2022年01月26日
火災から国の宝を守れ
文化財防火デー前に訓練
熊野速玉大社
文化財の運び出しを行う神職ら=25日、新宮市の熊野速玉大社

 文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で25日、防火訓練があった。同大社職員らが初期消火活動などを通じて、有事の際の連携体制を確認した。

 例年なら消防団や婦人防火クラブ会員らも参加して行われる防火訓練。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、同大社神職や巫女(みこ)からなる自衛消防団10人のみで実施。新宮消防署員立ち会いの下、訓練を展開した。

 午前9時、境内の清掃をしていた巫女が、本殿の奥御前三神殿からの出火を確認。大声で「火事です」と伝え、各自が通報や消火器を用いた消火活動、文化財の運び出しなどを実施。「建物から離れて避難してください」と呼び掛け、参拝者を安全な場所に誘導した。

 訓練の様子を見守っていた、新宮消防署の榎本正昭消防係長は「大きな声で火事発生を知らせてくれていた。各担当も迅速、的確に行動していただいていた。設定時間内に終了し、日頃から訓練をしてくれていると感じた」と講評し「早期の発見と通報が重要。被害を最小限に抑えていただけるよう、今後も訓練に励んで」と呼び掛けた。

 上野潤権宮司は「突発的な災害に対しては常日頃からの備えが必要。年に1度振り返り、こうして訓練できる機会は重要」と述べ、「訓練では適時スムーズに動けていたと思う。訓練を通じて、防火の大切さが広く伝われば」と話していた。

 文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されている。

(2022年1月26日付紙面より)

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文化財の運び出しを行う神職ら=25日、新宮市の熊野速玉大社