2019年10月16日
古座などで越波被害相次ぐ
台風19号接近に伴う影響
串本町
越波の影響を受ける国道42号古座交差点周辺=12日、串本町古座

 台風19号が最接近した12日、串本町古座などで越波による被害が相次いだ。規模の大きいところでは動鳴気漁港の防波堤が約70㍍にわたって崩れ港内やその周辺で越波の被害が多発、国道42号姫区間で浸食により道路が陥没するなどの影響があった。

 台風19号は12日午後に紀伊半島南東沖を通過する形で最接近。11日夕方の満潮時には東方向からの高波が同町域の東岸部に打ち寄せて住民の不安を誘った。12日未明の満潮時の影響が特に大きく、串本町古座では同漁港防波堤に加え奥の船だまりで漁船3隻が横転したほか、周辺でも越波が多発。国道42号の防礫(ぼうれき)フェンスが押し倒され防波堤も部分的に崩れ、流出物を含んだ越波が道向かいに面する古座消防署や水産物加工所、家屋などに被害をもたらした。

 その時間帯に同署へ詰めていた井本茂消防司令(56)によると、越波のピークは12日午前2時ごろだったそう。「11日夕方に動鳴気(どめき)漁港の防波堤の先が傾いていて危ないと思っていたが、夜が明けてここまで崩れるとは思っていなかったのでびっくりした。この防波堤ができて以降、越波が署内まで届いたことは今までなかったと思う」と状況を語った。

 古座漁港周辺でも漁港越しに跳ね上がった波で県道沿いに流出物が飛散し、同漁港荷さばき場に流木が絡まるなどした。田原海水浴場周辺も砂を含んだ高波が防礫フェンスを越えて道路沿いに大量の砂を残したほか、JRきのくに線軌道敷への越波もあり12日は復旧を急ぐ工員の姿も見られた。

 姫の道路陥没は海側のコンクリート擁壁の一部が崩れ、隙間から中が浸食されたことが原因。国土交通省紀南河川国道事務所によると影響範囲は全長約70㍍で、ただちに応急復旧に取り掛かり13日午後10時20分に完了した。現在は片側交互通行で通行を確保しているが、同壁は手付かずの状態で今後は本復旧が必要になるという。

 串本地内ではJR串本駅前にあるトルコ友好の町看板の一部が強風で剝離し、宮川が高波の進入で一部あふれるといった影響。出雲地内でも県道潮岬周遊線浅海交差点~出雲漁港間が越波により通行止めとなったが、12日夕方には打ち上がった流出物の撤去も完了し解除となった。

 12日は町営バスやJRきのくに線の運行が休止され、トルコ記念館・樫野埼灯台旧官舎・日米修交記念館・潮風の休憩所・南紀熊野ジオパークセンターなどの公共観光施設も休館。潮岬望楼の芝キャンプ場は秋の3連休に合わせ有料期間を設ける計画だったが取り止めた。10月の3連休やその前後は町内の各神社の例祭が活発に行われる時期だが、出雲の朝貴神社が11月1~3日に延期した以外は決行、順延、宵宮の休止や本祭への持ち越しなどそれぞれの工夫で執行した。

 最接近に伴う瞬間最大風速は12日午後3時37分に記録した北北西の風29・3㍍(気象庁観測)。雨は少なく、串本地内で累積雨量約50㍉だった(県観測)。袋港の潮位計測によると高潮は12日午前0時ごろから度合いが増し始めたが、正午すぎから減少に転じ波も小康し始めたため12日未明がもっとも海象が荒れる結果となった。

(2019年10月16日付紙面より)

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越波の影響を受ける国道42号古座交差点周辺=12日、串本町古座
高波に打ち負けて崩れた動鳴気漁港の防波堤
流出物が散乱した古座区の下之丁地内(道奥が防波堤)
河口から入り込んだ高波で冠水する古座漁港