高校生地球環境論文賞
中央大学が主催、高校生新聞社が共催する「第18回高校生地球環境論文賞」で、近畿大学附属新宮高校3年の中地智里さんが最高位である最優秀賞を受賞し、21日に同校会議室で表彰式が行われた。
論文賞は同大学が環境改善への基本的認識を共有できる次世代の育成などを目的に実施。地球環境問題全般をテーマに今回は全国から841通の応募があった。
論文賞の存在を知った中地さんは個人で応募し受賞を果たした。表彰式には審査委員で同大学商学部教授の清水克洋さんらも駆け付けた。清水さんは田中廣滋委員長の講評を代読し、「多くの論文を読みましたが、中でも中地さんが素晴らしかった。よく勉強されている」と功績をたたえ、表彰状などを贈った。
中地さんは幼い頃にラッコを見て興味を持ち、それがきっかけで研究を開始。今回は3カ月間、実験を重ねて論文を作成した。受賞については「疑問は実験を通して明らかにできた。12年間続けてきた研究が表彰されてうれしく思う」と笑顔で語った。
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■論文の内容
題名は「ラッコの生息地における赤潮の影響評価」。生息数の少ないカリフォルニアラッコに焦点を当て、近年、生息地周辺で発生する赤潮が原因で生息域に大きな影響を及ぼしていると説明。赤潮の影響で海洋性毒素の濃度が上昇し、それらを摂取した貝を食べるラッコに毒素が蓄積され、異常を来すという。結果、異常な動きをするラッコに反応したサメなどに捕食されてしまい、生息数が減少する事例も紹介している。
少ない生物量でも生態系に大きな影響を与える「キーストーン種」であるラッコは多くの生物をつなぐ生態系の要であり、その保全が海洋生物の多様化を実現させると説く。また、赤潮の発生を抑え、ラッコを守るために取り組んだ実験と結果も詳細に解説されている。
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■将来について
卒業後は理系大学に進み、ラッコを中心とする海洋生物の研究者になることを目指す中地さんは「将来は海洋環境悪化の原因やその状況を改善するために研究していきたい」と抱負を述べた。
中地さんのクラスの担任を務める千手久味教諭は「研究が報われてよかった。素晴らしい論文だった」と語った。
中地さんを含む受賞者の論文は同大学ホームページに掲載されている。
(2018年12月23日付紙面より)
那智勝浦町苺生産組合(桒野稔近組合長、組合員9戸)はクリスマス需要期出荷に向け21日、同町南大居のJAみくまの太田営農センター(野生計センター長)でイチゴの目慣らし会を開いた。
目慣らし会は、ケース詰め基準の統一と等級の確認を目的にイチゴの出荷が本格化し始める時季に開催している。JAみくまので販売される県独自の品種「まりひめ」は東牟婁地方を代表する特産品で、那智勝浦町の太田地区が主要産地となっている。
この日はイチゴ生産農家、みくまの農業協同組合、新宮公設市場、東牟婁振興局の職員らが参加し、イチゴの品質やケースごとの量などについて意見を出し合った。公設市場の職員は「まりひめは、他のイチゴの基準になるくらい品質の良さに定評があります」と話した。
まりひめは例年11月下旬から翌年の5月ごろにかけて出荷されるが、台風20号、24号の影響によるハウスの倒壊や畑への浸水などの被害から出足が遅れ、この日の出荷量も昨年の7割ほどとなったが、品質は上々だという。桒野組合長は「どうにかクリスマスに間に合いました。シーズン出だしは不安もありますが、消費者の皆さんの声を励みに、より高品質な生産を目指します」と力を込めた。
まりひめは熟した頃合いを見て摘果しており、地域でしか販売されないため、公設市場を通して近隣のスーパーなどで販売している。昨シーズンは約1万ケースを出荷した。
(2018年12月23日付紙面より)
