環境問題研究会が発行 (新宮市 )
環境や人権、熊野地方の歴史などさまざまな分野の講師を招き学んでいる新宮市の市民団体「環境問題研究会」がこのほど、30周年記念誌『箱舟』を発行した。講師を務めた人など46人が論文やエッセーを寄せているほか、これまでの活動年表などを掲載している。
カトリック新宮教会の故ベダ・クレアリ神父が1985年に創設。後を継ぎ事務局を務めている植松晴孝・喜美子夫妻=同市磐盾=(ともに82歳)は「人が人として生きる時、失ってはならないものをしっかり見据えて、奪われようとする時には『これはおかしい』と声を上げていく生き方をしたいと願う人々の善意と熱意に支えられ、発行することができました」と感謝している。
各分野の講師を招き、同市の井の沢隣保館などで毎月例会を開いている。会に規約や会則はない。会員は50人で年会費1000円。有名大学の教授なども講師を務めているが、肩書や交通手段にかかわらず、謝礼は1000円分の図書カードと決めている。
「最初の頃は講師を務めてくれる人を探すのに苦労しました」と喜美子さん。「宗教色を出さずに続けてきたのが良かったと思います。この30年間で人の輪が広がったことが大きな財産です」
晴孝さんは「地球環境を守るために一人一人何ができるか、から始まった会ですが、今では人間に関わるあらゆることを学んでいます。会員は40~80代。今後の希望は新しい世代の人たちに会を引き継いでいってもらいたい」と話していた。
30周年記念誌はA4サイズ、92㌻。新宮市井の沢のくまの茶房(電話0735・21・1761)で有料で配布している。
(2017年9月30日付紙面より)
結核週間で啓発活動 (和歌山県 )
結核予防週間(24~30日)に伴い和歌山県と結核予防会和歌山県支部は28日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で街頭啓発を実施した。県職員3人が買い物客に啓発用パンフレットなどを配布した。
結核は全国で年間約2万人が発症する重大な感染症。1日に50人の新しい患者が発生し、5人が命を落としている。厚生労働省は毎年9月24日~30日を「結核予防週間」と定め、重点的に結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。
結核はたんの中に結核菌が出る重症患者がせきやくしゃみをすることで感染が広がる。症状はせき、たん、発熱、血たん、胸痛など。昨年の県の結核の現状では、新登録結核患者数が131人(前年比19人減)で、うち70歳以上が74%、80歳以上が58%となっている。30代未満の若年者でも4人が発病している。
県は受診や発見の遅れが依然として見られるとし、「2週間以上、せき、たん、微熱などが続いたら、早めに医療機関を受診しましょう。結核は確実に薬を服用すれば、ほとんどが治る病気です。早期発見、早期治療が大切です」と呼び掛けている。
東牟婁振興局健康福祉部の花光宏樹さんは「高齢の方が発病される事が多く、風邪かと思ってもすぐに受診することが大切です」と話していた。
結核に関する相談は国立病院機構和歌山病院内の結核相談支援センター(電話0738・32・7033)まで。祝日を除く月~金曜日。時間は午後1時~4時。
(2017年9月30日付紙面より)
紀陽銀行やノオトと協定結ぶ (串本町 )
串本町(田嶋勝正町長)は28日、株式会社紀陽銀行(松岡靖之頭取)や一般社団法人ノオト(金野幸雄代表理事)=京都府篠山市=と地域活性化に向けた包括連携協定を結んだ。稲村亭(とうそんてい)など町域にある古民家の再生と活用を進める上での協力関係で、今後は年内に事業体や仮称『串本町古民家活用協議会』を立ち上げて再生や活用の具体化を進めるという。
稲村亭は1872年に建築された民家で、無量寺そばに位置。前所有者の神田家が飢饉(ききん)救済のお礼として旧有田村の住民から譲り受けた杉の巨木を建材の一部に使っているといった由緒を持つ。同町は昨年3月に同家から譲渡を受け、今年4月以降は同町地域おこし協力隊員が隣接する家屋に実際に住み込んで活用方法を模索している。
他方、紀陽銀行とノオトは両輪で政府施策「古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり」の趣旨に合致する地域経済活性化を目指している。県域全体を面でとらえた周遊観光を構築する上で本州最南端は外せないという観点で同町に取り組みを紹介し、三者の思いは積極的に合致。連携協議へと発展し、実現の第一歩として今回の協定締結に至った。
調印式は串本町役場であり、田嶋町長、紀陽銀行の日野和彦取締役上席執行役員、ノオトの藤原岳史理事の代表署名により『和歌山県串本町の歴史的資源を活用した地域活性化に向けた包括連携協定』を締結した。県内の自治体では有田市、湯浅町に次いで三例目。紀陽銀行とノオトはJR西日本とも連携協定をすでに締結していて、同日現在で3自治体1企業とともに目的達成を目指す状況になっている。
田嶋町長は「この機に持ち得た地域資源をもう一度掘り起こしてPRし、人に来ていただくことによる地方創生を進めたい」とあいさつ。日野執行役員は自治体と住民や事業所が一丸になることが大切だとし、藤原理事は今後の振興は地域が宿す生活そのものを資源として捉えて進めると方向性を示唆して協働の意思を掲げた。
