文化複合施設建設で提言 (遺跡保存願う会 )
熊野新宮遺跡群の保存と活用を願う会(西村忠之会長、会員15人)は22日、文化複合施設建設に関する提言書を田岡実千年市長に提出した。建設予定地の丹鶴小学校跡地からは今後も貴重な遺跡が出土し完成が遅れる可能性があると、図書館か文化ホールを別の土地に建設することを検討するよう求めた。田岡市長は今のところ他に建設可能な土地がないとし、「申し訳ございません。難しいです」と断言した。
同会の西村会長と中瀬古友夫、長谷徳蔵の両副会長が市役所を訪れ提言した。田岡市長は、これ以上市民の文化活動に支障をきたすことができない、50%の補助がある有利な国の交付金期限が迫っている、などを理由に交付金期限の平成33年3月末までに予定地に建設する方針を変更する考えはないと述べた。
西村会長は歴史、文化、学術、観光上価値の高い遺跡を100%残し、遺跡の保存活用方法が決まるまで、埋め戻し、芝を張って市民の憩いの場として利用することを提案。楠本秀一教育長は、遺跡の保存については市民から賛否両論あり、施設の早期完成を求める声も上がっていると説明。「市民の声が調和できる道を探っている」と遺跡の一部は記録保存、移設もあり得ると理解を求めた。
田岡市長と楠本教育長は、会員たちが別の建設候補地として挙げた▽王子製紙跡地は、譲渡された際に建物を建設しない契約を結んでいる▽蓬莱小学校跡地は、スポーツ少年団らが使う貴重なグラウンドですでに築山を造成している▽城南と緑丘中学校を統合して一方の跡地を使う案は、学校統合に相当な時間がかかる▽新宮警察署跡地は、県の所有地で場所が交付金対象外になる―などと説明した。
(2017年9月24日付紙面より)
盛大に「舞込芸能大会」 (三輪崎郷土芸能保存会 )
三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)は22日夜、新宮市の三輪崎会館で「舞込芸能大会」を開いた。地域住民ら多くの人が、日本遺産にも登録されている県無形民俗文化財の鯨踊りや獅子神楽、舞踊や演奏を楽しんだ。
保存会による剣の舞や天狗(てんぐ)の舞など7種類の獅子神楽と鯨踊り、三輪崎婦人会、台楽保存会の踊りと三輪崎老人クラブ連合会の歌謡などがあった。三輪崎老ク連の女性部員が特別出演し、三輪崎の女性たちが踊っていた手踊りによる鯨踊りが50年ぶりに復活し、披露されたほか、その当時の様子を振り返るスライドショーもあった。
濱口会長は「台風の影響で予定をしていた町内奉納がほとんどできませんでした。皆さんにご迷惑をお掛けしました」と謝罪し、「延期して行った18日には台風一過で晴天に恵まれ、御旅所での獅子舞、鯨踊り、各種団体にご協力いただきまして手踊りの披露ができたことを本当に良かったと思っております。今年は大変暑い中での練習でしたが、大勢の皆さまに見ていただけたことで頑張ったかいがありました。本当にありがとうございました」とあいさつ。濱口会長は、毎年全国から選ばれた4団体が参加し開催される11月の「全国民俗芸能大会」という歴史ある大会に、同保存会の鯨踊りが選ばれたことも報告。「日頃から地域の皆さまに支えていただいて活動してきた結果と思います。精いっぱい頑張ってきます」と意気込んだ。
(2017年9月24日付紙面より)
南紀くろしお商工会女性部
南紀くろしお商工会女性部(大林幸子部長、部員112人)は23日、太地町のホテル「花いろどりの宿花游」でテーブルマナー教室を開いた。27人が参加し、料理を味わいながら食事の作法を学んだ。
同教室は、部員が披露宴や集会などさまざまな場所に呼ばれるため、役立つマナーを身に付けてもらおうと実施した。大林部長は「部員の皆さんには普段頑張っている分、優雅な時間を持っていただきたい」とあいさつした。
この日は、「きのこクリームスープ」や「牛ヘレのポアレ・マデラソース」など七つの料理で構成されたフレンチフルコースを味わった。
講師は花游のソムリエ、井上歩さん。「テーブルマナーは、もてなす相手や周囲の席の人、レストランのスタッフなどその場にいる人を不快にさせないための所作」と話し、席の着き方からナプキンの用法、食器の扱い方、メニューごとの食べ方などを、実演を交えて教えた。参加者は歓談しながら優雅な雰囲気の中で料理に舌鼓を打った。
