早船競漕の旗番抽選会 (新宮の速玉祭 )
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受けた熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭」の神事の一つ「御船祭・早船競漕(きょうそう)」(16日)の旗番抽選会が11日夜、同大社双鶴殿で行われた。出船する市内9地区の代表者らがくじを引き、早船のスタート位置が決定した。
上野宮司は「一番懸念されているのは、事故やけがのないようにということ。明日までは天気がいいようだが、その後は雨の日が続く。御輿(みこし)の担ぎ手、御船のこぎ手も事故やけがのないようにしないといけない」と注意を呼び掛け、「それぞれの責任を背中に背負い、速玉大社の金看板、地区の名誉も背負って、お祭りに奉仕を。立ち振る舞い、祭りを離れたところでも自分を律してこの祭りに臨んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします」とあいさつ。
審判委員が競漕時の注意事項の説明と当日までの日程確認などを行った後、くじを引く順番を決める予備抽選、来年から3年間使用される本番船の船番抽選、最後に旗番抽選が行われ、各地区のスタート位置が決定した。
神迎えの喜びを表す早船競漕は16日(月)午後4時30分ごろ、旧丹鶴小学校下の熊野川河原に設けられた下札場からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。昨年は阿須賀区が14分18秒のタイムで優勝した。
3年ぶりの出船となる相筋区のとも取り・平瀬公士さんは「狙い通りの旗番を引くことができた。当日は、優勝を目指して頑張りたい」と話した。
会議では、早船が下札場をスタート後、観戦者が車両で上札場方面へと移動する際は、堤防を通らず、川原を整地しているので、そこを徐行で通るようにとの通達がされ、周知の徹底が呼び掛けられた。
(2017年10月13日付紙面より)
24団体が「ふれあいネット」調印 (太地町 )
太地町社会福祉協議会(海野久夫会長)は11日、那智勝浦町市屋の旧・熊野の宿「梛(なぎ)」で小地域ネットワーク活動「ふれあいネット」事業の調印式を行った。
同事業は平成18年に発足。6団体が新たに加わり、24団体で構成される。式には20団体の代表者が出席し、三軒一高町長、海野会長、同町漁業協同組合の脊古輝人代表理事組合長が代表署名した。
同町内の団体や事業所、警察、金融機関などが日頃の活動や業務を通して高齢者を見守り、気付きを同協議会や地域包括支援センターに報告することで、異変や要援護者のニーズにいち早く気付き、対応することを目的としている。
同協議会は今年で法人化30周年を迎える。発足当時は18%だった同町の高齢化率は現在40%を超え、隣組のような従来の町の組織が担っていた高齢者の見守り機能は破綻しつつある。厚生労働省が推奨する認知症高齢者を地域で見守り、支える「地域包括ケアシステム」の構築のためにも、これまで実施要綱のみで行ってきた同事業に関し、改めて協定書を作成し調印式を行うことにした。
同協議会の海野会長は「高齢化で地域のコミュニティーが薄れ、助け合いや見守りが困難になってきた。『何かあったとき、誰かに伝えることができたらなんとかなる』と町民にも周知されれば、暮らしの安心につながる。支援と協力をお願いします」とあいさつ。岡本研事務局長からは、事業の立ち上げ経過説明と事例紹介がされた。
挙げられた事例は、漁協スーパーの店員から寄せられた「1日に何回も同じものを買いに来るようになった」などの連絡から、自宅訪問や家族との連絡を経て介護保険の適用につながった事例や、町営バスの運転手からの「乗客がいつもと違うところで降りた」という連絡から、行方不明を未然に防いだ事例など。また、デイサービスやサロンといった介護予防のための事業の充実も、町と協力しながら行うと説明し、重ねて協力を呼び掛けた。
(2017年10月13日付紙面より)
串本町田原区で本年度敬老会
串本町の田原区(西脇正吾区長)は11日、山村交流センターで敬老会を開き、会食や余興を交えて75歳以上区民の長寿を祝った。
町が各区に75歳以上町民の人口割り予算を付して委託する敬老事業の一環。手法は各区に一任していて、長寿祝い品の配布や敬老会の実施などさまざまな形で予算が活用されている。
本年度は19カ所で敬老会が計画され、田原区はその最終実施となる巡り。例年、敬老の日前後が田原地区秋季第運動会と重なるため、少し時期をずらして開いているという。
対象となる75歳以上の在宅区民は161人で、最高齢者は102歳。敬老会には最年長95歳をはじめとして47人が出席し、西脇区長は「今年も元気なお顔が見れてうれしい。いつまでも穏やかで楽しい日々を過ごされることを祈念する」、来賓として駆け付けた田嶋勝正町長は「少子高齢化と言われている。お年寄りの方が安全で安心に、楽しく暮らしていけるようまちづくりを頑張っている。区長や皆さんと協力しながら力を入れていきたい」とあいさつして出席者の長寿健勝を喜んだ。
