城南中学校が初挑戦 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で28日、政府が推進する「GIGAスクール構想」で導入したタブレット型パソコン(PC)を活用した、初のオンライン火災避難訓練が行われた。教職員による一次消火訓練や代表者による消火体験の様子を各クラスのモニターに中継し、全校生徒160人が視聴した。
同校では年1回、新宮消防本部の協力を得て火災避難訓練や消火・煙体験に取り組んでいる。本年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、大人数が移動する訓練ができないことから、オンラインでの訓練を企画した。
この日は理科室からの出火を想定し、教職員が出火場所を特定して避難指示の校内放送を行い、一次消火へ向かう緊迫した現場の様子を中継した。訓練後、久安孝典教頭は生徒たちに「避難訓練の意義は何だと思いますか?」と問い掛け、その答えを▽火災が発生したときに向けて意識を高める▽災害に対する備えの大切さを学ぶ―の二つだと説明。校内地図の画像を共有しながら教室からの避難経路を確認した。
小林優月さん(3年)は「リモートでの避難訓練は初めてで新鮮だった。やる気がある人だけでなく、全員が同じ環境で参加できるのが良かったと思う」。山原優奈さん(同)は「普段使っている校舎の動画だったので分かりやすかったが、消火器の使い方など細かいところまでは動画では見えなかった」とそれぞれメリットやデメリットを語った。
吉田校長は「人間は初めてのことが起こるとパニックになってしまう。避難を経験しておくことが命を守ることにつながる。2学期は地震や津波を想定した避難訓練も実施したいと考えているので、真剣に取り組んでほしい」と呼び掛けていた。
(2021年6月30日付紙面より)
災害用備蓄水「なんたん水」 (串本町 )
串本町の災害用備蓄水「なんたん水」がこのほど、モンドセレクション2021で最高金賞を獲得した。3年前に続く評価で、同町は引き続き現行体制で製造を続ける考え。他方、製造10周年記念として、小型ロケットの打ち上げにちなんだ記念ボトル商品化の挑戦も始めている。
「なんたん水」は、東日本大震災以降に災害用備蓄水の必要性を強く感じ、日本とトルコの友好など町のPR要素も盛り込んだ形で11年度から製造を始めた。保存期間は県内でもトップクラスの5年間。津波緊急避難時の持ち出しやすさや常温下における安全消費の観点で、500㍉㍑ペットボトルの1商品のみを展開し、1本当たり100円で役場水道課や町内外の委託販売先で販売している。個人備蓄の裾野を広げるため、高齢者世帯へ24本入りケースの状態で無料配達する努力も重ねている。
日本清流百選・平成の名水百選の選定を受ける古座川から取水し、古田浄水場の膜ろ過装置で浄化し硬度1・2㍉㌘の軟水に仕上げている。この水を同浄水場系の上水道として配水しているが、なんたん水は浄化まもない水を災害用備蓄水として加工(カルキを除去するなど)し商品化している。
モンドセレクションは食材の国際的品評機関。味覚、衛生、成分表示の適正、原材料などの項目で審査し、最高金賞・金賞・銀賞・銅賞・賞外の各評価をしている。評価の有効期間は3年間。「なんたん水」は12年と15年に金賞、18年と21年は最高金賞の評価を獲得していて、同課の佐藤則夫課長は有収率向上により膜ろ過の速度が下がり、より磨きがかかるようになったことが評価向上の要因だと受け止めている。
今回の獲得は、向上した品質が変わらず保持できている証しともなった。前年度は製造量を若干上回る3万6980本を供給。56%が町備蓄、44%が販売となっていて、販売規模は新型コロナウイルス感染症に伴う県南部への教育旅行集中の影響も含め増加傾向にあるという。
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安定供給を目指す一方で挑戦を始めた記念ボトルはアルミ容器で10年保存を目指す内容。同町独自のロケット振興の一端で連携する漫画「宇宙兄弟」のデザイン画を外装に取り入れる形で商品化を模索している。
災害用備蓄水としてはもちろん、ロケット見物客の土産需要など普段使いの頻度を上げたい考え。容量は490㍉㍑、売価は200円、初回製造数は4万本を想定していて、現在同課で外装のデザインを検討している段階だという。