(2017年9月24日付紙面より)
佐渡裕さん指揮、復興祈念演奏 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と同町教委は18日、兵庫県立芸術文化センター芸術監督で世界的指揮者の佐渡裕さんと同センターのスーパーキッズ・オーケストラを招いて「佐渡裕&スーパーキッズ・オーケストラ2017 紀伊半島大水害復興祈念演奏活動 こころのビタミンプロジェクト in なちかつうら」を開催した。
佐渡さんは午後の演奏会に先だち、同町市野々の県土砂災害啓発センター敷地内で鎮魂演奏会を催した。佐渡さんは新宮高校の生徒から「音楽で地元を元気づけたい」と手紙を受け取ったことを来町のきっかけと話し「手紙に感動しました。大水害から6年が経過してしまい、いつか来なければと思っていました」とあいさつ。コンサートマスターの前田妃奈さん(中3)がバッハの「バイオリンソナタ」よりソロを演奏後、会場の全員で黙とうをささげた。高い演奏技術と美しい響きに、約150人の鑑賞者は大きな拍手を送った。
佐渡さんは同町井関の紀伊半島大水害記念公園で慰霊碑に献花し、手を合わせ、「たくさんの命が自然災害で奪われるというのは本当に心が痛みます。自然豊かな所で生まれ育った私たちは、これからますますそうした災害に工夫しながら向き合っていかなければならない。手を合わせるということは、未来のことを決意するということだと思います。励まし合い手を取り合い生きていけるのは日本の素晴らしいところ。われわれには音楽を通してこころのビタミンを届けることしかできませんが、この美しい町がますます魅力的な町になっていくことを願っています」と話した。
(2017年9月20日付紙面より)
知的障害者の雇用など例に学ぶ (新宮市 )
新宮市婦人団体連絡協議会(仲富美子会長)は16日、新宮市福祉センターで、講師に新宮市人権尊重委員会の和田勝さんを迎え人権学習会を開催した。
和田さんは認知症の祖母と孫が題材の絵本「ばあばは、だいじょうぶ」を紹介し、神奈川県相模原市の知的障害者施設津久井やまゆり園で起こった「相模原障害者施設殺傷事件」も取り上げた。社員の7割が知的障害者のチョーク工場が日本で一番大切にしたい会社と呼ばれる理由が描かれた「虹色のチョーク」という本を題材にし、知的障害者との関係などについて講話した。
日本国憲法第14条第一項を読み上げ、「人権というのは、人間が人間らしく幸せに生きていくための権利。人間は生まれた場所、住んでいる場所によって値打ちが決まるものではない。差別はされる側ではなく、する側に問題がある。する人がいるから差別が起こる。いじめも同じ。差別などは人間がつくり出したものですから、人間の力でなくしていかなければならない」と話した。
和田さんの講話の前には、赤十字奉仕団和歌山県支部の講習に参加してきた川嶋みどりさんが、講習時に教わってきた、緊急時に役立つ牛乳パックを使った一人用非常食セットを紹介した。
(2017年9月20日付紙面より)
三輪崎八幡神社例大祭の奉納行事 (新宮市 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭の神輿渡御(みこしとぎょ)と奉納行事が18日、同神社と三輪崎漁港周辺で営まれた。奉納行事では晴天の下、三輪崎郷土芸能保存会が獅子神楽と日本遺産に登録された鯨踊りを披露。踊りや演奏があり大勢の来場者らでにぎわった。
三輪崎漁協前の御旅所では三輪崎郷土芸能保存会が七つの獅子神楽を奉納。『鯨踊り』では扇子を持って鯨を追い込む様子を表した『殿中踊り』と竹製で銛(もり)を模した「綾棒」で鯨を突く様子を表した『綾踊り』を勇壮に披露し「ヨイハ」の掛け声を響かせた。
三輪崎婦人会、台楽保存会、若吉会の女性たちが2曲ずつ踊り、熊野曼荼羅太鼓の演奏に合わせて『黒潮囃子』と『新宮節』も踊った。
三輪崎郷土芸能保存会の濱口仁史会長は「台風の影響で予定を変更しましたが、晴天に恵まれてよかった。懸命に練習した踊りをめいっぱい披露できうれしいです。満足のいく御旅所での披露になりました」。三輪崎八幡神社氏子総代会の中村武会長は「天気も良く無事にでき、ほっとしています。祝日で子どももたくさん出てきてくれた」。
