2018年06月24日
高木顕明師しのぶ
非戦、平和を願い遠松忌
新宮市
高木顕明師顕彰碑前での勤行=23日、新宮市の南谷墓地

 新宮市大橋通の淨泉寺(山口範之住職)で23日、真宗大谷派主催の「遠松忌法要」が営まれた。大勢の市民らが参列し、非戦・平和を唱え、差別と闘った同寺12代住職、高木顕明師(1864~1914年)の遺徳をしのんだ。

 「前(さき)を訪(とぶら)う 今、この時代に聞く非戦・平等の願い」をテーマに毎年営まれている法要は、1998(平成10)年に滋賀県大津市の本證寺で有志らが第1回を営み、翌年から新宮市で開かれている。今年21回目で、2000(平成12)年から同派が主催している。

 市民らは、市内の南谷墓地にある顕明師顕彰碑での勤行後、淨泉寺本堂で営まれた法要に参列。金藏寺の訓覇(くるべ)浩住職の法話「五濁の世に人として生きん」や交流会もあった。

 顕明師は新宮出身の医師・大石誠之助(1867~1911年)らとともに非戦、平和を唱えて活動していたが、明治天皇暗殺を企てたとして「大逆事件」(1910年)に連座し無期懲役となり、無念の中、14(大正3)年6月24日に秋田刑務所で自ら命を絶った。事件を受け、顕明師は同派から追放されたが、96(平成8)年に処分取り消しとなり、名誉が回復されている。

 山口住職(66)は「非戦や平和への願いはみんな同じです。最近は宗派を超えて参列していただいています」と話していた。

(2018年6月24日付紙面より)

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高木顕明師顕彰碑前での勤行=23日、新宮市の南谷墓地