2020年05月30日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第13回】砂糖は子どもをキレさせる?

 「白い砂糖は体に悪い」という話があるのをご存じですか?インターネットで「白砂糖」を検索すると、ゾッとするような「白砂糖は悪だ!」というような情報であふれています。中には砂糖を食べさせることで、キレる子どもが増えているというようなものもあります。

 結論から言うと、これらの情報は真っ赤なうそです。「砂糖は急激に血糖値を上げるために、インスリンが大量に分泌されて、低血糖になるからイライラする」というような話が書かれていますが、これも全く根拠のない情報です。砂糖は炭水化物です。つまり、砂糖も、白米も、小麦も同じというわけです。血糖値への影響も同じです。でも、「ご飯が子どもをキレさせる」なんて話は聞いたことがないですよね。今日は、あまりにまん延してしまったこの「白砂糖」のお話をしようと思います。

 砂糖にはさまざまな種類がありますよね。「黒糖」「白砂糖(グラニュー糖)」「三温糖」「和三盆」。茶色い砂糖は白い砂糖より、体に良いと思いますか?

 砂糖は全て、サトウキビから作られます。サトウキビを細かく刻み、その汁を搾ります。そして、不純物を取り除くために石灰と一緒に煮るんです。ここまでは、全ての砂糖に共通した作業です。この第一段階で汁をそのまま煮詰めて、固めたものが「黒糖」です。同じようにこの段階で汁を煮詰めて結晶化させ、そこにお水を足して作られるのが「和三盆」です。この段階から、さらに不純物を取り除き、煮詰めて結晶化し、遠心分離器にかけてその結晶を取り出したものが「白砂糖」。その結晶をさらに煮詰めたものが「三温糖」です。

 驚きませんか? 「三温糖」と「白砂糖」はほとんど作り方は変わらないんです。ミネラルが豊富といわれていますが、ほとんど変わりありません。「白砂糖は漂白されている!」なんていう情報もありますが、もちろんそれもうそです。それぞれ、味や風味が違う砂糖にすぎないのです。

 世界保健機関(WHO)では1日の砂糖摂取量を、総エネルギーの10%未満にすることを推奨しています。でも、こんな論文もあります。「砂糖の摂りすぎはよくないが、適量摂取はむしろ情緒を安定させる。また、脳がエネルギー源として利用できるのはブドウ糖だけである。砂糖は摂取するとすぐに単糖類になるのでブドウ糖の良い給源である」(神戸大学大学院人間発達環境学研究科紀要「幼児の手づくりおやつと砂糖の利用」、2007年)疲れたときやイライラしたときに甘いものが欲しくなるのは、脳がエネルギー源としてのブドウ糖を求めているからで、とても理にかなっています。砂糖は、甘いおやつとして以外にも、和食の味付けや、食品の保水性や防腐効果もあります。どうか白砂糖の誤った情報に流されることなく、甘いものを上手に活用して、幸せな食卓をご家族と共有してください。そして、子どもたちに砂糖の役割を教えてあげてほしいと思っています。

(2020年5月30日付紙面より)