。
紀州支部は21日(月)午後0時30分から同4時までイオン熊野店前で登録会を開く。登録できる人は18歳から54歳以下で男性は45㌔以上、女性は40㌔以上の人。問い合わせは紀州支部(電話090・5107・0640)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
ぱしふぃっくびいなすが出港 (新宮港 )
豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6518㌧、全長183㍍)が18日午後5時30分ごろ、「新宮港梛(なぎ)の木見送り隊」や地元太鼓グループ「紀宝楽」に見送られ、新宮市三輪崎の新宮港から神奈川県の横浜港に向け出港した。
客船は同日午前8時ごろ、新宮港へ入った。前夜に船上から熊野大花火大会を鑑賞した乗客約450人は、当地方で観光などを楽しんだ。岸壁では近隣の観光協会が地元物産を販売するなどした。
丹羽生・市観光協会長は「この熊野という観光フィールドは広く、到底1日では回りきれなかったのではないかと思う。また、ぱしふぃっくびいなすと共に皆さんが来るのをお待ちしたい。その時は『おかえりなさい』とお迎えしたいと思います」とあいさつ。
紀宝楽が演奏で船を見送った。乗客らがカラーテープを投げ、見送りに来た人たちと「また来てよ」「また来るよ」と互いに声を上げながら手を振り合った。
見送り隊は近年入港が増えているクルーズ船の乗客たちを温かく見送ろうと結成された。会員特典として特別船内見学会への参加、一定回数以上の入出港イベントでの参加で記念品贈呈などがある。問い合わせは新宮市企業立地推進課(電話0735・23・3333)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
帰省ラッシュがピーク (熊野地方 )
盆をふるさとや行楽地で迎えようという家族連れなどのラッシュが「山の日」の11日、ピークを迎えた。熊野地方の幹線道路、国道42号では他府県ナンバーの車が増え始め、列車の乗車率も上がっている。帰省した熊野川町出身の60代女性は「墓参りに戻ってきました。孫を連れてきたので、実家の方に行ってみようと思います」と話していた。
JR新宮駅では、京都・大阪方面や名古屋方面からの特急列車に乗って帰省した人々が大きな荷物を抱えて続々と改札を通り、迎えに来た家族と手を振り合う様子が見られた。
改札付近には「お見送り&お迎えコーナー」が設置され、利用客らを出迎えた。盆や春の大型連休、年末年始などに設けており、家族らがホームをのぞき込むようにして列車から降りてくる家族などを捜す姿があった。
駅として地域を元気づけ、利用者に喜んでもらおうと、季節に合わせたさまざまな取り組みをしている。電車を降りた人を出迎えるのは「おかえりなさい!!」の温かな言葉。夏らしいデザインで、駅社員の石野恵美さんが制作した。
駅では「最も多く利用されるお盆の時期は、関西や関東から大勢のお客さまが新宮の故郷に見えられます。安全で安心して利用できる列車で来られるお客さまに、温かい雰囲気でお迎え、お見送りするためのコーナーを作りました。お客さまに『新宮駅に来てよかった』と感動していただければ、私どももうれしく思います」と話していた。
(2017年8月13日付紙面より)
体育文化会館で強化合宿 (那智勝浦町 )
きのくに和歌山国体での総合優勝を記念して県レスリング協会(森下正紀会長)と県高等学校レスリング専門部は9日、国体レスリング競技の会場にもなった那智勝浦町体育文化会館で強化合宿をスタートさせた。16日(水)まで行われ、最多で約350人が練習に参加する。
合宿は参加者の競技力向上と地域のスポーツ振興を図るのが目的。町体育文化会館は元国体会場であることに加え、マットが6面使用でき、旅館も近いといったメリットがあるため、全国の選手を集める強化合宿の会場として定着してきた。今回で8回目になる。
早稲田、専修、近畿、桃山学院などの大学をはじめ、近畿各府県や遠くは沖縄から高校レスリング部、社会人チーム、地元の小中学生チームが参加。中には各世代の日本チャンピオンもいる。アトランタ五輪銅メダリストで早稲田大レスリング部監督の太田拓弥さんら各参加団体のコーチが指導している。
練習開始前に太田さんは「練習も今年で8年目を迎えて、年々参加人数が増えてレベルも上がってきている。小中高校、全日本レベルの選手が一堂に会するのは日本でもここだけだと思う。レスラーとして模範となるような行動を心掛けて」と呼び掛けた。
1988年のソウル五輪で金メダルを獲得し、現在専修大学のレスリング部監督を務める佐藤満さんは「多くの人が環境を用意してくれたおかげで練習ができる。環境づくりをしてくれた人に感謝して自分をマネジメントし、強い選手、相手の難しい選手を見つけて練習をお願いして。考えて行動できる選手がチャンピオンになる」と選手たちを鼓舞した。
(2017年8月13日付紙面より)
第34回土と水と緑の学校 (新宮市 )
第34回「土と水と緑の学校」(新宮市など主催)の閉校式が12日、同市高田の高田グリーンランドであった。今年は台風の影響で日程を2日短縮し、新宮市の姉妹都市、宮城県名取市の小中学生10人は参加できなかったが、3泊4日の日程を無事終えた。
