JR西日本の金岡裕之和歌山支社長は25日、新宮市役所別館で会見を開き、10月から長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」紀南コースの運行を再開すると発表した。2023年3月までの約5カ月間にわたり京都から新宮間を運行する予定。
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置している。当地域では昨年7月16日に紀南コースの運行を開始。12月22日までの約5カ月間にわたり、延べ約3000人が乗車した。
新宮市・すさみ町・那智勝浦町・太地町・古座川町・北山村・串本町・和歌山県で構成される同列車受入協議会(会長=田岡実千年新宮市長)は昨年11月、JR西日本に対し要望活動を実施。同列車の運行再開を求めていた。
来年度の紀南コースでは、車窓から当地方の魅力的な海の景色をより楽しめるよう、沿線の景観改善に取り組むほか、窓から直接、海の景色を楽しめる席数を大幅に増やす。
これまでは京都到着後に首都圏に向かう新幹線に間に合わない時刻帯であったため、昼行列車(新宮発京都着)の京都到着時刻を早め、首都圏方面へのアクセス利便性向上を図る予定。また、沿線の新しい魅力を楽しんでもらうために昼行列車の運行曜日ごとに異なった途中停車駅を設定するなどしておもてなしをリニューアルするなどの改善を行うという。
金岡支社長は「人気も高く、利用者から地域の豊かな自然、文化が非常に楽しめたという声が多かった。また、おもてなしや見送りなどの人との触れ合いも価値があったとの意見も多かった」と運行再開を決定した経緯を説明。
田岡市長は「昨年11月に7自治体と県の連名で要望書を提出してからわずか2カ月という短期間でうれしいご報告を頂けた」とJR西日本に感謝。
「コロナ禍で経済活動が厳しい中において観光関連をはじめ地域全体にいい影響を与えていただいた。秋からの運行に備え、事業者と連携しておもてなし観光メニューの拡充に向けて準備していきたい」と述べた。
運転日や運転時刻などの詳細については現在未定。
(2022年1月27日付紙面より)
水門神社祭典保存会ら奉仕 (串本町 )
串本町大島で23日早朝、水門(みなと)神社例祭「水門祭」で用いる祭船が点検のため大島港の一角にある船蔵から引き出された。
水門神社祭典保存会(木下正己会長)を軸にした奉仕。今年の例祭は新型コロナウイルスの情勢を受け大前の儀のみ執り行うことがすでに決まっていて、祭船は用いないが保守は必要との考えで船蔵から出すことにしたという。
同様の決定をした昨年は引き出さなかったため、今回は2年ぶりの奉仕。この日は時折小雨が降る中、同保存会と若手で結成する大同会、合わせて27人が櫂伝馬(かいでんま)2隻と当船を順次運び出し、船蔵の隣にあるスロープに据えた。
長らくの保管で乾いた船体を膨潤させるため、据えた後はただちに海水を掛けて乾燥による収縮で生じた隙間からの水漏れの度合いを確かめた。同保存会の年長が経年劣化を目視や触感で探り、必要な修理の方向性をその場で話し合うなどした。木下会長によると、膨潤させた後の水漏れや修理が必要な部分の対処が済み次第、船蔵へ納めて来年まで保管するという。
当船は主祭神・誉田別命(ほんだわけのみこと=応神天皇)が御旅所(古くは通夜島、今は苗我島にある)へ渡御するときに用いられる木造の祭船で、潮岬会合の紋を舳先に頂くカツオ船の設計を宿している。
櫂伝馬は当船の出航時にその両翼を警護する形で大同会が運用する木造の祭船で、餅まきや大島―串本間で競漕(きょうそう)も繰り広げて場を盛り上げる。河内神社例祭「河内祭」で用いられる小伝馬よりも一回り大きく、通船として盛んに用いられていた時代の設計を宿している。
いずれも今では希少となった木造船として現存しているが相応に経年劣化が進んでいるため、同保存会は平年、本祭日の3週間前を目安にして船蔵から引き出し点検や所要の修理をした上で進水させる手順を取っている。
(2022年1月27日付紙面より)
