神倉小運営協議会が文科大臣表彰 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校の運営協議会(下岡輝子会長)がこのほど、令和2年度「地域学校協働活動」推進に係る文部科学大臣表彰を受賞した。25日に文部科学省旧文部省庁舎講堂(東京都千代田区)で開催された表彰式にオンラインで出席。下岡会長は表彰状を手に「関わっていただいた皆さんのおかげ」と喜びを語った。
文科省では、公民館および地域学校協働活動のうち、特に事業内容・方法などが他の模範と認められるものに対し、「優良公民館表彰」と「『地域学校協働活動』推進に係る文部科学大臣表彰」を行っている。
本年度の文部科学大臣表彰被表彰活動は、同協議会を含めて全国で111活動。同協議会は学年の発達段階に応じ地域の文化を推進する取り組みを実施していることなどが評価された。
子どもたちに市の歴史や文化を学び愛着を持ってもらおうと、2019(平成31)年2月の「御燈祭(おとうまつ)りの授業」を皮切りに「ヤタガラス子ども未来プロジェクト~ふるさとの未来を託せる子どもの育成~」をスタートさせた同協議会。
以降も「ふるさとへの思いの醸成」と「コミュニケーション能力の向上」の二つを目標に定め、保護者OBやボランティア有志、教職員らの協力のもと、郷土の文化や歴史について子どもたちが学びを深めるための活動を実施。これまで▽仲之町商店街を知ろう▽たいまつ・わらじ作り▽地元の伝説を学ぶフィールドワーク―などのサポートを展開してきた。
下岡会長、大田講平・石原貞代両副会長は26日、市役所を訪れ田岡実千年市長に受賞を報告。「あくまでも通過点。これからも継続して取り組みを進めていきたい」と口をそろえた。
田岡市長は「地域の歴史や文化を肌で感じることができる素晴らしい取り組み」と活動をたたえ、「GIGAスクール構想などITが進む中でも、基本的に大事なのは生きていく力。困難な中にあっても元気に頑張れる力の醸成にも寄与しているのでは」。
同校の藪中秀樹校長は「学校だけでは手が回らない。協議会をはじめとした皆さんの協力を得て、同じ方向に向かって活動ができている」と感謝を示した。
(2021年2月28日付紙面より)
警察署協議会定例会議 (新宮警察署 )
本年度1回目となる令和2年度新宮警察署協議会定例会議が25日、同署で開かれた。𦚰口光太郎会長ら委員が出席。令和2年度の総括と3年度の取り組み方針を聞き意見交換をした。
警察署協議会は管轄区域内の地域安全や警察署の業務運営について住民の声を代表する委員から意見を聞き、より良い運営を検討する機関。県内14署に設置されている。
𦚰口会長は署員への敬意を示し、昨年10月に開催された「和歌山県・警察署協議会・代表者会議」に出席したことを報告。
コロナ禍で開催が困難な状況において、当会議も本年度最初で最後となったことに触れ「有意義な会議にしたいと思っている。委員の意見を参考に、引き続き管内住民の安心安全のために活動を」と呼び掛けた。
小畑博昭署長は、昨年の県内の治安情勢について、刑法犯認知件数は3899件で前年比マイナス464件と大幅に減少し、人身交通事故は1585件で前年比マイナス274件と、ともに2002(平成14)年から19年連続で減少していると説明。
死亡事故に関しては18件(前年比マイナス15件)で、全国的に見ても鳥取県(17件)に次ぐ2番目に低い数字であることを紹介し「当署でも管内に応じた取り組みを推進し、交通死亡事故や特殊詐欺事件の発生をゼロに抑えることができた。県警の大きな目標に貢献できたと感じている」。
現在の状況については「昨年はコロナの影響で警察活動も制限され、行事や啓発活動などが延期・中止となった。現在も終息が見えず、社会情勢も急変している。適切に警察業務を推進していく上で新たな課題も生じている」と述べ、さらなる協力を求めた。
(2021年2月28日付紙面より)
広域市町村集まり会議 (新宮・東牟婁 )
新宮広域圏公設地方卸売市場の管理運営を行う新宮周辺広域市町村圏事務組合議会(議長・堀順一郎那智勝浦町長)はこのほど、新宮市広域圏地方卸売市場で令和3年第1回定例会を開いた。そのほか、東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合と紀南学園事務組合の議会が開かれ一般会計補正予算や一般会計予算、特別会計予算などが議論された。
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事務局は2020(令和2)年度の青果物の取扱量について、1527㌧(昨年対比3・4%減、54㌧減)で、取扱高が5億7134万9000円(5・7%増、3088万1000円増)と報告した。青果物の8月以降の状況については、昨年取引が縮小傾向となり課題であった量販店や大手スーパーについては営業努力や充実した内容によって取引増につながったと説明。売り上げが上がった要因として「巣ごもり消費」「猛暑や大雨などの天候の影響から作物が品薄になり、相場高で推移したこと」と述べた。
那智勝浦町産の「くろしおイチゴ」が昨年より1カ月早く出荷されたことや順調な入荷により、果実の取扱高は昨年を大きく上回った。
水産物については、海水温の関係から旬の魚の入荷が少なく、鮮魚は昨年対比で毎月売り上げを落とす状況と報告。新型コロナウイルスによって飲食店や宿泊施設の利用客が減り、小売店との取引が減少しているとした。