夫が保存会のメンバーの吉村まき子さんは「体力勝負で大変だと思いますが、頑張っていると感じます」。葛平愛子さんは「今年は神輿を担ぐ人が少なく、にぎやかさが例年と違っているように思います。いろんな世代の人が参加しておりいい祭りですね」と話していた。
(2017年9月20日付紙面より)
勝浦八幡例大祭
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭式典が18日、営まれた。17日の予定だったが、台風による荒天が予想されたため延期。内容を縮小して、境内で神事と奉納行事を執り行った。
式典は正午に始まり、祭典委員や氏子らが参列した。櫂(かい)伝馬のこぎ手が「餅つきうた」を歌い、山伏勝浦会(山路昇会長)は歌舞伎の演目「勧進帳」を演じ、勝浦獅子神楽保存会(沖和也会長)が獅子舞を奉納した。
神輿(みこし)の渡御は中止となったが、午後3時からは櫂伝馬行事が営まれた。櫂伝馬愛友会(濱口泰至会長)、那智中学校の男子生徒が乗り込んだ3隻、南紀くろしお商工会の1隻の計5隻が勝浦湾内をこぎ回った。櫂伝馬を応援するギタリストの濱口祐自さんの演奏もあった。大阪府吹田市の浜田純さん(60)は、「毎年お祭りを楽しみにしています。台風で海中神事が見られず残念でしたが、櫂伝馬は見ごたえがありますね」と話していた。
(2017年9月20日付紙面より)
「ツール・ド・北海道」キナンチームレポート②
寺本千紗さん、潮﨑梨緒さん選出
サ市訪問の中学生が報告会 (新宮市 )
新宮市国際理解教育海外研修事業の帰国報告会が14日、同市役所で開かれた。市の姉妹都市であるアメリカ・サンタクルーズ市(サ市)を訪問した生徒らが体験を発表。生徒代表の福田蓮君(光洋中3年)は「研修はかけがえのない人生の宝物になった。感謝を忘れず、新宮とサンタクルーズ市の懸け橋になれるよう頑張りたい」とあいさつした。
新宮市とサ市は1974年に姉妹都市縁組を締結。研修事業は市の将来を担う心豊かな人材を育てようと始まり、訪問は11回目。交流活動を通じ、地元の生徒との親睦を深めることや文化の違い、歴史を学び、自国文化への理解を深めるなどの内容で、ホームステイによって現地の生活様式を体験し外国語学習の意欲を高める狙いがある。
生徒らは8月17日から25日まで、サ市の歴史公園やレッドウッドの森、遊園地、水族館、スケートボード会社などさまざまな場所を訪れ、ホストファミリー、現地の人たちとの交流、ダウンタウンでのショッピングや体験などを通して思い出をつくった。
生徒らは印象に残ったことや感想を日本語や英語で発表。「最高の思い出になった」「歴史の授業より学べて勉強になった」「アメリカの広さを感じた」「サンタクルーズにまたいつか必ず行きたい」「自分が親切にされたように、受け入れたり体験させたりしたいと思った」「とても幸せな時間だった」「失敗を恐れず何事にも挑戦する大切さと積極的なコミュニケーションを取る大切さを学んだ」などと報告した。
福田君は「行く前は希望と不安でいっぱいだったが、一人一人が貴重な体験をし、生活や文化を学び、たくさんのことが得られた」と話した。
鈴森早有美団長は「継続することが大事と感じることができた。今後も積み重ねていければ」とあいさつ。引率の山本佳人・高田中学校教頭は「生徒たちはしっかり時間を取り、いろんなものを見て、体験し、知識が得られたと思う。生徒、私自身も記憶に残る体験だった」。
市教育委員会の雜賀まどかさんは「研修を通し、たくさんの人とのつながり、成長を感じた。体験や学んだことを生かせるリアルな教育プログラムだと思う。人との交流が実を結ぶ過程が分かる学習ができた」と話した。
田岡実千年市長は「研修で本場の英語に触れる機会は大きかったと思うが、心のつながりが勉強になったと発表を見て感じる。今後この縁、経験を大切にしてくれれば」。屋敷満雄・市議会議長は「現地に行き、何事も見るのが一番の勉強」と述べた。
姉妹都市親善協会の岩澤卓会長はサ市の歴史を語り「新宮の町でみんなが大きくなって出て行ったとしても、サンタクルーズ市が努力して町をつくったことを思い、新宮を自分たちが育てていくことをしてもらえれば大きな成果になる。経験したことを分かち合うだけでなく、今回経験したことを将来に生かし、新宮を今後自分たちのふるさとであるよう、自分たちが頑張ることがためになる」と呼び掛けた。