御創建二千五十年終了奉告祭 (熊野本宮大社 )
田辺市本宮町の熊野本宮大社で21日、御創建二千五十年奉祝式年大祭の締めくくりとなる終了奉告祭が執り行われた。本殿前で九鬼家隆宮司が男舞を奉奏し、一文字揮毫(きごう)では大筆で力強く「刻」と書いた。
熊野本宮大社が旧社地大斎原へ鎮座して以来、今年で2050年を迎えた。これを記念し、1月1日から歌唱奉納、講大社祭・献詠披講式、奥三河の花祭熊野公演など奉納イベントや記念行事が催されてきた。
奉告祭には約150人が参列。九鬼宮司が、四方を榊(さかき)の風によってはらい清め、太陽を迎える神楽「熊野」を奉奏し、地元の小学生が歌を奉納した。
一文字揮毫は新年への願いを込め九鬼宮司が書き始め10年目。大社本殿前に敷かれた縦横2・9㍍の白い布に、長さ1・3㍍の大筆で一気に書き上げると、見守った参列者らから拍手が湧き起こった。年内は社務所前に掲げる。
最後に朱印を押して書を仕上げた九鬼宮司は「毎年試行錯誤をするが、今年は時を刻む『刻』。明年(みょうねん)は元号も変わり、新しく時を刻んでいく。2050年も長きにわたり多くの先人が時を刻んできて今日がある。しっかりと船出を刻み、それぞれ一日一日大事な時を刻み、平穏で素晴らしい一年を迎えてほしい。刻の左はえとの『亥(い)』。来年は亥年で、刻む年になる」と話した。
(2018年12月23日付紙面より)
※ 九鬼家隆宮司の「鬼」は、「鬼」の1画目を取った字
仙人風呂がオープン (川湯温泉 )
田辺市本宮町の川湯温泉街を流れる大塔川の河原で22日、露天風呂「仙人風呂」がオープンした。地元園児たちが一番風呂を楽しみ、大自然の恵みを満喫した。入浴は無料で、利用時間は午前6時30分から午後10時まで。設置期間は来年2月末まで。
例年12月1日から始まるが、今年は相次ぐ台風被害で開催も危ぶまれる中、仙人風呂実行委員会(小淵誠委員長)が台風被害からの復興シンボルとして開設することを決めた。
冬の風物詩になっている仙人風呂は1985年から毎年設置されている。今年は例年より規模を縮小し、熊野川の支流大塔川の一部をせき止めて横幅約28㍍、奥行き約12㍍、深さ約60㌢の浴場を造成。川底から湧き出る温泉は約73度で、川の水を引き入れて40度前後に調整している。名前は、川湯温泉が昔、仙人のお告げで発見されたという言い伝えがあることと、千人が入れるぐらいの大きさがあることに由来している。
アルカリ性単純温泉で、神経痛や筋肉痛に効果がある。約80台分の無料駐車場や男女別の簡易更衣室を設置。シャンプーやせっけんの使用は不可で、水着やタオルなどを着用して入浴する。
今シーズンの安全と温泉街の繁栄を願う開湯式では、祐川寺の丹羽達宗住職による読経の後、小淵委員長ら関係者が湯にお神酒を注いだ。
たんぽぽ保育園とひまわり保育園の園児ら16人が一番風呂に入り、「温かくて気持ちいい」となどと喜んでいた。
利用者数は2006年度が最も多く10万4000人。昨年度は6万5000人だった。小淵委員長は「今回の台風では川湯温泉の全ての宿泊施設が浸水し、大きな被害を受けた。そんな中での仙人風呂の開催は非常に難しかった。まだ傷跡が残っており本来の姿ではないが、復興のシンボルとして開催します」とあいさつ。来賓の真砂充敏市長は「多くの皆さんのお力添えで復興のシンボルとして開催することができた。よみがえりの地として、元気になった川湯温泉を多くの人に見ていただきたい」とさらなる協力を呼び掛けた。
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■湯けむり灯籠も
期間中、毎週土曜日午後8時~10時に「仙人風呂湯けむり灯籠」を実施する。周囲を灯籠で囲い幻想的な雰囲気を醸し出す。雨天中止。
(2018年12月23日付紙面より)
