2022年07月23日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第51回】みそ汁パワーで夏を乗り切れ

 梅雨も明けて、いよいよ夏がやってきました。子どもが夏休みに入ったり、何かと忙しくなるご家庭も多いのではないでしょうか?

 先日、面白い記事を読みました。島根県立益田高校のサッカー部が、「みそ汁プロジェクト」なるものを始めたという記事です。サッカーの練習後に、みんなで1杯のみそ汁を飲むというのを続けることで、腸内環境の改善を検証するというものです。1カ月後、部員の腸年齢は、全体の平均で1・16歳若くなったそうです。試合中、足をつる選手がいなくなったという話もあります。これら全てがみそ汁の効果か、というとそれは分かりませんが、みそ汁が健康にいいのは確かです。

 最近「腸活」というキーワードをよく耳にするようになりました。腸は第二の脳といわれるとも言いますね。腸内環境が良ければ、免疫力も高く、体の調子が良くなるというものです。腸活の基本は、「プロバイオティクス」という腸に有益な菌を摂取すること。つまり善玉菌と呼ばれるものです。皆さんご存じの乳酸菌やビフィズス菌です。食品ではヨーグルトやみそ、キムチ、納豆などがそれに当たります。そしてこの「プロバイオティクス」を働かせるためには、「プレバイオティクス」という善玉菌の餌も一緒に摂取する必要があるのです。「プレバイオティクス」とは、食物繊維やオリゴ糖を含む食品のこと。野菜や果物、豆類、きのこ類などがこれに挙げられます。

 もうお分かりでしょうか? みそ汁にはこの両方が含まれているのです。つまり腸にいい要素が一気に取れる料理ということになりますね。

 みそ汁は、一時期塩分過多だと敬遠されていた時期もありますが、今その健康効果が再び注目を集めています。厚生労働省の研究によると、みそ汁をたくさん飲んでいる人ほど乳がんの発生率が低いそうです。乳がんの発生率は「みそ汁1日1杯以下」の人よりも、「1日2杯」の人で26%、「1日3杯以上」の人で40%も減少しているという結果でした。胃がんの死亡率も、毎日みそ汁を飲む人と全く飲まない人では48%違うという研究結果もあります。さらに老化防止や血圧低下・睡眠の質向上など、さまざまな健康効果が発表されているのです。そして、みそにはナトリウムイオンが豊富に含まれているので、熱中症予防にも効果があります。

 みそ汁は、冷蔵庫で半端に余ったお肉や野菜を入れられるので、私はよく作ります。毎日食卓に出していると、ないとき娘に「あれ? おみそ汁は?」と言われることもあります。いりこやカツオ、昆布でだしを必ず取らなきゃいけないということはありません。野菜を入れて、コトコト煮れば、野菜のだしで十分おいしいおみそ汁ができます。キュウリとツナと豆腐で火を使わずに、冷汁にすることもあります。冷たいみそ汁もおいしいですよ! 腸にも、健康にもいいおみそ汁! ぜひ、毎日みそ汁を飲んで、これからの暑い夏を乗り切ってみてください。そして、お子さんにもみそ汁パワーを教えてあげてください。

(2022年7月23日付紙面より)