中上健次、直筆の考察 (新宮市 )
新宮市名誉市民で芥川賞作家の中上健次(1946~92年)の直筆のメモ書きがこのほど、新たに見つかった。メモ書きは、かつて仕事場として使用していた那智勝浦町のマンションの書斎から発見。大江健三郎(1935~2023年)の著書「死者の奢り・飼育」(新潮社、1959年)の文庫本に挟まれており、本には直筆で傍線やメモも書き込まれている。
川端康成に次ぐ、日本人として2人目のノーベル賞作家・大江健三郎。3月3日、老衰のため逝去した。中上の初期の作品は大江作品の影響を色濃く受けており、大江に対する愛憎半ばする思いは、エッセー「ジン=イーヨーの変容―大江健三郎論ノート」にも顕著に表れている。生前には対談「多様化する現代文学」も行われており、「新潮」80年1月号にその内容が掲載されている。
このたび見つかったメモは、第39回芥川賞作品「飼育」についてのもので、大江のシュルレアリスム(超現実主義)や隠喩表現などに言及。89年8月に東京都千代田区有楽町で行われた講演「初期の大江健三郎―『飼育』を中心に」のために書き込まれたものと考えられる。
講演会では中上が同様に影響を受けたウィリアム・フォークナー(1897~1962年)との類似性や、実験的試みの効果などに触れ「実に信頼できる、現代文学の敵に立ち向かう強力な同僚である」とまとめている(「中上健次発言集成6」より)。
なお、大江の逝去を受け、市立図書館では現在追悼コーナーを設けるとともに、中上健次コーナーでメモ書き(コピー)の展示を行っている。
(2023年3月30日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230330010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230330010102.jpg)
新入学児らにランドセルカバー贈呈 (交通安全協会新宮支部 )
和歌山県交通安全協会新宮支部の田中肇支部長らは28日、新宮市役所を訪れ、速水盛康教育長に新入学児童194人(小学校5校187人、支援学校1校7人)分の交通安全ランドセルカバーを、福本良英・健康福祉部長に市内11の幼稚園や保育所、保育園などの新入園児193人分の巾着袋を贈った。
毎年、春の全国交通安全運動期間を前に行われている事業で、新生活を迎える児童・園児や保護者、ドライバーの交通安全意識の高揚を図るとともに、子どもたちの健やかな成長を願って贈呈している。なお、購入費は、同協会に入会している会員の交通安全協会費などを活用している。
田中支部長は「今年も贈呈できて喜んでいる。このランドセルカバーをまちで見かけたら登校に慣れていない新入生だと意識して、より一層の安全運転を心がけてほしい」。
速水教育長と福本部長は、贈呈に感謝を示し「命につながる車の暴走事故もニュースで報じられている。(ランドセルカバーは)ドライバーへの一つの啓発になるとともに、社会全体で子どもを守っていく意識の高揚にもつながる」。「子どもたちが笑顔でランドセルカバーを身に着けている姿を見て、交通安全を意識していただければ」とそれぞれ語った。
なお、今後は那智勝浦町や太地町、田辺市本宮町、北山村、古座川町、串本町への贈呈も予定している。
(2023年3月30日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230330110101.jpg)
水害耐えたソメイヨシノ開花 (新宮市熊野川町 )
熊野地方を中心に甚大な被害を及ぼした「紀伊半島大水害」(2011年)から今年で12年。濁流により傷つきながらも当時の水害に耐えた熊野川町相須のソメイヨシノが、今年も花の盛りを迎えている。
12年前の8月25日、マリアナ諸島の西の海上で発生した大型の台風12号は、紀伊半島を中心に記録的な豪雨を降らせた。熊野川の氾濫で多くの家屋が浸水。幹線道路が寸断され、山間部で多くの土砂災害が発生した。
50年以上前に桜の木を植えたのは平岩明さん(85)。同地区では、水害によりほとんどの家が浸水した。平岩さんの家も被害に遭った。裏手から山へと逃げ、以降8カ月にわたり仮設住宅での生活を余儀なくされた。現在は取り壊した自宅跡地をかさ上げし、新しい家を建てて暮らしている。
桜の木の幹には、濁流にのみ込まれた時に付いた痛々しい傷跡が残る。しかし、水害を生き抜き、毎年たくましく花を付ける一本桜を、平岩さんは「平岩桜」と名付けた。
28日現在、桜は満開。「見事なもんや。花見酒したら最高やろね」と平岩さん。「今年も立派に咲いてくれた。もう思い残すことはないよ」。そう言って笑顔を見せた。
(2023年3月30日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230330100101.jpg)
教育環境整備審議会が答申 (串本町 )
串本町教育環境整備審議会(山本誠士会長、委員10人)が27日、教育委員会の諮問「串本町立小中学校の統合再編について」に対する答申を潮﨑伸彦教育長へ伝達した。
旧串本町と旧古座町の合併から17年が経過し、教委は合併翌年の2006年11月に受け、統合再編の指針としてきた「串本町教育環境整備について」の答申内容を時代相応に更新するために各小中学校区などから委員を人選して同審議会を立ち上げ。昨年9月30日付で前述した諮問を行い、同審議会は月1回の頻度で会議や書面審査を重ね、これまでの統合再編の経過や町立小中学校の現況、将来の児童生徒数の推計や文部科学省の統合再編の指針などを情報共有した上で意見を交わし合い、結論を目指してきた。
諮問をするに当たり教委は、教育力の適正な水準を維持し格差のない教育を求めて小中学校の統合再編について答申してほしいと希望。同審議会は、小学校は旧串本町域2校・旧古座町域1校、中学校は現串本町域で1校とすることが望ましいが、早期の統合再編を求めるものではないと結論を固めた。その具体的検討に当たっては▽児童生徒や保護者の意見を尊重し地域の合意形成に努めること▽通学による児童生徒の身体的負担を軽減する施策を講じること▽中学校においては成長期における新たな出会いや気付きによる社会性・人間性の向上を目指すことに重点を置くべき▽古座中について古座川町教育委員会と十分な協議を行う必要がある―といった意見も付して答申書をまとめ、伝達するに至った。
答申を受けた教委は今月28日付で、諮問書と答申書の原文を町公式ホームページ上で公開。濵地弘貴教育次長によると、委員はそれぞれに意見を持って会議などに臨んだがその中で主体の児童生徒にとって何が最良かを考えて今回の答申の内容に至ったという。
(2023年3月30日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230330090101.jpg)
軟式野球部「第8回大会」 (那智勝浦町体育協会 )
三輪崎剣道クラブが体験会 (新宮市 )
サッカー「フレッシュマンリーグ」
下里懸泉堂の模型作り (那智勝浦町 )
「下里の古い建物を形に残すためにも、この建物を作りたかった。本物は本当に立派な建物」。そう話す那智勝浦町下里在住の大工・清水啓自さん(79)だ。清水さんは、大工歴64年の腕前を駆使し、地域の歴史的な建造物・下里懸泉堂(けんせんどう)の30分の1サイズ(縦32㌢、横60㌢、ヒノキ・スギ製)の模型を作製した。
同町八尺鏡野にある懸泉堂は、文豪・佐藤春夫の父・豊太郎の生家だ。佐藤家は代々、医者の家系であり、春夫の曽祖父の百樹が私塾を開いていた。
谷川瓦が用いられた和風の母屋と、大正期に建築されたといわれる洋館で成立。国や町の文化財指定は受けていないが、和歌山県教育委員会が実施した近代化遺産の調査も受けており、建築的価値は高いとされる。
そんな懸泉堂だが、建物の老朽化が著しく、雨漏りや倒壊を懸念する声や保存などを訴える町民の声も多い。
さらには現在、県の空き家バンクに登録されており、わかやま住まいポータルサイトでも建物を確認できる。サイトの特記事項には「春夫の父の居宅であったこと」「町から登録有形文化財を進める声があり、購入者はそれらを引き継いでほしい」などの文言が掲載されている。
今回の模型は、下里地域の景観を残したいと考える下里在住の城本和男さんが発起人。懸泉堂を模型にしてはどうかと考え、同じく下里在住の中村起士央さんに相談した。以前に旧・下里小学校の模型も手がけている清水さんに作製を依頼し、今回に至った。
清水さんは、実際に懸泉堂の寸法を測り、資料などを基に1月末ごろ、作製に取りかかった。
材料には、流木や自宅に保管する木材などを使用し、模型作りに対応する道具も自身で加工。格子や屋根などの細部にまでこだわった。今月15日時点で建物が完成し、塀を作るのみとなった。
清水さんは「町展にも出展する。皆さまに見ていただき、懸泉堂を身近に感じてもらえたら」。