大自然の中、地球の基本である土、水、緑について学び、その役割、大切さに気付いてもらうことを目的に毎年この時季に開校している。閉校式では参加した児童生徒90人が4班に分かれ、共同生活で学んだ成果を替え歌などで発表。「ホエールウオッチングでは船酔いした人もいたけど楽しかった」「カヌーが楽しかった」「最初は仲間とあまり話せなかったけど、最後には仲良くなれた」などと話した。
参加者たちに修了証を手渡した校長の田岡実千年新宮市長は「自然の美しさ、海の雄大さ、自然の役割を感じてくれたと思います。学校で感じたことをこれからの生活に生かしてください。また来年もお会いできることを楽しみにしています」とあいさつした。
公益社団法人アジア協会アジア友の会の村上公彦事務局長は「台風の影響で2日間短縮しましたが、プログラムを良く組めたと思います。各活動を見て回りましたが、みんな元気によく頑張っているなあと思いました」と講評した。
(2017年8月13日付紙面より)
新宮サマーサッカーフェスティバル
道の駅たいじオープン (太地町森浦 )
太地町森浦で建設が進められていた「道の駅たいじ」が完成し、11日正午にオープンした。古式捕鯨発祥の地である太地町の玄関口として、クジラとともに歩んできた地域の歴史・文化情報を発信し、町の「森浦湾くじらの海計画」と連携した体験型の環境学習にも利用していく。
道の駅たいじは直轄一体型道の駅として、県内31番目の道の駅として登録された。施設面積は5168平方㍍で、駐車場57台(大型車5、小型車50、身障者用2)を整備。トイレは「日本一きれいなトイレ」をコンセプトに落ち着いた色調を採用。ゆとりある共用スペースを設け、女性用には「パウダーコーナー」を設けている。子ども用、多目的トイレもある。電気自動車(EV)充電器や公衆無線LAN、町内循環バスの停留所も備える。コンシェルジュ(案内係)が常駐し、観光案内や地域の歴史文化の情報を発信する。
駅長は太地町漁協参事の貝良文さんが務める。駅内には地域産品を販売する直販エリアがあり、地域から個人団体あわせて70人が農水産物や加工品などを出品する。
クジラや地元で捕れた魚が食べられるレストランがあり、初日はクジラスタミナ丼とマグロ丼がおよそ半額の500円(税込み)で出された。12日から通常メニューが始まり、20日からイルカや地元の魚介類を使った料理も提供する。貝駅長は「直販コーナーでは、ぜひ新鮮なものをお買い求めいただきたい」と呼び掛けている。
式典で三軒一高町長は「町の玄関口に位置するこの施設は、町の食・観光の大きな起爆剤になると確信している」と完成とオープンを喜んだ。
太地町民芸保存会によるくじら太鼓が披露され、二階俊博自由民主党幹事長らが出席してテープカットが行われた。
(2017年8月12日付紙面より)
新宮市観光フォトコンテストの審査会が10日、新宮市福祉センターであった。6人の審査員が県内外の42人から応募があった作品168点を厳正に審査した。最優秀賞などの入賞者は今月下旬に発表する。
新宮市観光カレンダー製作実行委員会が主催の今年6回目の事業。入賞作品は最優秀賞1点、優秀賞4点、入賞10点、特別賞10点程度で、観光カレンダーやパンフレットなどで活用する。カレンダーは10月中の完成を目指している。
今年のコンテストのテーマは「歴史と文化のまち、しんぐう」。神倉神社、熊野川、新宮城跡、新宮花火大会、御燈祭り、熊野川、王子ヶ浜などを撮影した写真が出品された。
審査員を務めたのは実行委員会委員長の森本祐司・市観光協会専務理事、田岡実千年市長、丹羽生・市観光協会長、市展審査員の児嶋毅さんと杉本光朗さん、新宮市商工観光課の勢古口千賀子企画員。テーブルに並んだ応募作品の中で自分が気に入った作品に付箋を付けていった。
審査委員長を務めた児嶋さんは「どれもレベルが高く、甲乙付け難い。選ぶのが大変です」と話していた。
(2017年8月12日付紙面より)
交通課ら特別活動始める (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)は10日、夏季特別交通事故防止活動を始めた。この日は出発式を経て、道の駅くしもと橋杭岩で街頭啓発を実施。津田署長は「観光に来て事故を起こしては楽しい思い出も台無しになる。取り締まりを強化するのはそうならないよう緊張感を持ってもらうため。皆さまの安全運転で事故を少しでも減らせるよう努めたい」としている。
県警交通事故抑止総合対策「ユニバーサル・セーフティ・パッケージ2017」の一環。行楽繁忙期に懸念される交通事故の増加をドライバーらの意識で抑止する試みで、同署は今回「みなSUMMERの力を合わせて交通事故をなくしましょう!」を独自スローガンとして掲げ、啓発や指導取り締まりの強化といった手法で同活動の推進を図るとしている。
出発式では、東谷潤交通課長ら交通課と地域課の課員15人が津田署長に同活動に従事することを報告。県警配備の大型白バイ「GL1500」を先頭に警察車両を運用し管内の警らにあたった。
啓発には串本町役場や県交通安全協会串本支部の職員も協力。今回は▽子どもと高齢者の交通事故防止▽飲酒運転根絶▽駐車場での事故防止―に重点を置き、街頭犯罪や特殊詐欺被害の防止を呼び掛ける資材も含めて啓発物資を配るなどした。啓発効果を高めるため、大型白バイとともに県警マスコットキャラクター「きしゅう君」も登場し、往来する家族らの注目集めに貢献した。