那智大社で迎春準備 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の世界遺産、熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、宝物殿に掲げたえとの大絵馬が「戌(いぬ)」から来年の「亥(い)」に掛け替えられた。
大絵馬は縦約3㍍、横約4㍍。男成宮司(65)が構図を考え、2週間かけて仕上げた。勢いよく走るイノシシと那智の滝、日の出が描かれている。大絵馬の前では記念撮影をする参拝客らが見られた。
男成宮司は、自然災害が多かった今年を振り返り被災者に思いを寄せ、「来年は御代(みよ)替わりの年。残り4カ月と思うと感慨深くありますが、勢いよく突き進むイノシシの力を頂いて、さまざまな目的が達成されますように」と話した。
那智の滝前の別宮・飛瀧(ひろう)神社では中絵馬(縦約1・2㍍、横約1・8㍍)が掛け替えられ、旅客の道中安全を願って作った小絵馬2枚(いずれも縦約0・9㍍、横約1・2㍍)はJR紀伊勝浦駅と新宮駅に贈られた。
(2018年12月18日付紙面より)
「減災カフェ」で実用減災学 (新宮市 )
お茶を飲みながら減災の知識を学ぶ「減災カフェ」が15日、新宮市仲之町商店街の「喫茶ロッコ」であった。同カフェ主宰の上野山巳喜彦さんが「『追い込まれ型避難』から『先読み型避難』へ」をテーマに話した。
同カフェは災害の被害を軽減するために「過去に学び、現在を点検し、未来に備える」をモットーに、被害軽減に実際に役立つ知識である「実用減災学」の共有を目的に開いている。
上野山さんは、『熊野年代記』によると新宮市は1600年代には激しい風雨や洪水で度々浸水被害に見舞われたと解説。1800年代にも洪水で町々を舟で通行したという記録が残っているとした。上野山さんは過去の記録から「熊野川は度々大洪水を起こす『暴れ川』。その規模は町中を舟で行き来する規模だった」と話した。
1959(昭和34)年に日本に上陸し、甚大な被害を及ぼした伊勢湾台風を契機として61(昭和36)年に「災害対策基本法」が成立。市は激甚災害に指定され、堤防や水門などの治水施設ができたことによって床下浸水被害が激減したと説明。しかし、台風や豪雨など自然災害の強大化により、治水施設の機能を超えた水害発生の恐れが出てきたと述べた。
上野山さんは、被害を最小限に抑えるために▽水平避難か垂直避難か、事前に避難方法を選択しておく▽自宅が浸水すると想定し、生活を再開するための最小限の衣食住に関わる物品を2階などの高い所に移す▽火災保険に自然災害特約を付帯し、被災した家を修繕や再築などするための資金を確保する―の三つの対策を提案。先読み型避難の重要性を説いた。
水平避難か垂直避難かの選択について「合理的な判断のためのめどが必要。2015(平成27)年の水防法改正に基づき国が示した『最大想定の浸水区域図』は現実味があり有効な判断材料になる」。各避難方法の留意点を「水平避難は体がぬれることによって体温低下を起こす可能性がある。垂直避難においては、屋根に逃れたとして、救援を待つ覚悟を持つ必要がある」とした。
上野山さんは「自分の安全を確保することは、他の人を救済する力を温存することにつながる、最も確実な社会貢献。先読み型避難で、どんな状況になろうと生活再建の希望が持てる態勢をつくって」と講演を締めくくった。
次回の「減災カフェ」は来年2月16日(土)を予定している。
(2018年12月18日付紙面より)
潮岬で合同津波避難訓練 (串本町 )
串本町潮岬で14日、同町立潮岬中学校(堀靖典校長、生徒54人)と同町立潮岬幼稚園(南君子園長、園児26人)、同町立潮岬小学校(山本隆介校長、児童163人)の合同津波避難訓練があった。園児児童生徒と教職員は午後1時30分に大きな地震が発生した想定で津波緊急避難行動を実践。その後は体験学習にも取り組んで、日頃の防災意識を高めるなどした。
