追善供養花火をする会 (新宮市熊野川町 )
「熊野川追善供養花火をする会」は24日夜、新宮市熊野川町能城山本(のきやまもと)で追善供養の花火を打ち上げた。地元住民や車中から花火を観覧していた人らは、夜空に咲いた約640発の花火に拍手や歓声を送った。
紀伊半島大水害(2011年)の犠牲者を含む、多くの人々の供養のためにと彼岸の時期に企画し開催。いまだ収束のめどのたたない新型コロナウイルス感染症の収束や、またコロナ禍の影響を受ける人々に対する元気づけに対する願いも込められている。
同町では、水害から10年の節目を迎えた昨年、「供養花火をする会」が犠牲者を追悼しようと花火の打ち上げを企画。「今年も花火をしてほしい」といった多くの声を受けて実施に至った。開催に向けて250を超える近隣の企業や個人から寄付が集まったという。
なお、同会では23日に熊野川ドームさつきで歌やダンスによるイベントを企画していたが、台風15号の接近に伴い大雨警報が発表されたことから、イベントの開催を取りやめた。
花火は十数㌶の田んぼの真ん中から打ち上げられた。スターマインや6号玉が光のショーを繰り広げ、地域住民らは夜の秋空を彩る大輪の花に見入っていた。
翌25日には、町民らが早朝から花火打ち上げ地点周辺で清掃活動を実施。有志約40人が参加し、花火の燃えかすなどを拾い集め美化活動に汗を流した。
同会の下阪殖保さんは「花火の恒例行事化を望む声も多い。行政も協力してもらえればありがたい」。
池上順一さんは「熊野川町は生きている、それを示したいとの思いから、下阪さんをはじめとした人々が町のために動いてくれている。そういう気持ちが大事。花火の打ち上げはみなさんの協力がないとできないこと。ささやかながら地元への感謝を示し、恩返しをする機会になったと思う。来年もみんなで花火を打ち上げることができたら」と話していた。
(2022年9月27日付紙面より)
CGS部代表チームで発信 (串本古座高校 )
和歌山県立串本古座高校CGS部が22日、ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)の月例会ゲストとして情報発信をする機会を得た。同協会は22~25日に東京ビッグサイトであったツーリズムEXPOジャパン2022内の自ブースを会場に設定し、同部はウェブ会議システムで参加。会員など旅行業界の関係者が情報を受け止める形となった。
この情報発信は、JSTOの新津研一代表理事から月例会ゲストの誘いを受け応えたことで実現した機会。部員を代表して雑賀和さん、鈴木美咲子さん〈以上2年〉、鈴木紅瑠魅さん、竹本芽生さん、森大地さん、水本琉那さん〈以上1年〉がチームを結成し、「本州最南端での地域活性化の挑戦~CGS部の挑戦~」と題した内容を準備して情報発信に臨んだ。
CGSは地域包括的支援(Community General Support)の略称。高校生がどのように地域を知り課題を見つけて支援をしているかについて、万能だれの商品化や防犯灯点検などの実績を織り交ぜて伝えた。
そのように活動の傾向を示唆した上で同協会からの希望に応え、スペースポート紀伊のロケット打ち上げに向けたロケットラーメンなどのメニュー開発や「カイロス君」バッジ制作などの取り組みも紹介。今後は交流サイト(SNS)による打ち上げのライブ中継も目指していると予告し、実現時の視聴も呼びかけるなどした。
発信先のツーリズムEXPOジャパン会場は期間の前半に業界関係者、後半に一般を対象にして公開される仕組み。旅行業界に関わる人に情報を受け止めてもらえて光栄、と心境を語る雑賀さんは串本町を知らない皆さんに少しでも魅力が伝わればという思いで今回の情報発信に臨んだと振り返り、主軸のCGS部活動について「かしこまった話ではなく、雑談の中で(本州最南端には)こんな高校があると話していただけたらうれしい」とコメント。鈴木さんは今回の情報発信をきっかけにし、気軽に串本へ来てくれる人が増えることを今後に期待した。