日頃の重点項目にない駐車場での事故防止は、前向き(前進)駐車ではなくバック駐車を促すことで、後進で車を出す時の事故発生を防ぐのが狙い。同署は当面、前向き駐車する車両に指導票「セーフティー・みちびきカード」を配り、バック駐車を心掛けるよう求めるとしている。
東谷交通課長によると、同署管内では8月に交通事故件数が少ない月の倍になる傾向にあるそう。行楽繁忙に伴う交通量の増加に加え、夏バテや長時間移動に伴う疲れなど事故を誘発する要因が多い月でもあり「だからこそ一件でも事故を減らしたいという思いを持って同活動に臨む」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
県電気工事工業組合新宮支部
「電気使用安全月間」(毎年8月)中の9日、和歌山県電気工事工業組合新宮支部(勝山康文支部長、52社)は新宮市五新の自動車会館でLEDランプを作る「LED親子工作教室」を開き、小学生24人と保護者らが参加した。
同支部では長年にわたり、学校、保育園、幼稚園などの施設の電気設備の点検や電気器具の清掃を進めてきた。今年は、協議を重ねた結果、電気に関して興味を持ってもらうことなどを目的に、関係各所の協力を得て、工作教室を開催することになった。
勝山支部長のあいさつの後、講師のパナソニック社(エコソリューションズ社)のキャリア教育コーディネーターの布谷秀嗣さんが、LEDは日本語にすると「発光ダイオード」といい、信号機、自動車のライト、スポーツ施設の大型ビジョンなどで使用されていることや白熱電球との比較などを説明した。
工作は、土台作り、LED選び、本体作り、飾り付け、和紙張りと五つの行程に分けて行われた。工程ごとに丁寧な説明を受け、親子で協力しながら作業し、完成後はできた作品を持って記念撮影した。
祖母と参加した三輪崎小学校6年の阪本英士君(11)は「夏休みの工作にと参加しました。作業も簡単で、楽しかったです」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
第34回「土と水と緑の学校」(新宮市、アジア協会アジア友の会、新熊野体験研修協会など主催)が9日、新宮市の高田グリーンランドで開校した。台風5号の影響で3泊4日に日程を変更。ことしは小学3年生から中学3年生までの子ども約90人が、12日(土)まで寺子屋形式で共同生活を送りながら自然を学ぶ。
自分たちの住む地球の基本である土と水、緑を学び、その役割と大切さに気付くことを目的にしている。自然体験により子どもたちが成長期の精神のバランスを保ち豊かな想像力が育てられることを目指している。
開校式では楠本秀一教育長が「自然の役割や大切さを学ぶ素晴らしい学習の場。地域の自然を大いに満喫し、体験を積んでほしい」と、校長である田岡実千年市長のあいさつを代読。来賓の濵田雅美・市議会副議長が祝辞を述べた。アジア友の会の村上公彦事務局長は「短い中にも中身がある。リーダーの言うことをよく聞いてたくさん友達を作って」と呼び掛けた。
市立光洋中学校3年の尾崎戒音君とNPO法人京田辺シュタイナー学校8年生(中2)の吉田菜那子さんが高田の大自然の中で仲間と何事にも元気にチャレンジし、学ぶと宣誓した。
(2017年8月11日付紙面より)
13台が紀伊半島を縦断 (和歌山県警 )
夏の行楽シーズンを迎え、交通事故を抑止しようと、和歌山県警交通機動隊と田辺警察署、新宮警察署は9、10の両日、白バイによる紀伊半島縦断を実施した。13台の白バイと覆面パトカーが和歌山市から新宮市までの主要幹線道路を走行した。
帰省や観光で当地方に車両が集中するこの時期には渋滞や重大事故の発生が懸念されることから初めて実施した。県内に白バイは26台あり、うち2台が新宮署に置かれている。
今回は県警本部の交通機動隊から8台、田辺署内の交通機動隊(紀南分駐所)3台、新宮署2台が参加。9日には国道42号や424号、311号、168号などの主要幹線道路を走って那智勝浦町宇久井の那智勝浦自動車教習所に集合した。
10日には新宮署玄関前で出陣式があり、13台の白バイが整列した。谷本克也・新宮警察署長に申告後、一斉に署を出発し、事故抑止のために交通指導取り締まりなどをした。
19日(土)は「バイクの日」でもあり、二輪車の事故防止も呼び掛けている。谷本署長は「交通事故が増える可能性があるので警戒を強め、事故防止に努めたい。初めて交通機動隊が新宮署に来ていただいたということはありがたい」。県警本部交通部交通機動隊の小畑博昭隊長は「夏場は当地方での事故が一番多い。観光客が増え、白バイの姿で注意喚起をすることが効果的だと、高速道路を通らずに目につくよう地道を走ってきた。安全確認をしていただきたい」と話していた。
9日午後には那智勝浦町宇久井の那智勝浦自動車教習所で合同訓練があった。交通機動隊の小畑隊長を含む15人が集合。コース上に設けたパイロンの間や狭い道などを走行し、運転技術の維持に努めた。
和歌山県警本部交通機動隊は今月3日、4日に大阪府警察総合訓練センターで開催された平成29年度近畿管区内白バイ安全運転競技会で19年ぶりに優勝している。小畑隊長は「日頃から訓練をしており、継続していかなければならない。県民の事故防止、隊員の事故防止にも取り組んでいく」と話していた。
