年内に市内全域へ (新宮市 )
新宮市と新宮郵便局は現在、QRコードおよび海抜表示付き郵便ポストの更新作業を実施している。28日には同市伊佐田町の新宮郵便局前ポストで竹田和之・防災対策課長と間嶋義則・新宮郵便局長がQRコードシートを貼り替えた。年内をめどに市内99カ所の全ポストへの更新作業を行っていく。
郵便ポストへのQRコード貼付は、昨年3月から共同実施している「災害・観光・郵便局のPR」を兼ねた取り組み。
このたびの貼り替えは防災情報を最新版である「Web(ウェブ)版新宮市ハザードマップ」にリンクするためのQRコード更新に伴うもの。更新前は市内避難所・避難場所の一覧表示だったが、貼り替え後は位置情報を利用し、現在地の危険性を瞬時に確認することができる。
郵便ポストにQRコードと海抜情報を貼付することで市民はもちろん、土地に不慣れな観光客もいざというときはスマートフォンなどでQRコードを読み込むことによってハザードマップに接続が可能。ポストの位置から現在地の津波の浸水深、最寄りの避難場所などを確認することができる(位置情報を取得するためにはブラウザの位置情報をオンにしておく必要がある)。
間嶋新宮郵便局長は「新型コロナウイルスが終息したら多くの観光客が新宮市を訪れると思う。歩いて観光する人も多く、その際は防災・観光情報などの取得に活用いただければ」と話している。
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■Web版新宮市ハザードマップ
新宮市では、昨年5月から「Web版新宮市ハザードマップ」のサービスを開始している。洪水浸水想定区域や浸水被害実績、津波浸水想定区域、土砂災害警戒区域、避難所の位置などを選択して確認できるほか、洪水時や津波時の「逃げどき判定」ができる機能も備えられている。
多言語(日本語、英語、中国語、韓国語)にも対応。パソコンやスマートフォン、タブレット端末で閲覧ができる。市では「Web版新宮市ハザードマップを事前にお使いいただき、避難の際に役立てて」と活用を呼び掛けている。
(2021年9月30日付紙面より)
「社会奉仕の日」に合わせて (紀宝町 )
全国老人クラブ連合会が定めた全国一斉「社会奉仕の日」の取り組みとして、紀宝町鵜殿の老人クラブ「讃寿会(さんじゅかい)」(牧戸光彦会長)は28日、同地区の中曽公園で清掃活動を実施した。
社会奉仕の日(9月20日)は、地域社会に対する感謝と地域の担い手としての活力を示すことが目的。「きれいな地球を子どもたちへ」をスローガンに、全国各地で「花のあるまち、ゴミのないまち」を目指した美化活動、環境活動が展開されている。
同会では30年ほど前から「社会奉仕の日」と3月、7月の年3回、ボランティアで清掃に取り組んでいる。
今回は約30人が参加し、午前7時から作業を進めた。草刈り機で公園内の雑草を刈り取り、雑草を集めてビニール袋に回収するなどして約2時間で清掃を終えた。
牧戸会長は「前日から作業してくれた有志会員や参加してくれた会員のおかげでスムーズに作業を終えることができた」と話していた。
(2021年9月30日付紙面より)
すさみ串本道路田並中ノ谷地区進入路工事を請け負う木下建設株式会社が27日、串本町立串本西中学校(平原良一校長、生徒29人)を招いて現場見学会を開いた。
同社が住民に身近な工事を知ってほしいという思いで現場最寄りの同校に提案し、同校は校外の職場に触れキャリア教育を進める良い機会として招待を希望。双方、時節柄の新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じた上で現場見学会実施へとこぎ着けた。
先んじて25日に同町の12~15歳対象新型コロナワクチン集団接種〈2回目〉があった影響で参加できた生徒は18人。スクールバスで国道42号沿いの出入り口から作業用道路経由で同社田並中ノ谷作業所(得能晃所長)を訪ね、得能所長ら社員の歓迎を受けて現場見学会に臨んだ。
得能所長による現場や見学の概要説明を経て、序盤は国土交通省紀南河川国道事務所の田中富博建設監督官がすさみ串本道路の概要を紹介。中盤は同社が準備した▽ICT建機操縦▽調査用ドローン操縦▽鉄筋組み―の各体験提供で、生徒は学年別に分かれローテーションして一通り挑戦した。終盤は工事中に心掛けていることややりがい、すさみ串本道路事業の全体像や予算規模など同校が事前に寄せた質問事項に答えて生徒の理解を後押しした。