(2022年9月27日付紙面より)
若手国際フォーラム (新宮市・東京大学 )
新宮市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は25日、同市浮島の浮島児童館での対面とオンラインを併用して「東大人文・若手国際フォーラム」を開催した。同大学の大向一輝准教授が基調講演。同大学助教で地域連携担当の太田泉フロランスさんが進行役を務め、留学生らが研究報告をした。
同市と同大学大学院人文社会系研究科・文学部は昨年3月に連携協定を締結。東京大学と共に人文学を応用しての地域振興や交流促進、地域連携活動などを図っている。
このたび、留学生ら約10人は同大学文学部長・人文社会系研究科長の秋山聰さんらと共に23日に熊野入り。26日にかけて新宮市や那智勝浦町、三重県熊野市などを訪れ「熊野体験研修」を行った。フォーラムは研修のプログラムの一つとして実施するもので、留学生らが自らの研究や熊野地方についての印象を語り、それぞれの国や地域への理解を深めることを目的に開かれた。
フォーラム開催に当たり、田岡実千年市長は「大都市にはない何かを感じ取っていただき、今後の研究活動に役立てていただければ。また、母国に戻られてからも、この地での体験を発信いただければ」とあいさつ。
秋山さんは、同大学と市が連携協定締結に至った経緯や活動を振り返り「当大学には優秀な留学生がたくさんいる。そんな人たちが熊野を体験し、熊野の人と交流することで緩やかながら大きな波及効果があると思う」と期待を寄せた。
大向准教授は「熊野学の未来:デジタル技術による支援に向けて」をテーマに講演。デジタル技術にできることやその方向性、役割などを説明し▽文字▽地図▽3D―の各分野の研究や活用に展開しうるデジタル技術の広がりについて解説した。
全国4800社に及ぶ熊野神社のリストから住所を緯度・経度に変換し地球儀ソフトに落とし込んだ日本地図を紹介し「4800社と軽く言うが、地図に落とし込んでみると日本列島を隙間なく埋め尽くしていることが分かる」。
3Dの世界への技術の転換に関して、メタバース(3次元の仮想空間やそのサービス)における熊野曼荼羅(まんだら)絵解きの世界を実演。「ある程度の知識がないと活用につながらない。対象と向き合うのは人の役割。共通のテーブルとしてのデジタル技術だと思う」としながらも「遠隔で絵解きを再現するのは可能だが、熱量や意志、コミュニケーションを備えた熊野比丘尼(びくに)の代わりはできない」と付け加えた。
(2022年9月27日付紙面より)
3年ぶり中高合同の近大新宮祭 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)で25日、近大新宮祭(文化行事の部)が開催された。全校生徒477人がクラス行事や舞台発表などを通じ、今年のテーマである「新風」を表現した。
本年度は3年ぶりに中高合同で、保護者の観覧も受け入れて実施。文化行事の部は24、25日の2日間にわたって開催を予定していたが、台風15号の影響で1日目のオープニングセレモニー・クラブ発表を延期し、2日目のクラス行事のみを先に開いた。
高校生徒会の田岡結会長は「『新風』には、新型コロナウイルス感染拡大前と同じ活気を取り戻し、新型コロナ後の状況も取り入れたこれまでにない新しい取り組みをしようという思いを込めた。中高一緒になって楽しみましょう」と校内放送であいさつ。
体育館では中学生の映像作品や劇の発表があり、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝える「クリスマスの奇跡」や海洋プラスチックごみ問題を訴える「プラ島太郎」など、時節を捉えた作品が多く見られた。