新宮警察署管内の交通事故概況は、7月末現在で人身事故が48件(前年同期比11件減)、死者数1人(同1人増)、傷者数55人(同15人減)となっている。7月中の人身事故は14件で、前年と比べ倍増。物損事故は656件で前年に比べ55件増となっており、人身事故件数は減少傾向にあるものの物損事故が増加している。
高齢者の関係する事故は28件で、全体の過半数を占めている。特に人や自転車と車が衝突する事故は15件発生し、13人が負傷している。原因では安全不確認が81%を締め、次いでブレーキやハンドルの操作不適、前方・動静不注視となっている。
管内の駐車場での交通事故は人身48件中3件、物損事故656件中175件となっており、25%強を占めている。原因のほとんどが安全不確認であり、特にバック(後退)の際に衝突している。
県警察では駐車場内の事故防止を目的に「セーフティー・みちびきカード」を作成。「車を駐車する際は、バックで! 発車する際は、前向きに!」をスローガンに、車両利用者への啓発活動を展開していく。
(2017年8月11日付紙面より)
巡視艇と連携して運用訓練 (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)と串本海上保安署(東浦博昭署長)が9日、巡視艇むろづきと捜索用ドローンの連携による沿岸捜索訓練に取り組んだ。
この訓練は、津波災害時の立ち入りが極めて困難ながれき上の要救助者を速やかに発見する目的で串本警察署警備課に捜索用ドローンが配備された機に計画。水難事故時の行方不明者などの捜索でも効果が期待できることから、陸上、海上のいずれからも近づきにくい場所をいち早く捜索する想定で運用を試みた。
今回は紀伊大島戸島崎付近の湾内を訓練区域とし、同署警備課課員3人が巡視艇むろづき後部甲板からドローンを離陸させて小型艇でも近づきがたい磯場を捜索した。巡視艇とドローンの距離が開きすぎてコントロールを失ったり探索後の着陸が極めて難しかったりと、風の影響が運用上の大きな課題となったが、巡視艇も繊細な操船でドローンを追尾し計2回の運用訓練を無事完了した。
同署は6月に配備されて以降、署内講堂や屋外で運用訓練を重ねているが実践環境下は今回が初だという。上地義章警備課長は「今回は初めての実践環境での運用となったが、映像は鮮明で陸海から近づきにくい場所の捜索には非常に有効だと感じた。若干風に流された部分などがあり、今後も訓練を重ねて運用の限界を見極めていきたい」と総括し、操縦技術のさらなる向上も今後の重要課題として見据えた。
このドローンの飛行可能時間は約30分で、予備バッテリー使用で連続2時間30分運用できる。撮影した映像や画像を操縦機のモニターでリアルタイムに確認でき、同機で記録した映像や画像のデータを大型モニターで再生して捜索に生かす形での運用を考えている。配備先は警備課だが課員だけでなく署員全員が扱えるよう運用訓練を重ねているという。
(2017年8月11日付紙面より)
新宮市熊野川町で相次ぐ
熊野地方各地の山間部ではニホンミツバチの蜜の採取作業が始まっているが、新宮市熊野川町ではツキノワグマによるゴーラ(蜂の巣箱)の被害が相次いでいる。ゴーラ3個が荒らされた平岩明さん(79)=同町相須=は「今年で3年連続。夜中に来ているよう」と話している。
採蜜歴30年以上の平岩さんは、自宅の裏山などに約80個のゴーラを設置している。今年はゴーラの周囲に丸太の柵を設置したが、効果はなかった。「人間の力では動かないようにしたけど、だめだった。相当大きなクマでないとこんなことはできないと思う」。
近くの九重では、ドラム缶で囲っていたゴーラも被害に遭った。篠尾でも被害情報があり、十津川村竹筒では目撃した人がいるという。
一方、熊野川対岸の小口地区などではクマによる被害情報はなく、順調に採蜜作業が進んでいるようだ。採蜜歴約20年の中村正直さん(79)=同町西=は「こちら側ではクマじゃなく、蜜を盗みにくる人間の被害をよく聞きます」。
シイ、ヤマザクラ、クリなど熊野の山に自生した花の蜜でできた熊野川町産の蜂蜜は人気が高く、県外からの注文も多い。中村さんは近くの山に約30個のゴーラを設置していて、毎年5、6個から蜜を採っている。「今年は5個開けて1斗5升(約27㍑)採った。よい方ですね」と話していた。
和歌山県内に生息するツキノワグマは絶滅の恐れがあることから狩猟が禁止されている。本年度の県内の目撃情報は7月29日現在15件。秋はクマが冬眠に備えドングリなどのエサを求めて活発に行動することから、県は、山に入る際は鈴・ラジオなど音の鳴るものを携帯し、遭遇した際は慌てて逃げず、じっと見ながら背中を見せず、ゆっくりと離れるよう呼び掛けている。
(2017年8月11日付紙面より)
長女の紀さん「涙が出そう」 (新宮市 )
新宮市出身の芥川賞作家、中上健次(1946~92年)が千穂小学校5年生の時に書いた詩『映画』がこのほど見つかった。長女で作家の中上紀さん(46)=東京都=が4日、市立図書館が保管している小学3年生時の詩『さいふ』と2編を確認し、「没後25年の節目の年にうれしい偶然です。衝撃的で涙が出そうになりました」と話した。
全集に収められていない2編の詩は、当時の名字で「木下健次」となっている。『映画』は千穂小学校5年生全員の作品を収めた詩集『どんぐり』の中の1編で、同級生の仲憲次さん(70)=岐阜市=が実家の整理中に見つけ6月4日、図書館内にある中上健次資料収集室に寄贈した。
