先日、福岡県の小学校で、1年生児童が、給食の「ウズラの卵」を喉に詰まらせて亡くなる事故がありました。これには、「給食の時間が短い」とか「急いで食べるからだ」という意見が見られました。ウズラの卵の使用を控えるという動きが相次ぎましたが、それでは根本的な解決にはならないなと感じています。「ウズラの卵」であっても、昔あった「こんにゃくゼリー」であっても、お正月のお餅でも、噛(か)まずに飲み込もうとすると、窒息する可能性がある食材は、たくさんあります。大切なのは、リスクのある食材を排除することではなく、喉に詰まらせない食べ方を、きちんと教える食育だと思うのです。そこで、今回はこういった痛ましい事故が起きないように、気を付けたいポイントを三つお伝えしようと思います。
まず一つ目、この問題で1番大切なのは「咀嚼」だと私は感じています。「よく噛んで食べることの大切さ」を、しつこく教えてあげてください。以前、こちらでも「噛むことの大切さ」についてお伝えしたことがありますが、「よく噛む」ということは、食育上メリットしかありません。子どもに限らず、大人にとっても、よく噛んで食べることは良いことしかないのです。簡単におさらいすると、「肥満予防・味覚の発達・言葉の発音・歯が強くなる・脳の発達・がんの予防・胃腸の健康・顎の筋肉の強化」などなど、他にもたくさんあるんです! まずは1口30回を意識して、よく噛むことを習慣付けてあげてください。
二つ目のポイントは「食事中に、きちんと水分を取ること」です。これは当たり前だと思われるかもしれませんが、意外と食事中に水分を取らないお子さんは多いんです。食事中に飲むための、お茶やお水を、食事の最初や最後に一気に取るという子もたくさんいます。食事の時間に、そういうことに気付いたら水分を取るように促してあげてください。喉が潤っていると、食べ物が喉に詰まるというリスクはグッと低くなるはずです。そしてこの水分補給は、まさに習慣なのです。その癖を付けておいてあげることは、とても大切です。
三つ目は姿勢を良くして食べる、ということです。椅子に座って背筋を伸ばすと、食べ物を飲み込みやすい姿勢になります。これは食べる時のマナーでもありますが、やはり姿勢が悪く猫背になると、喉に詰まりやすくなってしまうのです。食べる時に姿勢を正すということは、見た目の美しさや、マナーだけではなく、とても理にかなっているんですね。
いかがでしたでしょうか? どれも当たり前のことですが、日々の中でついつい忘れてしまいがちなことですよね。この「ウズラの卵」の事故を受けて、いま一度食事の習慣を、見直してみてはいかがでしょうか? 食べることは、生きることです。食べることで、命を落とすようなことがないように、しっかりと習慣にしておきたいなと思いました。
(2024年3月16日付紙面より)