防災マップ制作から6年 (新宮市中央児童館 )
「きっかけは東日本大震災でした」―。新宮市野田の中央児童館に展示されている防災マップを見つめながら、同館の職員はそうつぶやく。防災マップは2015年、当時の小学3年生以上の児童らが児童館行事の一つ「町たんけん」で町中を歩き、調査して制作したものだ。
同館が取り組んでいた「町たんけん」。子どもたちに自分の住む町を実際に歩いてもらい「自分たちが暮らしているまちには何があるのか」を知ってもらうことを目的に実施していた。
「これは何?」。町たんけんに参加した児童が指さしたのは海抜を示す表示だった。児童の疑問から、職員らがふるさとの地形や高低差が気になりだした矢先、東日本大震災が発生した。
職員は「自然災害が恐ろしいものであると理解しつつもどこか非現実なものだと思っていた。でも報道で衝撃的な光景を目の当たりにし、私たち職員はもちろん、子どもたちも災害が身近なものであると感じたようです」。
以降、「町たんけん」という遊びの要素を取り入れながら、災害発生時の避難場所の把握や自分の身を守る意識を養って子ども目線で調べることを目的に防災マップの制作に着手した。
子どもたちは館内で地図帳を広げると地理や高い建物、海抜、危険と思われる場所をチェック。数グループに分かれてカメラを手にしながら職員たちと一緒に計3回、市内を調べたという。集めたデータは地図に海や川、主要道路などを色付けして分かりやすくし、シールや写真で表示した。
巡回バスを利用して遠方にも足を向けた。映像や新聞で震災の様子を見聞きし、災害時に海抜の低い所にいた場合にどうすればいいかなども話し合った。職員の「自分の身は自分で守ることが大事」の言い聞かせに、参加した子どもたちは熱心に耳を傾けていたという。
当時、小学5年生だった参加者の一人・下古谷律武君(近大新宮高2年)は「あの体験を機に視点や意識が変わったと思う。海抜や危険な所を意識して歩くようになった」と振り返る。
「みんなで協力してマップを作った。完成した時はうれしかったし楽しく新鮮な気持ちだった。自分の足で歩いて防災意識を高めるのはとてもいいこと。小さい子たちにも経験してほしい」。
東日本大震災、そして紀伊半島大水害から10年。防災マップの制作から6年が経過した今、児童らが自らの命を守るため、そして防災意識向上のために、地図の更新やさらなる情報が期待される。
しかし、時はコロナ禍。職員は防災マップの更新について具体的な計画は未定であるとしながらも「個人的には機会を見つけていつか再び実施することができれば」と話している。
(2021年4月22日付紙面より)
地域活性化起業人が初業務 (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域子育て支援センター「にこにこキッズ」(戸塚ゆう子センター長)が同町福祉健康センターで実施している「すくすくワークショップ」に20日、先日赴任した地域活性化起業人の島田匡平さんが訪れ、親子で楽しめる体操を指導した。ワークショップに参加した7組17人の親子は笑顔で体操を楽しんだ。
このワークショップは毎月、未就園児とその保護者を対象に実施しており、毎回、同町の民生委員が協力している。
工作後に体操などを行う内容で、これまでにクリスマスリースや雪だるまなどを作成。この日はこいのぼりを作った。
総務省が推進する地域活性化起業人は三大都市圏にある民間企業などの社員が知見を生かして一定期間、地方自治体で地域独自の魅力や価値の向上につながることを目的に活動するもの。
株式会社ルネサンス=東京都=の社員である島田さんは同町福祉課に所属し、世代間の交流による子どもから大人までの体力増進や高齢者の健康づくりなどを行うという。
今回が初の業務となった島田さんは、これまでのキャリアで培った知識や技術を生かし、自身が考案した体操を紹介。足裏などを刺激する「ふれあい」や、子どもを太ももに乗せて両者がバランスを取る「お膝の上でバランス」などの方法を参加者に教え、親子間で触れ合いの時間を過ごした。
戸塚センター長は「専門家の方に教えていただけるのはありがたい。せっかくの機会なのでいろいろ教えていただき、皆さまには親子で健康に過ごしていただけたら」。