高血圧ゼロのまちプロジェクト (北山村 )
北山村では今年から「全国唯一の飛び地『北山村』高血圧ゼロのまちプロジェクト」を展開している。村民全員の高血圧ゼロを目指し、血圧測定推進や健康教室などの事業を展開していく予定だ。
健康状態の重要な指標である「高血圧」に注目し、村民全員が自己の健康を把握し、健康づくりへの意識向上を目指す取り組み。事業開始に先立ち昨年、同村はNPO法人ヘルスプロモーション研究センターと連携協力を締結。血圧測定器70台の貸し出しを受けている。なお、県内での取り組みは高野町に続いて2例目となる。
事業の対象者は小学5年生以上の村民もしくは村内で働いている人。約350人の対象者を6グループに分け、ひと月単位で家庭で朝夕の1日2回、血圧測定を推奨。結果は個々で記録し、役場に提出してもらうという。
家庭における測定の習慣付けと、村内における高血圧の現状を把握する目的がある。また、子どもらに対しては自身と家族の健康を考えてもらうため、授業を通して血圧測定を推進。春休みを利用して血圧測定への挑戦を促す構えだ。
山間部に位置する同村では、保存のために塩を用いた調理方法が伝統として残る。そんな食文化を背景に、プロジェクトを通じて血圧に関心を持ってもらう狙いもある。今後は目標達成のために動脈硬化健診や特定健康診査の推進や健康づくり教室への積極的参加も村民に呼び掛けていく予定。
助走期間である現在は役場職員や診療所、社協職員など関係者の血圧測定から開始し、プロジェクトの周知を図るとともに改善点などを洗い出していくとのこと。山口賢二村長は「血圧イコール食生活。家庭ぐるみで健康を考えるいい機会。幼い頃からの対策が重要」と話している。
(2022年1月27日付紙面より)
那智大社と青岸渡寺で訓練など (那智勝浦町 )
「第68回文化財防火デー」の26日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で消防訓練が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から町消防団の出動はなく、規模を縮小。職員や那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)が参加し、防火の重要性を再認識するとともに国の宝を守る意識を高めた。毎年、同日に訓練を行う那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)では、感染症対策などのため訓練は実施せず、訓示のみを行った。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に奈良県の法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年から、この日を中心に消防と地域が連携し、全国的に防火活動が展開されている。
熊野那智大社では宝物殿裏の山林からの出火を想定。自衛消防隊が火災の報知後、宝物を運び出し、消火ホースで放水した。消防職員から消火器の取り扱いについて指導があり、職員が使用した。
関谷善文消防署長が「自衛消防隊の迅速な活動が心強かった。社殿は木造なので、火災時は燃え広がりやすいため予防が大事。防火意識を高めていただけたら」と講評。
男成宮司は「消防などが駆け付けるまでに時間を要するため、初期消火が重要。世界遺産や重要文化財であるご社殿の消失や人命が失われてはいけない。強い覚悟を共有してほしい」と話した。
那智山青岸渡寺では髙木住職が職員に対し、「普段から火を出さない心掛けをしてください。火災発生時は、これまで積み重ねてきた消火訓練活動を着実に実行してほしい」とあいさつ。
同消防本部の太田真次警備主幹兼班長が「災害や火災はいつ発生するか分からない。日頃から消火器の数や設置場所の把握、消防設備の再確認をしてください」と話した。
訓練後は消防設備の点検なども行われた。
(2022年1月27日付紙面より)
