2019年12月21日
ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
【第3回】食事中のテレビ「いい? ダメ?」

 少し前にある女性タレントが、食事中のテレビはいいけどYou Tubeはダメ!と発言し、話題になったのを覚えていますか?

 「テレビはいい!」「いやダメ!」「You Tubeは論外だ!」など、さまざまな意見が飛び交っていました。それぞれのおうちでルールは違いますよね。昔はテレビが、一家だんらんの象徴のようなアイテムでしたが、いまはスマートフォンやタブレットなど多様なメディアが出てきて、家族で一つの画面を共有するというシーンも少なくなってきたのではないでしょうか?(テレビマンとしては寂しいことではありますが…)

 子どもたちがタブレットやスマートフォンでゲームや動画を楽しむ姿もよく見掛けますよね。それぞれ得る情報はあるわけですから、一概に悪い!ということはできません。

 ただ食育の観点からお伝えすると、「食事中のテレビは消したほうがいい」ということになります。「食事中にテレビを視聴している幼児はそうでない幼児よりも嫌いな食品が多い」(小児保健研究「テレビ視聴時間の長短が幼児の生活習慣に及ぼす影響」、2004年)という論文があります。つまり、偏食につながるということです。これは、テレビも他のメディアも同じですね。テレビを見ていると、食事に集中できないというのが理由です。

 また、スマートフォンでもこんな研究結果があります。「食事中にスマートフォンを利用しないルールがあり、守っていることは、食事の楽しさと正の関連が認められた」(日本健康教育学会誌「高校生における食事中のスマートフォンなどの利用頻度、および食事中にスマートフォンなどを利用しないルールの遵守状況と家の食事の楽しさとの関連」、2019年)。メディアは悪なのでしょうか?

 私は、大切なのは「テレビを消すこと」ではなく、「家族で食事の時間を楽しむこと」だと考えています。

 食事は、一家だんらんの貴重な時間です。家族と膝を突き合わせて話す時間を、食事のとき以外につくれますか? いまは子どもたちも親も忙しい毎日で、なかなか難しいですよね。「いただきます」と言った後は、ぜひ食事と会話を楽しんでください。家族が全員そろわなくても構いません。「これおいしいよ」「今日どうだった?」会話はなんでもいいんです。私はこの「ごちそうさま」と言うまでのわずかな時間に、互いの話をすることが何よりも重要な食育になると思っています。この時間によって、子どもは家族の一員として受け止められていることを自覚するのではないか、と考えています。ということは、一つの画面を共有し、テレビを見ながら感想や意見を話すのだって、良いコミュニケーションになるはずなのです。もし食事中にそれができるなら、メディアも弊害にはならないのかもしれません。

 ご家庭でコミュニケーションが生まれる最も良いルールを、見つけてはいかがでしょうか?

(2019年12月21日付紙面より)