島田さんは「お母さまもお子さまも楽しんでいただけて良かった。機会があれば今後もいろんな種目をやっていきたい。今後も皆さまとコミュニケーションを取り、お子さまの体の悩みなども聞いて成長のお手伝いをさせていただきたい」と語った。
来月のワークショップは5月18日(火)、19日(水)の午前10時から「おさんぽカタツムリ」を実施する。
(2021年4月22日付紙面より)
古座街道青空マルシェ (古座川町 )
古座川町高池地内で17日、イベント「古座街道青空マルシェ」があった。当日は雨天に見舞われ、最寄りの屋内へ会場を移して実施。17店舗が並び、密を避けるなど各自対策をして訪れる人々の注目と利用を集めた。
やまさき屋旅館のおかみ、山﨑美知子さんが過去の物産市世話役経験を生かし、心機一転で取り組み始めた交流企画。地元や近隣で扱う品物にこだわりを持つ人に出店を呼び掛け、実現を目指してきた。
初の実施となるこの日はイベント名に掲げた青空に恵まれなかったが、山﨑さんは経験を生かして館内と道向かいにある芳流館互盟社を屋内会場に設定して雨天ながらも実施へとこぎ着けた。
車両販売など一部屋外となったが、移せる出店は全て屋内へ許容した。手狭になることへの対応として手指消毒などの状況を整え、来場者もマスク着用に加え密の回避に協力をしながら場を楽しんだ。
弦楽器を弾きこなすシンガー・ソングライター藍田真一さんのミニライブが呼び水となり、来場の波は序盤に集中。山﨑さんは「若い子がのぼりを立てたり雨の中で交通整理をしてくれたりと快く手伝ってくれ、出店を希望した皆さんも雨やコロナと言いつつほぼ集まってくれた。このつながりがとてもありがたく、盛況になってよかったと思う」と状況を喜び、「この日を選んだのは私。雨になってしまったところは申し訳なかったと思う。次は晴れの日にしたい」と今後の継続実施に意欲を示していた。
(2021年4月22日付紙面より)
妙法山阿弥陀寺で御影供 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南平野にある妙法山阿弥陀(あみだ)寺(谷宏之住職)で20、21の両日、弘法大師御尊像を前に、大師の命日をしのぶ法要「御影供(みえく)」が静かに営まれた。
御影供は例年、多くの参拝者でにぎわう法要。今年は昨年と同様、前夜のお逮夜(たいや)とともに、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から参拝者へは事前に書面などで自粛を呼び掛けた。
そのため、20日は総代のみが参列。僧侶4人が読経し、谷住職が護摩木をたきあげた。
同寺によると、御尊像は檜(ひのき)材寄木造(よせぎづくり)。このほどの修理で1451(宝徳3)年に完成したことが分かり、京都高辻に住む大仏師・大進法橋が彫ったものだという。
創建当初からの姿を残す弘法大師堂は、国の重要文化財指定に向けて現在、第一期の補修工事が完了。今後も工事を進めていくとしている。
弘法大師は真言宗の開祖・空海(774~835年)の別称で、同寺は空海が開山した寺院の一つに数えられている。
女人禁制のない仏域として、女性の信心を広く集めたことから「女人高野」とも呼ばれ、「御影供」と生誕日の法要「青葉祭」が年中行事とされている。
谷住職は「世の中の平和と幸せをご祈とうしました。今年も寂しい形となったが、来年は多くの皆さまにお集まりいただけるようになれば」と語った。
(2021年4月22日付紙面より)
県レスリング新人大会で活躍 (新宮高校 )
第41回マクドナルド・トーナメント
熊野那智大社で「桜花祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「桜花祭(おうかさい)」を営んだ。桜の花のかんざしを挿した巫女(みこ)が那智の滝前で「浦安の舞」を優雅に奉納した。
平安時代に花山法皇(968~1008年)が那智山で千日間の山ごもりをした際に、「木のもとをすみかとすればおのづから花見る人となりぬべきかな」と桜の美しさを詠んだという故事にちなんだ祭典。