ノオトは同市丸山地区における振興の一環で2009(平成21)年に設立。以来8年間で約60軒の古民家再生を手がけた実績を持つ。活用の手法は宿泊施設、カフェ、レストラン、ミュージアムと多彩。その積み重ねで同市の城下町を対象にしたエリアマネジメントのノウハウも有する。
同町産業課の松原邦明主査によると、当面は稲村亭と現在交渉中の古民家1軒を集中的に再生、活用する予定。藤原理事は、古民家を当時の生活様式に沿って再生し希望すれば購入もできる形で活用を図るとし、まずは上記2軒を古民家の再生、活用モデルとして仕上げ、これらを交渉の材料にしてエリアマネジメントへの発展を目指す。実働を担う事業体は、地元雇用を視野に入れ民間主導で立ち上げるとしている。
(2017年9月30日付紙面より)
秋晴れの下、新翔高校
新宮市佐野の県立新翔高校(永石和校長)で29日、第11回体育祭が開かれた。テーマは「記念すべき、100回目の熱盛!」。
生徒入場、校歌斉唱の後、小松莉那さん(3年)が聖火を聖火台に点火、永石校長が創立100周年に触れ「皆さんが引き継ぐ体育祭の伝統とは何だろうと考えたとき、真剣かつ元気はつらつにプレーすることだと思います」と述べ、「3年生にとっては、締めくくりの体育祭。しっかりとリーダーシップを取って、成功に導いてください」とあいさつ。
実行委員長の南礼君(3年)が「とてもいい天気で神様が、頑張れと言っている気がする。3年生にとっては最後の体育祭。1、2年生も3年生に負けない元気で頑張りましょう」と呼び掛け、生徒代表の前田優さん(3年)、貝塚咲頼さん(3年)が「私たちを支えてくれる先生方、家族、新翔高校で出会ったかけがえのない友人に感謝の気持ちを込め、正々堂々と戦い抜くことを誓います」と宣誓し、競技に移った。
競技は午前に各学年による団体種目や、クラス、クラブ対抗リレーなど、午後は応援コンクールやフォークダンスなどが行われた。
(2017年9月30日付紙面より)
文化複合施設建設で提言 (遺跡保存願う会 )
熊野新宮遺跡群の保存と活用を願う会(西村忠之会長、会員15人)は22日、文化複合施設建設に関する提言書を田岡実千年市長に提出した。建設予定地の丹鶴小学校跡地からは今後も貴重な遺跡が出土し完成が遅れる可能性があると、図書館か文化ホールを別の土地に建設することを検討するよう求めた。田岡市長は今のところ他に建設可能な土地がないとし、「申し訳ございません。難しいです」と断言した。
同会の西村会長と中瀬古友夫、長谷徳蔵の両副会長が市役所を訪れ提言した。田岡市長は、これ以上市民の文化活動に支障をきたすことができない、50%の補助がある有利な国の交付金期限が迫っている、などを理由に交付金期限の平成33年3月末までに予定地に建設する方針を変更する考えはないと述べた。
西村会長は歴史、文化、学術、観光上価値の高い遺跡を100%残し、遺跡の保存活用方法が決まるまで、埋め戻し、芝を張って市民の憩いの場として利用することを提案。楠本秀一教育長は、遺跡の保存については市民から賛否両論あり、施設の早期完成を求める声も上がっていると説明。「市民の声が調和できる道を探っている」と遺跡の一部は記録保存、移設もあり得ると理解を求めた。
田岡市長と楠本教育長は、会員たちが別の建設候補地として挙げた▽王子製紙跡地は、譲渡された際に建物を建設しない契約を結んでいる▽蓬莱小学校跡地は、スポーツ少年団らが使う貴重なグラウンドですでに築山を造成している▽城南と緑丘中学校を統合して一方の跡地を使う案は、学校統合に相当な時間がかかる▽新宮警察署跡地は、県の所有地で場所が交付金対象外になる―などと説明した。
(2017年9月24日付紙面より)
盛大に「舞込芸能大会」 (三輪崎郷土芸能保存会 )
三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)は22日夜、新宮市の三輪崎会館で「舞込芸能大会」を開いた。地域住民ら多くの人が、日本遺産にも登録されている県無形民俗文化財の鯨踊りや獅子神楽、舞踊や演奏を楽しんだ。
保存会による剣の舞や天狗(てんぐ)の舞など7種類の獅子神楽と鯨踊り、三輪崎婦人会、台楽保存会の踊りと三輪崎老人クラブ連合会の歌謡などがあった。三輪崎老ク連の女性部員が特別出演し、三輪崎の女性たちが踊っていた手踊りによる鯨踊りが50年ぶりに復活し、披露されたほか、その当時の様子を振り返るスライドショーもあった。
濱口会長は「台風の影響で予定をしていた町内奉納がほとんどできませんでした。皆さんにご迷惑をお掛けしました」と謝罪し、「延期して行った18日には台風一過で晴天に恵まれ、御旅所での獅子舞、鯨踊り、各種団体にご協力いただきまして手踊りの披露ができたことを本当に良かったと思っております。今年は大変暑い中での練習でしたが、大勢の皆さまに見ていただけたことで頑張ったかいがありました。本当にありがとうございました」とあいさつ。濱口会長は、毎年全国から選ばれた4団体が参加し開催される11月の「全国民俗芸能大会」という歴史ある大会に、同保存会の鯨踊りが選ばれたことも報告。「日頃から地域の皆さまに支えていただいて活動してきた結果と思います。精いっぱい頑張ってきます」と意気込んだ。
(2017年9月24日付紙面より)
南紀くろしお商工会女性部
南紀くろしお商工会女性部(大林幸子部長、部員112人)は23日、太地町のホテル「花いろどりの宿花游」でテーブルマナー教室を開いた。27人が参加し、料理を味わいながら食事の作法を学んだ。