この訓練は、『津波の影響を受けない高台に暮らしていることで薄れがちな津波緊急避難の意識をしっかりと身に付けてほしい』と願う潮岬区自主防災会(増本昌弘会長)が3校園に働き掛ける形で年2回実施。今回は6月18日に続いて2回目となる。
最寄りの高台として潮岬測候所跡地を設定し、同防災会役員や串本警察署署員が同訓練中の交通安全を確保。園児児童生徒らは訓練開始の合図を受けて地震発生時の行動をこなし、指示を受けて津波緊急避難行動を実践した。園児児童はクラス単位で防災頭巾をかぶって移動し、生徒は全速力で率先避難を目指した。
潮岬幼は保護者も同訓練に加わり、全体で約280人が同行動を実践した。その様子を見届けた串本警察署の本下泰孝警備課長は「災害から逃げるためにこういった訓練は大切。何をしなければならないか、どこへ逃げなければならないかを考え、後で家族と何をしておかなければならないかも話してほしい」と講評。山本校長は津波の心配がまずない潮岬にずっといるわけではないことを振り返らせ▽大きな地震があったらすぐに近くの高台に逃げる▽大丈夫ではなく念のためという気持ちで臨む▽誰かではなく自分で助かることを考える―といったことを呼び掛け、生徒にはまず自分を助けて余裕があったら周りも助けてほしいと期待を寄せた。
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体験学習の内容は▽地震体験車「ごりょう君」による体験▽串本警察署警備課のドローン撮影見学▽串本町消防本部の消防ポンプ自動車見学と煙体験▽非常食の準備と試食▽紙食器づくり―などで、園児と小学1、6年生、中学1~3年生は校園の垣根を越えた2学年組であらかじめ決められた内容を学んだ。
体験後、役場総務課防災・防犯グループの枠谷徳彦さんが「『地震があったらすぐ避難。全速力で』を心掛けてほしい。その先に今日体験した生活がある。避難中は家族と離れるかもしれないが、自ら行動してみんなで助け合えるよう、これからも訓練を続けてほしい」と全体講評。
堀校長は総括として、今回の体験で「想定外」を感じてもらうためなじみ深いアルファ米以外の非常食(レトルト)を準備したことを報告。「釜石の奇跡」の内容も伝え、ここぞというときに考えて行動することを期待して締めくくった。
(2018年12月18日付紙面より)
ボランティアの高校生らが報告 (新宮JC )
西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町で現地視察とボランティア活動に取り組んだ高校生の活動報告会が16日、新宮市神倉の県立新宮高校であった。新宮青年会議所(新宮JC、平野貴之理事長)の事業の一環。報告会、防災出前講座、関係団体との意見交換の3部制で行われ、約50人が参加した。新宮、新翔両高校の生徒ら11人と会員7人は9月に1泊2日で岡山県を訪れている。
開会で平野理事長は「地域社会を支える皆さまに報告し、共有して今後の防災につなげていければと報告会を開催しました」と趣旨を述べ、各地の災害に触れ、協力を求めた。
2部の報告では生徒たちがボランティアの内容や感想を「被災地はテレビや新聞が伝えているものより悲惨だった」「人の手助けをするうれしさを知った」「今後もボランティアや支援活動を続けたい」「助け合いが素晴らしい力になると思った」「支え合って生きていくものだと感じた」などと発表した。
今後起こりうる災害への備えや、発災時の行動について「活動に参加し、自然の力を知り、向き合わなければと思った。防災意識を強めて訓練を継続し、災害について深く考えたい」「ひとごとと思わず日頃から備えようと思った」「地域との関係づくりが大切だ」「積極的に人命救助をしたい」「命を第一に、自分に何ができるか考えたい」「自分のことができた上で人助けがしたい」などの意見を挙げた。
出席者からの「ボランティアを受け入れる態勢づくりについて意見を聞かせてほしい」などの質問に、生徒らはそれぞれの考えを語った。