コロナによる生鮮食料品への影響から取扱高の低迷も予想されるが、じゃばらいずや関係機関と協力し、インターネットを活用した場外取引の推進に取り組んでいると話した。
事務局は▽人口減少に伴う個人消費の減少▽市場外流通の拡大による取扱高の減少▽開設35年を迎えた同市場の老朽化対策―などを挙げ、市場の機能を担う卸売業者の経営も厳しくなっていると主張。
同市場が安定的な経営のための戦略の策定が必要とし、経営状況の把握・分析を行い、財政計画を中心とした国が求める経営戦略を作成したとし、計画期間は令和3年度から12年度の10カ年であると述べた。
令和3年度の一般会計予算は前年度より26万2000円減の632万円を計上、全ての議案が可決された。
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公文書の開示に関する条例の制定の議案では、議員から制定理由が問われた。事務局はこれまで制定していなかったことや、関係市町村の住民から職員数などについて3件の請求があったためと答弁した。
経営状況について事務局は、独立採算が難しい状況にあると説明。2018(平成30)年度と比較し、収入増となったが、これまで以上に収入増に努力しながら、コスト削減に取り組んでいくと報告した。
経営の基本方針として、今後は人件費を含めた抜本的な経営改善に取り組み、社会福祉事業に求められる安定的な継続性の担保とサービスの質の向上を目指し、利用者により一層の安心・安全なサービス提供を行っていくとした。
今後の目標としては▽職員の給与費削減▽委託費の見直しを図る▽運営費用削減を行う―ことで収支ギャップの改善を図り、黒字化を目指していくと説明。
令和3年度の一般会計予算は1723万9000円減の4億8136万9000円を計上し、可決された。
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管理者の田岡実千年新宮市長はコロナの影響で児童・生徒が学園屋内で過ごす時間が多くなっていることや、多額の寄付金、食材、家電製品などの寄付があったと説明。
令和2年度から設計を進めている園舎の改築については、令和5年度の完成を目指していることが報告された。
一般会計予算は3004万4000円減の1億1962万1000円を計上。全議案が可決された。
(2021年2月28日付紙面より)
男性限定交流会に23人 (紀宝町 )
紀宝町ボランティア・市民活動センター(神園敏昭運営委員長)による男性限定交流会が25日、町福祉センターであった。「mottoひょうご」事務局長の栗木剛さんがオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って兵庫県から生中継で講演し、男性ボランティアのきっかけづくりを伝えた。
ボランティア活動の地域デビューを応援する企画。町内外のボランティアグループなどに所属する23人が参加し、町内二つのボランティア団体が活動紹介した。
約20年前から児童生徒の見守り活動を続けている「神内こども見守りサポーター」の登立節雄さんは「10人ほどで登校時の児童生徒の見守りをしている。児童と一緒に歩いて見守りしている人もいて、ボランティアとして無理せず続けている」。
料理教室とおもちゃ病院の活動をする男流ボランティア「ダンボ」の石井基視さんは「料理は毎回おいしい。おもちゃ病院は電気のプロが3人いて、子どもたちの喜ぶ姿を励みに頑張っている」と話した。
「ボランティアを通じたセカンドライフの過ごし方」をテーマに栗木さんは「定年後の悠々自適生活は30年前の話で、今は人生100年時代。セカンドライフを充実させることは、自身や地域のためになる。男性をボランティアに巻き込んでいくことが重要になる」と話した。
男性をボランティアに誘う際は「家を出る・出会う・話す」から始め、選択肢の一つとしてボランティアがあることを伝えてほしいとし、「好きなことから取り組もう」とハードルを下げて誘うことが必要とした。
「趣味からボランティアに発展することで『生きがい』になる。セカンドライフは第二の人生ではなく、第二の路線。皆さんが仲間を増やす種まきをしましょう」と呼び掛けた。
参加者は四つのグループで活動を紹介し、「誘われて楽しかったら続けてくれると思う」「男性はシャイなので、新しい世界に飛び込むことは難しい。趣味を生かしたボランティアならいいのでは」「男性の特技を生かせる仕組みづくりが必要」などと発表した。
(2021年2月28日付紙面より)
徐福協会が教材「徐福」配布 (新宮市 )
(一財)新宮徐福協会の山口泰郎代表理事は24日、新宮市役所を訪れ、速水盛康教育長に教材「徐福」(B5版12㌻、フルカラー)を贈呈した。教材は新年度、市内の小学5・6年生と中学1年生660人に学校を通じて配布される。
同協会は1989(平成元)年に設立。以降、30年以上にわたり「徐福」の研究や顕彰などを目的に活動を行っている。
コロナ禍で「熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)」や各祭りなどが中止となる中、協会は今から2200年も前に不老不死の薬を求めて新宮の地に渡来したと伝わる「徐福」について「いま一度、広く知ってもらい地域学習の一助となれば」と、昨年7月から教材の作成に着手。このたびの発行に至った。
