大しめ縄の張り替え (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は27日、世界遺産である那智の滝で大しめ縄を張り替えた。日本一の落差133㍍の滝口で神職たちが足元に注意しながら慎重に新しいしめ縄に取り換えた。
那智の滝は同大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体。張り替え作業は7月14日の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」の前と年末の毎年2回行われている。
しめ縄はサラシ製で長さ約26㍍、重さ約4㌔。大社本殿で安全祈願を行い、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職ら5人が表参道約2㌔の道のりを運んだ。前日の雨の影響もなく、無事に設置された。
大阪府から参拝に訪れていた40代男性は「張り替えは見られなかったが良い時に来ることができた」と語った。
那智の滝は大みそかから元旦にかけて青岸渡寺の三重塔と共にライトアップされる。
(2018年12月28日付紙面より)
リキュール「紀州の一雫」
熊野市特産の香酸かんきつ「新姫(にいひめ)」を使用したリキュール「紀州の一雫(ひとしずく)」の販売が新宮市や熊野市を中心とした酒販店などで始まった。紀州の自然の恵みと果樹の持ち味を引き立たせようと、酒類食品卸売業の株式会社Yアルコ(加藤隆義代表取締役)が企画。和歌山県岩出市にある創業100年の造り酒屋「吉村秀雄商店」で製造した。
新姫は、かんきつ種のタチバナと何かが自然交配したものと推測され、昭和60年に熊野市新鹿町で発見された。市が平成9年に新しい香酸かんきつとして品種登録した。独特の爽やかな香りと程よい酸味が特徴。
紀州の一雫は720㍉㍑入り1600円(税抜き)。新姫の特徴を生かした甘みと酸味のバランスが良く、加藤代表取締役は「アルコールが苦手な方でもおいしく飲んでもらえる」と話している。
問い合わせは新宮市下田の株式会社Yアルコ(電話0735・21・2101)まで。
(2018年12月28日付紙面より)
伝統のこんにゃく作り始まる (熊野川町篠尾 )
新宮市熊野川町の篠尾(ささび)で正月に向けて伝統のこんにゃく作りが始まった。篠尾は日当たりが良く、霧が発生する土地でこんにゃく芋の栽培に適している。昔は多くの家で作られていたが、後継者が減り、一時は少なくなっていた。伝統の味を絶やしてはいけないと昭和61年に篠尾こんにゃくグループが発足した。11月に収穫した芋を1カ月ほど干し、12月中旬からこんにゃく作りを始める。
篠尾集会所内に設けられた作業所で、昔ながらのかまどにカシなどの天然木を燃料にして湯を沸かし、芋をゆでる。皮をむいた後、石臼でこねて木灰からとったにがりを混ぜ、木型に詰める。その後1時間ほど煮てあくを抜き、袋に詰めて殺菌のためにゆでて完成する。機械に頼らない昔ながらの製法で作られた篠尾のこんにゃくは特においしいという。
グループ代表の垣内金夫さんは「以前、京都のお寺さんから定期的に欲しいというありがたいお話をいただき、『篠尾のこんにゃくは12月から2月いっぱいまでなのです』と了解をいただいた」と語る。「正月に向けて年内に1000個を作る。正月明けから2月いっぱいまで続きます。1月中旬には体験こんにゃく作りもあるので、ぜひお越しください」と話していた。
(2018年12月28日付紙面より)
新宮ライオンズクラブ (新宮市 )
新宮ライオンズクラブ(新宮LC、山本俊英会長)は25日、児童養護施設の紀南学園(芝悦男園長)に自動体外式除細動器(AED)一式を寄贈した。芝園長は「設置したいと考えていたところ、お話をいただいた。職員一同大変ありがたく思っています」と話していた。
