太地町の太地漁港周辺で14日、伝統の古式捕鯨を再現する第30回太地浦勇魚(いさな)祭と盆供養花火大会が開かれた。初盆を迎えた故人への追善供養など、盆行事の一環として開催され、町民や里帰りの人たち、観光客らでにぎわった。
太地浦勇魚祭は400年の歴史を持つ捕鯨文化を伝えるため、太地勇魚会(井上正哉会長)が主催して行っている。赤い鉢巻きにふんどし姿の男たちが2隻の「勢子(せこ)舟」で海に繰り出すと、沖からクジラを模した船が登場。男たちは掛け声とともにクジラを網に追い込み、古式捕鯨「網掛け突き捕り法」を再現した。今年は若い世代に祭りを伝えようと太地中学校に声を掛け、3年生の男子生徒3人が参加。勢子舟に乗り込み、クジラにもりを打ち込んだ。脊古瑠伽君は「めったにできない体験。楽しかった」と笑顔。井上会長は「若い人たちに伝統を継承してほしい」と話していた。
田辺市から見学に来た会社員坪井清志さん(53)は「太地ならではの祭り。伝統を大切にしていることが感じられた」と話していた。
勇魚祭の後、柱松に続いて花火大会があり、夜空に大輪を咲かせた。フィナーレには鯨踊りが披露され、町民一同の大スターマインが打ち上がった。観客から「すごい」「きれい」など歓声が上がり、拍手喝采が送られた。
(2018年8月16日付紙面より)
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