宇久井小で伝統継承活動 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長、児童155人)で26日、4、5、6年生を対象に「地域伝統文化継承体験活動」があった。宇久井青年会(柴原寛会長)のメンバー5人が講師を務め、児童68人が獅子舞や笛、太鼓に触れ、地域の歴史や文化を学んだ。
地域学習の一環として、児童が地域の伝統や文化を体験し学ぶことで、地域への興味や関わりを自分自身で考え、継承につなげることが目的。
柴原会長は祭りや獅子舞について▽宇久井地区には青年会と秋葉会の獅子舞がある▽青年会は伊勢獅子を学び、ゆっくりとした舞が特徴▽秋葉会は串本町の古座獅子の流れであり、速さと元気の良い舞▽宇久井神社例大祭はいつから始まったのか詳細は不明▽江戸時代には巨大地震による津波のため100年間、祭りが途絶えた―などと説明した。
続いて、例大祭前日に町内を巡り実施する「地下(じげ)まわし」の演目を披露。迫力ある華麗な舞に児童は大きな拍手を送った。
児童は獅子舞、笛、太鼓の三つのグループに分かれ、基本の舞や太鼓や笛を実際に演奏するなど各体験を楽しんだ。
最後はメンバーが宇久井地区の場所や歴史が歌詞に盛り込まれた「宇久井音頭」を披露した。
児童は「笛を吹くのが難しかった」「初めて太鼓をたたいたが楽しかった」などの感想を述べ、全員で「宇久井の伝統を教えてくれて、ありがとうございました」と感謝を述べた。
自身も同小在学時に校内で両団体の獅子舞に感動し入会したという柴原会長は「先人たちが伝え守ってきた歴史や文化が宇久井地区にもあるということを知ってほしい。そしてこの宇久井をもっと好きになっていただけたら」と語った。
芝﨑校長は「本来は全学年に体験してほしかったが、新型コロナの感染防止のために人数を減らす形となった。子どもたち自身にさまざまな考えを持っていただき、文化をつなげてもらいたい」と話した。
(2020年11月29日付紙面より)
中里区民らが供養 (那智勝浦町 )
那智勝浦町中里区の原見の谷にある通称「一本木の地蔵さん」がこのほど、区民の手によってきれいに磨かれ、ほこらも新設された。
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「今まではお参りする場所も狭かった。大雨や台風が来るとお地蔵さんが水につかってしまい、かわいそうだった」―。
そう話すのは同区在住の太田平悟(ひらのり)さんだ。太田さんによると、これまでは地蔵のほこらが低く、設置の向きも違ったため、地元以外には知られていなかったという。
過去に同地蔵のために普請をしてきた人々に続き、太田さんも行動に移した。地蔵や手水鉢(ちょうずばち)のコケやさまざまな汚れをきれいに洗い流し、ほこらの向きを変えた。さらに元々あった土台を用いた上で参拝しやすいようにほこらを高くし屋根も新設した。
社の破風板(はふいた)などに取り付けられる飾り板の懸魚(げぎょ)をほこらに付けてはと同区の生駒善一さんが提案し、新しい屋根に懸魚が取り付けられた。
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熊野古道の一つで串本町田原と那智勝浦町を結ぶ「八郎峠」付近に同地蔵がある。生駒さんや大江淑允(よしちか)さんらによると、区民はこれまで古道周辺の区有林や町有林の手入れなどに取り組んできた。作業の集合場所は必ず「一本木の地蔵さん」だったという。
前述の新設の際にきれいになった手水鉢には「奉再建地蔵」「みぎはやまみち」「ひだりはこざみち」の文字があり、左面には「願主 孫治郎」、右面には「文政5年正月」の文字があった。さらに奥の四角い石の台座には「奉 再建地蔵」、左面には「明治32年正月 世話人 大野辰平 畑中繁松」と確認できた。
地蔵は子どもを抱き、けさ懸け姿で10枚以上のハスの葉と思われる円形の台座石と一体に彫られた精巧なつくりとなっている。
同区によると、地蔵本体は200年以上前に設置されたもので、1822(文政5)年に孫治郎氏が手水鉢を再建。その77年後の1899(明治32)年に大野氏と畑中氏が世話人となり、台座石と石積みのほこらを再建したのではと推察しているという。