山本会長をはじめ、新宮LCの会員らが同学園を訪問。児童らに、用意したクリスマスプレゼントを配り、芝園長に目録を手渡した。
山本会長は、児童らに「クリスマスの良き日に、ライオンズクラブから贈り物を届けることができたことをわれわれもうれしく思います。元気に成長して、社会に出てからも頑張ってください。応援しています」とあいさつ。
見送る子どもたちから会員らにお礼の折り鶴が手渡され、芝園長は「今日は一日を通して多くの方々が園に贈り物を届けてくれました」と感謝していた。
(2018年12月28日付紙面より)
小、中学校で終業式 (新宮・東牟婁地方 )
新宮・東牟婁地方の小中学校で21日、終業式があった。児童生徒らは約2週間の冬休みに入った。
新宮市立緑丘中学校(橋爪健校長)では、終業式前に全校集会があり、「第38回全国中学生人権作文コンテスト」和歌山県大会で最優秀賞、中央大会で奨励賞を受賞した小西柚さん(3年)や、運動部、文化部で成績を収めた生徒らに表彰状が送られた。
同校生徒会長の﨑山翔太君(2年)が「一年間で最も長い2学期が今日で終わります。文化祭では一人一人が努力し素晴らしいものになりました。クリーン作戦では地域の方々と共に協力し合い、街がとてもきれいになりました」と述べ、スライドで2学期の思い出を振り返った。
終業式では校歌斉唱後、橋爪校長が「冬休みの間に年が替わります。何かが変わる時は一つの大きなきっかけとなる。今年できなかったことに取り組む良い節目になります」とあいさつ。「年末年始は帰省する人も多く、車も増えます。勉強や運動ももちろん大事ですが、第一に健康面と安全面に気を付けて過ごしてください」と呼び掛けていた。
(2018年12月22日付紙面より)
下露で動物駆逐用煙火講習 (古座川町 )
古座川町下露にある七川総合センターふるさとで15日、動物駆逐用煙火使用の講習会があり、22人が受講して同煙火を使用する要件を満たした。
この講習会は、同町地域振興課が主催。鳥獣被害防止対策として平成26年度から導入している同煙火「T―3」は、サルなどの有害鳥獣を追い払う用途で伊藤煙火工業株式会社=三重県亀山市=が生産していて、市販されている花火よりも火薬量が多いため同町は、不正使用や不正流通の防止も兼ねて同講習会の受講を使用の要件とし修了者に対して無償配布し対策の実践を求めている。
この日は同社の伊藤照雄代表取締役会長が「T―3」の開発経緯や仕組み、専用ホルダーを用いた使用方法や注意事項などを説明し、その後は屋外に出て実技指導もした。参加者も実際に試射して、同煙火がどういうものかを確かめた。
同課によると、この講習会はこの日を含めて計7回開いていて延べ427人(重複受講を含む)が受講している。無償配布は専用ホルダーも含めて役場本庁や各出張所を窓口にして実施していて、平成29年度中の配布本数は全体で933本だったという。同煙火による鳥獣被害防止対策の問い合わせは同課(電話0735・72・0180)まで。
(2018年12月22日付紙面より)
紀州勝浦漁協がイセエビ奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で19日、紀州勝浦漁業協同組合(片谷匡組合長)によるイセエビの奉納があった。地元で捕れたイセエビ約30匹10㌔を神前にささげ、海上安全などを祈願した。
イセエビの奉納は毎年この時期の恒例となっている。拝殿
には、このほど公募により決まった地元産イセエビの愛称「南紀黒潮イセエビ」ののぼりが
掲げられ、地域の発展も祈った。神事を終え、組合員の吉村泰治さんは「海上の安全を第一に、大漁を願いました」と話した。
男成宮司は「日本の漁業を取り巻く環境は厳しいものがあり、ご苦労が多いかと思いますが漁業は大事な産業。那智勝浦町のためにもご精進くださいますように。豊漁を祈ります」とあいさつした。
(2018年12月22日付紙面より)