最高金賞の継続獲得で品質を誇る「なんたん水」の安定供給と記念ボトル商品化の挑戦。田嶋勝正町長は記念ボトルの売れ行きがよければ次年度以降の製造も考えるとし、「地震や津波の発生時に水は大事なので、備蓄目的で作ってきた。高評価はもちろん、昨年は過去最高の売り上げとなり住民の意識も高まっているのかなと感じうれしく思う。新展開のアルミボトルは記念という思いで買っていただければ」とコメントした。
(2021年6月30日付紙面より)
住民が設備の使用方法学ぶ (那智勝浦町 )
今年3月30日に完成した那智勝浦町宇久井里地区の津波避難タワーで28日、現地説明会があった。地元住民約10人が参加し、町職員から設備の使用方法などを学んだ。
タワーは同地区の一部が津波避難困難区域であることから、住民の命を守るために一時避難場所として昨年11月に着工した。
鉄骨造で高さ9㍍、床面積が53・95平方㍍、収容人員は約100人。想定浸水深は三連動地震で約1・9㍍、巨大地震で約4・9㍍。事業費は地質調査や設計管理、工事費などを含め約5500万円で、主に緊急防災減災事業債を活用している。
町内に設置された避難タワーは今回の里地区で5基目。30日に現地説明会を行う天満地区の避難タワーで6基目となる。
町によると、海に隣接する築地地区には現在、避難設備がないため、避難タワーなどの設備設置について検討を重ねているという。
この日、堀順一郎町長も現場を訪れ「施設を使うということはできれば避けたいが、地震が発生した際は津波が来ることをいま一度お考えいただきたい。工事の際は住民の皆さまにご迷惑をお掛けしたが、命を守るためのタワーなのでご容赦いただきたい」とあいさつした。
職員は▽階段へと続く扉の解錠方法▽緊急時に点灯する照明▽USBやコンセントの差し込み口▽ビニールシートやトイレセットなどが完備されたボックス―などの詳細や使用方法について説明した。
住民からは「解錠方法の手順が記された看板を設置する方が良いと思う」「ボックス内に備蓄品の開封を行うためのカッターなどを入れておいてはどうか」「夜間に解錠して設備を使用する訓練を実施すべきでは」などの提案があった。
タワー近くに住む山本明さんは「周辺には高齢者もいるため、タワーが完成して安心している。ありがたい。訓練は必要だと思う」。
里一区の土井正治区長は「緊急的な避難を行うためのものだが、両側から津波の確認もできる。タワーができてありがたい」と語った。
(2021年6月30日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部理事長杯
バドミントン講習会 (串本町体育協会 )
なぎなた選手権和歌山県予選で活躍 (近大新宮高 )
第7回王子カップ2021
新宮港で10機関が訓練 (港湾保安委員会 )
新宮港港湾保安委員会(委員長=鈴木伸幸・東牟婁振興局新宮建設部長)は17日、同港三輪崎第4号岸壁で令和3年度新宮港テロ対策訓練を実施した。田辺海上保安部、新宮警察署、那智勝浦町、新宮市・那智勝浦町の両消防本部、大阪税関和歌山税関支署新宮出張所など10機関から約70人が参加。テロの水際対策における連携体制を強化した。
テロ訓練は、今後増えると予想される客船の入港や、来月に開幕する東京オリンピック・パラリンピックを見越し、テロ事案に対する関係機関の対応の相互確認や、連携強化により的確に対応するための取り組み。国際船舶・港湾保安法の施行(2004年)を受け、06年から毎年実施されている。
▽巡視艇による不審小型ボートの発見と追跡、逮捕▽入国審査における不審旅客の発見と逮捕▽手荷物検査における旅客の所持品内からの拳銃発見と逮捕▽船内不審旅客の捜索と逮捕▽時限発火装置による火災発生、負傷者の救助と消火―の5項目を想定した。
海上での訓練では、海保のボートが追跡し、追い詰められた不審小型ボートから発砲があり、海保巡視船が威嚇射撃して不審者を逮捕した。入国審査や手荷物検査では、追い詰められた不審旅客がナイフを振り回す場面があるなど、実践さながらを想定し行われた。
鈴木委員長は、新宮港は地方港湾ではあるが「国際航海船及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」に基づく対応が必要な港湾であるとし、外航船や貨物船、クルーズ船などが多数入港しており取り扱い貨物量も多いと説明。