中村さんは「懸泉堂の面影を残して、多くの人に見てもらいたいとの思いで、作っていただいた。懸泉堂の活用も考えていただけたら」と語った。
父の時代から佐藤家と親交があり、長年にわたり、懸泉堂の管理を行っている下里在住の太田耕二さんは「地域に残る歴史的価値のある大切な建物。このまま絶やしてはいけない。模型完成を機会として、地域や町、各関係機関が協力して、文化財として活用してほしい」と話していた。
□ □
町教育委員会は、2019、21年の2度にわたり所有者の下を訪問している。町としては、懸泉堂の購入はできないが、保全や登録有形文化財制度への申請などの説明・提案をしたとしている。しかし、その後に、前述の空き家バンク登録に至っている。
田中逸雄教育次長は「所有者さまからは、買い手が見つからない場合は寄贈も検討しているとの話もあった。懸泉堂は下里地区を代表する文化的な建物。もしも、寄贈いただけるのならば、現時点では今後の詳細は未定だが、登録有形文化財に申請するとともに、保存したいと考えている」と話していた。
(2023年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230325010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230325010102.jpg)
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)で24日、第30回修了式が開かれた。義務教育課程を修了した中高一貫コースの3年生39人が証書を受け取り、保護者や在校生、教職員から祝福を受けた。
式では、池上校長が修了生一人一人に証書を授与。式辞では、高等教育の段階に入る生徒たちに「自分で学び、自分が向かうという主体的な学問スタイルに変化する」ことを求めた。哲学者カントの言葉から「自分らしく生きるための心眼を身に付けるという決意を胸に、今後の学校生活を送って。リーダーシップを発揮し、学校をけん引する柱となるよう期待している」と結んだ。
修了生を代表して中学校生徒会の速水救会長が、さまざまな制約の中で前向きに進み続けた中学校生活を振り返り「一つ一つの行事に対して全力を出し尽くし、みんなで楽しめるこの学年を、本当にすごいと思うし、尊敬している。本当にありがとう」。保護者や教職員らにも感謝の言葉を伝えた。
(2023年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230325090101.jpg)
先輩委員迎えて研修会 (紀宝町民児協 )
紀宝町民生委員児童委員協議会(西村喜久男会長)は、定例会を同町鵜殿の町福祉センターで開いた。委員約30人が出席し、5期15年務めた山田十司さん(井田)から長年の活動への姿勢を学んだ。
定例会と研修会は毎月開催し、委員、町、町社会福祉協議会と情報共有をしている。研修会の講師として迎えた山田さんは定年退職後の60歳から75歳まで委員として活動し、このうち3期9年は会長を務めた。
委員を委嘱された1年目の心境について「自分にできるかと不安だったが、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を見た時にこれが民生委員だと思った」と振り返り、「地域を良くしようとする公認のおせっかい屋さん」と例えた。
新任の委員に向けて、「これまでの仕事と全く違うと思っているかもしれないが、そうではない。これまでの仕事の一歩先、延長線上にある。無理することはない」と励ました。
2011年の紀伊半島大水害では、町役場、町社会福祉協議会、民生委員の三者が一体となって取り組んだことを振り返り、民生委員としてどのように動いたのかを説明。被災前に災害ボランティアセンターを運営する災害ボランティアコーディネーターを養成していた経緯を紹介し、迅速なボランティア派遣につながったことを伝えた。
(2023年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230325050101.jpg)
タイプ木ライトアップ (古座川町 )
古座川町池野山にあるクマノザクラタイプ標本木(以下タイプ木)のライトアップが18、19日の2日間にわたってあった。
このライトアップは、観光協会の振興事業「桜フェア」の一環。三尾川(みとがわ)にある古傳山光泉寺のイチョウを照らすために導入した光源装置(LED照明4基とポータブル電源2基)を活用した初の取り組みで、鶴川公園のカワヅザクラに続く実施となる。
初日のタイプ木は開花が早かった枝の花が17日から18日にかけての雨に打たれてほぼ散ってしまったが、大半の枝は散り進むことなく花盛りを保った状態。投光中は途絶えることなく見物客の姿があり、初のライトアップを捉えようと写真撮影愛好家らも思い思いの場所から様子を見守った。
協会職員の上田柊大郎さんによると、2日間計の見物客数は約80人。うち3分の1ほどは地元以外で、タイプ木は日中も多くの見物客が訪れていて、今回のライトアップは大きな混雑もなく初の夜桜を鑑賞してもらえたという。
□ □
次は相瀬にある一枚岩前のソメイヨシノを対象にして25日(土)、26日(日)、4月1日(土)、2日(日)に実施予定で、開花の進み具合を見て実施日を決めるという。実施日は道の駅一枚岩monolithが夜間営業で連動するため、実施時間帯に変更はなし。小雨決行、荒天中止。中止する場合は事前に公式ホームページなどで伝えるので、直前に確かめた上で見物の可否を判断してもらえればとしている。
他方、町内随一のソメイヨシノの名所として知られる佐田地内で24日午後に佐田区と桜まつり実行委員会が協力して恒例となっているちょうちんを設置し、散り終わりまで午後6時~9時に点灯する(タイマー制御となっていて期間中は毎日点灯)。桜まつりは今年も感染症予防のため中止となっているが、どんどろの森駐車場の芝生広場で開花時期の出店はあるという。
ライトアップの問い合わせは同協会(電話0735・70・1275)、佐田のちょうちんなどの問い合わせは町地域振興課(電話0735・67・7901)まで。
(2023年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230325030401.jpg)
認知症カフェの取り組み始まる (新宮市 )
焼きたてのパンの香りが漂う中、笑い声が店内に響く。新宮市でこのほど、認知症カフェの取り組みが始まった。同市伊佐田町にある「パンの健康堂」では、月2回、近隣住民らが集い、世間話などに花を咲かせている。
認知症カフェは、認知症の人やその家族、医療や介護の専門職、地域住民、など、誰もが集える場所。気軽にコミュニケーションが図れる場として、全国各地で運営されている。厚生労働省の2020年度実績調査によると、47都道府県の1500を超える市町村において、約7700カフェが運営されている。
新宮市社会福祉協議会が取り組みをスタートさせたのは今年2月。蓬莱地区の主に地域の1人暮らしの高齢者らに「コロナ禍でひきこもりがちになっていませんか」と呼びかけ。「ゆったりカフェ」として開始した。社協職員や市職員らも参加し、認知症予防の講話なども交えながら住民らと交流を深めている。
社協からの提案を受け、場所を提供するに至った同店を経営する西幸子さん(82)は、カフェの実施に当たり認知症サポーター養成講座を受講。来客や近隣住民に参加を呼びかけるとともに、カフェでは参加者らにお茶を振る舞ったり会話に参加したりするなど、全面的に取り組みに協力している。
3回目の開催となった13日には、80代の男女3人が参加した。この日の話題は気温の変化や旅行など。お茶を飲みながら、思い出話や趣味の話に花を咲かせた。社協職員らは参加者の話に耳を傾けながら、住民同士をつなぐ互助の重要性や、小まめな水分摂取の必要性などについて周知を図っていた。
同カフェの展開について「少子高齢化といった地域の問題解決の一つのきっかけになれば」と社協。取り組みの深化に期待を寄せ「社協、市、地域住民が連携して、誰でも気軽に集まれる、そんな場所を増やしていければ」と話している。
(2023年3月19日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319010102.jpg)
伊丹昌一教授が虐待について講演 (新宮市 )
新宮市役所別館で17日、子育て支援講演会があった。梅花女子大学心理こども学部の伊丹昌一教授が「虐待を考える」をテーマに講話。地域住民や教育関係者など約50人が聴講した。
近年、児童虐待相談件数は全国的に増加傾向にあり、児童虐待が起きる背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っている。なお、2021年度中に全国225カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は20万7660件で過去最多を更新した。