高校のクラス行事では、教室に近大マグロの巨大オブジェやフォトスポットなどが登場。絵の具やゴーカートを使ったアトラクションや脱出ゲーム、縁日など多彩な催しがあり、学年やコースを超えて生徒たちが交流した。近大新宮祭の様子は、後日写真で紹介する予定。
(2022年9月27日付紙面より)
トルコ軍艦遭難慰霊碑前で (串本町 )
串本町樫野にあるトルコ軍艦遭難慰霊碑前で16日に追悼式典があり、トルコ共和国側と日本側合わせて約50人が同碑一帯に眠るエルトゥールル号(以下エ号とする)の将士に哀悼を示し両国の友好を確かめ合った。
エ号は1890(明治23)年9月16日、嵐により樫野沖の暗礁に乗り上げて爆沈。587人が殉難する中、当時の島民の献身により69人が救助され全員が母国への帰還を果たした。
追悼式典は年1回、遭難の日に同町が主催。おととし、昨年はオンライン環境を取り入れ規模を抑えつつ営んだが、今年は国歌と同碑追悼歌を静聴とした以外はほぼ例年同様に挙行した。トルコ共和国側からの来賓招待で在日大使館のエメル・デリノズ・テキン一等参事官やハビブ・イゼット・ゾールオール武官、在名古屋総領事館のウムット・リュトフィ・オズデュルク総領事ら、町側から田嶋勝正町長夫妻を筆頭に町議会の鈴木幸夫議長ら議員や教育委員、大島地区の3区長や町内外の関係個人や団体代表者、一般参拝者が参列した。
岐阜ファーティヒモスク・イマームによる礼拝を経て、田嶋町長は「私たち串本町民はこの地に眠る殉難将士の御霊(みたま)をお守りし、大島島民が示した利他の精神を継承する。歴史を風化させることなく、日ト友好の架け橋のまちとして両国の友好の一助となることを誓う」と式辞。テキン一等参事官は「串本の皆さまとご一緒にエ号の出来事に思いをはせるため、殉難将兵たちが安らかに眠るこの地に立つことができたことを誇りに思う」と胸中を語って古今紡がれる友好関係への感謝を掲げ、参列一同順次献花した。
地元樫野区の髙山カヤ子区長(75)はどのような形であろうと区民は9月16日のことを忘れないとし、「去年よりも参列者が少し多くなり、眠っている将士の方々もきっと心強く思ってくれていると思う」と今年の式典を喜んだ。
(2022年9月18日付紙面より)
熊野川中で「瀞峡めぐり」事前学習 (新宮市 )
新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)で16日、国の特別名勝・天然記念物に指定されている瀞峡(瀞八丁)を舟で巡る「瀞峡めぐり」の事前学習があった。南紀熊野ジオガイドの平野皓大さんが来校し、地域の観光資源の魅力を伝えた。事前学習を踏まえ、同校1、2年生は21日(水)に「瀞峡めぐり」を体験する予定。
ふるさと学習の一環として実施。ジオ的観点を通して、地域の名所を知ってもらうことを狙いとしている。
瀞峡は、和歌山、三重、奈良の3県にまたがる景勝地で、大正時代にプロペラ船が瀞峡―新宮町(現新宮市)間を往来し、昭和40年代にはウオータージェット船が登場。多くの観光客を絶勝の地へと運んだ。現在は(一財)熊野川町ふれあい公社が川舟を活用した「瀞峡めぐり」を運営している。
平野さんは、ジオパークの概要や「私たちはプレートの沈み込みで生み出された三つの種類の大地がつくった場所で生活しています」など、南紀熊野ジオパークの成り立ちを説明。
吉野熊野国立公園内にあり、南紀熊野ジオパークエリアでもある瀞峡について「マグマの熱で硬くなった地層が削られて今の地形になりました」。
かつては新宮からプロペラ船で観光客を輸送していたことや、鉱山や炭鉱があったことなどから大変なにぎわいを見せていたとし「河原にはお店もいっぱい並んでいた。三反帆(さんだんぼ)や木材を運ぶ筏(いかだ)も行き交っていた」と、大地が形成した歴史や文化の盛り上がりを紹介。「昔は栄えていたんだということを思い出しながら『瀞峡めぐり』を楽しんで」と呼びかけた。