同教室は、部員が披露宴や集会などさまざまな場所に呼ばれるため、役立つマナーを身に付けてもらおうと実施した。大林部長は「部員の皆さんには普段頑張っている分、優雅な時間を持っていただきたい」とあいさつした。
この日は、「きのこクリームスープ」や「牛ヘレのポアレ・マデラソース」など七つの料理で構成されたフレンチフルコースを味わった。
講師は花游のソムリエ、井上歩さん。「テーブルマナーは、もてなす相手や周囲の席の人、レストランのスタッフなどその場にいる人を不快にさせないための所作」と話し、席の着き方からナプキンの用法、食器の扱い方、メニューごとの食べ方などを、実演を交えて教えた。参加者は歓談しながら優雅な雰囲気の中で料理に舌鼓を打った。
(2017年9月24日付紙面より)
秋晴れの中、神輿渡御や奉納行事 (三輪崎八幡神社例大祭 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭の神輿渡御(みこしとぎょ)と奉納行事が18日、同神社と三輪崎漁協周辺で営まれた。台風一過のさわやかな秋晴れの中、みこしや山車(だし)が区内を練り歩き、奉納行事は多くの人々でにぎわった。
漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭り。本殿大前ノ儀では祭り関係者が参列し地域の平穏無事を願った。
神輿渡御では、同神社を出発したみこしに続いて、大勢の子どもや大人に引かれた恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が、三輪崎漁港前の御旅所まで豪快にぶつかり合いながらまちを練り歩いた。
三輪崎漁港前の御旅所では、三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)が獅子神楽を奉納した。獅子舞の天狗(てんぐ)役は、屋敷朋希君(5)が務めた。三輪崎婦人会、台楽保存会、若吉会が華やかな手踊りを披露。同保存会の青年たちが掛け声とともに、日本遺産にも登録された勇壮な鯨踊りを奉納した。
(2017年9月19日付紙面より)
イスタンブール高校来校 (串本古座高校 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)は15日、トルコ共和国のイスタンブール高校(ヒキメット・コナル校長)と姉妹校提携を結んだ。アメリカのヘメット高校、カナダのバニア高校に続き3校目で、愛須校長(57)は「生徒が世界へといっそう視野を広げ、地域の歴史を見つめ直すいい機会にしたい」と今後の交流に意気込んでいる。
イスタンブール高校は国内でトップクラスの優秀校として有名で、生徒890人が学んでいる。コナル校長(38)によると、生徒が授業でトルコ軍艦エルトゥールル号の史実を学ぶ中で串本町に興味を持ち、どうやれば行けるのかなどを調べて筋道をつけた延長で今回の訪問を計画した。その勢いの背景には日本に関心を持つ学生の増加があり、次年度には日本語クラブも創設される予定。将士を救った地域に感謝を届けるとともに、できることは限られているが生徒間交流で両国の友好に協力できればと考えて今年7月、串本古座高校に姉妹校提携を申し入れたという。
串本古座高校は次年度から地域に貢献できる即戦力人材を育てるグローカルコースを実働させる計画。教材とする地域はトルコ共和国との友好が深く、この姉妹校提携は今後の新たな挑戦において有益だと考えて受け入れることにしたという。
調印式は串本古座高校で行うことになり、この日はコナル校長ら教員3人と訪問を希望した3年生(日本の高校2年生に相当)12人が来校。愛須校長ら教員と生徒会執行部やCGS部トルコ班の生徒が出迎えて歓迎した。両校長、生徒を代表して生徒会執行部の高田紅恋会長(2年)とイイットジャン・カヤ君があいさつを交わし合い、互いの高校を紹介しあった後に両校長名で調印書を交わした。
イスタンブール高校一行は式後、校舎やクラブ活動を見学。各部も体験を準備して生徒間交流に臨み「トルコ語は無理だけど英語で何となくコミュニケーションできた」と興奮していた。
提携はしたが両校とも半ば勢いで縁組をした状況で、今後の具体的な交流事業は白紙の状態。学校紹介時に両校ともパソコンを用いてプレゼンテーションをしたこともあり、インターネット経由での情報交流であればすぐにでも始められそうだと愛須校長は思い描いた。
イスタンブール高校の一行は翌16日、串本古座高校と共に同町樫野にあるエ号殉難将士慰霊碑へ献花し、トルコ記念館を見学。一帯の清掃に取り組んでいる大島小学校を訪問し、当事者である児童らに会って感謝した。
その後に田嶋勝正町長と将士を救助した当時の村民の一人・高埜友吉のひ孫にあたる堀口徳弘さん(65)を表敬訪問。自分たちにできることの一端で、沖日記をトルコ語に訳し日本とトルコが今後共同設置する大学に託す目的で電子データの提供を要請し、堀口さんから伝え聞いている当時の状況を聴取しトルコ共和国における尊敬の所作を堀口さんに注いでこの上ない感謝の証しとするなどした。
(2017年9月19日付紙面より)
新宮市橋本児童館で
新宮市の橋本隣保館・児童館(速水得史館長)で16日、「第29回ささやかな敬老会」があった。子どもたちが歌を披露し、お年寄りたちを喜ばせた。