IWC脱退方針を歓迎 (太地町 )
日本政府がクジラの資源管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)から脱退の方針を固めたとの報道を受け、日本小型捕鯨協会長で、太地漁業協同組合の貝良文(かい・よしふみ)参事は20日、「信じられない。われわれにとって商業捕鯨の再開は悲願だった」と喜んだ。
日本の国際機関脱退は戦後の例がほとんど無く異例なこと。クジラの食文化を守る立場の日本政府は、近年クジラの資源量は回復しているとして9月のIWC総会で、商業捕鯨の再開や改革を提案したが否決されていた。政府はIWCに加盟したままでは商業捕鯨の再開は困難と判断し、脱退の方針を固めた。来週にも表明する方針。
脱退すれば、商業捕鯨を再開できる見通しだが、南極海での調査捕鯨はできなくなる。従来の太地町での沿岸漁業に、たちまちの支障はないものの、反捕鯨国や団体からの反発は必至とみられている。
太地町は古式捕鯨の発祥地として知られている。IWCの捕獲制限により捕獲が禁止され、現在は主にIWC管理対象外の小型鯨類のツチクジラ、ゴンドウクジラなどを捕っている。貝参事は「政府からの正式発表はないが、これが事実ならばありがたい。良い風が吹いてきたように思う」と話している。
太地町では国の方針を歓迎する声が多く聞かれ、新屋敷に住む元マグロ漁師の坂口高男さん(85)は「太地はクジラで栄えてきた町。昔は多くの漁師や人でにぎやかだった。商業捕鯨の再開は町としていいことだと思う。今後の活気につながるのでは」と話した。
(2018年12月22日付紙面より)
新宮市立城南中学校生徒会と城南地域共育コミュニティ本部は10日、「城南校区クリーン作戦」を実施した。城南中178人、王子ヶ浜小学校の5、6年生117人、王子幼稚園の21人、教職員、育友会、市教育委員会、地域住民ら約500人が15班に分かれ、阿須賀神社、浮島の森、下田児童館など14カ所から出発。城南中を目指しながらごみ拾いに励んだ。
地域貢献の一環として毎年実施している。縦割りグループで作業し、中学生の自覚を深め、学校と地域の連携を強める目的。以前は生徒会が「通学路クリーン作戦」として主催しており、2009年から現在の形で実施している。
城南中生徒会の傳田未咲会長(3年)は作戦でまちがきれいになり、犯罪が減る、交流の場になるなど多くのメリットがあるとし、「みんなできれいで住みやすいまちにしていきましょう」。環境委員長の窪上珠波(しゅうば)君(3年)は「みんな真面目に取り組んでおり、きれいになって良かった。今後も地域のことに関われれば」。
同中の中田善夫校長は「笑顔で協力したクリーン作戦になった。まちがきれいになることで心もきれいになる。日頃からまちをきれいにしていきたい」とあいさつ。
地域共育コーディネーターの大石熊野さんは「毎年少しずつごみが減っている。美しい所に美しい心が宿る。大人になっても住んでいる町をきれいにしていく気持ちを持って」と呼び掛けた。
(2018年12月13日付紙面より)
太地小6年が「租税教室」
太地町立太地小学校(宮本礼子校長)で11日、「租税教室」が開かれた。新宮税務署が管内の小中学校を対象に開いている出前講座の一環。6年生11人が参加し、矢萩会計事務所の矢萩文さんから税の仕組みや納税の意味を学んだ。
矢萩さんは身近な税金としてまず消費税を紹介。所得税や住民税なども例に挙げ、児童らは日本に約50種類の税金があることをクイズ形式で学んだ。
その後はアニメーション教材の上映があり、登場人物が税金のない世界で困難に直面する姿から、警察や消防、義務教育などの社会基盤が税金で支えられていることを児童らは知った。
用意された1000万円の札束10個からなる1億円の札束の見本を手に取り、金額の重みも実感した。最後に矢萩さんが「税金があった方が良いと思う人」と呼び掛けると、児童らは一斉に手を挙げていた。