(2022年9月18日付紙面より)
「空き家バンク」の新事業も (紀宝町 )
紀宝町は本年度から、「空き家バンク制度」の物件充実を図ることを目的に、各自治会と連携した「空き家バンク登録奨励金事業」や「空き家バンク登録促進助成事業」、住宅取得を支援する「住宅購入支援事業」「空き家改修支援事業」を進めている。
人口減少・少子高齢化に歯止めをかけるため、町では地域活性化や空き家の利活用促進、移住定住希望者への支援制度を拡充させてきた。
2014年度から開始した「空き家バンク制度」は延べ62件の物件登録があり、37件が成約し、22組40人が町外からの移住だった。
移住定住、子育て支援を続けてきた結果、19年と21年を比較した30~40代の転入超過率の改善幅が東海4県で4位になるなど、成果が表れてきた。
町では「今後も全庁挙げて紀宝町を移住先として選んでいただける、住み良いまちづくりを推進し、引き続き、人口社会減、自然減対策の取り組みを継続したい」としている。
各種事業への問い合わせは役場企画調整課(電話0735・33・0334)まで。
□ □
主な事業は次の通り。
■空き家バンク登録促進助成金事業
空き家バンクに物件を登録する際、空き家の清掃や家財道具などの残置物の搬出・処分などを町内業者に委託する場合の費用を一部助成。対象は空き家バンクに登録を行う家主で、助成額は上限3万円で対象額の2分の1。
■空き家改修支援事業
購入した空き家の改修工事を町内建設業者の施工で行う際の工事費用の一部を助成する。助成額は上限10万円で対象額の3分の1。町商工会商品券を給付する。
■町内住宅購入支援事業
町内で新築、中古問わず住宅を購入した人に購入費用の一部を助成する。助成額は5万円(購入額を上限)で、義務教育終了前の子ども1人につき5万円を加算し、町商工会商品券を給付する。
(2022年9月18日付紙面より)
まちなか観光の実証実験 (太地町 )
太地町は15日より、2人乗りの小型電気自動車を使った「ちょいノリ旅」の実証実験を始めた。観光客などに対して無料で車両を貸し出し、町内散策に利用してもらう。28日(水)までで、ニーズや適正価格、行き先などを調べ、事業化の可能性を探る。
太地町は内閣府から、未来技術社会実装事業を行う地方自治体の一つとして採択を受けており、その一環となる。同事業は、未来技術を活用した地方創生の提案を募集したもの。この事業として「ちょいノリ旅」のほか、自動運転車による町内巡回や、ドローン活用ビジネスの実証実験なども行っている。
「ちょいノリ旅」は、まちなか観光の促進を目指すもの。車両はJR太地駅に置いてあり、駅内の観光案内所で利用の受け付けと貸し出しを行う。利用の場合は事前予約を求めているが、借り受けの希望があり、予約が入っていない場合は即日でも貸し出す。
利用時間は午前8時30分から午後4時までで、利用していいのは太地町内のみ。充電時間は2時間必要で、電気と利用時間の残量が十分であれば、1日に複数人に貸し出すこともあり得る。
使用車両は、トヨタのC+pod。後部座席がなく、車長が短い。オートマチックで、最高速度は時速60㌔。クーラー使用時で約75㌔の走行が可能となっている。利用には、普通自動車運転免許が必要。また台風接近など荒天時は、貸し出しを中止する場合がある。予約は、太地町観光案内所(電話0735・59・3131)。前日の午後5時まで受け付ける。
なお「ちょいノリ旅」の実証実験は、太地町が単独で費用負担して実施する。要する費用は、車両レンタル代の十数万円のみ。実証実験の結果、事業化の可能性があるとなれば、内閣府を経由して関係省庁の人材が派遣され、使用できる補助金を紹介してもらえるなど、助言が受けられる。
