一関市と友好都市締結 (新宮市 )
新宮市と岩手県一関市はこのたび、友好都市を締結した。21日にオンラインを通して友好都市提携調印式が行われ、田岡実千年・新宮市長と勝部修・一関市長がそれぞれ提携盟約書に調印。記念品の交換などをもって、新たな親交の一ページ目とした。
一関市は岩手県の最南端、仙台市と盛岡市の中間に位置するまちで、面積1256・42平方㌔㍍で人口11万2639人(3月31日現在)。
室根山(むろねさん)中腹に鎮座する室根神社は、熊野速玉大社と熊野本宮大社の熊野神をそれぞれに祀(まつ)る2社殿から成る。両市の交流は熊野神の縁によるもので、1996年に熊野三山協議会が室根神社を訪問して以降、約25年にわたり交流していきた。
2018年1月には田岡市長と屋敷満雄・市議会議長(当時)が勝部市長を訪問。10月の熊野神勧請(かんじょう)1300年室根神社特別大祭を契機としてさらなる親交を深めてきた。
調印式には新宮市からは田岡市長、大西強・市議会議長らが、一関市からは勝部市長、沼倉憲二・市議会副議長らが出席した。
田岡市長は「2018年に開催された熊野神勧請1300年室根神社特別大祭に参加させていただいたことは今でも感慨深く、本日のこのよき日は『歴史が紡ぐ絆』によりなし得たこと。この記念すべき日を契機に交流が末永く続き、一層実り多きものとなるように祈念しています」。勝部市長は「新宮市の映像を見て、当市と共通点があるような気がして感銘を受けた。歴史上の縁を大事にして、末永いお付き合いをしていければ」とそれぞれあいさつ。両市長ともに、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた折りには市民間の交流を計画していきたいと思いを語った。
記念品交換では、紀州材を使用して作成された、「ナギの木」の葉と一関市の花である「ナノハナ」をデザインした記念プレートと、室根出身のイラストレーター・鈴木吉男さんが描いた室根神社特別大祭のイラストを贈り合った。
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■室根神社
718(養老2)年、元正天皇の時、神の威徳と加護をもって東北を治めたいとの鎮守府将軍・大野東人(あずまんど)の願いを聞き入れ、「本宮」の熊野神を室根山に勧請したのが起源とされる。その後1313(正和2)年に室根村の隣村に勧請されていた「新宮」の熊野神を遷移して祭り現在の形となったといわれている。
(2021年7月25日付紙面より)
熊野川に大輪の花咲く (新宮YEG )
新宮商工会議所青年部(新宮YEG、向井康博会長)は22日夜、熊野速玉大社下の河川敷で「癒やし・励ましの打ち上げ花火」を実施した。約320発の大輪の花が夜空に浮かび、道行く人やドライバー、家で過ごす人々の目を楽しませた。
昨年、新型コロナウイルス感染防止のために地域のイベントが中止となる中、市民の「癒やし・励まし」となるようにと同所で花火の打ち上げを企画した新宮YEG。
今年は熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)の中止を受け、「空を見上げて前向きな気持ちになれるよう、小さな子どもから年配の方まで、家から出られない不安な気持ちを少しでも和らげられるように」といった願いと、一日も早く日常に戻れるようにとの祈りを込め、昨年に引き続いての開催を決めた。
3密を回避するため、事前の公表なしに実施。50発の2号玉、90発の3号玉、180発のスターマインが夜の市街地を照らし、花火の打ち上がる様子を見た道行く人からは「すごい」「きれい」などの声が上がっていた。最後には約60㍍のナイアガラが熊野川の川面を彩った。
(2021年7月25日付紙面より)
防災や観光などに期待高まる (紀勢国道事務所 )
国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所は21日、熊野尾鷲道路(Ⅱ期)全線開通日時を8月29日(日)午後3時と発表した。
道路区間は、尾鷲市坂場西町(尾鷲北IC)から同市南浦(尾鷲南IC)を結ぶ5・4㌔で2車線。2014年度に工事に着手し、全体事業費は当初予算より80億円増の340億円。熊野道路(熊野大泊IC)と直結するため、名古屋方面や新宮方面への時間短縮が図られる。
同国道事務所はかねて、三重とこわか国体開始日の9月25日(土)までの完成を目指していた。開通により尾鷲市内の津波浸水想定区域を避けることもでき、防災や物資運搬、観光振興、医療など多くの面で期待が大きい。
