2023年07月15日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第63回】熱中症に強くなる食事

 本格的な夏がやってきました。暑すぎて、外に出ると日差しが痛いくらいですね。毎年のことではありますが、暑くなると熱中症が気になります。特にお子さまがいらっしゃる方や高齢者は気を付けなければなりません。6月から9月に熱中症で救急搬送される方は、2010年以降急増し、今では年間6万人以上となっています。

 暑くなるとついつい、喉越しのいい麺類や、冷たい飲み物、アイスクリームやかき氷などのデザートを口にしてしまいがちですが、これらは糖質に偏ってしまうので、注意が必要です。糖質の代謝にはビタミンB1が欠かせないので、一緒にビタミンB1を取らないと、糖質がエネルギーにならず、かえって夏バテしやすくなってしまいます。では、ビタミンB1はどんなものに多いのでしょうか。豚肉・赤身肉・ナッツ・大豆・玄米などです。そして、このビタミンB1はニンニクや玉ネギ・ニラなどに含まれるアリシンと一緒に取ると、さらに吸収力が高まります。例えば、そうめんやうどんといった冷たい麺を食べるとき、豚と玉ネギを炒めたものをトッピングするなど、ビタミンB1とアリシンを一緒に食べるようにしてみてください。

 熱中症予防として最も大切なのは、水分をこまめにたくさん摂取することです。夏の1日に必要な水分は、体重×30㍉㍑といわれています。つまり体重60㌔であれば、1800㍉㍑の水分を取る必要があるのです。でも、水分を補うだけでは足りなくなるものもあります。それが、汗をかくと排せつされてしまう、ナトリウムとカリウムです。ナトリウムは、いわゆる塩ですね。ただ、これは今までもお伝えしてきた通り、取り過ぎている人がほとんどです。なのでこれまでの食生活にさらにプラス…という必要はありません。カリウムは野菜や果物、海藻、豆類、芋類などに含まれます。例えば、いつものおみそ汁に、わかめや豆腐、野菜・芋類を入れることを意識してみてはいかがでしょうか? それだけで、汗で排出したナトリウムとカリウムを一緒に取ることができます。

 今回は熱中症に強くなる食事のお話をしましたが、何より大切なのは涼しい所で過ごすように心がけることです。無理せず空調を活用し、外出時には帽子や日傘を利用する。今は熱中症を防ぐグッズもたくさん販売されているので、体を冷やすグッズなどを活用するのもいいと思います。そして、朝ご飯をしっかり食べて、十分な睡眠をとること。まだまだ続きそうな暑い夏、熱中症にならないように、しっかり食べて、しっかり寝て、元気に夏を乗り切りましょう!

(2023年7月15日付紙面より)