師走がやってきました。今年も残すところ、あとわずかですね。仕事も年末モードに入り、バタバタと忙しい方も多いと思います。私も、今年は今まで以上に仕事が忙しく、目が回るような日々を送っています。そんな忙しい時に何を…と思われるかもしれませんが、今回はお菓子作りで食育をしませんか?というお話です。
ご飯を作るだけでも、大変なのに…と思われる方もいらっしゃると思いますが、実はお菓子作りは子どもにとって、とてもいい影響があるんです。小学4年生の子どもを対象に、手作りでおやつを作ってもらい、その時の脳活動を調べた研究があります。その時、全ての子どもの前頭前野における脳活動は活発になったそうです。(平成27年度大会 日本調理科学会)つまり、お菓子作りは子どもの脳に良いということですね。また、これは何も、子どもに限った話ではありません。大人にも、とてもいい影響があるのです。
「ストレスベイキング」という言葉を知っていますか? コロナ禍で話題になったキーワードですが、パンやお菓子を作ることには、作る人のストレスや不安を軽減させる効果があるんです。では、お菓子作りの何がいいのか、なぜご飯では駄目なのでしょうか? お菓子作りと料理の一番の違いは、正確な計量です。料理は何となくの目分量や、感覚で作り、味見をして調整することができますが、お菓子作りではなかなかできませんよね。でもこの、レシピ通りにきちんと進めていくという工程も、ストレスの軽減にはとてもいいそうです。そして、お菓子作りの工程には、ルーティンがあります。混ぜる・こねる・丸めるなど、同じ作業を繰り返すことが多いですよね。この「繰り返し」にもセラピー効果があるといわれています。さらに、作る工程で漂う、甘い香りがまた幸福感を高めてくれるそうです。単調な作業を親子で一緒に行えば、会話も生まれます。お菓子作りを始めてから、子どもの集中力や思考力が高まったという方もいらっしゃいます。
子どもとお菓子作りをするときに、一つだけ意識してほしいことがあります。それは子どもに「自由にするところ」をつくってあげてほしいのです。先ほど紹介した研究ではグミを作ったのですが、自由度の高い場合の方が脳が活発に活動したという結果になっています。色を付けたり、デコレーションしたり、形を好きに作ったり、お菓子作りはお料理よりいろいろ自由にできるところが多いですよね? ぜひ子どもの創造力に任せてあげてください。
今年のクリスマスイブは日曜日! 今はホットケーキミックスを使ったレシピなど、簡単なものがインターネット上にたくさんあります。脳にも、ストレスにもいいお菓子作り! 休日や年末年始の時間を利用して、お菓子作りをしてみてはいかがでしょうか?
(2023年12月16日付紙面より)