2019年12月17日
大人が変われば子どもが変わる 新宮・東牟婁PTA講演会
子どもとの向き合い方を学んだ=14日、那智勝浦町の体育文化会館

 新宮・東牟婁PTA連合会(太田尋文会長)は14日、那智勝浦町の体育文化会館で「教育講演会~大人が変われば子どもが変わる~」を開催した。PTAや教職員らを対象に、大阪府子ども家庭サポーターで社会福祉士、保育士でもある辻由起子さんが講師を務め、子どもとの向き合い方や課題、その対応について講演した。

 辻さんは自身の体験、子育てなどの経験を生かし全国で講演をしている。言葉の洗脳のきつさを挙げ、「大人がルールを聞いてもきちんと理解できていないのに子どもがなんでも理解できるはずがない」と話した。「生まれや育ちで認知が変わる。自分が言っていることが全て正しいわけではないと理解してほしい」と呼び掛けた。

 続いて、「認知のゆがみに気づく」「自己覚知=自分の認知のゆがみを自覚する」「視野を一度でいいからひろげる」ことが重要であると話した。

 育児については「生んだら親になれるわけではなかった。親子の関わり合いの中で親になっていく。そのため血のつながりは関係ない」。

 「苦労で成長する速度は遅い。成長は喜びと感謝。しなくていい苦労はしなくていい。今後も世の中の親子には最短で親子になってよかったと思ってもらえるように頑張っていきたい」と語った。

 インターネットやスマートフォンが当たり前となったデジタルネイティブ世代やスマホネイティブ世代が今では普通と述べ、個人・位置情報などを発信することで危険な場合もあるとし、「完全に取り締まるのは無理。子どもたちには先に正しく、良質な情報を伝えてあげることが大事。それが『子どもの幸せセンサー』であり、それをつくってあげることが大人の仕事」と語った。

 また、問題としては「人は一人で生きていけないので、人生でつまずいたときは本人の弱さの問題ではない。支える周りのサポート力の弱さが問題」とし、「社会の仕組みが機能していない。現在は人間関係が希薄になったが、子どもを育てるには人の手が多いほうがいい。自分の幸せくらいは自分で責任を持てる子を育ててほしい」。

 「全ては自分次第。選ぶのは自分。まずは皆さんが幸せでありますように」と締めくくった。

(2019年12月17日付紙面より)

[画像クリックで拡大します(再度クリックで非表示にします)

子どもとの向き合い方を学んだ=14日、那智勝浦町の体育文化会館
辻由起子さん