2024年08月17日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第74回】フードマイレージ

 毎日暑い日が続きますね。夏は年々気温が高い日が増えているような気がします。今回は、そんな温暖化にも関わる食育のお話をしようと思います。

 皆さんは「フードマイレージ」という言葉をご存じでしょうか?「フードマイレージ」とは「food(食べ物)」と車や飛行機などの輸送距離を表す「Milage(マイレージ)」を合わせた造語です。フードマイレージはどれくらいの食べ物がどれくらいの距離運ばれてきたか、を数値化したものです。計算方法は結構シンプルです。

 「食料の総輸送量(t)」×「輸送距離(㎞)」=フードマイレージ(t・㎞)となります。例えば、10tのトウモロコシを、100㎞輸送した場合は、フードマイレージは、10t×100㎞で1000t・㎞となります。日本は島国なので、輸入食材に頼ってしまうと、そのフードマイレージはかなり高い値になってしまいます。現在の日本のフードマイレージは、9002億t・㎞といわれています。この値は世界トップクラスなんです。これは、韓国やアメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍と際立って大きい数字になっています。品目別に見ると、飼料穀物(トウモロコシなど)と油糧種子(大豆・菜種など)がその大部分を占めています。

 フードマイレージが高いと、何が問題か、それは環境への影響です。フードマイレージが高いということは、それだけたくさんの食料を長い距離、飛行機や船・トラックなどで輸送しているということですから、CO2の排出量が上がり、環境への負荷も上がっているというわけです。このフードマイレージに、輸出手段ごとの二酸化炭素排出係数をかけると、輸入食材が日本の港に到着するまでに排出される二酸化炭素の量は、1700万tと試算されるそうです。

 では、このフードマイレージを減らすために、私たちにできる取り組みはなんでしょうか。その一番身近な解決方法は、ズバリ地産地消です! 地元で取れた魚やお肉・野菜を、地元で消費することこそ、フードマイレージを最も低くすることができるわけです。しかも新鮮で、旬なものが多く、栄養価も高くなるので、いいことずくめですよね。紀南地方は、お魚も新鮮なものも多いですし、果物や野菜もたくさん取れるので、地産地消にはあまり困らないのではないでしょうか? それ以外にも、スーパーなどで食材を選ぶ際に、国産のものを選ぶというのも、お勧めです。この夏休み、ぜひお子さんとお買い物に行った時などに、一緒に地域のものや国産のものを探してみてください。そして、フードマイレージの話もしてみてほしいと思います。一人一人の心がけが、地球の環境全体につながるということが、よく分かると思います。食と環境問題につながりがあるということを、少しでも伝えられたら、うれしいです。

(2024年8月17日付紙面より)