伊丹教授は、思春期を過ぎる頃の▽注意しても素直に聞かず反抗的▽他人の物を盗む▽暴力を振るう▽動物を虐待する―などの行為について「生まれながらにこういった行動をする子どもはいない」として予防の大切さを伝えた。
虐待としつけの違いについて「しつけは自立を促すものであるのに対し、虐待は自立を阻害するもの」と説明し、意識浸透を推進する取り組みの重要性を説いた。
▽親が子どもの頃に自分の親から愛情を受けることがなかった▽生活にストレスが積み重なって危機的な状況にある▽社会的に孤立化し援助者がいない▽DVなど、さらなる悪条件―などを虐待の要因として挙げ「親の方も愛着の問題を引きずっている。だからこそサポートが必要」。
虐待の早期発見や児童相談所などへの通告、虐待の予防・防止や関係機関への協力、虐待防止のための子どもなどへの協力は大人の役割とし、愛着に課題のある子どもの特徴を紹介。「子どもを愛せない親はいない。間違ったエネルギーの方向を正していかないといけない」と力を込めた。
虐待を受けた子どもに対する基本的なケアや「ありのままの状態を受け入れる」「求められたらできるだけ即時に応える」「気分やしぐさ、トーンを合わせる」「相手の言葉を繰り返す」などの関わり方について話し「かわいそうな子として関わるのではなくその子の幸せを思って、人として許されないことをした場合には毅然とした態度で臨んで。人格ではなく行為を叱ってあげて」などと呼びかけ。
困っている保護者に対しては「孤立は最大の敵。話し相手になるなど、できることはあるはず」。
「つらい過去の経験は変えることはできないが、今を幸せにすることで未来を変えることは可能。そのためにも、小さなポジティブ支援から始めましょう」と締めくくった。
(2023年3月19日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319110101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319110102.jpg)
狗子ノ川の西岡稔さん (那智勝浦町 )
「持ちつ持たれつが『人』。思いやりを持って頑張ってほしい。今日はみんなにエールを持ってきた。自分の気持ちを持ってきた。歌と詩吟を贈ります。卒業おめでとう」―。那智勝浦町狗子ノ川の西岡稔さん(82)は15日、町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長)を訪問し、卒業を控える6年生31人に菓子を手渡し、歌と詩吟と祝いの言葉を贈った。
新入学時期に交通量の多い場所で児童の見守りと声かけを毎年2カ月間実施している「ニュータウン熟年クラブ見守り隊」に所属する西岡さん。見守り隊の活動以外にも毎朝、通学する児童らの見守りを長きにわたって続け、10年を優に超えた。
昨年から、児童の卒業祝いと、児童のおかげで活動が継続できているとして、その感謝を伝えるために訪問を行っている。
西岡さんは児童の将来の夢を応援するとともに、軽快なトークで笑いを誘った。「あの頃はランドセルが大きく見えた。見守りが続けられたのはみんなのおかげ。みんなから元気を頂いた」と感謝を述べた。
西岡さんは演歌歌手の島津亜矢さんの「花として 人として」と詩吟「白虎隊」を披露し、児童から拍手が送られた。
過去に自身が会社を経営していた頃を振り返り、苦労が続いたことを告白。15年間、懸命に努力を続けたことで、2人で始まった会社が、多くの従業員を雇うまでに成長したと話した。
児童からは「思いやりを持って、努力することが大切だと知った」「長いこと見守ってくれてありがとう」と感想や感謝が述べられた。
西岡さんは「見守りをやっていることで、警察からも表彰していただいたが、それは名誉。一番うれしかったのは皆さんの笑顔を見て、会話することだった」。
児童の顔を見渡しながら「努力とは新しいものを生み出すこと。一生懸命やって失敗しても誰も怒らない。失敗があるからこそ、成功がある。そして、愛情や気持ちをしっかりと持って継続していくことが大切」とエールを送った。
芝﨑校長は「6年間、見守っていただいた。西岡さんの生きざまを子どもたちに向けて伝えてくれることはありがたい。卒業しても立派に育ってほしい」。
倉橋佐和さんは「一生懸命に努力することの大切さや、失敗しても誰も怒らないという言葉に勇気をもらった。私も努力を続けていきたい」と語った。
(2023年3月19日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230319010202.jpg)
6社招き、FAMツアー (新宮市 )
新宮市は14、15の両日、市内各所でインバウンドFAM(ファム)ツアーを実施した。東京や大阪の旅行会社6社から6人が参加。ガイドらと共に名所を巡りアクティビティーを体験。観光資源やその魅力を発見する機会とした。
FAMツアー(トリップ)はモニターツアーの一種。国や自治体などが観光誘致を目的に、旅行会社やメディアなどに現地視察してもらい、観光客目線で実際に体験したツアーやサービスを発信してもらう狙いがある。
入国制限の緩和や、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据え、インバウンドの誘客に力を入れる同市ではこのたび、今後の旅行商品造成のきっかけづくりや、新たな観光コンテンツを体験してもらおうと、訪日外国人を取り扱う旅行会社を招待するに至った。
ツアーに参加したのは▽㈱リベルタ▽G Adventures▽INTO Japan▽ジャパンリンクストラベル▽㈱JTBグローバルマーケティング&トラベル▽㈱HIS―の6社。
1日目14日は、ガイドの福辻京子さんらの案内を受けながら、一行はEバイク(電動アシスト自転車)で熊野速玉大社や神倉神社、阿須賀神社へ。このほどリニューアルした熊野速玉大社神宝館見学や絵解きを通して、同市の文化的魅力に触れた。
15日は大雲取越や高野坂のトレッキング、熊野川川舟下り、スイーツ巡りなどを通して、自然や歴史などを楽しんだ。
ツアーに参加した「INTO Japan」のツアーコンサルタントで英国人のダニエル・リッチーズさんは「神話や伝説、祭りなどローカルでユニークなカルチャーを通して日本の文化や自然に触れられて素晴らしいと感じた。和歌山県も新宮市も、海外の人にはあまり知られていないのでこの機会を利用して広めていきたい」と笑顔で語った。
なお、コロナ禍前の2018年には、9112人の訪日外国人が同市(熊野川町含む)を訪れた。22年は新型コロナウイルスの影響で1406人にまで落ち込んだが、入国制限の緩和に伴い、訪日外国人数は徐々に増加しているという。
(2023年3月16日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316010102.jpg)
下小防災伝え隊が発表 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)で14日、6年生9人による発表「下小防災伝え隊~みんなが助かるために、わたしたちにできることって?~」があった。全校児童や地域住民が参加し、防災について学んだ。
6年生は本年度、役場防災対策室の柴田通仁さんによる防災講話や修学旅行での「人と防災未来センター」(神戸市)訪問などを通じ、防災について学んできた。
発表では、児童や保護者を対象にしたアンケート結果を基に「ほとんどの人が地震発生時の避難場所を知っていたが、逃げる準備をしている人はあまりいない。南海トラフ地震が何年周期で起きているか知らない人が多かった」と問題提起。
海洋プレートの沈み込みによって起こる海溝型地震の仕組みを解説し「今後40年以内に90%の確率で南海トラフ地震が起こる。那智勝浦町では、東海・東南海・南海の3連動地震で死者5200人、家屋の全半壊6100棟、南海トラフ巨大地震で死者1万1700人、家屋の全半壊7800棟の被害がでると予想されている」と警鐘を鳴らした。
非常時に備える3ステップとして▽バッグやポケットに常に携帯しておくもの(0次)▽被災の1日を乗り切るコンパクトな非常持ち出し袋(1次)▽何日か自給自足してしのげる物品の備蓄(2次)―をそれぞれ用意しておくとの考え方を示した。
サイコロトークでは、地域住民と混合の3グループに分かれ、さまざまなテーマで話し合った。「家の中で危険だと思う場所」では「刃物や陶器があるキッチン」「大きなタンスや冷蔵庫の近く」、「下里校区内で安全な場所」では「津波のことを考えると、どこも安全とは言い難いのでは」との意見が聞かれていた。
(2023年3月16日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316110301.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316110302.jpg)
