新宮市観光協会は29日、平成32年度完成を目指している文化複合施設を、建設予定地から出土した遺跡を生かした観光拠点として整備することを求める要望書を田岡実千年市長に提出した。田岡市長は「重要な遺構が次々と出土する中、遺構はそのまま残すべきと思っております。建てる場所は制約されますが、なるべく要望を取り入れるべく研究していきたい」と回答した。
要望活動には丹羽生会長、外濵道明副会長、森本祐司専務理事、提案者の隅地洋さんの4人が参加。要望書では、建設予定地の旧丹鶴小学校跡地は、熊野速玉大社、神倉神社、新宮城跡、阿須賀神社などをつなぐ「重要な歴史的結節点」であると説明。熊野学センターの建設を見送り、文化ホールと図書館の2棟案に落ち着いた現在の計画では、「観光交流の人口の増加=地域経済の活性化」の視点が抜け落ちていると指摘している。
丹羽会長は、時間や予算の制約があることは理解しているとした上で、「中心市街地の疲弊が顕著になる中、地域活性化のためにも、市民が本当に望む施設計画を推進してほしい」と訴えた。
隅地さんは建設計画の基本理念の一つは「新しい歴史文化を紡ぐ文化観光拠点」であると述べ、「せっかく観光客が来ているのに、ゆっくり休め、情報を得る場所がないと聞く。文化複合施設を市内の観光地をつなぐ拠点とし、日帰り客を宿泊につなげないとお金を落としてもらえない。今こそ行政が主導して学習効果を発揮し、知恵をしぼり出し、関係団体が一体となってプロジェクトを組んで、より良い文化複合施設の代案づくりを目指すべき」。
森本専務理事は「現状を見ると、観光交流人口は置き去りにされている感がある。遺跡は新宮のポジションが重要であることをクローズアップしている。あらためて考えていただきたい」。
丹羽会長は「新宮は熊野三山の中で一番観光体制が遅れている」と述べ、縄文時代から明治時代までの各年代から出土している珍しい遺跡を生かした観光拠点が整備できれば「熊野の都として復活できる」と訴えた。
同席した楠本秀一教育長は「おっしゃる通りだと思います。長く滞在してもらう受け皿として図書館の担う役割は大きい」と述べた。要望書は屋敷満雄市議会議長にも提出した。
(2017年8月31日付紙面より)
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改修期成同盟会で国が説明 (新宮市 )
熊野川改修促進期成同盟会(会長・田岡実千年新宮市長)の通常総会が29日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルであり、本年度事業計画など5議案を承認した。総会終了後に国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所の冠雅之副所長が熊野川の河川事業について説明した。
2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害では、国直轄区間(河口から5㌔)の熊野川本川7カ所で堤防から越水し、支川の相野谷川では輪中堤から水があふれ、一部の輪中堤が転倒した。直轄区間では、新宮市で2301戸(床上1293戸、床下1008戸)、紀宝町で1021戸(床上869戸、床下152戸)の浸水被害があった。
水害後に国が直轄区間で実施していた河道掘削、築堤などの熊野川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)は昨年度終了。本年度から引き続き5年間の緊急対策事業で90万平方㍍の河道掘削を実施している。事業費は約34億円。
冠副所長は、激特事業で掘削した土砂215万立方㍍のうち約60万平方㍍は七里御浜の海岸浸食対策として搬出したことや、紀宝町成川では本年度、竜光寺樋門の耐震対策工事を実施することなどを紹介した。
熊野川は延長183㌔、流域面積2360㌔平方㍍。管理者が国、和歌山県、三重県、奈良県と混在していることから、新宮市などは大水害後の土砂撤去などがスムーズに進んでいないとし、国直轄区間を宮井地点まで約20㌔延長することを要望している。
同会は1981(昭和56)年11月設立。会員は新宮市と紀宝町の首長や議員。国直轄区間河川の整備工事推進を目的に要望活動などを展開している。
(2017年8月31日付紙面より)
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櫂伝馬の練習スタート (勝浦八幡神社例大祭へ向け )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭へ向け、櫂(かい)伝馬保存会(濱口起年会長)の中学生の練習が28日夜、勝浦港で始まった。
櫂伝馬船は全長約9㍍、幅は広い部分で約1・6㍍の木製の舟。祭り本番は、色とりどりのささ飾りを立てて港をこぎ回り、海上神事ではみこしを引き合うなど重要な役割を果たす。大人の愛友会、商工会の2隻に加え、中学生が乗り込む櫂伝馬保存会の3隻の計5隻が祭りに奉仕する。
午後7時に中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」が勝浦港の船だまりを出発。太鼓のリズムに合わせて力強く港内をこぎ回った。この日、黄舟で練習をした小阪嚴護さん(15)は「今日一日で(手に)まめが10個できましたが、今年で最後の参加なので精いっぱい頑張ります」と意欲を見せた。
子どもが少なく人数を集めることが年々困難になっている中、練習を見守った副会長の立木憲さん(59)は「赤舟の1年生がどうにかそろったのでほっとしたところ。今後1隻1学年は難しくなってくると思う。今年も無事に祭りを渡せるよう頑張りたい」と話していた。
(2017年8月31日付紙面より)
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串本町テニス協会(中地孝行会長)は26日、同町総合運動公園テニスコートで「ヨネックス小・中学生講習会」を開き選手54人に全国大会入賞経験者から直接指導を受ける機会を提供した。
この講習会は、串本ジュニアソフトテニスクラブと関係の深い田辺市のスポーツ店から紹介され、貴重な機会だと喜んで申し込んだことにより実現。全国大会入賞経験を持つヨネックス株式会社大阪支店の川口純吾さんと杉野優也さんが講師となり直接指導した。
参加した小中学生の内訳は同クラブの小学生25人と串本西中、大島中、串本中のソフトテニス部部員29人。リード役として同クラブ出身の高校生選手も講習に参加した。
両講師は序盤にウオーミングアップ、中盤以降はストロークやボレー、サーブなど基本となる技術を中心に指導。体の軸を動かしながら打つことやインパクト時のイメージをしっかり持つことなどを実践練習で経験させ、技術向上を後押しした。参加者の指導陣もつぶさに両講師の指導術を見学し、積極的に狙いを尋ね探るなどした。
参加者の一人、齋藤ひなさん(串本中2年)は「ラケットの握り方や打ち終わった後の面の位置が今までの自分のやり方と違っていて、そこを直してもらって力強い球を打てるようになった。腰を使うと力強い球が打てることも改めて確認できたので、今後の練習に生かしたい。このような機会があったらまた参加したい」とコメント。
両講師によると、現代のソフトテニス競技にも前・後衛があるが、どちらの選手も両方をこなさないと勝てない時代に差し掛かっている。そのため講習では、前後衛問わず全般の技術に触れる指導を意識しているという。
今回の指導に対し杉野さんは「一度にたくさんのことは覚えられないので、今日は何か一つでいいので持ち帰りしっかりとできるようになってほしい」、川口さんは「体をとにかく使って打つことを覚えれば、いろんなプレーがしやすくなる。そのあたりを今日の講習で教えたい」と込めた思いを語った。
(2017年8月31日付紙面より)
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那智勝浦ゴルフ倶楽部8月度月例杯
秋季紀南バレーリーグ
9月24日の見学会後、開放 (新宮市 )
新宮市が津波一時避難所として同市蓬莱1丁目の旧王子製紙跡地で整備を進めていた築山が完成した。9月24日(日)午前8時30分から地域住民らを対象に見学会を開き、その後、供用を開始する予定だ。
熊野川河口部に位置する土地は、市が2013年12月4日付で「王子ホールディングス株式会社」(本社・東京都中央区)から譲り受けた約3万2277平方㍍の一部。全体の面積は約1万8000平方㍍で、中心付近に縦約80㍍、横約60㍍、高さ6・1㍍の楕円(だえん)形の築山を造成した。上部の面積は約630平方㍍あり、約1260人が避難できる。