東京オリ・パラは国際的な注目が集まることで、さらに厳重な保安対策と危機意識が大切となるとし「訓練がテロ対策の重要性と必要性を再認識するとともに組織のつながりを強化し、より安心安全な港となることを期待している」とあいさつ。
新宮港公安危機管理担当官の上野春一郎・田辺海上保安部長は「コロナ禍で新宮港も国際船舶の入港隻数は低調に推移しているが、中東地域、アフリカ、東南アジアでは自爆テロが頻発している。今年は9・11同時多発テロから20年を迎えるが、依然として無差別テロの驚異はなくなっていない」。港湾における水際危機管理はテロ対策の要であり、関係機関の連携が重要と述べた。
訓練後には、副担当官の山田守孝・新宮警察署長が「実践さながらの力のこもった訓練だった。各機関の連携も確認できる内容であり非常に心強く感じた」と講評。
東京オリ・パラに加え、県においても国民文化祭・総合文化祭の開催を控えているとし「当地方は都心からは離れているが新宮港には外国船籍が寄港し、テロリストに利用される可能性も十分に考えられる。コアメンバーが連携を密にし、『新宮港からテロを敢行しようとする者、テロに利用される物品を絶対に入れさせない』という強い信念で挑む必要がある」と呼び掛けた。
(2021年6月19日付紙面より)
橋杭小6年が租税教室で (串本町 )
串本町立橋杭小学校(溝内聡子校長)の6年生が18日、租税教室に参加し税金の種類や使われ方を教わるなどした。
この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会が次代を担う子どもたちの租税教育充実を目的として実施。管内の学校に参加を呼び掛け、希望校へ税務関係者を講師派遣して開いている。
この日は新宮納税協会青年部会の瀬古伸一郎部会長が講師を担当。児童にも身近な消費税の印象を考え、他にも所得税(住民税)や法人税などいろいろな税金があることを紹介した。税金がどのように使われているかは映像教材「マリンとヤマト 不思議な日曜日」を鑑賞して学習。さまざまな公共サービスを支えていることを知り、金額の実感を得るため1億円の見本を確かめるなどした。
最後に「税金はみんなから集める会費」という印象を託して同教室を終了。瀬古さんは「税金は取られるではなく納めるもの。その気付きを得てくれれば」と児童の今後を期待した。
(2021年6月19日付紙面より)
紀宝町民児協が人権問題学ぶ
紀宝町民生委員児童委員協議会(濵口啓会長)の6月定例会が15日、町福祉センターであった。委員約30人が参加し、新型コロナウイルスに関連した人権問題を学んだ。
県環境生活部人権課の櫛田誠さんが津市の県庁からリモートで講演した。「人権が尊重される三重をつくるために」と題し、新型コロナによる偏見や差別をなくすために「正しく知る」「自分も感染するかもしれない」「差別に同調しない」といった啓発・教育が必要と示した。
国の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」の調査結果を基に「感染後の入院を機に会社から雇い止めを受け、退職した」「退院した患者にSNS上で自殺したとデマを流された」など全国の事例を挙げた。
その上で「民生児童委員の皆さんは、さまざまな相談を受けている。新型コロナウイルスに係る人権相談など、どこに問い合わせすれば良いか分からない場合は、新型コロナウイルス感染症に係る人権相談プラットフォーム会議に相談してください」と伝えた。
新型コロナによる負のスパイラルとして▽未知のウイルスで、分からないことが多いため不安が生まれる▽人間の生き延びようとする本能によりウイルス感染に関わる人を遠ざける▽差別を受けるのが怖くて熱やせきがあっても受診をためらい、結果として病気の拡散を招く―と解説。「この感染症の怖さは病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別がさらなる病気の拡散につながる」と危惧した。
コロナ差別や同和問題などの人権課題について▽教育、啓発など息の長い対策▽相談体制構築のため関係機関との連携強化と偏見・差別の相談支援▽実効性のある法整備―が必要とし、「偏見や差別のない、みんなで思いやりのある優しい社会をつくりましょう」と呼び掛けた。
(2021年6月19日付紙面より)
勝浦小2年生が稚魚放流
那智勝浦町は18日、那智湾に面した「海のホテル一の滝」近くの砂浜でヒラメ稚魚の放流会を開いた。町立勝浦小学校(山下真司校長)の2年生44人が協力し、約1000匹を海に放した。
