2024年01月31日
県内初、弾道ミサイル想定し
那智中学校で避難訓練
那智勝浦町
机の下で身を守る行動を取る生徒=29日、那智勝浦町立那智中学校

 内閣官房、総務省消防庁、和歌山県、那智勝浦町は29日、町立那智中学校(寺地琢也校長)で弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施した。国と共同の訓練は県内で初。生徒149人が、有事の際に身を守る基礎知識を学んだ。

 日本では2004年に「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)」が成立。弾道ミサイルを想定した訓練は17年3月以降全国で実施されている。

 事前に役場防災対策室の柴田通仁さんが講話。「弾道ミサイルは離れた目標を攻撃するもので、核・生物・科学兵器といった大量破壊兵器と組み合わせて使用されると重大な被害をもたらす」と危険性を訴えた。自衛隊は24時間切れ目なく日本周辺を警戒監視しているとし「ミサイルが発射された場合は人工衛星やレーダーで発見・着弾地点予測を行い、国民に全国瞬時警報システム(Jアラート)で避難を呼びかける。防衛大臣の命令によって現場指揮官が迎撃する」と説明した。

 「弾道ミサイルが落下した場合、激しい爆風や破片飛散で負傷する可能性がある」とし、Jアラートが聞こえた場合は▽建物の中や地下に逃げる▽窓の近くから離れる▽物の陰に隠れ、地面に伏せて身を守る―の三つを呼びかけた。

 各教室で行われた訓練では、Jアラートを聞いた生徒たちが素早くカーテンを閉め、教室中央に机を集めてその下にしゃがみ込んだ。消防庁職員らが「しっかり目を閉じて」「鼓膜が破れないよう耳をふさいで」と指導した。

 石井沙耶佳さん(3年)は「弾道ミサイルにどういう対処すればいいのか分かり、いざというときに行動できるようにしたい」。堀云颯さん(同)は「今日学んだことを、家族や周りの人にも伝えたい」と語った。

 堀順一郎町長は「決して町に弾道ミサイルが飛んできてほしくはないが、世界中の至る所で紛争が起きている。皆さんが将来社会に出て日本全国、世界各国で活躍するとき、今日の訓練が役に立てば」。和歌山県総務部危機管理局の中村吉良局長、内閣官房副長官補の野中健太郎参事官補佐による講評もあった。

(2024年1月31日付紙面より)

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机の下で身を守る行動を取る生徒=29日、那智勝浦町立那智中学校
弾道ミサイルについての講話