紀伊半島大水害後に国が熊野川河口部で実施した掘削工事で採取した砂利を約1万2000立方㍍使用し、表面に土をかぶせ芝生を敷いた。築山への入口は5カ所で、頂上へ登るスロープは2カ所設置している。事業費は市が約7500万円、国が約4500万円の計約1億2000万円となる見込み。
市役所で24日に開かれた市議会総務建設委員会で並河哲次委員は、地域住民から築山の強度に心配の声が挙がっていると指摘。田坂豊・建設農林部長は「安全性は確保されていると思っている」と答えた。久保智敬委員が管理する部署について質問し、工藤英二・都市建設課長補佐は、築山が防災対策課、周囲は協議中と回答した。
南海トラフ巨大地震での浸水深が0・5㍍と予想されている土地。地盤は海抜約7㍍で、築山上は海抜約13㍍になる。残りの土地の活用方法について田岡実千年市長は「白紙の状態。地域住民の意見を聴きながら活用法を考えていきたい」と述べた。
(2017年8月26日付紙面より)
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新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)吹奏楽部(亀谷覚史顧問)は21日、兵庫県の姫路文化センターで開催された第67回関西吹奏楽コンクール高等学校の部小編成で銀賞を受賞した。
新宮高校はジンベエザメや海をイメージした曲『リンコドンティプス―蒼き海の守り神―』で、小編成26人で出場した。同部は県吹奏楽コンクールで4年連続の金賞を受賞し、3年ぶりの関西コンクール出場権を獲得した。2014年の関西コンクール出場時の結果は銅賞だった。
立溝まい・前部長は「金賞を目指していたので悔しかったです。関西では県で出し切れなかった100%の力を出し切りたいと話していました。それは無理でしたが、練習を超えるくらい楽しい演奏ができました」。
3年間を振り返り「しんどいこともいっぱいあったけれど、コンクールでやっと結果を出せたり、コンサートをいっぱいさせてもらい、いい経験ができました。吹奏楽をやってきて良かったと思っています」と話した。
新たに部長を務める磯﨑美和さんは「金賞を目指して頑張ってきたのでちょっと悔しかったですが、関西では自分たちの演奏ができて良かったと思いました」。「まい先輩のようにしっかりとできるか不安もありますが、歴代の先輩や部長から伝統を受け継ぎ、新宮高校吹奏楽部としてたくさん活動できれば」と今後の意気込みを語った。
亀谷顧問は「生徒が大きく成長してくれたことが賞よりもうれしいです。関西大会までに自分たちの音楽を発信したいという思いを発揮できたことがうれしかった。彼女らの演奏はインパクトがあり、最高得点を付けてくれた審査委員の人もいました。課題もありますが客席の空気感も良かったと聞いています。金賞には届きませんでしたが、会場で聞いている人の琴線に触れる演奏ができたと思います」と話していた。
(2017年8月26日付紙面より)
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第3回MH賦存状況調査 (和歌山県 )
県の本年度第3回メタンハイドレート(MH)賦存状況調査が24日、串本港を拠点にして行われた。第1、2回同様、すでに確認しているメタンプルームと見られる気泡密集帯のデータ収集が目的で、今回は和歌山工業高等専門学校の岸本昇教授と専攻科の学生2人も観測作業に立ち会った。
この調査は、国家規模のMH開発誘致を目的として平成24年度から継続実施。東京海洋大学の青山千春准教授監修の下で同研究所が選定した海域を県漁業調査船「きのくに」の高性能魚群探知機(計量ソナー)で観測し、得られたデータの解析と考察を㈱独立総合研究所に委託して得られた成果を材料にして国への働き掛けを重ねている。
本年度は6回の調査を行う計画で、メタンプルームと見られる気泡密集帯の経年変化を見るために同一海域(潮岬の南約20㌔にある水深1600~1700㍍の海底)の観測を重ねている。
和工専は平成27年度に日本科学技術振興財団「エネルギー教育モデル校事業」の指定を受け、将来のエネルギー開発を適切に判断し行動する人材の育成に力を入れている。岸本教授によると、同調査への立ち会いは学生が新エネルギー源の一つとしてMHに関心を持ち将来のエネルギー研究に役立てる目的で計画し、県産業技術政策課に協力を求め第2回調査から立ち会っているという。
今回乗船した専攻科1年の嶋田大海さん(21)はMHを研究のテーマにしているそうで、第2、3回と続けて立ち会い「MHは身近なところにあるという認識が深まった。陸上で採掘できるロシアやカナダと違い、日本は海上。いろいろな技術を組み合わせることによって採掘は可能になるのかなと感じている」とコメント。
同科2年の土田裕介さん(22)はMH開発が実現するかどうかを検討したくて今回の調査に立ち会ったそうで「何度も同じところで反応が出るのを見て、MHは空想のものではないという実感を得た。MHがどう検討されているかというプロセスを肌で感じるいい機会になった」と印象を語り、それぞれに考察を深める成果を得ていた。
同課によると残る第4、5回調査は8月28~31日中、第6回は11月末ごろに行う予定。同日現在で同研究所から新たな海域の調査指示はなく、定点観測が続くという。
(2017年8月26日付紙面より)
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新町立温泉病院 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満で建設中の新町立温泉病院で外壁の塗装工事が終わった24日、主要な足場が外され病院の外観が見えた=写真。2階屋上の防水工事が終われば、外装工事はほぼ終了で、今後はキャノピー(出入口の屋根)と南側の外構、内装などの工事を進める。職員住宅棟の工事は9月中に終了予定。
工事の進行状況は完了までの58%で年内完成を目指し10月末には84%の見込み。町はスケジュール表を工事が行われている朝日区内に回覧で配布し、住民に細かく日程を通知している。
同町建設課主幹の畑下靖さんは「近隣住民の皆さまのご理解とご協力のおかげで順調に進んでおります。8月は台風も1度だけだったので助かりました。作業員の方も猛暑の中、頑張って作業してくれています」と感謝していた。
(2017年8月26日付紙面より)
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県下高校野球新人戦
県警特練生らが防犯剣道教室 (新宮警察署 )
和歌山県警察剣道特別練習生による防犯剣道教室が19、20の両日、新宮市と那智勝浦町で開催された。県警剣道師範の宮戸伸之さんや訓練生ら14人が紀宝町から串本町までの剣道クラブに所属する幼稚園児から高校生までの剣士らに模範稽古や実技指導などをした。
少年の健全育成を目的に、新宮警察署管下防犯協議会が主催した。昨年に続き2回目の開催。師範以下訓練生のほとんどが参加する教室は珍しい。宮戸師範は新宮市出身。数少ない剣道の最高位の8段を2008年に40代で取得した。一昨年の都道府県対向剣道大会では大将を務め、県を初の優勝に導くなどしている。特練生の中には三輪崎剣道クラブ出身の下貴広さんと西村雄希さんらがいる。
19日は市立光洋中学校体育館で約80人が参加した。準備体操、素振りの後、訓練生の稽古を見学し、迫力のある姿や動きに真剣な表情で見入っていた。20日は那智勝浦町体育文化会館であった。宮戸師範や特練生がアドバイスを交えながら指導し、約100人が懸命に稽古に励んだ。実技指導では訓練生を相手に竹刀を振るい、汗を流した。
谷本克也・新宮警察署長は「和歌山県警の剣道特練生は非常に優秀で実力のあるチーム。いろんなことを教えていただき、技術と心身の成長に役立てて」。同協議会会長の田岡実千年・新宮市長は「両親や指導者に感謝の気持ちを持ち、剣道を通じ、心も体も成長し立派な人間になるよう頑張ってほしい」とあいさつ。
宮戸師範は参加者らに向け「稽古の前に特練生を見てイメージして同じようにやろうとする気持ちがあるから一つ一つ正しく見ているし気迫も違う。剣道は運動神経の良しあしでなく、コツコツ地道にやることが上達の一番の秘訣(ひけつ)。少ない人数の中でも一生懸命やることを忘れないで」と呼び掛けた。