教材では「徐福」関連以外にも、市内の名所や文化・歴史なども解説。地図も掲載されており、子どもたちが教材を手に市内の見どころを巡ることができる仕様となっている。写真やイラストを使い「子どもに分かりやすい」冊子を目指した。文章を協会理事の山﨑泰さん、イラストを市内在勤の宮本典子さんが担当した。
山口代表理事は「徐福のことを知らない子どもも増えてきている。徐福は市が誇る偉人の一人。教材を通して子どもたちに新宮の魅力を知ってもらいたい」と作成に至った経緯を説明し「コロナが終息したらこの教材を手にご家族やお友達と市内を巡って見聞を広めていただければ」。
速水教育長は「該当学年にふさわしい教材。ふるさと学習に力を入れている市にとって心強く、学習を盛り上げていく大きな力を頂いた」と感謝。「教材を通して子どもたちに歴史の重厚さを伝え、ロマンを与えていけるのでは」と述べた。
教材「徐福」は希望者(子ども優先)に配布も可能。問い合わせは市商工観光課(電話0735・23・3333、内線3006)まで。
(2021年2月25日付紙面より)
串本警察署などが23日、道の駅すさみを利用するドライバーにシカやイノシシへの注意を促す交通事故抑止広報に取り組んだ。
管内で近年、シカやイノシシとの接触事故が多発傾向にある状況を見据えた取り組み。同署交通課によると2018年は14件、19年は22件、20年は20件と推移していて、▽大半がシカ▽大半が国道42号上▽夕方~夜間の発生が多い▽他地域からの車両が接触することが多い―といった特徴があるという。
注意喚起の必要ありと考えた同課は急増傾向を示した昨夏、国道管理者に協力を求めて道路交通情報表示板による注意喚起を始めた。シカやイノシシを避けたことで他の接触事故(自損や対向車との衝突など)へ発展する状況を「出てくるかもしれない」といった危険予測意識で抑えることを狙っているが、同表示板は他の発信すべき情報との兼ね合いで常時とはならないため別系統でチラシによる呼び掛けも立案。交通事故のない社会実現を願うみくまの農業協同組合(JAみくまの)に相談したところ、JA共済として協賛が得られ、JA共済と同署、県交通安全協会串本支部との連名でチラシを作成するに至ったという。
枚数は2000枚。広報実施の強い根拠を得た同課はまず、喚起対象が多く立ち寄る道の駅すさみでの抑止広報を計画。当日は楠間慎也課長ら課員6人と同町の交通指導員1人が手分けしてチラシなどの物資を配り、接触事故多発の状況を伝えて意識を促した。
今後のチラシ活用は未定だが、道の駅くしもと橋杭岩での実施や近隣のサービスエリアなどへの設置を検討中。楠間課長はこのチラシを生かして引き続き事故の危険をなくするために行動し、JAみくまのの支援に応えるとして課員らの広報を指揮していた。
(2021年2月25日付紙面より)
市長らと教委が意見交換 (新宮市 )
新宮市総合教育会議(議長・田岡実千年市長、6人)が22日、市役所であった。コロナ禍における小・中学校の現状や今後の対応、県立高校の再編に伴う市内中学校の現状について当局が報告。田岡市長や教育委員会委員らが質問や意見交換を行った。
同会議は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正(2015年4月1日施行)に伴い、市長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、市の教育の課題やあるべき姿を共有し、同じ方向性の下に連携して教育行政を推進していくために設けられている。
会議には田岡市長、速水盛康教育長、教育委員会の中村八十八さん、湊川大介さん、鈴森早有美さん、石原貞代さんの全員が出席した。
開会に当たり田岡市長が、市立神倉小学校運営協議会が文部科学大臣表彰を受けることが決定したことを報告し「地域の方々にお世話いただき、前向きに地域を盛り上げてくれていることが確実に子どもたちの好影響につながっている」と日頃の協力に感謝を述べた。
当局は、昨年2月以降の臨時休業や修学旅行の延期などについて振り返り「2学期以降は通常通りの学習進度を取り戻し進度は回復しているが、各学校には学習内容の定着を確認しながら本年度最後のまとめをしてもらえるように指示をしている」などと報告。
鈴森委員は「コロナ禍で制限が多い中、先生や友達とできることを見つけてやってくれていると思い、たくましく適応力もあると感じた」。石原委員は「学校に行けない期間が多かったことで、学校の良さや大切さが分かった子どもも多かったのでは」とそれぞれ意見。
中村委員は「リモートでパソコンを使う機会が増えたことによる通信料や電気代が上がったという声は」と質問し、湊川委員は「長い休みによって、意欲のある子どもと意欲のない子どもが顕著になることが気掛かり」と懸念した。
当局は、県立高校再編について県が開催した説明・懇談会の内容をまとめて報告。
小・中学校の年度別の児童・生徒・園児数の推移を説明し、今後の中学校の再編統合検討の必要性や、緑丘・城南・光洋の各中学校の校舎建築年月に触れた。
委員からは学校施設の耐震面を懸念する声が上がり、当局は「体育館が避難所となっている関係もあり外壁の劣化も進行している。何らかの手を入れていく必要はある」と述べた。