栽培漁業の拡大を図るため、同町が紀州勝浦漁業協同組合に委託し20年以上続く取り組みで、本年度は那智湾に計5万匹を放流する予定。例年なら同小の1年生が協力するが、昨年は新型コロナウイルスの感染状況を鑑み中止に。今年は取り組みに参加できなかった2年生を対象に事業を実施した。
放流した稚魚は、串本町の県南部栽培漁業センターで2月10日にふ化し、同漁協が体長12㌢前後まで中間育成したもの。放流後しばらくは水深20㍍より浅い砂浜域で生活し、成魚になると水深200㍍までの岩礁域に分布する。2年で40㌢程度に成長し、3年以降に産卵する。
この日は、勝浦小学校の体験学習も兼ねており、児童たちは県職員からヒラメの生態やヒラメとカレイの違いなどについて学んだ後「ヒラメも病気になるの?」「魚の目はどこを見ているの?」などと質問した。
ペットボトルで作った容器に入れた稚魚を観察し、その後放流。全員で「ヒラメさん大きくなってね」と声を合わせ稚魚を見送った。
片原結乃さん(7)は「(ヒラメは)初めて触った。ヌルヌルしていて不思議な感触だった。目が青色でかわいかった」と感想を述べ「海に放つ時は、元気に育ってねって願いました」と話していた。
(2021年6月19日付紙面より)
近畿高校レスリング選手権大会開幕
出水期前に合同訓練 (新宮市 )
災害発生時の迅速かつ的確な災害警備活動を目指して、新宮警察署(山田守孝署長)は9日、同署南側空き地(広角用地)で新宮市、市消防本部と合同で災害警備訓練を実施した。3機関から41人が参加。紀伊半島大水害(2011年)から10年の節目に当たり、犠牲者に対する黙とうが行われた後、訓練を通して風水害などに対する連携強化を図った。
これから本格的な出水期を迎えるに当たり、風水害などの発生時に迅速かつ的確な災害警備活動を実施することを目的とした。
訓練は、台風接近に伴う大雨などにより、紀伊半島大水害南部の各地で甚大な被害が発生。市内では1時間に100㍉を超える降雨により記録的短時間大雨情報が発表されたとの想定の下、家屋倒壊などの被害が多数発生している台風通過後(警報解除後)の活動に焦点を当てた。
現地指揮所を立ち上げた後、防災相互通信用無線を使用し、警察署が市と消防本部に無線通話を開始。関係機関が指揮所で合流した後は情報交換を行い、車両や倒壊家屋で警察、消防による救助訓練もあった。
県警ヘリコプター「きのくに」による搬送訓練では、ホイストクレーンでつり上げて搬送する一連の動きを確認。本番さながらの訓練を通して共通認識を持つ機会とした。
訓練終了後、山田署長が講評。「地理的状況からただちの応援部隊を望めない地域であり、災害発生初期段階ではわれわれ地元の関係機関だけで救助活動などに当たらなければならない。そういった意味でも訓練が実施できたことは意義深いこと」。
紀伊半島大水害発生当時を振り返り、「人命救助は時間との勝負。関係機関が情報共有を行い、一致団結していかに迅速に災害対策に当たることができるかに懸かっている。先の大水害で得た経験、学んだ教訓を生かし、有事に最大限の力を発揮できるよう、今後とも訓練を積み重ね、練度を上げていければ」と呼び掛けた。
(2021年6月10日付紙面より)
差別撤廃目指しリーフレット製作 (新宮市 )
新型コロナウイルスは、人から人に感染します。目には見えないウイルスに皆が恐怖し、不安になっています。ほかの人が感染しているかどうかわからないので、不確かな情報に惑わされ、ほかの人を疑い、敵とみなし、差別をして、自分から遠ざけてしまう人がいます。はたして、それは本当に正しいことでしょうか―。
新宮市はこのほど、新型コロナウイルス感染症に関する差別や誹謗(ひぼう)中傷の撤廃を目指し、啓発リーフレット「それ、コロナ差別じゃないですか?~新型コロナウイルスのもう一つの恐怖~」を製作した=写真。製作部数は2000部。リーフレットを製作した市教育委員会生涯学習課人権教育係の下津将幸係長は「小中学校の授業や啓発などで活用してもらえれば」と話している。
「感染したくないのは皆一緒。コロナに関係する差別や誹謗中傷を見聞きすると、それがまかり通ってしまう社会が悲しい。この一年、思うところはたくさんあった」。製作に至った経緯について下津係長はそう説明する。
製作に取り掛かったのは今年に入ってから。多くの人に手に取ってもらい、理解してもらえるよう、デザインや読みやすさにも配慮した。
