水産資源の適切な保存管理を目的とした、国が定める漁獲可能量(TAC)制度に、今年追加された太平洋クロマグロ漁。この大型魚の漁獲量が早くも年間漁獲枠の80%を超えたため、13日から捕獲禁止、20日から市場での水揚げも禁止となった。
クロマグロを釣り上げていたため、操業途中で急ぎ勝浦漁港に入港した第八竣洋丸(宮崎県)・松尾正和船長(50)は、「一本一本釣り上げて、(クロマグロは)取れても1、2匹。ごっそり持って行くまき網を規制しないと保護にならないのでは」と憤りを見せた。
那智勝浦町の勝浦地方卸売市場では、12月31日まで続く厳しい規制に、漁業関係者らの不満の声が高まっている。
今回の規制は国の漁業許可を持つ漁船(全国近海かつお・まぐろ漁業協会所属)のうち、近海・遠洋のはえ縄漁や一本釣り漁などが漁獲した太平洋クロマグロの大型魚(30㌔以上の魚)が対象で、大中型まき網漁は対象外となっている。
規制の根拠となる漁獲可能量に基づく年間漁獲枠は、はえ縄漁などが167㌧に対し、大中型巻き網漁が3063・2㌧(平成30年2月27日・水産庁資料)と大きな開きを見せている。国内有数の生鮮マグロの水揚げ高を誇る同市場には、まき網船の入港はない。
県漁連・勝浦市場の太田直久参事役も「せめて5月いっぱいは持ってほしかった。これほどの規制は今までに無い」、勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長は「資源にやさしいといわれるはえ縄漁への対処が厳しすぎるのではないか」と話していた。
(2018年5月19日付紙面より)
[画像クリックで拡大します(再度クリックで非表示にします)