(2021年7月25日付紙面より)
ブルービーチ那智が海開き (那智勝浦町 )
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)は22日、那智勝浦町浜ノ宮のブルービーチ那智で海開きに伴う安全祈願祭を営んだ。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から来賓は招待せず、機構職員や堀順一郎町長、町職員のみで神事が執り行われた。遊泳期間は8月22日(日)まで。
神事では熊野那智大社の出仕を得て、神職2人がシーズン期間中の安全と活気を祈念した。
同町によると、感染症対策として、3密回避のためにウオータースライダーの設置はせず、消毒液の配備や感染予防を啓発する看板を設置し、更衣室は一部制限を設けるなどの対策を講じている。
また、海難事故を防ぐために海上と陸上に監視員を配置して来場客の安全を見守るという。
神事を終え、堀町長は「来場者の方々が海難や感染に遭わないように祈願させていただいた。ブルービーチは広くて大きいため、密にはなりにくいと考える。きれいな海をお楽しみいただけたら」と語った。
遊泳時間は午前9時から午後4時30分まで。駐車場は西側(熊野体験博跡地)約150台、東側(JR那智駅側)約100台が駐車可能で有料。8月16日(月)以降は無料となる。同ビーチ以外では粉白地区の玉の浦海水浴場が遊泳可能。
(2021年7月25日付紙面より)
七夕フェスティバルU―12
文科大臣に文化審議会が答申 (新宮市 )
国の文化審議会(佐藤信会長)は16日、文化財分科会を開き、審議・議決を経て、文部科学大臣に新宮市三輪崎の大前屋旅館を国登録有形文化財(建造物)にするよう答申した。官報告示を経て正式に登録される。登録後、県内の登録文化財(建造物)は109カ所301件に、市内では三輪崎青年会館、旧チャップマン邸に続き3件目となる。
文化財登録制度は1996(平成8)年に誕生。50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、緩やかな規制を通じて保存が図られ活用が促されている。全国では1万3000件余りの建造物が登録されている。
大前屋旅館は、三輪崎漁港近くに所在する近代和風の旅館建築。1903(明治36)年に建てられ、2019(令和元)年ごろまでは旅館を営み、その後は住宅として使用されてきた。
古くは目抜き通りであった目前の通り沿いには、19年9月に登録有形文化財に登録された三輪崎青年会館が所在している。
建物は木造2階建て、入母屋造(いりもやづくり)、瓦ぶきで北面して建つ。1階には出格子(でごうし)を構え、2階には出桁造(だしげたづくり)の軒や高欄付きの連続する腰高窓を設けて旅館らしい開放的な造りとする。
内部は両階とも中廊下を設け、その南北に各部屋を並べる。2階にある7室の客室は、4畳半から8畳の和室とし、北側の通りや南側の海への眺望に配慮した造りとなっている。
1973(昭和48)年には内部が一部改修され、南側には居住部が増築されたが、建具や外観などは旧来の姿を残す。
通りに面した近代和風の旅館建築である同建物は現在も地域に親しまれ、通り沿いの歴史的景観の形成に寄与している。
(2021年7月22日付紙面より)
「海の日」ミニイベント (那智勝浦町 )
那智勝浦町下里の第五管区海上保安本部下里水路観測所(橋本友寿所長)は17日、22日(木・祝)の「海の日」に伴うミニイベントとして施設を一般公開した。家族連れなど約20人が参加し、同所の役割や人工衛星レーザー測距観測(SLR)について知る機会とした。
海上保安庁唯一の水路観測所で、1954年に設立され、地磁気観測や天体観測業務を行ってきた。82年からは、観測機器から人工衛星に向けてレーザーを発射して地上から人工衛星までの距離を測るSLRを開始。得られたデータで日本本土の精密な位置を知ることができ、航海の安全を支える海図の作製や領海・排他的経済水域の確定にも役立てられている。
橋本所長は一家族ずつ施設内を案内し、天体観測をしていたドーム状の第一観測所やレーザー装置、望遠鏡、制御室などがある第二観測所を公開。日本が打ち上げた衛星「あじさい」や「みちびき」の他、世界各国の衛星を用いて観測をしていることや、測地技術の向上と2002年の世界測地系導入にともなって日本の座標が北西へ距離にして約500㍍ずれたことなどを紹介した。