また事業化するにしても、町事業として、委託管理事業として、関係法人で行うなど、さまざまな選択肢が考えられるという。
(2022年9月18日付紙面より)
後誠介さん招き減災学習 (新宮市立丹鶴幼稚園 )
新宮市立丹鶴幼稚園(尾﨑卓子園長、39人)で9日、減災学習があった。那智勝浦町在住で和歌山大学客員教授(災害科学・レジリエンス共創センター)、南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員を務める後誠介さんが来園。「逃げる」をテーマに講話した。
同園では毎年この時季に、防災に関する学習を展開。これまで同園職員らが講師を務めていたが、尾﨑園長が後さんと知り合いであったことから今回の減災学習の実現に至った。
また、転勤で同市に移ったことにより地形や過去の災害を把握していない保護者もいることなども考慮。対象を園児・保護者、保護者のみの2部に分けて実施した。
後さんは「お父さんとお母さんと1歳の男の子がいました。大雨の中、お父さんは1歳の男の子をおんぶしました。うまく逃げられるでしょうか」と問題提起。「雨で手が滑ったら子どもは落ちてしまう。お父さんはひもで子どもを背中に結びました」と話し、抱っこした場合だと濁った水がかかったり、転倒した際に危険であるとした。
「男の子を背負ったお父さんは離れ離れにならないようにお母さんと体をひもで縛り、励まし合いながら頑張って逃げることができました」と紹介。上記避難例は1954年に当地域で発生した6・23水害の際の実話で、1歳男の子は68年前の自身であったと明かし「避難するときには家族が離れ離れにならないように。逃げる知恵を働かせて」と呼びかけた。
園児からは「私ぐらいの子だったらどうするの?」などの質問があり、後さんは「流れが速いと低い水位でも流されてしまう。お父さんにおんぶしてもらった方がいいです」などと回答。
「お留守番しているときはどうしたらいいの?」の質問に対しては「2階建てなら2階に逃げて。そうじゃない場合は近所の2階建ての家に助けを求めて」と答えた。
保護者を対象とした後半では、市の地形や、市と那智勝浦町における3連動地震(東海・東南海・南海地震)と南海トラフ巨大地震で想定される津波シミュレーションを示し「新宮市は津波に強い。那智勝浦町とは意味合いも度合いも異なる。市がまず心配するべきは家屋の倒壊と液状化、家具の転倒。東日本大震災では津波がクローズアップされたが、まず地震があったことが忘れられているのが問題」などと話した。
尾﨑園長は「子どもたちには、大人が必ず助けに行くから、まずは自分の命を守ってほしいと伝えたい」と思いを語った。
(2022年9月10日付紙面より)
高池小5、6年ら稲刈り (古座川町 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の5、6年生が8日、池野山にある学校田で稲刈りに取り組んだ。
歴代の5年生が取り組んでいる稲作体験(通称・米米クラブ)の一環。本年度も淡佐口幸男さんから広さ1・5㌃の水田を借りて学校田とし、少人数のため6年生に応援してもらいながら5月9日に田植えをし半ばで草引きもしながら収穫を目指してきた。
他の水田より収穫が遅れたことでカメムシが集まる影響を受けたものの、荒天に傷められることはなく見た目の実りは整然として上々。淡佐口さんと対で技術指導する中根和夫さんから刈り方や段取りを教わった後、主役の5年生は序盤にのこぎり鎌で稲刈り、中盤は6株ずつ麻ひもで束ねる作業をし、6年生はその入れ替わりで応援した。一通り刈り取った後はさがりを組んで束ねた株をかけ、刈り口が湿らないようカバーをかけて作業を終えた。