(2018年12月13日付紙面より)
串本町文化センターで11日、人権講演会「―ヒロシマ―被爆ピアノコンサート」があり、約350人が聴講や鑑賞をして平和と人権の大切さを考えるきっかけにした。
この講演会は、同町人権委員会(西野政和会長)が主催。同和運動推進月間(11月)や人権を考える強調月間(11月11日~12月10日)などにより人権を考える機運が高まる晩秋~初冬時期に開いていて、今回は広島県から被爆ピアノの所有者で調律士の矢川光則さんと爆心から1・8㌔の距離にあった被爆ピアノ、ソプラノ歌手の大島久美子さん、ピアニストの梶田法子さんを迎える形で計画し、参加を呼び掛けた。
テーマは「平和と人権のメッセージを音楽に込める」。開会に当たり西野会長は、同町立串本西小学校における戦争体験談を例に挙げ「平和のないところに人権はない。今宵は原爆から生き抜いたピアノで平和への思いを新たにしてほしい」とあいさつして講師一同の来町を歓迎した。
序盤は矢川さんが20年来取り組んでいる被爆ピアノコンサートやこの日持ち込んだ被爆ピアノの経緯を紹介。「自分にできる平和活動として全国に平和の種をまいている」と取り組みに込める思いと被爆ピアノの映画が2020年ごろに公開予定であることも伝えて、被爆ピアノとの出会いを平和の尊さを考えるきっかけにしてほしいと呼び掛けた。
中盤は大島さんと梶田さんによるコンサートで、大島さんは被爆ピアノの歩みを擬人化した詩を朗読し、被爆ピアノや平和について伝えたい思いを曲間に述べたり歌に乗せたりして来場者に託した。梶田さんは被爆ピアノを演奏し、その音色で大島さんを後押しした。
大島さんは終盤、「何があったかを正しく知り、伝え、忘れないこと。誰もが平和を望めば世界は平和に向け動き出す」「身近な人に『ありがとう』『ごめんなさい』の気持ちを伝え、皆が笑顔で過ごす。これが私たちにできる平和活動」などのメッセージを掲げて矢川さんが思い描く平和の種まきを実践。閉会に当たり同委員会の山本ちづき副会長は、「命を大切にすることやその種まきをすることを教わった。これらを糧にし今後に生かしていきたい」と述べ、3人と被爆ピアノへの感謝の拍手を来場者に求めて締めくくった。
(2018年12月13日付紙面より)
少年サッカー東西対抗戦
第6回近畿少年少女選抜空手道大会 (拳武館新宮道場 )
第15回太地いさなカップ大会 ( )
市交通指導員協議会が危険箇所へ (新宮市佐野 )
新宮市交通指導員協議会(清岡幸子会長、会員21人)は6日、那智勝浦新宮道路の新宮南インターチェンジ(IC)につながる同市佐野の市道2カ所に交通事故防止の注意喚起看板を設置した。市内では今月1、2日に連続して交通死亡事故が発生している。
設置した場所は同ICや市医療センターに通じる道路。道幅のわりに交通量や速度を出す車両が多く、これまで付近住民から「車の通行や歩行でたびたび危険を感じたことがある。交通事故防止の対応措置を取ってほしい」などの要望があった。
現地調査の結果、道路整備などで以前より道路幅が広くなり、速度を出す車両が認められ、さらに歩行者利用もあることから、交通安全・交通事故防止施策として看板を新たに取り付けた。
看板は縦100㌢、横25㌢。全面反射で夜でも色鮮やかに交通安全をPRできる。スピードを出す車に対する注意喚起として「危険 スピード落とせ」と注意を促している。
設置には会員10人と市職員らが参加。清岡会長は「1日と2日には死亡事故が発生している。市も力を入れてくれ、今回だけではなく今後も市内の危険箇所に看板を設置したい。お邪魔すると思うが、近隣の皆さまのご理解とご協力をお願いします」と話していた。
同協議会は現在活動に参加する指導員を募集している。問い合わせは新宮市生活環境課内、交通指導員協議会事務局(電話0735・23・3333)まで。