一連の体験を経て河田栞奈さん(3年)は「ドローンで遠くまで見渡せるのが楽しかった。来る途中でいろいろな現場を見てきたけれど、難しい作業も多そうで大変だろうなと感じた。そのような仕事に頑張ってくれている皆さんと接してとてもかっこいいと思った」と印象をコメント。得能所長は「まずは学校に身近な所でしている工事や働く人々に関心を持ってもらえれば」と生徒の今後を期待し、平原校長は「校内では伝えることしかできない校外の職場をじかに見させていただけたことは、生徒の将来に対する視野を広め目標にバリエーションをもたらす。生徒の目指す将来はそれぞれなので土木分野に就くかどうかは別として、頂いた経験は今後の進路選択の中で必ず生きてくると思う」と同社の招待に感謝しつつ生徒の体験を後押ししていた。
(2021年9月30日付紙面より)
新クリーンセンター建設地 (那智勝浦町 )
那智勝浦町二河に建設される新クリーンセンターの敷地造成工事がこのほど、終了した。当初は今年5月に終了予定だったが、資材調達などに時間を要したため約3カ月の延長となっていた。令和7年度の稼働開始に向け、一歩進んだ形となった。
同町によると、工事では排水溝を設置し、谷を埋め立てて平地を造成。敷地面積は約8800平方㍍で、本年度中に工事業者の入札を実施するという。
施設本体工事は業者選定後、来年12月ごろから開始する予定。6年度(7年3月)中に工事を終え、7年度の稼働を目指すとしている。
担当職員は、新クリーンセンターは将来の人口減少やごみ量も予測して建設するとし、「1日当たりのごみ処理量は旧クリーンセンターが約50㌧だったが、新クリーンセンターは約23㌧の能力となる。人口に合わせて施設の規模も小さくなる」と話していた。
(2021年9月30日付紙面より)
海亀を守る会がウミガメ放流 (新宮市王子ヶ浜 )
ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」(榎本晴光会長、環境ファースト連合会員)の会員4人は26日、新宮市の王子ヶ浜で14匹のアカウミガメを放流した。榎本会長は「今年は想像通りふ化率が低かったが少しでもふ化してくれて良かった」と総括した。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同会は、波浪流失や小動物の捕食被害からアカウミガメの卵を守るための保護活動を行っている。卵は海岸に隣接するふ化場に移し、ふ化した子ガメは秋ごろ、同会や関係者、近隣住民らの手によって海に戻される。
アカウミガメの上陸・産卵シーズンは5月中旬から8月半ばごろまで。1回の産卵で平均110~120個の卵を産み、60~80日でふ化する。
同浜では、例年より早めとなった5月20日に今期初上陸および産卵が確認。会員らは同浜の大規模清掃活動などを通してウミガメの上陸に備えたが、初上陸以降、上陸はあったものの産卵は確認されなかった。
初産卵で発見された卵は98個。うち、15匹がふ化したが1匹が死んだ。榎本会長によると、早い時期に産卵が見られた場合、砂の温度が低いなどの理由からふ化率は低いという。さらに、今年は産卵からふ化までに約90日を要した。
会員らは、7㌢ほどに成長したウミガメを波打ち際で放流。榎本会長は「今年は天候不順などが影響して上陸も産卵も少なかった。来年に期待したい」と思いを語った。
(2021年9月28日付紙面より)
中村朱美さんが講演 (新宮市 )
新宮市井の沢の新宮商工会議所で25日、同会議所が主催する繁盛店づくり推進事業「逆境に負けない強い中小企業の在り方―withコロナafterコロナの時代に向けて―」があり、㈱minitts代表取締役の中村朱美さんが講話した。
中村さんは京都府亀岡市生まれ。専門学校の職員として勤務後、飲食事業や不動産事業を行う同社を設立。「1日100食」をコンセプトにおいしいものを手軽な値段で食べられる「佰食屋(ひゃくしょくや)」を行列のできる人気店へと成長させた。利用客や従業員、そして環境にも優しい経営の実現により、第32回人間力大賞農林水産大臣奨励賞、ForbesJAPANウーマンオブザイヤー2019大賞などを受賞している。
100食という「制約」におけるメリットについて、中村さんは「毎日同じ量を出すのでどれだけ発注するかを考える必要もない。フードロスにつながり従業員の労働時間削減にもつながる」。地元食材業者の安定供給にも寄与できるとした。「100食限定」が生む希少価値に加えて原価率を上げ、宣伝広告費を削減した分を商品力アップに注いでいく経営術を紹介した。
