2019年10月02日
子育て中の悩みを相談
志村浩二さんの座談会
那智勝浦町
子育ての不安や気付きを話し合った=9月28日、那智勝浦町福祉健康センター

 那智勝浦町地域子育て支援センター(戸塚ゆう子センター長)は9月28日、同町福祉健康センターで「子育て座談会」を開き、浜松学院大学短期大学部幼児教育科准教授で臨床心理士の志村浩二さんが講演した。子育て中の母親など16人は育児の悩みや不安などを相談し、志村さんがそれらに答えた。

 志村さんは小都市における発達障害児支援システムの確立と児童虐待防止ネットワーク(要対協)の充実の両立をフィールドワークとし、各地で活躍している。

 育児の相談は、兄弟姉妹の育て方についてが最も多いとし、兄や姉が弟や妹をいじめてしまう「同胞葛藤性障害」を挙げた。「きょうだい関係が根本的な原因ではない。これまで注がれていた愛情が弟や妹にも注がれてしまうため、親の取り合いになることがほとんど」と説明した。

 解決方法としてリップサービスを紹介。「『あなたが一番』と言ってあげることが大事。子どもは100%信じるわけではないが、自身にとって大切な大人にそう言ってもらえるだけで効果が高い」。

 「子どもが将来、現実というものに立ち向かえるエネルギーを養うためにファンタジーや幻想が必要になる。それを与えてあげられるのは親にしかできないこと」と解説した。

 その後、参加者は自己紹介をし、「多くの子育て方法があるが、どれが自分に合っているか分からない」「保育所なら自分でできることでも家ではやらない」「兄弟げんかをよくするが、どちらを叱ったらよいか分からない」など、各自が抱える育児の悩みや不安、気付いたことを発表した。

 志村さんは「怒るときは怒り、ほめるときはほめてあげる。子どもと一緒にいれてよかったなと思えるのが大事。子どもは自分のために親が傷ついている姿は見たくない」「いろんなことができていく自分のせいで、親からケアしてもらえなくなるのが寂しいというのが理由」「けんか両成敗が良い。どちらにも『静かにしなさい』と言ってあげるのが一番良い」などと回答した。

 この日の座談会について志村さんは、子ども好きで前向きな人が多かったと評価。子育てに正解を求めがちだが、正解はないとし、「専門家でなくても、子育ての悩みや話せる人や場所があることが重要。自信を持って子どもと向き合ってもらうことが一番の子育て」と締めくくった。

(2019年10月2日付紙面より)

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子育ての不安や気付きを話し合った=9月28日、那智勝浦町福祉健康センター
志村浩二さん