(2018年12月8日付紙面より)
新宮市観光振興委員会(森本祐司委員長)が6日、市役所4階会議室で開かれた。第5回のこの日は熊野速玉大社神職体験、熊野川米、宿泊者限定企画「せんペロ対抗戦」の報告を受け、来年度の計画を話し合った。
開会に当たり森本委員長があいさつ。「人口減少の中、インバウンドを含めた流入人口増がなければ、新宮市の経済が回っていかなくなる。『食える観光』にしないと厳しい」と述べた。
神職体験は11月12日に開催。外国人3人が臨時神職として神事を奉仕した。「貴重な体験だった」「感動した」との声があった一方、「マナーが難しい」「覚えることが多くて疲れた」などの改善点も見つかった。
これらを踏まえて一部内容を簡略化し、一般参詣者に「見せる」化する方針を示した。年11回の開催を観光客が多いシーズンに集中的に実施する計画も持ち上がった。
熊野川米は「熊野川ヤタガラス米」と命名。ジェット船乗り場、駅前観光協会、道の駅、宿泊施設の他、贈答品として商店街で販売する。ふるさと納税返礼品、イベントなどでの記念品にも活用する。
せんペロ対抗戦は市の魅力を知ってもらうことが狙い。市観光協会の里中陽互会長は「新宮を楽しんでもらう意識を持つことが重要。イベントを通して、(宿泊者に紹介する)ホテルにも生き残る道を感じてほしい」と話した。
楽天トラベルは、今後のプロモーションを説明。来年1月28日(月)に市福祉センターでDMOセミナーを開催する。
委員会は来年度、「まちなか観光」を加速させ、外国人観光客の市街地誘導を強化する。▽商品開発の仕組みを構築▽川舟の商品化▽グリーンツーリズム開発▽ターゲットを絞った周遊ルート開発▽メニュー開発、お土産開発による事業者の活性化―に取り組む。
来年2月末に今年度最後の委員会を開く。
(2018年12月8日付紙面より)
議長を務めた伊森安美さん (串本古座高校 )
「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山で議長を務めた伊森安美さん(串本古座高校2年)が6日、事後報告のため同校地域協議会の会長や副会長を訪ねた。
このサミットは、10月31日と11月1日の2日間にわたり和歌山市内で開かれた。世界48カ国から約250人、国内49校から約130人の高校生が参加し、自然災害から命を守るための備えについて▽災害について知識を得る▽災害に備え意識を高める▽災害から生き抜く―の各分科会に分かれて協議。伊森さんは県立日高高校3年の中井充歩さんと共に議長を務め、各分科会の協議の成果を「稲むらの火継承宣言」としてまとめた。
串本古座高校からは前回の同サミットにも参加した伊森さんら生徒4人が参加した。先だって参加者を対象に開かれたスタディーツアーでは同校の生徒約50人が参加者の体験をサポートした。サミット後の11月22日、議長2人は東京都にあり▽ANAホールディングス▽気象庁▽内閣府▽自由民主党本部▽文部科学省―に事後報告をし、同本部で二階俊博幹事長から両議長に安倍晋三内閣総理大臣名の感謝状が伝達されたという。
6日の事後報告で報告を受けた会長の田嶋勝正串本町長は防災のリーダーが求められる中、若い世代が率先して防災に取り組んでくれることは町としてもうれしいと感謝。副会長の西前啓市古座川町長は一連の経過を良い経験だとたたえ、そろって伊森さんと同サミットに協力した生徒の今後の活躍を期待した。
事後報告はこの日が最終で、伊森さんは「津波の経験がない国の人が経験した人の話を聞いて意識が高まったという声があって、ここで学んだことを自分の国に帰って同じように伝えてほしいと思ったし、自分もそのように地域や学校に広めていきたい。このサミットに参加するのは2回目ですが、今回も多くのことが学べてすごくよかったです」と思うところをコメント。