(2017年9月17日付紙面より)
みテますキープ制度1号にウミガメ公園 (紀宝町 )
紀宝警察署(島田満署長)と管内の事業所で組織する「テロ対策紀宝地区パートナーシップ」はテロ防止対策を進めるモデル事業所に道の駅紀宝町ウミガメ公園(石本慶紀駅長)=紀宝町井田=を指定した。13日に同所で伝達式があり、島田署長から石本駅長にクリスタル像とのぼり旗を伝達した。
パートナーシップは、参加の民間事業所が半年ごとの持ち回りでテロ防止に取り組む制度で「みテますキープ制度」。ウミガメ公園は第1号に選ばれた。期間中はシンボルのクリスタル像を設置し、のぼり旗を掲げるほか、マグネットシートの貼り付けと缶バッジの着装で従業員の危機意識高揚を図りながら、テロをうかがわせる不審な動きに注意を払う。島田署長は「テロは許さない、の感覚で」と協力を呼び掛け、石本駅長は「海外からの客も増えている。地元が連携を深めて連絡システムをきちんとし、みんなの目で見守ることが大切」と述べた。
(2017年9月17日付紙面より)
本宮(17日)は台風影響で渡御のみ (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井神社(宮司・男成洋三熊野那智大社宮司)例大祭の宵宮が15日、本殿で営まれた。熊野那智大社の井戸大輔神職が出仕し、神楽奉納、婦人会の踊りの後、神餅投げがあった。
台風18号が接近する中、井戸神職は「どのような天候であろうと例大祭の日は良いものであると思います。神事が無事に営まれるよう、ご奉仕を」と話した。
式典後、本宮開催について祭典委員会(亀井二三男委員長)が会議を開いた。本宮当日の17日午後に、同町が暴風圏内に入るとの予報から海上渡御などは中止とし、神輿(みこし)は出さずに「大旗」を先頭とした渡御のみ行うことに決めた。亀井委員長は「ここまで準備した。非常に残念だが、苦渋の選択をご理解いただきたい」と呼び掛けた。
□ □
■大旗
渡御行列の先頭で頭(当)家の人たちが持つ「大旗」。これはご神体をうつす神のより代とされている。海が荒れたり、雨天の場合には神輿が海を渡御できなくても、大旗だけ一定のコースを渡れば祭りを終えることができるという昔からの言い伝えがある。
(2017年9月17日付紙面より)
21日にはクラス発表やバザーなど (新宮市 )
近畿大学附属新宮高校・中学校(川合廣征校長)の「2017近大新宮祭」が16日、同校体育館で開幕した。今年のテーマは「群星謳歌(ぐんせいおうか)」。台風接近の影響で2日目は21日(木)午前9時から行う。中学2、3年生の劇発表、吹奏楽部演奏、食物バザー、水産養殖魚や米の販売などを予定している。
表彰式では、近大新宮祭のテーマ、詩、原画を担当した生徒らが賞状を受け取った。オープニングセレモニーでは生徒や教職員がダンスを披露し、にぎやかにスタート。ITサークルの映像上映やなぎなた部、空手道部、書道部の発表、高校音楽選択生の合唱、中学1年生の劇があり、それぞれが練習の成果を発揮した。
近大新宮祭実行委員長の山本ふう子さんは「今年のテーマは『群星謳歌』です。一人一人が個性を込めたパワフルな文化祭にしていきましょう。高校3年生にとっては最後の文化祭。いつまでたっても『楽しかったね』と話し合ってもらえる文化祭にしたいです。みんなで盛り上げていきましょう」と呼び掛けた。
川合校長は「成功には一人一人の積極性と協力が不可欠。来客、保護者、生徒全員が満足感と感動が得られる近大新宮祭にしてほしい」とあいさつを寄せた。体育行事は20日(水)午前9時から同校グラウンドで行われる。
(2017年9月17日付紙面より)
城南中で千羽鶴受け渡し式 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長、生徒181人)で11日、千羽鶴受け渡し式があった。各クラスが平和のメッセージを発表し、修学旅行で東京都の第五福竜丸展示館などを訪れる2年生に鶴を託した。