開館の翌年から始まり、紀伊半島大水害の年を除いて毎年開催されている。地域住民たちが子どもたちへのプレゼントを作るなど、手作りイベントとして続いている。
会場には地域の高齢者たちが作った生け花、陶芸、手芸、プリザーブドフラワーなどを展示。松嶋亨さんのシルバー川柳、松嶋享さん、中田定弘さん、広野武子さんの歌のほか、マジックショーやビンゴゲームもあり、盛り上がった。
速水館長は「台風が近づいていたので心配しましたが、多くの人が来てくれて良かったです。本当に手作りの敬老会ですが、毎年皆さんが楽しみにしてくれています」と話していた。
(2017年9月19日付紙面より)
台風18号、近畿地方通過
大型の台風18号は17日午前、鹿児島県南九州市付近に上陸、九州南部、四国、近畿地方を通過し、18日には北日本を進んだ。和歌山県には17日夜に最も接近し、和歌山地方気象台によると午後8時35分に和歌山市の友ヶ島で44・7㍍の最大瞬間風速を記録。新宮市では熊野速玉大社の大鳥居手前で倒木があった。
熊野地方でも強風が吹き、大雨が降った。17日午後9時までに太地町太地で43㍉、那智勝浦町勝浦で38㍉、同町浦神西で37㍉の最大時間雨量を記録。累積雨量は同町勝浦で333㍉、太地町太地で328㍉、新宮市高田で318㍉に達した。和歌山県の調べによると県内の主要河川のはん濫は無かった。
各地で避難準備情報が出された。那智勝浦町では17日午後4時20分に市野々から天満中村にわたる地区と天満地区薬師谷付近に「避難準備・高齢者等早期避難」を発令した。新宮市は16日午後5時、21カ所の自主避難所を開設。20世帯24人が避難した。
県内では由良町白崎海洋公園道の駅で28歳の男性が転倒して骨折、田辺市消防団龍神支団中山路分団車庫のシャッターが破損するなどの被害が出た。
交通機関にも乱れが出た。JRきのくに線は新宮―和歌山間が運転を見合わせた。関西電力によると田辺市内で約3560軒が停電した。
(2017年9月19日付紙面より)
「ツール・ド・北海道」キナンチームレポート①
県大会目指し熱戦繰り広げる
太地町の町立くじらの博物館を舞台にした映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる」の撮影が10月中旬から同町を中心に始まる。映画は2018年夏公開予定。和歌山県と県観光連盟(わかやまフィルム・コミッション事務局)と日本遺産「鯨とともに生きる」を推進する熊野灘捕鯨文化継承協議会が全面的にバックアップする。
撮影は同協議会を組織する太地町、新宮市、那智勝浦町、串本町を中心に行われる。監督の藤原知之さん(38)は「20世紀少年」や「真田十勇士」で知られる堤幸彦さんの下で助監督としてキャリアを積み、2013年に短編映画を発表、山形国際ムービーフェスティバルでグランプリを受賞している。
映画はくじらの博物館を舞台に、奮闘する若い飼育員やトレーナーの実話をモチーフにした「青春ストーリー」。和歌山、熊野の風景、歴史に支えられた町の文化をさりげなく映像に収めながら、現代を生きる若者たちに「自分らしく生きること」「何かに夢中になること」の素晴らしさを伝えることをテーマにしている。夢を信じ突き進む勇気の大切さと怖さ、焦りと挫折。そんなとき、頼るべき人がいることの喜びと希望。大きな黒潮の流れをバックに、小さな人間が悩んだりくじけたりしながらも、一歩一歩目標に向かい進んでいく様が、見る人全てに勇気と希望を与える作品になるという。
(2017年9月14日付紙面より)
宝珠寺でヨガと座禅体験 (新宮市木ノ川 )
新宮市木ノ川の白龍山宝珠寺(西昭嘉住職)は12日、同寺の本堂でヨガ教室と座禅会を開いた。11人が参加し、神聖な空気の中で心身をリフレッシュした。
宝珠寺では、多くの人に集まってもらえるよう2年ほど前からさまざまな企画を催しており、今回もそのうちの一つ。これまでにも、落語や瞑想(めいそう)体験などを開いている。
ヨガ教室では、新宮市や那智勝浦町などで活動するヨガ教室「Arbor」のインストラクター西谷安代さんが講師を務めた。参加者は太陽礼拝などを実践し、前身をくまなくほぐした。
座禅は西住職が曹洞宗(そうとうしゅう)式の所作を教えた。壁に向かって手と足を組み、思考を止めて心を安らげた。
宝珠寺の座禅会は、毎週土曜日の午後5時から無料で開かれている。
(2017年9月14日付紙面より)
放課後英会話クラブ始まる (串本町 )
串本町文化センターで12日、小中学生を対象にした放課後英会話クラブが始まった。英語によるコミュニケーションへの関心と積極性を育む新たな取り組みで▽小学校中学年▽同高学年▽中学校―の各クラスを設置。同日現在で計62人が受講登録していて、月1回ペースで年度末まで励むという。
この教室は、同町教育委員会とトルコ語や英語や日本語などマルチリンガルな才覚で活躍する同町地域おこし協力隊のトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんが語学教育の在り方を語り合う中から出てきたアイデア。語学習得を大きく左右する興味と愛好を本格的に学ぶ前に高めるのが狙いで、児童生徒が自然体で英語をコミュニケーションツールとして普段使いする機会の提供に努めるという。