神事は本社拝殿と別宮飛瀧(ひろう)神社斎場でそれぞれ営まれた。宮司以下神職の烏帽子(えぼし)や巫女の髪飾りには桜の小枝が付けられ、長さ約1㍍のヤエザクラの枝を幣帛(へいはく)として奉献した。
男成宮司は「昨年の桜花祭は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下の中で営んだ。現在も東京や大阪でまん延しているが、そんな中でも季節の移ろいは変わらず、春を迎え桜が咲いている。厳しい状況だが桜を愛(め)でる気持ちになっていただけたら。今後も感染防止に注意し、一日も早い終息を心から祈念しています」と語った。
神事の後、参列者には桜餅が振る舞われた。
(2021年4月15日付紙面より)
電話がつながりにくい状況 (新宮市 )
新宮市で25日(日)から始まる新型コロナワクチン集団接種の予約受け付けが12日から始まった。初日、翌日ともにコールセンターには電話が殺到しつながりにくい状況に。そういった現状を鑑み、市新型コロナワクチン接種推進室では「接種は予約先着順ではないため、慌てず焦らずに予約を」と呼び掛けている。
65歳以上の高齢者を対象に12日から国内各地で始まったワクチン接種。政府は6月末までに全高齢者約3600万人分を市区町村に配布し終える計画としている。
市では現在、接種・予約受け付け時期をずらして【別表①】①市役所別館②佐野体育館③熊野川総合開発センター④市役所別館―での集団接種を予定。
各会場360人(③熊野川総合開発センターは180人)が定員。現在予約を受け付けているのは①市役所別館のみで予約受け付け期間は16日(金)まで。
①市役所別館②佐野体育館に関しては、定員を超えた場合は高年齢順で受け付けを確定する。受け付けが確定した場合、予約に漏れた場合いずれについても通知が送付される。
コールセンター(電話0120・89・5070)がつながらない場合はFAX(0120・79・5070)もしくは市ホームページ(https://www.city.shingu.lg.jp)・公式LINE(ライン)でも予約可能。FAXの場合は▽FAX番号▽電話番号▽名前▽生年月日(西暦)▽接種券番号(10桁数字)▽希望する接種会場(現在は①のみ)―を記入する。
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個別接種については5月上旬を予定しているが、個別接種が可能な医療機関は現在調整中で予約も受け付けていないため、同推進室では、基礎疾患のある人や接種に不安のある人の相談とは別に、かかりつけ医に対する個別接種の可否や接種日、予約などの問い合わせは通常業務に支障をきたす可能性があるため控えるよう呼び掛けており、「調整でき次第、予約方法と併せてお知らせしたい」としている。
(2021年4月15日付紙面より)
UMOUプロジェクト (紀宝町社協 )
紀宝町社会福祉協議会は三重県共同募金会の「UMOU(うもう)プロジェクト」に協力しており、昨年の募金額が2年連続で三重県内1位となった。
町社協では2014年から活動し、現在は町の協力を得ながら年間を通して羽毛製品の募集を続けており、引き続き協力を呼び掛けている。昨年の実績は4万3600円だった。
このプロジェクトは、使わなくなった羽毛製品を回収し、羽毛をリサイクルさせることで、羽毛の安定供給や環境の保全、障害者の就労支援などに貢献するもの。その羽毛製品が募金となり「赤い羽根共同募金」を通じて紀宝町の地域福祉に使われる。
製品に付いている品質タグにダウン率50%以上の表示がある羽毛の布団やダウンジャケットなどが対象。穴あき、汚れたものなど不要になった羽毛製品も回収可能だという。
町福祉センター内の同協議会まで持ち込みを。問い合わせは、同協議会(電話0735・32・0957)まで。
(2021年4月15日付紙面より)
四村川などに稚アユ放流 (熊野川漁業協同組合 )
アユ釣りシーズンを前に、熊野川漁業協同組合(大嶋邦嗣組合長)は14日、管内流域に稚アユ計1350㌔を放流した。
この日放流したのは、大塔川450㌔、赤木川上流200㌔、高田川150㌔、三越川100㌔などで、田辺市本宮町の四村川では、同組合四村川地区の森俊博さんら約10人が体長7~10㌢の稚アユ450㌔を3カ所に分けて丁寧に放していった。
