2019年12月07日
さらなる販路拡大を目指し
「熊野なまず」養殖場完成から1年半
新宮港埠頭株式会社
熊野なまずをPRする小池㬎二社長(右)と生地圭・食品部営業係長=6日、新宮市三輪崎

 新宮市の第三セクターである新宮港埠頭株式会社(小池㬎二(けんじ)社長)が同市木ノ川の養殖場で完全養殖を手掛ける「熊野なまず」の認知度がさらなる高まりを見せている。養殖場の完成から約1年半が経過したことを受け、小池社長に「熊野なまず」の販売状況や今後の展望などについて話を聞いた。

 「熊野なまず」は同社が不純物のない地下水を使用し、産卵から稚魚の育成、成魚に至るまでを完全養殖している。小池社長は、臭みのないなまずが完成するまでに試行錯誤したとしながらも、「研究を重ね、おいしいなまずの養殖に成功した。臭いもなく、おいしいと好評をいただいている」と経過を報告した。

 10月にNHK総合の番組で「熊野なまず」が紹介されて以降、県外の飲食店などからの問い合わせも増えている。前田賢一議長をはじめとする市議会議員らの尽力もあり、このほど広島県呉市の海上自衛隊基地から注文を受け、来年1月に商品を納入することが決定した。現在は県内外のホテルや飲食業者など、約20社と取り引きを行っており、有機野菜など安全性に配慮した食品宅配会社「オイシックス・ラ・大地」(本社:東京都品川区)と商談を進めているほか、JR西日本と業務提携を行い、「オーガニックなまず」としてブランド展開していく試みも進行中という。

 海外への輸出も視野に入れ、このほど中国圏の指定工場として認可を取得。現在はベトナム向けに書類申請を行っており、アメリカ、EUのHACCP(ハサップ)を取得すべく検査準備をしている。

 また、三重大学の協力の下、養殖ウナギの約3倍のコラーゲン量といわれるなまずの皮を利用した化粧品などの商品開発も進めているという。

 小池社長は「市内の小中学校でも管理栄養士や保護者らに試食していただき好評を得た。採用となると新年度から給食として提供される。今までは販路拡大のために形を作ってきた。これからは営業面に力を尽くしたい」と述べ、さらなる認知度向上と販路の拡大を目指すと展望を語った。

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■熊野なまず



 コラーゲン量の目安といわれるヒドロキシプロリンを養殖ウナギの約3倍の1380㍉㌘(100㌘当たり)含有している。タンパク質は22・6㌘(同)で、鶏ささみと同程度。エネルギーは128㌔㌍で、ウナギの約半分となっている。

 市内における「熊野なまず」商品取り扱い飲食店は次の7店舗。

▽徐福寿司(徐福)

▽きゃろっと(大橋通)

▽カイハミ・カルネ(伊佐田町)

▽和美場くいしんぼう(新宮)

▽熊野荘(元鍛治町)

▽和ダイニング燈(あかり)(新宮)

▽鳥好(伊佐田町)

(2019年12月7日付紙面より)

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熊野なまずをPRする小池㬎二社長(右)と生地圭・食品部営業係長=6日、新宮市三輪崎