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ほこらの新設に伴い、区民や関係者など40人が集まり、地蔵に手を合わせ供養を行った。
「なちかつ古道を守る会」の太田耕二代表も参列し、八郎峠が昔の田原串本方面への主要な街道であったことなど、古道の詳細を説明。区役員の太田憲男さんが地蔵の詳細を話した。
現在、上田原と中里をつなぐ道路の工事が行われているが、供養の際は2事業者も作業を止め、参列した。上田原区の杉本百生区長から田原側の工事の進捗状況について報告があったという。
なお、同区の大江敏之さんらが毎年、紅葉を楽しみにしているモミジの木が工事現場にあったことから今後の所在を懸念していたが、現在は地蔵近くに移植されたため区民一同、喜んでいるという。
大江清一区長は「お地蔵さんの形状からすると昔、古道を歩いていた子どもが行き倒れたのを供養するために作られたのだと思う。太田平悟さんの思いや行動は本当にありがたいです」と語った。
(2020年11月29日付紙面より)
第6期災害ボラコ養成講座 (紀宝町 )
第6期紀宝町災害ボランティアコーディネーター養成講座の最終講座が24日、町福祉センターであり、受講生9人と災害ボランティアコーディネーターら27人が災害ボランティアセンター(ボラセン)設置訓練に取り組んだ。
2月から始まった全6回の講座で、これまで避難生活における新型コロナウイルス対策、災害医療の課題、町の風水害タイムラインなどを学んできた。
今回の設置訓練では、県内で初めて「災害ボランティアセンター受付・ボランティア保険Web加入システム」を活用した。QRコードを通して事前登録すると、システムを採用した被災地の災害ボラセンでの受け付けがスムーズに行えるという。
町災害ボランティアコーディネーター連絡会の久原章作会長が「災害状況をボランティアセンターで説明し、資材を貸し出して現場に派遣する」と流れを説明し、「コーディネーターはニーズとボランティアのベストマッチングを考えることが大切」と伝えた。
震度7の巨大地震が発生した2日後に災害ボラセンを設置したとの想定で開始。受講生が新型コロナに対応した受付や加入システム、マッチング、資材貸し出しなどの担当業務を経験した。
終了後は、5回以上受講した全9人に修了証を交付した。今後、同コーディネーターに登録するという。
(2020年11月29日付紙面より)
尾﨑酒造で初搾り (新宮市 )
熊野地方唯一の地酒メーカー、新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗(いくろう)社長)で新酒の仕込み作業が本格化している。来年4月初旬までに一升瓶で約8万本を造る予定で、正月用の太平洋しぼりたて生原酒、大吟醸、純米酒など約30種類の銘柄になる。
同社は紀伊半島の和歌山県田辺市以南から三重県松阪市周辺までの間で唯一、本州最南端の蔵元。6代目の尾﨑社長(76)が「地元の皆さんにかわいがってもらえるお酒を」と1880(明治13)年から140年の伝統を守っている。
熊野川の伏流水や地元産「コシヒカリ」を使用するなど、地元「熊野」にこだわった酒造りを続けており、新宮出身の文豪・佐藤春夫や中上健次も愛飲していたことで知られている。代表銘柄「本醸造太平洋」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で2017年、18年2年連続の最高金賞を受賞するなど、数々の栄冠に輝いている。仕込みは先月25日から始まり、杜氏(とうじ)を務める小林武司さん(46)らがタンクに入ったもろみを櫂(かい)でかき混ぜる「櫂入れ作業」などに取り組んでいる。
27日には初搾りが行われた。出来上がったもろみを機械に入れて酒かすと清酒に分離。清酒を利き猪口(ちょこ)にすくい、色や不純物の有無などの品質を確認した。新酒は「太平洋」の搾りたて生原酒として12月中旬に店頭に並ぶ予定となっている。
小林さんは「温度管理が難しかったですが、ちゃんとおいしくできており安心しました。今年もすっきりとした味わいに仕上がりました」。尾﨑社長は「今年は新型コロナウイルスの影響から外出してお酒を飲むことが少なくなったと思う。制限が多い中ではありますが、お正月には自宅で新酒を味わってもらえれば」と話していた。