城南中学校で食育講座 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)は14日、新宮市立神倉小学校の栄養教諭の大西勇也さんを講師に招き、食育講座「栄養のはなし」を開いた。1年生58人が受講、成長のためにカルシウムの摂取が重要であることを学んだ。
大西さんは、ある日の学校給食の栄養素のグラフと、メニューから牛乳を除いた場合のグラフを提示。あらゆる栄養素が大きく減少することを示し「牛乳は栄養バランスの良い食材です」と話した。
カルシウムは骨や歯に99%、血液や細胞に1%が含まれることを説明。「骨はカルシウムを貯蔵し、血液中のカルシウム濃度を調節、骨格を形成する」「血液や細胞では、神経伝導や筋肉収縮を調節し、血液を固める機能を活性化させる」などと述べた。
骨はカルシウムとコラーゲンで作られていることを解説。「カルシウムが少ないと折れる。10代から20代は一番骨に蓄えやすい」と語った。カルシウムが多い食材として▽牛乳・乳製品▽大豆製品▽小松菜などの野菜▽ワカサギなどの魚介類▽ひじきや昆布などの海藻―などを挙げた。カルシウムの多い給食のメニューも紹介した。
体内のカルシウムを増やすためには、規則正しい生活をして日光を浴びることも大切と強調。「カルシウムをたくさん取って、骨を豊かにしてください」とまとめた。
(2023年3月16日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316110101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316110102.jpg)
太地中生徒会が義援金届ける (太地町 )
太地町立太地中学校生徒会(山下創太郎会長)の5人は14日、同町役場を訪問し、自身らで集めたトルコ南東部地震災害義援金を宇佐川彰男教育長に手渡した。義援金は和歌山県を通じて、訪日トルコ大使館に届けられるという。
2月にトルコ南東部で発生した大地震やその被害を受け、生徒会で義援金を集めることを決定。同校玄関で実施するあいさつ運動の際に、義援金箱を持って、生徒らに寄付を呼びかけたという。
今月6日から10日の間で合計1万300円が集まった。14日は引率の教諭と共に、山下会長、宇佐川昊副会長、脊古陸駆副会長、由谷蓮太郎さん、竹田成さんが訪れた。
山下会長は「多くの方々が呼びかけに応えてくれて良かった。トルコとシリアの復興のために使ってください」と話した。
宇佐川教育長は「太地町や町教育委員会では、太地の子どもは賢く、思いやりのある子に育ってほしいという思いで、多くの施策に取り組んできた。生徒会の皆さんで集めていただき、本当にありがたい。義援金は、町から県を通してしっかりとトルコに届けていただきます」と語った。
(2023年3月16日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230316010201.jpg)
新宮GG同好会「早春大会」
春季社会人学生卓球大会
グラウンドゴルフかつうら大会 (県年金受給者協会 )
宮戸伸之会長が剣道八段優勝大会に (新宮剣友会 )
本紙エリアも減少顕著
厚生労働省はこのほど、2022年の国内の出生数(速報値)が80万人を割り込んだことを発表した。統計を取り始めた1899年以来で最少の数字で、コロナ禍の影響もあり推計より早く少子化が進んだことになる。状況は本紙エリアも同じとなっている。
新型コロナウイルス感染症は、20年1月に国内で初の感染者を確認。以来、拡大と小康状態を繰り返し、大きな社会不安を引き起こした。これに伴い、結婚や出産も減少。本紙エリアではさらに、新宮市立医療センターの分娩(ぶんべん)休止もあり、混乱が生じた。
具体的には、新宮市で19年は172人だった出生数が、20年には141人まで減少。21年には159人まで持ち直したが、22年は138人に落ち込んだ。那智勝浦町は68人、56人、58人、37人と推移。太地町は15人、6人、9人、12人で、微増と微減を繰り返した。なお、出生届は全国どこの市町村へでも提出できるため、厳密には市町民の出生を正確に表す数値とは言えないが、目安にはなる。
10年ごとの出生数推移を見ると、確実に減少しているのが分かる。02年、12年、22年の順で、新宮市は282人、216人、138人に減少。那智勝浦町は120人、94人、37人。太地町は18人、18人、12人となった。なお新宮市は、05年に熊野川町と合併しており、02年は旧新宮市の数字となっていたため、比較検討のためにあえて熊野川町の出生数もプラスした。
なお各市町は少子化の解消を目指し、医療費や給食の無料化、出産祝い金の創出など、さまざまな施策を打ち出している。また、結婚への支援などを打ち出す自治体もあり、今後、その効果に期待が寄せられるところだ。
(2023年3月15日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315010101.jpg)
田原小4、5年生が町長に (串本町 )
串本町立田原小学校(山路和彦校長)の4、5年生6人が13日、共同制作した作品「輝く未来!夢と希望をのせて田原のロケット」が本年度ふるさとわかやま学習大賞に選ばれたことを田嶋勝正町長に報告した。
この賞は、県教育委員会がふるさとへの関心を深め愛郷心を育むとともにそのためのふるさと教育の推進を図る目的で年1回、第2学期終了日を締め切りとし県内の小学校~高校や義務教育学校、特別支援学校の児童生徒に作品の応募を呼びかけている。
田原小の4、5年生はそれぞれ総合的な学習の時間の中で校区内の大きな話題となっている民間ロケット射場「スペースポート紀伊」やロケット「カイロス」にちなんだ調べ学習をし、その成果を生かして2年前の児童がロケット関係作品で奨励賞を獲得した同大賞模造紙ポスター部門に自分たちも挑戦することを決め、昨年11月の学習発表会以降期日が差し迫る中で急ぎ作品を仕上げて応募した。
規定の大きさの模造紙に扉をつけるなどの工夫をしつつ▽同射場が田原に造られた理由▽ロケットの概要や打ち上げるまでの過程▽町企画課ロケット推進室やスペースワン株式会社から教わった事柄▽ロケットが切り開く宇宙産業の概要▽自分たちや地域の期待の声―などの情報をぎゅっと詰め込んだ内容。4年生の岡田葵さんと西さつきさんと西脇千真君、5年生の芝峰楓太君と寺西秀君と本出晶一君がクラスの垣根を越えて一丸になり、それぞれの成果を寄せて作り上げたという。
この日は山路校長ら教員と一緒に役場本庁舎町長室へ赴き、今月1日に届いた賞状を見てもらう形で受賞を報告。6人が役割分担してポスターセッションを実演し、作品の内容を伝えた。田嶋町長は実演や6人それぞれの調べた感想を聞いてしっかり勉強してくれていることなどが分かりうれしいと述べてこの頑張りをたたえ、共に栄えある受賞を喜んだ。
作品は校区内でお世話になった関係先へ披露後、15日(水)から当面の間、役場本庁舎玄関で披露する予定。同校はこの機会に一人でも多くの来庁者に6人の成果を見てもらえればと話している。
(2023年3月15日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315120101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315120102.jpg)
丹鶴地区ふれあい交流会 (新宮市 )
新宮市の丹鶴地区福祉委員会と丹鶴地区民生委員児童委員協議会、丹鶴公民分館は12日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「丹鶴地区ふれあい交流会」を開いた。地区住民ら約160人が来場、さまざまな出し物を楽しみ住民同士の交流を深めた。
1人暮らしの高齢者をはじめ、支援を必要とする人の日頃の見守り活動や地域のつながりを強めようと開催しており、今回で7回目。地域住民の孤立を解消し、多くの人たちと仲間づくりの輪を広げ、福祉委員や民生委員児童委員らとの関わりを深める目的もある。
開会に当たり、実行委員長を務める西孝・同地区福祉委員長は「第2部では新宮警察による特殊詐欺講話も予定している。最後までお付き合いを」。
市社会福祉協議会の大谷康央事務局長は、開催に尽力した関係者らに感謝を伝え「地域の課題を解決するにはつながりが大事。今日はさまざまな演目を通して近所の関係づくりにもつなげていただければ」とあいさつした。
ステージは、ハリケーンによるライブ演奏で幕開け。続いてHulaHAPUNA(フラ・ハプナ)がフラダンスを披露し会場を盛り上げた。
休憩を挟んで、特殊詐欺被害防止アドバイザーの楠本研さんと脊古佳さんが特殊詐欺被害防止について講話した。