稽古を終え「やりがいがあった。速い技や高度な技の中でも、基本が大事ということを特に教えたかった。基本ができているから応用技ができるということを分かってくれれば。楽しさ、良さを分かってくれて、続けてほしい」と語った。
昨年に続き2回目の参加の瀧本鉄馬君(12)は「特練生は一本一本が全部決まっているような感じがして、毎日どんな稽古をしているのかが気になりました。宮戸先生は人を強くすることを考えており、いろんなアドバイスをしてくれました。分かりやすくやってくれるのでいい先生だと思いました」。
「今までとは違うような感じの稽古で楽しかったです。いつも戦えないような特練生の人たちと会えてうれしかった。今後は同じように一本一本を大事にして決めていきたい。将来は警察官になって特練生になりたいと思います」と話していた。
(2017年8月22日付紙面より)
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歴史探訪スクールに80人 (新宮市 )
新宮市教育委員会、熊野学研究委員会主催の平成29年度熊野学講演会・歴史探訪スクールオープン講座が19日、市福祉センターであった。帝塚山学院大学名誉教授の鶴﨑裕雄さんが約80人を前に、『平野郷社(杭全神社)縁起絵巻―大阪平野区杭全(くまた)神社の熊野信仰―』の演題で話した。
歴史探訪スクールは熊野地方の特色ある歴史や文化を楽しく学ぶことを目的に開催している。鶴﨑さんは大阪市平野区が平安時代初期に坂上広野麻呂により開発され、一族や家臣らが街を形成していったと紹介。杭全神社に関して、拝殿や社殿を写真で紹介し「趣が新宮の神社に似ている」と語った。
「文芸遊びが行われた場所」として連歌所の写真を挙げ、熊野権現が描かれた軸、牛頭(ごず)天皇が描かれた軸を示し「二つの神様をお祭りしている神社」と説明。三つの絵巻物の内『平野郷社縁起絵巻』をスライドで映しながら読み解いていった。描かれている一つ一つの場面を語り、神話などが基になっていることや、二つの神を結ぶ特定の根拠はないことを話した。
人々が杭全神社に短歌や、短歌の上の句と下の句を交互に呼んでいく連歌を奉納していたとして解説。万葉集や拾遺和歌集、愛宕(あたご)百韻から引用し、歴史的背景や意味などを語った。
□ □
■那智大滝の信仰と歴史
次回の講座は9月10日(日)午後2時から4時まで、熊野学研究委員会の山本殖生さんが講師となり『那智大滝の信仰と歴史』をテーマに、講話やフィールドワークをする。参加費は500円(年会費を納入した人、中高生は無料)。集合場所は那智山青岸渡寺尊勝院新館。動きやすい服装、靴での参加を呼び掛けている。
申し込みは市教育委員会文化振興課(電話0735・23・3368)まで。期限は9月6日(水)。
(2017年8月22日付紙面より)
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串本で初のBFL公式戦
串本町サンゴ台にある総合運動公園野球場で19日、プロ野球独立リーグ「ベースボールファーストリーグ(BFL)」の公式戦があり、田辺市を拠点とするチーム「和歌山ファイティングバーズ(以下FB)」と東大阪市のチーム「06BULLS(以下06)」の対戦が地元の少年野球チーム選手らの注目を集めた。
BFLは、日本野球機構(NPB)12球団入りを目指す高校生より上の世代の選手で結成したチームが参戦するプロリーグ。本年度は06とFB、兵庫県三田市を拠点とするチーム「兵庫ブルーサンダース(BS)」が参戦し、各チームのホームグラウンドを回る形で公式戦を重ねている。
県勢のFBは2016年4月に野球王国和歌山の再燃を目指して設立された新興のチームで、運営母体はNPO法人ANFUTURE。▽田辺スポーツパーク▽上富田スポーツセンター▽串本町総合運動公園―の3球場をホームとし、山﨑章弘監督や吉田篤史コーチ率いる選手21人チームで本年度からBFLへ参戦している。
この日開かれたのはBFL公式戦第13試合で、同公園での実施は初となる。会場地を代表して田嶋勝正町長が特産の長期保存水『なんたん水』を差し入れつつ歓迎と激励のあいさつ。特別協賛者を代表して串本ライオンズクラブの尾﨑和貴会長が始球式に臨み、06の先攻で試合が始まった。
先に優勢に立ったのはFBで、二回裏に2点を先制。追う立場の06は三回表と六回表で各1点、FBも五回裏で1点を追加。八回裏で長打を持ち味とする大月翔選手が今季第1号のソロホームランを放って点差を広げ、06も九回表ワンアウト一、三塁で4番打者という局面から1点を追加したが届かず、スコア4―3でFBが勝利した。
観客席は18歳以下無料、19歳以上1000円(障がい者手帳提示で500円)で開放され、少年野球クラブの選手やその家族と指導陣、硬式野球愛好者らが観戦。串本オーシャンズの切畑桧キャプテン(6年)は「フォアボール後、すぐに(気持ちを)切り替えてストライクをとるところがすごかった。自分はキャッチャーをしているけど、セカンドへ送球する時の素早さは学びたいと思った」と話した。
試合中は串本オーシャンズの切畑キャプテンと大藤麗生君と中村裕斗君(いずれも6年)、KKN少年野球クラブの杉本龍河君(6年)と薮根心海君(5年)がボールボーイ、串本の澤井亜侑さん(4年)とKKNの杉本沙羅さん(2年)がアナウンスを体験。両チームの選手は試合後、FBによる野球教室に参加して山﨑監督らから直々にアドバイスを受け、選手の技術を間近に見学する機会も得た。
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■次回は9月16日正午~
同公園ではこの日のほか、9月16日(土)正午に公式戦(対兵庫BS戦)を予定している。FBの高下沢理事は「今は手が回っていないが、将来的に新宮市のくろしおスタジアムもホームにと考えている。まずは次回(の同公園での公式戦)、今回以上の観客を集められるよういっそう努めるので、地元からの観戦や応援をよろしくお願いします」と話した。
(2017年8月22日付紙面より)
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例大祭へ準備始まる (勝浦八幡神社 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)で20日、例大祭=9月16日(土)宵宮、17日(日)本宮=で使われる櫂伝馬(かいでんま)の蔵出しがあった。作業には愛友会(濱口泰至会長)とそのOBで結成する櫂伝馬保存会(濱口起年会長)の会員らが奉仕した。
例大祭は、神輿(みこし)渡御(とぎょ)行列、還御舟行列をはじめ、大黒天の墨塗り、櫂伝馬、徒士山伏、餅搗(もちつき)、獅子神楽、舟謡などの伝統行事があり、古くからの年行司制度も引き継がれ、多彩な祭典・神賑(しんしん)行事が行われる。還御舟行列は町の無形民俗文化財に指定されている。
伝馬船は全長約9㍍、幅約1・6㍍、スギ、ヒノキなどを適所に使い、古くから伝わる船大工の技術で作られた美しい船形の木造船。若者らが乗る「愛友会舟」、中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」、南紀くろしお商工会青年部の「商工会舟」の計5隻が本祭の櫂伝馬行事に登場する。この日は商工会舟を除く4隻が蔵出しされ、神社前の海に進水。保存会集会所近くへ移動し練習に備えた。
蔵出しを手伝った栗原聡信さん(20)は「まだ2年目ですが、とても楽しみです」、愛友会の濱口会長(28)は「若い人たちが多いので、勉強しながら頑張ります」と話していた。
櫂伝馬保存会の役員が指導する中学生の練習は28日(月)から勝浦漁港で始まる。
(2017年8月22日付紙面より)
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県下高校野球新人戦
ジュニアテニスサマーステージ13歳以下
県警と海保が共同訓練 (太地町 )
太地町で9月から始まる小型鯨類追い込み漁を前に和歌山県警察本部と第五管区海上保安本部は18日、太地港で反捕鯨団体による違法行為を想定した合同警備訓練を実施した。警察官約50人、海上保安官約80人が参加し、陸上と海上で訓練した。
町には平成22年以降過激な環境保護団体が多く訪れ、漁の無許可撮影など嫌がらせ行為を続けている。過去にイルカを飼育するいけす網が2度切断され、今年の1月にも地元企業が所有するいけす網が切られる事案が起きている。昨年は約80人の活動家が来町しており、今年はイルカ漁で新たに2種類が捕獲対象に加わったことなどもあり、県警も情勢を注視している。