講師は外国語指導助手(ALT)のホ・トラクさんと今月から新たに着任したデイビッド・フィレモンさん、アルカンさんの3人。人数が多い小学校中学年は学年別2クラス編成(3年生13人と4年生17人)、同高学年(5・6年生12人)と中学校(1~3年生15人)は1クラス編成とし、火曜日を基軸にして小学校クラスは午後5時30分~6時15分(45分)、中学校クラスは午後6時30分~7時20分(50分)に開く。
この日は小学校中学年の2クラスが合同開講する形で同時スタート。序盤は相手との接点を持つきっかけとして最も基本的な自己紹介を英会話でこなし、中盤以降はミニゲームを交えて児童の活動と英単語「Big」「Small」「Heavy」「Light」を結び付け、学習とは違った「慣れ親しむ中から英語を覚える」という習得方法の雰囲気を体験した。
今後の活動のアイデアは歌やダンス、読み聞かせやミニゲーム、グループワークや発表など多種多彩。児童生徒が「話したい」「聞きたい」と感じられる内容を都度設定して、関心や積極性を引き出すという。期間前半は同センターを主な活動場所とするが、来年1月以降は同センターが改修工事期間に入るため役場古座分庁舎へと移すとしている。
(2017年9月14日付紙面より)
勝浦八幡神社例大祭前に勝浦全区合同で (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭=16日(土)宵宮、17日(日)本宮=の行事「子供手踊」の練習が9、10の両日、町立勝浦小学校体育館であった。40年近く踊りを教えた八木佐知子さんが昨年で引退し、後を継いだ村﨑幸さん、濵地生三子さんが指導。勝浦1~6区の子どもらが合同で練習に励んだ。
「子供手踊」はそろいの浴衣の子どもたちがかわいい踊りで祭りに花を添える。奉納する踊りは『勝浦節』と『勝浦音頭』。渡御(とぎょ)行列では『めはり音頭』も披露する。勝浦節は手拭いを持って那智の滝や船をこぐしぐさなどを表現する伝統の踊りで50年以上もの歴史を誇る。
手踊りの列は多い時には100人を超えたが、昨年は40人に減った。6区の坂井與己区長は「今年は57人に増えました。みんな上手に踊っている。あとは当日の天気を願うだけ」と満足そうだ。村﨑さんは「上級生が小さい子らに一生懸命教えている。かわいらしくほほ笑ましいですね」と笑顔を見せた。
(2017年9月14日付紙面より)
犠牲者の友人ら七回忌で (紀伊半島大水害から6年 )
紀伊半島大水害で犠牲となった中平幸喜さん(当時45歳)の冥福を祈り、友人ら5人が10日、新宮市熊野川町上長井の小口自然の家広場に高さ24㍍の慰霊塔を設置した。被災現場の復旧工事で伐採した熊野杉を使用していて、友人だった中川悟さん(58)=同市新宮=は「七回忌ということで建てました。あの水害を忘れないでほしい」と話した。
塔に使った木は、幸喜さんの遺体発見現場で伐採した杉。2本を鉄板でつなぎ合わせていて、「繋(つな)がる絆で笑顔あふれる元気な町」などのメッセージを書き込んでいる。同広場で毎年開催されるクリスマスイベントでは電飾を取り付ける予定で、来年1月中旬まで建てている。
塔の設置作業には中川さんのほか、同じく友人で、那智谷大水害遺族会代表を務める岩渕三千生さん(56)=紀宝町=らが参加。幸喜さんの長男・中平史都さん(29)=同市王子町=と田岡実千年市長も駆け付けた。
クレーンやロープを使って塔を設置した後、菊の花と幸喜さんが好きだったコーヒーとタバコを塔前に供えた中川さんは「子どもの頃から知り合いで、仲が良かったので、今でも悲しみは強いです。天国から『またアホなことして』と言っていると思います」
幸喜さんが熊野川町内で営んでいた中古車販売店で一番に車を買ったという岩渕さんは「悟さんから7回忌の節目に塔を建てたいという話があり即決しました。お酒が飲めず、いつもジュースでしたが、場を明るくしてくれるとてもいいやつでした。天国から塔を見て喜んでいると思います」
『姿形は見えなくても心は共にあります』と塔にメッセージを書き込んだ史都さんは、この水害で父を含め家族5人を亡くした。「慰霊塔を建ててももらい、大変ありがたく感謝の気持ちです。父は友人に恵まれていたんだな、と思います。私にとってもみんなに好かれる自慢の父でした」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
土砂災害シンポジウム (那智勝浦町 )
国土交通省近畿地方整備局の大規模土砂災害対策技術センターは9日、那智勝浦町体育文化会館でシンポジウム「改めて土砂災害を知り、備える~紀伊半島大水害から6年~」を開催した。200人を超える住民らが詰め掛け、近年の研究成果の発表や今後の対策に関する提言に耳を傾けた。
センター長で近畿地方整備局河川部長の中込淳さんは「研究成果がより多くの人の命を守ることにつながってほしい」とあいさつ。副センター長で紀伊山系砂防事務所長の吉村元吾さんは近年の土砂災害を振り返った。吉村さんは土砂災害に関しては危険度の高まりが目視で判断しにくいことから、家屋の中にいて巻き込まれる例が多く、人命被害の多い災害と解説。全国的な土砂災害の増加や、流木による被害の拡大が目立つことを指摘し、日頃の訓練と情報収集の重要性を呼び掛けた。