DVDを通して還付金詐欺などへの注意を促すとともに、県内の被害状況について「今年は1月末現在で9件の被害が発生し、被害総額は約1億2770万円に上る」などと説明。
「架空料金請求詐欺」や「オレオレ詐欺」「預貯金詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」などの手口や、個人情報を収集する手口などを紹介し「電話でお金の話が出たら電話を切り、誰かに相談を」と呼びかけた。
(2023年3月15日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315060101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315060102.jpg)
本宮小学校でコンサート (田辺市本宮町 )
来年度の新校舎移転を控えた田辺市立本宮小学校(田中活介校長)で13日、指揮者の矢澤定明さん、コントラバス奏者の谷脇友里恵さんによるコンサートが開かれた。同校の児童や教職員、保護者、たんぽぽ保育園の園児ら計100人が来場し、生のクラシック音楽に触れた。
同校は大塔川のほとりに位置していることから、来年度より高台への移転が決定している。田中校長と矢澤さんの縁により、現在の校舎での思い出づくりや6年生とのお別れ会を兼ねたコンサートが実現した。
今年1月に創立70周年を迎えた田辺ロータリークラブ(新藤整市会長)も協力。4月9日(日)に田辺市の紀南文化会館で開催する記念コンサートの事前アウトリーチ活動も兼ねている。
矢澤さんの指揮と谷脇さんの伴奏による校歌合唱で開演。谷脇さんは、バロック音楽から古典派、ロマン派へと移行していくクラシック音楽の歴史を追いつつ「アリオーソ」(J・S・バッハ)、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(モーツァルト)、「交響曲第9番」(ベートーベン)などを披露。子どもたちは知っている曲に体を揺らし、コントラバスの音色に聞き入っていた。
閉会に当たり、田辺ロータリークラブの新藤会長が「現在の校舎のことを思い出し、皆さんの心に音楽の種が芽吹いてくれたら」と語った。
和田千夏さん(6年)は「コントラバスという楽器は授業で知っていたけれど、生の演奏を聴くのは初めて。落ち着いた音色だった。中学校に行っても、目標に向けて頑張りたい」と話していた。
(2023年3月15日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230315010202.jpg)
新宮市会場に「紀伊山脈」地区大会 (和歌山俳句作家協会 )
和歌山俳句作家協会が主催する、第2回「紀伊山脈」地区大会「新宮地区俳句大会」が12日、新宮市野田の市福祉センターであった。地域の俳句愛好家ら約50人が参加。お互いの研さんをたたえながら親睦を図る機会とした。
同協会が刊行する「紀伊山脈」は、結社・会派を超えて県内の俳句愛好家が参加する、自選合同俳句集。1954年に和歌山県にゆかりのある俳句作家の呼びかけにより第1集が刊行されて以来、毎年刊行を続けており約70年近い歴史を数える。
同俳句大会は、地域内の俳句愛好家がそれぞれの結社を超えてお互いのレベルアップと親睦を図ることを目的に開催。「運河」紀南支部と「かつらぎ」新宮支部が協賛した。地区大会は橋本市での開催に続き2回目となる。
開催に当たり、「運河」主宰の谷口智行さんが「新宮市で同大会が開催されるのは大変喜ばしいこと。楽しい大会になることを祈念しています」とあいさつした。
同大会では事前に投句を募っており、地域の俳句愛好家ら112人から423句が寄せられた。参加者らが互選した句が読み上げられ、作者が名乗りの声を上げた。続いて、谷口さんや「かつらぎ」主宰の森田純一郎さんら含む選者が選者特選や入選句を披講し講評。秀逸賞や新宮市長賞、和歌山俳句作家協会賞を表彰した。
閉会に当たり、森田さんは「俳句は年を取ってもできる。今日は若い人も賞を取って力強く感じた。地元の言葉を大事にしていきたい。これからも元気に俳句を続けていただければ」とあいさつした。
□ □
受賞者は次の通り。敬称略。
■「新宮地区俳句大会」
【新宮市長賞】
磐座は人抱くかたち春の雨(石田幸子)
【熊野新聞社賞】
虎杖の束どさと着く行者宿(黒岩恵津子)
【紀南新聞社賞】
煮こごりや女の愚痴を閉ぢこめて(尾崎と代子)
【和歌山俳句作家協会賞】
新宮にいとどこいとど春の月(たなかしらほ)
【秀逸賞】
備長を誇りて紀伊に炭を焼く(小林恕水)
この山に父の生涯梛を植う(吉浦 増)
水底に光るものあり大逆忌(中森常夫)
熊野灘春満月を押し上げぬ(松山睦子)
道の辺の野菊手向けむ一揆の碑(松下 弘)
補陀落の海生業に鮑海士(中村敏之)
台風の目の中にゐる健次の忌(上野山明子)
(2023年3月14日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314010101.jpg)
国皇神社例祭〈遥拝神事〉 (古座川町 )
古座川町池野山地内にある国皇(こくおう)神社の例祭〈遥拝神事〉が12日に麓の町津波避難総合センターであり、関係7区の区長らが参列して信仰を今後につないだ。
南朝最後の天皇となった後亀山天皇の5代目子孫・朝里重太夫が系統の祖霊をまつるため1616年、月野瀬の牛蒡(ごぼう)谷に建立したのが始まりとされる同神社。1828年に13代目子孫・朝里利平が国王山の山腹へうつして麓の村々(現在の直見〈ぬくみ〉、月野瀬、宇津木、池野山、高池上部、高池下部、串本町の古田の7区)と共に護持し、1991年に国王山が望める林道武者屋敷線沿いの池野山区有地へうつして現在に至る。
現在の例祭は7区が輪番制で奉仕していて、今年は高池下部区(森武志区長)が当番を務めた。本来なら区民もじかに参拝して式典、餅まき、直会を営み活気をささげるが、現在は林道が土砂崩れで通行できない状況。出仕する古座神社の石田保宮司と相談して同センターで遥拝神事を執り行う段取りを進め、他6区の区役員に代表参列を求めた。
当日は7区の区役員ら18人が参列。石田宮司に続いて当番の下部区を筆頭とし区それぞれに礼を尽くした。餅まきや直会はなく、区それぞれに献上した神酒を持ち帰って例祭を締めくくった。
新型コロナウイルスの影響もあり、4年続きで本来の形が営めていない状況。森区長(47)は「こういう形でいろんな区がつながるのは珍しいことで、今後もそうして生まれたご縁やつながりでやれることもあると思う。これから盛り上がり、来年はぜひ餅まきもして区民もたくさん参加していただけるようにしたい」と思うところを語った。
(2023年3月14日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314100101.jpg)
卒業記念にクマノザクラ植樹 (鵜殿小 )
紀宝町立鵜殿小学校(前田幸利校長)の6年生40人が8日、卒業記念として校門前の駐車場近くにクマノザクラの苗1本を植樹した。早咲きのクマノザクラは3月中旬からが見頃で、3~4年後の卒業式シーズンには咲き始めるという。
この場所には、小学校が建設された1981年以前から1本のソメイヨシノがあった。これまで40年以上、児童たちの成長を見守ってきたが、直径1㍍の幹がシロアリの被害を受けた上、枝落ちが増えるなど倒木の危険があったことから、2年前に伐採した。
「校門前に新しいサクラを」との思いから、昨年度の6年生が紀伊半島南部に自生するクマノザクラを初めて植樹した。
この日は、苗を提供した日本クマノザクラの会に所属する田尾友児さんが訪れ「クマノザクラは5年前、新種のサクラとして103年ぶりに登録された。花がすごくきれい。数年後に咲き始めたら見に来てください」と話した。
児童代表の山野滉君、大黒莉奈さん、東丈太郎君、上野龍希君が穴を掘り、苗木を丁寧に植えた。大黒さんは「初めて植樹した。花が咲くのを楽しみに待ちます。咲いたら見に来たい」と語っていた。6年生は17日(金)に卒業式を迎える。
(2023年3月14日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314050101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314050102.jpg)
少年少女発明クラブ閉講式 (新宮市 )
新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)は11日、市福祉センターで3月講座「ブーメラン飛行機を飛ばそう!」と閉講式を開いた。市内の小学生会員28人のうち、22人が参加し、発泡スチロール板を使用した「飛行機」を作って飛ばし、仕組みなどを学んだ。