コロナ後を見越した「真の働き方改革」は「従業員が自己決定権を持つこと」とし、同店では▽出勤・退勤時間、それに伴う基本給を自分で選べる▽上司や自己評価だけではなく同僚や部下、客の口コミなど、関わる全ての人からの評価が反映される360度評価制度―を組み合わせることでモチベーションが維持されていると説明。
有給休暇が自由に管理・取得できることに伴う人手不足対策として、常に人員を多く採用していると述べ「労働力が多いことで毎日80%の実力で労働をこなすことができる」と利点を話した。
新型コロナウイルスが全国的に広がりを見せ始めた昨年、中村さんは緊急事態宣言発出前に2店舗の閉鎖を決意。
そんな逆境のさなか、コロナに対する心理的不安が広がる中において、医療従事者への支援のためのコロナ対策や食中毒対策、店舗の行動指針などを会員制交流サイト(SNS)で発表。
新型コロナの次の波を見据え商品開発を行ったほか、年末年始や卒業シーズンにおける新しいテークアウトの在り方を発信するなどして危機を乗り越えたことに対し、中村さんは「当たり前のことを誰よりも早く、たくさんやることが必要なのでは」と提案した。
中村さんは、2店舗の閉鎖を決定した際、閉鎖店舗から出た計4㌧のごみを夫婦2人で処理した経験から「人を救うのは筋力」「経験が災害対応につながるのでは」と思い立って企画した、防災と筋力を掛け合わせた新事業「防災筋力」を紹介。
経営のためには「会社」「働く人」「客」「仕入れ先」「環境」の一つも欠けてはいけないとし「AI(人工知能)、テクノロジーは愛を込めることはできない。事業に愛を込めるのが大事」と呼び掛けた。
(2021年9月28日付紙面より)
旧役場本庁舎内で実動訓練 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)の串本消防署(井本茂署長)が17日と24日、旧役場本庁舎を用いて実動訓練に取り組んだ。24日は第2警防班が資器材使用訓練を実施。日頃培っている技術を運用して救助の支障を乗り越える流れを実際の施設を用いて経験した。
同本庁舎は8日から解体工事の工期に入り、10月から作業が本格化する予定。現状、内部で実動に近い想定訓練が実施可能だと判断し、17日に第1、24日に第2の各警防班がそれぞれに立てた訓練計画に基づいて臨んだ。
第2警防班は倒壊建造物を想定し、エンジンカッターやドリルなどを用いて救助ルートを妨げる支障を取り除く手順を実践。当日は11人組で行動し、鉄扉や防火扉をエンジンカッターで切り開き鉄筋コンクリート製の壁をドリルで貫通するといった課題に対しどのような手法をとるべきかの判断も含めて実践した。資器材については時間をかけ全員が順番で取り扱い、個々に習熟に努めた。
井本署長によると、第1警防班は火災を想定し、火勢が増し施設内から退避できなくなった職員を救出する手順を実践したという。職員は日頃の訓練で資器材の取り扱いなど技術の習熟に努めているが、実運用については現場同等の環境を準備する手間があり、現場自体が熟練するほど頻発しないこともあって習熟が難しい状況にある。今回は延焼や倒壊こそしていないものの、実現場に近い環境で身に付けた技術の運用に臨める絶好の機会となった。
同訓練の様子を見守った井本署長は「実際の施設を用いたことで、例えば防火扉には心材が入っているなど今まで気付かなかった状況の発見もあった。(同本部は近年)若手の職員が増え平均年齢も若返っているが、同時に技術の習熟が求められる状況ともなっている。今回の経験を技術の一層の向上につなげることを職員の今後に期待したい」などコメントした。
(2021年9月28日付紙面より)
幼稚園や保育所などでシーズン始まる (新宮市・那智勝浦町 )
新宮市と那智勝浦町の幼稚園、保育園、保育所、こども園で運動会シーズンを迎えた。
同市三輪崎の保育所型認定こども園「白梅保育園」(鈴木晴貴園長、園児43人)は26日、同市佐野のくろしおスタジアム屋内練習場で「第41回うんどうかい」を開催。園児たちはかけっこやダンスなど、さまざまな競技に元気いっぱい取り組んだ。
運動会は「今日もげんき!」の体操でスタート。保護者や職員が見守る中、園児はかけっこやリレー、玉入れなど、全12種目に臨んだ。
後半には3、4、5歳児が日頃の練習で取り組んで来た迫力ある「白梅太鼓2021『Make you happy』」を披露。会場から大きな拍手が送られた。
鈴木園長は「子どもたちの一生懸命ながらも楽しそうな姿が見られました。コロナ禍で制限せざるを得ない行事もあるかもしれないが、明るく元気で健康な園生活を過ごしてもらえれば」と話していた。