田岡市長は「生徒数の減少に伴い、緑丘・城南中学校の2校の統合に向けて検討を」。速水教育長は「市の教育活動活性化のためには今から施策を考えていかなければいけない。新しい中学校としてどんなことができるのか。高校再編と連携した魅力ある学校づくりも視野に入れ、小さな枠組みではなく大きな枠組みの中で学校教育を考えていく必要がある」とし、来年度から素案づくりに向け、多くの意見と理解を得ながら少しずつ進めていきたいと述べた。
(2021年2月25日付紙面より)
宇久井中2年生が漁業学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長、生徒62人)で22日、2年生12人を対象とした漁業学習が開かれた。地元漁師の東信義さんがその日の朝に定置網で取れた寒ブリや漁師が釣り上げたビンチョウマグロを持ち寄り、生徒の目の前でさばいて見せた。
宇久井中が取り組む海洋教育の一環で、宇久井漁業協同組合協力の下20年以上続けられている。那智勝浦町の海で繰り広げられている漁業の仕組みや歴史を学ぶとともに、将来的な漁業後継者を育てることも目的の一つとなっている。
東さんは、サンマやトビウオ、タチウオ、ダツ、ソウダガツオ、ウツボ、ウマヅラハギ、フグ、カネヒラなどを見せながら生息海域や産卵期などの生態を解説。マサバとゴマサバの見分け方や、出世魚であるブリの名称についても説明し、「やっと皆さんに魚を見せる機会が持てた。黒潮蛇行の影響で不漁気味だが、普段はこの3倍の種類の魚が入る」と語った。
解体に移ると、生徒たちは鮮やかな包丁さばきに「切り口がきれい」「すごくおいしそう」と感嘆。マグロの胃や心臓、肝臓、ブリの白子などの内臓も観察した。節に分けて2等分したマグロとブリは、生徒が各家庭に持ち帰って味わった。
柴原優花さんは「宇久井では漁業が盛んだけれど、生で解体を見るのは初めてで新鮮だった。知らない種類の魚もいて、ウマヅラハギの皮を一気に剝ぐ様子も面白かった。魚は、家族でお刺し身にしていただきたい」と話していた。生徒たちは、3月には乗船体験も予定している。
(2021年2月25日付紙面より)
未来を見据えた農業改革とは (新宮市 )
今後、地元の経済を支えるのは“ネギ”かもしれない―。そんな、にわかには信じがたいことがもしも現実になったら?
新宮市木ノ川の道阪耕一さんは、自身が所有する畑で青ネギの栽培を始めた。昨年11月に約15㌃の畑にネギの苗を定植。5月に初収穫を予定している。
「(道阪さんの)ネギの収穫が成功すれば、新宮にとってのイノベーション(新機軸)になるのでは」。“ネギ”に新宮の未来の活路を見いだし、道阪さんと共にネギ畑を見守る井上訓さんはそう話す。そう、全ては「ネギ=イノベーション」のモデルを示すための取り組みなのだ。奈良県五條市の通称「ネギ博士」からの助言を受けつつ、2人は今日もネギ畑と将来の新宮市に思いをはせる。
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新宮市の農業産出額は2億2000万円で、全国順位1557位、県内では30市町村中27位となっている(2016年度産対象)。
強みとなっているのは市の耕種農業の農業産出額全体の50%を占める「米」だが、「米」に焦点を当てるも県内順位は20位にとどまり、また高齢化や後継者不足などの問題から耕作放棄地や休耕田も増え続けている現状にある。
「ネギは休耕田を利用して育てることができる。手間も掛からない上に年間通して寒暖差が小さいこの土地はネギの生産に向いている」。道阪さんと井上さんは声をそろえる。
さらに2人は、ネギ栽培を推進する最大の理由を打ち明ける。「販路が確保できている。われわれはネギを生産するだけ」。
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サクセム株式会社(中里輝茂代表取締役社長、本社=大阪府熊取町)は、紀の川市に工場を置く菓子製造会社だ。
世界の食糧飢餓に苦しむ子どもたちに無償で配布し救援・救済することを目的として備蓄保存パン「ライフブレッド」を開発。先日、新宮市に1000本を寄贈した。
実は洋菓子の製造を始めたのは2014(平成26)年から。08(平成20)年に大阪府堺市で青果販売業として創業したのが始まりだ。
現在、中国産が販売数のほとんどを占めるカットネギ。同社は国産カットネギ市場を構築しようと、16(平成28)年に自社農場で青ネギの栽培を開始。和歌山県全域で地元農家、JAなどの協力のもと、青ネギの委託栽培とカット用青ネギの出荷を始めた。
同社と縁のあった井上さんは、道阪さんと共に国内におけるカットネギの需要に着目。木ノ川や佐野、蜂伏周辺の土壌や気候は「ネギの栽培にうってつけ」と、ネギ博士のお墨付きだ。
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少子高齢化、耕作放棄地や休耕田の増加などの「弱み」を「強み」に―。道阪さんと井上さんはネギを通した「持続可能な農業」の形を模索する。いつの日か生産したネギをカットするプラント工場の建設も視野に入れている。道阪さんは初めてネギを作りたい人や休耕田などを借りたい人に対して相談にも乗っていくという。
「ネギの生産地となれば雇用も生まれる。若い人が農業を職業としてやっていける道筋をつくりたい。ネギを通して地元に誇りを持つ子どもたちが増えてくれる未来を創ることができたら」。若いながらも青々と畑を彩るネギを見つめながら、道阪さんと井上さんは笑顔で語った。
(2021年2月21日付紙面より)