「自宅に『コロナ出ていけ!』と嫌がらせの電話」「医療従事者や介護従事者の子どもへのいじめ、保育園(所)で預かりを拒否される」「配達員が配達先で『コロナを運ぶな』と除菌スプレーをかけられる」「『あそこで感染者が出た!』という間違ったうわさが拡散し売り上げが減少した」などの事象に関しては、報道や行政発表で示された実例を基にしたという。
また、「本当に全員がマスクを必ず着けないとダメなの?」と語り掛ける項目では「感覚過敏を伴う一部の発達障がいがある方は、マスクの着用が困難です。~略~認知症やうつ病の人においても感覚過敏の症例はありますし、熱中症のリスクもあります」などと説明。「もしかすると着けられない理由があるのかもしれません」と訴え掛ける。
下津係長は「差別をするのも受けるのも人。本来、私たちが闘うべきは新型コロナではないでしょうか」。
リーフレットは浮島・下田・橋本の各児童館に設置されているほか、同課窓口でも配布している。下津係長は「家庭内の大人の発言が子どもに影響を与えることは多い。子どもを持つ保護者の方にも手に取ってほしい」と話している。
(2021年6月10日付紙面より)
太田小で救命法講習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)で7日、救命法講習があった。5、6年生9人と保護者、教職員12人が那智勝浦消防署救急係の新屋勝久さん、町内の消防団員で応急手当普及員の嶋本由佳さんと朝倉敦子さんから、自動体外式除細動器(AED)の取り扱い方法や心肺蘇生法を学んだ。
講習は水泳などを行う時季を迎え、万が一の状況に備えて知識を深めてもらおうと毎年実施。マスク着用や手指消毒、換気など新型コロナウイルス感染症対策を取って行われた。
心臓マッサージとAEDの使用を実演した後、新屋さんは▽胸骨圧迫時に患者の口や鼻にハンカチ、タオルなどをかぶせる▽肘を曲げない▽5~6㌢の深さで、1分間に100回ほど垂直に押す―などの手順を説明。一連の動作を一人ですることは非常に困難と述べ「100回ほどの目安で心臓マッサージを行い、別の人と交代するなど分担することが大切」とアドバイスした。
AEDの取り扱い方法では、参加者が2グループで人形を使用して実践。体がぬれている場合は拭き取った後に装着するなどの注意点に耳を傾けながら、表示や音声に従って訓練に取り組んだ。
築紫菜乃(つくし・なの)さん(6年)は「目安の時間と回数の中で心臓マッサージをすることに改めて大変さを感じた。もしものときには、教わったことを少しでも役立てるようにしていきたいです」。
上地校長は「とても勉強になる時間になりました。学校以外の場所でもいつ、どこでこのような状況に遭遇するか分からない。講習を通じて今後も知識を深め、落ち着いて応急処置や助けを呼ぶなどの行動ができるようになれれば」と話していた。
(2021年6月10日付紙面より)
水害サミットに41市町が参加 (紀宝町 )
甚大な水害を経験した市町村長が防災・減災のあり方を全国に発信する「第16回水害サミット」が8日、全国41市町と国土交通省などをオンライン会議システムでつなぎ開催された。事例発表した紀宝町の西田健町長は、町が取り組む「地区タイムライン」を紹介し「今後も大規模災害に備え、タイムライン防災の充実を図るとともに災害に強い安全・安心なまちづくりに努めます」と伝えた。
意見交換や提言などを行う場として、2005年から始まり、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止を図るためリモートで実施。「流域治水の推進」をテーマに福島市(福島県)、那須烏山市(栃木県)など、「逃げ遅れゼロへの取り組み」に関し紀宝町、大石田町(山形県)、倉敷市(岡山県)などが取り組みを発表した。
西田町長は紀宝町役場から参加し、2011年に発生した紀伊半島大水害の経験から得た教訓、課題を基にタイムライン(事前防災行動計画)を策定したと述べた。
地区タイムラインは15年から取り組みを開始し、現在は浅里、鮒田、大里、高岡、成川の5地区で作成。鮒田地区タイムラインを例に「地区によって必要な情報などはさまざまとなるため、同じタイムラインができることはない。取るべき避難行動、地区の状況などは過去の災害経験を踏まえ、内容を地域や関係機関と共に考える必要がある。『いつ』『誰が』『何をする』を分かりやすくまとめ、鮒田地区では地区住民全員に配布した。それぞれが『自分の命は自分で守る』という防災意識が向上している」と紹介した。
