5月に入り、夏がどんどん近づいてきているのが分かりますね。わが家は娘が中学に入り、毎日がお弁当となったことで、バタバタの日々が続いています。そんな中、先日同じ番組のスタッフからこんな相談を受けました。「子どもが家では白米しか食べないんですよ。保育園での給食は食べてるのに。どうしたらいいですか?」というお話でした。これ、ものすごくよく聞くお話です。おそらく、この記事をご覧いただいている方のお子さまにも、「給食では食べるけど、家では食べない」という子がいるのではないでしょうか? そこで今回は、そんなお子さんへの対処法を三つお伝えしようと思います。
まず一つ目は、「一緒に作ること」です。これはこれまでも何度か触れてきたことですが、子どもは自分が作ったものは食べてくれる傾向があります。包丁を使わなくても、レタスをちぎる、食材と調味料をあえるなど、子どもにもできることは、どんどんやらせてあげてください。そして、ポイントは「できたことを褒めること」と「楽しく自由に作らせること」です。作る過程で、楽しくできた!と思ってもらえるだけでも、立派な食育ですし、結果食べなくても、必ずプラスになります。
二つ目は、子どもが苦手な食べ物を「親がおいしそうに食べる」です。給食で、あまり気が進まない食材でも食べることができる理由のうち、最も大きいものは、「みんなが食べているから」だったりします。子どもは、食事の雰囲気をとても敏感に察知しているんです。みんながおいしそうに食べていると、それにつられて自分も食べる。みんなが食べて褒められたりしていると、自分も食べる。この作用はとても大きいのです。なので、おうちでも、会話をしながら楽しそうに、そしておいしそうに親が食べて見せることは、とても重要です。すぐに効果が現れなくても、その姿勢を見せ続けることで、偏食を克服するハードルはグッと低くなります。
三つ目は、「給食のように盛り付ける」です。これはお弁当箱に詰める、やワンプレートに盛るなどでもオッケー。子どもたちにとって、視覚はとても大切です。大皿から取り分けられるより、自分の量が把握できたり、「これくらいなら食べられるかも」と思わせることで、食べることができる可能性があります。一度トライしてみてください。
今回ご紹介した三つの対処法には、共通する守ってほしいポイントがあります。それは、すぐに効果が出なくても、焦って叱ったりしないということです。偏食で大切なのは「叱らないこと」。これは多くの論文に記されています。偏食は年齢とともに改善されることが多く、特に心配することはありません。給食をきちんと食べられているなら、なおさら問題ありません。ただ、食べることの楽しさや、食材のおいしさを伝えるために、この三つの対処法を試してみてください。
(2024年5月18日付紙面より)