発明クラブは全国各地で活動しており、県内でも10市町で行われている。市では、市内小学校4~6年生の児童を対象に年間を通して講座を開催。子どもたちに理科や科学、ものづくりに関心を持ってもらえるよう、さまざまな制作・野外活動に取り組んでいる。
「ブーメラン飛行機」は投げるとブーメランのように自分の所へと戻ってくるというもの。この日は、瀧野会長が講師を務めた。児童は用意された主翼と機体、尾翼などのパーツを貼り合わせて飛行機を完成させた。その後はうまく戻るかを確認。成功すると「やったー! 成功した」「おかしいな」などと声を上げ、笑顔を見せた。
講座後には、閉講式が行われ、瀧野会長が一人一人に証書を手渡し「11回の講座を通して、皆さんはさまざまな経験ができたと思います。機会を見つけて勉強していくことが大事。みんなの中から将来、名誉ある賞をもらえるような人が出てくることを期待しています」とあいさつした。
岸本青空君(王子ヶ浜小6年)は「約1年間でしたが、いろんな実験ができて楽しかったです。他の学校に通う子とも交流を持てたのでよかった。次からは参加はできないけど、これからの勉強に生かしていきたい」と話していた。
(2023年3月14日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230314010202.jpg)
地域見守る伊勢平柿の分身 (補陀洛山寺 )
「なちかつ古道を守る会」(地庵晋司会長)は8日、那智勝浦町の補陀洛山寺(髙木智英住職)の境内にある伊勢平柿の分身である柿の木の前に手作りの看板を設置・奉納した。由緒ある柿の木は、3月を迎えた現在もその実を枝に蓄えている。
この伊勢平柿は接ぎ木で植えられたもので、元の木は同町川関の熊野古道沿いにある「ふだらく霊園」内の推定樹齢800年以上と伝わる古木だ。鎌倉時代に源頼朝(1147~99年)の死後植えられたと伝わっており、町の天然記念物にも指定されている。
かつての巨木が長年の風雨などの影響で、樹勢が衰えた姿を目の当たりにした故・苅屋茂登恵さんや故・池本泰三さん、西わさ子さんら町民有志が2002年、「貴重な柿の木を未来へ残そう」と立ち上がる。
樹木医などの協力を得て枝を取り、紀の川市の和歌山県果樹試験場かき・もも研究所で育成してもらい04年に植樹。那智山青岸渡寺など町内各所に5本植えたが、無事に育ったのは同寺の木のみだったという。
木が境内の奥にあって目立ちにくいことや参拝者・町民にも広く知ってもらえるようにと、守る会が同寺や町教育委員会に相談。手続きを経て今回の設置に至った。看板はヒノキ製で「伊勢平柿 樹齢八百年の古木から接ぎ木 命を受けついだ」と彫られている。
看板の制作者で、守る会の小松隆幸さんは「材料から考え、2日ほどで仕上がった。小さな接ぎ木から命がつながっていることが大切。地域の皆さまに知ってほしい」。
地庵会長は「ふだらく霊園の北条政子にまつわる柿の木から接ぎ木した由緒ある柿。この機会に広く知っていただけたら」と話した。
過去に同会の会員でもあった西さんは「苅屋さんも、池本さんもきっと喜んでいるはず。私もとてもうれしいです」と笑顔を浮かべた。
参拝者に木の存在を知ってもらおうと、木を紹介した新聞記事や案内を促す矢印を壁に張り出した同寺の管理人・南善文さんは「本当にありがたいこと。柿を多くの方々に知っていただけたら幸いです」と述べた。
髙木住職は「由緒があり、多くの風雨にも実を落とさないこの木は寺にとってもシンボル。看板をご用意いただき、感謝しています。お寺は住職一人ではやっていけない。地域の皆さまに守っていただいているからこそ。この先もこの寺に何百年と根付いて、地域を見守ってほしい」と語った。
(2023年3月10日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310010102.jpg)
東牟婁老人クラブ指導者研修会 (那智勝浦町 )
東牟婁郡老人クラブ連合会(奥根公平会長)は8日、「東牟婁地方単位老人クラブ指導者研修会」を那智勝浦町体育文化会館で開いた。那智勝浦町、太地町、古座川町、串本町、北山村の老人クラブから54人が参加。相続などや人権に関する各研修を受け、学びを深めた。
同研修会は単位老人クラブ指導者(会長・副会長クラス)の研修会を行うことで、指導者の資質向上とクラブ活動の充実、発展を目的に実施している。
奥根会長は講師や那智勝浦町、和歌山県の尽力に感謝を述べ「コロナ禍で多くの行事が、延期や開催ができなかった。本日の研修会、盛大に開催できることをうれしく思う」とあいさつ。
東牟婁振興局健康福祉部の杉本善和部長が「皆さまの力でより元気な地域にしていただければ」と祝辞を述べた。
新宮公証役場の三橋豊さんが講師を務め「相続・遺言・後見等について」を講演。相続や財産について▽相続は死亡により、所有していた財産などが引き継がれること。遺言と遺産分割がある▽遺言は、生前の意思で死亡後の財産などの引き継ぎ先をを指定する。相続は相続人以外も可能▽遺産分割は死亡後に、法律で決められた相続人が話し合い、財産などの引き継ぎ先を決める。相続は相続人に限定▽財産はその者が有していた物や権利。不動産や預貯金などの積極財産や借金、連帯債務といった消極財産も含まれる―と紹介した。
相続財産の把握や相続人間での協議など、遺産分割協議の詳細も説明。遺言の種類では、自ら手書きで作る自筆証書遺言や公証役場で公証人と相談しながら作成する公正証書遺言があるとした。
「財産争いを未然に防止する」などの遺言のメリットを解説。公正証書遺言のメリットとして「適法な内容で安心、確実」などを挙げ「手間や手数料がかかる」などのデメリットも伝えた。
遺言でないと相続できないケースや自ら行使できない事務をサポートする後見などの制度や権利擁護の手段にも触れた。三橋さんは「財産の多い少ないは関係ない。自分が築いたものを次の世代に残すことで、本人の思いはつながっていく。遠慮なく、ご相談ください」と呼びかけた。
人権研修では東牟婁振興局の人権主幹・濱口美都子さんが「高齢者の人権―認知症を学ぶ―」を講演。認知症の症状について、記憶障害や理解・判断力の障害、実行機能障害などを挙げた。
元気がなく、引っ込み思案になることがあるなどの行動・心理症状にも触れ、環境や介護者などの周囲の援助方法により改善される可能性もあるとした。認知症者への支援や接する際の心構え、認知症者を介護している家族の気持ちを理解すること、認知症の予防なども解説した。
最後は同連合会の更家正也副会長があいさつし、研修会を締めくくった。
(2023年3月10日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310090101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310090102.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310090103.jpg)
読書活動優秀実践校表彰 (古座川町 )
古座川町立明神小学校(濵地久夫校長、児童11人)がこのほど、県教育委員会が実施するきのくに読書活動優秀実践校表彰の対象校に選ばれた。8日に臨時集会を開いて表彰状などの伝達を受け、日頃の読書活動に対する評価をみんなで喜んだ。
この表彰は、県内の公立小学校や義務教育学校〈前期課程〉、特別支援学校〈小学部〉における読書活動の活性化と児童の読書の質的・料的充実を目的として前年度から年1回の頻度で実施。例年2月実施の学校図書館教育に係る調査から1人当たりの読書冊数を抽出し、その数値が多い未表彰校20校を選考し3月1日付けで表彰している。
同町教育委員会は、子ども教育15年プラン〈改定版〉において重点項目の一つに位置付けている読書活動推進を達成するために同推進員を起用。学校図書室の環境を児童に分かりやすい形へと整え、ブックトークや読み聞かせなどの演示を通して読書の啓発に努めている。濵地校長によると、明神小はこの状況を生かして週2回の始業前活動「学びタイム〈読書〉」を実施。週1回の頻度で読書集会を開いて木本陽子・同推進員の演示を受け、それを手本にして児童もブックトークや学期ごとに1回の頻度で高学年が低学年に読み聞かせをするなどしている。
さらに図書委員を立てて児童主体の読書活動推進にも力を入れ、本年度の同委員は週1回の学校図書室からの貸し出しの仕事をこなしつつ、校内放送による読書の呼びかけや読書週間期間中にはみんなで花の形をした紙に読んだ本のタイトルと名前を書いて幹を描いたポスターに貼る行事「読書の木キャンペーン」をするなどみんなで読書を楽しむ雰囲気つくりに頑張ってきたという。
その成果の一端として、同調査では1人当たりの読書冊数は94・64冊(4~1月の平均値)と報告。この実績により県内20校中の1校に選ばれ、表彰されるに至った。この日は県教委の指導主事2人が来校し、明神小を代表して図書委員の山本玲志君(5年)が表彰状、谷口紬さん(同)が副賞(図書カード5万円分)の伝達を受けた。濵地校長は同推進員が来てくれるからこその成果だと感謝しつつ、その先にある児童の頑張りに対する高評価を喜んだ。