生徒らは授業や空き時間を使い、夏休み2週間前から一人5、6羽ずつ鶴を折った。平和学習の一環で、同校の思いを伝えようと取り組んだ。同校2年生60人は6月、修学旅行の事前学習としてビキニ環礁近くでアメリカの水爆実験により被ばくした第五福竜丸についての授業を受けている。
式は生熊友輝君(3年)のピアノに合わせた校歌斉唱で始まった。各クラスの代表が「世界中から核兵器と戦争がなくなってほしい。今ある平和を大切にしていきたい」「世界中のみんなが笑顔で平和に暮らせますように」「平和が人を作る。人が平和を作る」「他国と仲良くして幸せが続きますように」などと平和のメッセージを読み上げながら、折った鶴を2年生の代表者に手渡した。
クラス委員長の傳田未咲さん(2年)は「国や言葉や文化が違っても世界中のみんなが真の平和を目指し、心を一つにして仲のいい世界になってほしい。世界から戦争という言葉をなくし、これからの世界を優しさや笑顔であふれる世の中にしていきたい。未来をもっと平和にするため、この気持ちを語り継いでいく」と誓った。
クラス委員長会を担当する講師の桃原彪吾さんは「これまでは生徒会が主催しており、クラス委員長会としては初めて。学校全体に2年生の平和学習の思いが伝わったと思います。昨年修学旅行に行った今の3年生はもう一度考える機会に、1年生は自分たちが修学旅行に行くときの手本にしていってほしい」と話していた。
(2017年9月13日付紙面より)
八青会、6年の貢献に感謝状 (那智勝浦町 )
住民のさまざまな悩み相談を受けている大阪府の司法団体「八青会」に対し那智勝浦町は10日、地域への貢献をたたえ、感謝状を贈った。同会と全国B型肝炎訴訟大阪弁護団28人は前日から同町役場で「法律なんでも相談会」を開いていた。寺本眞一町長は松尾由香会長(行政書士)に感謝状を手渡し、引き続きの協力を求めた。
弁護士、税理士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの若手国家資格者からなる同会は、専門家の少ない地域を巡回しており、那智勝浦町では6年前から相談会を実施。毎年30人以上が相談に訪れている。内容は、金銭、税金、相続、土地、職場での悩み、家庭の悩みなど。
寺本町長は「紀州南端には法律の専門家が少ない。身近で顔を合わせて信頼関係を結び、専門家とのつながりができることは財産になる」と感謝し、同会の西田敦さん(弁護士)は「相談者が満足するまで、こちらから対話を終わらせることはない。ニーズが継続しているということは意義がある事業の証し。われわれも勉強になる。こちらこそ感謝します」と述べた。
松尾会長は「毎年の決まった開催は那智勝浦町だけ。大変な水害があったので、災害にまつわる相談も多い。来場者も年々増えており、求められているという実感がある」と話していた。
(2017年9月13日付紙面より)
救急車見学やミニ講習も (串本町消防本部 )
串本町消防本部(北地稔消防長)は9日、同町串本にあるAコープ紀南VASEO店で往来する住民に救急車の適正利用を呼び掛けるなどした。
救急医療週間(3~9日)関係行事の一環。この日は同週間の基軸「救急の日(9月9日)」にも当たり、本年度も職員発起でイベント(通称・救急フェア)を計画して啓発に取り組んだ。
本年度は北地消防長をはじめとする職員10人が2時間にわたって活動。ティッシュや風船、手作りのチラシといった啓発物資を配り、関心を引くために県道沿いに横断幕を掲げ高規格救急自動車の展示やミニ救命講習会も開いた。一日救急隊長として日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」も登場し、小さな子どもがいる家族連れを誘って救急医療への関心を促した。
同本部における今年1~8月の救急出動件数は964件、8月は89件。啓発は救急車以外の手段でも医療機関に行けるのに安易に救急車を利用してしまうケースを抑えるのが狙いで、同チラシは適切でない利用(タクシー代わり、待ち時間なく診てもらえる、どの病院に行けばいいか分からないといった理由)と、どういう時に119番通報すればよいかを伝える内容となっている。