太地町から参加した磯田和則さんは「中学生の頃に友人から下里水路観測所について聞いたことがあり、仕事でも無線関係のことをしていたので、長年来てみたいと思っていた」。妻の京子さんは「串本町のロケット打ち上げのこともあるので、時間があればもっと質問したかった」と話していた。
(2021年7月22日付紙面より)
紀宝町民児協の7月定例会で
紀宝町民生委員児童委員協議会(濵口啓会長)の7月定例会が20日、町福祉センターであった。委員約30人が参加し、新型コロナウイルス感染症を踏まえた心肺蘇生法の手順と自動体外式除細動器(AED)の操作方法を学んだ。
熊野市消防本部紀宝分署の山田卓司さんら3人が講師を務め「コロナ発生以前は胸骨圧迫、人口呼吸、AEDの電気ショックを実施する流れだったが、今は感染防止の観点から人口呼吸はやめてもらうことになった。子どもの場合は人口呼吸を行っても構わない」と説明した。
心肺蘇生法の手順として「声を掛けて反応を確認し、ハンカチやタオルなどを傷病者の鼻と口にかぶせて呼吸の有無を観察する。呼吸がないと判断した場合は、傷病者が回復するか救急車が到着するまで交代で胸骨圧迫を続ける。AEDの手順は音声に従ってください」と伝えた。
委員は3グループに分かれて人形を使った訓練に取り組んだ。「救急車呼んでください」「AEDを持ってきてください」など周りの人に協力を求め、1分間に100回のペースで胸骨圧迫を続け、手順に沿ってAEDも操作した。
濵口会長は「万が一に備えて、毎年7~8月に講習会を開いている。何度も受講した委員も多いが、継続することが大事。来年も続けていきたい」と話していた。
(2021年7月22日付紙面より)
CGS部が応援隊結成 (串本古座高校 )
県立串本古座高校CGS部(森陽翔部長)がこのほど、小型ロケット「カイロス」にちなんだ缶バッジシリーズの生産を始めた。初回生産分100個は24日(土)実施の大会「宇宙シンポジウムin串本」会場で配る考え。地域振興の応援になればと願って20日、部員らが袋詰めなどの準備に励んだ。
同ロケットの打ち上げに対して何か支援ができないかと今年1月から話し合いを重ね、手軽に買いやすく思い出になる土産物として缶バッジを生産することを決めた同部。そのデザインを考える中で部員の雑賀和さん(1年)が得意の延長で下書きした神名「カイロス」の絵が顧問や他の部員の目に止まり、以降その絵をベースにしてオリジナルキャラクター「かいろすくん」を生み出した。
複数描いた絵柄の中から座像を選び、まだ打ち上げが始まっていないため「0」のシルエットを背景に配置。大会参加者への進呈を前提にしてキャラクター名と大会期日を情報として上乗せしたデザインを仕上げ、初回生産分となる直径約3㌢の缶バッジを発注した。
部内班にとらわれないこの挑戦の担い手として「カイロス応援隊」を部内で結成。同町の独自ロゴやキャッチフレーズを取り入れた名刺大の台紙も製作し、20日はラッピングタイでこれらをつなぎ袋に詰めて配れる状態にした。
雑賀さんが参考にした原画は写実的で壮年の印象が強かったそうで、これをどうすれば世代を問わず好まれるかを意識してキャラクター化を進めたそう。特徴的な前髪と手にするてんびんを強調しつつ、全身のバランスを三頭身とし顔立ちを丸く、手足を短く、衣服を原色系にするなどして親近感を強めた。
大会当日は登壇者など主賓に手紙を添えて進呈し、残りを来賓や会場聴講者に先着順で配る予定。森部長(3年)によると小型ロケットの打ち上げ数をなぞらえて追加生産し次回以降は販売を考えているそうで、「一歩ずつ着実に進めてほしい」と後輩に期待。シリーズ化の要となった雑賀さんは「今後も改良してより良くしていく。『かいろすくん』が応援の弾みになれば」と意気込んでいる。
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この日は缶バッジの袋詰めと並行し、活動費確保を目的とした仕組みの段取りも進めた。
CGSは「Community General Support」(地域包括的支援)の略称。この仕組みは、目指す思いが高まるほどに活動費が不足するというジレンマを同部自身で克服する挑戦として動き出した。
植田航平副部長(3年)を軸にして模擬団体「CGS株式会社」を立ち上げ1口500円の投資の代価として株券1枚を発行する内容。まずは校内実施で試みるという。
植田副部長も間もなく引退となるが、在校中は最後まで後輩を支えることを決意。「活動費を出してもらうだけでなく自分らで集めることを意識付けたい」など思うところを語った。