森さんは「前日の雨の影響もなく、放流を終えることができて安心しました。稚魚のサイズも大きめだったので、無事に大きく成長してくれるのが楽しみ。新型コロナウイルスの影響もあるので、アユ釣りが解禁になった際には感染症対策をしっかり施していただき、楽しんでもらえれば」と話していた。
(2021年4月15日付紙面より)
ホップリーグ東牟婁ブロック大会が開幕
スポ少野球東牟婁予選が開幕
県内は新宮市からスタート
東京五輪の聖火リレーは9日、和歌山県に舞台を移した。3月25日に福島県でスタートしたリレーは、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、三重の各県に続いて8県目。県内のスタート地点となる新宮市では、県道231号あけぼの広角線のみはらし台で出発式が催された。
9、10日の2日にわたって行われる県内のリレーでは、同市、那智勝浦町の「那智の滝」や、串本町の橋杭岩などの景勝地を経て最終地点・橋本市に至る。翌日には奈良県にリレーが引き継がれる。
出発式では、田岡実千年市長が「東京オリンピック開催に先駆け、福島県をスタートした聖火リレーが本日、近畿地方最初の地として新宮で開催できることを心から喜んでいる」と開催への協力に対し、関係各位に感謝を述べた。
「この聖火が東京まで届き、オリンピックが大成功するように祈念します」とあいさつし、1964年東京オリンピック体操金メダリストの早田卓次さん(田辺市出身)に聖火を託した。
早田さんは「コロナ禍で大変な思いをされていると思うが、7月から始まる東京オリ・パラが安心・安全に迎えられるようご支援を」。
トーチは第2走者・新宮市出身で1996年アトランタオリンピックレスリング銅メダリストの太田拓弥さんへ。2011年の紀伊半島大水害で家族5人を亡くした中平史都さん(新宮市)も走者を務め、リレーの舞台を那智勝浦町に預けた。
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同町市野々の大門坂入り口では、ミニセレブレーションが実施された。
堀順一郎町長は「まさに世界遺産のど真ん中となる大門坂から那智の滝までのコース。この素晴らしい場所を全国や世界にPRできる絶好の機会とし、大変期待している」。競技選手らの活躍と祭典の安全開催を願った。
小賀柚那さん(那智中2年)が「しっかりと走りきって地域の方々や、病気で来れなかった私のおじいちゃんにもエールを送りたい」と思いを語り、トーチを手に出走。11人の走者が飛瀧神社目指してリレーをつないだ。
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新宮市と那智勝浦町の走者は次の皆さん。
■新宮市
▽早田卓次▽太田拓弥▽杉浦資史▽加藤玲▽飛鷹このの▽はつ▽福水祐貴▽山本典正▽田中亮▽松下佑太▽中平史都
■那智勝浦町
▽小賀柚那▽湯川夏貫▽前寿馬▽福島伊津美▽松本春美▽けいちゃん▽堤康夫▽橋本純奈▽やす▽星畑太一郎▽西山等
(2021年4月10日付紙面より)
花まつりの平和祈念祭 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長=白井清牧・清蔵寺住職、会員13人)は8日、新宮市福祉センターで花まつりの記念行事「平和祈念祭」を営み、祖国の平和と繁栄を願いながら亡くなった諸英霊の冥福を祈った。
祈念祭には遺族約20人が参列し、住職らの読経の中焼香した。田岡実千年市長は、戦後、市においても平和で心豊かに生活できる魅力と活力のあるまちづくりのためにまい進してこられたことは戦没者のご加護と遺族の協力・支援のたまものであるとし「現在享受している平和と繁栄が戦争によって心ならずとも命を落とした方々の犠牲の上に築かれていることを忘れてはならない」と追悼の辞を述べた。
池上順一・市遺族連合会長は「先の大戦より76年を迎えるが、世界からは今なお戦禍の報が絶えることはない。その中にあってわが国が平和でいられるのは祖国の繁栄と将来を案じながら尊い命をささげられた諸霊の思いが導いてくださったから。コロナ禍を乗り越え、あの戦争を後世に伝え続けるとともに、世界平和への道を進むことを誓う」と祭辞を読み上げた。