紀さんは「過去の扉がいきなり開かれたような感じで非常にショックを受けました。名字を見ても父の複雑な家庭環境があらわになります。当時、映画館に行くことは特別なことだったと思います。父が小説『青い朝顔』の中で書いているように当時の貧しい生活を思いました」
現在確認されている中上が書いた文章で最も古い『さいふ』は、当時の新宮市内小中学生の優秀な詩や俳句を集めた冊子『わかあゆ』に収められている。図書館に2014年7月、市民から寄贈された。中上の同級生で詩人、ラテン・アメリカ文学研究者の田村さと子さんが『中上健次発言集成1・月報①』の中で1995年に紹介している。
紀さんは「小学3年生なのに、ちゃんと韻を踏んでいて、文才があったのかなと思います。比喩もすばらしく非常に良い詩だと思います」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
熊野再発見プロジェクト (那智勝浦町 )
大学生の視点で那智勝浦町の観光の魅力を探る京都橘大学の「熊野再発見プロジェクト」の発表会が4日、同町体育文化会館であり、2、3両日に熊野地方を巡った約40人の学生らがグループ単位で意見を述べた。町からは花井啓州町観光協会長、大門坂茶屋のおかみ宮本照代さん、町観光産業課職員らが出席し、学生の貴重な意見に耳を傾けた。
2015年度から実施しているプロジェクトで、京都橘大学は昨年6月、那智勝浦町と「大学のふるさと協定」を結び、地域資源の再評価や観光PRの支援に取り組んでいる。同大学の木下達文教授が担当するゼミの学生や講義の受講生らを中心に広く学内から関心のある生徒が参加している。
町や観光協会が発行する案内パンフレットを参考に自由にテーマや行き先を決め、同町の築地や湯川地区、那智山、太地町を散策した。発表では、町の良い点は「人が温かく、どの地域でも親切に声を掛けてくれた」「ビン玉通りがレトロで素敵だった。京都と比べて観光地なのにゴミが少なく海がきれい」などが上がったが、課題も多くあった。「若い人向けの土産や那智の滝をイメージしたものが少ない」「紀伊勝浦駅の近くに駐車場がない」との指摘があり「商店街がシャッターだらけで暗くて近寄りづらい。空き店舗を利用して中が見える休憩スペースを作ってはどうか」「くじらの博物館までのバスの本数が少なく待ち時間が多い。待合場所で、もっと観光情報の提供を」など、課題に対する提案もあった。
木下教授は「観光振興には頑張っている人の点と点をつなげて全体で考えるテーブルが必要。京都にいると和歌山の情報が少ない。こういった学生と皆さんとのネットワークが他の大学でも広がっていけば」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
葦舟で本宮から新宮へ
田辺市本宮町の熊野本宮大社から新宮市の熊野速玉大社までの熊野川34㌔を下っている熊野葦舟プロジェクト実行委員会(高栖浩史代表)は5日、新宮市熊野川町の熊野川行政局前から2日目をスタートした。同日午後4時ごろ、速玉大社前に到着する予定だ。
ダムと山の荒廃によって流れが細くなってしまった「川の参詣道」を復活させることを願い始まった取り組みで、今年で8回目。1日目は休憩を挟みながら約20人が交代で、約7時間かけて行政局まで下った。
プロジェクトを指導している探検家の石川仁さん(50)=長崎市在住=は、サハラ砂漠をラクダで横断、南米ジャングルの丸木舟川下り、イヌイットとの捕鯨などを体験している人物。2019年には葦舟での太平洋横断を計画している。「順調に進んでいます。ゴールよりも安全に笑顔で終わることが一番です」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
児童31人が勾玉を作る (新宮市 )
新宮市立歴史民俗資料館(中谷利夫館長)は市教育委員会と共催で3日、同館横の阿須賀会館で夏休みイベント「勾玉(まがたま)をつくろう~古代にタイムスリップ~」を開催した。熊野学研究委員会委員で那智勝浦町立宇久井小学校教頭の坊信次さんが講師を務め、児童31人が勾玉作りに挑戦した。
縄文、弥生、古墳時代を通して発見されている勾玉は、丸みをおび、曲がった形状をしている装飾品で、古代人は魔よけのお守りなどとして用いてきた。材質は石、土、翡翠(ひすい)、瑪瑙(めのう)、水晶など。
児童たちは「ろう石」をサンドペーパーややすりで削り、磨いて色を付け、首飾りに仕上げた。浅山陽心君(10)=王子ヶ浜小4年=は「曲がった部分を削るのが難しかったけど、滑らかに磨くのが楽しかった」とうれしそうに話していた。
同資料館の夏休みイベントは今年で8回目。これまでに縄文土器や埴輪(はにわ)作りなども行っている。勾玉作りは今回で5回目だった。中谷館長は「子どもたちは最初のうちは苦戦しているようでしたが、すごく熱心に作っていました。夏休み恒例の人気イベントになっていますので、続けていきたい」と話していた。
(2017年8月5日付紙面より)
湯ごりの郷で納涼盆踊り (那智勝浦町 )
社会福祉法人高瀬会(切士桂理事長)の地域密着型バーデンライフケアセンター「湯ごりの郷」は1日、那智勝浦町湯川の同センターで夏祭り納涼盆踊り大会を開いた。利用者と地域住民らが参加した。
盆踊り大会は同法人が目的とする「地域に密着した施設」を目指して、2008年4月の設立以来続けられている。第1回目は先代理事長の初盆に開き、今年で10回目になる。