(2020年11月29日付紙面より)
那智中バレー部が町長訪問 (那智勝浦町 )
県軟連東牟婁支部学童部新人大会
来年の大絵馬が完成 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で10日、来年のえと「辛丑(かのとうし)」の大絵馬が完成した。12月から大社拝殿に掲げられる。
大絵馬はヒノキ製で、縦1・5㍍、横2・1㍍。アクリル絵の具などを使用し、瑞光を背景に梛(なぎ)の御幣を立てた、夢や希望が詰まった金俵を三つ背負い、真っすぐに前を見る雄牛を描いた。迷いのないその視線には、新型コロナを見据えながらも、疫病退散と希望に満ちた年を呼び込む力強さを込めた。
「神威照道(しんいしょうとう)」の文字を書き入れ絵馬を完成させた上野宮司は「新型コロナの影響で世界中の多くの人が不自由を余儀なくされた。道に迷い、希望を失いかけた人も多かったと思う。しかし、信じた道を歩み、希望を忘れずにいると神様がきっと道を照らしてくれる」と文字に込めた思いを語った。
来年のえとである牛については「牛の腹中の牛黄(ごおう)を印色に混ぜて宝印を押した熊野牛王宝印(ごおうほういん)が伝わっていることから、熊野では牛を大切にしてきた。雄牛には父としての厳格さや強さ、そして慈愛を込めた」と説明。
「ワクチンができることによって人々の心の穏やかさにつながっていく。とにかく一日も早く終息してほしい」と新しい年に向けた思いを語った。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬は、完成後の12月半ばごろに駅側に届けられる予定。
(2020年11月11日付紙面より)
来月から「光の祭典in紀宝」 (紀宝町 )
紀宝町の冬の風物詩「光の祭典in紀宝」の開催に向け、同町大里の田代公園ふるさと資料館前広場で7日からイルミネーションの飾り付け作業が始まった。
点灯期間は12月1日(火)から来年1月5日(火)までで、時間は午後6時から10時まで。12月31日(木)と1月1日(金)はオールナイト点灯する。
例年20万個の発光ダイオード(LED)電飾で会場を飾り、期間中、2万5000人ほどが訪れるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小することとした。12月のイベント「キラフェス」も中止とし、小学生対象のイルミネーションデザインコンテストも実施しないという。
来場者の密を避けるため、イルミネーションの間隔を空けるなど工夫し、マスク着用を呼び掛ける看板や消毒液も設置する。この日は小雨の中、実行委員会(西村喜久男会長)のメンバーを中心に約30人が作業を進めた。メインの20㍍ツリーを設置したほか、電飾が点灯するか確認した。点灯開始までに7㍍ツリーや光の橋、ゲートなども飾る。
西村会長は「今年は例年と違い、コロナ対策を取った上で作業を進めている。町のイベントが中止になる中、実行委員会でも悩みましたが、『少しでも元気を届けられたら』との思いから開催することを決めた。3密にならないよう、点灯までに工夫を重ねていきたい」と話していた。
(2020年11月11日付紙面より)
会長ら双方の思い交わす (串本古座高校地域協議会 )
串本古座高校地域協議会(会長=田嶋勝正・串本町長)が9日、県教育委員会に「ロケット及び宇宙学習の推進に関する要望書」を提出し、双方の思いを交わすなどした。
この要望は、第6期きのくに教育審議会の答申(令和2年8月)に示された内容を受け、独立した高校としての存続を図る一方向性を求めるのが狙い。答申は同校の在り方について全国公募やロケット発射場の期待もあるが、将来の生徒数から考えて存続は難しく▽2学級規模の小規模校▽分校舎▽分校―としての整備が必要と示し、同協議会はこの内容について話し合うため先月中旬に本年度第2回会合を開き意見を交わした。
松本英明コーディネーターによると、学校関係者からは小規模校が最良、同窓会長と育友会長は現状維持、行政関係は規模縮小やむなしだがどんな形でも残してほしい、議会関係は高校のないところに子育て世帯は来ず厳しい状況になる、といった意見があった。今回の要望はこの会合における会長提案に基づくもので、全会一致で提出を決めたという。