(2021年9月28日付紙面より)
紀伊風土記の丘で特別展 (三輪崎小 )
和歌山市の県立紀伊風土記の丘で開館50周年を記念した令和3年度秋期特別展「海に挑み、海をひらく―きのくに七千年の文化交流史―」が10月2日(土)から12月5日(日)まで開催される。新宮市立三輪崎小学校でこのほど、展示品として同校所蔵のモリを貸し出し提供すべく、梱包(こんぽう)作業が行われた。
同展は紀伊半島の沿岸に暮らした先人たちや海の歴史を考古学と民俗学の観点から紹介することがテーマ。和歌山県発祥の漁業にもスポットを当て、改良を重ねた技術が全国各地に伝わったことや、新宮・東牟婁含む県内各地の漁具や資料などが展示される。
同校のモリ2本は寄贈されたもので、捕鯨を行っていた三輪崎組の紋「三つの輪」が刻まれている。このモリに加え、クジラのひげや疑似餌などが貸し出しされる。
三輪崎区や三輪崎郷土芸能保存会、三輪崎漁業協同組合も協力。「鯨踊りの衣装」や「捕鯨に関する写真」「一本釣りに使用した竹の釣り竿」なども展示されるという。
紀伊風土記の丘の主査学芸員・蘇理(そり)剛志さんは「県内では江戸時代から明治半ばまで捕鯨をやってきたのが、太地や古座、三輪崎。紆余(うよ)曲折を経て、約300年にわたり、行ってきた文化が残っている。三輪崎の捕鯨はなくなったが、鯨踊りなど、さまざまな形で伝統が引き継がれ、地域の誇りになっている」。
モリについては「古式捕鯨時代のもの。形も古く、数も残っていない。古くからある三輪崎鍛冶にもつながる。鉄を加工する技術あってこその捕鯨。このモリは重要なものだと思う」と話した。
嶋田雅昭校長は「当校は三輪崎郷土芸能保存会の皆さまから鯨踊りや捕鯨について教えていただいているため、児童も三輪崎の捕鯨文化に触れることができている。価値のあるモリなどを多くの方々に見ていただけるのはうれしい」。
児童に対しては「博物館に展示されるほどの貴重な物が学校にあるということを児童にも伝えたい。県内での修学旅行になるため、行き先の一つとして展示を見に行くことも検討している」と語った。
なお、太地町の鯨舟の模型や鯨絵巻、串本町の河内祭の道具なども展示される予定。
(2021年9月19日付紙面より)
相須地区でいきいきサロン (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町の相須集会所で16日、「ふれあいいきいきサロン」があった。地域住民5人が参加し、防災クイズを交えてコロナ禍の避難について考えた。
サロンは地域のコミュニティーづくりや介護・寝たきり防止、1人暮らしの人への見守りなどを目的に、区と市社会福祉協議会が協力して開いている。新宮市の施設利用再開を受け、手指消毒や参加者全員の検温、マスク着用などの感染対策を取りながら実施した。
この日は市社協熊野川ステーションの大江真季さんが、コロナ禍中に災害が発生して避難所生活を送ることになったときの備えについて講話。「災害時は危険な場所から避難するのが原則だが、食料や水に加えてマスク、アルコール消毒液、体温計などの感染対策用品を持ち出し袋へ入れておくことが大事。9月の防災月間に合わせて市内のスーパーマーケットに防災用品コーナーができているので、一度見に行ってみて」と呼び掛けた。
「高齢の方や足の悪い人は警戒レベル3の『避難準備・高齢者等避難開始』のときにはもう避難しておいてほしい」と言い、改めて早期避難の重要性を伝えた。
住民からは「紀伊半島大水害の時、なかなか救援物資が届かず難儀した」「自分の身は自分で守らなければ」との声があった。
(2021年9月19日付紙面より)
宇久井神社例大祭・宵宮祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井神社(男成洋三宮司)例大祭の宵宮祭が17日夜、本殿であった。例年多くの人でにぎわうが、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため宵宮と本宮の規模を縮小。神職や祭典役員、党家講など関係者ら約20人が参列して厳かに式典が斎行された。
例年の宵宮では、式典後に宇久井青年会と秋葉会による神楽の奉納や宇久井婦人会による踊りが場を盛り上げ、盛大に餅まきが行われているが、昨年、今年は取りやめとなった。
台風接近の影響で雨が降る中、式典が進められた。熊野那智大社から出仕した伊藤士騎禰宜が神事を執り行い、祝詞を奏上。出席者が玉串をささげた。
