2024年06月15日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第73回】食育と環境問題

 皆さんは、「フードロス」という言葉をご存じですか? 本来食べられるのに、ごみとして捨てられる食品のことです。日本のフードロスは年間約523万㌧。これは大きく二つに分けることができます。まず一つは、各家庭での料理の食べ残しや、使わずに捨ててしまう食品など、家から出る「家庭系フードロス」。そしてもう一つは、スーパーやコンビニ、飲食店などで出る「事業系フードロス」です。523万㌧のフードロスのうち、約47%に当たる244万㌧が家庭系フードロスなんだそうです。これは世界中で飢餓に苦しむ人への世界の食糧支援量の1・2倍に当たるといいます。つまり、日本だけで、世界の飢餓を救うことができる量の食糧を廃棄しているということです。さらに、このフードロスを国民1人当たりに換算すると、全国民がお茶わん1杯分の食べ物を毎日捨てていることになるそうです。そう考えると、とてももったいないですよね。食べ物を無駄にするのはもちろん、フードロスは環境にも影響します。

 UNEP Food Waste Index Report 2021によると、世界の温室効果ガス排出量のうち8~10%が、食べ物の運搬や焼却など食品ロスに関連のあるものから発生していると推定されています。食べ物などの生ごみは、可燃ごみとして焼却されますが、生ごみは約80%が水分であるため燃えにくく、多くの二酸化炭素を排出することになります。さらに、これは何も焼却時だけではありません。運搬にも二酸化炭素を排出しますし、廃棄食品を埋め立てても、メタンガスが発生し、地球温暖化に影響するのです。

 では、家庭でできる対策は何なのでしょうか。消費者庁によると、2020年における家庭系フードロスのうち、直接廃棄の割合は最も多い約44%でした。つまり未開封で手付かずの食品が、食べられることなく捨てられているということです。これは簡単に防げますね。冷蔵庫など家にある食品の量を把握して、必要な分だけ購入し、使い切ることを心がけましょう。使用期限が近い食材や、調味料は早めに使うなどの心がけでOKです。

 次に多い、家庭系フードロスは料理の食べ残しです。約42%と、直接廃棄と変わらない割合になっています。家庭で料理をする際は、「食べきれる量」を意識しましょう。余ったら翌日に持ち越すなど、ごみにしないことを心がけます。また、外食時も食べられる量だけ注文することもポイントです。

 他にも、野菜の皮を薄くむく、などごみを減らすポイントはたくさんあります。レンコンや山芋など、火を通せば皮を食べられる野菜もあります。

 フードロス、分かっているようで知らなかったことたくさんありますよね。食と環境問題はとても密接につながっています。一人一人の小さな心がけから、改善につながるので、ぜひお子さんとも、フードロスについて話してみてください。

 次回は、フードロス以外の食育と環境のお話をお届けしたいと思います。

(2024年6月15日付紙面より)