来校した指導主事2人によると本年度、東牟婁地方では明神小と那智勝浦町立太田小学校の2校が選ばれているという。
(2023年3月10日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310060101.jpg)
生徒有志が新宮城跡で (近大新宮 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)の生徒会(梅崎光会長・速水救会長)は8日、全校生徒にボランティアを呼びかけ、新宮(丹鶴)城跡とJR新宮駅で清掃活動を行った。有志の約130人が参加、散乱するごみを拾い集めた。
生徒のボランティア活動意識の向上と、社会に積極的に参加する姿勢の育成のため実施。コロナ禍前は年3回、王子ヶ浜や徐福公園、市田川などさまざまな場所で行っていたが、感染拡大を受けて一時期、中断していた。新宮城跡とJR新宮駅での実施は、昨年の5月以来となる。
高校1年生と中学生が新宮城跡を、高校2年生がJR新宮駅を清掃した。新宮城跡では、中学3年の速水会長があいさつ。「ここは新宮市の歴史ある素晴らしい城跡。花見シーズンも近づいている。花見に訪れる人にきれいと思ってもらえるよう、頑張りましょう」と呼びかけた。
この後、清掃を実施。火ばさみやごみ袋を持ち、落ちたごみを探した。近年の美化意識の高まりからか、ごみはほとんど落ちておらず、生徒らは協力して落ち葉を集め、ごみ袋に入れていた。高校1年生の小沼佑斗さんは「ボランティアには積極的に参加しようと思って来た。来たときよりも美しくなるよう、磨きに磨きをかけて頑張りたい」と意気込んだ。
なお今年は4年ぶりに、新宮市による新宮城跡での夜桜ライトアップが予定されており、すでに多くのちょうちんが下がっていた。期間は18日(土)から4月28日(金)までを予定、点灯時間は午後6時から午後11時までとなっている。
(2023年3月10日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230310010201.jpg)
公立中学校で卒業式 (新宮市・東牟婁郡 )
新宮市・東牟婁郡の公立中学校で7日、卒業式が行われた。新宮市の215人、那智勝浦町の96人、太地町の15人、北山村の3人、串本町の89人、古座川町の32人が義務教育を終え、次の道へと歩み始めた。
□ □
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)では43人が、吉田校長より卒業証書を受け取った。
吉田校長は式辞で「あなたたちの人生はこれから。可能性は無限。希望を持ち、夢を描き、命を輝かせて。城南中で学んだ全てを糧に、諦めず、へこたれず、前を向いて歩いて」と呼びかけた。
卒業生を代表し、山中伶威さんが答辞した。学校生活での思い出を回想したほか、先生や家族への感謝を述べた。
「仲間と別れ、それぞれの道を歩むが、絆はなくならない。いつか集まれることを楽しみに頑張る」と強調。周囲の支えに「ありがとう」を伝えて締めくくった。
□ □
那智勝浦町立那智中学校(岡史博校長)では岡校長が卒業生47人に卒業証書を手渡した。
卒業生代表の松岡木葉さんが答辞。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けつつも、平和の尊さや地元の魅力を学び、たくさんの挑戦を経て可能性を広げてきた中学校生活を振り返り、卒業生たちに「みんなと過ごした3年間は最高の宝物」。家族や教職員、在校生にもメッセージを贈り「次に会うときはマスクを取って、みんなで笑い合いましょう」と呼びかけた。
卒業生たちは「3月9日」を合唱し、在校生から花束を受け取って会場を後にした。温かな拍手に包まれ、目を潤ませる様子も見られた。
□ □
太地町立太地中学校(山田貴也校長)からは、15人が卒業した。
山田校長は式辞で、小説「握手」に登場する「困難は分割せよ」の言葉を述べ「人生山あり谷あり。高校生や社会人になって壁にぶつかっても、一つ一つ焦らずに乗り越えていって」と語った。
来賓の宇佐川彰男教育長は祝辞で、卒業生たちが中学生議会で要望を出した▽高校への通学定期券費用の全額補助▽町内の公共交通機関の運賃無料化―といった施策が実現に向けて動いていることに言及。「地域学習、国際理解教育、主権者教育をしっかりとやり遂げた。大波や小波が押し寄せても、誇りを持って前進して」と激励した。
(2023年3月8日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308010102.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308010103.jpg)
県内唯一、防災まちづくり大賞 (津本地区自主防災会 )
紀宝町の津本地区自主防災会(産屋敷誠会長)が2022年度の「第27回防災まちづくり大賞」で日本防火・防災協会長賞を受賞した。三重県で唯一の受賞で、紀伊半島大水害を教訓に立ち上がり、11年間の取り組みが評価された。
防災まちづくり大賞は、阪神・淡路大震災を契機に1996年度に創設。地域に根差した防災の取り組みなどを進める団体・組織を表彰するもので、本年度は総務大臣賞、消防庁長官賞、日本防火・防災協会長賞で計17団体が受賞した。
津本地区自主防災会は、紀伊半島大水害後の2012年に発足。防災訓練や炊き出し訓練、幅広い世代を対象にした防災訓練、避難所運営訓練などを継続して開催し、地域の防災力向上に努めてきた。子どもから高齢者までが楽しく防災を学ぶ「防災チャレンジ大運動会」も開いてきた。これまで、みえの防災大賞、みえの防災奨励賞などを受賞している。
6日には産屋敷会長、谷口昌宏前会長、防災士の大峪やす子さんが紀宝町役場を訪れ、西田健町長らに受賞報告した。東京で開催された表彰式に出席した大峪さんは、これまでの取り組みを振り返り「11年目にして防災まちづくり大賞を受賞するとは夢にも思わなかった。これからも自分、家族、隣近所の大切な命を守る防災活動を続けたい」と話した。
西田町長は「受賞おめでとうございます」とたたえ、「楽しみを持って防災に当たるユニークな取り組みが町内に浸透し、防災に強い町づくりにつながれば町の防災文化につながる。これからも先駆的な取り組みをアピールし協力したい」と伝えた。
(2023年3月8日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308100201.jpg)
第16回しんぐう元気フェスタ (新宮市 )
新宮市ボランティア・市民活動センター(岡鼻崇会長)は5日、市福祉センターで「第16回しんぐう元気フェスタ'23」を開催した。ボランティア・市民活動センターに登録する団体らが、ステージや展示を通してお互いの活動に対する理解を深めた。
「楽しんで! 知って、見て、感じて! ボランティア」と銘打ち、企業とボランティアなどが協働で取り組んでいる毎年恒例のイベント。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった今回は「みんなの活動を見て、知って、楽しもう」と題し、規模や時間を縮小する形で実施にこぎ着けた。
開催に当たり、岡鼻会長は「時間に限りがあるが、お互いのブースに足を運んでいただき、団体同士の交流の場になれば。これからも、皆さんの活動が持続可能なものとなることを祈念しています」。
来賓の田岡実千年市長は「いろいろな方々が活動を発表できる貴重な機会。絆や、人と人が助け合い支え合うことの大切さを気付かせてくれるイベントだと感じます」とあいさつした。
ステージ発表は、Team雅龍によるよさこい踊りで幕開け。マジックサークル青い鳥によるショーや、南紀手話サークル虹による手話歌が披露され、会場からは大きな拍手が送られた。
会場内には7団体によるパネルや作品展示、5団体による体験ブースも設けられ、来場者らは各コーナーを回って交流を深め、活動内容を学ぶ機会とした。
最後には「川柳で新宮を元気に」の表彰式も行われた。岡鼻会長は閉会に当たり「自分たちの勇気や元気に変わるかもしれない、そういう活動が地域や団体を守ってくれていると思う。これからも皆さまと共に、当イベントを続けていくことができれば」と思いを語った。
(2023年3月8日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308080101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308080102.jpg)
