2024年11月16日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第77回】料理は脳を強くする!

 料理には、たくさんのタスクが含まれます。献立を考えて、買い物に行き、必要な材料をそろえて、洗って、調理。調理もさまざまな手順を考えますよね。お湯を沸かしてる間にあれを切ろうとか、お米を浸水している間に、あれを下ゆでしようとか。そういった手順を経て、盛り付けます。こういった、同時並行で、複数の作業を行うことをデュアルタスクと言います。このデュアルタスクが、脳にはとてもいいのです。

 これまでに、こういった料理と脳の関係は、さまざまな機関が研究していますが、そのどれもが、料理をすることによって、脳の前頭連合野を刺激したという結果が出ています。この前頭連合野は、「心の黒板」とも呼ばれている場所で、脳のあちこちに散らばる情報を組み合わせたり、バラバラにして「どうするか」を検討する場所といわれています。自分の意思でプランを立てて、成功するために働き、反省もするわけです。思考や創造性を担う脳の最高中枢ともいわれています。

 高齢者の方にとっては、脳トレ、認知症予防などに効果的です。特にお勧めしたいのが、「新しい料理に挑戦すること」です。当たり前のことに聞こえますが、勝手知ったる「いつもの定番料理」よりは、作ったことがない料理に挑戦したときの方が、脳の前頭連合野は活性化します。テレビや雑誌で見たレシピでもいいですし、ネットで見つけたレシピでもいいので、定期的に初めての料理に挑戦してみてください。難しい料理や工程が多い料理に挑戦すると、作った後に感じられる「達成感」や「人を喜ばせることのうれしさ」といった気持ちもまた、脳に良いといわれているんです。

 そして、これは、調理を手伝った子どもにも同じ作用があります。大阪ガスと東北大学が行った実験では、ホットケーキを焼く、盛り付ける、などの簡単な調理を手伝った子どもの脳活動を調べています。その結果「全ての被験者において『ガスこんろでパンケーキを焼く』『パンケーキを盛り付ける』の各調理タスクにおいて、左右の大脳半球の前頭連合野、特に背外側前頭前野の活性化が確認された」(日本調理科学会誌2014「脳科学的アプローチによる調理をすることの効果に関する研究」より)とあります。料理は、高齢者から子どもまで幅広い人の脳を活性化させるということです。

 今は、デリバリーも豊富で、中食などのクオリティーも上がり、家で作る必要がないと思われる人も多いと思います。確かに、毎日義務的に料理をするとなるととても大変です。でも、料理をすることで、子どもの脳は育てられ、大人の脳は鍛えられます。少し時間があるときは、ぜひ料理をしてみてください。そして、簡単な工程だけでもいいので、お子さんに手伝ってもらってはいかがでしょうか?

(2024年11月16日付紙面より)