県警の宮沢忠孝本部長は「この数年で活動家の来町が大幅減少している。9月から始まる漁期に向けて万全の体制で臨めるよう訓練に取り組んでほしい」と一層の連携を求めた。
現地警戒本部長を兼任する田辺海上保安部の川上誠部長は「訓練を通じて連携の一層強化に期待。参加者は違法行為は断じて許さないという毅然(きぜん)とした態度を強く示すことで地域住民の安心安全に大きく寄与できる」と激励した。
訓練は陸上と海上での違法行為を想定して展開した。陸上では、イルカ肉を搬送するトラックの前に活動家が立ちふさがり、県警が活動家の1人を道路交通法違反で逮捕した。海上では小型ゴムボートに乗った活動家3人が漁船に発火物を投げ、海上保安庁のゴムボート2隻がこれを取り囲み、威力業務妨害で逮捕した。
太地町いさな組合の小畑充規組合長(51)は「創意工夫して訓練してくれるのでありがたい。考え方の違いがあるのは分かっており、私たちも仕事である以上覚悟している。捕獲対象が増えたことで商売的にもプラスになると思うので、自分たちも事故やけがのないよう操業したい」と話した。
(2017年8月20日付紙面より)
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骨髄バンクを考える集い
白血病など血液の病気を治すのに有効な治療法である骨髄移植への関心を高め、骨髄バンクへの登録を呼び掛ける「骨髄バンクを考える集い」が11日、御浜町阿田和の紀南高校視聴覚教室で開催され、木本高校のJRC(青少年赤十字)部の部員はじめ住民ら約40人が参加した。三重県骨髄バンク推進連絡協議会「勇気の会」主催。
協議会の理事長、南信行医師や移植治療で助かった息子を持つ母親ら会員4人が登壇し、バンクへの登録を呼び掛けた。骨髄移植は患者と提供者(ドナー)の白血球の型が一致することが大前提だが、適合する確率は兄弟姉妹で4人に1人、それ以外だと数百人から数万人に1人の割合といわれている。日本の公的骨髄バンクは平成3年に設立され、今年5月末でドナー登録者数は47万2856人いるが、累計患者登録数は5万1097人、移植例数は2万747人。希望する患者の約6割が移植できていない。
南医師はドナーが見つかっても移植までの準備期間は少なくとも約3カ月はかかるため、スムーズに移植を実現するためにもドナー数を増やすことが必要と話し、高校生には献血の協力も呼び掛けた。白血病の患者はがんに侵された造血幹細胞を放射線などで壊してから移植を受けるため、治療の間は輸血で耐えていかなければならない。
伊勢市の女性は18歳で急性リンパ性白血病を発症した息子の移植の経過を話した。幸いドナーが見つかったが、提供まで進まないケースもあり、同意が得られるまでの間は祈るようにして待ったという。「会ったこともない見ず知らずの人が、入院までして骨髄を提供してくれました。今、息子は普通に近い生活を送っています。前を向いて元気に生きています。骨髄バンクがあったからこそ、ボランティアがいたからこそです」と涙ぐみながら感謝した。
同協議会紀州支部の二村昭医師は熊野保健所を中心に東紀州地方で活動する紀州支部の設立経過を話した。紀州支部は、健康診断で白血病が分かった男性が一生を骨髄バンクの運動にささげたいという思いから25年前に設立。二村医師は亡くなった男性の無念さを涙ながらに語り、骨髄バンクの必要性と課題を話した。バンクの登録は55歳が上限と決められている。二村医師は登録者の約55%が40歳以上の高齢世代で、数年たつと人が減少していくと話し、若い人たちの理解が必要と訴えた。会場の参加者からは、入院時のドナーへの助成制度を自治体が設ける必要があるなどの意見が出た。
紀州支部は21日(月)午後0時30分から同4時までイオン熊野店前で登録会を開く。登録できる人は18歳から54歳以下で男性は45㌔以上、女性は40㌔以上の人。問い合わせは紀州支部(電話090・5107・0640)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
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ぱしふぃっくびいなすが出港 (新宮港 )
豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6518㌧、全長183㍍)が18日午後5時30分ごろ、「新宮港梛(なぎ)の木見送り隊」や地元太鼓グループ「紀宝楽」に見送られ、新宮市三輪崎の新宮港から神奈川県の横浜港に向け出港した。
客船は同日午前8時ごろ、新宮港へ入った。前夜に船上から熊野大花火大会を鑑賞した乗客約450人は、当地方で観光などを楽しんだ。岸壁では近隣の観光協会が地元物産を販売するなどした。
丹羽生・市観光協会長は「この熊野という観光フィールドは広く、到底1日では回りきれなかったのではないかと思う。また、ぱしふぃっくびいなすと共に皆さんが来るのをお待ちしたい。その時は『おかえりなさい』とお迎えしたいと思います」とあいさつ。
紀宝楽が演奏で船を見送った。乗客らがカラーテープを投げ、見送りに来た人たちと「また来てよ」「また来るよ」と互いに声を上げながら手を振り合った。
見送り隊は近年入港が増えているクルーズ船の乗客たちを温かく見送ろうと結成された。会員特典として特別船内見学会への参加、一定回数以上の入出港イベントでの参加で記念品贈呈などがある。問い合わせは新宮市企業立地推進課(電話0735・23・3333)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
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伝統の「佐野柱松」勇壮に (新宮市 )
五穀豊穣(ほうじょう)などを願う伝統行事「佐野柱松」が16日夜、新宮市佐野の新宮港緑地公園であった。スギで作られた御柱(おんばしら)上部に取り付けた籠目掛けて火のついた松明(たいまつ)を投げる勇壮な儀式には、雨の中多くの注目が集まった。
柱松は戦時中に一時中断。1948年に佐野青年会が再開したものの、資金や人手の不足から59年に再び途絶えていた。93年に現在の佐野柱松実行委員会(瀬古尊夫会長)が祭りを復活させて今回で25周年を迎える。
一部プログラムを変更し、サニーサイド・ジャズ・オーケストラの演奏、くろしお児童館の子どもたちの創作踊りなどがステージを盛り上げた。新宮市三輪崎出身の小阪芳史さんの氷の彫刻の実演では、名古智美さんのバルーンアートと共演し、火の鳥をイメージした作品を完成させた。25周年記念花火をはじめ約600発の花火が空に大輪の花を咲かせた。
御柱の籠への松明投げ入れに成功した那智勝浦町宇久井の浦山昌嗣さん(50)には米が贈られた。浦山さんは「何回か参加しています。めっちゃうれしいですね。楽しいですよ。このような祭りは長く続いてほしいです」と喜んでいた。子ども松明投げは三輪崎小5年の植田里希丸君が投げ入れ、「初めて参加しました。うれしいです」と笑顔を見せた。
瀬古会長は「柱松も今年で25回目を迎えます。柱松が永遠に続いていけますよう、会員一同一生懸命頑張ってまいりますので、ご協力をお願いいたします」とあいさつし、区民や企業、雨の中訪れた人たちに感謝した。
来賓の田岡実千年市長は地元の活性化につながっており、実行委員会に敬意と感謝を表した。前田道春佐野区長は「催しが1年でも長く続いていくように、皆さま方にお願いしながら協力していきたい。柱松実行委員会員の皆さまに、区民を代表して感謝とお礼を申し上げる」と述べた。
(2017年8月18日付紙面より)
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日本代表としての活躍誓う (新宮市 )
トルクメニスタンで開かれる第5回アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ(9月17~27日)へ日本代表として出場する新宮市出身で早稲田大学2年の宇井大和選手(新宮高校卒)が15日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長に大会での健闘を誓った。