この日は県教育委員会の宮﨑泉教育長が他の公務の延長で串本町役場本庁を訪問。田嶋町長が要望書を読み上げ、同協議会副会長の西前啓市・古座川町長と共に宮﨑教育長へ手渡した。
要望書は、同校が地域資源を教材とした教育を推進し両町を核とする同協議会もその魅力づくりを強力に支援する中、ロケット射場は他では学べない貴重な教材となり全国募集における特別な存在にもなり得ると確信し、同校へのロケットおよび宇宙学習の導入と宇宙分野に関心が高い教職員の配置の配慮を求める内容。
宮﨑教育長は「私も何とかこの地域を盛り上げたいし、串本古座高校しかないからこそ一生懸命応えたいと思っている。町長方には地域の子どもをぜひ串本古座高校へ行かせていただき、うち(=県教委)は責任を持って行きたいところへ行ける指導ができるよう頑張りたい」と応え、ロケットに限らず漁業や海洋など他の秀でた要素も捉えていろいろなことをする上で同協議会の協力を得たいと歩み寄った。
(2020年11月11日付紙面より)
JC新宮が25小学校に寄贈 (新宮・東牟婁 )
一般社団法人新宮青年会議所(新宮JC、清水治樹理事長)は9日、本年度特別事業「絆~想いを込めて~」で新宮・東牟婁地方の25小学校を訪問し、各校に消毒液のオートディスペンサー1台、児童2500人にマスクケースと鉛筆を寄贈した。
新宮JCは1969(昭和44)年4月に、明るい豊かな社会の創造を目指す若者たちによって創立。本年度は新型コロナウイルスによる自粛ムードの中、未来を担う子どもたちに役立つ物をプレゼントするとともに、感染者への誹謗(ひぼう)中傷防止啓発につなげることを目的に事業を企画した。
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長、児童86人)では、泉校長が「運動や給食の時にマスクを衛生的に管理することが課題となっており、その役に立つはず。本当にありがたい」と感謝を伝えた。
同小出身という清水理事長は「小学1年生の時に木造校舎が建て替えられ、現在の校舎になった。とても懐かしい」と語り、「子どもたちのために、町づくりでどのようなことをしていけば良いのか。先生方の要望や声を今後の地域活動に生かしていきたい」と新宮JCの活動へ理解と協力を呼び掛けた。
オートディスペンサーは手を触れずに使えるセンサー感知型で、衛生的に手指消毒をすることができる。マスクケースは国連の持続可能な開発目標(SDGs)を基にしたデザインで、▽栄養をしっかり取ろう▽手洗いはこまめに丁寧に▽うその情報に振り回されない▽心の距離は離さない―など新型コロナから町を守るための18の目標を記載。「友達を大切にしていますか?」といったメッセージや、「ありがとう」「おはよう」「大好き」など気持ちが温かくなる「ふわふわ言葉」も取り入れている。
(2020年11月11日付紙面より)
那智大社で規模縮小し献湯祭 (南紀勝浦温泉旅館組合 )
南紀勝浦温泉旅館組合(清水貞吾組合長、組合員10館)は8日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で「献湯祭(けんとうさい)」を営んだ。組合員らが参列し、朝一番に源泉からくみ上げた温泉水を神前に奉納した。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から宿泊客の参列参加や餅投げも行わず規模を縮小して実施した。
神事では各旅館の代表者らが14個のたるに入れた源泉の一番湯を順に神職に手渡し供えた。
所用で欠席した清水組合長に代わり、野口滋己(しげき)副組合長が代表して玉串を奉てん。一同は自然の恵みに感謝し、業界の繁栄とコロナ終息を祈願した。
男成宮司は「自然の恵みに感謝するとともに各旅館のご繁栄、コロナ終息を祈願した。各地で巣ごもりが続いている。旅行でリフレッシュしたい方々のためにも仕事にご精励いただけましたら」と語った。
