今、東京都品川区で、オーガニック給食が導入されるということについて、私の周りではさまざまな意見が飛び交っております。給食は、子育てしている親にとって、とてもありがたい存在ではありますが、果たしてオーガニック給食が本当にいいのか、という疑問はありますよね。意見は真っ二つに分かれています。「オーガニックの食材の給食で、子どもの健康を配慮してくれてありがたい」と言う意見と、「オーガニックで割高になって量が減ったり、給食費が上がったりするのではないか」などという意見です。私は、公立小学校がオーガニック給食を導入することで、やみくもに、「オーガニック=体に良い正しい食事」というイメージがさらに広がってしまうのではないか、と考えています。
日本の慣行農業で使われている農薬や化学肥料は、安全性を確保するための厳格な基準があります。多くの動物実験の結果、無毒量を検出し、さらにその無毒量の100分の1を一日摂取許容量としています。これは、食品添加物や薬も同じです。また、農薬そのものの安全性も飛躍的に向上しています。毒性はかなり低くなり、その土壌中の分解スピードもかなり速くなっています。そして、もちろん野菜そのものに含まれる残留量も厳しい基準が設けられています。何度もこの連載に書いていますが、全ての毒性は、量で決まるのです。この基準値が守られている限り、農薬を使った野菜が危険だとか、発がん性があるとか、そういった心配はありません。
一方、オーガニック食材は、世界中で支持されています。今は、一般的なスーパーでも、オーガニックコーナーがあったり、とても身近なものになってきていますよね。皆さんのオーガニックのイメージはどんなものでしょうか? 安全性が高く、栄養価が高くて、味が濃くておいしい、高価な野菜といった感じでしょうか? 実はそのイメージを裏付ける科学的根拠はほとんどないんです。栄養価にも全く差がありません。また、植物は自分の身を守るために、虫や病気・他の動物に食べられないようにする有害な化学物質を作ることもあります。自然界にも毒は存在するということです。ジャガイモの芽などもその例の一つです。つまり、自然のもの=安全というわけではありません。有機栽培で作られたものはとても高価ですし、育てるのにも手間がかかります。スリランカでは、「世界初の100%有機農業国」を目指したところ、農作物の収穫量が激減し、インフレと暴動が起こったことがあるほどです。
私はオーガニック給食が導入されることには反対です。「なんとなく、体に良さそう」というイメージをまん延させるだけではないかと思います。オーガニック給食に予算を使うなら、子どもたちに今の日本の食を取り巻く正しい情報を、教えてあげてほしいですし、それこそが小学校がやるべき食育ではないかと思っています。
(2025年2月15日付紙面より)