(2021年7月22日付紙面より)
熊野那智大社(男成洋三宮司)は9日、世界遺産・那智の滝上の大しめ縄の設置を行った。14日(水)に斎行される国指定重要無形民俗文化財「那智の扇祭り(火祭)」を前にした恒例行事で、日本一の落差133㍍の滝口で神職たちが足元に注意を払いながら慎重に新しいしめ縄に取り替えた。
那智の滝は同大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体。張り替え作業は例大祭前の7月と年末の毎年2回行われている。
昨年7月は天候不良で延期となり宵宮(よいみや)の朝に実施。連日の大雨で水量が多くなったため、例年より上流にしめ縄を張った。
しめ縄はサラシ製で長さ約26㍍、重さ約4㌔。大社本殿で安全祈願を行い、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職ら5人が表参道約2㌔の道のりを運んだ。到着後、命綱を着け、滝の流れに足をつけた神職らは声を掛け合いながら無事にしめ縄を設置した。
新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から、14日の例大祭は規模縮小と一部中止を決定。祭典内容を変更して神職や役員、祭り関係者のみで斎行される。
男成宮司は「参列者や奉仕者、拝観者の安全を優先し、今年も皆さまのご参列をご遠慮いただく形となった。コロナ禍が一日も早く終息し穏やかな日々に戻ること、来年こそはいつも通りの例大祭が斎行できることを切に祈ります」と話していた。
同社によると、本殿での参拝は通常通り行えるが、別宮の飛瀧神社においては午前10時から正午まで参拝を中止するという。
(2021年7月10日付紙面より)
町教委主催で教職員研修 (古座川町 )
古座川町教育委員会が6日、同町立高池小学校でGIGAスクール教職員研修会を開き、町内の教員16人が児童生徒用パソコンを活用するときの素地となる理解を深めるなどした。
この研修会は、同スクール構想の急進で充実する校内の情報通信技術(ICT)環境の教育活用を円滑に進めるため、文部科学省「GIGAスクールサポーター配置促進事業」を活用して計画。東牟婁地域が1人1台の割り当てで共同調達した児童生徒用パソコンはオペレーションシステム(OS)「グーグルクローム」を搭載した機種で、その使い方や推奨ソフトを紹介する内容を準備して町立小中学校の教員に参加を呼び掛けた。
この日は同サポーター・岡田政彦さん(和歌山IT教育機構所属)が講師として登壇。序盤は「Google Chrome」のアカウント管理や基本操作、他のOSと比較したときのデータ管理の特色を確かめ、中盤は教育活用頻度が高いと見込まれる推奨ソフト「Google Classroom」、終盤は児童生徒用パソコンを一括管理する授業支援ソフトを紹介。児童生徒の立場で実活用を模擬体験してもらいながら、できる教育活用の基本線を伝えた。
研修会は春にも開いた経緯があり、すでに一部のクラスで同端末の活用が始まっている段階。町教委教育課の坂本耕一さんは活用の裾野をさらに広げて児童生徒用パソコンを生かしたいとし、7月中~下旬には各学校単位で活用を主導する人材(情報担当教諭など)を育てるリーダー研修〈上級研修〉も実施するという。
(2021年7月10日付紙面より)
建設工事関係者連絡会議 (新宮・東牟婁地方 )
建設工事における災害の一層の減少を図ろうと、厚生労働省和歌山労働局新宮労働基準監督署(中前英人署長)は8日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で建設工事関係者連絡会議を開催した。新宮・東牟婁地区の公共工事発注機関、建設関係団体、災害防止行政機関の約20人が出席。取り組み紹介や意見交換を行った。
会議は、三者がより緊密な連携を図ることで災害防止対策の取り組みを推進することを目的に毎年開かれている。
新宮・東牟婁管内では昨年78件(前年比9件減)の労働災害が発生した。中前署長は「昨年、管内では土木工事業で大きく減少したが、過去3年間発生のなかった死亡事故が発生した。今年は5月末現在で、休業4日以上の労働災害が昨年同月に比べて5件増加となる21件発生している」などと説明。
工事現場災害の減少を図るため▽労働災害の防止▽熱中症対策▽建設業の働き方改革の取り組み推進▽新型コロナウイルス感染症対策―に対する協力を呼び掛けた。