野口副組合長は「4~6月は前年比で100%近く客足が減少した。しかし、町の宿泊クーポンや県のリフレッシュキャンペーン、国の『Go To トラベル』、修学旅行の県内実施により、9月以降は組合全体で前年と同程度に戻った。10月も前年並みになると思う」。
今後については「本日は各旅館の繁栄とコロナ終息を祈りました。各旅館とも感染症対策はしっかりとしているため、安心してお越しください」と語った。
同組合によると、組合員10館の収容力は762室で、3200人だという。
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献湯祭を終えた一同は那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)に向かい、物故者追善法要を営んだ。
法要は南紀勝浦温泉の礎を築き上げ故人となった経営者や従業員などの功績に感謝し、冥福を祈るもので髙木亮英副住職らが読経を行った。
野口副組合長が「43回目の法要として、礎を築かれた皆さまに感謝するとともに、組合員一同、創意工夫をもって業績の向上に励み、観光産業の発展に努力します」と追悼の言葉を述べた。
髙木副住職は「コロナの影響などで厳しい状況にあるが、皆さまの力を合わせ、この難局を乗り越えてください」と語った。
(2020年11月10日付紙面より)
保育サービス講習会開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域子育て支援センター(戸塚ゆう子センター長)は7日、同町福祉健康センターで「保育サービス講習会」をスタートさせた。地域住民7人が参加し、子育て支援の基礎や心得、親子の気持ちを尊重した寄り添い方などを学んだ。
本年度初の取り組み。子育て世代の労働時間や労働形態が多様化する中、子どもの送迎や残業時の預かりなど、既存の保育所・保育園での一時預かりサービスでは対応できない保育ニーズに応えることが目的で、町民からの要望があって実現した。基本的な知識・技術を習得した保育サービスの提供者を養成するとともに、母親同士の自助グループづくりを促す狙いもある。
講師は町の保育士や救急救命士、管理栄養士、かづこ助産院の本舘千子(もとだて・かづこ)院長、NPO法人Com子育て環境デザインルームの松本千賀子理事長ら。全24時間の講習を修了すると、保育活動に際して一般財団法人女性労働協会の補償保険に加入できる。
この日は戸塚センター長が「保育の心」と題して講話。活動時の安全で快適な空間づくりや、事前打ち合わせなどでコミュニケーションを取ることの重要性を解説し、「困ったときに『助けて』と言える人がいる、わが子の成長を共に喜んでくれる人がいるというのは、親にとってとても心強いこと。皆さんの活動が、子育てに優しい町づくりにつながる。地域の良き子育てパートナーになってほしい」と呼び掛けた。
(2020年11月10日付紙面より)
商工会青年部が「屋台deランチ」開催 (紀宝町 )
紀宝町商工会青年部(玉置一貴部長)は8日、同町の鵜殿港で「屋台deランチ」を開催した。新型コロナウイルスの影響で遊び場も限定されている子どもたちに、屋台の雰囲気を味わってもらいながら、親子や友達同士に楽しみの場を提供するのが目的。青年部初の試みで、ゲーム機、米、お菓子の詰め合わせなどが景品の抽選会もあり、秋の休日は最後までにぎわった。
連絡先を記入し、検温を済ませて入場できる会場は、鵜殿ふれあい会館の裏手。焼きそば、ホットドッグ、フライドポテト、ソフトドリンクなど子どもたちに人気のメニューをそろえた屋台が並び、ほとんどが100円という安さで、売り手は青年部員が担当。屋台前に行列ができるほどの人気を集めた。コンテナを並べて設けた席も、間隔を空けてコロナの感染予防に配慮。会場のあちこちで、歓談を楽しむ様子が見られた。
2家族6人で訪れた町立井田小1年の谷口來未(くるみ)さん(6)は、この集いを母親に教えてもらったという。仲間同士でラムネやかき氷、フライドポテト、焼きそばなど囲み「どれもおいしい」と笑顔を浮かべた。母親と妹の3人で来た町立鵜殿小4年の芝鼻美唯菜(みいな)さん(9)はやや肌寒い天候にもかかわらず、フライドポテトとともにかき氷も味わって「寒くないし、大丈夫。おいしかった」と元気。2人は「楽しい」と口をそろえ、玉置部長も「遊び場所を提供したかった。うれしい」と話し、予想以上の好評さを喜んだ。