両町長が期待した今後について「自分が住んでいる串本町は、自然が豊かで観光客が多く、その中には外国人観光客もたくさんいる。同宣言の一項目にあるユニバーサルデザインの標識があれば、まったく知らない場所でもどこに逃げればいいかが一目見て分かるので、地域とも連携してこれをやってみたい」と抱負を語った。
(2018年12月8日付紙面より)
旅客船の安全やテロ対策 (勝浦海事事務所 )
観光客や帰省客が増える年末年始に備え、国土交通省近畿運輸局勝浦海事事務所は6、7の両日、串本海上保安署と合同で管内4社の旅客船の安全やテロ対策などを点検した。事故の未然防止などを目的に船舶検査官らが浮輪などの救命設備や安全確保のための連絡体制を確認した。
国交省が実施する「年末年始の輸送などに関する安全総点検」(12月10日~1月10日)の一環。点検をしたのは熊野交通(新宮市)、紀の松島観光(那智勝浦町)、浦島観光ホテル(同)、串本海中公園センター(串本町)の4社。乗組員の健康状態や過労状態の把握、新型インフルエンザ対策、事故や災害時の連絡体制などについても指導した。
新宮市熊野川町日足の熊野交通志古船舶営業所(堀芳生所長)には6日、岩佐裕二次長ら4人が訪れた。堀所長ら立ち会いの下、テロ防止のための取り組みやテロ発生を想定した訓練の実施状況、事故や災害発生時の安全確保のための指示体制などを聞き取り調査。ウオータージェット船(全長約18㍍、総トン数約19㌧)内に入り、救命具の位置、消火器の有効期限などを一つ一つ調べた。海中転落者を救助するための、漁具(浮子=あば)を応用した救助機材「非常投浮(とうふ)」の実演もあった。
点検終了後、岩佐次長は「今後も体調の変化などに皆さんで注意し合い、さらなる安全運航に取り組んでください」と呼び掛けた。堀所長は「年末年始に向けて、多くのお客さまを安全にご案内できるよう気を引き締めていきたい」と話していた。
(2018年12月8日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で6日、迎春準備が始まり、小雨が降る中神門の大しめ縄と大絵馬の掛け替え、奉告祭があった。作業を見守った九鬼宮司は「来年は御代替わりがあり日本にとって大事な年。当地方は世界遺産登録15周年を迎える。夢を持ち、災害などがなく通常の暮らしを送ることができる平穏な年になれば」と話した。
大しめ縄は紀宝町成川の榎本政子さん(85)が家族や友人、親族らと毎年編んでいる。今年は8月下旬から準備をし、11月20日ごろから本格的に作業を始めた。コシヒカリのわら約1300束を使っており、長さ4・5㍍、縦約80㌢、重さ約270㌔。両脇には八咫烏(やたがらす)の形をしたしめ縄を飾っている。
榎本さんが同大社の大しめ縄を作り出して今年で35年目。「掛け替える頃には雨もやんで良かった。みんなで力を合わせて、かっちりしたいいしめ縄ができました」と話していた。
来年のえと「己亥(つちのとい)」の大絵馬(横182㌢、縦90㌢)は九鬼宮司が自ら作成したもの。金色の幣串(へいぐし)を背負い、ヤタガラスが描かれた装飾具を掛けたイノシシを描き、「夢」の文字を書き添えている。
(2018年12月7日付紙面より)
高次脳機能障害学ぶ講演会 (那智勝浦町 )
新宮・東牟婁圏域自立支援協議会精神部会は11月28日、研修会を那智勝浦町立温泉病院で開いた。県立医科大学リハビリテーション科医学教授でリハビリテーション・スポーツ・温泉医学研究所所長の田島文博さんが「高次脳機能障害について」の講演を実施した。参加者らは高次脳機能障害について、さまざまな学びを深めた。
田島さんによると、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と行為の感情などの精神機能を「高次脳機能」と紹介。病気や事故などで脳が損傷されたために障害が起きた状態を「高次脳機能障害」と説明した。その特徴に▽注意力の低下▽新しいことが覚えられない▽感情や行動の抑制が利かないなどを挙げ、日常生活に支障をきたすと話した。