乾孝行監督・安衛課長が、管内の建設工事における災害発生状況を説明したほか、現場での安全管理について▽建設機械の安全対策▽安全施工サイクルの推進▽気象状況の変化に伴う措置―などが重要とした。
2023年までに死亡災害を15%以上、死傷災害を10%以上減少させることを目標とした「第13次労働災害防止計画」や「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」、建設現場での新型コロナウイルス感染防止対策、安全帯など適切な器具の使用、災害復旧工事における注意事項などについて、災害事例を交えて解説した。
今後の同連絡会議の取り組みについて「合同パトロールや安全教育などに当署の活用を」と呼び掛けた。
紀南河川国道事務所串本国道維持出張所、東牟婁振興局農林水産振興部林務課、新宮市、那智勝浦町、串本町、太地町などが公共工事の現状や労働災害防止に係る取り組みなどを紹介した。
(2021年7月10日付紙面より)
優秀安全運転事業所表彰 (新宮市 )
自動車安全運転センター和歌山県事務所(寺園勝人所長)と県警本部はこのほど、優秀安全運転事業所として、新宮市王子町の佐川急便株式会社新宮営業所(白井康弘所長、33人)に3年ぶりとなる金賞を贈呈した。8日、新宮警察署で開かれた伝達式には同営業所安全推進課主任の松岡裕太さん(30)が出席し、山田守孝新宮警察署長から表彰状を受け取った。
表彰は同センターが主催、警察が共催して毎年3期に分けて実施している。対象となるのは社員が20人以上で、そのうち8割がドライバーの事業所。社員は運転記録証明書を申請し、分析結果の交付を受けている。公私にわたって1年間の事故や違反が3%以内なら金賞(7点)、5%以内なら銀賞(5点)、7%以内なら銅賞(3点)が贈られる。連続で受賞し合計15点以上になった事業所にはプラチナ賞が贈られる。
同営業所は2017、18年に2回連続で金賞を受賞しており、会社全体で環境・安全面を最優先にして事業に当たっている。
松岡さんは「営業所全体で、事故・違反を出さないように努めてきたことが表彰につながりありがたい。日頃から交通弱者を守るために歩行者を優先する運転などに取り組んでいる。今後も交通安全活動を継続していきたい」。
表彰式に同席した寺園所長は「数多くの受賞は安全運転管理をしっかりとしていただいているからこそ。今後も継続していただけたら。また、運転経歴に係る証明書やセーフドライバーカードを活用してもらいたい」と話した。
山田署長は受賞について「交通安全意識の持続がないと難しい。ほかの事業者さまの模範になるとともに一般のドライバーの啓発につながってほしい。他の事業所さまにも参加していただけたら」と話していた。
(2021年7月10日付紙面より)
熊野川地域フラワーツーリズム協議会 (新宮市 )
熊野川地域フラワーツーリズム協議会(下阪殖保会長)のメンバーら約10人は7日、新宮市熊野川町日足のバイパス近くの休耕田約0・5㌶にヒマワリの種約15㌔を植えた。
同協議会は、2011年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所として活性化し町民らを元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモス、菜の花などの種をまいている。今年で9回目の取り組みとなる。
他にもこいのぼりの設置やさまざまなイベントを企画・実施し、復興を祈念するとともに水害当時に思いを寄せる機会としている。
市制施行10周年記念として15年から開催されている「ひまわりまつり」では一帯を大輪のヒマワリが彩るが、今年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、昨年に引き続きまつりは中止に。
そんな状況下でも協議会メンバーらは「町の活性化につながれば」と思いを込め、一つ一つ丁寧に大輪花で耐倒伏性が強いヒマワリの品種「ハイブリッドサンフラワー」の種を植えていった。
先月30日には約1・5㌶の休耕田に約20㌔のコスモスの種をまいた協議会メンバー。種をまいた後は発芽しやすいように土をかけ、肥料の散布も実施した。今年のコスモスは約3カ月で開花する早咲き種で花径約7、8㌢の大輪になるものもあるという。
「秋には花畑があふれ、町を訪れる人たちに楽しんでもらうとともに、復興を祈念できれば」。大水害以降も幾多の風水害を乗り越えてきた熊野川町。町を彩るヒマワリとコスモスの開花は9月ごろを予定している。
(2021年7月8日付紙面より)
図書館が引き継いで所蔵へ (串本町 )
