2018年03月17日
第一線の研究者ら集う 熊野新宮で地中海学会大会 6月9、10日
記者発表する山田幸正事務局長(右)ら=16日、新宮市役所

 「第42回地中海学会大会」が6月9日(土)、10日(日)の2日間、新宮市福祉センターで開催される。西洋美術史、日本建築史、仏教彫刻史など世界の第一線で活躍する研究者たちが集い、地中海と熊野の文化の共通点や差異を語り合う。

 主催の地中海学会と共催の国際熊野学会の役員らが16日、市役所で大会の内容などを記者発表した。地中海学会の山田幸正事務局長は「地中海は幅広い文化の交流があった場で、熊野は日本の信仰の歴史で重みと特質性を持つ場。今大会で両文化の関連性や共通性をどうあぶり出すことができるか非常に楽しみにしています」。国際熊野学会の山本殖生副代表は「熊野の国際的な面を少しでも勉強できれば」と話していた。

■大会プログラム



 ▽6月9日=午後2時から本村凌二・地中海学会長の開会宣言後、田岡実千年市長が開会あいさつし、林雅彦氏(明治大学名誉教授)が「熊野の魅力」をテーマに記念講演する。「世界の中の熊野」をテーマにした地中海トーキングでは、秋山聰氏(東京大学美術史)の司会で、高木亮英氏(青岸渡寺副住職)、松本純一氏(国際熊野学会事務局長)、奈良澤由美氏(城西大学・西洋美術史)、守川知子氏(東京大学西アジア史)が話す。

 ▽6月10日=午前10時からの研究発表では▽牧みぎわ氏(桃山学院大学)が「古代小麦の再評価におけるシチリア州小麦栽培試験研究所」▽中西満義氏(上田女子短期大学)が「西行歌にみる海浜の風景―『海人』への視線―」▽辻本雄一氏(佐藤春夫記念館長)が「佐藤春夫と中国・台湾」▽辻成史氏(大阪大学名誉教授)が「二つの聖地風景―那智熊野とゲミレル島(トルコ、ムーラ県)のHodology」をテーマに話す。

 午後1時からのシンポジウム「聖なるモノ」(午後4時まで)では、松﨑照明氏(東京家政学院大学日本建築史)の司会で山本殖生氏(熊野三山協議会幹事)、奥健夫氏(文化庁主任文化財調査官仏教彫刻史)、太田泉フロランス氏(東京大学大学院西洋美術史)、加藤耕一氏(東京大学西洋美術史)が話す。

 一般参加は無料。問い合わせは新宮市教育委員会文化振興課(電話0735・23・3368)。

■地中海学会



 1977年設立の地中海学会は、地中海沿岸地域の文化をさまざまな分野から研究している団体。会員は約600人。毎年1回開いている大会は、ほとんど各地の大学を会場としてきているが、大分県佐伯市や広島県尾道市などで開催したこともある。

 今大会は地中海学研究の成果や魅力を広く伝えるとともに、熊野学研究者との交流を通じて、熊野地方の魅力や熊野に関わるさまざまな研究成果を知ることで、地中海の学際的研究の発展に寄与することを目的としている。

(2018年3月17日付紙面より)

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記者発表する山田幸正事務局長(右)ら=16日、新宮市役所