医学については、60年前は命を救うことが目的で障害は対象とされておらず、初めて対象としたのは整形外科であったと報告。「医学が障害も主なターゲットにした際に登場したリハビリテーションは患者と医療のニーズから生まれた障害を直すためのもの」と田島さんは語った。
大腿(だいたい)切断の例を挙げ、「切断や麻痺(まひ)は治せなくても歩行障害を直す。そのために義足を作り、残った下肢の筋力を強くする。リハビリテーションの基本は残存機能の活用」と説いた。
田島さんは、脳が全体的に障害された意識障害においても、思い切って動かすことで改善した例もあると話し、「座らせる、立たせるなど、脳への刺激は有効。意識障害の方はベッドに寝かせておくばかりではいけない。安静は麻薬。すぐに悪影響は生じないが、確実に活動性を低くさせる」と改善策を示した。また、社会的行動障害や失語症の症状、脳血管障害に効果のある装具療法にもふれた。
田島さんは「障害者になったときは現在の自分を愛してください。障害を持った方々も、障害を持った自分を大切にしている。障害は自分の一部であり、障害の理解が最も重要」と締めくくった。
(2018年12月7日付紙面より)
御浜町
三重県御浜町の尾呂志地区では風伝峠方面から連日のように雲が流れ落ちている=写真。北山峡で湿度を含んだ大気が放射冷却状になったときに発生した雲海が、山を隔てた尾呂志側にあふれ下る現象。通称「風伝おろし」と呼ばれている。雨が降ったあと風がやみ、気温が下がったときに発生し、数日続く。風が強かったり雨天のときは発生しないようだ。
峠の山肌を這(は)うように下る様は圧巻で大自然の驚異を感じる。秋から冬の名物となっていてこの姿を求めて多くのカメラマンも訪れる。
(2018年12月7日付紙面より)
航空自衛隊串本分屯基地 (串本町 )
串本町須江にある航空自衛隊串本分屯基地(吉村雅美司令)が2日、創立61周年記念事業の一環で一般開放を行い、さまざまな展示を披露して地域を迎えた。
同基地は1955(昭和30)年、在日米空軍が設置し、2年後の57(昭和32)年に当時の空自9082部隊が引き継ぎを受けるため展開した。これを起点にして同基地は周年記念事業を計画して地域と積極的に接点を作り、同基地存続への理解と協力への感謝を重ねている。
61周年となる本年度は、同基地の一般開放と祝賀会を計画。一般開放では亜音速ジェット機「T―4」や救難ヘリコプター「UH―60J」といった各種航空機、水陸両用車やペトリオット(PAC―3)、重機や消防車といった各種車両の展示と、戦闘訓練やヘリによる救難訓練、野外炊飯訓練や儀じょう隊ファンシードリルショーやラッパ吹奏など隊員による披露があり、来場者の注目を集めた。
野外炊飯訓練ではチキンカレーと黒潮カレー(=同基地オリジナルレシピに基づくシーフードカレー)に加え、航空自衛隊がレシピ作りに力を入れる唐揚げ「空上げ」の同基地版を数量限定で来場者に振る舞い。子ども向けに綿あめ、自治体参加枠で太地町がくじらの竜田揚げを振る舞ったほか、軽装甲機動車など試乗や自衛隊和歌山地方協力本部によるミニ制服試着などの体験提供も利用を集めた。
同基地は大島でも特に高い場所にあり、その眺望を楽しむ機会として、庁舎屋上案内も人数限定で実施した。
祝賀会は招待者対象の行事で、同基地体育館内で開かれた。ピーク時には臨時駐車場とした樫野崎駐車場や大島小中グラウンドがほぼ満車となる来場を集める盛況。その様子を見届けた吉村司令は「この開放で航空自衛隊と串本分屯基地の活動を知ってもらい、今後も理解と支援協力を願いたいと思う。天候にも恵まれ、予定した展示や出し物を全てできた。お越しいただいた皆さんに楽しんでいただければ何よりです」と話した。
(2018年12月7日付紙面より)