式典後の神酒拝載では伊藤禰宜が「コロナが終息に向かいまして、活気あふれる宇久井のお祭りが復活することを心よりお祈りしております」と述べ、一同、手にした杯で乾杯した。
祭典委員長の亀井二三男さんは「残念ながら省略した形での宵宮祭となった。昨年は当地域でのコロナの影響は少なかった。来年こそはと思っていたが、感染が広がり今年も縮小する形となった。2年はわれわれにとっては大きな年。祭典関係者の高齢化も進む中、2年間休んで来年は体力的に大丈夫だろうかとの懸念もある」。
来年については「地域の祭りは氏子の方々にとって大切なもの、決断は心苦しかった。今回の祝詞にもコロナ終息の思いを込めていただいた。来年こそは皆さまの豊漁や健康を祈り、盛大にやっていきたい」と意気込みを語った。
(2021年9月19日付紙面より)
4年生が「鵜殿ばやし」を練習 (鵜殿小 )
新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの祭り、イベントが規模縮小や中止を余儀なくされ、紀宝町鵜殿地区で毎年11月22、23日に開催される「うどのまつり」も2年連続の中止が決まった。
秋を彩る「うどのまつり」は、鵜殿ばやしの手踊りが練り歩き、熊野水軍太鼓の演奏、諸手船(もろとぶね)をかたどったダンジリの上でハリハリ踊りを披露するなど、毎年、地区内が祭り一色に包まれる。
鵜殿ばやしは1992年に誕生し、96年に保存会が発足。うどのまつりや紀宝みなとフェスティバルなどで披露し、町村合併以前の旧鵜殿村運動会でも住民総出で踊ったという。
その地域の伝統踊りを子どもたちに継承してもらおうと、町立鵜殿小学校では毎年、運動会で4年生のプログラムに組み込んできた。
昨年は新型コロナの影響もあって運動会で披露する機会がなかったが、今年は10月2日(土)の運動会で2年ぶりに復活する。
本番に向け、4年生35人が保存会のメンバーに踊りを教わりながら練習に励んでいる。15日にはメンバー4人が訪れ、細かい動きを丁寧に指導した。
「沖を眺める」「網をたぐり寄せる」など漁師のしぐさを盛り込んだ男踊り。手を上げる角度や指先の力の入れ方など、難しい動作も多く、児童たちはアドバイスを受けながら覚えていった。今後も本番まで練習を重ねるという。
メンバーの松元美国さんは「現在の保存会メンバーは20人ほど。昨年から鵜殿ばやしを披露する場がなくなり、踊りを知っている子どもも少なくなってきた。鵜殿の伝統を引き継いでもらい、来年、祭りが開催されれば参加してもらいたい」と話していた。
女子児童は「踊りは難しいけど、頑張って運動会までに覚えたい」と笑顔を見せていた。
(2021年9月19日付紙面より)
三輪崎でささやかな打ち上げ花火 (新宮市 )
三輪崎八幡神社氏子総代会(中村武総代会長)は15日夜、区民に笑顔になってもらおうと新宮市三輪崎の孔島付近で花火の打ち上げを実施した。三輪崎漁港には近隣の住民らが訪れ、つかの間の花火大会を楽しんだ。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、昨年に引き続き大幅な規模縮小を余儀なくされた三輪崎八幡神社例大祭。漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭りだ。
元宮を目指して八幡神社を出発し、恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が豪快にぶつかり合いながら町を練り歩く神輿渡御(みこしとぎょ)やその他奉納行事は全て中止に。同日午前に約20人の関係者のみでしめやかに本殿大前ノ儀が営まれた。
花火の打ち上げは新型コロナの終息と区民の健康を祈願し、また区民の笑顔を取り戻したいという思いから企画したもの。色とりどりの約70発の花火が約3分間にわたって夜空を彩る様子に、地域住民らは惜しみない拍手を送った。
中村総代会長は「花火には神輿渡御など、奉納行事の2年連続中止に伴い、『祭りを忘れてほしくない』気持ちと、コロナ禍での一服の清涼剤になってほしいとの願いを込めた」と語り、「近隣地区にも祭りへの思いが浸透し、より活気のあるものにしていけたら」と地区の活性化と来年の盛大な斎行を願った。
(2021年9月17日付紙面より)
いきいきサロン大勝浦区 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の大勝浦漁民集会場で15日、2カ月ぶりに「いきいきサロン大勝浦区」が開かれた。地域住民14人が集い、歌や体操で楽しい時間を過ごした。