この日は、突発的な強い雨に見舞われ開催が危ぶまれたが、雨が弱まるのを待ち、約30分遅れで無事開催された。露店では焼きそばやたこ焼きなどが振る舞われた。やぐらの周囲では盆踊りをはじめ、浜ノ宮櫂(かい)踊り保存会やフラダンスサークル・ハプナ、施設職員らが踊り、来場者を楽しませた。お楽しみ抽選会もあり、景品にかき氷器や蚊取り器、扇風機などが用意された。
切士理事長は「湯ごりの郷は地域密着の施設。皆さまがいかに笑顔で過ごせるか、利用者の尊厳などを考えています。亡くなった人や施設でみとった人を思いながら踊り、盆踊りの楽しい時間を過ごしてほしい」と話した。来賓に植地篤延副町長が出席し、出張中の寺本眞一町長のメッセージを代読した。
(2017年8月5日付紙面より)
田仲康慧さん招き学習会 (潮岬小 )
串本町立潮岬小学校(濵正和校長、児童159人)は4日、登校日を利用して平和学習会を開いた。4~6年生は潮岬第2老人クラブ田仲康慧会長(81)の戦争体験を聞き、平和のありがたさを考える機会を持った。
田仲さんは1937(昭和12)年1月3日、日本の統治下にあったサイパン島で生まれた。父は同島でサトウキビ畑を営む責任者。後に第2次世界大戦が始まり小学3年生だった44年6月にアメリカが同島へ侵攻。以降艦砲射撃や機銃掃射など戦禍の日々を強いられた。父は死を選んで家を飛び出し行方不明になったが、田仲さんは母や妹2人と共にアメリカ兵に見つかり捕虜となった。
収容所の生活に耐えきれず5歳と3歳だった妹はにわかに衰弱して亡くなったが、田仲さんは母と2人で終戦まで生き延び串本へ帰還。以降は無線技術士となって活躍し、退職後も地域の役職を請け負うなど活発な人生を送っている。
体験談を始める前に田仲さんは、1945(昭和20)年に広島や長崎へ投下された原子爆弾の怖さを紹介。その爆弾を積み込んだ飛行機が飛び立った島で自分は生まれたと伝え、目の当たりにした戦禍の光景や体験を語り伝えた。
「同じ時期、この潮岬も機銃掃射を受けていた。80歳以上のおじいちゃんおばあちゃんに聞いてみてほしい」とも呼び掛け。最後にその一人としてこの日まで生き抜いてきた自分を振り返り「自分の考えをしっかりと持ってやりたいことをとことんやってほしい。目的を持って頑張ってほしい」と期待を児童に託した。
1~3年生は映画鑑賞などを通して戦争がどういうものかを教わり、そうではない今の平和な時代のありがたさをみんなで考えた。
(2017年8月5日付紙面より)
葦舟で本宮から新宮へ
「川の参詣道」の復活を願い、田辺市本宮町の熊野本宮大社旧社地・大斎原横の熊野川から4日午前、葦舟(あしぶね)が出発した。翌5日の午後に34㌔下流の新宮市、熊野速玉大社下権現河原に到着する予定だ。
多くのダムと山の荒廃によって流れが細くなってしまった熊野川を、かつてのような水量豊かな川に戻し、「川の参詣道」を復活させようと熊野葦舟プロジェクト実行委員会(高栖浩史代表)が2010年から実施している。今回8回目で、本宮―新宮間を通して下るのは今回が初めて。
葦舟の名前は「太平洋」で、全長5㍍、幅1㍍、重さ80㌔。紀宝町産の葦を1万本使用している。今年の5月1日に長崎市在住の探検家、石川仁さん(50)の指導で1日かけて作った。
葦舟は約20人が2日間、交代しながら漕(こ)ぐ。高栖代表は「とにかく安全第一です」と話していた。
(2017年8月5日付紙面より)
全日本小学生男子ソフトボール大会 (降雨コールドで八幡ドリームス(兵庫)優勝 )
県代表に地元ゆかりの3選手が選出
いざかたネオン会がリニューアル (那智勝浦町 )
那智勝浦町内で最初にネオンサインが設けられたことから名付けられた同町築地の「いざかたネオン会」(鈴木努会長)は通り沿いのマグロの看板をリニューアルした。同会では「マグロの町の情緒を盛り上げ、観光客をおもてなししたい」とアピールしている。
同町築地の勝浦地方卸売市場近く、いざかた通り商店街のアーケードを勝浦漁港方向へ抜けた所にある商店街で、マグロ料理、かまぼこ、たばこ、洋服、土産物、電器店などさまざまな店が並ぶ。現在は16~17店が加盟している。
かつては地域内に旅館もあり、昭和の高度経済成長期には宿泊客らが浴衣で町を歩き、マグロ漁船の乗組員らも町中の商店を訪れるなど活気にあふれていた。昭和63年12月にネオン会を組織。平成11年に18基の街灯を設け、同町のシンボルであるマグロの看板を取り付けた。
約20年が経過し、海風に耐えてきたマグロの看板は色あせ、ポールの接続部などにさびが出た。このため、会員が協力して改修することにした。工事は7月28日にほぼ終わり、加盟店の店主らが完成を祝った。
鈴木会長は「マグロの町、勝浦の情緒を観光客や買い物客に少しでも感じてほしい」と話し、「苦しい商売事情ではありますが、『一歩とはいわず、せめて半歩でも前進』を合言葉に頑張っています」と意気込んでいた。
(2017年8月3日付紙面より)
キッズクッキング教室 (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域ふれあいネットワーク実行委員会(玉置之一委員長)と町食生活改善推進協議会(塩﨑いつ子会長)は7月28日、町教育センターでなちかつキッズクッキング教室を開いた。町内の1~6年生15人が参加し、料理の作り方と魚料理の食べ方を学んだ。