串本町教育委員会(潮﨑伸彦教育長)がこのほど、ケンケン漁ゆかりの漁具・工具や研究資料一式の寄贈を受けた。串本町図書館(池田三明館長)へ引き継ぐ方向で段取りを進めていて、池田館長は閲覧できる状態にある研究資料は7月中旬をめどに郷土資料として蔵書登録し閲覧公開、漁具は年末をめどに展示公開を目指すとしている。
町教委によると、一式は田並の故・雑賀徹也さんが生前の研究でそろえたもの。遺品整理をする中で「貴重では」と感じた家族が知り合いの役場職員の仲介で町教委に相談し、寄贈するに至ったという。
内訳は漁具が▽潜行板7個▽飛行機6個〈大2、小4〉▽爆弾3個▽ウキ1個▽手釣り用木枠〈釣り糸つき〉1個▽疑似餌複数個―、工具は木製の潜行板、飛行機、爆弾を作る道具など11個。研究資料がファイル4冊(写真や新聞記事の切り抜き、独自考察など)と未整理の文書・図面・写真で数量不詳となっている。
潜行板、飛行機、爆弾は漁業従事者が漁具の形状や用途を見て用いていた呼称。研究資料は故・雑賀さんが生前に和歌山東漁業協同組合へ寄稿したケンケン漁推察の出典元となるさまざまな文書資料や独自考察、写真などで「天馬船」の設計図面〈実物〉も含まれている。
一式全体として整理が追いついていない状態にあり、その作業を進めてできる限り所蔵していくという。池田館長は「本館は農業関係に比べて漁業関係の民具が少ない。(同町の代表的な漁業の一つである)田並発祥のケンケン漁にまつわる内容ともあってとてもありがたい寄贈だ」と喜び、今後の公開に意気込んでいる。
ケンケン漁は、田並からハワイへ渡った移民者が現地の漁法を洗練して持ち帰り全国へと広めたとされるカツオ漁法。現在は長さおを漁船の両舷へ羽のように伸ばして仕掛けを引く形へと発展し、代表的なカツオ漁法の一つとして浸透している。
(2021年7月8日付紙面より)
宇久井中で海洋教育 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)で6日、地元漁師の東信義さんによる漁業学習があった。2年生29人が地元の漁業について学び、理解を深めた。
同校で20年以上続く海洋教育の一環で、ふるさとの漁業の歴史や取り組みを学ぶとともに、将来的な漁業後継者を育てることも目的の一つとしている。
東さんは宇久井漁業協同組合に所属し、引き縄(ケンケン)漁とイセエビの刺し網漁を営む傍ら、ホエールウオッチング業にも従事している。
授業では東さんの経験を基に、地元の主な漁法としてマグロやカツオを取る「はえ縄」「引き縄」「一本釣り」、アジやサバ、サンマなどの「棒受け網」、ブリを中心に季節の魚を取る「定置網」、「養殖」などの仕組み、クジラの種類や生態についても解説した。
生徒からは「クジラが見える確率は」「宇久井漁協はどういった組織なのか」「難しい漁法は」「漁に出ないときは何をしているのか」などの質問があった。
東さんは「ウオッチングは5月のシーズンなら90%以上見ることができる」「組合がないと僕らは魚を持って行くことができない。漁師のまとめ役」「どの漁法も慣れるまで難しいが、棒受け網は難しい」「漁以外では網の修理などをしている」と答えた。
この日の朝に定置網で取れたイワシやイカ、サバ、カツオ、シイラ、タチウオなどを直接見せながら特徴や種類を説明した。
学級委員の田原まなさんは「漁法の説明や実際に魚を見せていただき、ありがとうございました。宇久井の漁業について学ぶことができました」と感謝を述べた。
坊校長は「発展した漁業がこの地域を支えてきた。その歴史などを学んでほしい」と述べた。
同校によると、2年生は3学期、船に乗って定置網の見学を実施するほか、3年生は漁協女性部の協力の下、魚食体験を行うという。
(2021年7月8日付紙面より)
区長会で各種事業を報告 (紀宝町 )
町内14地区と町で組織する紀宝町区長会(会長・辰巳尚鵜殿区長)は6日、同町役場大会議室で定例会を開催。役員改選に伴い、会長に辰巳区長、副会長に鮒田区の東口高士区長を再任した。
各区の区長、役場職員が出席し、西田健町長は「町内でこれまで新型コロナウイルスの感染者がないものの、地域経済にとっても厳しい状況にあり、町としてもできる限り支援をしたい。全国学力テストで、小中学校5教科中3教科で全国平均を超えた。子どもたちは学力やスポーツも頑張ってくれている」とあいさつ。各課の担当職員が町の関連事業などを説明した。
65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種は1日現在、1回目が2701人、2回目は1769人が済ませた。3、4日に720人が集団接種し、1回目接種率は約85%だという。