津村雅稔さんが講演 (太地町 )
新宮・東牟婁圏域自立支援協議会は19日、太地町の多目的センターで「LGBTQと人権について考えよう『多様な性を知ろう~和歌山で自分らしく生きる~』」を開催した。NPO法人「チーム紀伊水道」副理事長の津村雅稔さんが講師を務め、自身の体験を踏まえながらセクシュアルマイノリティーや当事者の考え方、取り巻く環境などを講演。会場で17人、ウェブで60人が参加した。
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和歌山県を中心に活動する性的少数者(セクシュアルマイノリティー)と、セクシュアルマイノリティーを理解したいメンバーで構成。セクシュアルマイノリティーへの理解を深めるために和歌山市や橋本市、田辺市を主に、県内各地域で「自分らしさを出せる場」を提供すべく交流会を開催している。
そのほか、人権啓発イベントへのブース出展や講演会、学校や行政、企業、団体への講師派遣、会員制交流サイト(SNS)やホームページの運営、性に関する相談をメールで受け付けている。
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幼い頃に男性が好きであることに気付いた津村さん。周囲との違いに戸惑い、相談相手もおらず、事実を打ち明けられない日々を過ごしていた。
その後、自身以外のセクシュアルマイノリティーの人々と出会い、自分らしく生きることを決意。友人や家族にカミングアウトし、先進地との差に翻弄(ほんろう)されながらも本当の自分を受け止める作業を続け、「自分自身が学び続けること」が自身の人生だと思えるようになったという。
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講演会で津村さんは、性(セクシュアリティー)は男性と女性の二つだけではないと指摘し、性の在り方は人の数だけ多様であると述べ、「生物学的性」(身体の性)「性自認」(自認している性の在り方)「社会的性」(服装や言葉遣い、生活スタイルなど表現する性)「性的指向」(恋愛感情や性的な欲求を持つ相手)の四つを構成要素として上げた。
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取った「LGBT」に触れ、この四つがセクシュアルマイノリティーの全てではないと主張。四つ以外の「Q」というセクシュアリティーが存在するとし、セクシュアリティーが揺れ動いている「クエスチョニング」と、あらゆるセクシュアルマイノリティーを包括的に指す「クィア」があると解説した。
津村さんはセクシュアルマイノリティーの国内統計調査では3~8%であると報告。「あなたの町にもいることを知ってほしい。『いない、知らん、なにもしない』と言う人もいるが、言わせないとする社会があるのは事実」と課題を挙げた。
続いて▽トランスジェンダーの多様性▽性同一性障害者や関する法律▽当事者を傷つける言葉や差別用語▽本人の意志で明らかにするカミングアウト▽無断で第三者に暴露するアウティング▽それぞれのセクシュアリティーを表し、誰もが共通して使える「SOGIE」(ソジ)について▽同性婚▽証明書を発行することで、社会的サービスを受けられる同性パートナーシップ宣誓証明制度―などの詳細を話した。
津村さんは「見た目などで性を決めつけず、いろんな情報を知ってほしい。話しを聴いて、自分らしさを大切にしてほしい。嫌なことにはノーを言い、ノーと言われたら諦めることも大切です」。
今後については「積み重ねていくことが大事。たくさんの選択肢を持っていただきたい」と締めくくった。
(2021年2月21日付紙面より)
ジュニア駅伝に向け壮行会 (那智勝浦町 )
21日(日)に和歌山市内で開催される「第20回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会」を前に19日、那智勝浦町選手団が同町役場で壮行会を開いた。
大会は、各出場チームの選手10人が午前11時に紀三井寺公園陸上競技場をスタート。仲間との絆をたすきでつなぎ、県庁前をゴールとする10区間21・1㌔のコースで競い合う。
壮行会では、団長を務める堀順一郎町長が練習を重ねてきた選手たちに「30人の選手の皆さんはそれぞれの学年、学校、何より那智勝浦町の代表。自信と誇りを持ってください。昨年は過去最高の順位でした。今年はその記録を塗り替えるような走りをしてもらいたい。健康や体調管理などに尽力いただいた監督やコーチ、各学校の先生、保護者の方々に感謝の気持ちを持って最後までたすきをつないで頑張ってください」と激励した。
寺本尚史監督は「コロナの影響で例年参加している駅伝やマラソン大会、合同練習の中止など、困難な状況の中、しっかりと頑張ってくれました。皆さんにお願いした『あいさつ』『自分で考えてベストを尽くす』『休憩』も積み重ねてくれた。みんなの心と働きが一つになったとき、素晴らしい力を発揮することができます。試合当日は普段の走りをしましょう」とあいさつ。
元マラソン日本記録保持者で、カネボウ化粧品陸上競技部監督を務める高岡寿成さんからメッセージが届いたことを紹介し「一人で走っていると、つらさに我慢ができなくなるが、みんなと一緒に工夫して練習したことを思い出し走り切ってほしいです。諦めずに頑張ってください」と読み上げ士気を高めた。