(2020年11月10日付紙面より)
秋の火災予防運動初日に (新宮市 )
秋の全国火災予防運動(9~15日)に伴い、各地の消防は9日、防火広報を実施した。新宮市消防本部(越水薫消防長)では新宮、熊野川の2地区に分かれて住民らに防火意識の高揚を呼び掛けた。今年の全国統一防火標語は「その火事を 防ぐあなたに 金メダル」。
市消防本部で行われた新宮地区の出発式には丹鶴、千穂、蓬莱、三輪崎、佐野、高田、警備の7分団から26人が参加。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年は団員数を縮小しての実施となった。竹内由定団長は「これから寒くなり火災の起こりやすい季節となる。防火広報活動をしっかりやっていただき、火災予防に役立つようにお願いします」と訓示。
出発式に駆け付けた田岡実千年市長は、団員らの日頃の尽力に感謝を述べ「空気が乾燥し火災が発生しやすいこの時季は、市民一人一人が火の用心を心掛けていただけるように広報活動を」と呼び掛けた。団員らは各分団の消防車両に乗り込み、各地区の広報に向かった。
15日(日)には新宮地区と熊野川地区の8カ所で総合訓練を実施する。
期間中の全国重点目標は▽住宅防火対策の推進▽乾燥時および強風時の火災発生防止対策の推進▽放火火災防止対策の推進▽特定防火対象物などにおける防火安全対策の徹底▽製品火災の発生防止に向けた取り組みの推進▽多数の者が集合する催しに対する火災予防指導などの徹底―の6点。
市消防本部では▽住まいの防火対策を進めよう▽延焼拡大危険性の高い地域を中心とした火災予防対策や警戒を徹底しよう▽放火されない環境づくりを進めよう▽防火管理体制の徹底を図ろう▽電気用品、燃焼機器、自動車などの適切な使用・維持管理を徹底しよう▽火気器具・危険物は正しく取り扱いましょう―の6点を重点に実施する。
市消防本部管内で今年1~10月に発生した火災は、住宅火災4件、その他火災4件の計8件で、昨年同期より4件減少した。
(2020年11月10日付紙面より)
みんなで防災意識高める (丹鶴幼で地震津波避難訓練 )
「世界津波の日」(11月5日)前日の4日と5日、県内全域で地震・津波避難訓練が実施された。国や県、市町村、教育機関、自治会などが取り組み、適切な避難の定着を図った。
「世界津波の日」は2015(平成27)年12月に国連総会で制定。1854(安政元)年11月5日に、安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際、濱口梧陵(ごりょう)が稲むらに火をつけ、津波から逃げ遅れた村人を高台へ導いて多くの人の命を救った「稲むらの火」の故事にちなんでいる。
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新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児56人)は5日、地震、津波の避難訓練を行った。園児たちは経路をたどり、落ち着いて避難した。
同園では子どもたちに防災や防犯意識を高めてもらおうと火災、地震、津波、不審者を想定した各訓練を定期的に実施している。この日は午前10時に地震発生を知らせるアナウンスが流れた。園庭で遊んでいた子どもたちはその場に座り、手で頭を覆って身を守った後、職員の指示に従って近隣にある市保健センター隣の花壇・タウンガーデンへと逃げた。
下岡園長は「今日は上手に逃げることができました」と講評。「部屋にいるときには丈夫な物の下にもぐり、外で遊んでいる場合は『ダンゴムシのポーズ』で体を守ってくださいね」と呼び掛けた。
「真剣に取り組むことが大切。そのために、しっかりと避難できるように訓練しています」と語り、「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」「泣かない」の「お・は・し・も・な」を守るよう伝えた。
訓練後にはみんなで園に戻り、遊戯室で災害にまつわる紙芝居「稲むらの火」を見た。
(2020年11月6日付紙面より)
中央公民館で防災講演会 (古座川町 )