宇井選手はレスリング男子グレコローマンスタイル66㌔級で出場。市役所へは同大レスリング部監督の太田拓弥さん、新宮高校レスリング部監督の籔中(やぶ・あたる)教諭とともに訪問した。
宇井選手は1年時に全日本大学グレコローマン選手権、2年生になった今年4月のJOCジュニアオリンピックカップで優勝したことなどが選考委員会で評価され代表入りを決めた。
田岡市長は「4月のJOC杯での優勝おめでとうございます。9月のアジア大会、優勝目指して頑張ってほしいと思います。健闘を祈っています」と激励。
宇井さんは「シニアの大会に日本代表として出場するので恥ずかしい試合はできないと思う。大会に向けて一生懸命練習して、いい結果を残せるようにがんばりたい」と応え、「まだ全日本で優勝できるような選手ではないので、まずは学生の大会で圧倒的に勝てるようになってから、全日本でも勝って五輪に出られるように頑張りたい」と五輪への思いも話した。
太田監督は宇井選手について「シニアとしては初めての大会。今までよりレベルが上がり、相当厳しい戦いになる。アジアも、韓国、イラン、ソビエト系の国などレベルの高い国が多いので簡単には勝てないが、まず1試合勝って、3位決定戦ぐらいまで進み、試合数を1試合でも多くやって経験を積んでもらいたい」とアジア大会に向けて話した。
(2017年8月18日付紙面より)
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海外協力隊の小林千華さん (串本町 )
青年海外協力隊平成27年度1次隊の隊員として2年間、カメルーン共和国に派遣された同町古座の小林千華さん(27)が17日、田嶋勝正町長に報告した。
小林さんは70日間の候補生養成を経て平成27年7月に同国へ。ニョン・ソー県初等教育事務所に配属され、2年間の支援をして29年6月末に帰国した。派遣中の目標は、情操教育を理解し自主的に実践する教員を増やすこと。主役は教員で自分はその支援者という考えで一歩下がった姿勢を貫き、1年目は6校、2年目は5校を巡回する形で支援を注いだという。
この日はJICA国際協力推進員の足立朋美さんや和歌山青年海外協力協会の談儀善弘会長も立ち会う中、小林さんはプレゼンテーション資料を交えて2年間の活動状況を報告した。1年目は「とにかく慣れる。何でも挑戦する」を意識して現場理解に奔走し、2年目は「広めるより深める」を意識。配属先のサポートを得て意欲的な教員を対象にした情操教育リーダー養成講習会を開き研究授業、討議会といった日本の仕組みを伝えたことや、運動会運営ワークショップを通して巡回先の1校、ンガラン小学校が関心を示しカメルーン人自身の自主的実践で実現したことは嬉しい成果だとした。情操教育に役立つ教材冊子をフランス語で自主制作して託したことも、実物を交えて報告した。
2年間の支援を通して小林さんは▽諦めない▽信じる▽楽しむ―ことの大切さを実感したと振り返り、今後は教職復帰かさらなる国際貢献のいずれかで進みたいと総括。田嶋町長は「報告を受けて充実した2年間を送ったと感じ、カメルーンの皆さんだけでなく小林さん自身も成長したように思う。その貴重な経験を生かすことを期待して、今後も頑張ってほしい」と小林さんの活動をねぎらった。
(2017年8月18日付紙面より)
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高田川で岩壁登り
「川のアルピニスト」と呼ばれているボウズハゼが新宮市の高田川で群れになって垂直の岩壁を登っている=写真。何度も流されながら上流を目指している。
関東地方以西の太平洋側から琉球列島に分布するスズキ目ハゼ科の魚。体長は5~10㌢。初夏に産卵し、川で生まれた稚魚は海に下り、次の春に川に帰ってくる。餌を求めて群れで川の流れに逆らって泳いでいく習性がある。
吸盤状の口と腹びれを巧みに使って、垂直の岩壁でも登ることができる。餌は海ではプランクトン、川ではコケなど。寿命は4~6年で、川の上流などの岸に穴を掘り冬眠する。頭が丸いことからこの名が付いた。
(2017年8月18日付紙面より)
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少林寺拳法南紀熊野スポーツ少年団
全国中学生空手道選手権大会に出場
22人が大人への一歩踏み出す
太地町の成人式が15日、同町のホリスティック・スペース・ジャパンであった。これまで正月の1月3日に催していたが、華美な服装にならず、保護者の負担を無くして本来の軽装での参加を促すため、開催を夏に移した。この日は対象者29人のうち22人が出席し、大人への一歩を踏み出した。
式典で宇佐川彰男教育長は「厳しい大人の社会を乗り越えるには友人や家族らが支えになってくれる。社会に出ていろんな人と交流し、信頼できる仲間と今後の人生を歩んで」と述べた。
三軒一高町長は町の30年計画の進展を伝え、「長い人生のなかで20歳は大きな節目。育ててくれた両親に感謝を。皆さんが毎年帰ってくるたびにきれいになったと思える、衛生管理の行き届いた町にしたい」と話した。
新成人を代表して佐々木健介さん(19)は「大人になるという境遇に立ってみて社会からのプレッシャーを感じている。喜びと不安が入り交じる心境ですが、この気持ちを忘れず、人との出会いを大切に、この地で生まれ育ったことを誇りに思ってこれからの人生を歩んでいきたい」と宣誓した。
新成人たちは会場周辺で旧友との記念撮影を楽しみ、思い出話に花を咲かせていた。新宮高校卒業後、大阪の大学へ進学した大藪恭久さん(19)は「みんな昔と違って大人になっていた。これからは一人の大人として、社会や町に貢献していきたい」と話した。
(2017年8月16日付紙面より)
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仲之町商店街で恒例の「夜市」 (新宮市 )
新宮市の仲之町商店街振興組合(勢古啓子理事長)は12日夜、毎年恒例の夜市を開いた。1丁目から3丁目までの各所に、盛りだくさんの出店があり、多くの家族連れらでにぎわいを見せた。
「夏の夜を楽しんでほしい」との思いから始まり、30年近く続く催しで、歩行者天国のアーケードでは、魚釣りやバスケットゲーム、くじ引きなどのゲームにさまざまな景品が用意され、子どもたちは夢中になって挑戦。かき氷や焼きとうもろこし、焼きそばなどの模擬店などもあり、家族連れや友達同士など、大人も子どもも一緒になって夜市を楽しんだ。
にぎわう様子に勢古理事長は「仲之町外の店の協力や、多くの家族連れの姿を見られてうれしい。新宮の花火の前夜祭のように楽しんでもらえたら」と喜び、「この商店街はアーケードがあり、突然の雨なども気にせずに買い物を楽しむこともできますし、一人でも多くの人に今後も楽しんでもらえたら」と話した。
(2017年8月16日付紙面より)
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古式捕鯨再現の「勇魚祭」も
太地町の太地漁港周辺で14日、伝統の古式捕鯨を再現する第29回太地浦勇魚(いさな)祭と盆供養花火大会が開かれた。初盆を迎えた故人への追善供養など、盆行事の一環として開催され、町民や里帰りの人たち、観光客らでにぎわった。
太地浦勇魚祭は400年の歴史を持つ捕鯨文化を伝えるため、太地勇魚会(井上正哉会長)が主催して行っている。赤い鉢巻きにふんどし姿の12人の男たちが2隻の「勢子(せこ)舟」で海に繰り出すと、沖からクジラを模した船が登場。男たちは掛け声とともにクジラを網に追い込み、古式捕鯨「網掛け突き捕り法」を再現した。
男たちは次々にクジラにもりを打ち込んだ後、海に飛び込み、クジラにまたがって格闘を演じた。最後に包丁でとどめを刺す「鼻切り」が披露されると観客から拍手が起こった。
井上会長は「先人のクジラとの勇気ある闘いを伝え、捕鯨文化が薄れていかないように伝えていきたい。身近に感じてもらいたい」と話した。香川県高松市から帰省した髙橋麻帆さん(35)は「太地は反捕鯨団体の標的にされるニュースがよく流れ、心配でしたが、こうやって若い人たちが大事に捕鯨文化を守ってくれているのだなと感じました」と話していた。
勇魚祭の後、柱松に続いて花火大会があり、夜空に大輪を咲かせた。フィナーレには鯨踊りと創作太鼓「太地」のパフォーマンスに合わせて町民一同の大スターマインが打ち上がった。観客から「すごい」「きれい」など歓声が上がり、拍手喝采が送られた。
(2017年8月16日付紙面より)