同実行委員会では、休日や放課後に子どもたちの居場所を提供する「放課後子ども教室」として料理教室をはじめ、さまざまな教室を催している。
近年、魚の骨を自分で取って食べる子どもが少なくなってきたことから、今回の教室では、家庭でよく食べられているアジの焼き魚の食べ方と調理を教える。講師は、食推の会員5人が担当した。
参加者は町の栄養士から魚の食べ方について講習を受けた後、調理室で講師サポートの下、炊き込みご飯、キュウリとトマトのサラダ、夏野菜のみそ汁、アジのホイル焼きの4品を作った。包丁の扱いや野菜の切り方を教わった。出来上がった料理は、講座の内容を思い出しながら丁寧にじっくり味わった。
(2017年8月3日付紙面より)
本年度オープンスクール (串本古座高校 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)の本年度オープンスクールが1日にあり、中学3年生12校100人が同校の学校生活を体験した。
高校進学を控えた世代に一足早く次のステージの学校生活を伝え、憧れを持って意欲的に受験に臨むきっかけを提供する夏休み恒例の行事。今回は近隣11校99人に加え、全国募集枠関係で大阪方面からも1校1人の参加があり、左近晴久教頭は「百聞は一見に如かずという言葉があるように、しっかりと高校生活を感じてほしい」と呼び掛けて来校を歓迎したという。
序盤は生徒会執行部による学校紹介で、本年度から始まった3コース制やクラブ活動、学校生活(主要行事など)の状況などを伝えた。中盤は授業体験で、参加者は▽国語▽社会▽数学▽理科▽英語▽保健体育▽商業―の7教科を選択受講。今回は初の試みで在校生が授業者(教員)の補助役として加わり、授業後半では在校生と参加者がじかに懇談する機会も設けて同校への関心を促した。
終盤はクラブ体験・個別相談で、構築過渡期のCGS部を除く11クラブが参加者を受け入れた。一番人気は弓道部、二番人気は吹奏楽部で、部員は体験紹介をしつつ「高校生になって、新しいことを始めたくて入部した」など参加者の気になる事柄にも応えるなど親身に体験を歓迎していた。個別相談は学校生活全般について親身に質疑応答するなどした。
(2017年8月3日付紙面より)
くまっこで秘密基地作り (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町保健センター内の子ども広場くまっこは1日、同センターで夏休み特別企画「くまっこサバイバル 秘密基地をつくっちゃおう!」を開いた。小学1年生~6年生17人がダンボールで工夫を凝らした秘密基地を作った。
くまっこは子どもたちを地域全体でたくましく心豊かに育てようと2011年7月に開設。放課後の子どもたちの居場所づくりに取り組んでいる。基地作りは災害時の避難所運営でパーティションを作る際などに使われるダンボールアレンジ術を活用した。説明を聞いた子どもたちは早速取りかかり、思い思いにアレンジを加えていった。
窓に色の付いたセロハンを貼ったりドアを作ったり、紙テープをカーテンに見立て、ポストやインターホンを作るなど協力しながら和気あいあいと完成させた。新聞紙でコップを作り完成後はみんなで乾杯した。
10歳の女の子は「いろんなものがダンボールで作れて楽しかった。ポストに顔を描きました。たくさん遊びたい」と話していた。この日はイベント開始前にくまっこでのルールを子どもたちで話し合う会議もあり、復興記念公園に行く際の約束事を考えた。
(2017年8月3日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部の7月度月例杯
県中学校総体卓球競技の部
防災列車「鉃學」を体験 (串本古座高 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)の1年生107人が7月31日、JRきのくに線の串本―新宮間で鉄道防災教育・地域学習列車「鉃學」に乗車した。緊急停車した列車からの避難を体験するとともに地域の歴史や南紀熊野ジオパークを学んだ。
「鉃學」は和歌山大学クロスカル教育機構生涯学習部門西川一弘研究室がJR西日本の協力で実施している取り組みで、今回3回目。鉄道からの津波避難協力者を拡大することなどが目的で、将来的には修学旅行やツアー商品化を目指している。
訓練は列車が走行中に震度7の地震が発生したと想定。緊急地震速報を受け、市内で緊急停車した車両から生徒たちは飛び降り、車掌らの誘導で約200㍍先の高台まで走って逃げた。
生徒たちは緊急停車するまでの間、鉄道会社初の緊急用降車台を見学したほか、避難はしごの使い方を学習。案内に従って九龍島(くろしま)などのジオサイトを車内から見学した。
訓練を終え、西川准教授(38)は「電車をよく利用する高校生たちに率先避難者になってもらうことが一番の狙い。いかに生徒たちに解説を聞いてもらいやすくするかが課題です」。
浅野瑠花さん(15)は「はしごの使い方がためになりました。たまに電車を活用するので、いざいう時に役に立てば」と話していた。
(2017年8月2日付紙面より)
8月16日の柱松本番に向け (新宮市 )
新宮市の佐野柱松実行委員会(瀬古尊夫会長)は7月30日、「佐野柱松」の周知のためののぼり旗立てとポスター貼りをした。