祈念祭後には「新型コロナウイルス終息祈願法要」が営まれ、世界的に猛威を振るい続ける新型コロナの早期終息を願い、般若心経などが唱えられた。
(2021年4月10日付紙面より)
勝浦LC協力し大泰寺に植樹 (那智勝浦町 )
勝浦ライオンズクラブ(勝浦LC、鵜殿忠德会長)の会員ら25人は6日、那智勝浦町下和田の古刹、定光山大泰寺(西山十海住職)に山アジサイ100本を植樹した。同クラブ奉仕委員長の樋口眞奈美さんは「新型コロナの収束を祈願し植樹した。勝浦LCもアジサイと共に発展することを願っています」と思いを語った。
植樹は、西山住職の「寺がアジサイの名所になるように」との思いに賛同した勝浦LC会員の協力によるもの。
同寺では、和歌山県の「未来を彩る花の郷づくり事業」を活用して、すでに1000本のアジサイの植樹を行っているが、この日はそれに上乗せする形で勝浦LCが100本の苗を提供し、その植樹を実施した。
寺の縁起によると、同寺は1200年ほど前に地域住民を苦しめる大蛇を封じるため、天台宗の開祖・最澄が柳の木より薬師如来を彫り上げ祀ったことが始まり。現在の本尊・薬師如来は保元元(1156)年の銘があることから最澄のものではないものの、当時最先端の彩色が施されており、国の重要文化財の指定を受けている。
西山住職は「かつて当寺は地域の中心だった。しかし時間が経過し、現在は町民にも知らない人がいる」と現状について述べ「勝浦LCの皆さんと花の力を借り、多くの人に寺のことを知ってもらって寺を訪れる人がひとときの安らぎを得られる場所になれば」と話していた。
アジサイのシーズン前には、同所で勝浦LCによる植栽記念石碑も建立される予定。
(2021年4月10日付紙面より)
聖火リレーに向井さん、逢野さんら (熊野市 )
東京オリンピックの聖火リレーが8日、熊野市に入り、24人のランナーがJR熊野市駅前から山崎運動公園まで約1時間かけてトーチをつないだ。
福島県をスタートした聖火リレーは7日に7番目として三重県に引き継がれ2日間で県内12市町を回った。熊野市区間は、タレントで「みえの国観光大使」の磯野貴理子さん、元紀宝町消防団長の向井治さん(紀宝町)、県立伊賀つばさ学園高等部3年の逢野響さん(紀宝町)、団体職員の内田鈴子さん(熊野市)、羊飼いの北見悠加さん(御浜町)らがランナーを務めた。
熊野市駅前では木本高校吹奏楽部が演奏を繰り広げ、聖火をともした向井さんが出発。花の窟(いわや)神社前では熊野鬼城太鼓の演奏や打ち上げ花火、熊野古道参詣衣裳に身を包んだ小学生と高校生が出迎えた。
逢野さんは父・殖章(しげあき)さんと一緒に走り、山崎運動公園で地元ダンスチームから歓迎を受ける中、磯野さんに聖火を託した。
磯野さんがサポートメンバーと共にゴールした後の聖火リレーセレブレーションで、鈴木英敬知事は「希望の光をつないでくれたランナーの皆さんは、さまざまな思いを発揮して走ってくれた」と感謝の言葉を述べた。
大役を務め終えた逢野響さんは「長くて短い一瞬の出来事だった。熊野や紀宝町にお世話になっているので恩返しの気持ちで走ってうれしかった」、殖章さんは「息子と聖火をつなげることができてうれしかった。夢がかなった」と喜んでいた。
向井さんは「1年待ったが、無事にランナーを務めることができてよかった」と話していた。
(2021年4月10日付紙面より)
関係者らが安全祈願祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の駿田山に建設される消防・防災センター(以後、センター)の安全祈願祭が6日、同所で営まれた。施工主である有田郡有田川町の株式会社ケイズが主催。堀順一郎町長ら関係者が参列し、工事の無事を祈願した。
センターの建設は、救助や防災の要となる町消防本部が南海トラフ巨大地震の津波浸水域に位置していることに伴うもの。
担当課によると、現在は町役場が災害対策本部となるが、地震や津波による被害を受けた際は町立勝浦小学校が本部になるという。完成後はセンターがその役割を担う。