いきいきサロンは地域の高齢化や1人暮らしの増加を背景に、引きこもり防止や生きがいづくりを目的としてスタート。同区では2019年に初めて開催され、月1回地域の高齢者が和気あいあいと交流する場となっている。8月は新宮保健所管内の新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止したが、今回は▽マスク着用▽手指消毒▽換気▽検温―の感染対策を取って2カ月ぶりに開いた。
雨の中集会所に集った参加者は、最初にお座敷小唄の替え歌の「ボケない小唄」「ボケます小唄」を歌い、「お酒も旅行もきらいです、歌も踊りも大嫌い、お金とストレスためる人、人の2倍もボケますよ」の歌詞に笑い合った。ラジオ体操1番、2番で体をほぐした後は、3密を避けてカラオケやゲームをした。
参加した70代女性は「普段から顔を合わせている人も多いですが、久しぶりに集まって話すからか、なんだか声が出にくいような気がします。やっぱりみんなで集まるのは楽しいですね」と話していた。
(2021年9月17日付紙面より)
地域リハビリ活動支援事業 (串本町包括支援セ )
串本町地域包括支援センターがリハビリテーション専門職を派遣する介護予防推進事業「地域リハビリテーション活動支援事業」を始めた。対象となる団体の申し出に応える形での実施で、派遣を希望する団体は同センター(電話0735・62・6005)まで連絡してほしいという。
この事業の対象は▽主に町内在住者で構成し活動拠点を町内に置く▽月1回以上の活動をしている▽おおむね65歳以上の高齢者で構成―の3条件を満たす団体。同センターから活動場所へ理学療法士や作業療法士などを派遣し、同町が町民の健康寿命増進を目的として導入した体成分分析装置「InBody」による測定や8項目の体力測定、測定前の問診の結果に基づいて今後の介護予防に適した体操メニューを提案する。
担当する専門職との日程調整が必要となるため、申し込みから派遣まで1カ月ほどの時間がほしいという。派遣は両測定や問診票受け付けで1回(同センター職員も同伴)、測定結果の説明や体操メニューの指導で1回の計2回で両者は1カ月程度の間隔を空けて行う。派遣は一団体につき年1度とし、できるだけ多くの団体を支援できる状況を目指すという。
この事業には並行して同センターには個人の特定に至らない範囲で測定や問診の結果を統計活用し町民の傾向をしっかりと踏まえた介護予防施策を展開したいという思いがあり、全体として町民に実のある支援をしつつデータ収集の協力を得るという縮図になっている。
まずはこの事業を町民に知ってもらうことが必要だとし、その足掛かりとして14日は県立潮岬青少年の家で親睦グラウンド・ゴルフ大会に臨む同町老人クラブ連合会女性部を対象にして1回目の派遣を試行した。71人全員とはいかないができる限り測定や問診の機会を届けて同事業を紹介。その延長で今後の派遣希望も伺うなどした。
この事業の問い合わせは同センターまで。
(2021年9月17日付紙面より)
町内の紀宝熊野道路に計画を (紀宝町 )
紀宝町と同町議会は15日、合同要望活動を実施。西田健町長、町議会の向井健雅議長、山本精一副議長、榎本健治・近畿自動車道紀勢線建設特別委員会委員長が国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所を訪問し、藤山一夫所長に一般国道42号紀宝熊野道路への休憩施設整備を求める要望書を提出した。
14日に開かれた町議会定例会で「津波浸水時にも機能する紀宝熊野道路に、一時避難や道路情報の提供、給油などができる防災機能を併せ持つ休憩施設の整備が強く望まれる」などの議決が採択され、要望に至った。
近畿自動車道紀勢線には、紀北町の「紀北PA」から和歌山県上富田町の「道の駅くちくまの」間の約140㌔にパーキングエリアが整備されておらず、町では防災機能を併せ持つ休憩施設の整備を求めていくこととした。
要望書には「三重県の南玄関に位置する本町に休憩施設が整備されることは、道路利用者の安全性と利便性の向上が図られるだけでなく、県域を越えた連携促進により、近畿自動車道紀勢線の効果を最大限に引き出し、交流人口の拡大、観光・産業の振興、地域経済の活性化に寄与することが大いに期待できるものであります。これらのことからも、今後、道路計画を進めるにあたり、本町内の一般国道42号紀宝熊野道路への休憩施設整備につきまして、格段のご配慮をいただきますようお願い申し上げます」などと整備計画の必要性を盛り込んだ。
