台湾人観光客受け入れに際する知識などを学んだ=8月30日、新宮市の「丹鶴ホール」
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で8月30日、「効率的な台湾向けインバウンドセミナー」があった。市内の事業者ら約20人が参加。㈱ジーリーメディアグループ営業部長の萬歳昂大さんが講師を務め、台湾人観光客受け入れに向けた知識や心構えなどを語った。
外国人観光客の受け入れ態勢強化を目的とした新宮市が主催するセミナーで令和5年度観光振興誘客促進事業の一環として実施。
開催に当たり、福本良英・企画政策部長が「市においては本年度、インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業に採択いただき、その事業として台湾のプロモーションにも力を入れている。来年の世界遺産登録20周年、その翌年の大阪関西万博と、インバウンド観光客がますます増えることが見込まれる中、台湾からの観光客に関するデータや特徴などさまざまな知識を深めていただければ」と呼びかけた。
萬歳さんはジーリーメディアグループ「樂吃購(ラーチーゴー)! 日本」の営業責任者であり、観光庁「広域周遊観光促進のための専門家派遣事業」登録専門家(2019年~)。全国の自治体の台湾・香港プロモーションを手がけている。
今年7月の訪日外国人数を示した萬歳さんは「感覚としてはコロナ前に戻っている」。国別比率から訪日旅行における得意先は中国・韓国・台湾・香港であるとし、東アジアが全体の過半を占めていると説明した。
台湾を特に訪日旅行成熟エリアであるとし、リピーター比率が高いことから地方への興味も高いと指摘。地方に行くほど台湾人比率が高く、和歌山県も人気エリアであると述べた。
台湾人の情報収集ツールとしては交流サイト(SNS)では「フェイスブック」、ウェブでは「グーグル」が一般的であり、ウェブメディアが主流であると紹介。人気のコンテンツとして自然とグルメを挙げた。
台湾独自の文化「素食」(ベジタリアン系料理の一つ)に触れ「素食のワードがあれば台湾人は親近感を覚える」。レンタカー利用意向が高いことや、旅行に向け時間をかけて準備する人が多いことから「祭りやイベントなど、逆算してPRを」と提言した。
台湾人が魅力を感じるキーワードとして「特別」「限定」「(写真)映え」「日本人が好き」などを挙げ「いかに差別化を図るかが誘客につながる。県やブロックを意識して」。
「デジタル上で存在していないのは『ない』も同然」と述べ、今すぐ無料でできることとして▽情報の現状把握▽口コミを集める▽関係各所(店舗・商店街・観光協会・市町村・都道府県・観光庁)を使い倒す―を挙げた。
(2023年9月1日付紙面より)
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台湾人観光客受け入れに際する知識などを学んだ=8月30日、新宮市の「丹鶴ホール」
萬歳昂大さん