センターは鉄筋コンクリート造の一部鉄骨造2階建て。庁舎棟などの延べ床面積が1632・22平方㍍。鉄骨造5階建てで敷地面積が180平方㍍の訓練塔や鉄骨造3階建ての63平方㍍ある補助訓練塔も建設される。
工事費用は2019年度は設計業務委託費が9166万9000円で用地購入費が5457万5000円。20年度は造成工事予算額が3億6000万円で建設工事予算額が7億6500万円。通信機器整備予算額が6000万円で設計監理業務が2440万円。
造成工事は昨年4月末に着工。建物部分の工事は今月10日から開始し、22年3月中に完成予定。
祈願祭には同社の北畑貴行代表取締役や設計・監理を行う同町築地の株式会社清水設計事務所の清水重延代表取締役、堀町長、荒尾典男町議会議長、下地将仁消防団長、楠本實須崎区長、赤井一成朝日区長らが参列。
熊野那智大社(男成洋三宮司)の前田直紀権禰宜(ごんねぎ)と勝浦八幡神社の髙橋正樹宮司が神事を斎行した。
堀町長は「各事業者さまには一日も早い完成に向け、安心安全で工事を進めていただけたら」とあいさつ。
湯川辰也消防長は「センター建設によって初動体制が整うことは大変有意義。町のさらなる安心安全を守っていきたい」。北畑代表取締役が「工事は安全第一を心掛け、気を引き締めながら進めていきたい」とそれぞれ話した。
(2021年4月9日付紙面より)
ダイバーら4カ所に設置 (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(高岡誠会長、会員24店舗)が7日、串本町の袋港沖にあるダイビングポイント4カ所にアオリイカ向けの産卵床を設置した。
ダイビング客に人気があるシーンの一つ、アオリイカの産卵を身近にする取り組み。併せて藻場が減少する中での資源増強の成果が見込める点で日本釣振興会が協賛し、設置のノウハウを持つ同組合が労を負う形で毎年実施している。
今年も前日に広葉樹の枝を3㍍前後の長さで切り出し、10本程度の束にして産卵床を手作り。当日はダイバー9人が産卵床を持って2隻に分乗し、手分けして▽住崎▽備前▽グラスワールド▽イスズミ礁―の各海底に沈めて固定した。
同組合イベント係の中井嘉昭さんによると、手間がかかる天然木での手作りにこだわるのは、万が一流出しても自然に戻りやすいという既存環境への配慮による。設置期間は今年の卵がすべてふ化するまでで、7月中旬ごろに引き上げる予定という。
(2021年4月9日付紙面より)
宗応寺で「花まつり」法要 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長=白井清牧・清蔵寺住職、会員13人)は8日、新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)で降誕会(ごうたんえ=花まつり)法要を営んだ。会に加盟する住職や副住職たちがお経をあげ、お釈迦(しゃか)様の誕生を祝った。
「花まつり」は「降誕会」「灌仏会(かんぶつえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」などと呼ばれ、涅槃会(ねはんえ、2月15日)、成道会(じょうどうえ、12月8日)と共に三大法会の一つとして重んじられている。
お釈迦様の母は出産が近づき、土地の習慣に基づいてカピラ城の東にある実家に向かう途中、ルンビニーの花園で休まれ、体を洗い、花を採ろうとされた時にお釈迦様を出産したと伝わっている。天は誕生を祝って甘露の雨を降らせたことが「甘茶」の由来となり、ルンビニーの花園をかたどり「花御堂」となったといわれている。
法要を終え、白井会長は「新型コロナウイルスの感染者がまた増えてきたが、会員が集まってなんとか法要することができた。法要を通して、こんな時だからこそ余計に命の尊さに気付き供養することができて良かったと思っています」と話していた。
なお、法要後に実施している市内老人ホームへの慰問は、新型コロナ感染拡大防止の観点から昨年に引き続き取りやめとした。
同会は、市内にある▽松巌院▽淨泉寺▽瑞泉寺▽清閑院▽清蔵寺▽清凉寺▽専光寺▽宗応寺▽東仙寺▽遍照院▽本廣寺―の11カ寺で構成している。
(2021年4月9日付紙面より)