私は食育イベントのプロデュースもしています。イベントに来るお母さんたちから最も多い質問が、食品添加物の危険性についてです。今、スーパーに行くと無添加表記がすごく多いですよね。そういった表記を見て、買うか買わないかを決めている方も多いのではないでしょうか?
今、日本で使用されている食品添加物は、1500品目以上あります。すごい数ですよね。保存料や甘味料、着色料、香料などとして使われているものです。こうやって書くと、いかにも体に悪いイメージでしょうか? 加工食品には添加物が入っていそうで怖い!というお母さんも多いですが、実はヘルシーだと思われている食品にも、食品添加物は使われています。
お豆腐に使われる「にがり」、こんにゃくを作るときに使う「水酸化カルシウム」、チーズを固める「塩化カルシウム」、麺に入っている「かんすい」…これらは全て食品添加物です。日本では、厚生労働省が許可したものしか使われていません。では、そのリスクはどうやって管理されているのでしょうか。
食品添加物のリスク管理は、食品安全委員会が行っています。食品安全委員会は、「食品添加物の健康に害のない量」を定める機関ともいえます。複数の動物実験で、毒性実験を繰り返し行って、中毒症状が全く出ない安全な量を見つけ出すのです。発がん性などのリスクはもちろん、摂取した化学物質が、体内にどれくらいとどまり、どう排出されるのか、胎児や子孫への影響はないか、それらを長い時間をかけて調べ、無毒性量を算出します。さらにその数字を100で割った数値が、人の1日の摂取許容量とされるのです。これは薬の量を決めるときと同じです。この量を基準として、食品添加物は使用され、商品化されるわけです。人が毎日摂取し続けても、健康に害のない量が徹底的に管理されているといえます。
だから、子どもたちに与える添加物を、むやみに恐れることはありません! 避けたいと思う気持ちは分かりますが、添加物よりも気を付けてほしいものがあります。それは「塩」です! 塩分の取り過ぎは「がん」のリスクを高めますし、添加物は使用量が管理されていますが、塩は管理されていないからです。例えば無添加のものには、うま味調味料を使わない代わりに食塩が多く使われていることもあります。添加物のことを質問されるたびに、塩の方が怖いですよとお話ししています。
ちなみに、私は食品添加物の摂取を推奨したいわけではありません! 調味料も食品も、もちろん食品添加物も、なんでも取り過ぎは体に良くはありません! どんなものも、バランスよく適度に摂取するのが一番です。でも「使ってはダメだ!」と自分を追い込む必要はないのです。食品添加物を使ったものには、時短調理に便利なものなど、お料理を楽にしてくれるものがたくさんあります。忙しい日々のお料理にうまく活用して、余った時間を家族の会話に充ててほしいと願っています。
(2020年2月8日付紙面より)