選手団代表の速水健君(那智中3年)は「選手一同はチームワークを大切にし、一本のたすきを全員でつないで精いっぱい走ることを誓います」と決意を表明していた。
大会の模様は動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でライブ放送され、テレビ和歌山でも午後7時54分から録画放映される。
(2021年2月21日付紙面より)
「カフェいっぷく亭」で (紀宝町 )
毎月1回、日頃の思いを話し合い、交流を深める「カフェいっぷく亭」が17日、紀宝町の鵜殿地域交流センターであった。今回は町みらい健康課の保健師2人が訪問し、新型コロナウイルスの感染防止対策や日常生活で気を付けたいポイントなどを紹介した。
参加者、スタッフ計13人を前に「新型コロナウイルス感染症を防ごう」をテーマに話を進めた。ウイルスは粘膜などの細胞に付着して増えるが、健康な皮膚に入り込むことができず表面に付着するだけのため、手洗いで流すことができると説明した。
感染防止対策として▽手洗い▽マスク着用▽せきエチケット▽人混みを避ける▽定期的に換気する―を挙げた。日常生活では生活リズムを保ち、近所付き合いやサロンなど今まで通り交流を続けることや、散歩、運動を勧めた。
手洗いは①流水でよく手をぬらし石けんを付けて手のひらをよくこする②手の甲を伸ばすようにこする③指先、爪の間を念入りにこする④指の間を洗う⑤親指と手のひらをねじり洗いする⑥手首も忘れず洗う―と手順を紹介。参加者は「手洗いの歌」の歌詞に合わせて正しい手の洗い方を実践した。
(2021年2月21日付紙面より)
森の再生を考える会が植樹 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民団体「森の再生を考える会」(新垣有慶会長)は7日、同町湯川の熊野古道沿いで植樹会を開き、ヤマザクラなど26本を植樹した。和歌山県の「令和2年度未来を彩る花の郷づくり事業」を活用した。
同会は熊野古道の一部であるゆかし潟周辺の昔の景観を再現し、古道を散策する来町者に楽しんでもらうことを目的に活動している。昨年には緑の募金事業を活用し、同町湯川のゆかし潟北側側道沿いにヤマザクラ21本の植樹を行った。
この日は▽なちかつ古道を守る会▽南紀くろしお商工会▽南紀くろしお商工会西部支部▽町観光企画課▽二河公民館▽虹の会▽東牟婁振興局▽くまの里山▽NPO三つの森▽ふるさと共会▽住民▽山下造園―など約50人が参加した。
堀順一郎町長は「当町は自然環境に優しい取り組みを行うため、町民の皆さまに生活を見直していただくきっかけになればと思い、ゼロカーボンシティ宣言をした。ぜひ皆さまとたくさんの桜を植えていきたい」。
濵﨑信雅湯川区長は「今日植樹する苗木が桜の名所となって、熊野古道を散策する皆さまの楽しみになればうれしい」とあいさつした。
参加者は3班に分かれ、それぞれの植樹場所へ移動。スコップなどで穴を掘り、肥料を入れるなどして苗を植えた。獣害対策ネットや倒木防止用の杭を打ち込むなど協力しながら作業に汗を流した。
数年前から同会に参加し助言なども行う熊野自然保護連絡協議会の瀧野秀二副会長は「山桜は常緑樹に負けてしまう恐れもあり、ダニを運ぶシカなどの食害もあるので注意が必要。手を掛けていくことで将来は多くのきれいな花が咲き、子どもたちが楽しめる場所になるはず」と話した。
新垣会長は「元々この周辺は桜があったが、朽ちてしまった。熊野古道周辺に再度、桜を植えることで景観を美しくしたい。先では桜を楽しむための会も作ることができれば」と語った。
(2021年2月10日付紙面より)
西向の成就寺で防火訓練 (串本町 )
串本町西向にある薬王山成就寺(大崎實宗住職)で8日、防火訓練があり串本町消防本部古座消防署とともに出火時の初動の在り方を実践しながら確かめるなどした。
第67回文化財防火デーの趣旨に基づく取り組み。旧古座町域は同寺と古座にある佛光山善照寺が隔年で同訓練をしていて、西暦奇数年は成就寺の巡りに当たる。
同寺には国指定重要文化財「成就寺の芦雪(ろせつ)画(方丈障壁画45面)」を所蔵しているが、44面は県立博物館へ寄託済み。昨年7月に残る1面を修復のため搬出し後に県立博物館へ寄託するため同文化財は堂内に残っていないが、守るべきは同文化財を含む寺宝全般であり、これらを火災から守るため同訓練に臨むこととした。
この日は同寺の大崎住職や檀家らと同署の職員、合わせて20人が参加。庫裏から出火し初期消火に失敗したという想定で同訓練を始め、大崎住職は人命最優先の観点で堂内に火事を伝え参拝者が急ぎ寺門そばまで避難した。119番通報をして消防の到着を待つ間、駆け付けた総代らが手分けして本堂の寺宝(同日はその模擬品を使用)を寺門の外へ持ち出し。到着した職員は境内へホースを引き込み、本堂屋根に放水するところまで実践した。
ホースは延長途中で二股分岐をはさみ、今回は実践を省略したが残る一口からも放水できる状態とした。同署による講評後、総代から守るべき文化財がもうない点で訓練実施の意図を確かめる質問があり、大崎住職は数ある寺宝の中でも本尊と過去帳は絶対に守らなければならないという思いを伝えて引き続きの協力を求めた。
(2021年2月10日付紙面より)
新宮高校の教育現場で