(2021年9月17日付紙面より)
旱天が十数日も続くと、田面が亀裂して稲田が白穂になるので人々は皆汲水に忙しく、殆んど寝食を忘れて毎日井戸から水をとつた。この人々の心配無駄な労苦を何とかしたいと翁は深く考へてゐた。(下里町史、原文ママ)
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那智勝浦町下里の下里神社から少し太地町寄りの国道42号の路肩に港又次氏の功績を称した記念碑が建立されている。地元住民によると、元々は国道から太田川寄りに設置されていたが、国道の拡幅に伴い、現在の位置に移設されたという。
下里町史には、江戸時代後期の下里村は農業を本業としていたとある。しかし、農地に外部から人工的に水を供給する灌漑(かんがい)の設備が完全でなかったという。享保6、7年ごろに上太田村南大居大谷口から給排水を目的として造られた小規模な水路の溝渠(こうきょ)を通じて開墾したが、地の高低勾配がうまくできず、廃渠となった。
冒頭のような状況となり、港氏は市屋村にある与根河池の水を下里村にも引けないかと考え、市屋村に協力を請う。藩の役所へ嘆願・陳情を幾十回も重ねたが、堤防の決壊の恐れから、許可は下りなかった。
その後も信念を曲げずに嘆願と陳情を重ね続けた港氏。費やした年月は17年にも及んだ。そうして、安政3年に藩の聴許を得て、工事に着手。その翌年に堤池修築となり、新池を造って溝渠も通じ、水が通じた。下里町史には「全村歓喜湧くやうであつた。そして皆流れる水を拝んだといふ。(原文ママ)」と記されている。
この後、功績が認められて紀伊新宮の水野土佐守から金百疋と米六石を贈られたと町史には記されている。明治17年、港氏は病で没した。その19年後にその遺徳を表彰しようと記念碑が建立された。
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毎年6月ごろ、記念碑の周辺には美しいアジサイが咲く。その花は登校中の学生や住民、自動車を走らせるドライバーの目を楽しませていた。
地元住民らによると、紀伊半島を一周する幹線道路計画の一つ「一般国道42号串本太地道路」の延伸に伴い、将来的には拡幅工事などが実施される可能性もあるとして、今年7月に住民有志らが集まり、来季の花のために剪定(せんてい)を行った。このアジサイは秋ごろに定光山大泰寺に移植されるという。
国土交通省紀南河川国道事務所によると、串本太地道路の本線は太田川方面から延伸し、現在の那智勝浦新宮道路につながる計画だという。下里地区内に太地インターチェンジ(仮称)や交差点の建設が予定されていることから、記念碑周辺の道路形状が変わる可能性もあるとしている。
担当者は「現在は調整中。詳細などが決まれば、今後は地元住民の方々にも方針をお示ししたい」と話していた。
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記念碑前のアジサイは元々、那智駅前に植えられていたもの。道の駅なちが建設されるため、当時の花てまりの会や地元住民らが協力し同所に植え替えたという。
その後の管理は下里とも子ガーデン(岩本カナエ代表)が行い、太田耕二さんら地元住民も協力してきた。岩本代表は「このアジサイは場所を移しながら、最後は寺へ行く。人の一生のよう。良かった」。
記念碑については「立派な方の碑なので多くの方に知っていただきたい。50年前以上に移設した際、下里中の生徒会や校長先生たちが移転式に参加したと聞いた。半世紀前は大切にされていたのだと思う」と話した。
(2021年9月10日付紙面より)
21日から「秋の全国交通安全運動」 (紀宝署 )
21日(火)から「秋の全国交通安全運動」が全国一斉に始まる。30日(木)までの10日間で、重点は▽子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保▽夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上▽自転車の安全確保と交通ルール遵守(じゅんしゅ)の徹底▽飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶―の四つ。
運動期間中、南牟婁郡交通安全対策協議会、紀宝地区交通安全協会、紀宝警察署では、早朝街頭指導や安全運転管理推奨像の伝達、一声運動推進協力店の指定など各種取り組みを進める。
