那智勝浦町立下里小学校(堺高行校長)で1日、トイレや洗面台などの衛生陶器を手がける大手メーカー・TOTO株式会社(本社=福岡県)による遠隔出張授業があった。5、6年生31人が、地域に合わせた未来のパブリックトイレについてアイデアを発表し、社員らと交流した。
静岡大学発のベンチャー企業・一般社団法人「プロフェッショナルをすべての学校に」の事業。情報通信技術(ICT)を活用し、中山間地域や離島に暮らす子どもたちに多様な価値観や職業観に触れる機会を提供することで教育格差の縮小を目指している。
児童は事前に福祉の視点を取り入れたトイレの形について学び、地域に合った新しいパブリックトイレを考える課題に取り組んできた。授業では東京汐留事業所と中継をつなぎ、児童が6班に分かれてアイデアを発表。「点字ブロックを設置する」「掃除しやすいように便器が浮いている形にして、お掃除ロボを置く」「消臭と環境のために壁を木で作る」「津波が来たときのためにライフジャケットを置いておく」「地震や津波から避難してきた人が使えるように山の上に頑丈に作る」「赤ちゃんを連れた人が使いやすいよう遊べるスペースがある」「足の不自由な人を介助する人型ロボットがいる」などさまざまな意見が飛び出し、社員らを驚かせた。
TOTO社員は「実際に床から浮いたトイレが商品化されている」「地震や津波防災の視点が斬新」「木材資源が豊富な地域ならではの意見」と感想を述べた。会社紹介では、TOTOの歴史や社員の勤務時間などを説明。世界に3万6188人、日本に1万8087人の社員がいると話すと、児童から驚きの声が上がった。
樋口佳彦君(6年)は「トイレは臭いイメージがあったから、1時間に1回天上から消臭液が降ってくるというアイデアを出した。東京には色んなデザインのトイレがあることが分かって、行ってみたくなった」と話していた。
(2023年12月7日付紙面より)
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