1部は市防災対策課による出前講座で、職員は地域の防災力は自助、共助、公助の三つが合わさって初めて高まると述べた。2011年の紀伊半島大水害の写真をスライドに写しながら被害や浸水の状況、市の取り組みを紹介した。「市としても取り組みをしているが大きい災害が発生した際は皆の力が必要になる」と呼び掛けた。
意見交換会では同市と那智勝浦町のロータリークラブ、消防団、新宮ライオンズクラブ、市消防本部などの関係者と高校生、JC会員らが災害に向け準備できることを考え、まとめて発表した。
(2018年12月18日付紙面より)
東牟婁対決となった決勝は那智に軍配 (熊野三山小学生バレーボールフェスタ )
皆さんの応援に対して結果で返す (キナンサイクリングチーム )
丹鶴公民分館が防災訓練 (新宮市 )
新宮市の丹鶴公民分館(髙山孝史分館長)は2日、平成30年度丹鶴地区防災訓練「命を守る練習をしよう!」を開催した。丹鶴体育館では消火器の扱い方や車いす体験、救急救命講座、備蓄品の展示啓発などがあり、大勢の地域住民が防災意識を高めた。
今年で7回目となる取り組みで、地域住民の防災意識を高める目的。市、市消防本部、消防団丹鶴分団、市社会福祉協議会、日赤奉仕団、丹鶴婦人防火クラブ、乳幼児の命を守る会、丹鶴地区連合会が協賛している。
会場では新宮市役所防災対策課による出前講座「地震に対する心構えと準備」があった。参加者らは講演を聞き、人形を使った心肺蘇生法と自動体外式除細動器(AED)の体験、搬送法、車いす体験などに挑戦した。炊き出し練習では豚汁と五目ご飯の試食があり訪れた人たちが味わった。アルミポンチョや非常食など災害時に役立つお土産も配布された。
浦手世志子さん(90)は「災害が起きたらどうするか、年に1度では忘れてしまうこともあるので訓練に感謝します」。
髙山分館長は「町内や地域の人に防災の意義や命を守るための意識を深めてほしいと感じています。経験を積み対処ができるようになれば。町内会長などに来てもらい、それを各町内に持ち帰って指導してもらえればありがたい。毎年結構な人数が来てくれている。さまざまな年齢の人に来てもらいたく、いざというときに自分にできることを頭に入れて行動してほしい」と話していた。
(2018年12月5日付紙面より)
高田交流センターで教養講座 (新宮市 )
新宮市の高田公民分館(竹内伸生分館長)は2日、高田交流センターで教養講座を開いた。地域住民ら30人以上が参加し、NPO法人地域再生ネットワーク鳥獣害対策部の原裕さんが「一から学ぶ獣害対策」を演題に講演した。
原さんは一部の動物のふんや足跡をクイズ形式で紹介した後、シカ、イノシシ、サルの性格や特徴など生態を解説した。里や村に下り、庭に入り込んでくる状況が全国各地で起こっていると説明した。
シカ、イノシシの一般的な対策として「ネットや電気柵、ワイヤーメッシュで畑を守る『防護』、木々を無くし見通しをよくする『環境整備』、増えすぎた動物を捕る『捕獲』をバランスよく行うことが基本」と述べた。サルの対策では▽習性を知る▽居心地を悪くする▽追い払う▽箱わなで捕獲―などを挙げ、長期戦であることを語った。
原さんの地元である那智勝浦町色川では、住民有志らによる色川鳥獣害対策協議会が被害の集中する7~9月に「サル追い払い隊」を立ち上げ活動していると話し「日替わりでサルの動向調査を行い、発見時は花火で追い払って近隣住民の注意喚起とメール配信を実施している」と紹介した。
屋外では実際に設置してある柵やわなを前にしての解説があり、参加者らは原さんに質問するなど知識を深めた。
講演前には市農林水産課の小林徹央さんが市で実施している柵の設置などに対する補助制度についての説明もあった。