制作した小山知佳消防士は「本当に救急車を必要とする人が使えない状況にならないよう、皆さんに限りある救急車の適正な利用をお願いしたい」と話した。
(2017年9月13日付紙面より)
那智勝浦町立勝浦小学校(上浦一剛校長)の3年生43人が8日、太田地区の畑でナスの収穫と出荷作業の体験をした。同地区では、農家が「太田のナス組合」を作っており、この日は同町南大居の杉浦圃場(ほじょう=農地)で行った。
小学生の体験学習として、収穫から出荷まで生徒らが作業し、収穫したナスは新宮中央青果市場や同町小売店などで販売する。協力関係機関は、新宮周辺地場産青果物対策協議会、東牟婁振興局農業振興課、JAみくまの、太田のナス組合、新宮中央青果株式会社。
子どもたちは1クラスずつ畑の中に入り「できるだけ傷のない大きさのそろったのを採ってください」の声に、はさみを手にナスを探した。一人5個を収穫し、3個を袋詰め。袋の中には各自のメッセージを書いた紙を入れ、残りの2個を持ち帰った。
振興局農業水産振興課主査の村畑恵一さんは「今年は台風も少なかったので、傷まず順調に育ちました」と話していた。12日は、宇久井小学校の3年生21人が、松本圃場で学習した。
太田のナスは平成9年に太田地内を中心としたグループが栽培を開始。同19年7月に生産者全員がエコファーマーに認定された。
(2017年9月13日付紙面より)
那智勝浦町総体スポ少バレーボール
経緯や今後の体制に理解求める (新宮市 )
新宮市立三輪崎幼稚園の閉園説明会が8日夜、同園で開かれた。保護者や地域住民ら25人に対し市教育委員会が閉園への経緯と今後について説明。参加者からは来年度以降の体制などへの質問や意見が挙がった。
三輪崎幼稚園の定員は110人だが、園児数は減少傾向にあり、本年度は6人となっている。一定規模の人数を確保した幼稚教育のありかたが問題となり、本年度で同園は閉園予定となっている。来年度以降は白梅、三輪崎保育園が認定こども園に移行の準備を進めており、希望者は旧市内の丹鶴、王子幼稚園か認定こども園の選択となる。
質疑応答では保育園が認定こども園となった場合の変化や幼稚園教諭の資格を持つ職員の配置について問い掛けがあり、担当者は保育時間や保育料以外では保育所、幼稚園、認定こども園はほぼ同じ内容の指針や要領で、小学校入学前の教育は同じと考えてほしいと回答。
幼稚園教諭の資格を持つ職員は必ず配置しなければならないわけではないが指導し、協力してもらいながらこれまでの教育を受け継いでほしいとも述べた。
「新宮は幼稚園教育の歴史が深く、これまで培ってきた人の行動が無駄にならないよう、引き継いでもらいたい。今のままでは名前以外変わらないと言われて不安になっている人もいると思う。教育委員会が責任を持ち、小学校に上がる準備期間としてやっていけるよう見守ってほしい」という声も挙がった。
参加者からは「閉園説明会までに話があれば、もっと余裕を持って考えられたと思う」とここに至るまでの対応を問う意見も。担当者は「人数が極端に減った。集団で学ぶことも多く、幼稚園として継続していくのは良くないという中で、こども園が一番良いと考え、保育園に理解いただき進んでいる」と回答。
小学校と十分な連携が取れるのかを不安視する意見に楠本秀一教育長は「保育指針にうたわれており、学校にも保育園にも意識を持ってもらわなければならない。全市的に小学校と幼稚園、保育所の接続の活動を大事にしなければならない」と話した。
「団体生活などは小学校からでも間に合うことだと思う。人数減少で閉園に持っていくのがさみしいという気持ちが強い」という意見の他、「三輪崎幼稚園の人数は25年度から減少している。まだ決まっていない段階で閉園の発言をしたと聞いている。突然の閉園説明は納得がいかない」との訴えがあり、楠本教育長は「議会のやりとりで、少子化の中で、できるだけ民間でやっていただきたいと発言した。その時は私の考え方で、機関決定しておらず申し訳なかった。3、4年の中で受け皿をどうするかという見通しが立ち、説明会を開いた」と理解を求めた。
(2017年9月10日付紙面より)
大地震に備え救急講演会 (東牟婁郡医師会 )