2年ぶりに消防出初め式 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の体育文化会館で9日、令和4年消防出初め式があった。各分団の幹部や来賓ら約40人が出席。防災活動に尽力した団員らを表彰したほか、防災力向上への誓いを新たにした。
新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の出初め式が中止となったため2年ぶりの開催となった。感染防止対策の観点から規模を縮小し無観客で挙行。多くの町民が見学に訪れるパレードや一斉放水も中止とした。
式典では殉職消防団員に対する黙とうに続き、国歌と町歌を静聴。
昨年春の叙勲で瑞宝単光章を受章した元消防団長・貝岐昌志さんと、秋の叙勲で同じく瑞宝単光章を受章した元副団長・竹原昌男さんをたたえ、令和3年度県消防協会総裁表彰、東牟婁地域消防協会優良消防職団員表彰、町長表彰、消防長表彰、消防団長表彰が行われた。
堀順一郎町長は受章者や団員らの尽力や新型コロナウイルス感染対策への協力に敬意と感謝を示し「自然災害などの被害を最小限にとどめるためには施設面の整備を進めるのも当然だが、町民の安心安全のためには一人一人の防災意識の向上も必要」と式辞。
津波浸水域にある消防本部の高台移転や災害発生時に対策本部となる防災センターを併設するなどの対策を進めているとし「一人の命も失わないという精神の下、有事の際には迅速な行動ができるよう研さんを。また、それぞれの地域において町民の防災意識の啓発・向上にご協力を」と呼び掛けた。
湯川辰也消防長は「新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き厳しい状況が続いているが、災害はいつ何時発生するか分からない。町民の生命、身体および財産を守る崇高な使命を達成するため、引き続き基本的な感染対策を行いながら消防団活動に尽力を」とあいさつ。来賓の荒尾典男町議会議長、玉置昌彦・東牟婁振興局地域振興部長、谷洋一県議会議員がそれぞれ祝辞を述べた。
下地将仁団長は「自分たちの地域は自分たちで守るという基本理念の下、町民が安心して暮らせるように消防人としての自覚と誇りを持ち、災害対応力の向上に努め、日夜訓練を重ねていく」と訓示した。
(2022年1月12日付紙面より)
熊野速玉大社で恵比寿祭 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野恵比寿(えびす)神社で10日、恵比寿祭(恵比寿神社例大祭)が執り行われた。神職らが参列し、新型コロナウイルスの終息などを祈願した。
例年では商売繁盛や家内安全などを願い、前日夜の宵宮から縁起物の福笹(ふくざさ)や熊手を買い求める多くの人々でにぎわいを見せる同大社の「十日えびす」。
今年は新型コロナウイルス感染拡大の観点から昨年に引き続き、規模を縮小し神事のみを斎行。えびす様の御利益にあやかろうと、地域住民らが祭司を務めた上野潤権宮司に続いて玉串をささげた。
神事を終え、上野権宮司は「新型コロナの影響で今年も福笹など縁起物の設置はできなかったが神事斎行に当たり多くの問い合わせがあった。こういった状況でも忘れていない人が多いとうれしく感じた」とあいさつ。
「『虎口を脱する』ということわざもあるが、今年は光に満ちあふれて一日でも早く日常が戻り、来年こそは祭りが盛大に執り行われるようになれば」と話した。
(2022年1月12日付紙面より)
キャンプ主題にして実証 (古座川町 )
古座川町で8、9日に6事業者連携によるキャンプイベントがあり、モニター客16人を受け入れてその在り方に対する意見を求めるなどした。
このイベントは、同町観光協会を事務局とする複数の事業者で本年度に展開している「産学官民連携による観光型過疎地域課題解決実証事業」の一環。今回連携した事業者は▽古座川ジビエ山の光工房▽HYGGE▽田上おとり店▽北海道大学和歌山研究林▽Yocco▽古座川町観光協会―で、事業者からの誘い掛けに応えた芸能人を含む16人がモニター客として協力した。