今年も田原いきいきサロンのボランティアメンバー手作りの御膳を味わい、後半は余興を楽しんだ。出演は▽矢川尚子さん(日本舞踊)▽土井忠子さん(日本舞踊)▽哲泉流日本吟詠協会▽田原小学校全校児童▽串本マンドリンアンサンブル・マーレ▽海霧コーラス―の皆さん。田原小児童は12人一丸で校歌や歌「紅葉」など合唱、マーレは弦楽器の重奏を披露。海霧コーラスは合唱披露に加え、出席者と一体になって斉唱するなどした。
余興後は福引抽選会も実施。出席できなかった対象者には同日午前中に長寿記念品を役員らが手分けして届けた。
(2017年10月13日付紙面より)
ティム・デットマーさん講演 (新宮市 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)主催の講演会が8日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であり、市内で英会話教室を営むティム・デットマーさん(57)が「新宮生活30年を振り返って~これからの熊野~」をテーマに熊野で暮らすようになった経緯や魅力について語った。
アメリカ・ワシントン州シアトルで生まれたティムは、1984年に合気道を学ぶため来日し、新宮の熊野塾道場に入門した。初来日した時は地平線まで建物しか見えない東京の風景にとまどったが、熊野に入り、ふるさとへ帰ってきた感覚があった。初めて食べたサンマの丸干しがおいしく、一気に3本を完食。今では新宮を訪れる外国人たちの橋渡し役として活躍している。
2017年に和歌山県の「高野・熊野特区通訳案内士」資格を取得。外国人のためのガイドブック作りに協力するようになってから熊野古道に興味を持つようになり、日本人には当たり前の単語や熊野信仰を分かりやすく紹介している。古道を歩く外国人ライターが自信を持って世界に発信できるよう、外国語看板の充実を訴えた。
熊野信仰を学ぶ中で、合気道の引土道雄先生の言葉「熊野では技ばかりではなく、合気道の心を持って帰ってほしい」の意味が分かり、「合気道は熊野信仰の結晶」と考えるようになった。
来日当初は「日本でもアメリカでも外国人」と居心地が悪かったが、新宮生活7年で、二つの文化に対応できるようになった。文化の違う国での暮らしは人間の成長を促すと、現在は若者たちのホームステイも支援している。
(2017年10月11日付紙面より)
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)の例大祭が7日に宵宮、8日に本宮の日程で営まれた。宵宮では、顔に化粧した若者らが大小の樽を担ぐ「樽神輿(たるみこし)」が町内を威勢良く練り歩いた。
樽神輿は、江戸時代初期に新宮市の阿須賀神社から分霊を受け、樽に入れて運んだ故事に由来する。年ごとに寄水方面、東新方面に渡御する習わしがあり、今年は東新方面へ向かった。
宵宮は午後7時30分から始まり、太地水産協同組合で神事を営んだ後、参列者の行列が出発した。これに小樽神輿、大樽神輿の順で続き、寄水青年同志会と東新青年同志会の会員らが道中の店舗で商売繁盛を願って神輿を担ぎ上げた。海中みそぎでは樽神輿とともに若者が次々と太地湾に飛び込んだ。
本宮では、午前9時から氏子代表の供進使を先頭に、祭員らの列が町内を巡った。行列が神社に到着した後、神事を営み、両青年同志会が獅子舞を奉納した。
正午には道の駅たいじで屋固めが行われ、寄水青年同志会が来町者らに獅子舞の全芸を披露した。
(2017年10月11日付紙面より)
樫野雷公神社例祭宵宮 (串本町 )
串本町樫野にある雷公神社(深美芳治宮司)の例祭が8日に宵宮、9日に本祭を迎えた。宵宮は樫野祭典部(池本寿祭典委員長)による獅子舞奉納や伝統の参拝「走り参り」といった幻想的な奉仕が重ねられた。
この神社は、古く須江に鎮座していた神体が荒天で樫野の集落下にある雷公の浜に流れ着き、やや高台になる現在の場所に祭られたことに由来する。「走り参り」は、神体の漂着に気づいた寺の住職がたいまつを掲げて迎えた故事にちなむ慣習で、現在は樫野祭典部や応援参加している航空自衛隊串本分屯基地の若手らが参拝者となり伝統を守っている。
宵宮は午後7時に宵宮祭があり、同部は獅子舞を奉納。幣の舞、乱獅子、剣の舞、幣の舞の四つを納め、「走り参り」に備えて宿へ戻った。近年は午後9時に迎え火役が宮を出る流れが定着していて、今年は岩谷翔馬君(17)が長さ約4㍍の裂いたタケ十数本を束ねたたいまつの先に神火をいただいて出御した。
その先で同様のたいまつに分け火をいただいた参加者約30人は、小走りで火を振りかざし「参るぞ」と声を上げて宮登りし、深美宮司の祈とうや神酒の授与を受け本殿、八幡神社、蛭子神社を参拝。再びたいまつを持ち「参ったぞ」と声を上げて集落へ戻った。参拝後のたいまつは火災守護の利益があるとされ、後に束をほどいて希望者に小分けするという。
翌9日午前は大前の儀や獅子舞奉納などがあり、同部は正午ごろに集会所で餅まきもして祝うなどした。「とても緊張しているけど、ケガなく務めたい」と意気込んで出御した岩谷君はたいまつを使い切って大役を全う。池本祭典委員長は「秋祭りなのでまずは果物などの豊作を願う」など地場産業の隆盛を願って奉仕を積み重ねた。
(2017年10月11日付紙面より)
那智勝浦町総体バド大会
東牟婁地方中体連サッカー新人大会