佐野柱松は、害虫駆除や五穀豊穣(ほうじょう)を願い行われてきた伝統の祭り。戦時中に一時中断し、1948年に佐野青年会が復活させたが58年夏の開催以降再び中断。93年に同実行委員会が復活させた。
当日は同市佐野の新宮港緑地公園で、サニーサイドジャズオーケストラ、紀宝楽の演奏、くろしお児童館児童らの踊りやアイスカービングとバルーンアートのステージ、花火などを予定している。
30日の活動には会員約20人が参加。協力してのぼり旗を用意し旗3班、ポスター2班に分かれて地域内を回った。
職場の上司に誘われて今年入会した森岡久貴さん(19)は「とにかく頑張りたい」。加藤誠人さん(36)は「地域内に勤めており、今までこういうことに参加したことがなく手伝いたいと入会しました。初めて柱松を見たのは小学生の頃で、25年間通して開催していることがすごいと感じています。運営サイドの勉強もさせていただき、末永く続くよう頑張りたい」。上本大輔さん(31)は「誘われて、少しでも地域の役に立てればと参加しました。最後の打ち上げもすごく盛り上がっているという印象。子どもが2人いるので、子どもが楽しんでくれるよう、佐野区に人が来てくれるよう頑張っていきたい」と話していた。
(2017年8月2日付紙面より)
福竜丸建造70年展始まる (串本町 )
串本町役場古座分庁舎1階ロビーで1日、「第5福竜丸=第7事代丸建造70年歴史展」が始まった。期間は6日(日)までで、開場時間は午前8時30分~午後5時、入場無料。5日(土)と6日はイベントも計画されている。
第五福竜丸は1954(昭和29)年3月、マーシャル諸島ビキニ環礁で行われた水爆実験に伴う放射性降下物(通称・死の灰)を浴びて被曝した遠洋マグロ漁船。その前身は1947(昭和22)年3月に現在の串本町中湊の字中洲にあった古座造船所から進水したカツオ漁船第7事代(ことしろ)丸で、今年は建造70年にあたる。
その節目に合わせて計画した今回の展示は、建造の地「字中洲」や古座造船所の歴史、第五福竜丸被曝当時の汚染マグロ被害や核兵器廃絶の世界情勢を、写真や図面、解説パネルやジオラマで伝える内容。ジオラマは同実行委員会の手作りで、現在は自然回帰している字中洲が建造当時どのような状態(今より若干中湊寄り)にあり、どのように活用されていたかを見て取れる形に仕上がっている。
関連のイベントとして5日午前10時、午後1時、午後3時の3回、映画「放射線を浴びたX年後」を上映。6日午後1時30分から、第五福竜丸記念館の市田真理学芸員を迎えて講演「第5福竜丸の航海はつづく」や福竜丸建造の語り部・姫鹿尾菜(ひめひじき)さんとの対談が行われる。いずれも入場無料。
同展を主に監修した仲江孝丸実行委員(59)によると、字中洲の成立から今年7月7日の国連核兵器禁止条約制定に向けた交渉会議による同条約採択までの経緯を一筋の流れとしてまとめたそうで、「核兵器そのものはあかんと誰しも言うが、一方では核の傘といい正当化する動きもある。福竜丸建造の地で暮らす者としては、核兵器の愚かさや廃止の展望を伝えて一緒に考えてほしいという思い。建造70年を機に字中洲の成立から核兵器禁止条約まで一連の歴史を一筋にして示し、過去の誤った認識の是正も含めて皆さんに伝えていきたい」とコメント。その思いの象徴として、同展冊子「語り継ごう 第5福竜丸=第7事代丸建造70年の歴史」500部を作成し、関係各所への配布後の残部400部を来場者にも配り託す。
問い合わせは同実行委員会事務局(電話0735・62・0006、役場教育課内)まで。
(2017年8月2日付紙面より)
熊野芸術文化セミナーに71人
「2017熊野芸術文化セミナー~伊作の心にふれる、創る~」(新宮市など主催)が7月29、30の両日、同市高田の高田グリーンランドであった。文化学院や熊野美術協会講師の下、今年は「色彩構成にドローイングを体験しよう」をテーマに水彩鉛筆絵画に挑戦した。
日本の近代建築と自由主義教育の先駆者で名誉市民の西村伊作(1884~1963年)が創設した文化学院(東京都)と提携して毎年開催されているセミナーで、今年16回目。今回は新宮市を中心に遠くは名古屋市などから10代から80代までの参加があった。
参加者たちは小さく長方形に切った和紙に色を付け、裏返してパネルに並べ、水を染み込ませた筆で色を写した。その上から思い思いの絵を描いて仕上げ、額装も作った。
2回目の参加の佐藤真由美さん(31)=新宮市佐野=は「思い通りに色が付かず、ゴールがどんどん変わりましたが、知らない世界に迷い込んだようで楽しかったです」。
第1回から講師を務めている文化学院総合芸術学科常勤講師の上野秀一さん(61)は「参加者の期待に応えようと毎年違うものに挑戦していますが、参加者が減らないことに驚いています。新宮の人は自分なりにどんどん制作を進めていく人が多く、芸術に向いていると思います」。
同セミナー実行委員長の清水雅昭さん(61)は「独特な表現を体感してもらうことが目的でしたので、狙い通りになりました。参加者の6~7割がリピーター。芸術を通して参加者同士のつながりができるのもこのセミナーの良いところです」と話していた。
開講式で田岡実千年市長は「リピーターが多く、新宮市の文化行事として、なくてはならない行事になっています」とあいさつした。
(2017年8月2日付紙面より)
平野杯空友会国際親善交流空手道大会