事業者はそれぞれの得意を発揮して連携し、テントの設営やまき割り、地元の食材を取り入れたキャンプ飯作り、各種体験(鹿革クラフト・木工クラフト・毛鉤(けばり)作り)やテントサウナなどの各体験を提供。モニター客は事業者の趣向を凝らした進め方にも触れながら2日間の行程を過ごし、その内容に対して意見を還元するなどした。
同事業は観光庁「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の採択を受けて展開していて、昨年10月にスタディケーション、11月にワーケーション、そして同イベントを実施し、これら領域に対応する資源提供を域内連携で形作ることを実践した。今月は日本航空株式会社(JAL)の協力を得てワーケーションも19日(水)から実施予定。以降はこれら実証の成果を今後の課題解決に生かすため事業者間で共有しつつ、観光庁に報告する流れとなっている。
(2022年1月12日付紙面より)
署員らが広報啓発 (新宮警察署 )
警察庁が定める「110番の日」である10日、新宮警察署(山田守孝署長)は新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店などで、110番の適正利用を呼び掛ける啓発活動を実施した。
新宮署によると、2021年中の110番受理件数は6万2843件。うち、いたずらや間違い、無応答などの非有効は1万131件で昨年と比較し1285件の減少となった。主な通知内容は交通事故関係が29%と最も多くを占めている。
同店正面入り口では和歌山県警のマスコット「きしゅう君」や署員、交番連絡協議会員ら11人が買い物客に対し、啓発物資を配布。「110番の適正利用をお願いします」と声掛けした。
同署ではいたずら電話や間違い電話の110番によって、事件・事故などによる緊急の110番がつながりにくくなるため、犯人摘発や被害者救護の妨げになる可能性があると危惧しているとした。
南良太地域課長は「緊急でない場合や問い合わせ、相談などは警察相談窓口(073・432・0110または#9110)に通報してください。適切な110番のご利用をどうぞ、お願いいたします」と話した。
なお、同署では110番通報のポイントとして▽何があった(不審な人影など)▽どこで(場所、目印など)▽いつ▽犯人は(どの方向へ、服装は、人相は)▽今、どうなっている▽通報者の名前、住所、電話番号を慌てず伝える―の六つを挙げている。
この日はイオン新宮店、JR新宮駅から出発するくろしお22号車内(JR紀伊勝浦駅までの区間)でも啓発を行った。
(2022年1月12日付紙面より)
7日は「七草粥」
1月7日は「七草粥(ななくさがゆ)」。市内のスーパーマーケットなどでは「七草粥セット」を買い求める人の姿が多く見られた。
一年の無病息災を願って、一般的に人日の節句の朝に食べられる日本の行事食。新年の季語でもある。正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める目的もあるという。平安時代には行事として行われており、室町時代の汁物の原型ともされている。
地方によって食材や作り方、味付けが異なり、那智勝浦町の七草粥(ななくさがい)はダイコンやニンジンなどの野菜を入れるほか、田辺市中辺路町では餅とシャクシナを入れるという。
春の七草は、時代や地域によって異なっていたが、現在では一般的にセリ(競り勝つ)、ナズナ(なでて汚れを払う)、ゴギョウ(仏の体)、ハコベラ(繁栄がはびこる)、ホトケノザ(仏の座る場所)、スズナ(神を呼ぶ鈴)、スズシロ(汚れのない純白)で構成されている。
年明けから約1週間が過ぎ、「寝正月」「飲み正月」「正月太り」で体調を崩している人も多いのでは。七草粥を食べて無病息災を祈りつつ、胃腸を休めてみてはいかが。
(2022年1月8日付紙面より)
上野山こども園の年長児 (串本町 )
串本町津荷にある社会福祉法人杉の子会上野山こども園(前田紀代子理事長、上地奈奈園長)の年長児(5歳児、ひまわり組)が6日、第17回音読コンクール団体の部〈年長〉で最優秀賞を獲得したことを田嶋勝正町長に報告した。