和歌山県教育委員会は現在、県内全ての全日制および定時制県立高校に1万9239台のタブレット型パソコン(PC)端末「Surface Go 2」の導入を進めている。新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長、生徒547人)にも既にPC端末や高速大容量ネットワーク環境(校内LAN)が整備され、積極的に情報通信技術(ICT)を活用した授業づくりが行われている。
政府は現在、義務教育を受ける全ての小・中学生に1人1台の学習用タブレットPCと校内LANを整備する「GIGAスクール構想」を推進している。高校生は対象外だが、低所得世帯の生徒には端末貸与などの支援を行う方針で、必要な費用を本年度の第3次補正予算案に計上した。一方、和歌山県を含む全国11県は、独自に公立高校の1人1台の端末整備を進めており、本年度内にも整備を終える見通しだ。
新宮高校では、昨年12月中旬から生徒にPC端末を配布した。インターネット接続や機器の不具合はおおむね1週間で終息。当初はPCを使う授業の時間のみ端末保管室から持ち出す形を取っていたが、現在では科目数の増加により一日中端末を貸し出すこともあるという。
コミュニケーション英語の岡野恵子教諭は「もともとパワーポイントで授業をしていたこともあり、現在では黒板に板書をすることはほとんどない」と語り、「PC端末の強みはリスニング。教壇にオーディオを置いて音声を流すのではなく、自分の聞きたいところで巻き戻したり、繰り返したりできる」と話す。
体育の創作ダンスでは、グループごとにはやりのK―POPミュージックなどを流し、動画を見ながら練習をしている。丹羽泰一郎教諭は「動画のスロー再生など、生徒から新しい機能を教えてもらうこともある。球技のシュートやランニングフォームを動画で見せることで、生徒の理解も深まるのでは」。
地理の授業では、ルワンダ内戦やチェチェン共和国問題、北アイルランド紛争といった世界の民族紛争の調べ学習に端末を使用。雨郡義和教諭は「自分で調べた内容を共有したり、発表用のスライドで使う画像を探したりするときには便利だが、差別や偏見を含む情報へのリテラシーも必要になる」と課題を述べた。
大きな抵抗感なくPC端末を使った授業スタイルが定着する一方、有害情報への対応や、いかに生徒の学力向上へつなげていくかが課題として浮かび上がる。今後も各校の取り組みに注視が必要だ。
(2021年2月10日付紙面より)
ワクチン事業盛り込んだ補正予算を可決 (新宮市議会 )
新宮市議会(久保智敬議長、15人)は9日、臨時会を開き、新型コロナウイルスワクチン接種推進事業に係る予算を盛り込んだ「令和2年度新宮市一般会計補正予算(第9号)」を審議。全会一致で可決した。
既存システム改修費用、クーポン券印刷および郵送料、ワクチン接種委託料などワクチン接種に関する予算補正を行い、歳入歳出予算の総額に1355万円を追加し、歳入歳出予算の総額を236億3411万6000円とするもの。
審議に当たり、田岡実千年市長が「10都府県で緊急事態宣言が延長となるなどまだまだ収束の兆しは見えてこないが、間もなく開始されるワクチン接種に大きく期待している」とあいさつ。
国の指示の下、市町村において実施するワクチン接種事業に対して「最優先事項であると考え、迅速かつ的確に実施するため先月に新型コロナワクチン接種推進室を設置した。さらに関係課長などで構成する『新宮市コロナワクチン接種推進連絡会』を設置し、全力で進めていきたい」と決意を新たにした。
県が主体となり3月から医療従事者などに優先接種される新型コロナワクチン。ワクチンを保存する超低温冷凍庫は基本型接種施設である市医療センターに設置され、現在のところは市医療センターや連携型接種施設である新宮病院と岩崎病院、県立なぎ看護学校体育館などでの接種を予定している。
対象者は市医療センターや市内医療機関の従事者や消防の救急隊員など約1000人。接種は任意で、新宮保健所は対象者のうち7割程度の接種を見込んでいるという。
高齢者や高齢者施設などの従事者、基礎疾患を有する人、それ以外の市民への接種については、国から3、4、6月に1台ずつ超低温冷凍庫が提供される予定。
接種には自治体が発送するクーポンを受け取り電話などで予約する必要がある。当局は3月中旬から下旬にかけてクーポンと案内を送り、4月から集団接種を先行して進めていく見通しであるとした。
(2021年2月10日付紙面より)
御燈祭り控え青年団らが奉仕 (新宮市 )
国の重要無形民俗文化財「御燈祭(おとうまつ)り」(2月6日)を間近に控えた新宮市の神倉神社で1月31日、神倉青年団員たち約40人がご神体の巨岩「ゴトビキ岩」のしめ縄を張り替えた。
「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており例年、全国から多くの上(あ)がり子が参加して神倉山上でたいまつに御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下りる勇壮な祭り。今年は新型コロナウイルスの影響により、上がり子をはじめ報道関係者、一般撮影者の入山を禁止し、翌7日の餅まきも中止とした。当日は神職や介釈(かいしゃく)などの関係者約15~20人のみで営まれる。
張り替えは当初、24日に予定していたが、雨天のため延期になっていた。この日は祭りの運営を取り仕切り、介釈を務める青年団員や神倉神社奉賛会、市観光協会などが参加。晴天の下、神倉農業実行組合(榎本晶組合長)が寄進した約200㌔(約500株)のわらで編み上げた長さ約30㍍、最大直径約20㌢の大しめ縄を青年団員たちが神倉山山頂付近まで運んで刺股や針金を使用してゴトビキ岩に巻き付けていった。