センター主任研究官の木下篤彦さんは那智川での調査研究を報告した。本流、支流に巨礫(きょれき)が堆積して流れをせき止め、氾濫につながった状況などを話した。雨が降る度に川からペットボトルに水をくんで調べ、「濁りがきつくなると危険」と述べ、流域の地質や木の根の張り方など細かな調査結果なども説明した。センター員の田中健貴さんは被災した人たちから聞き取り調査を実施した。那智川流域では過去にも土砂災害はあったが、災害経験の伝承が難しかった。今後は経験や知識を集めて防災学習を推進し、子どもたちに伝えていく重要性を語った。副センター長の桜井亘さんは全国の研究調査を紹介。土砂災害の予測の難しさを説明した上で「警戒情報が出たらすぐに避難を考えて」と訴えた。
パネルディスカッションでは那智勝浦町の寺本眞一町長、和歌山県砂防課副課長の森川智さんも加わって避難の在り方などを議論した。
寺本眞一町長は「砂防施設の整備が進んでいるが、警戒を怠らず、避難所の開設を早めてすぐに避難できる態勢をつくりたい」と述べた。研究成果の学校教育への活用を提案し、同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センターは観光客が多く訪れる場所であり、修学旅行の生徒らを立ち寄らせ、防災学習に役立ててほしいと求めた。
(2017年9月12日付紙面より)
吹奏楽部第5回定期演奏会 (潮岬中 )
串本町立潮岬中学校吹奏楽部(石川朝香部長、部員13人)の第5回演奏会が10日、同校体育館であった。本年度結成したユニットの集大成となるステージで、一般約80人が鑑賞し喝采を送り、努力をたたえた。
部員は5月の体育祭以降、定演を意識して練習を開始。どの世代にも楽しんでもらえるよう、唱歌や歌謡曲、前年度アンサンブルコンテスト紀南大会で披露した楽曲などさまざまなジャンルから選曲をし、夏休みも週5の活動に励んでこの日を目指してきた。
開演にあたり藤本弘子校長は「一人一人がそれぞれの役割を果たして心を通わせれば、自分たちの音楽で皆さんの心を潤わせることができるという思いで励んできた。みんなの気持ちを一つにして音楽を届ければ、音楽に乗って心も届くと思う」と激励。石川部長は「私たちのいい思い出になり皆さんの記憶に残るよう一生懸命頑張ります」とあいさつし、3部構成で練習の成果を披露した。
第一部では4曲を奏で、唱歌「山の音楽家」ではパートごとに音色の披露も。第二部は2、3年生が同大会で披露した重奏3曲、第三部は3曲を奏で最後は日本の愛唱歌をメドレーで締めくくった。
小道具を交えたパフォーマンスはなかったが、開演に先立ってプレ演奏1曲を披露した同ユニット。演奏を終えて沖早織副部長(3年)は「最高の演奏会ができました。3年生が引退すると部員が少なくなりますが、これからも応援をよろしくお願いします」とあいさつして締めくくった。
同ユニットでの演奏はあと1回、潮岬小でのミニ演奏会があるが大舞台はこの日が最終の機会。石川部長は「私自身はちょっと間違いもあったけど、13人がそろって演奏できて良かった。今日はみんなで全力を出し切れて楽しかった」と振り返った。
(2017年9月12日付紙面より)
ひまわりまつり (熊野川町 )
熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)は10日、新宮市熊野川町能城(のき)山本の日足バイパス下で「ひまわりまつり」を開催した。新米争奪ビンゴ大会、スイカ早食い競争など盛りだくさんの催しがあり、約2000人(主催者発表)でにぎわった。
同協議会は2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所にして元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモスなどの種をまいている。今年は町内約5㌶に約40万本分のヒマワリの種をまいた。「ひまわりまつり」は市制施行10周年記念で一昨年初めて開催し、今年で3回目になる。
今年はステージで6団体がフラダンスなどを披露したほか、地元物産や飲食など約14店が並んだ。来場者たちには無料で風船と綿菓子を配り、最後に約120㌔分の餅をまいた。
会場に駆け付けた田岡実千年市長は、祭り関係者たちの活動に感謝し、「身近な農地を守り活用し、活性化を図ろうとする地域の皆さまの活動には頭の下がる思い」
下阪会長(71)は「前日から雨を心配していましたが、もってくれ、このようににぎわって良かったです。来年も開催したいと思っています」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
高校野球秋季近畿大会県一次予選
第48回全国中学校柔道大会
熊野BBC・武田君が国際大会に出場
県高校卓球選手権大会兼1年生大会
経緯や今後の体制に理解求める (新宮市 )
新宮市立三輪崎幼稚園の閉園説明会が8日夜、同園で開かれた。保護者や地域住民ら25人に対し市教育委員会が閉園への経緯と今後について説明。参加者からは来年度以降の体制などへの質問や意見が挙がった。
三輪崎幼稚園の定員は110人だが、園児数は減少傾向にあり、本年度は6人となっている。一定規模の人数を確保した幼稚教育のありかたが問題となり、本年度で同園は閉園予定となっている。来年度以降は白梅、三輪崎保育園が認定こども園に移行の準備を進めており、希望者は旧市内の丹鶴、王子幼稚園か認定こども園の選択となる。
質疑応答では保育園が認定こども園となった場合の変化や幼稚園教諭の資格を持つ職員の配置について問い掛けがあり、担当者は保育時間や保育料以外では保育所、幼稚園、認定こども園はほぼ同じ内容の指針や要領で、小学校入学前の教育は同じと考えてほしいと回答。