このコンクールは、幼年国語教育会が成長の励みとして年1回主催している全国規模の審査会。個人と団体の2部門があり、団体の部は年長・年中・年少・年少未満の4区分でクラス単位の音読作品(=動画)を受け付けている。
同法人は前田理事長の「本が好きな子になってほしい」という思いを形にする活動の一端で第1回から応募していて、現在は3~5歳児が挑戦する形で定着している。本年度の年長児は▽月の兎▽方丈記より「ゆく河の流れ」―の音読に挑戦し同部〈年長〉に応募。審査の結果は第一席の最優秀賞で、同法人にとっては第4回で旧・上野山保育所の年中児(4歳児)が獲得して以来13年ぶりの好成績となった。上地園長によると、本年度の年長児はおととしに優良賞〈年少〉、昨年に第二席の読売新聞社賞〈年中〉を獲得。職員は応募のたびに成績が上がる成長ぶり、年長児は去年より大きな記念盾がもらえたことに喜んでいるという。
この日は年長児30人が同園の幼児バス(通称・ねこバス)で役場本庁を訪ね、上地園長ら職員と一緒に結果を報告。田嶋町長は「動画を見たがみんな足や背筋がピンとしていて、これなら取れるだろうと思った」とたたえ、園児一人一人にお祝いの品を贈ってこれからも頑張ってと励ました。
今回は年中児が優秀賞〈銅賞〉、年少児(3歳児)が優秀賞〈銀賞〉と、どのクラスも賞状と記念盾が贈られる成績を収めた。上地園長は「3年間の積み上げで年長児は、漢字と仮名が交ざる絵本も興味を持って読めるようになっています。本を嫌いにならないのはもちろん、みんなで声を合わせる挑戦で協調性も高めてくれたら」と活動に込める思いを語った。
(2022年1月8日付紙面より)
小学生が手話学ぶ (紀宝町 )
小学生対象の「やさしい初級手話教室」が5日、紀宝町鵜殿の町福祉センターで始まった。町内の小学1~5年生11人が参加し、手話でのあいさつや自己紹介をすることを目標に学ぶ。
同町社会福祉協議会では毎年、幅広い世代に向けた初級手話教室を開いており、小学生にも気軽に参加してもらおうと、昨年度に続いて冬休みに3日間の連続講座を計画した。
講師は同社協の名取雅博さんと時松有見子さんが務め、ボランティアとして県立木本高校2年の竹内悠真君と瀬古修平君、同3年の市川芹さんがサポートした。3人は昨年11~12月に中学生以上を対象に開かれた全6回の初級手話教室を修了している。
名取さんは「手話って知っていますか?」と問い掛けながら、耳が聞こえない人の言葉であることを説明。子どもたちは指文字の五十音表と名取さんや高校生たちの指の動きを見ながら、「あいうえお」から順に学習し、自分の名前を指文字で表現できるように練習した。
慣れてくると、名取さんの指文字を見て理解し、子どもたちで表現する学習にも取り組んだ。
(2022年1月8日付紙面より)
安全や向上願い手釿始式 (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、一年間の作業の安全と技術の向上を願い、宮大工の仕事始めの儀式「手釿始式(ちょんなはじめしき)」が営まれた。
男成宮司が祝詞を奏上した後、烏帽子(えぼし)と直垂(ひたたれ)の伝統衣装を身に着けた宮大工と技手の4人が、古式にのっとり大工道具を使う所作などを奉納した。
棟梁(とうりょう)の嶌﨑和真さん(40)がちょんなを約2㍍のヒノキの角材に打ち込み、続いて南太一さんが墨付け、山口雄太さんがのこぎり、南智紀さんがかんなを使った。ちょんなとは古い大工道具で、丸太の皮を剝いだり、木を削ったりするのに使われるもの。
地元出身で同大社に勤める嶌﨑さんは神事を終え、「新型コロナウイルス感染症の影響は回復の兆しが見えていない。しかし、一日も早く生活が回復し、明るい年になることを祈念しました」と話した。
嶌﨑さんにとって、7月に斎行される那智の扇祭り(火祭)のたいまつ作りや準備が最も重要な仕事になるという。この日は本番に向けて士気を高めていた。
(2022年1月8日付紙面より)