稲作をするのは初めてという山口愛翔君(5年)は「一番大変だったのは稲刈り。力を入れて束にするのが最初は難しくて、しっかり練習して慣れるのが大事だなと思った。田植えから稲刈りまでいい経験ができたし、農家の皆さんの大変さがよくわかった」とコメント。
育てた品種はもち米の「かぐらもち」。淡佐口さんによると今後、数日ほど天日干しができたところで脱穀しもみを保管する。味わう直前に精米と虫害で黒ずんでしまった米の取り除きをする予定。大畑校長によると本年度も新型コロナウイルスの情勢により餅つき大会は見送り、精米後は菓子店に依頼して餅にしてもらい持ち帰って味わうという。
(2022年9月10日付紙面より)
インバウンド対応能力強化研修
地域の観光人材を対象としたインバウンド(訪日外国人客)対応能力強化研修が7日、県熊野庁舎であった。観光目的の外国人の入国制限が緩和され、今後、インバウンド需要の回復が期待されていることから、ガイドや語り部、観光案内所、宿泊施設などに従事する30人が外国人観光客との接し方や英会話を学んだ。
観光庁が監修し、インバウンド専門の観光ガイド「全国通訳案内士」の栗林紀美さん、和田千草さんが講師を務めた。
全国の訪日外国人客は2003年が520万人、観光立国を宣言した07年は834万人、観光庁を設立した08年は835万人、19年は3188万人。東紀州地域には3年前、3600人が訪問した。
熊野市出身で東紀州語り部友の会、本宮語り部の会でガイドをする栗林さんは、▽あいさつ▽服装と身だしなみ▽表情(笑顔)▽態度・立ち振る舞い―が異文化理解と接遇の基本とし「人の印象は見た目が9割。笑顔やユーモアを活用し、お客さまの立場になって英語の表示や標識を充実させてほしい」と伝えた。
外国人観光客を迎える心得として▽地域の魅力を知り、愛する気持ちを持つ▽完全に正しい英語でなくても、必要な情報を伝える▽いろいろなツールを利用する▽本当のホスピタリティはお客さまの気持ちに応える▽外国人客を迎えて世界は広がる―を紹介した。
英会話研修では「ここではマスクの着用をお願いします(Please wear a face mask here)」など感染症予防の表現を覚え、参加者同士、名前や仕事内容などを英語で自己紹介。レストラン、飲食店での対応、日本独特の表現、トラブル対応など正しい英語表現や複雑な状況に対応できる英会話を学んだ。
(2022年9月10日付紙面より)
城南中でALT英語の授業 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長、生徒151人)で8日、外国語指導助手(ALT)のキャサリン・ケリー・ウィンクルマンさん(23)による英語の授業があった。
授業は生徒たちの英会話能力の向上を目的としており、全学年を対象に月に2日ほど実施している。ウィンクルマンさんは市の姉妹都市である米国カリフォルニア州サンタクルーズ市(以下、サ市)の出身。今後、同校をはじめ緑丘、光洋の市内中学校で語学指導などを行う。
1年1組28人の授業では、ウィンクルマンさんがスライドを使ってサ市の町や名所を説明。自身の住んでいる場所や兄弟などをクイズ形式で紹介した。生徒からは英語で「身長は何㌢ですか?」「自国で有名なスポーツは何ですか?」といった質問が挙がり、教室には時折笑い声が響いた。
後半には、ウィンクルマンさんからボールを受け取った生徒が名前や好きな食べ物、動物などを英語で発表した。
速水翔葵(しょうき)さん(13)は「英語で話す機会が少ないため、新鮮でした。英会話は苦手で難しかったけど、楽しく授業に臨めた。これから勉強して、もっと理解を深めたい」。
ウィンクルマンさんは「少し恥ずかしがりながらも笑顔で話に耳を傾ける姿が見られてうれしい。授業を通じてコミュニケーションを養い、新たな出会いの幅を広げてもらえれば」と話していた。
(2022年9月10日付紙面より)