担当課長は「8月も土、日曜日に集団接種を計画しているが、ワクチン供給量によって設定できないかもしれない」と報告。「接種した人は新型コロナの発症を予防できるとされているが、接種を受けた人から他の人への感染をどの程度予防できるか分からない。接種後も引き続き、手洗い・マスク着用・3密回避などの対策徹底を」と呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染症支援事業や第15回紀宝町花火大会の打ち上げ花火中止、町空き家バンク事業、第2次町総合計画、鵜殿保育所建設工事、矢渕中学校大規模改修工事の概要なども伝えた。
(2021年7月8日付紙面より)
扇立祭は時間短縮の上斎行 (熊野速玉大社 )
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ「扇立祭(おうぎたてまつり)」=14日(水)=を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は2日、祭り当日に各殿で開帳する檜扇(ひおうぎ)7握を虫干しのため蔵から出し、ほこりなどを払った。なお、今年の扇立祭はいまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、昨年同様、奉賛諸行事や露店商組合の出店は中止。午後2時に神事を斎行する。檜扇の開帳は3時まで。5時に閉門する。
扇立祭は、神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子が病気にかからないよう、また五穀につく虫を追い払って豊作を願い始まった。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物で、現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わっている。ヒノキの薄い板の木目の美しさを生かしながら彩色、金箔(きんぱく)、銀箔(ぎんぱく)が施されていて「熊野檜扇」と呼ばれている。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもので、本殿用(高さ1・5㍍、幅1・65㍍)は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製したものとなっている。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「多くの人がワクチンを打っていただいているが世界的に感染者が増えている状況を鑑み、昨年同様に神事のみの斎行とさせていただいた」と説明。「早く例年通り、にぎわう祭りに戻ってほしい」と思いを語った。
(2021年7月3日付紙面より)
エピペン&救急救命講習 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒541人)で6月29日、教職員を対象に、食物アレルギーを想定したエピペン(アドレナリン自己注射薬)講習会と救急救命講習があった。約30人が参加し、実動訓練を通して緊急時にとるべき初期行動を確認した。
同校では、教職員の誰もが緊急時に迅速で正しい行動を取れるよう、毎年講習を実施して知識や技術を身に付けている。
エピペン講習会は、生徒同士が昼食時におかずを交換したことでアレルギー物質を摂取し、全身の複数の臓器に急激なアレルギー反応が現れる「アナフィラキシー」を起こした場合を想定。せきや息苦しさ、腹痛、じんましんといった症状が現れた生徒から申告を受けた教職員らが、緊急時に取るべき行動を記した「アクションカード」と症状を緩和するエピペンの保管場所などを記した「緊急時個人対応カード」を基にチームで対処に当たった。
救急救命講習では、事前に新宮消防本部の講習を受けた防災担当教諭や在職10年目の中堅教諭らが中心となり、心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)の使用法を指導した。通常の呼吸と死戦期呼吸(心停止直後の人に見られる呼吸に似た動き)の見分け方などを説明し、人形を使った練習ではAEDパッドを貼り付ける際に心臓マッサージが止まらないよう細かくアドバイスをした。