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いろり館で新成人の集い (古座川町 )
古座川町公民館(富田正弘館長)は15日、南紀月の瀬温泉ぼたん荘いろり館で新成人の集いを開き、対象者22人の大人の仲間入りを祝った。
20歳の節目を迎えるにあたり大人の自覚を得る成人式に相当する行事。本年度の対象者は平成9年4月2日~平成10年4月1日生まれの町立中学校卒業者22人(男12人、女10人)で、式には17人(男8人、女9人)が出席した。
浴衣やスーツ、制服姿で集う新成人に向け、富田館長は今後も失敗にめげずあらゆる場面で経験を積んで人間力を高め続けることを期待し「日本の未来は皆さんを含めた大人にかかっている。自分や社会の進路選択に確かな人間力を持ち、感謝を忘れず地に足をつけて大人社会を進んでほしい」と激励した。
来賓を代表して西前啓市町長は夢を原動力にし感謝と努力を忘れず、大人としての自覚と責任を持ってそれぞれの道へ羽ばたいてほしいと祝辞。大屋一成町議会議長、嶋原和夫教育委員長も列席して祝った。
新成人を代表して上地佑奈さん(19)は「新成人一同、社会への仲間入りを祝福された感激を胸に、社会人としてよりいっそう精進する。まだまだ未熟な私たちに、今後もご指導をお願いします」と謝辞を述べ、垣実咲さん(19)が記念品を受領。式後は記念コンサートや記念撮影、立食パーティーなどで仲間や先輩諸氏との親交を深め合った。
新成人の山本裕也君(20)は古座中出身。広島県にある大学へ進学し、現在は環境関係の学問を学んでいるという。ふるさとで祝福を受け「古座川町の役に立ちたくて今、大学で勉強している。大人の仲間になったという実感はまだないけれど、将来はこっちに帰ってきて古座川町の豊かな環境を生かしてまちづくりにつながる何かができないかと思っている。そのような職場を自分で作るというのも夢の一つです」と心境を語った。
(2017年8月16日付紙面より)
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新宮市出身の谷口暁理君(大阪・浪速高校)
第53回和歌山県吹奏楽コンクールが4日から6日にかけ、県民文化会館ホールで開催された。当地方からは6校が出場。新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)吹奏楽部(亀谷覚史顧問)が4年連続の金賞、3年ぶりの県代表に選ばれた。立溝まい部長は「真剣に楽器と向き合って練習に取り組み、関西大会では120%の力が出せるようにしたい」と意気込んでいる。
新宮高校は『リンコドンティプス―蒼き海の守り神―』で、小編成26人で出場した。立溝部長は「場面転換が多く、景色や色合いなどが分かりやすく描かれている曲。壮大な雰囲気の所が何カ所かあり、吹いていて楽しいです。拍子を変えるところが難しく、和音のずれも気になります」。
県コンクールでは初日のトップバッターを務めた。「緊張や不安がありました。練習通りの力は出し切れませんでしたが、それでもできる限りの演奏ができたと思います。部員のみんなも金賞の発表を受けられることを楽しみにしており、とてもうれしかったです」と語った。
関西コンクールには、これまで悔しい思いをしてきた先輩の気持ちも持って行きたいとし「自分たちの限界を超えられるくらいのいい演奏をしたいです」と話していた。
コンクール前には長年使っている楽器の一部に不具合が生じ、急きょ代替品をレンタルしての出場となった。「例年以上にチームの状態も不安定で、トップバッターという絶対的に不利な状況だった」と亀谷顧問。「結果は求めず新高らしい演奏をしたいと思っていました。発表では『ゴールド』の言葉に例年落ち着いている生徒らも泣き崩れており、僕自身も驚きました」。
関西に向け「年々少しずつ成長していますが、当地方では他校と対抗してコンテストに出場したり、演奏を聞いたりする機会もなく、本番で緊張し、萎縮してしまいます。伸び伸びと演奏してほしく、本来発揮できる力は別次元なので、本番でその力を出し切りたい。課題は多いです。県代表として他のバンドの思いも背負っている。まずは自分に負けず、練習したことを発揮できるよう内面を磨き上げてほしい。それができれば、もっといい形で現れると思うし、苦労をはじき返す音楽を作ってくれると信じています」と話していた。
□ □
各校の結果は次の通り。
■金賞
▽県立新宮高校(県代表・県知事賞)
■銀賞
▽新宮市立緑丘中学校
▽那智勝浦町立那智中学校
■銅賞
▽県立串本古座高校
▽新宮市立光洋中学校
▽近畿大学附属新宮高校・中学校
(2017年8月10日付紙面より)
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和歌山とスペインの合唱団が奉納演奏 (那智勝浦町那智山 )
和歌山市を拠点に活動する和歌山児童合唱団(岩橋延直育成会会長)とスペイン・バルセロナのアミクス・デ・ラ・ウニオ(アミクス)児童合唱団は8日、那智大社創建1700年・青岸渡寺西国三十三所草創1300年を記念して那智勝浦町那智山の両社寺で奉納演奏を催した。境内に和歌山の中高生団員41人とアミクスの中高生団員38人の清らかな歌声が響いた。
2016年5月にブルガリアで開かれた第37回May国際合唱コンクールをきっかけに両団は知り合い、アミクスから「日本でコンサートを行いたい」という希望を受けて、創建草創記念の年と重なることもあって今回の演奏が実現した。アミクスが日本で公演するのは初めてだという。合唱団一行は那智大社本殿前、青岸渡寺の那智の滝展望地、飛瀧神社で「ふるさと」や「Song of hope」など複数曲を合同合唱、奉納した。
和歌山児童合唱団員で私立開智高校2年の西川千尋さん(17)は「ブルガリアで会った時から今日が楽しみでした。このような神聖な場所で生の歌が聴けて、共演もできてうれしい。観客の皆さんもしっかり聴いてくれて、歌が届けられたと思う」。
アミクス児童合唱団のパウラ・コロナド・ソリアーノさん(17)は「那智の滝がすごくすてきで、神様が宿る自然と私たちの歌を一緒に楽しんでいただけるのは、とても光栄なこと。自然と観客がつながる感覚があった」と奉納時の印象を語った。
アミクスの講師で指揮者のジュゼップ・ヴィラ・ジョベルさん(46)は「観光だと信仰など深いところまで知ることができない。この場所で演奏できたのは、幸せなこと。自然と芸術が融合できたのは素晴らしい」と話した。
この日は奉納演奏のほか、町立市野々小学校でコンサートが開かれ、地域住民と同校児童に日本とスペインの合唱曲全10曲を披露した。市野々小児童会の中村悠寿副会長(5年)は「コンサートを開いてくれてありがとうございました。歌声がとてもきれいで、スペインの楽曲は日本のものと違っていて良かったです」と感謝を述べた。
(2017年8月10日付紙面より)
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KAK第2弾第2回活動 (古座川町 )
古座川町教育委員会(和田充旦教育長)主催事業「KozagawaAdventureKids(KAK)」の本年度第2弾第2回活動が5日、古座川町民体育館であり町内の小学1~6年生35人が古座川の伝統漁法「ウナギ石漁」の仕組みを教わるなどした。
同町子ども教育15年プランに掲げられた3大重点活動の一つ、体験活動「古座川アドベンチャープログラム(KAP)」を社会教育領域で展開する同事業。本年度第2弾のテーマは「みんなで古座川天然うなぎをとろう!~伝統漁法うなぎ石漁を学ぼう!~」で、事前の申し込みでは37人が参加を希望したという。
第1回活動は7月21日にあり、ウナギ取り名人の細井孝哲さんと一緒にウナギ石漁の仕掛けを、少女峰前の古座川の瀬に五つ作った。第2回活動は漁に臨む計画だったが、台風5号に伴う雨を警戒した七川ダムの事前放流で水位が上がり、仕掛けが水没したためやむなく中止。会場を同館に変更し、環境学習や天然ウナギの調理実演見学と試食のみ実施した。
活動冒頭、ウナギを捕る感覚だけでも伝えたいとして、細井さんが体長80㌢の天然ウナギをたらいに入れて捕り方を紹介。代表3人にウナギばさみで捕まえ方を実践指導してこつを伝えた。
環境学習では県環境学習アドバイザーの瀧野秀二さん(=熊野自然保護連絡協議会副会長)が、ウナギ石漁の仕組みを解説した。仕掛け「ウナギ石」はウナギのエサになるハゼの仲間やエビ類なども隠れ家にするので、ウナギにとっては天敵のカワウやサギから身を守ると同時にエサを探す手間もない快適な居場所。それをウナギが好むきれいな状態(隙間が詰まっていない状態)で作り出して誘い込むのがこの漁の仕組みで、同じ理屈でしば束を沈めて捕る方法もあると紹介した。
