2023年06月17日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第62回】梅干しはスーパーフード

 梅雨の時期に入り、ジメジメ・蒸し蒸しした日が続きますね。この時期はおかずを作り置きするにも、傷みやすく、なんだか料理をする意欲もなくなってしまう気がします。今日は、この時期にぴったりな、梅干しのお話をお伝えしようと思います。紀州の皆さんにとっては、食卓には欠かせない梅干しだと思いますが、この梅干しにはすごい健康パワーがあるんです。

 まずお伝えしたいのは、言わずと知れた食中毒予防効果です。よくお弁当に入れる梅干しですが、これもお弁当が傷むのを防いでくれます。これと同じように、梅干しには食中毒菌の「黄色ブドウ球菌(MRSA)」や「病原性大腸菌(O―157)」などの増殖を防ぐ効果も立証されています。なんとなく、胃腸の調子が悪いときなどは、梅干しを食べることで食中毒を防ぐ効果が得られます。お弁当には、日の丸弁当といわれるように、ご飯の真ん中に梅干しを置くよりも、たたいた梅肉をご飯に混ぜ込む方が、殺菌効果が高いので、ぜひ試してみてください。梅干しにはクエン酸とリンゴ酸という、アミノ酸が豊富に含まれています。これは、筋肉にたまった乳酸を分解する役割をしてくれるので、梅干しは疲労回復にも一役買ってくれるというわけです。

 そして、今回私の一押しは「梅干しを加熱して食べる」ということです。加熱することで、梅干しはさらに多くの健康効果を生み出してくれます。まず、加熱すると、「ムメフラール」という成分が生じます。これは血液をサラサラにして、血行を促進し、高血圧などの生活習慣病や冷え性の改善に効果があると分かっています。それだけではありません。梅干しは加熱すると、「バニリン」という成分の効果が高まるといわれています。この「バニリン」は脂肪燃焼効果があるのです。また、先ほどお伝えした「クエン酸」にも代謝促進効果があるので、ダブルで肥満対策に役立ちます。加熱するというと、思いつくのは煮物に入れた梅煮などでしょうか? スープに入れたり、炒め物の調味料に加えたり、梅照り焼きにするのもお勧めです。梅は、たたいて梅肉にすることで、簡単に液体に混ぜることもできるので、調理の幅は広いですよね。

 ただ、料理に加えるとき、必ず気を付けてほしいことがあります。それは「塩分」です。梅干しは塩分が高いので、健康にいいからとそのまま食べてしまうと、すぐに塩分過多になってしまうのです。調味料に加えるときは、しょうゆや塩など他の塩分を減らすなど、必ず調整してください。塩の代わりに使うくらいの気持ちでちょうどいいかもしれません。

 今は、減塩の梅干しなどもたくさん売られています。これからの季節、日本古来のスーパーフード「梅干し」をうまく使って、暑い夏を乗り切りましょう! 皆さんの周りには、おいしい紀州の梅干しがたくさんあると思います。ぜひ意識してみてください。

(2023年6月17日付紙面より)