幼稚園教諭の資格を持つ職員は必ず配置しなければならないわけではないが指導し、協力してもらいながらこれまでの教育を受け継いでほしいとも述べた。
「新宮は幼稚園教育の歴史が深く、これまで培ってきた人の行動が無駄にならないよう、引き継いでもらいたい。今のままでは名前以外変わらないと言われて不安になっている人もいると思う。教育委員会が責任を持ち、小学校に上がる準備期間としてやっていけるよう見守ってほしい」という声も挙がった。
参加者からは「閉園説明会までに話があれば、もっと余裕を持って考えられたと思う」とここに至るまでの対応を問う意見も。担当者は「人数が極端に減った。集団で学ぶことも多く、幼稚園として継続していくのは良くないという中で、こども園が一番良いと考え、保育園に理解いただき進んでいる」と回答。
小学校と十分な連携が取れるのかを不安視する意見に楠本秀一教育長は「保育指針にうたわれており、学校にも保育園にも意識を持ってもらわなければならない。全市的に小学校と幼稚園、保育所の接続の活動を大事にしなければならない」と話した。
「団体生活などは小学校からでも間に合うことだと思う。人数減少で閉園に持っていくのがさみしいという気持ちが強い」という意見の他、「三輪崎幼稚園の人数は25年度から減少している。まだ決まっていない段階で閉園の発言をしたと聞いている。突然の閉園説明は納得がいかない」との訴えがあり、楠本教育長は「議会のやりとりで、少子化の中で、できるだけ民間でやっていただきたいと発言した。その時は私の考え方で、機関決定しておらず申し訳なかった。3、4年の中で受け皿をどうするかという見通しが立ち、説明会を開いた」と理解を求めた。
(2017年9月10日付紙面より)
大地震に備え救急講演会 (東牟婁郡医師会 )
東牟婁郡医師会は2日、那智勝浦町体育文化会館で救急講演会「南海・東南海地震と津波への備え~パニックにならないために~」を開いた。紀南医師会救急担当理事の寺本クリニック(紀宝町鵜殿)、寺本泰院長が、紀南医師会が取り組んできた災害時の緊急医療体制などを解説し、約100人の住民が講演に耳を傾けた。
東牟婁郡医師会の宮本岳副会長、寺本眞一町長のあいさつで講演が始まった。寺本院長は東日本大震災での災害時派遣医療チーム(DMAT)の活動を紹介した。東北地方では内陸部の高速道が充実していてチーム派遣ができたが、紀伊半島南部は高速道がつながっておらず、交通網の遮断と南部に至るまでに災害が発生している現場に遭遇してしまうなどの状況が発生し、外部からの支援は難しくなる状況を説明。加えて過疎化と高齢化が進む中、一人では逃げられない人が増えている状況も話した。南海トラフの大地震が発生すれば、助けを求める患者側と医師、消防署員ら救助する側とのミスマッチが生じると述べた。
対策として紀南医師会では「災害時救護班」を結成し、「医療救護普及会」を立ち上げた。住民に災害時の医療を理解してもらうために講演会を開き、傷病者の緊急度に応じて治療や搬送の優先順位を決める「トリアージ」の協力も住民に訴えた。参加者が固定化する中、地元の高校生ら若い人たちにも参加を促してきた。寺本院長は「研修や講演を通じて住民の理解が得られ、地域で顔が見える関係が生まれた。病院の看護師と地域の看護師、介護施設の職員、行政職員らとのつながりができた」と成果を述べ、「平時からの連携が重要。連携を構築するには会議だけでなく、研修会が重要な役割を果たす」と語った。
南紀災害医療勉強会も結成した。寺本院長は「田辺以南、松阪以南が連携しなければならない。地域をつなぎ、職種をつなごう。地域の命は地域が守る。紀伊半島南部で積極的に備えたい」と呼び掛けた。
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講演の後に総合討論が行われた。寺本院長が進行役となり、新宮保健所の形部裕昭所長、那智勝浦町立温泉病院の佐藤史崇内科医師、同町福祉課の保健師、喜田弘美さん、同町消防本部警防課の田中亮さんの4人が「孤立化したら、どう動くか」をテーマにそれぞれの立場から意見を述べた。
「災害時には目の前のことでいっぱいになるので、日頃の連携が大事」「DMATをどこへ派遣するかなどの意思決定が重要になる」などの意見が出た。会場からの質問では、日頃服用している薬が分かる「お薬手帳」が災害時には重要になるなどの声があった。
(2017年9月10日付紙面より)
太地町と町国際交流協会(会長・宇佐川彰男教育長)が姉妹都市交流事業としてオーストラリアのブルームに派遣した中学生7人の報告集会が7日、町公民館で開かれた。交流10年を迎え、今年は過去にホームステイを受け入れた同町の8世帯11人も現地を訪問した。生徒たちは現地での貴重な体験を発表し、保護者や学校関係者らから大きな拍手を受けた。
派遣されたのは、太地中3年の海野慈美さん、阪本宙吾君、田中結華さん、松下七星さん、間所香帆さん、那智中3年の汐﨑あかりさん、近大新宮中3年の水谷珠緒さん。宇佐川教育長を団長に、町歴史資料室の櫻井敬人学芸員、役場職員らも同行した。
中学生7人は8月1日に同町を出発、ホームステイしながら、現地の学校の歓迎集会に参加したり、授業を見学したりして交流。同月11日に帰国した。8世帯の家族は2日から4日までの日程で訪問した。現地ではセントメアリーズ校主催の10周年パーティーがあり、これまでに太地を訪れた学生や家族らを含め約300人が集まる盛大なパーティーとなった。今後の交流を願ってユーカリの植樹もあった。