「大災害になればなるほど、地域との連携が必要になり、地域内での自助共助による災害対応が最も効果的な防災対策ともいえる」とし、防災情報共有システム、タブレットによる情報共有、非常用電源整備事業、高台整備事業など町の防災対策を全国に発信した。
(2021年6月10日付紙面より)
県サッカーU―12選手権東牟婁予選
ツアー・オブ・ジャパン2021 (キナンサイクリングチーム )
JCカップ少年少女サッカー東牟婁予選
広島・森浦投手が用品類寄贈 (新宮市出身 )
新宮市出身でプロ野球広島東洋カープの森浦大輔投手(22)がこのほど、和歌山県軟式野球連盟東牟婁支部学童部や東牟婁地方中学校体育連盟などに野球用品を寄贈した。6日に新宮市佐野のくろしおスタジアムで開かれた「第39回和歌山県学童軟式野球大会(B級)東牟婁大会」では、投球数カウンターが初めて使用された。
森浦投手は昨年10月のドラフト会議で広島から2位指名を受け入団。開幕1軍をつかみ取ってチームの勝利に貢献しており、5日現在で16試合に登板し2勝1敗5ホールド、防御率2・77の成績を残している。
寄贈は野球と出会い、指導や支えてくれた人たちへの感謝の気持ちや熊野地方の野球人口減少に伴い、少しでも活性化につながってほしいとの思いから実現した。
学童部への投球数カウンターの他、体育連盟に加盟している新宮・東牟婁の各中学校と、当地域で活動する中学生軟式野球チーム「新宮黒潮ベースボールクラブ」にそれぞれボール10ダースを贈った。
学童部の池田富保理事長は「投球数カウンターを目にし、子どもたちが学童野球の先輩である森浦投手に憧れ、プロ野球選手になりたいという大きな夢を持ちながら練習に励んでほしい。本年度から投球制限が導入されたので、毎試合大切に使用し有効に活用させていただきます」と感謝していた。
森浦投手が緑丘中学校野球部時代に監督として指導していた松岡義也教諭(那智中)は「年々、野球に取り組む子どもたちが減少する中、地元を思う気持ちにうれしく思う。これからも、けがや体調に気を付けてほしい。ずっと見守っています」。新宮黒潮の中本勝久監督は「中学校の軟式野球出身として活躍し、私共のチームにとってもプロ野球選手への希望が膨らみ、大きな励みとなっている」と話し、今後の活躍にも期待した。
(2021年6月8日付紙面より)
企画展「近大養殖の世界」 (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館(森美枝館長)で5日、企画展「近大(=近畿大学)養殖の世界」が始まった。期間は9月30日(木)まで。近大の養殖研究の全体像を示す初の機会で、パネル資料と代表的な養殖魚種の実個体を見ることができる。
同館から同大学水産養殖種苗センター(岡田貴彦センター長)への誘い掛けがきっかけになり実現した機会。同館は今年2月からCゾーン(=トンネル水槽)で同センター供給による完全養殖クロマグロの水槽飼育を試みていて、その延長で県の沿岸や内陸などで近大が取り組む養殖研究を一挙紹介するこの企画展を開くに至ったという。
パネル資料は館内Bゾーンに集中展示。16年養成クロマグロの剥製(体長220㌢)や2種類の映像資料上映、同館におけるクロマグロ展示の経緯紹介パネルも含め約20点を飾っている。個体展示はそのルート前後にある水槽を使って実施していて、初日は完全養殖クロマグロ(トンネル水槽で飼育)、シベリアチョウザメ、キンダイ、クエタマ(以上ドーム水槽で飼育)を公開。ブリヒラ、マダイ、シマアジといった魚種も追加予定で、生き物を扱うので期間中に計6種類がそろわないこともある点はあらかじめ了承してほしいという。
両者の技術を重ねて取り組む完全養殖クロマグロの水槽飼育は難しく、泳ぐ様子を観察できるのは近畿地方で同館のみだそう。展示しているのは昨年7月に串本町大島で生まれた個体(体長約40㌢、体重約2㌔)で、初日は3匹が群れて泳ぐ様子を観察できた。
企画展の実施について岡田センター長は「地味ではあるが養殖魚を展示し、一般に広く認識していただく機会を頂きありがたく思う」と語り、天然魚の方がおいしいという信仰を払拭(ふっしょく)し安心して養殖魚を食べるきっかけになることを今後に期待。
森館長は「養殖魚の本当の姿を見て興味を持ってもらうことが一番の目的。串本海中公園は串本の海だけでなく地域の文化や企業、個人の取り組みを伝えることも使命だと思っている。今回も多くの皆さんにこの業績を知っていただけたら」と語った。