東牟婁郡医師会は2日、那智勝浦町体育文化会館で救急講演会「南海・東南海地震と津波への備え~パニックにならないために~」を開いた。紀南医師会救急担当理事の寺本クリニック(紀宝町鵜殿)、寺本泰院長が、紀南医師会が取り組んできた災害時の緊急医療体制などを解説し、約100人の住民が講演に耳を傾けた。
東牟婁郡医師会の宮本岳副会長、寺本眞一町長のあいさつで講演が始まった。寺本院長は東日本大震災での災害時派遣医療チーム(DMAT)の活動を紹介した。東北地方では内陸部の高速道が充実していてチーム派遣ができたが、紀伊半島南部は高速道がつながっておらず、交通網の遮断と南部に至るまでに災害が発生している現場に遭遇してしまうなどの状況が発生し、外部からの支援は難しくなる状況を説明。加えて過疎化と高齢化が進む中、一人では逃げられない人が増えている状況も話した。南海トラフの大地震が発生すれば、助けを求める患者側と医師、消防署員ら救助する側とのミスマッチが生じると述べた。
対策として紀南医師会では「災害時救護班」を結成し、「医療救護普及会」を立ち上げた。住民に災害時の医療を理解してもらうために講演会を開き、傷病者の緊急度に応じて治療や搬送の優先順位を決める「トリアージ」の協力も住民に訴えた。参加者が固定化する中、地元の高校生ら若い人たちにも参加を促してきた。寺本院長は「研修や講演を通じて住民の理解が得られ、地域で顔が見える関係が生まれた。病院の看護師と地域の看護師、介護施設の職員、行政職員らとのつながりができた」と成果を述べ、「平時からの連携が重要。連携を構築するには会議だけでなく、研修会が重要な役割を果たす」と語った。
南紀災害医療勉強会も結成した。寺本院長は「田辺以南、松阪以南が連携しなければならない。地域をつなぎ、職種をつなごう。地域の命は地域が守る。紀伊半島南部で積極的に備えたい」と呼び掛けた。
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講演の後に総合討論が行われた。寺本院長が進行役となり、新宮保健所の形部裕昭所長、那智勝浦町立温泉病院の佐藤史崇内科医師、同町福祉課の保健師、喜田弘美さん、同町消防本部警防課の田中亮さんの4人が「孤立化したら、どう動くか」をテーマにそれぞれの立場から意見を述べた。
「災害時には目の前のことでいっぱいになるので、日頃の連携が大事」「DMATをどこへ派遣するかなどの意思決定が重要になる」などの意見が出た。会場からの質問では、日頃服用している薬が分かる「お薬手帳」が災害時には重要になるなどの声があった。
(2017年9月10日付紙面より)
太地町と町国際交流協会(会長・宇佐川彰男教育長)が姉妹都市交流事業としてオーストラリアのブルームに派遣した中学生7人の報告集会が7日、町公民館で開かれた。交流10年を迎え、今年は過去にホームステイを受け入れた同町の8世帯11人も現地を訪問した。生徒たちは現地での貴重な体験を発表し、保護者や学校関係者らから大きな拍手を受けた。
派遣されたのは、太地中3年の海野慈美さん、阪本宙吾君、田中結華さん、松下七星さん、間所香帆さん、那智中3年の汐﨑あかりさん、近大新宮中3年の水谷珠緒さん。宇佐川教育長を団長に、町歴史資料室の櫻井敬人学芸員、役場職員らも同行した。
中学生7人は8月1日に同町を出発、ホームステイしながら、現地の学校の歓迎集会に参加したり、授業を見学したりして交流。同月11日に帰国した。8世帯の家族は2日から4日までの日程で訪問した。現地ではセントメアリーズ校主催の10周年パーティーがあり、これまでに太地を訪れた学生や家族らを含め約300人が集まる盛大なパーティーとなった。今後の交流を願ってユーカリの植樹もあった。
報告会では出発から帰国までの様子を写真や動画で記録。映像で映し出しながら、それぞれが楽しかった思い出を語った。生徒たちは一人一人マイクを握り、「日本人墓地にお参りができてよかった」「『ようこそ』と書かれたケーキで感激してくれた」「ブーメランの作り方を教えてもらった」などと報告した。
同行した櫻井学芸員は「セントメアリーズカレッジは、日本人ダイバーとの協力で始まったという認識があり、太地とは深い縁がある。今回の交流でますます絆が深まったと感じた」と話した。10周年記念で再び現地を訪問した竹林克洋君(新宮高3年)は「再開した友人が号泣してくれた。ブルームはやさしい人ばかりだ。この交流事業は意義があった。英語に対する考え方が変わった。今は外国語大学を目指している」と話していた。