報告会では出発から帰国までの様子を写真や動画で記録。映像で映し出しながら、それぞれが楽しかった思い出を語った。生徒たちは一人一人マイクを握り、「日本人墓地にお参りができてよかった」「『ようこそ』と書かれたケーキで感激してくれた」「ブーメランの作り方を教えてもらった」などと報告した。
同行した櫻井学芸員は「セントメアリーズカレッジは、日本人ダイバーとの協力で始まったという認識があり、太地とは深い縁がある。今回の交流でますます絆が深まったと感じた」と話した。10周年記念で再び現地を訪問した竹林克洋君(新宮高3年)は「再開した友人が号泣してくれた。ブルームはやさしい人ばかりだ。この交流事業は意義があった。英語に対する考え方が変わった。今は外国語大学を目指している」と話していた。
(2017年9月10日付紙面より)
スパセン南紀・熊野防災イベント (新宮市 )
「スパセン南紀・熊野防災イベント」が2日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店を会場に始まった。同店テナント会主催。来場者や買い物客らが訪れ、ダンスステージや展示されている車両を見学し、起震車や煙の体験などをした。
同会では5年前にも防災イベントを開き、集まった義援金を市などに寄付している。オープニングで下向栄一会長は「全国、いつどこで起こってもおかしくない災害。私たち南紀店内のテナント会で何かしていこうとイベントを開いた。防災のいろんな体験とフラのショー、明日はプロ歌手のライブもあり楽しんでもらいたい」とあいさつ。
来賓の田岡実千年市長は「今日は災害などに活躍する車両の展示、体験、イベントがあると聞いている。多くの方々に体験してもらいたい」。県議会の濱口太史議員は「防災イベントを民間で立ち上げて行っていただくことは大変有意義。民間、一般の皆さまに防災意識を高めていただくことが一人の犠牲者も出さない方向に向かっていくことだと思う」。泉正徳議員は「防災意識を高めてくれるイベントを開いてくれた各位に感謝したい。6年前の大変な災害から、いつ来るか分からないものに備え、気を引き締めていかなければならない」と述べた。
会場では国土交通省紀南河川国道事務所の排水ポンプ車、照明車、対策本部車をはじめ、自衛隊の軽装甲機動車などの車両展示があり、来場者らが実際に乗り込み記念撮影するなどした。起震車や煙の体験では子ども連れの家族らの姿もあった。店内では家具固定の講習会防災グッズ展示、アドバイスコーナーなどがあり、屋外ステージでは5組のフラチームが青空の下で踊りを披露した。
3日は午前11時から小芝陽子さん、午後3時から丸石輝正さんのライブを予定している。車両展示は午前9時30分~午後4時。
(2017年9月3日付紙面より)
丹鶴幼稚園で地震津波避難訓練 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児67人)は1日、地震と津波を想定した避難訓練をした。園児らは防災頭巾をかぶり、市保健センター横のタウンガーデンまで逃げた。
同園では年に6、7回ほど避難訓練を行い、防災意識を高めている。この日は午前10時に地震発生を知らせる放送が流れ、園児らは職員の指示に従って机などの下に身を隠した。揺れが収まると、園児らは防災頭巾をかぶって園庭へ。そこから歩いてタウンガーデンに避難した。
下岡園長は「地震で揺れたときには丈夫なものの下にもぐらなければいけません。今日は上手に避難できました」と話し、逃げる際にはしゃべらないよう呼び掛けた。
「おうちでいるときは家の人が守ってくれます。幼稚園では先生が守ってくれますが、自分の体、命は自分で守らなければいけません。そのためにちゃんと逃げられるように訓練をしています」と述べ、「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」の「お・は・し・も」を守るよう伝えた。
園に戻った園児らは遊戯室で「防災の日」の話を聞き『稲むらの火』の紙芝居を見た。
(2017年9月3日付紙面より)
熊野那智大社が義援金 (那智勝浦町 )
九州北部で7月にあった豪雨災害の被災者を支援するため那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は、今年の「那智の扇祭り」前後に同大社と飛龍神社に募金箱を設置した。男成宮司が8月31日、集まった募金と同大社からの義援金を合わせた50万円を日本赤十字社へ送ろうと、同社和歌山県支部那智勝浦町分区長である寺本眞一町長に届けた。
義援金の名称は「平成29年7月5日からの大雨災害義援金」で、町でも12月20日(水)まで募集している。
男成宮司は「ご参拝の方が多く、日数の割に思ったよりも多く集まった。人的なボランティアはなかなか難しいが、少しでも役立ててもらえれば」と述べ、寺本町長は「募金を預かるたびに23年の災害を思い返す。こうした形で恩返しできることはありがたい」と振り返り感謝した。
2人は紀伊半島大水害当時の町の様子や、災害についても話し合い、那智の原生林と滝の水量保全についても熱心に意見を交わしていた。
(2017年9月3日付紙面より)