この企画展は館内実施で、鑑賞時は入館料(大人1人1800円など)が必要となる。問い合わせは串本海中公園センター(電話0735・62・1122)まで。
(2021年6月8日付紙面より)
7月末の接種完了に向け (新宮市 )
新宮市役所別館で5、6の両日、高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの集団接種があった。5日は71歳以上、6日は70歳以上の計約1000人が1回目の接種を済ませた。20日(日)には佐野体育館で64歳以上の498人に対し接種が行われる予定。
4月25日から始まった高齢者を対象としたワクチン接種。市ではこれまで、対象人数約1万800人の中から接種を希望する1939人(5月31日現在)に少なくとも1回目の接種を実施してきた。
各医療機関での個別接種の開始も後押しし、市が目標とする7月末の完了に向けて接種が進められる中、市では集団接種会場をさらに追加。市役所別館にて1回目の接種日を7月4日(日)、定員を420人とし、今月14日(月)から予約を開始する。市によると、高齢者に限定した集団接種はこれで最後になる予定。
また、市では「誰でも接種が受けられる医療機関」中の、「すずきこどもクリニック」「くさち耳鼻咽喉科」の2医療機関について、7日から市でも予約を受け付けると発表した。予約はコールセンター(電話0120・89・5070、FAX0120・79・5070/平日午前9時~午後5時)もしくは市新型コロナワクチン接種推進室(電話0735・22・5070、FAX0735・22・5080/平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
(2021年6月8日付紙面より)
市野々地区の防災訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は6日、令和3年度「市野々区土砂災害防災訓練」を町立市野々小学校体育館で実施した。同区の自主防災組織20人、和歌山県2人、町17人、町消防5人、町消防団第4分団21人、新宮警察署3人の68人が参加。各団体が連携しながらさまざまな訓練に取り組んだ。
2011年の紀伊半島大水害の被害を教訓に、市野々地区単独で14年に訓練を開始。本格的な雨期を前に土砂災害の危険を再確認し、迅速な避難行動とその支援、防災情報の伝達が確実に実行できるように実施している。
その後に井関、八反田地区が訓練に加わったが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から今回は不参加となった。
避難訓練は24時間で200㍉以上の降雨が予想された状況を想定。午前9時に「警戒レベル3」の「高齢者等避難」の放送を流した。体育館には22世帯24人(うち要援護者5人)が避難。
大雨が降った際の土壌雨量指数と60分間積算雨量の二つをグラフ化する「スネークライン図」の基準超過により、9時30分には「警戒レベル4」の「避難指示」を発令した。
町消防署、消防団が車両で地区内をパトロールし、自主防災組織のメンバーなどが避難困難者(要援護者)を支援するなどした。
避難した住民や班に分かれた自主防災組織らは▽コロナ対策を取り入れた自動体外式除細動器(AED)使用訓練▽昨年度予算で導入したスポットエアコンの操作方法講習▽段ボールパーティション、避難所用テントなどの設置体験―などに取り組んだ。
同区区長で自主防災組織会長の長雄正紘さんは「組織名簿は回覧で区民に周知している。サポートするわれわれや、避難する区民の皆さまにとっても訓練は良い機会。円滑な避難のためには各自ができることをやらなくてはいけない」。
町防災対策室の増田晋室長は「出水期や台風の多い時季が近づいてきた。宿泊施設への避難などの選択肢も含め、今回の訓練を生かして早期の避難を心掛けてほしい」と語った。
堀順一郎町長は「紀伊半島大水害から10年の年となるが、当時を知る職員も少なくなっているのが事実。今日の訓練が当時の記憶を風化させず、防災に対して改めて関心を持ってもらうきっかけになればありがたい」と語った。
同区在住の瀬藤寿文さん(86)は「災害は避難を促すために知らせることや知ることが大事になると思う。訓練は本当に勉強になった」と話していた。
(2021年6月8日付紙面より)