在職3年目の女性教諭は「毎年の訓練がいい復習の機会になっている。近年は人工呼吸よりも心臓マッサージの方が重視されるようになっていることや、AEDを使うときに女子生徒の場合はパーティションを立てるなどの配慮があった方が良いということなど、知識のアップデートにもなった」と話していた。
(2021年7月3日付紙面より)
社明運動強調月間始まる (串本町 )
第71回社会を明るくする運動の強調月間が1日、全国一斉に始まった。同運動串本町推進委員会(委員長・田嶋勝正町長)は県推進委員会委員長・仁坂吉伸県知事のメッセージを読み上げてその趣旨、懇談で喫緊の課題について共有し、1カ月間の活動へと踏み出した。
全ての国民が犯罪や非行の防止やそれら行為に及んだ人の更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合わせて犯罪や非行がない安心安全で明るい地域社会を築くことを趣旨とする同運動。7月はその強調月間で、中央、都道府県、市区町村の各推進委員会がそれぞれ啓発事業に取り組み全国規模で趣旨の浸透に努めている。
同町推進委は昨年に続いて今年もコロナ禍の情勢を鑑み、初日恒例の街頭啓発を中止。前述の趣旨と課題の共有を図る形へと置き換えた。田嶋町長と牟婁保護司会串本分会の生熊和道会長、五十川保純副会長、北地稔さん、堀正さん、同町更生保護女性会串本分会の谷口矮文子会長、同古座分会の川名千代美会長、同町民生委員児童委員協議会の山崎巖会長が委員代表として役場本庁町長室で会合に臨み、副委員長の生熊会長がメッセージを読み上げ田嶋町長に伝達する形でその趣旨を共有した。
懇談では田嶋町長が▽県警警察署再編(串本警察署の展望)▽小型ロケット「カイロス」打ち上げの見通し▽現・役場本庁舎解体後の県営住宅(兼津波避難ビル)―などの情報を提供し、これら進展に伴う地域の状況の変化を喫緊の課題として共有した。生熊会長は同運動のキャラバン隊が12日(月)に町内を通過することを事前報告し、情報共有するなどした。
強調月間を迎え、生熊会長は「この運動は7月に強調するが、本来は年間を通して取り組むべきこと。その点を伝えたい」と中止した啓発の代わりとして主張。今期は主に資材掲出による視覚啓発、県主唱「夏の子どもを守る運動」や内閣府主唱「青少年の非行・被害防止全国強調月間」と連携した学校訪問などに取り組むという。
同運動古座川町推進委員会は前日の6月30日に総会を開き、資材掲出や広報車巡回など今期の活動内容を決定。総会前にメッセージの朗読をして趣旨の認識共有を図ったという。
(2021年7月3日付紙面より)
新宮労基がパトロール (県道長井古座線 )
1日から始まった全国安全週間に先駆けて新宮労働基準監督署(中前英人署長)は6月30日、那智勝浦町と串本町をつなぐ県道長井古座線(仮称・八郎山トンネル)の建設現場(中里側)でパトロールを実施した。工事を担当する淺川・堀特定建設工事共同企業体や工事発注者の和歌山県東牟婁振興局らが出席する中、中前署長らが各種点検を行った。
1日から7日(水)までと定められた全国安全週間は、労働災害防止活動の推進を図るとともに、安全に対する意識と職場の安全活動の向上に取り組むもの。2021年度は「持続可能な安全管理 未来へつなぐ安全職場」をスローガンに掲げた。6月中は準備期間となっており、同署では取り組みの一つとして今回のパトロールを実施し、労働災害防止の啓発を行った。
同署によると、県の労働災害発生件数は長期的には減少傾向であり、2020年は前年より2件減とした。しかし、今年5月末現在で速報値・全業種で前年同時期の発生件数を上回っているほか、2月には管内で死亡災害が1件発生しているという。
同企業体が工事概要について、▽長井古座線のバイパスとしてトンネル延長711㍍の施工と路体盛土を行う工事▽工期は昨年9月に着工し、22年5月22日終了予定▽6月30日午前中に沈下・変状防止を目的とするインバートコンクリート工事実施▽この日現在で110㍍の掘削が終了しており、進捗(しんちょく)率は11・4%―などを説明した。
出席者ならび事業者全員がハーネス型安全帯や反射ベスト、電動ファン防じんマスクを着用し、トンネル内外の現場で安全パトロールを行った。
中前署長が「資格取得者による作業や、転落防止の手すり設置、整理整頓などが確認できた。熱中症対策などに注意し、今後も対策に取り組んでいただきたい」と講評。
同企業体の株式会社淺川組の西口伸専務取締役・事業本部長は「竣工(しゅんこう)するまでの間、無事故・労働災害ゼロを達成するために全力で安全に努めたい」と話した。
(2021年7月3日付紙面より)