古座川町が3日、中央公民館で津波避難総合センター完成記念防災講演会を開いた。和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センターの客員教授・後誠介さんを講師として迎え、約50人が聴講して防災意識を高めるなどした。
津波避難総合センターは下部区内で5月に完成したが、コロナ禍に伴い落成式を営めず。「何かをしたい」という思いは持ち続け、できることとしてこの講演会を思いついた。同日午後にあった同センターの内覧会と対の行事に位置づけ、町民対象で定員60人程度とするなど感染症予防対策を講じつつ参加を呼び掛けたという。
落成式だけでなく防災行事の機会もコロナ禍で減っている同町にとっては、久しぶりの意識喚起の機会。開会に当たり西前啓市町長は同センター設置の経緯を伝えつつ「(今後も町内の)防災力向上を図り、町民の皆さまが安全に安心してもらうためまい進していきたい」と意気込みを示して講師の登壇と聴講を歓迎した。
演題は「地震・津波災害に備える」。後さんは昭和19年東南海地震、昭和21年南海地震を振り返って地震や津波のイメージを組み立て、本質は地下で大きなずれが起こる点にある、と視点を誘導。紀伊半島付近の地下にある二つのプレートの固着域(破壊域)を震源とし、両プレートのずれが東に広がれば東南海、西に広がれば南海、それ以上に広がった先に国が想定する南海トラフ巨大地震があると印象づけた。
来る地震は単発か連動か巨大地震のいずれかで、マグニチュードが大きくなるほど被災地が広がり救援の手が遅れて長期(持久)戦が強いられる。その時は体力を温存しながら復興に臨む姿勢も必要になるなど規模相応に対処する発想の柔軟さを促しつつ、現在の予測状況を同町に当てはめて紹介した。
地震・津波対策の盲点として県内の耐震化や家具転倒防止の普及の鈍さを懸念し、これらは続く津波避難時に自身や助けてくれる周りの人に負担を掛けない点で大切だと推奨。まとめとして▽来る地震は3種類▽防災意識が高い地域は犠牲者が少ない▽耐震化の大切さ―を振り返って話を締めくくり、質問に答えるなどした。
(2020年11月6日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(久保敏晴校長、生徒73人)では4日、南海トラフ巨大地震を想定した防災学習と裏山への避難訓練があった。
毎年実施している取り組みで、本年度は家庭での防災意識向上にも役立ててもらおうと、プリントや無料の連絡網サービス「マチコミ」を使った情報発信にも力を入れている。
生徒たちは防災学習で「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の津波避難3原則を学習。家族分も含めた「避難カード」が配られ、分かる範囲で地震・津波時の避難場所や緊急連絡先を記入した。
1年生のクラスでは南隼太教諭が「皆さんが率先して避難することが、家族や友人など周囲の人の命を助けることにつながる。緊急時に家族の安否が確認できるよう、具体的な避難先や連絡先を家族と話し合い、一緒に『避難カード』を作成して」と呼び掛けていた。
(2020年11月6日付紙面より)
宇久井小・中・保が避難訓練
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長、児童155人)、中学校(坊信次校長、生徒62人)、保育所(山田有美所長、園児83人)は5日、合同避難訓練を実施した。
午前9時50分に地震を知らせる校内放送がかかると、児童、生徒、園児は机の下に避難。地震がやんだ後、児童・園児は救命胴衣を身に着け、生徒はヘルメットを着用して一次避難場所の中学校グラウンド(海抜約26・6㍍)に集合した。
芝﨑校長は「2011年の東日本大震災では多くの人が津波の被害に遭い、命を失った。その教訓を生かそうと今日の避難訓練がある。宇久井は海の近くなので、津波が来れば大きな被害が出る可能性がある。いざというときのため、今後もしっかりと訓練に取り組んで」と呼び掛けた。
なお、本年度は3密防止のため、二次避難場所である中学校校舎屋上への避難は実施しなかった。
(2020年11月6日付紙面より)