熊野修験が山々で修行 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山から奈良県吉野までの険しい山道を歩く「熊野修験大峰奥駈(おくが)け」が4日、始まった。熊野の山々の霊気を感じられるコースで、コロナ禍前は修験者だけでなく、全国から一般の参加も増加していた。今年は例年のように広く募らず、修験者と一般合わせ約50人が集まった。修験者を先頭に列をなして山道を歩き、山中にほら貝の音と「懺悔(さんげ)、懺悔、六根清浄(ろっこんしょうじょう)」の声が響いた。
1872(明治5)年に修験道が廃止されていたが、約120年を経た1988年に那智山青岸渡寺住職の髙木亮英正大先達(しょうだいせんだつ)らが再興させた。今年で36回目を迎える。
大峰奥駈けは那智山から奈良県吉野までの約200㌔の山道を4回に分けて歩く。この日は「春峰(はるみね)入り」と呼ばれ、髙木智英副住職を中心に青岸渡寺から熊野本宮大社までの約30㌔を丸1日かけて踏破した。
出発前、髙木正大先達は「副住職が代表して皆さまと共に本日の目的地である熊野本宮大社へと向かう。道中、くれぐれもけがなどには注意して、修行に励んでください」とあいさつ。
智英副住職は「この数年は新型コロナウイルスのため、行者のみで行ってきた。今回は普段ほどではないが、一般の皆さまにもご参加いただけた。今年は念願であった修験者のための行者堂の完成の年、身を引き締めて修行に取り組みたい。世界平和とコロナ退散、無事に満行できることを願っています」と話していた。
次回は4月ごろに本宮大社から玉置山まで歩くとしている。
(2023年3月8日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230308010202.jpg)
那智勝浦町体協グラウンドゴルフ部春季大会
トルベリーノかつおカップ
4年ぶり「春よこい」盛況 (新宮市 )
新宮市と市内の3商店街(駅前本通り商店街振興組合、丹鶴商店街振興組合、仲之町商店街振興組合)でつくる「はいから実行委員会」は4日、商店街活性化イベント「春よこい」を開催した。各商店街で趣向を凝らした催しがあり、多くの家族連れらでにぎわった。
市中心地の活性化を目的として始まり、10年以上続いている恒例催事。新型コロナウイルス感染症の影響で、実に4年ぶりの開催となった。
駅前本通り商店街では射的やヨーヨーつり、飲食ブースなどが並んだほか、抽選会も行われた。太平洋食堂のカレーなどの販売には、開始前から多くの人が列を作った。丹鶴商店街ではバルーンすべり台やお絵かきロード、イタ車展示などのほかじゃんけん大会や○×クイズ、ダンスのステージも盛り上がった。
仲之町商店街でも踊りや、県立新翔高校によるバンド演奏、ミニ電車、お菓子つかみどり、風船パフォーマンスなどが行われ、各商店街には子どもたちの笑い声が響き渡っていた。
また、連携事業として同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」ではチムチムサーカスによる大道芸パフォーマンスも開催。メンバーの3人が息の合ったドタバタコメディーを披露し、多くの人が拍手を送った。午後からは各商店街で回遊パフォーマンスも行った。
下地昌宏実行委員長は「天候にも恵まれ、4年ぶりに開催できて良かった。多くの人が楽しみにしてくれたと思う。来年も開催することができれば」と話していた。
(2023年3月7日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230307010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230307010102.jpg)
JR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の8日(水)の運行終了に先立ち、新宮市徐福のJR新宮駅で5日、最終運行おもてなしイベントがあった。子ども連れの家族やカメラを手にした鉄道愛好家ら約350人が、駅を出発する列車に「またね」「ありがとう」などと声をかけて見送った。
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する同列車。2年目となる紀南コースは、昨年10月3日に運行を開始し、約5カ月にわたり京都―新宮間を往復。延べ約3000人の観光客を当地方に運んだ。
この日の最終運行おもてなしイベントでは、参加した子どもたちにはプレゼントの配布もあった。参加者らは、田岡実千年市長や里中陽互・観光協会長、市ツイッターキャラクターめはりさんらと共に、手旗を振って列車を見送った。
田岡市長は「今日は見送りに多くの人が来てくれてありがたい。『銀河』は今年も都会から多くの人を新宮・熊野に運んでいただいた。今後も当地域に定期的に運行いただけるように要望していきたい」と話していた。
同列車のラストランは8日の午前9時50分新宮発。乗客への特産品の配布や、市内保育園・幼稚園児らによる見送りを予定している。
(2023年3月7日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230307080101.jpg)
田原で地域支えあい勉強会 (串本町 )
串本町田原にある田原山村交流センターで3日、地域支えあい勉強会「田原の未来をみんなでつくろう!!支えあいの地域を」があり、田原地区の高齢者20人らが地域の支えあいを実感しながら教わる機会を得た。
この勉強会は、同町社会福祉協議会と同町が主催。町は2019年度から町社協へ生活支援体制整備事業を委託していて目下、生活支援コーディネーターなどによる地域支えあい推進活動が展開されている。コロナ禍で大きく動けない中でも同コーディネーターは町域へ出向いてじかに支えあってほしい高齢者層の声を聞き、目指すべき形を模索。その延長で今回、同事業のモデル地区となっている田原地区で地域への啓発企画となるこの勉強会を初計画し参加を呼びかけた。
当日は町福祉課の鈴木一郎課長が同事業の趣旨を伝えて推進への協力を希望。公益財団法人さわやか福祉財団の生活支援アドバイザー・高林稔さんが講師となり、前半は健康寿命と平均寿命の間にある健康とは言い難い期間をどうするかに着目し、フレイル(虚弱状態)の予防と地域の支えあいの必要性を共に考え実践に向け気持ちを切り替えることを促した。
後半は近隣助け合い【時間通貨】体験ゲームキットの一部を使って、地域の支えあいが具体的にはどういったものかを実感。高齢者らは3グループに分かれ、さまざまな生活の困り事が書かれたカードの中から洗濯や買い物、草引きや掃除など先々困り事になるであろう事柄三つを選び、順々に具体的にどのように困っているかを説明しつつそのカードを出し、みんなでどう助けられるかを考えるなどした。
高林さんはこれら支えあいをお互いさまで定着させるには地域の中に困り事を話せる相手や解決できる相手が必要で、そのために日頃から関係性を豊かに保っておくことが大事だと呼びかけ。関係性が深まれば人となりが分かり助けあいの心が分かると筋道を説き、今回の経験を一人でも多くに伝えその域を目指して考えてほしいと求めた。
最後にこの勉強会を見届けた町社協役員を代表して堀登世会長は、お互いの支えあいが安心できる地域の実現につながることを願い締めくくった。
(2023年3月7日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230307050201.jpg)
毎年恒例のクリーン作戦 (なちかつ古道を守る会 )
那智勝浦町の「なちかつ古道を守る会」(地庵晋司会長)は5日、同町湯川で「ゆかし潟周辺クリーン作戦」を開いた。約40人が参加、ゆかし潟周辺や夏山(なっさ)トンネル付近に散乱するごみを拾い集めた。
同会、地域住民、那智勝浦観光機構、南紀くろしお商工会西部支部、同町、和歌山県などから参加。新聞告知を見た新宮市民の姿もあった。ゆかし潟周辺は熊野古道大辺路が通り、野鳥や魚などさまざまな生物が生息している。美しい景観を保つため同会は、毎年この時期にクリーン作戦を実施、15年ほど続いている。
参加者は、同町湯川にある喫茶きよもんの駐車場に集合。地庵会長はあいさつで「ゆかし潟周辺をきれいにすることで、全国から観光客が来てもきれいな姿を見てもらっている。最初の頃に比べてきれいになったのは、皆さんのおかげ。今日はけがをしないようにお願いします」と呼びかけた。
この後、参加者が分散して清掃を実施。火ばさみや回収袋を手にゆかし潟周辺や夏山トンネル付近を歩き、空き缶やプラスチックごみ、ペットボトルなどを拾い集めた。参加者は協力して、熱心に作業を進めていた。
(2023年3月7日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20230307010201.jpg)