2018年06月24日
事業所間の連携第一に
介護保険事業者連絡協議会が総会
新宮市
あいさつする大前崇会長=22日、新宮市福祉センター

 新宮市介護保険事業者連絡協議会(大前崇会長)は22日、市福祉センターで総会を開いた。昨年度の会計報告、事業報告、本年度の会計予算、事業計画が議題に挙がり全て承認された。一部役員の改定もあった。

 同協議会は、介護保険事業所が連携して情報を共有することで良質で安定した介護サービスの供給体制の確保、利用者の保健・医療・福祉の向上に寄与することを目的に昨年6月設立。現在66事業所が加入している。

 大前会長は「この一年、市の行政、医療、介護団体などと連携を図りながら活動してきた。活動を通して認知していただけたと感じている。会の目的でもある事業所間の連携を第一に考えながら地に足を着けて本年度も取り組んでいきたい」とあいさつした。

 総会後は全体研修もあった。新宮保健所の形部裕昭所長が「患者の意向を尊重した人生の最終段階における医療とケアのための在宅医療・救急医療連携の推進」を題目に講演した。形部所長は「多死社会を迎える中、人生の最期をどこで迎えるかという問題に取り組む必要がある」と述べた。

 アンケートでは「自宅で療養後、最後は医療機関に入院したい」「自宅で最後まで療養したい」の回答が70%近くを占めるが、実際は70%以上の人が病院で死亡していると紹介。「もしもの時に備え、人生の最終段階をどのように過ごしたいか、医療やケアの方針に希望について意思表示をしておく必要性が高まっている」とした。

 2006(平成18)年に富山県で起こった「人工呼吸器取り外し事件」を受け、尊厳死のルール化を求める議論が活発化。翌年に厚生労働省が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(現在「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」に改称)をとりまとめた。昨年の検討会では「話し合いのプロセスを重視する」ことに重きを置いた流れになっていると説明。

 今年改訂されたガイドラインでは「人生の最終段階における医療およびケアについては、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本として進めることが最も重要な原則」であり、和歌山県内でもすでに取り組みを進めている圏域があると紹介した。

 形部所長は「市保健医療圏内において、在宅医療・救急連携を進めるには情報の共有が鍵」と述べ「当所では今後ヒアリングやアンケート、ワーキンググループ、検討会などを行っていく。皆さんの協力が必要になってくる」と呼び掛けた。

(2018年6月24日付紙面より)

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あいさつする大前崇会長=22日、新宮市福祉センター
全体研修の様子
新宮保健所の形部裕昭所長