併せてウナギ以外に川で観察できる生き物や川石の裏に張り付いている虫の種類と数を調べると川のきれいさがわかる(=スコア法)ことにも触れ、「古座川はスコア法で10点満点中8~9点が取れるきれいな川。だからこそ大切にしてほしい」と呼び掛けた。
学習後は南紀月の瀬温泉ぼたん荘の深海政也料理長らによるさばき方や調理を見学。焼き上がった古座川産天然ウナギのかば焼きをうな丼にし、命をいただくことへの感謝を胸に抱きながらみんなで味わって活動を締めくくった。
(2017年8月10日付紙面より)
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熊野マウンテンビルディング
新宮市熊野川町上長井の熊野マウンテンビルディング(南方商店前)のギャラリースペースで若手作家たちの作品展『健康』が開催されている。9月上旬まで。不定休で、開場時間は午前10時ごろから午後4時ごろまで。入場無料。
作品を展示している作家は、ジュエリー作家の高瀬大輔さん、折り紙職人の太田弘昭さん、プログラマーの齋藤雄介さん、写真家の秦雅則さんら。拾った石を乗せる指輪、フイルムを腐敗させた写真など計約20点を並べている。
現在、ビルを管理しているのは写真家の芹川由起子さん(33)=東京都。自らも作品を制作中で、近く展示する。
芹川さんは「健全な考え方、健康的なものを応援するプロジェクトです。日常でないことが考えられる場所になればと思っています」と来場を呼び掛けている。
(2017年8月10日付紙面より)
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紀南十高校リーグ秋季リーグ戦
新宮弓友会主催の月例射会
トルベリーノカップキッズ大会
創建1700年を祝い (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、舞踊指導者で構成する「三踊(さんよう)の会」による創建1700年を祝う舞の奉納があった。
会のメンバーは西川友千恵さん(日舞)、川上邦子さん(現代舞踊)、竹中みどりさん(フラ)の3人。いずれもこの地方の先駆者的存在で、尾鷲市から串本町間で多くの踊り手を育ててきた。午後6時すぎのスタートにもかかわらず、拝殿には約100人の関係者や一般の人たちが集まり、3人の踊りに見入った。
奉納は竹中さんがフラの打楽器イプヘケで大王をたたえる曲「カラカウア」を演奏して始まり、川上さんが熊野の地で守られ、今があることにお礼の気持ちを込めて「熊野に生きる ありがとう」を静かに、時には躍動的に全身で生の喜びを表現した。竹中さんは笑顔を絶やさず、柔らかな動きで世界の平和を祈念しつつ、「ハナレイ・ムーン」を。西川さんは、神の前で踊れる光栄を胸に秘め、りんとした舞いで「四君子」をみやびに表現。三者三様の踊りで大社の歴史と存在に、改めて感謝を表現した。踊り終えた3人は「この年まで踊れ、本当に幸せ」「緊張したが神を感じた」「踊りがあったから、熊野が好きになった」などと、それぞれに思いを語った。
男成宮司は三踊の会に感謝状を授与。「素晴らしい踊りの奉納」とたたえながら「踊りは神にささげるところから始まったと思う。道を究められた先生方だが、さらに高みを目指してご精進を」と一層の活躍を願った。
(2017年8月9日付紙面より)
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台風5号、紀伊半島通過
台風5号は7日午後3時30分ごろ和歌山県北部に上陸し、熊野地方にも激しい雨を降らせた。那智勝浦町では天満地区薬師谷付近の4世帯に避難勧告が発令され、田辺市本宮町では午後1時に大塔川の水位が上昇、川湯地区の30世帯に避難指示が出された。同日午後7時ごろまでには雨もやみ、避難発令も全て解除された。8日午前11時現在、大きな被害の情報は入っていない。
気象庁によると7日の雨量は三重県御浜町で206・5㍉を観測、古座川町西川276・0㍉、新宮市で165・5㍉だった。
那智勝浦町では7日午前8時40分に町内6地区に避難準備・高齢者等避難開始が発令され、市野々小学校に13人、福祉健康センターに9人、体育文化会館に7人の計29人が避難した。新宮市では旧新宮市内7カ所、旧熊野川町内に14カ所の避難所を開設。午後1時には33世帯47人が避難した。
古座川町では平井地区11人をはじめ、町内の10カ所の避難所に計28人が避難した。串本町では田原、古座、姫、串本、上田原の5地区で9世帯10人が避難した。
関西電力によると那智勝浦町で40戸、古座川町で20戸が停電した。
県の調べでは田辺市神子浜で80歳の女性が風にあおられ転倒して軽症、和歌山市西浜で76歳女性の原動機付き自転車が風にあおられ軽乗用車と接触して骨折するなど人的な被害が出ている。日高川高津尾の鳴滝歩道橋つり架線が断線するなど物的被害も県北部に集中している。
気象庁によると台風5号は8日午前8時現在、新潟県糸魚川市の北西約40㌔にあって、北北東へ1時間に25㌔のゆっくりした速さで進んでいる。
(2017年8月9日付紙面より)
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にぎわった「紀和の火祭り」 (熊野市 )
熊野市紀和町小川口の北山川河川敷で5日、「紀和の火祭り」が催された。近づく台風の影響が心配されたが、主催者発表で約3500人が炎の祭典を楽しんだ。実行委員会(岡本尚委員長)が主催した。
午後6時には夜店がオープン。紀和特産のキジ肉の手羽焼きなど地元特産品が並び、ビアガーデンも人気を集めた。高さ20㍍の柱に取り付けた籠に燃えるたいまつを投げ込む「柱まつり」では、50人の若者がたいまつをくるくると回しながら籠をめがけ、次々に放り投げた。たいまつが命中すると、中に仕掛けられた花火が火を噴き、周囲を明るく照らし出して来場者から大きな拍手が送られた。
この行事は、あらゆる災害をたいまつとともに夜空に放つことで、いかだ流しのいかだ師たちの安全や無病息災、豊漁、五穀豊穣(ほうじょう)などを願う伝統行事。一時途絶えていたが、有志が復活させ、今年で29回目。ソーラン踊りや地元出身のプロ歌手紀の川良子さんのミニコンサートなどに続いて、幕末に住民が作った木製大砲「北山砲(づつ)」の発射や打ち上げ花火もあった。
河上敢二熊野市長は過疎高齢化が進む紀和町に「スポーツ人口が増えている」と喜び、岡本委員長は「今から本当の火祭り。見てね」と気勢を上げた。
(2017年8月9日付紙面より)
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福竜丸歴史展関係イベント (串本町 )
串本町役場古座分庁舎で5、6の2日間、「第5福竜丸=第7事代丸建造70年歴史展」関係イベントが開かれた。6日の対談では東京都立第五福竜丸展示館の市田真理学芸員と同展を監修した仲江孝丸実行委員が語り合った。仲江実行委員は「国連の核兵器禁止条約採択のきっかけがビキニ事件であり、それを世界に知らしめたのが第五福竜丸。建造の地の一人として次の世代にそう語り継げるよう今後も取り組む」と思いを掲げた。
福竜丸の歴史展実行委員会(藤田勝彦会長)主催、同町教育委員会後援。同展は1日から6日まで同庁舎1階ロビーであり、マグロ漁船第五福竜丸の前身であるカツオ漁船第七事代丸を建造した古座造船所や立地・字中洲の歴史と第五福竜丸が被ばくしたビキニ事件から核兵器禁止条約採択までの経緯を並列させた構成で史実を伝えた。
併せて5日は同庁舎3階大会議室で映画上映があり、約80人がドキュメンタリー作品「放射線を浴びたX年後」を鑑賞。太平洋域における核実験の影響、とりわけ第五福竜丸以外の被ばく漁船や船員らがどのような扱いを受けその後を生きたかを遺族の心境談話も交えて知る機会を持った。
6日の講演と対談は約40人が聴講した。藤田会長のあいさつを経て始まった講演では、東京都立第五福竜丸展示館の市田学芸員が「第五福竜丸の航海はつづく」と題して登壇。
今年2月のマーシャル諸島(=実験場となったビキニ環礁を含む海域)における聞き取り調査の成果として現地の人々の実直な思いを伝達し、7月に国連交渉会議で採択された核兵器禁止条約との対比で「陸揚げされ海を進むことはもうないが、核兵器のない未来に向けて今も航海を続けている」と現在の第五福竜丸を位置づけた。