奉賛会の猪飼三雄会長は「近年、わらの確保が難しくなっているのが気掛かり。天候も心配しましたが、無事に作業を終えることができて良かったです」。
青年団の中山忠吏団長は「しめ縄を少し細くしたことで昨年同様、しっかりと出来上がりました。高所での作業のため、何事もなく張り替えを終えてほっとしている。当日は登れなかった上がり子たちの気持ちも背負いながら団員一同、気を引き締めて奉仕できれば」と話していた。
(2021年2月2日付紙面より)
ウインターキャンプ実施 (潮岬青少年の家 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家(山口和紀所長)が1月30、31日の2日間、主催事業「ウインターキャンプ」を実施した。
このキャンプは例年、1月最終土曜日恒例のイベント「本州最南端の火祭り」と連動する形で実施している。本年度はコロナ禍の情勢により中軸のイベントが中止となったが、キャンプによる集団生活経験の機会として県内の小学4~6年生10人から参加の希望があり、内容を工夫し感染予防対策を講じた上で開く形となった。
今回は密を避けるため、一張一人の割り当てでテントを組み立て。防寒のため体育館内に寝床を整えた後に体験プログラムやキャンプ活動に取り組んだ。
芝焼きの見学に代わる内容として2日目午前にキャンドルを光源とする飾り物の創作を設定し、初日午後は徒歩で同家から出雲にある朝貴神社へ移動し、その裏にある浜で飾り物の材料になりそうな貝殻やシーグラスなどを集めた。
初日夜の体験プログラムはキャンプ相応の自炊や入浴などの集団生活体験をこなし、2日目の朝食では牛乳パックを使ったカートンドッグ作りなど普段の生活にはない調理に挑戦するなどしたという。
(2021年2月2日付紙面より)
濱口政也さんが講話 (新宮市 )
新宮市三輪崎の三輪崎会館で1月30日、三佐木蜂伏地区のサロンがあった。同地区福祉委員や地域住民、包括支援センター職員、ケアマネジャーら30人以上が参加。「くまのなる在宅診療所」の濱口政也院長が在宅医療について講話した。
新型コロナウイルス情勢を鑑み、ソーシャルディスタンスの確保やアクリル板の設置、検温・手指消毒の徹底などの対策を講じて実施された。
濱口院長は同市三輪崎出身。両親と「地域に貢献する」と約束の上医師を目指し、地元に戻ってからは御浜町阿田和の紀南病院で4年間勤務した。
濱口院長は、日本人の死因第1位であるがんについて「病気と闘い抜いて良くなる人はいいが、発見が遅かったりステージが進んで治療が難しい人もいる」。
地方の大病院で打つ手がないと言われて故郷に戻ってきても、治療方法がない状況で紀南病院(三重県の場合)で入院継続するケースが多いと述べ「家に帰りたいと言いながら亡くなっていく人もいる。本当にこれ(継続入院)を望んでいるのか」と思いをつのらせ、紀南病院勤務時に在宅医療を希望したという。
熊野地方においては和歌山県側(市医療センター)と三重県側(紀南病院)で頼れる病院が一つずつしかないと述べ「熊野地方には在宅医療がほとんどない。4年間の(紀南病院)勤務中に『地域の人が困っていることをやれたら。家でいたい人を支えることができたら』と思った。それこそが地域に貢献できることだと感じた」と診療所開設のきっかけを説明。
「痛みのコントロールができれば、患者が家で過ごしたいという思いを支えるのが自分たちの役割と感じている」とし、「状況次第では病院で過ごすことがいい場合もある。家で過ごしたいと思っても医療的な理由からできない人が多かった。そういう人たちをお手伝いすることができれば」と話した。
質疑応答の時間もあり、参加者は「在宅でどういった医療が受けられるのか」「どのくらいの頻度で来てくれるのか」などと質問した。
(2021年2月2日付紙面より)
県内各市町村で通信訓練 (和歌山県 )
和歌山県は1月30日、県内で孤立の可能性のある集落がある28市町を対象に令和2年度の孤立集落通信訓練に取り組んだ。本紙エリアでは那智勝浦、太地、古座川、串本の4町が参加。那智勝浦町では20の自主防災組織がそれぞれの地域で訓練を行った。
孤立の可能性がある集落に配備している市町村にある同報系(固定式)と移動系(携帯式)の防災行政無線などの状態確認や操作確認が目的。集落と各市町村間での通信訓練に加え、県と防災電話を使用した伝達訓練もあった。
当日は午前9時ごろに県南方沖でマグニチュード8・7の地震が発生し、土砂災害の多発や各地で孤立集落が発生している想定で行われた。
県によると、当日は孤立可能性集落の住民や市町村職員、県振興局地域振興部職員、県危機管理局職員などが協力し、198集落400人以上が参加したという。
勝浦第四区自主防災組織では消防コミュニティセンター横の電柱に設置された防災行政無線を使い、同町役場と通信訓練を実施した。
同区の西山泰一区長は「無線機が設置され初の訓練。音声もきれいに聞こえており、ありがたい。今回の訓練を今後に生かしていきたいと思う」と語った。
県防災企画課の担当職員は「訓練を通して、電波状況が悪い箇所の通信環境改善や故障した無線機の早急な修理に努めるとともに、住民の方への定期的な使用方法の説明を行っていく」と話した。
(2021年2月2日付紙面より)