8月末現在、県内では3万2506件(昨年同期比987件増)の交通事故が発生。このうち人身事故は1787件(同178件減)で、死亡事故は31件(同17件減)で32人が死亡した。
紀宝警察署管内での総事故件数は163件(同25件減)で、人身事故は11件(同5件減)、死亡事故は発生していない。国道42号で多く、事故原因は車両単独、出合い頭が上位を占めている。
紀宝町では67件(人身事故6件)、御浜町は87件(同5件)、熊野市紀和町は9件で人身事故は起きていない。
同署では、運動期間中、四つの重点に関連し▽児童・生徒の通学時間帯の見守り▽歩行者保護に資する取り締まり▽自転車のルール遵守とヘルメット着用の啓発▽飲酒運転の取り締まり―などの活動を強化する。
歩行者の安全の確保については、横断歩道横断時に「少し手を上げる」など自らの安全を守る交通活動「横断歩道“ハンドサイン”キャンペーン」の推奨を図る。
(2021年9月10日付紙面より)
北大和歌山研究林の本館 (古座川町 )
古座川町平井にある北海道大学和歌山研究林(中村誠宏林長)の本館外装工事がこのほど完了した。今回は外壁、次いで屋根を手入れし、外装のほぼ全体が真新しさを宿した状態。職員も心機一転の心境で運営に励んでいるという。
同研究林の本館は1927年建築。洋風木造2階建てで、九十余年を経た今も現役で用いている。内外装とも維持のため適時適切に手入れをしているがケヤキ材の階段や旧事務窓口など建築当時の基本構造も良好にとどめていて、2013年には国の有形文化財に申請して登録を受けている。
最近の外装工事は技術職員の伊藤欣也さんが大学と地元業者の仲立ちをして実施。19年度に本館と宿泊施設(和風木造平屋建て)の外壁塗装を削り剝がして塗り替え、20年度に本館トタン屋根へ青色系のガルバリウム鋼板をかぶせる内容で、完了により02年に外装が青屋根・白壁に変わって以来20年ぶりにその雰囲気を取り戻す形となった。ガルバリウム鋼板はトタン屋根以上の耐食性を誇る素材で、薄く軽量であることやコストパフォーマンスに優れることを生かして従来のトタン屋根にかぶせることで性能を保ちながら長寿命化を図る施工となっている。
同研究林は現在、新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮しつつ県内の日帰り利用を受け入れ中。中村林長は「コロナが終息したら従来通り県外や宿泊の受け入れも再開し、多くの皆さまにリニューアルした本館を気持ちよく利用していただけるよう頑張りたい」と心機一転の胸中を語った。
町内では高池にある芳流館互盟社社屋と同年生まれの木造建造物。戦前の建築技術を宿した希少な現存物の一つとなっている。問い合わせは同研究林(電話0735・77・0321)まで。
(2021年9月10日付紙面より)
緑丘中で防災集会 (新宮市 )
新宮市立緑丘中学校(宮本雅史校長、生徒249人)で8日、防災集会があった。生徒たちは宮本校長の講話に耳を傾けるなどして防災意識を高めた。
2011年3月の東日本大震災、9月の紀伊半島大水害などでは、自然災害によって多くの人の命が奪われた。10年が経過し改めて災害を教訓に、残された者として「日々の生活への感謝」「防災」「人としてのつながる社会」について考える機会にと毎年実施。新型コロナウイルス感染症対策として学年ごとに分かれて開かれた。
3年生86人の集会では、那智勝浦町在住の宮本校長が自身の水害での体験を基に講話。▽想定にとらわれるな▽最善を尽くせ▽率先避難者たれ―の津波避難3原則を挙げ、「住んでいる周辺は地域の中でも危険な場所だと思っていたが、ここまでの災害が起こるとは思っていなかった。暗くなってからの避難は危ないので、明るい間に早急に逃げるべきだった」と振り返った。
生徒たちには教訓として「『自らの命は自ら守る』。家は洪水や土砂災害などの危険性がないか、危機が迫った場合にはどこへ、どうやって逃げるかを正しく判断できる人になってください」と呼び掛けた。
講話後には、30年以内に発生する可能性があるとされている南海トラフ地震のシミュレーション動画を視聴した。
生徒会長の冨谷絵理香さんは「当時は5歳だったので薄い記憶しかなかったけど、校長先生の話を聞いて災害の恐ろしさを感じた。早めの避難を忘れず、自分の命を守る行動を取ることが大切だと改めて思いました」と話していた。
(2021年9月10日付紙面より)
全日本少年少女空手道選手権大会 (拳武館新宮 )
都道府県対抗中学バレーボール大会