続く対談で仲江さんは字中洲の歴史や古座造船所がカツオ漁船第七事代丸を建造した経緯など、市田さんは第五福竜丸被ばく後の調査が打ち切られた時の状況やその後も続いた太平洋での核実験の経緯などを報告した。
会場からは大腸がんになる日本人が多いことと核実験の因果関係を問う質問などがあり、市田さんは「長期被ばくについては誰も責任が負えず、誰も評価できないのが現実」としつつ、後の調査で明らかになった放射性物質拡散状況を示す資料の一部を示し、当時はとんでもない環境汚染があったことを示唆するなどした。
一連のイベントを終えて藤田会長は「この地で第五福竜丸の前身、第七事代丸が建造され、原水爆禁止運動の礎になっているという経緯を改めて認識する機会になった。この成果をしっかりと次世代へつなぎ、一日も早く核のない世界を作る一端にできれば」と語った。
(2017年8月9日付紙面より)
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防災列車「鉃學」を体験 (串本古座高 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)の1年生107人が7月31日、JRきのくに線の串本―新宮間で鉄道防災教育・地域学習列車「鉃學」に乗車した。緊急停車した列車からの避難を体験するとともに地域の歴史や南紀熊野ジオパークを学んだ。
「鉃學」は和歌山大学クロスカル教育機構生涯学習部門西川一弘研究室がJR西日本の協力で実施している取り組みで、今回3回目。鉄道からの津波避難協力者を拡大することなどが目的で、将来的には修学旅行やツアー商品化を目指している。
訓練は列車が走行中に震度7の地震が発生したと想定。緊急地震速報を受け、市内で緊急停車した車両から生徒たちは飛び降り、車掌らの誘導で約200㍍先の高台まで走って逃げた。
生徒たちは緊急停車するまでの間、鉄道会社初の緊急用降車台を見学したほか、避難はしごの使い方を学習。案内に従って九龍島(くろしま)などのジオサイトを車内から見学した。
訓練を終え、西川准教授(38)は「電車をよく利用する高校生たちに率先避難者になってもらうことが一番の狙い。いかに生徒たちに解説を聞いてもらいやすくするかが課題です」。
浅野瑠花さん(15)は「はしごの使い方がためになりました。たまに電車を活用するので、いざいう時に役に立てば」と話していた。
(2017年8月2日付紙面より)
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8月16日の柱松本番に向け (新宮市 )
新宮市の佐野柱松実行委員会(瀬古尊夫会長)は7月30日、「佐野柱松」の周知のためののぼり旗立てとポスター貼りをした。
佐野柱松は、害虫駆除や五穀豊穣(ほうじょう)を願い行われてきた伝統の祭り。戦時中に一時中断し、1948年に佐野青年会が復活させたが58年夏の開催以降再び中断。93年に同実行委員会が復活させた。
当日は同市佐野の新宮港緑地公園で、サニーサイドジャズオーケストラ、紀宝楽の演奏、くろしお児童館児童らの踊りやアイスカービングとバルーンアートのステージ、花火などを予定している。
30日の活動には会員約20人が参加。協力してのぼり旗を用意し旗3班、ポスター2班に分かれて地域内を回った。
職場の上司に誘われて今年入会した森岡久貴さん(19)は「とにかく頑張りたい」。加藤誠人さん(36)は「地域内に勤めており、今までこういうことに参加したことがなく手伝いたいと入会しました。初めて柱松を見たのは小学生の頃で、25年間通して開催していることがすごいと感じています。運営サイドの勉強もさせていただき、末永く続くよう頑張りたい」。上本大輔さん(31)は「誘われて、少しでも地域の役に立てればと参加しました。最後の打ち上げもすごく盛り上がっているという印象。子どもが2人いるので、子どもが楽しんでくれるよう、佐野区に人が来てくれるよう頑張っていきたい」と話していた。
(2017年8月2日付紙面より)
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福竜丸建造70年展始まる (串本町 )
串本町役場古座分庁舎1階ロビーで1日、「第5福竜丸=第7事代丸建造70年歴史展」が始まった。期間は6日(日)までで、開場時間は午前8時30分~午後5時、入場無料。5日(土)と6日はイベントも計画されている。
第五福竜丸は1954(昭和29)年3月、マーシャル諸島ビキニ環礁で行われた水爆実験に伴う放射性降下物(通称・死の灰)を浴びて被曝した遠洋マグロ漁船。その前身は1947(昭和22)年3月に現在の串本町中湊の字中洲にあった古座造船所から進水したカツオ漁船第7事代(ことしろ)丸で、今年は建造70年にあたる。
その節目に合わせて計画した今回の展示は、建造の地「字中洲」や古座造船所の歴史、第五福竜丸被曝当時の汚染マグロ被害や核兵器廃絶の世界情勢を、写真や図面、解説パネルやジオラマで伝える内容。ジオラマは同実行委員会の手作りで、現在は自然回帰している字中洲が建造当時どのような状態(今より若干中湊寄り)にあり、どのように活用されていたかを見て取れる形に仕上がっている。
関連のイベントとして5日午前10時、午後1時、午後3時の3回、映画「放射線を浴びたX年後」を上映。6日午後1時30分から、第五福竜丸記念館の市田真理学芸員を迎えて講演「第5福竜丸の航海はつづく」や福竜丸建造の語り部・姫鹿尾菜(ひめひじき)さんとの対談が行われる。いずれも入場無料。
同展を主に監修した仲江孝丸実行委員(59)によると、字中洲の成立から今年7月7日の国連核兵器禁止条約制定に向けた交渉会議による同条約採択までの経緯を一筋の流れとしてまとめたそうで、「核兵器そのものはあかんと誰しも言うが、一方では核の傘といい正当化する動きもある。福竜丸建造の地で暮らす者としては、核兵器の愚かさや廃止の展望を伝えて一緒に考えてほしいという思い。建造70年を機に字中洲の成立から核兵器禁止条約まで一連の歴史を一筋にして示し、過去の誤った認識の是正も含めて皆さんに伝えていきたい」とコメント。その思いの象徴として、同展冊子「語り継ごう 第5福竜丸=第7事代丸建造70年の歴史」500部を作成し、関係各所への配布後の残部400部を来場者にも配り託す。
問い合わせは同実行委員会事務局(電話0735・62・0006、役場教育課内)まで。
(2017年8月2日付紙面より)
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熊野芸術文化セミナーに71人
「2017熊野芸術文化セミナー~伊作の心にふれる、創る~」(新宮市など主催)が7月29、30の両日、同市高田の高田グリーンランドであった。文化学院や熊野美術協会講師の下、今年は「色彩構成にドローイングを体験しよう」をテーマに水彩鉛筆絵画に挑戦した。
日本の近代建築と自由主義教育の先駆者で名誉市民の西村伊作(1884~1963年)が創設した文化学院(東京都)と提携して毎年開催されているセミナーで、今年16回目。今回は新宮市を中心に遠くは名古屋市などから10代から80代までの参加があった。
参加者たちは小さく長方形に切った和紙に色を付け、裏返してパネルに並べ、水を染み込ませた筆で色を写した。その上から思い思いの絵を描いて仕上げ、額装も作った。
2回目の参加の佐藤真由美さん(31)=新宮市佐野=は「思い通りに色が付かず、ゴールがどんどん変わりましたが、知らない世界に迷い込んだようで楽しかったです」。
第1回から講師を務めている文化学院総合芸術学科常勤講師の上野秀一さん(61)は「参加者の期待に応えようと毎年違うものに挑戦していますが、参加者が減らないことに驚いています。新宮の人は自分なりにどんどん制作を進めていく人が多く、芸術に向いていると思います」。
同セミナー実行委員長の清水雅昭さん(61)は「独特な表現を体感してもらうことが目的でしたので、狙い通りになりました。参加者の6~7割がリピーター。芸術を通して参加者同士のつながりができるのもこのセミナーの良いところです」と話していた。
開講式で田岡実千年市長は「リピーターが多く、新宮市の文化行事として、なくてはならない行事になっています」とあいさつした。
(2017年8月2日付紙面より)
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平野杯空友会国際親善交流空手道大会