(2017年9月10日付紙面より)
道の駅オープン記念に (太地町 )
太地町の一刀彫り名人として知られた故・戸間力也さんの「くじら工房力也」を引き継ぐ同町の会社員、掛橋寿徳さん(52)はこのほど、道の駅たいじにクスノキ製のザトウクジラの置物を寄贈した。
置物は施設付近にあるザトウクジラのモニュメントに合わせて2体。大きなクジラは約75センチ、小さなクジラは約60センチで、いずれも掛橋さんの師で伯父の戸間さんが生前に制作した作品。町の玄関口でもある道の駅のオープンを記念し、戸間さんの長男・圭哉さんの意思もあって寄贈した。掛橋さんは「県外から来た人に見てもらって喜んでいただけたら」と話した。
道の駅を管理する太地漁業協同組合の貝良文参事は「道の駅たいじのコンセプトはクジラなので、見事なクジラの木彫りをいただけるのはうれしい。駅舎の雰囲気にもピッタリ」と喜んでいた。置物は、駅舎内にあるレストランのカウンター内に置かれている。
(2017年9月9日付紙面より)
美容業生活衛生同業組合新宮支部 (熊野速玉大社 )
和歌山県美容業生活衛生同業組合新宮支部(丹内たき子支部長、55店舗)は4日、新宮市の熊野速玉大社で毎年恒例の「櫛(くし)供養」を営んだ。20年以上続いており、組合員有志の9人が、傷んだくしに感謝を込めて供養した。
同支部は新宮市から那智勝浦町、太地町までの会員で組織している。例年「くしの日」の9月4日(同日が営業日の場合は直近の定休日)に実施。欠けたり折れたりして使えなくなったくし5本を神前に供え、玉串をささげた。
同市下田で「ビューティーサロン木曜日」を営む丹内支部長は「くしへの感謝はもちろん、皆さんの健康と商売繁盛を祈って供養しました。私たちはくし1本で生活できるので、仕事に誇りを持って取り組んでいければ」と話した。
(2017年9月9日付紙面より)
紀の国トレイナート2017のワークショップが6、7の両日、県立串本古座高校古座校舎(愛須貴志校長、東啓史教頭)であり2、3年生69人がJR古座駅の駅舎アート担当作家・日笠保さんとの共同制作に励んだ。
日笠さんは愛知県愛西市在住の現代美術家。暮らしに身近な素材を材料にし、子どもなど地域住民と一体になって作品を仕上げるスタイルを持ち味にして十数年来活動している。
同トレイナートには前年度に初参加。太地駅の駅舎アートを担当し、太地小児童を対象にしたワークショップを開いて弁当でおなじみのたれびんに色水を入れて並べた作品「水面―みなも―」を仕上げた。
2年目となる今回は古座駅を担当することになり、JRきのくに線の前に広がる海の美しさや古座川のきらめきをストローで表現する作品「波間」の制作を構想。最寄りの同校舎にワークショップ参加を求めて2日間の制作協力を得るに至った。
ワークショップは両日とも3、4時間目にあり、2、3年生は小グループに分かれて流木や額装を太さや長さ、色合いや形状ともにさまざまなストローで飾った小作品を次々に制作して、駅舎を飾る材料として日笠さんに託した。
日笠さんはあらかじめ作品のイメージを伝え、どのような材料を仕上げるかは生徒に一任。グループ名「アビリッジハイト(=平均身長)」を掲げ、長さ約1㍍の細い流木を使ってJRきのくに線沿線の街並み再現に挑戦した宮下歌奏(うてな)さん(2年)は「みんなで住んでいるところの好きなものをストローで表現して大作にした。駅がとても華やかになると思うので、『あぁ、きれいだなー』と思ってもらえたらうれしい」と話した。
日笠さんは7日午後から駅舎アート制作を開始。同トレイナートのイベント期間は10月1日(日)からだが、滞在の都合上8日までに仕上げて9日(土)には鑑賞できる状態にするという。
今回の協働について日笠さんは「表現につながる体験を通して生徒皆さんの表現の幅が身近なところで広がればと思うし、自分もいろいろな表現に出合えて刺激になった」とコメント。「作品は地元の駅に飾られ、皆さんに見てもらえる。そのような地域活性化があるというところにも興味を持ってくれたら」と生徒の今後を期待した。
(2017年9月9日付紙面より)