参加した中村八十八さんは「皆さん知識はあると思いますが、細かなところが参考になりました」。金子史法さんは「多くの人が集まってくれ、感謝と同時に関心の高さを実感しました。講習を通じて今後の対策への知識を深め、生きがいや楽しみを分かち合えれば」と話していた。
(2018年12月5日付紙面より)
冬の交通安全運動街頭啓発 (串本町 )
わかやま冬の交通安全運動街頭啓発が3日、串本町くじ野川にある橋杭海水浴場駐車場であり、啓発員36人が国道42号を利用するドライバーに運動の趣旨を伝えて理解と実践を求めるなどした。
この運動は、全国規模で展開される春秋の交安運動に加え県警管内で独自に取り入れている。夏と冬の2期があり、今期は12月1日~10日(月)を期間として諸行事が計画されている。
この日の啓発は、交通事故をなくする県民運動推進協議会串本地区連合会(会長・池上敏之東牟婁振興局串本建設部長)が主催。同部と串本警察署、同町役場と同町消防本部、同町交通指導員協議会と県交通安全協会串本支部、交通安全母の会、航空自衛隊第5警戒隊、国土交通省串本国道維持出張所の各職員が啓発員として参加した。
実施に当たり池上会長は、今期の重点項目として▽飲酒運転の根絶▽子どもと高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止▽夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止▽全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底―の4点を挙げ「運動趣旨を十分に伝達し交通安全に大きな成果が得られることを期待したい」とあいさつ。清野武志副町長と串本警察署の中弥泰典署長もあいさつし、中弥署長は信号機がない横断歩道における歩行者優先の徹底をしたい(理念の広報啓発と横断歩行者等妨害等違反の取り締まりを行う)考えを掲げつつ実りのある活動を期した。
同署署員が田辺市方向へ走行する車両を同駐車場に誘導し、停車を求めた上でドライバーにチラシなどの啓発物資を手渡しながら安全運転に努めるよう促した。啓発後は県警交通機動隊の白バイや同署車両の同運動関係活動に向けた出発式も行われた。
(2018年12月5日付紙面より)
PTA連合会で生馬選手が講演 (太地町 )
新宮・東牟婁PTA連合会は1日、太地町公民館で講師にパラ陸上競技で活躍する生馬知季(いこま・ともき)選手(26)を招き教育講演会を開いた。2020年の東京パラリンピック出場を目指す生馬さんが、車いすスポーツから得た「ハンデを強みと捉える強い心」、夢や目標を持つことの大切さを説き、約100人が聴講した。
生馬さんは和歌山県有田市出身。岡山県の株式会社グロップサンセリテ・ワールドアスリートクラブに所属し、日々の練習に取り組んでいる。同クラブは車いす陸上競技選手を雇用・育成し、障害者スポーツを通して、地域社会への貢献を目的としている。
両下肢に先天性の障害があり、腕だけを使って幼少期を過ごしたという生馬さんは、障害を感じることなく楽しく過ごした小学校時代から、一転して引きこもりになってしまった中学校時代に焦点を当てた。きっかけは下校途中に掛けられた「かわいそうに。頑張るんだよ」という一言。「その人の意図が理解できなかった。それまで『かわいそうな自分』を意識したことが無かったのです。他者と自分を比較する考えが生まれ、劣等感が育ちました」と振り返った。
その後、両親の勧めで車いすバスケに出会い「せまい考えから抜け出し、夢中になれた。練習中に『陸上競技向きの体形』と言われ、自分の体を前向きに表現してもらったことが、何よりうれしかった」。この言葉を励みに、陸上競技に転向した生馬さんは、才能が一気に開花。17年世界パラ陸上競技選手権大会ロンドンでは日本代表に選ばれ、日本人として唯一100㍍決勝進出を果たした。
(2018年12月5日付紙面より)
第14回太地町勇魚空手道大会
東牟婁支部学童軟式野球新人大会